JP2011226201A - 鋼管の接合構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上部鋼管(一方の鋼管)2の下端部2に、接合用鋼管4が設けられて、接合用鋼管4が下部鋼管(他方の鋼管)3の上部側に形成された接合用鋼管挿入部5に挿入され、接合用鋼管4と接合用鋼管挿入部5との間隙部6にグラウト材7が充填される。接合用鋼管5は、上下方向に複数配列され、接合用鋼管本体13と、接合用鋼管本体13の下側に連接され接合用鋼管本体13の外周面よりも外方に突出形成する第1または第2ダイヤフラム14、15とを有する。接合用鋼管挿入部5の内周面5aには、第1ダイヤフラム14の外形と略同一形状の内形に形成された第1リング部材16と、板部材12とが設けられ、第2ダイヤフラム15と板部材12とが当接し、第1ダイヤフラム14の外周面と第1リング部材16の内周面とが対向配置される
【選択図】図1
Description
従来の乾式接合は、高力ボルト接合が一般的であるが、高力ボルト接合では、高力ボルトを多数施工するため手間がかかると共に、エレクションピースやナットが鋼管の外側に設置されるため、居住スペースが減少すると共に外観もよくなかった。
また、特許文献2には、外周面に周方向に延びる弧状の外周リブが突設された下部鋼管と、下部鋼管より大径で内周面に周方向に延びる弧状の内周リブが突設された下端継手鋼管を下端部に備える上部鋼管との接合構造が開示されている。
この接合構造では、接合時に上部鋼管と下部鋼管とを外周リブと内周リブとが、互いに当接することがなく、且つ高さ方向に重ならないように嵌合した後に、上部鋼管を回動して外周リブと内周リブとが高さ方向に重なるよう位置せしめ、その後に下端部継手鋼管と下部鋼管との間隙部にグラウト材を充填している。
特許文献1の鋼管の接合構造では、上部鋼管と下部鋼管との間で応力が伝達される際に、ほぞ状部およびほぞ状孔部とグラウト材との付着のみがこの応力を負担するため、接合部の強度が母材鋼管(鋼管の接合部以外の部分)と比べて極端に低くなる可能性がある。このため、この鋼管の接合構造は、主に低層建築物の小断面の柱にしか採用することができない。
また、特許文献2の柱鋼管の接合構造では、下端部継手鋼管および下部鋼管に多くのリブを突設するため、製作に手間がかかる。また、接合時に外周リブおよび内周リブの位置合わせのために、上部鋼管を回動させる必要があり、接合に手間がかかると共に、高い施工精度が必要である。
また、建設現場では、一方の鋼管および他方の鋼管を立設して接合用鋼管を接合用鋼管挿入部に挿入し、接合用鋼管と接合用鋼管挿入部との間隙部にグラウト材を充填するだけで接合することができ、建設現場における溶接作業がなく、接合部の品質が安定すると共に、施工を容易に行うことができる。
本発明では、接合用鋼管が上下方向に2つ配されていることにより、接合部を簡易な形状とすることができ、製作が容易であると共に製作コストを下げることができる。
本発明では、最先端に配されたダイヤフラムの外周面に対向する位置であって、板部材の上面に連接するように、ダイヤフラムの外形と略同一形状の内形に形成された第2リング部材が設けられていることにより、最先端に配されたダイヤフラムおよび第2リング部材を介して一方および他方の鋼管のうち上側に位置する鋼管に作用するせん断力を下側に位置する鋼管に伝達することができる。
また、接合時に、最先端に配されたダイヤフラムを第2リング部材に挿入させればよいので、接合用鋼管と接合用鋼管挿入部との位置あわせを容易に行うことができる。
図1に示すように、第一の実施の形態による鋼管の接合構造1は、鋼管柱や鋼管杭などの上下方向に配列された上部鋼管(一方の鋼管)2と下部鋼管(他方の鋼管)3との接合構造である。
鋼管の接合構造1は、上部鋼管2の下部に設けられた接合用鋼管4が、下部鋼管3の上部側に形成された接合用鋼管挿入部5に挿入され、接合用鋼管4の外周面4aと接合用鋼管挿入部5の内周面5aと間の間隙部6にグラウト材7が充填されることにより接合される構造である。
ここで、接合された状態の接合用鋼管4と、接合用鋼管挿入部5と、間隙部6のグラウト材7とからなる部分を接合部10として以下説明する。
下部鋼管3は、上端部3aから接合用鋼管4の高さ分下がった位置の内部に、下部鋼管3の軸方向に直交する方向を面方向とする底板(板部材)12が設けられている。下部鋼管3の上端部3aは開放されていて、底板12の上側が接合用鋼管挿入部5となる。
上部鋼管2および下部鋼管3は、断面形状が同じ円形である円筒状の鋼管である。
接合用鋼管4は、上下方向に2つ配されており、上側の接合用鋼管4が上部鋼管2の底板11に接合されている。
ここで、上側の接合用鋼管本体13の下端部に連接されたダイヤフラムを第1ダイヤフラム14とし、下側の接合用鋼管本体13の下端部に連接されたダイヤフラムを第2ダイヤフラム15として以下説明する。
接合用鋼管4は、工場等で製作されて上部鋼管2に接合されている。
接合用鋼管挿入部5に接合用鋼管4が挿入された際に、第1リング部材16の貫通孔16aに接合用鋼管4の第1ダイヤフラム14が嵌合して、第1ダイヤフラム14の外周面と第1リング部材16の内周面とが対向配置する。また、このとき、接合用鋼管4の第2ダイヤフラム15と接合用鋼管挿入部5の底板12とが当接する。
接合用鋼管挿入部5は、工場等で下部鋼管3の上部側に形成されている。
グラウト充填口およびグラウト排出孔は、第1リング部材16の上方および下方にそれぞれ設けられていて、第1リング部材16の上方の間隙部6と下方の間隙部6とにそれぞれグラウト材7を充填することができる。
まず、図4(a)に示すように、下部鋼管3を立設し、上部鋼管2を吊上げて下部鋼管3の接合用鋼管挿入部5に接合用鋼管4を挿入する。
このとき、図4(b)に示すように、接合用鋼管4の第1ダイヤフラム14を、接合用鋼管挿入部5の第1リング部材16の貫通孔16aに嵌合させ、接合用鋼管4の第2ダイヤフラム15を接合用鋼管挿入部5の底板12に当接させる。
そして、グラウト材7が硬化することによって、接合用鋼管4と接合用鋼管挿入部5とが接合し、上部鋼管2と下部鋼管3とが接合される。
図5(a)に示すように、上部鋼管2から下部鋼管3に伝達する軸力は、図中の矢印に示すように上部鋼管2から下部鋼管3に直接伝達する。
また、グラウト材7によって接合用鋼管4と接合用鋼管挿入部5とが一体化しているので、接合部10の座屈を防ぐことができる。
第一の実施の形態による鋼管の接合構造1によれば、予め上部鋼管2に接合用鋼管4が接合され、下部鋼管3に接合用鋼管挿入部5が形成されていることにより、現場での作業は下部鋼管3および上部鋼管2を立設し、接合用鋼管4と接合用鋼管挿入部5との間隙部6にグラウト材7を充填すればよいので、現場における溶接作業がなく、接合部10の品質が安定すると共に施工が行いやすい効果を奏する。
また、接合部10を介して上部鋼管2から下部鋼管3に軸力およびせん断力が伝達すると共に、接合部10に作用する曲げモーメントに抵抗することができるので、接合部10の強度を十分に確保することができる。
これにより、構造建築物の下層部の大断面柱などの接合部に採用することができると共に、従来の鋼管の接合構造のように接合用鋼管4や接合用鋼管挿入部5に多数のリブを設ける必要がなく、簡易な構成とすることができる。
図6に示すように、第二の実施の形態による鋼管の接合構造21は、接合用鋼管挿入部5の底板12の上面に、第2リング部材22が設置されている。
この第2リング部材22は、外形が第1リング部材16と同形の円形で、中央部に接合用鋼管4の第2ダイヤフラム15が嵌合する貫通孔22aを備えている。
また、接合時に第2ダイヤフラム15を第2リング部材22の貫通孔22aに挿入させればよいので、接合用鋼管4と接合用鋼管挿入部5との位置あわせを容易に行うことができる。
例えば、上述した実施の形態では、上部鋼管2、下部鋼管3および接合用鋼管4は断面形状が円型であるが、角型鋼管など他の形状の鋼管を使用してもよい。この場合、底板11、12や、第1および第2ダイヤフラム14、15、第1リング部材16、第2リング部材22なども鋼管の形状に合わせた形状のものとする
また、例えば、上述した実施の形態では、上部鋼管2に接合用鋼管4が設けられて、下部鋼管3に接合用鋼管挿入部5が形成されているが、上部鋼管2に接合用鋼管挿入部5を形成し、下部鋼管3に接合用鋼管4を設けてもよい。
また、例えば、上述した実施の形態では、接合用鋼管4が上下方向に2つ配列されているが、上下方向に3つ以上配列されていてもよい。
2 上部鋼管(一方の鋼管)
3 下部鋼管(他方の鋼管)
4 接合用鋼管
4a 外周面
5 接合用鋼管挿入部
5a 内周面
6 間隙部
7 グラウト材
10 接合部
12 底板(板部材)
13 接合用鋼管本体
14 第1ダイヤフラム
15 第2ダイヤフラム
16 第1リング部材
22 第2リング部材
Claims (3)
- 上下方向に接合される鋼管のうち一方の鋼管の端部に、他方の鋼管側へ突出し前記他方の鋼管の内形より小さい外形の接合用鋼管が設けられ、
前記接合用鋼管は、前記他方の鋼管の前記一方の鋼管との接合側端部に形成された接合用鋼管挿入部に挿入され、
前記接合用鋼管の外周面と前記接合用鋼管挿入部の内周面との間に形成された間隙部にグラウト材が充填された鋼管の接合構造であって、
前記接合用鋼管は、前記一方の鋼管より小さい外形の接合用鋼管本体と、該接合用鋼管本体における他方の鋼管側に連接され前記接合用鋼管本体の外周面よりも外方に突出形成するダイヤフラムとを有すると共に、上下方向に複数配列され、
前記接合用鋼管挿入部の内周面には、前記ダイヤフラムの外形と略同一形状の内形に形成された第1リング部材と、前記接合用鋼管の最先端に配された前記ダイヤフラムと当接される板部材とが設けられ、
前記一方の鋼管を前記他方の鋼管へ挿入して、前記接合用鋼管の最先端に配された前記ダイヤフラムと前記板部材とが当接したときに、前記接合用鋼管の最先端以外に配された前記ダイヤフラムの外周面と前記第1リング部材の内周面とが対向配置されることを特徴とする鋼管の接合構造。 - 前記接合用鋼管が上下方向に2つ配されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼管の接合構造。
- 前記最先端に配された前記ダイヤフラムの外周面に対向する位置であって、前記板部材の上面に連接するように、前記ダイヤフラムの外形と略同一形状の内形に形成された第2リング部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼管の接合構造。
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