JP2011228647A - 放熱シート及び放熱シートの製造方法 - Google Patents

放熱シート及び放熱シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放熱性及び耐久性に優れた放熱シート及び該放熱シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】熱伝導性材料及びバインダーを含有する熱伝導層と放熱性材料及びバインダーを含有する放熱層を有する放熱シートであって、該熱伝導層と該放熱層の間に、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域を有していることを特徴とする放熱シート。さらに、(1)少なくとも熱伝導性材料及びバインダーを溶剤と混合した熱伝導層形成用溶液と放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した放熱層形成用溶液とを積層する工程、(2)前記工程(1)で積層した溶液を基材上に転移させる工程、及び(3)基材上に転移された積層した溶液を乾燥する工程を有する、熱伝導層と放熱層を有する放熱シートの製造方法であって、前記工程(1)において、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した溶液であって、かつ該溶液の固形分濃度が、前記熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液それぞれの固形分濃度よりも高い溶液を、前記熱伝導層形成用溶液と前記放熱層形成用溶液との間に挿入して積層する、放熱シートの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、放熱性及び耐久性に優れた放熱シート及び該放熱シートの製造方法に関する。
パソコン、携帯電話機等の電子機器において、大規模集積回路(LSI)の高性能化が進むにつれ、メモリーやマイクロプロセッサー等の半導体の高性能化が急速に進んでいる。それに伴い、半導体からの発熱量が増大し、半導体自体が熱によって過熱され、性能劣化の原因となる。そのため、通常、小型ファンモーター等の放熱器が利用されているが、それのみでは発熱デバイスからの放熱が十分ではなく、電子部品と放熱器との間に放熱シートを配置することが行われている。また、ノート型パソコンや携帯電話機等、薄型軽量化(小型化)が進んでいる電子機器では、ファンモーターによる放熱が困難な場合もあり、ファンモーターを使わずに、放熱シートによって効率良く放熱及び冷却をすることが求められており、それに伴い、放熱シートの小型化及び軽量化も求められている。
熱伝導性や放熱性が高い金属層を有する放熱シートが知られている(特許文献1参照)が、重量が大きく、電子機器の軽量化が困難である。そこで、近年は、金属層を有さず軽量化が可能であり、且つ放熱性の高い放熱シートとして、例えば、熱伝導性を有する熱伝導層と熱放射効果を有する放熱層とを含有する放熱シート(特許文献2参照)が開発されている。
特開2006−245523号公報 特開2008−78380号公報
特許文献1及び2に記載の放熱シートは、発熱体から熱を吸収する熱伝導層と、大気中へ熱を効率的に放出する放熱層との密着性が不十分であるため、放熱性が未だ十分とは言えず、さらに長期使用後には、熱伝導層と放熱層とが剥がれ、放熱性が一層低下するという問題があった。
そこで、本発明の課題、放熱性及び耐久性に優れた放熱シート及び該放熱シートの製造方法を提供することにある。
基材上に多数の層を積層する方法としては、複数の溶液を用いて、塗布と乾燥処理を繰り返すタンデム塗布方式がよく知られている。タンデム塗布方式により積層体を形成して得られた放熱シートは、タンデム塗布方式が塗布と乾燥処理を繰り返す方法であるがゆえに、各層間に気泡や不純物が入り込んでいることが多い。本発明者は、これが理由で十分な放熱性を有する放熱シートが得られず、且つ長期使用により層間が剥離し易い、耐久性に乏しい放熱シートになるものと推測した。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、熱伝導層と放熱層を有する放熱シートであって、該熱伝導層と該放熱層の間に、該熱伝導層の成分と該放熱層の成分が混在した領域を有している放熱シートであれば、従来の放熱シートよりも熱伝達性に優れるため、放熱効果が高く、且つ層間の密着性及び耐久性にも優れることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[4]に関する。
[1]熱伝導性材料及びバインダーを含有する熱伝導層と放熱性材料及びバインダーを含有する放熱層を有する放熱シートであって、該熱伝導層と該放熱層の間に、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域を有していることを特徴とする放熱シート。
[2]熱伝導率が1W/m・K以上である、上記[1]に記載の放熱シート。
[3](1)少なくとも熱伝導性材料及びバインダーを溶剤と混合した熱伝導層形成用溶液と放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した放熱層形成用溶液とを積層する工程、
(2)前記工程(1)で積層した溶液を基材上に転移させる工程、及び
(3)基材上に転移された積層した溶液を乾燥する工程
を有する、熱伝導層と放熱層を有する放熱シートの製造方法であって、
前記工程(1)において、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した溶液であって、かつ該溶液の固形分濃度が、前記熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液それぞれの固形分濃度よりも高い溶液を、前記熱伝導層形成用溶液と前記放熱層形成用溶液との間に挿入して積層する、上記[1]又は[2]に記載の放熱シートの製造方法。
[4]前記工程(1)において、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した溶液であって、かつ該溶液の固形分濃度が、前記熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液それぞれの固形分濃度よりも5質量%以上高い溶液を、前記熱伝導層形成用溶液と前記放熱層形成用溶液との間に挿入して積層する、上記[3]に記載の放熱シートの製造方法。
本発明の放熱シートは、層間の密着性に優れるため熱伝達性及び放熱効果が高く、さらに耐久性に優れるため長期間の使用に耐え得るものである。また、本発明の放熱シートの製造方法によれば、当該効果を有する放熱シートを工業的に簡便に製造することができる。
1回の塗布プロセスにより積層体を形成する装置の一例を示す模式図である。 実施例1又は2で得られた放熱シートの概念図である。
[放熱シート]
本発明の放熱シートは、熱伝導性材料及びバインダーを含有する熱伝導層と放熱性材料及びバインダーを含有する放熱層を有する放熱シートであって、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域を有しているものであり、実質的に、熱伝導層と放熱層の間に界面が観察されないと言えるものである。
(熱伝導層)
熱伝導層は、例えば電子部品等から発生した熱を直に吸収し、後述する放熱層へ伝える役割を果たす。
熱伝導層の熱伝導率は、放熱層へ熱を効率良く伝達する観点から、好ましくは1W/m・K以上、より好ましくは2W/m・K以上、さらに好ましくは3W/m・K以上である。該熱伝導率は、実施例に記載の方法に従って測定した値である。
熱伝導層は、放熱シートに通常用いられる熱伝導性を有する成分を含有する層であればよいが、熱伝導率が上記値となるものであることが好ましい。この観点から、熱伝導層は、熱伝導性材料とバインダーとを含有するものであることが好ましく、該熱伝導性材料の熱伝導率は好ましくは3W/m・K以上、より好ましくは5W/m・K以上、より好ましくは10W/m・K以上、さらに好ましくは20W/m・K以上である。熱伝導率は50W/m・K以下でもよいし、40W/m・K以下でもよいが、放熱層へ効率良く熱を伝える観点から、高ければ高いほど好ましい。なお、該熱伝導率は、実施例に記載の方法で測定した値である。
前記熱伝導性材料としては、例えばアルミニウム、銅、銀、マンガン、クロム、鉄、タングステン、モリブデン、ケイ素、ホウ素の単体;アルミナ、酸化銅、二酸化マンガン、酸化鉄等の前記単体の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の前記単体の窒化物;炭化ケイ素等の前記単体の炭化物;前記単体、単体酸化物、単体窒化物及び単体炭化物から選択される2つ以上からなる複合物;アルミニウム、銅、銀、マンガン、クロム、鉄、タングステン、モリブデン等を含有する合金などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、熱伝導性及びコストの観点から、アルミナ、銅、銀、酸化鉄、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素が好ましく、アルミナがより好ましい。また、熱伝導性材料としてその他の熱伝導性材料を単独で用いることもできるし、先に例示された熱伝導性材料とその他の熱伝導性材料を組み合わせて用いることもできる。
該熱伝導性材料の形状としては特に制限はなく、粒子状、フィラー状等、いかなる形状であってもよいが、熱伝導性及び分散性の観点から、粒子状が好ましい。以上より、熱伝導性材料としては、アルミナ粒子が好ましい。なお、熱伝導性材料の形状が粒子状である場合、該粒子の体積中位粒径としては、粒子の分散性及び放熱シートの薄膜化容易性の観点から、好ましくは1〜80μm、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは5〜30μmである。
また、前記バインダーとしては、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂(ウレタン変性ポリエステル樹脂;ポリエステルポリオールをポリイソシアネートでウレタン変性したもの。)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、溶液とする際に使用する溶剤への溶解性の観点から、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂がより好ましく、特に非晶質ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂が好ましい。なお、ウレタン変性ポリエステル樹脂としては、イソフタル酸等のポリカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール等のポリオールとを用いて製造されるポリエステルポリオールを、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のポリイソシアネートでウレタン変性したものが好ましい。
該バインダーのガラス転移温度(Tg)としては、熱伝導層中のバインダーの含有量を低減しながら造膜性、柔軟性及び実用的な機械的強度を確保する観点から、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜90℃、さらに好ましくは70〜90℃である。該バインダーの数平均分子量としては、皮膜を形成し得る程度であれば特に制限はなく、好ましくは10,000〜80,000、より好ましくは20,000〜60,000、さらに好ましくは30,000〜50,000である。
前記熱伝導性材料の熱伝導層中の含有量は、熱伝導性及び機械的強度の観点から、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは70〜95質量%、さらに好ましくは80〜90質量%である。
熱伝導層は、熱伝導性材料及びバインダー以外に種々の添加剤を含有していてもよいが、熱伝導性及び皮膜形成容易性の観点から、該添加剤の含有量は好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、特に好ましくは実質的に0質量%である。
熱伝導層の厚みは、好ましくは100μm〜20mm、より好ましくは250μm〜10mm、さらに好ましくは400μm〜5mmである。
なお、熱伝導層を形成する際には、少なくとも前記熱伝導性材料及びバインダーと溶剤とを混合した溶液が用いられる。本明細書では、少なくとも前記熱伝導性材料及びバインダーと溶剤とを混合した溶液を「熱伝導層形成用溶液」と称する。該溶剤としては、例えば、水;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族系有機溶剤;トルエン、キシレン、ブロモベンゼン等の芳香族系有機溶剤;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、2−ペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤;エチルセロソルブ等のセロソルブ系有機溶剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。さらに、溶剤に熱伝導層の成分を分散させる際は、湿潤分散剤を用いてもよい。
熱伝導層形成用溶液中の固形分濃度は、後述する中間挿入用溶液の固形分濃度よりも低くする観点及び放熱層形成用溶液の粘度を低くし過ぎないという観点から、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜70質量%、特に好ましくは50〜70質量%である。
(放熱層)
放熱層は、前記熱伝導層から伝わった熱を大気中へ(例えば放熱器等へ向けて)放出する役割を果たす。
該放熱層により、本発明の放熱シートの熱放射率は、好ましくは0.85以上、より好ましくは0.9以上となる。該熱放射率は、実施例に記載の方法によって測定した値である。
放熱層は、熱放射率が上記値となる成分を含有することが好ましく、この観点から、放熱層は、放熱性材料とバインダーとを含有するものであることが好ましい。放熱性材料としては、実施例に記載の方法で測定した熱放射率が、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.85以上、より好ましくは0.9以上、さらに好ましくは0.95以上、特に好ましくは0.97以上のものである。この観点から、炭素の同素体が好ましい。炭素の同位体としては、例えばグラファイト、フラーレン、ダイヤモンド、カーボンナノ材料等が挙げられる。また、炭素の同素体以外にも、炭素繊維等も好ましく利用できる。該放熱性材料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。放熱性材料としては、高熱放射率及び低コストという観点から、グラファイト、カーボンナノ材料が好ましい。
グラファイトの累積中位粒径に特に制限はないが、分散性の観点から、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。カーボンナノ材料としては、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノウォール、カーボンナノスプリング等が挙げられ、熱伝導率及び放熱性の観点から、カーボンナノチューブが好ましく、多層カーボンナノチューブがより好ましい。カーボンナノチューブの平均直径は、通常、好ましくは0.4〜50nm、より好ましくは1〜40nm、さらに好ましくは3〜30nm、特に好ましくは3〜25nmである。カーボンナノチューブの平均長さに特に制限はないが、熱伝導率及び放熱性の観点から、好ましくは0.1μm〜5mm、より好ましくは0.1μm〜1mm、より好ましくは0.1μm〜100μm、さらに好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜30μmである。なお、カーボンナノチューブは、アーク法、レーザーアブレーション法、CVD法などの公知の方法で製造することもできるし、ハイペリオン・キャタリシス・インターナショナル社製、昭和電工株式会社製、日機装株式会社製、シグマアルドリッチ社製などの市販品を用いることもできる。
炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)からなるアクリル長繊維を炭化焼成して得られるPAN系炭素繊維でもよいし、石油ピッチを繊維化したピッチ系炭素繊維でもよい。炭素繊維の繊維長は、分散性及び放熱性の観点から、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1〜5mmである。
前記バインダーとしては、樹脂単体の放熱性の観点から、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が好ましく、シリコーン樹脂がより好ましい。バインダーの数平均分子量としては、皮膜を形成し得る程度であれば特に制限はなく、好ましくは10,000〜100,000である。
前記放熱性材料の放熱層中の含有量は、放熱性及び機械的強度の観点から、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは50〜75質量%、さらに好ましくは50〜70質量%である。
放熱層の厚みは、放熱性の観点から、通常、好ましくは1〜200μm、より好ましくは5〜100μmである。
なお、放熱層を形成する際には、前記放熱層の成分を溶剤と混合した溶液が用いられる。本明細書では、少なくとも放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した溶液を「放熱層形成用溶液」と称する。該溶剤としては、前記熱伝導層を形成する場合と同じものが挙げられる。さらに、溶剤に熱伝導層の成分を分散させる際は、湿潤分散剤を用いてもよい。放熱層形成用溶液中の固形分濃度は、後述する中間層形成用溶液の固形分濃度よりも低くする観点及び放熱層形成用溶液の粘度を低くし過ぎないという観点から、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜70質量%、特に好ましくは50〜70質量%である。
また、放熱層は、放熱性に大きな悪影響を与えない限りにおいて、着色剤、熱安定剤、分散剤、金属水和物などの難燃剤、シランカップリング剤、イソシアネートなどの硬化剤、マイクロシリカなどを含有していてもよい。
前述の通り、本発明の放熱シートは、前記熱伝導層と前記放熱層が積層されたものであり、且つ熱伝導層と放熱層の間に界面が実質的に観察されないと言えるので、該熱伝導層と該放熱層の間には、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域を有しており、放熱性及び耐久性に極めて優れた放熱シートである。
ここで、層と層の間に「界面が実質的に観察されない」ことは、製造方法の検証段階でおこなう予備的実験として、例えば、上層を青色とし、下層を赤色とした場合に、青色と赤色が混在した領域が存在し、例えば「青のみ→(青(多い)/赤(少ない))→(青/赤)→(青(少ない)/赤(多い))→赤のみ」というように、青から赤へのグラデーションができている状態を確認することで把握できる。一方、実質的に「青のみ→赤のみ」というようにグラデーションになっていないことを確認した場合には、青色の層と赤色の層との境に「界面が実質的に観察された」と把握できる。本発明の製造方法で得られた放熱シートは、この各層を着色した予備的実験において、熱伝導層の成分と放熱層の成分が混在した領域と熱伝導層との間にも実質的に界面が実質的に観察されず、熱伝導層の成分と放熱層の成分が混在した領域と放熱層との間にも実質的に界面が実質的に観察されなかった。
なお、熱伝導層と放熱層の間に、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域を有しているか否かについては、XPSによる分析などによって実際に確認することができ、各層を着色せずに前記の「混在した領域」の有無を把握する手段として有用であり、詳細については後述する。
本発明の放熱シートの熱伝導率は、好ましくは1W/m・K以上、より好ましくは2W/m・K以上、さらに好ましくは3W/m・K以上である。また、前述の通り、本発明の放熱シートの熱放射率は、好ましくは0.85以上、より好ましくは0.9以上である。
本発明の放熱シートは、通常、基材上に貼付された状態で保管され、使用時に基材を剥がして使用する。
(基材)
基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム;セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム等のセルロース系フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の塩化ビニル系フィルム;ポリビニルアルコールフィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等のビニル系共重合体フィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリメチルペンテンフィルム;ポリスルホンフィルム;ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム等のポリエーテル系フィルム;ポリイミドフィルム;フッ素樹脂フィルム;ポリアミドフィルム;アクリル樹脂フィルム;ノルボルネン系樹脂フィルム;シクロオレフィン樹脂フィルム等が挙げられる。これらの中でも、製造コストなどの観点から、ポリエステル系フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
基材の厚さに特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、放熱シートから剥がす際に基材が破断しないようにする観点から、通常、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmの範囲、さらに好ましくは50〜200μmである。
[放熱シートの製造方法]
本発明の放熱シートは、前述の通り、熱伝導層と放熱層間に界面が無い構造であり、このような放熱シートを簡便に製造する方法としては、以下の放熱シートの製造方法が簡便であり好ましい。
−放熱シートの製造方法−
(1)少なくとも熱伝導性材料及びバインダーを溶剤と混合した熱伝導層形成用溶液と放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した放熱層形成用溶液とを積層する工程、
(2)前記工程(1)で積層した溶液を基材上に転移させる工程、及び
(3)基材上に転移された積層した溶液を乾燥する工程
を有する、熱伝導層と放熱層を有する放熱シートの製造方法であって、
前記工程(1)において、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した溶液であって、かつ該溶液の固形分濃度が、前記熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液それぞれの固形分濃度よりも高い溶液を、前記熱伝導層形成用溶液と前記放熱層形成用溶液との間に挿入して積層する、放熱シートの製造方法。
前記工程(1)では、熱伝導層形成用溶液を下層溶液、放電層形成用溶液を上層溶液とすることで、放電層を放熱シートの表面へ形成することができる。
熱伝導層形成用溶液と放電層形成用溶液とを積層させる方法に特に制限は無いが、例えば(i)傾斜したスライド面上にて積層させる方法、(ii)水平な平面状にて積層させる方法、(iii)円形シリンダー上にて積層させる方法、(iv)傾斜した放物面上にて積層させる方法等が挙げられる。これらの中でも、通常、方法(i)が好ましく利用される。
本発明は、放熱シートの各層間の界面をなくすため、前記工程(1)において、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとを溶剤と混合した溶液であって、かつ該溶液の固形分濃度(それら成分の合計濃度)が、前記熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液それぞれの固形分濃度よりも高い溶液(以下、中間挿入用溶液と称する)を、前記熱伝導層形成用溶液と前記放熱層形成用溶液との間に挿入する。こうすることで、層間に界面が無いものの、全体としては層分離構造が保たれた積層体を形成することができる。該中間挿入用溶液が、「熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域」を作り出しながらも、積層体の層分離構造を失わせないため、熱伝導層と放熱層の界面が存在しない状態で積層体を製造することが可能となる。
なお、該中間挿入用溶液を挿入しない場合、熱伝導層形成用溶液と放電層形成用溶液は、それらが重なり合った際に混ざり合ってしまい、層分離構造を保つことはできない。
前記中間挿入用溶液の固形分濃度としては、熱伝導層形成用溶液と放電層形成用溶液との混合抑制の観点から、熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液それぞれの固形分濃度よりも5質量%以上高いことが好ましい。該中間挿入用溶液の固形分濃度は、熱伝導層形成用溶液と放電層形成用溶液との混合抑制効果及び中間挿入用溶液の粘度の観点から、熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液それぞれの固形分濃度よりも5〜40質量%高いことがより好ましく、10〜40質量%高いことがより好ましく、10〜30質量%高いことがさらに好ましく、10〜20質量%高いことが特に好ましい。なお、該数値範囲は、以下の各層の固形分濃度との和が100質量%(好ましくは95質量%)を超えない範囲で選択されるべきものである。
また、熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液それぞれの固形分濃度としては、溶液の粘度、積層化容易性及び生産性等のバランスの観点から、通常、いずれも好ましくは20〜80質量%、より好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは45〜75質量%、特に好ましくは50〜70質量%である。熱伝導層形成用溶液と放熱層形成用溶液の固形分濃度の比率(熱伝導層形成用溶液における固形分濃度/放熱層形成用溶液における固形分濃度)に特に制限はないが、通常、3/1〜1/3が好ましく、2/1〜1/2がより好ましく、3/2〜2/3がさらに好ましい。
さらに、中間挿入用溶液において、熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとの混合割合(質量比)[熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダー/放熱層が含有する放熱性材料及びバインダー]は、積層しようとする熱伝導層形成用溶液の固形分濃度と放熱層形成用溶液の固形分濃度の比率に近いことが好ましく、具体的には、好ましくは3/1〜1/3、より好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは3/2〜2/3の範囲で適宜選択すればよく、この範囲であれば、積層しようとする熱伝導層形成用溶液と放熱層形成用溶液の混合を効率的に抑制できる。
前記中間挿入用溶液を熱伝導層形成用溶液と放熱層形成用溶液との間に挿入することにより、熱伝導層形成用溶液と放熱層形成用溶液とが混合するのを抑制しながら、こられの層の界面をなくすことができる。該中間挿入用溶液は、ウェット膜厚として、1μm〜100μmで挿入することが好ましく、5μm〜80μmで挿入することがより好ましいが、特にこれらに制限されるものではない。
挿入された前記中間挿入用溶液は、はじめは完全な混合状態であるが、熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液と接触後は、中間挿入用溶液中の固形分濃度が熱伝導層形成用溶液や放熱層形成用溶液の固形分濃度よりも高いために、より濃度の低い部分、つまり上下の熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液の方へと中間挿入用溶液中の成分が移動するものと推測される。特に、親和性の高い成分の方へ、即ち、中間挿入用溶液中の熱伝導性材料及びバインダー(熱伝導層用)は熱伝導層形成用溶液の方へ、そして中間挿入用溶液中の放熱性材料及びバインダー(放熱層用)は放熱層形成用溶液の方へ移動しようとして分離を始めるため、中間挿入用溶液の上下に存在する熱伝導層形成用溶液と放熱層形成用溶液とが混合するのを抑制できたものと推測される。中間挿入用溶液と、該中間挿入用溶液の上下に存在する熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液との濃度勾配がある程度緩和された段階で、前記移動及び分離が停止するため、各層の境界面近傍には界面が存在しない。なお、上記の通り、中間挿入用溶液は、熱伝導層形成用溶液や放熱層形成用溶液へと移動して混合していくが、熱伝導層形成用溶液や放熱層形成用溶液を基準とした混合割合は、好ましくはそれぞれの溶液の70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下であるが、特にこれらに制限されるものではない。
熱伝導層形成用溶液と放熱層形成用溶液を積層する際に傾斜したスライド面を利用する場合、溶液を流動させるための、傾斜したスライド面を有するものとしては、例えば図1に示すようなスライドコーターが好ましく挙げられる。なお、本発明においては、スライド面2上の上層用溶液A用スリットと下層用溶液B用スリットの間に、中間挿入用溶液用のスリットを設ける。
効率的に積層体を形成する観点から、スライド面の傾斜角度は、水平方向に対して5〜40度が好ましく、10〜35度がより好ましく、15〜35度がさらに好ましい。また、効率的に積層体を形成する観点から、スライド面上への溶液の吐出口の中心と、隣り合う溶液の吐出口の中心との距離は、8〜30cmが好ましく、10〜28cmがより好ましく、12〜26cmがさらに好ましい。さらに、効率的に積層体を形成する観点から、複数のスライド面上への溶液の吐出口の内、溶液を基材へ転移する部位に最も近い吐出口の中心と、基材との距離は、2〜14cmが好ましく、3〜12cmがより好ましく、4〜11cmがさらに好ましい。
以下に、図1のスライドコーターを参照して、複数の溶液を積層する方法の一例を詳細に説明する。
少なくとも3つのスリット状の吐出口を有する塗布ヘッド1における各吐出口から、それぞれ放熱層形成用溶液(上層用溶液A)、中間挿入用溶液及び熱伝導層形成用溶液(下層用溶液B)を押し出し、傾斜したスライド面2上を重力の作用により自然流下させ、放熱層形成用溶液(上層用溶液A)及び熱伝導層形成用溶液(下層用溶液B)を中間挿入用溶液を介して積層する。
こうして積層された溶液は、ロール3によって走行する基材4上に転移される(工程(2))。
積層した溶液を基材4上に転移させた後、加熱乾燥させることにより(工程(3))、放熱シートを製造することができる。加熱乾燥温度は、通常、好ましくは50〜140℃、より好ましくは70〜130℃、さらに好ましくは100〜130℃である。加熱乾燥時間に特に制限は無いが、通常、1分〜5分間程度必要である。
こうして得られた積層体(放熱シート)をXPS(X線光電子分光分析、別名:ESCA)によって分析することによって、熱伝導層と放熱層の間に、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域を有しているか否かを確認することができる。
例えば、XPSによる深さ方向の定性分析(X線光電子分析とイオンスパッタリングを交互に繰り返してスペクトルの変化を分析する方法。)によって、熱伝導層形成用成分に由来する元素の存在量が「徐々に減少」していく深さが存在していれば、熱伝導層が含有する熱伝導性材料と放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが一部混合していることを示していることになる。この場合、熱伝導層中のバインダーは熱伝導性材料と混合されているゆえ、熱伝導層が含有するバインダーも、熱伝導性材料と共に混在していることになる。逆に、該元素の存在量がある深さで急激にゼロ近く(実質的にはゼロであるが、分析手法の都合上、ピークがゼロには至らずにテーリングした状態となるため、「ゼロ近く」としている。)まで減少する場合は、その深さが熱伝導層と放熱層との明確な境界面であり、双方の材料が混合している領域は存在しないことになる。なお、XPSでは炭化水素系化合物の定量が難しいため、それ以外の成分の元素、例えば熱伝導層形成用成分中の前記熱伝導性材料の元素などに着目することが好ましい。積層体が本発明の積層体に含まれるか否かは、当該XPSによる分析にて判定することが好ましく、分析には以下の装置及び条件を採用することができる。
−XPS−
装置名:ESCASCOPE(VG SCIENTIFIC社製)
型番:Type I
X線源:AlKα線(1486.60eV)
X線出力:500W
測定領域:400μmφ
角度:90度
形式:180°同心半球型アナライザー(CHA)
解析手段:DE Micro PDP11/53でVGS DATA SYSTEM VGS5250のソフトフェアーを使用した。
なお、熱伝導層と放熱層の間に、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域を有しているか否かは、上述のXPSによる深さ方向の定性分析によって判定することが好ましいが、該分析手法では分析が困難である場合には、他の分析手法を用いて判別することも可能である。例えばスラブ型光導波路分光法を利用した界面紫外可視分光測定装置を用いて確認する方法や、グロー放電発光分光分析法による深さ方向の元素定量分析によって確認する方法がある。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1(熱伝導層用溶液1の調製)
ポリエステルウレタン樹脂溶液「バイロン(登録商標)UR−1400」[東洋紡績株式会社製、体積固有抵抗値;1.3×1015Ω、ガラス転移温度(Tg);83℃、溶剤;メチルエチルケトン/トルエン混合溶剤(質量比=50:50)、固形分濃度30質量%、ポリエステルウレタン樹脂のガラス転移温度;83℃、ポリエステルウレタン樹脂の数平均分子量;40,000]100質量部に、熱伝導性材料としてアルミナ粒子(シグマアルドリッチ社製、体積中位粒径:10μm)80質量部を加え、攪拌・混合し、アルミナ粒子が均一に分散した熱伝導層用溶液1(固形分濃度61質量%)を得た。
製造例2(放熱層用溶液2の調製)
シグマアルドリッチ社製のグラファイト分散インキ(トルエン溶剤、体積中位粒径25μmの球状のグラファイト、固形分濃度50質量%)、湿潤分散剤「DISPERBYK−130」(ビックケミー・ジャパン株式会社製、グラファイトに対して2質量%)及びシリコーン樹脂「KR−271」(信越ポリマー株式会社製)を、グラファイト:シリコーン樹脂(質量比)が60:40となるように混合し、放熱層用溶液2(固形分濃度60質量%)を得た。
製造例3(中間挿入用溶液3の調製)
製造例1で得た熱伝導層用溶液1と、製造例2で得た放熱層用溶液2とを、固形分比率が1:1となるように混合し、中間挿入用溶液3(固形分濃度75質量%)を得た。
製造例4(放熱層用溶液4の調製)
多層カーボンナノチューブ(シグマアルドリッチ社製、トルエン分散液、約5〜20層の溶融炭素シェルで囲繞された多層カーボンナノチューブ、平均サイズ:直径7〜15nm×長さ0.5〜10μm、固形分濃度50質量%)、湿潤分散剤「DISPERBYK−130」(ビックケミー・ジャパン株式会社製、多層カーボンナノチューブに対して2質量%)及びシリコーン樹脂「KR−271」(信越ポリマー株式会社製)を、多層カーボンナノチューブ:シリコーン樹脂(質量比)が60:40となるように混合し、放熱層用溶液4(固形分濃度60質量%)を得た。
製造例5(中間挿入用溶液5の調製)
製造例1で得た熱伝導層用溶液1と、製造例4で得た放熱層用溶液4とを、固形分比率(質量比)が1:1となるように混合し、中間挿入用溶液5(固形分濃度75質量%)を得た。
前記製造例1〜5で得た溶液中の各成分及び各溶液の固形分濃度について、下記表1にまとめる。
以下の各例で得られた放熱シートの熱伝導率、層間の密着性、耐久性及び放熱性について、以下の様にして測定及び評価した。
(熱伝導率)
JIS R1611に準拠したレーザーフラッシュ法により、熱伝導率を測定した。
(密着性)
旧JIS K5400の基盤目試験方法に準拠し、下記評価方法によって層間の密着性を評価した。
各例で得られた放熱シートに基盤目の切れ込みを100マス(1マス=1mm×1mm)入れた後、密着試験用テープを基盤目へ貼り付け、そして剥がし、残留したマスの数を確認した。
100マス中、95マス以上が残留していれば、層間の密着性に非常に優れていると言える。
(耐久性)
前記熱伝導率の測定及び密着性の評価において、温度80℃、湿度90%の環境下に50時間保持した後の放熱シートを用いて測定及び評価を行い、製造初期の放熱シートの場合との比較により、耐久性を評価した。
熱伝導率の低下の程度が小さいほど、そして、密着性の差が小さいほど、耐久性に優れる。
(放熱性)
放射率測定器「TSS−5X」(株式会社ジャパンセンサー製)を用いて、熱放射率を測定し、放熱性の指標とした。
実施例1(放熱シートの製造)
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム「コスモシャインA4100」(東洋紡績株式会社製)を基材として用いた。
図2に示すような装置(但し、スライド面2に示した各スリット間に、中間挿入用溶液用のスリットを設けた装置を使用。スライド面の傾斜角度;水平方向に対して25度、隣り合う吐出口の距離;8cm、溶液を基材へ転位する部位に最も近い吐出口の中心と基材との距離;10cm)を用いて、前記基材上に、前記製造例1〜3それぞれで調製した熱伝導層用溶液1、放熱層用溶液2及び中間挿入用溶液3を、基材側から「熱伝導層用溶液1→中間挿入用溶液3→放熱層用溶液2」の順に積層するよう同時に塗布した後、120℃のオーブン中で3分間乾燥し、放熱シートを製造した。
得られた放熱シートの熱伝導率、層間の密着性、耐久性及び放熱性について、表2に示す。
実施例2(放熱シートの製造)
実施例1において、製造例2で調製した放熱層用溶液2の代わりに製造例4で調製した放熱層用溶液4を用い、かつ製造例3で調製した中間挿入用溶液3の代わりに製造例5で調製した中間挿入用溶液5を用いたこと以外は同様にして放熱シートを製造した。
得られた放熱シートの熱伝導率、層間の密着性、耐久性及び放熱性について、表2に示す。
比較例1(タンデム塗布方式を利用した放熱シートの製造)
中間挿入用溶液を用いず、以下のタンデム塗布方式により放熱シートを製造した。
基材に熱伝導層用溶液1を塗布した後に80℃で3分乾燥し、次いで、放熱層用溶液2を塗布した後に80℃で1分乾燥し、放熱シートを製造した。なお、こうして製造した放熱シートは、熱伝導層と放熱層の層間に明瞭な界面が存在している。
得られた放熱シートの熱伝導率、層間の密着性、耐久性及び放熱性について、表2に示す。
表2より、本発明の放熱シートは、層間の密着性及び耐久性が極めて高く、且つ放熱性に非常に優れていることがわかる。なお、放熱性材料として多層カーボンナノチューブを用いた実施例2では、放熱シートの熱伝導率が一層高くなり、放射性(熱放射率)までもが向上した。
一方、中間挿入用溶液を用いずに従来のタンデム塗布方式によって製造した比較例1の放熱シートは、従来通り、熱伝導層と放熱層の層間に明瞭な界面が存在しており、層間の密着性が弱いために、製造初期及び高温高湿保持後の放熱シートの熱伝導率が共に低く、特に高温高湿保持後の放熱シートの熱伝導率は大幅に低下した。また、高温高湿保持後の密着性も大幅に低下した。同時に、放熱シートの放熱性(熱放射率)も低い結果となった。
参考例1及び2
実施例1及び2において、中間挿入用溶液に識別用着色剤としてアントラキノン(関東化学(株)製)を室温で混合して赤色の中間挿入用溶液とし、熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液に識別用着色剤としてインジゴ(関東化学(株)製)を室温で混合して青色の溶液としたこと以外は同様にして放熱シートを製造した。
得られたそれぞれの放熱シートの断面を目視にて確認した結果、熱伝導層から放熱層にかけて、「青→(青/赤)→赤→(赤/青)→青」のグラデーションができていた。また、熱伝導性材料及び熱伝導層用のバインダーと、放熱性材料及び放熱層用のバインダーとが混合された中間挿入用溶液由来の赤色が熱伝導層と放熱層との間に存在することより、得られた放熱シートは、熱伝導層と放熱層の間に、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域を有しており、熱伝導層と放熱層の間に界面が無いものであることがわかる。
比較参考例1
比較例1において、熱伝導層形成用溶液に識別用着色剤としてアントラキノン(関東化学(株)製)を室温で混合して赤色の熱伝導層形成用溶液とし、放熱層形成用溶液に識別用着色剤としてインジゴ(関東化学(株)製)を室温で混合して青色の溶液としたこと以外は同様にして放熱シートを製造した。
得られた放熱シートの断面を目視にて確認した結果、熱伝導層と放熱層とは明確に赤色と青色とに分かれており、熱伝導層と放熱層の間に、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域を有してはおらず、熱伝導層と放熱層の間に明確な界面が存在していた。
本発明の放熱シートは、ノート型パソコンや携帯電話機等の電子機器などの放熱シートとして利用可能である。
1:塗布ヘッド
2:スライド面
3:ロール
4:基材
A:上層用溶液
B:下層用溶液
5:放熱層の成分と熱伝導層の成分とが混在した領域

Claims (4)

  1. 熱伝導性材料及びバインダーを含有する熱伝導層と放熱性材料及びバインダーを含有する放熱層を有する放熱シートであって、該熱伝導層と該放熱層の間に、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーとが混在した領域を有していることを特徴とする放熱シート。
  2. 熱伝導率が1W/m・K以上である、請求項1に記載の放熱シート。
  3. (1)少なくとも熱伝導性材料及びバインダーを溶剤と混合した熱伝導層形成用溶液と放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した放熱層形成用溶液とを積層する工程、
    (2)前記工程(1)で積層した溶液を基材上に転移させる工程、及び
    (3)基材上に転移された積層した溶液を乾燥する工程
    を有する、熱伝導層と放熱層を有する放熱シートの製造方法であって、
    前記工程(1)において、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した溶液であって、かつ該溶液の固形分濃度が、前記熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液それぞれの固形分濃度よりも高い溶液を、前記熱伝導層形成用溶液と前記放熱層形成用溶液との間に挿入して積層する、請求項1又は2に記載の放熱シートの製造方法。
  4. 前記工程(1)において、前記熱伝導層が含有する熱伝導性材料及びバインダーと前記放熱層が含有する放熱性材料及びバインダーを溶剤と混合した溶液であって、かつ該溶液の固形分濃度が、前記熱伝導層形成用溶液及び放熱層形成用溶液それぞれの固形分濃度よりも5質量%以上高い溶液を、前記熱伝導層形成用溶液と前記放熱層形成用溶液との間に挿入して積層する、請求項3に記載の放熱シートの製造方法。
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