JP2011227098A - 塗色の質感マップのデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体 - Google Patents
塗色の質感マップのデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011227098A JP2011227098A JP2011170732A JP2011170732A JP2011227098A JP 2011227098 A JP2011227098 A JP 2011227098A JP 2011170732 A JP2011170732 A JP 2011170732A JP 2011170732 A JP2011170732 A JP 2011170732A JP 2011227098 A JP2011227098 A JP 2011227098A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- color
- value
- paint
- colors
- spectral reflectance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Spectrometry And Color Measurement (AREA)
- Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
Abstract
【課題】複数の塗色をそれらの質感がわかるように配置した塗色の質感マップのデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体を提供する。
【解決手段】記録媒体に記録されたデータ構造は、塗色の色及び質感を表現し得る2つのパラメータを座標軸とする2次元平面上に、複数の塗色を配置した塗色の質感マップを作成するためのデータ構造であり、2次元平面上の座標を表す2つのパラメータの値と、塗色の色を特定する情報とが対応するように構成され、パラメータの値が、演算装置が、記録装置に記録された、複数の塗色の各々に関して測定された複数の受光角度における分光反射率を用いて少なくとも3つの特徴量を求め(S1〜S3)、演算装置が、少なくとも3つの特徴量を含むデータ群を主成分分析し、特徴量の1次式である第1主成分及び第2主成分を求め(S4)、演算装置が複数の塗色の各々に関して求めた、第1主成分及び第2主成分の値である。
【選択図】図2
【解決手段】記録媒体に記録されたデータ構造は、塗色の色及び質感を表現し得る2つのパラメータを座標軸とする2次元平面上に、複数の塗色を配置した塗色の質感マップを作成するためのデータ構造であり、2次元平面上の座標を表す2つのパラメータの値と、塗色の色を特定する情報とが対応するように構成され、パラメータの値が、演算装置が、記録装置に記録された、複数の塗色の各々に関して測定された複数の受光角度における分光反射率を用いて少なくとも3つの特徴量を求め(S1〜S3)、演算装置が、少なくとも3つの特徴量を含むデータ群を主成分分析し、特徴量の1次式である第1主成分及び第2主成分を求め(S4)、演算装置が複数の塗色の各々に関して求めた、第1主成分及び第2主成分の値である。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数の塗色を、その質感に応じて平面上に配置した塗色の質感マップ、その作成方法、作成プログラム、作成システム及びデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体に関する。
工業製品の商品力を高めるためには、製品の基本性能や機能だけでなく、外観のデザインが重要である。外観のデザインを構成する要素として色彩の役割は大きい。一方、工業製品には、製品の保護や美粧性の付与を目的として、塗装が施される場合が多い。そこで、デザイナーは、工業製品の機能や特性、顧客の要求等を勘案して塗色を決定する必要がある。
顧客(メーカーの設計者など)が工業製品の色彩に求める質感は多様である。顧客の要望は、例えば、「金属感と透明感があって、さらに硬質な印象を与えるもの」のような抽象的な言葉で提示される場合が多い。それを受けて、塗料会社のデザイナーは経験や知見に基づいて塗色を決定することとなるが、このような抽象的な言葉による表現は、受け取る者によって解釈が異なる場合があり、メーカーの設計者の意図と塗色を設計する塗料会社のデザイナーの解釈とが異なっていれば、工業製品の塗色を決定することは困難である。なお、本明細書において「質感」とは塗色から受ける印象を意味する。
各種の色票や、色名、表色系における刺激値を使用することにより、具体的な塗色を定義すること、即ち客観的に特定することはできるが、塗色とその質感との関係を定義づけすることは不可能である。さらに、塗色には、観察角度によって見え方が異なるメタリック塗色があり、メタリック塗色に関しては塗色を単純に定義づけすることは困難である。
「メタリック色」の用語は、観察角度によって色の見え方が異なる塗色の総称として使われている。観察角度によって色の見え方が変化しない塗色は「ソリッド色」と呼ばれる。メタリック色には、二酸化チタン被覆マイカ顔料のような干渉色を生じるパール顔料を含むパール塗色や、特殊な光輝性顔料を使用してカラーシフト(見る方向による色の変化)するマルチカラーやバイカラーの塗色も含まれる。
従って、例えば、メタリック色が多用される自動車などに関しては、自動車会社のデザイナーと塗料会社のデザイナーとの間で、イメージのすり合わせに多くの工数を要し、時間が掛かっている。
自動車会社のデザイナーから、外装色に求めるイメージが提示されるときには、上記のように抽象的な言葉を補うものとして、雑誌の切り抜きや写真等を組み合わせたイメージボードが提示される。これを受けて、塗料会社のデザイナーが、塗色から受けるイメージが、提示されたイメージに合うように、過去に提案したり採用された実績があるストックカラーの中から塗色を探したり、新たな塗色を設計したりするのであるが、この作業は、塗料会社のデザイナーのスキルに依存しているのが現状である。
塗色をその質感が判るような2次元マップ上に分類整理できれば、上記したような抽象的に表現されるイメージに合った塗色を選択することが容易になる。さらに複数の塗色を2次元マップに配置することにより、これらの塗色群の質感を把握することができる。
例えば、特許文献1には、メタリック塗色を分類整理する方法として、メタリック塗色の代表色をHue−Tone値として計算し、公知のHue−Toneチャート上にメタリック塗色を分類整理する方法が開示されている。
また、特許文献2には、メタリック塗色の金属感、ヌケ感などの質感を、塗色の測色値から特定の関数を使用して得られた評価値によって定量化する方法が開示されている。
しかし、特許文献1に開示された方法では、色の見え方については正確に分類することはできるが、塗色とその質感との関係を示すことはできない。
また、特許文献2は、メタリック塗色の特定の質感を評価値によって定量化して、比較検討することは可能であるが、複数の塗色をその質感によって分類整理することはできない。
塗色開発の現場では、塗色の質感を表すために、例えば、金属感、深み感、透明感、キラキラ感、ヌケ感、緻密感・・・などという言葉がよく使われる。また、様々な軸を用いて塗色を評価する試みは常に行なわれており、上記の金属感等の表現に加えて、軽量感、重厚感、ソリッド感、高級感、リッチ、スポーティ、テクニカル、フェミニン・・・等、人間の感覚を表現する言葉は尽きないので、質感を表わす言葉は追加され続けている。従って、質感に応じて色を整理分類することがますます重要になっている。
従って、本発明の目的は、複数の塗色をそれらの質感が容易にわかるように配置した塗色の質感マップ、その作成方法、作成プログラム、作成システム及びデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体を提供することにある。
本発明に係る塗色の質感マップのデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体は、塗色の質感マップのデータが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記データの構造が、多角度分光光度計による分光反射率を演算装置が演算することにより得られるもので、塗色の色及び質感を表現し得る2つのパラメータを2つの座標軸とする2次元平面上に、複数の塗色を配置した塗色の質感マップを作成するためのデータ構造であり、前記2次元平面上の座標を表す2つの前記パラメータの値と、塗色の色を特定する情報とが対応するように構成され、前記演算装置によって求められる前記パラメータの値が、前記演算装置が、記録装置に記録された、複数の前記塗色の各々に関して測定された複数の受光角度における前記分光反射率を用いて少なくとも3つの特徴量を求め、前記演算装置が、少なくとも3つの前記特徴量を含むデータ群を主成分分析し、前記特徴量の1次式である第1主成分及び第2主成分を求め、前記演算装置が、複数の前記塗色の各々に関して求めた、前記第1主成分及び第2主成分の値であり、前記特徴量が、IV値、SV値、FF値、cFF値、メタル感指数、深み感指数、鮮明度からなる群の中から選択される何れかであり、前記IV値が、偏角が15度の方向から測定した分光反射率から求めたXYZ表色系におけるY値であり、前記SV値が、偏角が45度の方向から測定した分光反射率から求めたXYZ表色系におけるY値であり、前記FF値が、偏角が15度の方向から測定した分光反射率から求めたXYZ表色系におけるY値をY15とし、偏角が45度の方向から測定した分光反射率から求めたXYZ表色系におけるY値をY45として、2×(Y15−Y45)/(Y15+Y45)によって求められ、前記cFF値が、偏角が15度の方向から測定した分光反射率から求めたL*c*h表色系におけるc*値をc* 15とし、偏角が45度の方向から測定した分光反射率から求めたL*c*h表色系におけるc*値をc* 45として、2×(c* 15−c* 45)/(c* 15+c* 45)によって求められ、前記メタル感指数が、前記Y15及びFFから、Y15×FF2によって求められ、前記深み感指数が、代表角度での分光反射率から求めたL*c*h表色系におけるL*値及びc*値をそれぞれL* R及びc* Rとし、これらを用いてc* R/L* Rによって求められ、前記鮮明度が、前記L* R及びc* Rを用いてsqrt(L* R 2+c* R 2)によって求められることを特徴としている。
本発明によれば、ソリッド色に限らずメタリック色も含めて複数の塗色を、塗色の色及び質感を表現し得る2つのパラメータを座標軸として平面上に配置することができ、塗色を整理分類することができる。
本発明に係る塗色の質感マップによって、色の抽象的な用語による表現から受ける印象を可視化することができる。即ち、顧客が所望する色が抽象的な言葉で表現された場合でも、塗料会社のデザイナーは、本発明に係る質感マップを用いることによって色を容易に特定することができる。従って、本発明に係る塗色の質感マップは、色に携わる者の間での色情報の伝達に有用である。
自動車の外装色については、車種別、地域別に市場調査が行なわれており、本発明に係る塗色の質感マップは、塗色の分布によって特徴を表現することができるので、市場調査結果の評価において有効な資料となる。
以下に本発明の実施の形態に関して図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る塗色の質感マップ作成システムの概略構成を示すブロック図である。本質感マップ作成システムは、演算装置1、分光光度計2、及び画像提示装置3を備えている。
演算装置1は、各部を制御し、後述する所定の処理を実行するCPU11と、メモリ12と、記録部13と、外部からの指示を受け付ける操作部14と、操作部14及び外部機器とのインタフェースの役割をするインタフェース部(以下、I/F部と記す)15と、各部の間でデータを伝送するためのデータバス16とを備えている。演算装置1は、I/F部15を介して、分光光度計2によって測定された分光反射率を取得する。図1には、分光光度計2の測定対象である、表面が塗装された被測定物(塗膜とも記す)4も示している。画像提示装置3は、例えばフルカラー表示が可能なディスプレイやフルカラー印刷が可能なプリンタであり、後述するように、CPU11は作成した質感マップをI/F部15を介して画像提示装置3に伝送し、カラー画像として提示(例えば、カラー表示、カラー印刷)する。
図2は、図1に示した質感マップ作成システムの動作を示すフローチャートである。以下、図2に示したフローチャートに基づいて、質感マップ作成システムの動作について説明する。
以下の説明においては、特に断らない限りCPU11が行う処理として説明する。CPU11は、メモリ12をワーク領域として使用して、必要なデータ(設定値、処理途中のデータなど)を一時記憶し、記録部13に計算結果などの長期保存するデータを適宜記録する。また、予め、色を特定するための情報であるカラーコードと、色データであるRGBデータとが対応させて記録部13に記録されており、また、画像提示装置13がカラーディスプレイであるとする。
ステップS1において、作業者が対象とする塗膜を準備する。塗膜は、実際に塗板を所定の塗料を用いて塗装して作成してもよいが、ここでは公知の色見本を用いることとする。
ステップS2において、ステップS1で準備された各塗膜について、分光光度計2を用いて、分光反射率が測定される。メタリック塗色は、上記したように観察角度によって色の見え方が変化するので、ここでは、複数の観察角度で測定した分光反射率を使用する。即ち、塗膜表面に対して45度(塗膜表面に垂直な面内の角度)の方向から照明光を照射し、正反射光の方向からの偏角(塗膜表面に垂直な面内の角度)として、15度、25度、45度、75度、110度の5つの角度方向を観察角度(受光角度とも記す)として分光反射率を測定する。分光光度計には、例えばX−Rite社製の多角度分光光度計MA68IIを使用することができる。
測定された分光反射率のデータは、I/F部15を介して演算装置1に伝送され、塗色の色および測定時の偏角を表す情報と対応させて記録部13に記録される。ここでは、公知の色見本を使用するので、色を表す情報は、例えば操作部14からカラーコードとして入力される。また、偏角を表す情報は、角度の値をデータとして記録しても良いが、5種類の角度を区別するコードとして記録されてもよい。なお、本実施の形態においては、ソリッド色とメタリック色とを区別せずに同様に処理する。
ステップS3において、ステップS2で取得した分光反射率を用いて、以下に示す各特徴量を各塗色について計算し、塗色を表す情報と対応させて計算結果を記録部13に記録する。
まず、15度の分光反射率からXYZ表色系におけるY値(明度)(以下、Y15と記す)を計算して特徴量IVとし、45度の分光反射率からXYZ表色系におけるY値(以下、Y45と記す)を計算して特徴量SVとする。また、Y15及びY45を用いて2×(Y15−Y45)/(Y15+Y45)を計算して特徴量FFとする。FFは、メタリック色において観察方向によって明度が変化する程度を表す指標である。また、Y15×FF2によって、特徴量Metal(メタル感指数とも記す)を計算する。
次に、15度の分光反射率から計算したL*c*h表色系におけるc*値(彩度)をc* 15とし、45度の分光反射率から計算したL*c*h表色系におけるc*値をc* 45として、2×(c* 15−c* 45)/(c* 15+c* 45)を計算して特徴量cFFとする。cFFは、上記した明度を彩度に置き換えた指標であり、観察方向によって彩度が変化する程度を表す。
次に、メタリック塗色の代表色に対応する代表角度Dを求める。メタリック塗色は上記のように観察角度によって色の見え方が変化するので、メタリック塗色を代表する色を決めて、その色が観察できる角度である代表角度Dを測色値を用いて求める方法が知られている(特開平11−211569参照)。ここでは、代表角度Dを、ステップS2で測定した25度及び45度の分光反射率から計算したL*値、c*値を用いて次の式1で求める。
D=0.061×sqrt(L* 25 2+c* 25 2)+0.253×sqrt(L* 45 2+c* 45 2)+15.105・・・(式1)
ここで、sqrtは平方根を意味する。なお、代表角度Dを求める方法は特開平10−10045に開示されており、公知であるので説明を省略する。
D=0.061×sqrt(L* 25 2+c* 25 2)+0.253×sqrt(L* 45 2+c* 45 2)+15.105・・・(式1)
ここで、sqrtは平方根を意味する。なお、代表角度Dを求める方法は特開平10−10045に開示されており、公知であるので説明を省略する。
さらに、5つの角度(15度、25度、45度、75度、110度)での分光反射率しか測定されていないので、代表角度Dがこれら以外の角度である場合、代表角度Dの分光反射率Rを次のように計算する(特開平10−10045参照)。
10≦D<25であれば、R=exp(a1×D+b1)
25≦D<75であれば、R=exp(a2×D2+b2×D+c2)
75≦D≦110であれば、R=a3×D+b3
ここで、係数a1〜a3、b1〜b3、c2は、色毎に最小二乗法によって求められた回帰係数である。
10≦D<25であれば、R=exp(a1×D+b1)
25≦D<75であれば、R=exp(a2×D2+b2×D+c2)
75≦D≦110であれば、R=a3×D+b3
ここで、係数a1〜a3、b1〜b3、c2は、色毎に最小二乗法によって求められた回帰係数である。
このようにして求められた代表角度Dの分光反射率Rに基づいてL*c*h表色系におけるL*値、c*値を計算し、得られたL* R、c* Rを用いてc* R/L* Rによって、特徴量Deepness(深み感指数とも記す)を求め、sqrt(L* R 2+c* R 2)によって、特徴量senmei(鮮明度とも記す)を求める。
以上によって、各塗色に関して、7種類の特徴量IV、SV、FF、cFF、Metal、Deepness、senmeiを求め、塗色を表す情報(カラーコード)と対応させて記録部13に記録する。
ステップS4において、ステップS3で求めた各塗色に関する7つの特徴量データの集合を対象として主成分分析を行い、第1主成分及び第2主成分の式を求める。このとき、上記したように分光反射率から計算して求めた特徴量は、各々単位が異なるので、主成分分析を行なう前に、次式を用いて特徴量毎にデータの標準化を行う。
zij=(pij−mj)/sj
ここで、下付き添え字jは特徴量の種類を区別するためのものであり、pijは標準化する前の特徴量jのi番目のデータ、zijは標準化後の特徴量jのi番目のデータ、mj及びsjはそれぞれ特徴量jの平均値及び標準偏差を表す。なお、主成分分析は公知であるので、結果の一例を示し、主成分分析自体の説明は省略する。
zij=(pij−mj)/sj
ここで、下付き添え字jは特徴量の種類を区別するためのものであり、pijは標準化する前の特徴量jのi番目のデータ、zijは標準化後の特徴量jのi番目のデータ、mj及びsjはそれぞれ特徴量jの平均値及び標準偏差を表す。なお、主成分分析は公知であるので、結果の一例を示し、主成分分析自体の説明は省略する。
塗色の一例として、(社)日本塗料工業会発行の自動車用色見本帳である“オートカラー”に掲載された塗色及び関西ペイント株式会社が1996年以降に開発した自動車外装向け塗色から合計3400色を選択し、それらについて分光反射率を、多角度分光光度計(X−Rite社製のMA68II)で測定し、上記の特徴量を算出して主成分分析を行なった。その結果、式2及び式3で表される第1主成分A1及び第2主成分A2が得られた。
A1=−0.803+0.267×IV+0.253×SV−0.084×FF−0.145×cFF+0.188×Metal−0.197×Deepness+0.26×senmei・・・(式2)
A2=−0.947+0.204×IV−0.189×SV+0.415×FF+0.256×cFF+0.321×Metal−0.168×Deepness+0.128×senmei・・・(式3)
上記の第1及び第2主成分の累積寄与率は67.1%であった。従って、第1及び第2主成分によって、様々な質感をもつメタリック塗色を分類整理できると考えられる。
A1=−0.803+0.267×IV+0.253×SV−0.084×FF−0.145×cFF+0.188×Metal−0.197×Deepness+0.26×senmei・・・(式2)
A2=−0.947+0.204×IV−0.189×SV+0.415×FF+0.256×cFF+0.321×Metal−0.168×Deepness+0.128×senmei・・・(式3)
上記の第1及び第2主成分の累積寄与率は67.1%であった。従って、第1及び第2主成分によって、様々な質感をもつメタリック塗色を分類整理できると考えられる。
また、第1及び第2主成分の式(式2、式3)は、固有ベクトルや主成分式の係数から質感を表す関係式であると考えられる。後述するように、この第1主成分A1は重量感を表し、マイナス値がHeavy感を表し、プラス値がLight感を表す。また、第2主成分A2は陰影感を表し、マイナス値がSolid感を表し、プラス値がMetallic感を表す。
ステップS5において、ステップS4で決定した第1及び第2主成分を座標軸とする平面(マッピング平面とも記す)上に、各塗色のコンピュータグラフィック画像(以下、CG画像と記す)を描画する。即ち、各塗色の7つの特徴量データを用いて、第1及び第2主成分の値を求めることによって、各塗色に対応するマッピング平面上の位置(座標)を決定する。次に、記録部13から、予め対応させて記録されているカラーコード及びRGBデータを、各塗色のカラーコードで検索して各塗色に対応するRGBデータを取得する。そして、取得したRGBデータを用いて、カラーディスプレイ上で、所定の大きさの図形が、決定した位置に描画されるようにCGデータを生成する。
以上によって、重量感および陰影感を座標軸とする平面上に複数の塗色が配置された質感マップのCGデータを生成し、カラーディスプレイに表示することができる。なお、画像提示装置3は、ディスプレイに限らず、プリンタなどの印刷装置であってもよい。
上記した方法で生成され、画像提示装置3に提示された画像データの一例を、図3及び図4に示す。図3は、上記したオートカラーの塗色をマッピング平面にフルカラーでプロットした「質感マップ」の輝度画像である。図4は、図3の質感マップ上に、質感を表現する言葉(深み感、リッチ、高級感など)と、その言葉で表現され得る領域を囲む枠とを重ねて表示した質感マップである。ここで、第1及び第2主成分は上記の式2及び式3を用いて計算し、横軸が第1主成分A1であり、縦軸が第2主成分A2である。尚、各塗色に対応する四角形領域内は、ソリッド色に関しては単一色で描画されているが、メタリック色に関しては、ハイライト部分を含み、上下方向にグラデーションを有するように描画されている(後述する図5及び図6も同じ)。
図3及び図4から分かるように、原点を挟んで、左側に行くほどHeavy感が強くなり、右側に行くほどLight感が強くなり、下側に行くほどSolid感が強くなり、上側に行くほどMetallic感が強くなる。
このように、マップに複数の塗色を配置することによって、図4に示したように、類似する印象を受ける塗色を相互に近接させて配置することができ、塗色から受ける印象をグループ化することができる。さらに、マップ上に各塗色を表す微小な画像を配置しているので、印象が可視化されて、デザイナー間の情報伝達に有用である。即ち、顧客が所望する色が抽象的な言葉で表現された場合でも、塗料会社のデザイナーは、本発明に係る質感マップを見れば色を容易に特定することができる。
図5及び図6は、上記とは異なる塗色の集合を対象として、同様に生成した質感マップである。図5は、日本の自動車メーカーが2004年度に生産した自動車に適用された色を用いて生成した質感マップであり、図6は、欧州の自動車メーカーが2000〜2005年度に自動車に採用した色を用いて生成した質感マップである。なお、図5及び図6は、図3及び図4と同様にフルカラーの質感マップの輝度画像である。
図5及び図6において、日本車設定色(日本市場向けの自動車の外装に使用される色)に多い質感の領域を破線の四角で表し、欧州車設定色(欧州市場向けの自動車の外装に使用される色)に多い質感の領域を実線の四角で表している。これらから、日本車、欧州車にそれぞれ多い色域、少ない色域を容易に把握することができる。従って、本発明に係る質感マップは、市場調査の解析などに使用することもできる。
(主成分と質感との関係)
上記の第1及び第2主成分A1、A2と、質感(塗色から受ける印象)の官能評価結果との関係を検証した結果を以下に示す。
上記の第1及び第2主成分A1、A2と、質感(塗色から受ける印象)の官能評価結果との関係を検証した結果を以下に示す。
上記したオートカラーの塗色の中から、第1主成分A1の値がばらつく20色(符号A〜Tで示す)をサンプルとして抽出し、複数の観察者(塗料会社のデザイナー)が、Heavy−Light感にしたがって、目視によって順位を付けた。具体的には、Light感が強いものから昇順に順位を付けた。各サンプル塗色の第1主成分の値、その順位(大きいものから昇順)、及びHeavy−Light感の目視による順位を表1に示す。
rs=1−6×Σdi 2/(n3−n)・・・(式4)
ここで、diは各塗色の第1主成分の順位と目視順位との差、nはサンプル数、Σはiについての和(塗色についての和)を計算することを意味する。
その結果、式4の相関係数rsは0.96となって、表1および図7に示した第1主成分の順位及びHeavy−Light感の目視順位には高い相関があることが分かった。両者の順位が高い相関を有することは、表1に示した順位を縦軸、横軸としてプロットしたグラフである図7からも分かる。
同様に、上記と同じ20色(A〜T)を用いて、第2主成分とSolid−Metallic感との関係について検証を行なった。Solid−Metallic感にしたがって、目視によって順位を付けた。具体的には、Metallic感が強いものから昇順に順位を付けた。各サンプル塗色の第2主成分の値、その順位(大きいものから昇順)、及びSolid−Metallic感の目視による順位を表2に示す。
これらのことから、上記した7つの特徴量を用いて主成分分析によって求めた第1主成分及び第2主成分の式(式2、式3)は、それぞれ重量感及び陰影感を定量的に表す指標として適しているといえる。
以上では、特定の実施の形態を用いて本発明を説明し、特定の塗色の集合に関して本発明を適用した結果を示したが、本発明は上記した実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができ、様々な塗色の集合に対して適用することができる。
例えば、上記した7つの特徴量を全て使用しなくてもよく、そのうちの一部、例えば寄与係数(第1及び第2主成分の式の係数)の大きいものから3つの特徴量を使用して、上記と同様に質感マップを生成してもよい。従って、上記した5つの偏角を成す方向のうち少なくとも2つの方向から分光反射率を測定する必要はあるが、必ずしも全ての方向から分光反射率を測定しなくてもよい。また、上記した特徴量の少なくとも3つに加えて、上記以外の特徴量を使用してもよい。
また、各特徴量は、上記で定義されたものに限定されない。例えば、上記ではFFを、偏角が15度及び45度の方向で測定した分光反射率を用いて求める場合を説明したが、これら以外の角度で測定した分光反射率を用いて求めてもよい。また、上記では代表角度Dを、偏角が25度及び45度の方向で測定した分光反射率を用いて求める場合を説明したが、これら以外の偏角で測定した分光反射率を用いて求めてもよい。特許文献2に開示されているように、代表角度Dを、ハイライト側及びシェード側で測定した分光反射率を用いて求めてもよい。
また、質感マップをカラーディスプレイに表示する場合を説明したが、これに限定されず、カラープリンタを用いて紙や樹脂フィルムなどに印刷して質感マップを作成してもよい。
また、質感マップを、CGデータやカラー画像のビットマップデータとして、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録してもよい。また、各塗色に関して求めた第1及び第2主成分の値を、塗色の色を特定する情報(カラーコードなど)と対応させて記録しておけば、別に提供される、塗色の色を特定する情報(カラーコードなど)に対応する色データ(RGBデータなど)を用いて、塗色の質感マップを作成することができる。
また、色を特定する情報の代わりに、図2のステップS2において、各塗膜の色を測色計を用いて測色して記録し、その測定データと対応させて、各塗色に関して求めた第1及び第2主成分の値を記録しておいてもよい。この場合、塗色の色を特定する情報(カラーコードなど)に対応する色データ(RGBデータなど)が別に提供されなくても、塗色の質感マップを作成することができる。
また、各塗色を配置すべき2次元平面上の座標を求めた後、コンピュータグラフィック技術を用いずに、紙や樹脂フィルムなどの平面上に座標軸を配置し、各塗色の座標値で指定される位置に所定の大きさで、塗色を表す色を配置(例えば印刷、描画)してもよい。
1 演算装置
2 分光光度計
3 画像提示装置
4 被測定物
11 CPU
12 メモリ
13 記録部
14 操作部
15 インタフェース部(I/F部)
16 バス
2 分光光度計
3 画像提示装置
4 被測定物
11 CPU
12 メモリ
13 記録部
14 操作部
15 インタフェース部(I/F部)
16 バス
Claims (1)
- 塗色の質感マップのデータが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記データの構造が、多角度分光光度計による分光反射率を演算装置が演算することにより得られるもので、塗色の色及び質感を表現し得る2つのパラメータを2つの座標軸とする2次元平面上に、複数の塗色を配置した塗色の質感マップを作成するためのデータ構造であり、
前記2次元平面上の座標を表す2つの前記パラメータの値と、塗色の色を特定する情報とが対応するように構成され、
前記演算装置によって求められる前記パラメータの値が、
前記演算装置が、記録装置に記録された、複数の前記塗色の各々に関して測定された複数の受光角度における前記分光反射率を用いて少なくとも3つの特徴量を求め、
前記演算装置が、少なくとも3つの前記特徴量を含むデータ群を主成分分析し、前記特徴量の1次式である第1主成分及び第2主成分を求め、
前記演算装置が複数の前記塗色の各々に関して求めた、
前記第1主成分及び第2主成分の値であり、
前記特徴量が、IV値、SV値、FF値、cFF値、メタル感指数、深み感指数、鮮明度からなる群の中から選択される何れかであり、
前記IV値が、偏角が15度の方向から測定した分光反射率から求めたXYZ表色系におけるY値であり、
前記SV値が、偏角が45度の方向から測定した分光反射率から求めたXYZ表色系におけるY値であり、
前記FF値が、偏角が15度の方向から測定した分光反射率から求めたXYZ表色系におけるY値をY15とし、偏角が45度の方向から測定した分光反射率から求めたXYZ表色系におけるY値をY45として、2×(Y15−Y45)/(Y15+Y45)によって求められ、
前記cFF値が、偏角が15度の方向から測定した分光反射率から求めたL*c*h表色系におけるc*値をc* 15とし、偏角が45度の方向から測定した分光反射率から求めたL*c*h表色系におけるc*値をc* 45として、2×(c* 15−c* 45)/(c* 15+c* 45)によって求められ、
前記メタル感指数が、前記Y15及びFFから、Y15×FF2によって求められ、
前記深み感指数が、代表角度での分光反射率から求めたL*c*h表色系におけるL*値及びc*値をそれぞれL* R及びc* Rとし、これらを用いてc* R/L* Rによって求められ、
前記鮮明度が、前記L* R及びc* Rを用いてsqrt(L* R 2+c* R 2)によって求められることを特徴とする、塗色の質感マップのデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011170732A JP2011227098A (ja) | 2011-08-04 | 2011-08-04 | 塗色の質感マップのデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011170732A JP2011227098A (ja) | 2011-08-04 | 2011-08-04 | 塗色の質感マップのデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006309397A Division JP4827697B2 (ja) | 2006-11-15 | 2006-11-15 | 塗色の質感マップ、その作成方法、作成プログラム及び作成システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011227098A true JP2011227098A (ja) | 2011-11-10 |
Family
ID=45042550
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011170732A Pending JP2011227098A (ja) | 2011-08-04 | 2011-08-04 | 塗色の質感マップのデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011227098A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10648910B2 (en) | 2016-04-27 | 2020-05-12 | Konica Minolta, Inc. | Optical analysis device and optical analysis method |
CN113632075A (zh) * | 2019-03-18 | 2021-11-09 | 关西涂料株式会社 | 涂料颜色检索装置 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11211569A (ja) * | 1998-01-26 | 1999-08-06 | Kansai Paint Co Ltd | メタリツク塗色の分類整理方法 |
JP2002259398A (ja) * | 2001-02-28 | 2002-09-13 | Kansai Paint Co Ltd | メタリック塗色の近似色を高速に検索する方法 |
JP2003307456A (ja) * | 2002-04-12 | 2003-10-31 | Toyota Motor Corp | 反射率推定方法 |
-
2011
- 2011-08-04 JP JP2011170732A patent/JP2011227098A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11211569A (ja) * | 1998-01-26 | 1999-08-06 | Kansai Paint Co Ltd | メタリツク塗色の分類整理方法 |
JP2002259398A (ja) * | 2001-02-28 | 2002-09-13 | Kansai Paint Co Ltd | メタリック塗色の近似色を高速に検索する方法 |
JP2003307456A (ja) * | 2002-04-12 | 2003-10-31 | Toyota Motor Corp | 反射率推定方法 |
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
JPN6008018865; A.G. Mignani, et. al.: '"Spectral nephelometry for making extravirgin olive oil fingerprints"' SENSORS AND ACTUATORS B Vol.90, No.1, 20030420, pp.157-162 * |
JPN7011003049; IMAI,F.H. 他: '"A Comparative Analysis of Spectral Reflectance Estimated in Various Spaces Using a Trichromatic Ca' JOURNAL OF IMAGING SCIENCE AND TECHNOLOGY Vol.44, No.4, 20000701, pp.280-287 * |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10648910B2 (en) | 2016-04-27 | 2020-05-12 | Konica Minolta, Inc. | Optical analysis device and optical analysis method |
CN113632075A (zh) * | 2019-03-18 | 2021-11-09 | 关西涂料株式会社 | 涂料颜色检索装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4827697B2 (ja) | 塗色の質感マップ、その作成方法、作成プログラム及び作成システム | |
JP5116765B2 (ja) | 塗色データベースの作成方法及びそのデータベースを用いた検索方法、並びにそれらのシステム、プログラム及び記録媒体 | |
JP4623842B2 (ja) | メタリック塗色の近似色を高速に検索する方法 | |
EP2661675B1 (en) | Web-based color selection system | |
US10969952B2 (en) | Color and texture match ratings for optimal match selection | |
JP7189391B2 (ja) | メタルデコのデジタルプルーフ工程 | |
MXPA05003484A (es) | Presentacion electronica de colores automotrices. | |
CN101587589A (zh) | 喷墨打印质量模糊评价方法 | |
WO2020188964A1 (ja) | 塗色検索装置 | |
CN116113987A (zh) | 将至少两种材料的外观可视化 | |
JP2011227098A (ja) | 塗色の質感マップのデータ構造が記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体 | |
JP3768960B2 (ja) | 表色方法とそれを利用した表色欄を有する取引用書面およびカラーチャート | |
JP2003279413A (ja) | メタリック塗色の分類整理方法及び塗色選定方法 | |
CN116075859A (zh) | 从多个源质地生成目标质地 | |
JP2006085523A (ja) | レイアウト支援システムおよびレイアウト支援プログラム、並びにレイアウト支援方法 | |
JPWO2021035105A5 (ja) | ||
JP2013213712A (ja) | 画質評価方法、画質評価装置および画質評価プログラム | |
JP3742633B2 (ja) | メタリツク塗色の分類整理方法 | |
JP2010009211A (ja) | 多彩模様を配置したマップ、その作成方法、作成プログラム、作成システム及びデータ構造、並びに多彩模様の評価方法 | |
JP2004286672A (ja) | メタリック塗膜の有するメタリック感の評価方法 | |
Recker et al. | Challenges for 3D High-Fidelity Soft Proofing | |
JP2010019583A (ja) | カラー判定方法 | |
NZ613063B2 (en) | Web-based color selection system | |
JP2009116757A (ja) | 色彩設計システム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110804 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130108 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130709 |