JP2011225273A - エチルアルコール蒸散包装袋用包装材料 - Google Patents

エチルアルコール蒸散包装袋用包装材料 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩擦性やエチルアルコール透過量に優れたエチルアルコール蒸散包装体用包装材料を提供する。
【解決手段】少なくともエチルアルコール蒸散剤の近傍に位置する第1樹脂フィルム層と紙基材層と接着剤層と第2樹脂フィルム層とからなる積層体からなるエチルアルコール蒸散包装体用包装材料において、第1樹脂フィルム層にEVA樹脂、第2樹脂フィルム層にポリブチレンサクシネート(PBS)を含む樹脂を用い、接着剤層において接着剤の存在する面積を20−30%とする。
【選択図】なし

Description

本発明はエチルアルコール蒸散剤用の包装材料に関し、とりわけ食品に使用するエチルアルコール蒸散用の包装材料に関するものである。
食品の腐敗や黴の発生を防ぎ、鮮度を保持するために、食品を包装した包材の中に、食品と共にエチルアルコール蒸散剤を入れた包装袋を置き、包装袋からエチルアルコールを徐々に蒸散させることが行われている。
包装袋に使用する包装材料シートの表面に孔を開け、その部分からエチルアルコールを蒸散させるシートが開示されている(特許文献1)。このシートでは、孔の開いた部分でしか蒸散しないため、均一に蒸散させることが難しく、また、孔を開けるという工程が必要となりコストメリットにも欠ける。
包装袋に使用する包装材料として、不織布などの基材にコーティング含浸を施した包装材料が開示されている(特許文献2)。この包装材料では基材表面に印刷を施しさらにコーティング含浸することにより印刷インキの剥落や食品との接触を回避することが記載されている。しかし、この程度の加工だけでは印刷インキの剥落や食品との接触回避に対しては不十分である。また、エチルアルコール蒸散剤としてシリカなどの粉末とエチルアルコールとを混在させたものを使用する場合には、包装材料に用いる材料自体の破裂強さが弱く、固形粉体の内容物が飛出し、食品の汚染も懸念される。
食品と直接接する面は耐油撥水剤で処理した紙を使用し、この反対面に押出しラミネートでフィルムを貼り合せてなる包装材料では、耐油撥水剤が紙の反対面に移行して押出しラミネートでの接着性が悪くなり紙とフィルムとの剥離が懸念され、食品などと接する面に押出しラミネートだけで接着したフィルムを利用する包装材料では、食品などとの間での摩擦によりフィルム剥離が懸念される。
好ましくは孔を開けたフィルムを食品と直接接する層に設け、蒸散剤と接触する層と食品と接する層との間に空隙を設けてエチルアルコールの透過量を調整することが提案されている(特許文献3)が、孔を開ける工程が必要となると同時に包装袋作成に手間もかかり実用性に欠く。
また、押出しラミネートにてフィルムと紙基材を貼り合せた包装材料では、フィルムと紙基材との接着強度が不十分な場合、エチルアルコールが蒸散するときに、エチルアルコールの影響でフィルムと紙基材との間での剥離が懸念されると同時に、押出しラミネートフィルムと紙基材との接着強度が不十分で食品に該フィルムが接触する場合、食品との間の摩擦によりフィルム剥落やフィルム表面の滑りが悪いと食品に傷をつけるなどが懸念される。
特開昭62−155071号公報 特開平04−190773号公報 特開2009−179330号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、エチルアルコール蒸散剤からのエチルアルコールの蒸散を包装材料全体から均一に行い、注意喚起の表示などの印刷を行ったうえで印刷インキが完全に食品と接触せず、食品との間での摩擦に対しても優れた品質を保持し、エチルアルコール蒸散剤が内部から飛出す危険もなく、エチルアルコール蒸散性能にも優れた、エチルアルコール蒸散用の包装材料に関するものである。
本発明者は、課題を解決するために鋭意研究した結果、優れた発明となることを見出した。
この課題を解決するために、請求項1に記載の本発明によるエチルアルコール蒸散包装袋用包装材料においては、エチルアルコール蒸散剤からエチルアルコールを蒸散させる際に使用する包装袋用の包装材料であって、第1樹脂フィルム層と紙基材層と接着剤層と第2樹脂フィルム層とからなる積層体を含み、第1樹脂フィルム層が該エチルアルコール蒸散剤の近傍に位置することを特徴としている。
請求項2に記載のエチルアルコール蒸散包装袋用包装材料においては、接着剤層の接着剤を有する面積が20−30%であることを特徴としている。
請求項3においては、エチルアルコール蒸散包装袋用包装材料におけるエチルアルコールの透過量が200g/m/24時間/50%RH/40℃以上であることを特徴としている。
さらに、請求項4では第1樹脂フィルム層に使用する樹脂フィルムがEVA、また請求項5では第2樹脂フィルム層に使用する樹脂フィルムがポリブチレンサクシネートを含む樹脂からなることを特徴としている。
請求項6では紙基材層と第2樹脂フィルム層との間に印刷層を設けることを特徴としている。
本発明にかかるエチルアルコール蒸散包装袋用包装材料は、エチルアルコール蒸散剤と食品などの被蒸散体との間を特定の物質を使用する層構造からなる構成体とすることにより、被蒸散体との耐摩擦性や印刷インキの剥落防止に優れかつ、一定面積に規定した接着剤層を設けることにより優れたエチルアルコール蒸散性能も保持している。また、エチルアルコールと共に混在させる固体のシリカなどにより包装材料を破袋させ内容物であるエチルアルコールや混在する固形物で、被蒸散体である食品などの汚染を防止するのに十分な破裂強さを保持するエチルアルコール蒸散包装袋用包装材料を提供することができる。
本発明のエチルアルコール蒸散剤からエチルアルコールを蒸散させる包装材料は、該エチルアルコール蒸散剤側から、少なくとも第1樹脂フィルム層と紙基材層と接着剤層と第2樹脂フィルム層とを含む構成体からなるもので、食品など被蒸散体に対して蒸散性能や強度に優れたエチルアルコール蒸散剤包装袋となるものである。
本発明の紙基材層に使用する紙としては、例えば、上質紙、中質紙、クラフト紙、和紙、合成パルプ混抄紙などを使用出来、目付量としては特に制約はないものの、エチルアルコールが十分に蒸散する必要があるため、20−100g/mが好ましく、40−60g/mがより好ましい。20g/mより小さくなると、充填した内容物が透けて見え易くなり外観品位に欠けると共に破裂強さの低下による包装材料の破袋が発生しやすくなる。100g/mより大きくなると、包装材料の腰が強くなり包装袋の作成時にヒートシールがしにくく、エッジが硬く鋭くなり商品を傷つけてしまうなどの問題を発生させる。
エチルアルコール蒸散剤の近傍に位置する第1樹脂フィルム層にはエチルアルコールが蒸散するのに十分なエチルアルコール透過量を有するフィルムが使用される。ポリエチレンやEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)などを適宜使用できるが、エチルアルコールの透過安定性からEVAが好ましい。皮膜の強度や表面滑性や耐薬品性などの点からEVAの中でも酢酸ビニルの単位含有量が12−46重量%であるものが好ましい。12重量%より小さいとエチルアルコールの透過量に問題があり、46重量%より大きいとブロッキングの問題がある。
第1樹脂フィルム層に使用するフィルムの厚みは10−40μmが優れ、15−30μmがより好ましい。10μmより薄いと製膜性やヒートシール性に問題があり、40μmより厚いとエチルアルコールの透過量に問題がある。
第1樹脂フィルム層に使用するフィルムは、溶融押出法やインフレーション法など公知の方法で行うことが可能である。その中でも厚みの制御が容易などの点から溶融押出法が好ましく、加工性や作業性からTダイ方式による押出法(Tダイ押出法)がより好ましい。
食品など被蒸散体の近傍に位置する第2樹脂フィルム層としては、エチルアルコールが蒸散するのに十分な蒸散性能をもつフィルムであれば使用可能なはずであるが、対峙する食品などの水や油などに十分な耐性を保持する必要がある。また、フィルム層表面の耐摩擦性に乏しいと食品に接触時、食品表面に傷をつけるなどの問題を生じる。フィルムとしては蒸散性能を保持していれば十分なはずだが、蒸散性能に優れるEVAフィルムでは、フィルム表面の耐摩擦性が悪く、食品などとの接触時に食品表面もしくはフィルム表面に傷をつけるなど不十分である。そのため、耐摩擦性に優れることが好ましい。そのなかでもポリブチレンサクシネート(PBS)を含む樹脂が耐水性や耐油性の観点などからより好ましい。
厚みとしては、20−40μmが好ましい。20μmより薄いと製膜性の問題があり、40μmより厚いとエチルアルコールの透過量に問題がある。
食品などと接する第2樹脂フィルム層の表面に、耐摩擦性を得るための層を塗布する方法もあるが、使用する原料によっては食品に悪影響を及ぼす恐れもあり好ましくない。
第2樹脂フィルム層と紙基材層との間には接着剤層を設ける。接着剤を全面に塗布すると、エチルアルコール蒸散性能を保持している第2樹脂フィルム層と紙基材層の蒸散性能を低下させるため、部分的に塗布を行う。接着剤の塗布面積は、20−30%が好ましい。20%より小さいと蒸散性能には優れるものの接着強度に問題がある。30%より大きいとエチルアルコールの透過量に問題がある。
使用する接着剤としては特に限定されるものではないが、紙基材層への浸透を防ぐためにポリウレタン系の2液タイプの接着剤などを用いてドライラミによる加工を行う。安定した接着性能や柔軟性などを鑑みポリウレタン系の接着剤を使用するのが好ましい。接着剤の乾燥塗布量としては1.0−4.0g/mが好ましく、1.0g/mより小さくなると接着強度に問題があり、4.0g/mより大きくなるとエチルアルコールの透過量に問題がある。
接着剤の乾燥塗布量として記載した数値は、全面にベタコートを行ったものとして算出した数値であり、コート面積が例えば25%であれば、記載した数値の25%の値が実際の乾燥塗布量である。
接着剤の接着面積を規定するための接着剤層塗布方法としては、グラビアコート法が接着面積及び付着量を一定かつ安定に得る方法として好ましい。
グラビアコート法に使用するグラビア版の形状としてはドット状や格子状などを適宜使用でき、付着量に合せて版の線数及び深度を調整する。
紙基材層と第2樹脂フィルム層との間には印刷層を設けることができる。製品名や注意書きなどを食品に接する部分に直接印刷することも考えられるが、使用するインキによっては食品の安全衛生上問題があり、食品と直接接触して顔料の色が食品に付着すると深刻な問題となる。印刷後、特定の樹脂を塗布することにより、見かけ上印刷インキの食品への接触を防ぐ方法もあるが、食品の安全衛生上優れた樹脂でなおかつ耐油や耐水などに優れかつ、インキの顔料剥落に対し十分な強度を保持することは難しい。そのため、印刷層は食品と接触する部分には設けず、第2樹脂フィルム層で保護された内面に設ける構成としている。
印刷は紙基材層の表面もしくは第2樹脂フィルム層の内面に行いその後、接着剤を使用して第2樹脂フィルム層と紙基材層とをラミネートする。使用するインキには「印刷インキ工業連絡会」で定めている「食品包装材料用印刷インキに関する自主規制(NL規制)」に基づいて製造されているものを使用する。印刷層は紙基材層の表面、第2樹脂フィルム層の内面のどちらに設けてもよいが、印刷インキの発色安定性や印刷外観などから第2樹脂フィルム層の内面に印刷層を設けた後、接着剤層で紙基材層と接着するのが好ましい。
本発明の包装材料は、材料全体として優れたエチルアルコールの透過量を保持している必要がある。
エチルアルコールの透過量は200−1000g/m/24時間/50%RH/40℃が好ましい。200g/m/24時間/50%RH/40℃より小さいと殺菌や滅菌効果が不十分となり不都合を生じる。透過量としては数値が大きくても十分使用できるが、包装材料が直接食品に接触したときにエチルアルコール蒸散量が多いと食品表面が膨潤して食品の外観不良が発生しやすくなる。そのため1000g/m/24時間/50%RH/40℃より小さい方が好ましい。
本発明の包装材料を使用してエチルアルコール蒸散包装袋を作成するにあたって、3方シール機によるヒートシールを行うことができる。本発明で好ましい形態となる第1樹脂フィルム層に使用するEVA樹脂及び第2樹脂フィルム層に使用するポリブチレンサクシネート(PBS)を含む樹脂はいずれもヒートシール性を有しており問題なく実用に供することができる。
本発明の接着剤層は、全面に接着剤を塗布せず20−30%の範囲で接着層があるため、3方をヒートシールした時に角にあたる4箇所のエッジ部分は、接着剤の全面塗布時ほどの固さを生じない。そのため、エッジ部分が食品などの被蒸散体に接触しても傷つけるなどの不具合の発生を防ぐことができる。
以下に、本発明の実施の形態をより明確にするために、実施例及び比較例の一部を記載して説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
紙基材(ユニ・チャーム国光ノンウーヴン社製、レーヨン混抄紙、製品名:ニューソフロン(登録商標)。坪量50g/m。)に、Tダイ押出し法で20μmの厚みにEVA樹脂(三井・デュポンケミカル社製、製品名:エバフレックス(登録商標)。酢酸ビニル単位含有量20%)を押出ラミネートし、紙基材層と第1樹脂フィルム層からなる層を作成した。
この層の紙基材層面を、ポリブチレンサクシネートを含む樹脂フィルム(厚み20μm)からなる第2樹脂フィルム層に2液タイプポリウレタン樹脂(三井化学社、製品名:タケラック(登録商標))でコート面積25%となるようグラビアコート版を使用して乾燥塗布量3.0g/mに塗布した接着剤層と、ドライラミネート法で接着して包装材料を作成した。
第2樹脂フィルム層の内面(紙基材層と近傍となる面)に印刷インキで商品名や注意書き等を印刷した印刷層を設け、紙基材層面と接着剤層を介して一体化した。他の条件は実施例1と同一とした。
(比較例1)
第1樹脂フィルム層と紙基材層は実施例1と同じとし、紙基材層の表面に印刷インキで商品名や注意書き等を印刷した印刷層を作成し、その表面に耐油撥水性の樹脂を塗布(旭硝子社製アサヒガード(登録商標)550)して包装材料を作成した。
(比較例2)
実施例1の第2樹脂フィルム層として、第1樹脂フィルム層と同一のEVAフィルムを使用し、実施例1と同一の加工を行って包装材料を作成した。
(比較例3)
実施例1において接着剤層の接着剤を接着面積100%で全面塗布した以外は実施例1と同様内容で包装材料を作成した。
(比較例4)
第1樹脂フィルム層として実施例1のポリブチレンサクシネート(PBS)を含む樹脂フィルムを使用し、第2樹脂フィルム層としては実施例1のEVAフィルムを使用し、他の構成や加工は実施例1と同様にして包装材料を作成した。
(比較例5)
実施例1において第2樹脂フィルム層として、酢酸ビニル単位含有量10%のEVAフィルムを使用し、他は実施例1と同様とした。
(比較例6)
実施例1において第2樹脂フィルム層として、ポリ乳酸フィルム(厚み20μm)を使用し、他は実施例1と同様とした。
(エチルアルコールの透過量)
120mm×120mmの包装材料を第1樹脂フィルム層が内側になるように折り曲げ、ヒートシールにより2辺をシールして袋を形成し、その中にエチルアルコール10gを吸着させたろ紙を入れて残りの一辺をシールしたものを試料とする。この時、試料のエチルアルコールの蒸気透過可能な面積は片面100mm×50mmとし両面で、10,000mmとなるようにヒートシール位置を調整する。この試料を50%RH、40℃の恒温器に24時間放置し、エチルアルコールの蒸発による上記包装材料のエチルアルコール減量を求める。この値がエチルアルコールの透過量であり、単位はg/m/24時間/50%RH/40℃である。
(引張強度、伸び率)
JIS−P8113に基づいて引張強さ及び引張破断時の伸び率測定を行った。包装材料の加工方向をタテ、その垂直方向をヨコとして測定した。20℃×65RH%の雰囲気で測定したものを乾燥時とし、試験片をエチルアルコールに20℃で1時間浸漬後20℃×65RH%の雰囲気で測定したものをエチルアルコール湿潤時とした。 引張強さ低下率(%)=(湿潤時の引張強さ/乾燥時の引張強さ)×100 として引張強さ低下率を算出した。引張強さの単位はN/15mm。伸び率の単位は%。引張強さ低下率の単位は%。
(破裂強さ)
JIS−P8112に基づいて20℃×65RH%の条件で測定した。 破裂強さ保持率(%)=(エチルアルコール湿潤時の値/乾燥時の値)×100 で破裂強さ保持率の値を算出した。破裂強さの単位はkPa。破裂強さ保持率の単位は%。
(耐摩擦性)
食品など被蒸散体と接触するフィルムなどの表面(本発明においては第2樹脂フィルム層面)を、JIS−L0849の摩擦試験機II形(学振式)でレーヨン混抄紙を摩擦子として用いて、荷重200gで100往復擦ったときの被摩擦試験片の摩擦子に対する滑り性、耐摩擦性、皮膜強度の状態を目視にて観察する。
評価は、
○・・本発明の第2樹脂フィルム層のフィルムなどの被摩擦試験片の表面に、まっ たく変化が見られず、擦るために使用した摩擦子にも変化が見られない。食 品など被蒸散体の表面に傷をつけたり印刷インキが転移するなどもせず、フ ィルムに剥がれなどもなく実用上問題なく使用できると判断されるもの。
×・・フィルムなどの被摩擦試験片の表面に剥れや印刷インキの剥れなどが発生し たり、擦るために使用した摩擦子の表面が傷ついたり印刷インキが転移して いることなど被摩擦試験片や摩擦子に異常が観察される。食品など被蒸散体 の表面に傷をつけたり印刷インキが転移したりフィルム表面に剥がれが生じ るなどして実用上の使用が不可と判断されるもの。
とした。
Figure 2011225273
表1.に示したように本発明による実施例においては優れたエチルアルコールの透過量と耐摩擦性を保持している。一方比較例1のように印刷層の表面に樹脂塗布を施しただけでは耐摩擦性が弱いため結果として印刷インキの剥落が生じ、食品用エチルアルコール蒸散包装袋用包装材料としては不完全であることがわかる。比較例2では表面の耐摩擦性が不十分なため食品と接触したとき食品表面を傷つけやすい。比較例3は接着剤を全面塗布するためエチルアルコールの透過量が悪い。比較例4のように実施例1と逆の層構成(酢酸ビニル単位含有量19%のEVAフィルムが表面となる層構成)とすると耐摩擦性が悪く、本発明のような構成体でかつ構成順とすることが重要であることがわかる。比較例5では酢酸ビニル単位含有量の少ないEVAが食品と触れる部分となるため、耐摩擦性には優れ食品を傷つけにくいもののエチルアルコールの透過量が不十分である。比較例6のように第2樹脂フィルム層にポリ乳酸フィルムを使用すると耐摩擦性には優れるもののエチルアルコールの透過量は不十分である。
Figure 2011225273
表2.に、代表的な実施例2と比較例1について包装材料としての物性比較を行った結果を示した。実施例2ではポリブチレンサクシネート(PBS)を含む樹脂を第2樹脂フィルム層として使用しているため、乾燥時に比べて湿潤時の引張強度の低下率が小さい。また、破裂強さの乾燥時と湿潤時の低下率の差が小さい。一方、比較例1は、エチルアルコールに対する耐性が弱いため、エチルアルコール蒸散剤とシリカなどの粉末の材料とを混在させて包装袋する包装材料として使用した場合、破裂強さが弱くかつ、湿潤時の破裂強さの保持率が低いため、輸送などの振動が大きい状態では、破袋して内容物が飛出し食品などに安全衛生上の問題を生じさせる。
本発明の構成体による包装材料では、使用する食品などの被蒸散体に対して食品安全衛生上優れた品質を保持するものである。

Claims (6)

  1. エチルアルコール蒸散剤からエチルアルコールを蒸散させる際に使用する包装袋用の包装材料であって、第1樹脂フィルム層と紙基材層と接着剤層と第2樹脂フィルム層とからなる積層体を含み、第1樹脂フィルム層が該エチルアルコール蒸散剤の近傍に位置することを特徴とするアルコール蒸散包装袋用包装材料。
  2. 接着剤層の接着剤を有する面積が20−30%であることを特徴とする請求項1のエチルアルコール蒸散包装袋用包装材料。
  3. エチルアルコールの透過量が200g/m/24時間/50%RH/40℃以上であることを特徴とする請求項2のエチルアルコール蒸散包装袋用包装材料。
  4. 第1樹脂フィルム層に使用する樹脂フィルムがEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)からなることを特徴とする請求項3のエチルアルコール蒸散包装袋用包装材料。
  5. 第2樹脂フィルム層に使用する樹脂フィルムがポリブチレンサクシネートを含む樹脂からなることを特徴とする請求項4のエチルアルコール蒸散包装袋用包装材料。
  6. 紙基材層と第2樹脂フィルム層との間に印刷層を設けることを特徴とする請求項2−5のエチルアルコール蒸散包装袋用包装材料。
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