本発明は、電子基板ユニット及び遊技機に係り、特に基板ケースに内包された電子基板に対する不正行為の予防及び早期発見に寄与することのできる電子基板ユニット等に関する。
パチンコ機等の遊技機においては、弾球された球が遊技領域(遊技盤面又はその近傍に形成された領域であって、球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で球が遊技領域内の障害釘(ゲージともいう。)や羽根車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は球の流下における偶然性を利用しつつ球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
このようなパチンコ機においては、年々遊技の態様や演出が複雑化・多様化してきており、それに伴い遊技機の動作や演出を制御するための電子基板の構造や機能も複雑化・多様化してきている。このような電子基板に対して不正な破壊や改造が行われると、遊技が適正に行われなかったり、一部の不正な遊技者に対して不当な利益が付与されてしまったりする虞がある。そのため、この電子基板及びその周囲構造に対しては、外部からのアクセスが困難となるような工夫、外部からの不正なアクセスがあった場合にその痕跡や履歴が容易に把握できるような工夫などが為される必要がある。
例えば特許文献1には、複数の基板ケースによって電子基板を内包した基板ケースを備え、この複数の基板ケースの境界を跨ぐようにシールを貼付した遊技機が記載されている。このシールは、識別情報を格納したICチップと読取体に対して識別情報を送信するアンテナとを有する。この遊技機は、基板ケースを分離するためにシールを剥がすとアンテナが破壊し、読取体によって情報を読み取ることができなくなる。よって、外部から不正なアクセスがあった場合の履歴を把握することができる。
また、例えば特許文献2には、ICチップとアンテナを内蔵したテープ型のインレットを、2つの基板ケースの境界を跨ぐように貼着し、その両端に封印シールを各々に貼着した遊技機が記載されている。このテープ型のインレットと封印シールは、貼着成分が異なっており、1の薬品によりテープ型インレットの貼着力を無効としても、封印シールを剥がすことが不可能となるように構成されている。したがって、結果としてテープ型インレットを切断することなく基板ケースを開放することができない効果を得ることができる。また、テープ型インレットを切断すると、ICチップに内蔵された情報が読み取り不可能となり、外部から不正なアクセスがあった場合の履歴を把握することができる。
特開2006−305037号公報
特開2008−36228号公報
しかしながら、特許文献1に記載の遊技機は、シールが剥がされてアンテナが破壊された場合には、ICチップに格納された情報が読み取り不可能となるが、シールが剥がされてもアンテナが破壊されない場合には、ICチップに格納された情報が読み取り可能となり、確実に不正アクセスがあった場合の痕跡を残すことができない虞があった。また、不正に剥がされたシールが再利用されると、更なる被害が拡大する虞があった。
また、特許文献2に記載の遊技機は、複数の薬品によってテープ型インレットのアンテナを切断することなく剥がした場合は、ICチップの情報を読み取ることができ、確実に不正アクセスがあった場合の痕跡を残すことができない虞があった。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、電子基板に対する不正行為を効果的に予防しつつ、そのような不正行為が行われた際により確実にその痕跡を確認することができ、不正行為の予防及び早期発見に寄与することのできる電子基板ユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての電子基板ユニットは、協働して電子基板を内包する複数の基板ケースと、基板ケース同士を結合する結合部材と、複数の基板ケースの合わせ目において、その分離を阻止すべく複数の基板ケースに跨るように固定された封印部材と、を備え、封印部材は、リーダによって読み取り可能な情報を有する情報部を含んでおり、情報部は、結合部材の上方に固定されている。
本発明によれば、基板ケース同士を結合する結合部材によって基板ケースの分離を阻止しているので、外部から電子基板にアクセスするためには結合部材の結合を解除して基板ケースを分離する必要がある。また、結合部材の上方には封印部材の情報部が配置されている。したがって外部から電子基板にアクセスするためには、情報部を破壊又は破壊して結合部材の結合を解除して、基板ケースを分離しなければならない。封印部材の情報部が破壊又は破損することにより情報部の情報の読み取りが実質的に不可能になる。したがって、電子基板への不正アクセスの際に、封印部材にその不正アクセスの痕跡が残存することとなる。
ここにおいて、封印部材は典型的には所謂封印シールであるが、もちろんシールに限られない。基板ケースの合わせ目における分離を阻止することができる部材であればよく、例えば金属部材、樹脂部材等を概念することができる。また、封印シールにおいてもその素材は、紙であっても樹脂フィルムであってもよい。また、封印部材の「固定」は、接着剤や粘着剤による貼付、カシメ、フック等による不可逆的な係合や係止、ネジ等による不可逆的な螺合を含む概念である。
また、情報部は、リーダによって読み取り可能な情報を有するものであればよく、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)に用いるRFタグ(ICチップを含む)を例示できる。また、情報部は、電波によって情報を送信するタグにあっては、タグそのものだけでなく、情報を送信するためのアンテナも含む概念である。また、情報部は、電波によって情報を送信するタグだけでなく、リーダによって読み取り可能な情報を含むものであればよく、例えばバーコードも含む。
なお、情報部の情報が実質的に読み取り不可能な状態とは、情報部の情報が技術的に読み取り不可能な状態のみならず、通常の使用状態では読み取れないが、通常と異なる使用状態においては読み取れる状態も含む概念である。ここでいう通常と異なる使用状態とは、例えば、リーダの感度を飛躍的に向上させることによってのみ読み取り可能な状態や、リーダと情報部との距離を通常の使用状態より近接させることによってのみ読み取り可能な状態である。
また、本発明における上方とは、必ずしも鉛直方向における上方を意味するものではなく、互いの相対位置において一方が他方を覆うような位置関係を意味する。例えば、情報部と結合部材との位置関係は、結合部材への不正アクセスがなされる方向を実質的に遮るように情報部が配置されていればよい。具体的には、外部から着脱工具の適用によりその結合を解除可能に構成された結合部材(例えば、螺子部材。)にあっては、結合部材に対する着脱工具の適用位置に情報部が配置されていればよい。
なお、本発明において基板ケースは、電子基板を内包する全体としてのケースをいう場合と、全体のケースを構成する複数のケース部材1つ1つをいう場合とがある。例えば、協働して電子基板を内包する複数の基板ケースという場合の基板ケースは、全体としての基板ケースを構成するケース部材をいう。そのケース部材が複数協働して全体としてひとまとまりとなったケースを基板ケースという場合もあり、その基板ケースが電子基板を内包する。
また、電子基板ユニットは、情報部が、リーダによって読み取り可能な情報が埋め込まれたRFタグと、RFタグのアンテナ部と、を有しており、RFタグとアンテナ部のうち少なくともアンテナ部は、結合部材の上方に配置されており、結合部材による結合を解除することによってRFタグの情報が実質的に読み取り不可能となるように構成されている。
RFタグのアンテナ部が結合部材の上方に配置されているため、外部から電子基板にアクセスするために基板ケースを分離すると、アンテナ部が破壊又は破損される。RFタグは、情報を格納しており、比較的強度が高い。一方、アンテナ部は、電波を送信できればよく、RFタグと比較して脆弱であることが多い。このアンテナ部を結合部材の上方に配置することにより、結合部材の結合を解除しようとしてアクセスされた際に、より確実にアンテナ部を破壊又は破損させることができ、不正アクセスの痕跡を残すことが可能となる。
また、複数の基板ケースのうち少なくとも一の基板ケースには、封印部材の位置を定めるための位置決め部が設けられており、封印部材は、位置決め部に基づいて位置決めされることにより、情報部が結合部材の上方に配置されるように構成されている。封印部材の位置決め部を設けることにより、封印部材の位置決めを容易に行い、確実に結合部材の上方に情報部を配置することができる。
ここにおいて、位置決め部は、封印部材を配置する際に、封印部材の位置を決める基準となる部分である。具体的には、基板ケースの表面から突出形成されたリブであって、このリブに沿って封印部材を配置することにより、情報部が結合部材の上方に配置される構成を例示できる。なお、位置決め部は、基板ケースに装着された部品等であってもよいし、基板ケースの一部分(例えば、角部)が位置決め部として機能しているものであってもよい。更に、位置決め部は、複数の基板ケースのうち少なくともいずれかに設けられていればよく、例えば、一方の基板ケースにのみ設けられていてもよいし、複数の基板ケースの両方に設けられてもよい。
封印部材は、外部から視認可能な識別情報を更に有しており、識別情報は、複数の基板ケースの合わせ目近傍の上方に配置されていることが望ましい。封印部材が情報部と識別情報とを有することにより、電子基板ユニットが交換された際に、識別情報によっても不正に交換されたことを把握することが可能となる。また、その識別情報が基板ケースの合わせ目近傍の上方に配置されていることにより、基板ケースを分離した際に、識別情報部分が破損し易くなる。識別情報は、検査者が視認する箇所であり、比較的目立つ箇所である。この比較的目立つ識別情報を破損し易くすることにより、不正に開放されたことを検出し易くなる。
更に、基板ケース同士の合わせ目部分を非直線状にすることにより、基板ケースを分離する際に、カッター等で直線上に切断することが難しくなり、切断面を目立ち易くすることができる。また、封印部材が固定された状態で無理やり基板ケースを分離すると、封印部材が各基板ケースに固定された状態で切断され、封印部材が分離し易くなる。すなわち、基板ケースを分離する際に、封印部材がより破損又は切断しやすくなり、不正に分離したことによる痕跡をより確実に残すことが可能となる。
また、電子基板ユニットは、封印部材を覆うカバー部材を更に備え、カバー部材は、基板ケースに対して着脱自在に構成されており、基板ケースから取り外される際に結合部材の上方に固定された封印部材を破りリーダによる情報部の情報を実質的に読み取り不可能とする接触部を有することが望ましい。
カバー部材を設けることにより、基板ケース同士の合わせ目をカバー部材によっても覆うことができ、更に基板ケースの分離をし難くすることができる。また、カバー部材によって、封印部材を保護することができ、不正アクセス以外で封印部材が破損することを防ぐことができる。なお、識別情報を有する封印部材を覆うカバー部材にあっては、カバー部材に識別情報を視認するための窓部を設けることが望ましい。窓部を設けることにより、カバー部材によって識別情報を保護しつつ、識別情報の視認性を確保することができる。
カバー部材は、典型的にはアクリル、ポリカーボネート等の透光性樹脂材料で形成された樹脂部材である。もちろん、カバー部材にも封印部材と同様に複数の基板ケースの分離を阻止する機能が付与されていてもよい。具体的には、カバー部材が複数の基板ケースに跨って接着又は溶着されていたり、係止フックによって取り外し不可能に係止されていたり、カシメられていてもよい。
また、基板ケースから取り外される際に封印部材を破る接触部を設けることにより、基板ケースを分離するためにカバー部材を外そうとすると接触部が封印部材を破り、実質的にリーダによる情報部の情報の読み取りが不可能となる。したがって、カバー部材の取り外しによっても、電子基板への不正アクセスの際に、封印部材にその不正アクセスの痕跡が残存することとなる。
なお、接触部による封印部材を破った状態とは、封印部材が壊されたり、裂けたり、傷ついた状態であり、必ずしも分裂した状態を意味するものではなく、破られることにより情報の読み取りが実質的に不可能となるあらゆる状態を含むものである。
具体的な構成としては、結合部材を基板ケースより接触部側に突出させて、基板ケースからカバー部材を取り外す際に接触部が結合部材の上方の情報部と接触して封印部材を破るように構成してもよい。結合部材を突出させて情報部を接触部側に突出させることにより、カバー部材が取り外される際に情報部と接触部とを接触させ易くし、接触部によって情報部を破損又は破壊させることができる。
他の具体的な構成としては、結合部材と封印部材との間に空間を形成するとともに、接触部を封印部材側に突出させて、基板ケースからカバー部材を取り外す際に接触部が空間内に侵入して封印部材を破るように構成していてもよい。この構成によっても、カバー部材が取り外された際に接触部によって封印部材を破り、情報部の読み取りを実質的に不可能とすることができる。
また、電子基板ユニットは、基板ケース同士の係合状態を保持するとともに、係合を解除された際の痕跡を残留させる残留痕跡部を更に備えることが望ましい。結合部材の結合を解除しようとすると、封印部材の情報部が破損又は破壊され、不正アクセスを検出することができる。しかし、封印部材は、一部が破損しており、新たな封印部材に交換することが必要となる。また、封印部材の情報が個々の基板ケースに対応している場合には、電子基板ユニット毎交換することが必要となり、封印部材が破損した電子基板ユニットは廃棄する場合もある。
このような廃棄する封印部材及び電子基板ユニットを少なくするために、係合を解除された痕跡を残留させる痕跡残留部を設けることが好ましい。痕跡残留部は、基板ケース同士の係合状態を保持しており、係合状態を解除するには、残留痕跡部の保持状態を解除する必要がある。したがって、基板ケースの係合を解除する作業に手間と時間が掛かるようにすることができ、基板ケースの不正開放を抑止することができる。更に、痕跡残留部の存在により、不正に基板ケースを開放する者に対して係合を解除しても痕跡が残ることを認識させることができる。すなわち、残留痕跡部を設けることにより、係合状態を解除する不正行為を効果的に抑止して、基板ケースが不正に開放されることを防ぎ、廃棄する制御基板を少なくすることができる。
また、本発明の他の例示的な側面としての遊技機は、遊技を実現する遊技装置体と、遊技装置体を内包する遊技機枠と、上記に記載の電子基板ユニットと、を有する遊技機であって、電子基板ユニットは、遊技装置体又は遊技機枠に対して着脱自在に設けられている。
この遊技機によれば、上記の電子基板ユニットを有しているので、この遊技機の電子基板に不正行為者が不正アクセスするのを有効に予防することができる。更に、万一不正アクセスがされた場合であっても、その痕跡が発見容易とされている。したがって、この遊技機は、不正行為者による不正行為を排除し、一般遊技者による安全かつ安心な遊技に資することができる。
なお、遊技装置体とは、遊技機における遊技を実現するものであり、例えば、パチンコ遊技機であれば、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技盤、スロットマシンであれば、絵柄の組合せによる遊技を実現するリールを例示できる。また、電子基板ユニットは、遊技装置体又は遊技機枠に対して装着できる構成であればよく、遊技装置体又は遊技機枠に対して直接装着できる構成であってもよいし、遊技装置体又は遊技機枠との間に部材が配置され、遊技装置体又は遊技機枠に対して間接的に装着できる構成であってもよい。
また、遊技機枠とは、遊技装置体を内包する枠部材又は枠部材の集合体であって、遊技装置体の側方や前方を囲むためのものである。例えば、遊技機がパチンコ遊技機である場合には、遊技装置体としての遊技盤を内包する筐体枠、機枠又は前面枠若しくはこれらの組合せ等が遊技機枠に該当し、遊技機がスロットマシンである場合には、遊技装置体としてのリール(回胴装置)を内包するキャビネット(筐体枠及び/又は前面枠)が遊技機枠に該当する。もちろん、パチンコ遊技機やスロットマシン以外の遊技機においても、それら遊技機における遊技を実現する遊技装置体(例えば、コインゲーム機における遊技盤やアーケードマシンにおけるゲーム画像表示装置等)を内包する枠部材等がこの遊技機枠に該当する。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、基板ケース同士を結合する結合部材の結合を解除しようとすることにより、封印部材の情報部が破壊又は破損するため、不正アクセスの痕跡を確実に残すことができる。したがって、電子基板に対する不正行為を効果的に予防しつつ、そのような不正行為が行われた際に簡便かつ確実にその痕跡を確認することができて、不正行為の予防及び早期発見に寄与することができる。
本発明の実施の形態1に係るパチンコ機の正面図である。
図1に示すパチンコ機の背面図である。
実施の形態1に係る主制御基板ユニットの平面図である。
主制御基板ユニットの分解斜視図である。
主制御基板ユニットの不正開放検出構造を拡大して示す分解斜視図である。
封印シールの表面及び裏面を示す模式平面図である。
図3に示す主制御基板ユニットのA−A断面図である。
実施の形態2に係る主制御基板ユニットの不正開放検出構造の断面を拡大して示す分解斜視図である。
主制御基板ユニットの保護カバー部分を拡大した拡大断面図である。
図9のB部分を拡大した拡大断面図である。
変形例に係る主制御基板ユニットの不正開放検出構造の断面を拡大して示す分解斜視図である。
主制御基板ユニットの保護カバー部分を拡大した拡大斜視図である。
主制御基板ユニットの保護カバー部分を拡大した拡大断面図である。
実施するための形態
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。図2は、図1に示すパチンコ機2の背面図である。このパチンコ機2は、枠体3、遊技盤(遊技装置体)6、前面ガラス(前面透明板)10、発射ユニット(不図示)、貯留皿14を有し、遊技盤6には、遊技媒体としての球23の流下による遊技を実現するための遊技領域が形成されている。また、遊技盤6の裏面側には、主制御基板ユニット(電子基板ユニット)U(図2参照)が取り付けられているが、詳細は後述する。
パチンコ機2は、後述する発射ハンドル15を遊技者が操作することによって、遊技領域16に向けて球23が発射ユニットによって発射され、球23の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体を用いた遊技を実現する遊技装置体を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態1においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。
パチンコ機2の枠体3は、遊技盤6を含む遊技盤ユニットを保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。枠体3の内部側には、遊技盤ユニットの他にも後述する各種電子基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、枠体3によって周囲側面及び前面又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
パチンコ機2の周囲を囲む筐体枠4、その内側にヒンジ部(揺動支持部)22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニットを保持する機枠9、機枠9の前方にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持されて前面ガラス10とその周囲を装飾する装飾部材32とを保持する装飾枠12とを有して枠体3が構成される。なお、前面ガラス10は、枠体3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
貯留皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態1においては上皿14aと下皿14bとを有している。上皿14aは、球排出ボタン14cを有して遊技盤6の下方、すなわち装飾枠12の下方部分に配置され、下皿14bは、その上皿14aの更に下方に配置されている。
遊技盤ユニットは、遊技盤面(表面)6a側の略中央にセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘も配置されている。センター役物7の中央部には、図柄表示装置7aが配置されるとともに、この図柄表示装置7aの表示画面(映像表示面)7bを露出させるための開口部7dが形成されている。
図柄表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示画面7b上に映像表示を行うものである。この表示画面7b上には、例えば、3桁の数字又は文字等により構成される表示図柄7cが回転又は停止するように映像として表示される。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示画面7b上に表示されるようになっている。
遊技盤6は、その遊技盤面6a側に球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための遊技装置体であり、遊技盤面6aを前方から遊技者にとって視認可能となるように枠体3(本実施の形態1においては、枠体3の一部としての機枠9。)に保持されている。その遊技盤面6aには略円形状に周囲を囲むようにレール飾りが取り付けられており、レール飾りの内周面が遊技盤面6aに対して立設するように配置されている。そして、その内周面によって画定され、内周面に面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
遊技釘は、遊技領域16を流下する球23と衝突してその流下方向を変更させるものであり、多数が遊技領域内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、中央始動口29、及び中央大入賞口31等が配置されており、流下する球23が各流入口に流入したり、遊技釘に衝突したりすることによって、球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
図示しない球発射装置により球23が発射されると、球23はレール飾りの内周面に沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、遊技釘に衝突しつつ遊技領域16を下方に流下する。あるものは普通入賞口28に流入して一定数の景品球払出しの契機となり、あるものは通過ゲート33を通過し、あるものはいずれの入賞口にも流入せずに遊技領域内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
球23が通過ゲート33を通過すると、その通過ゲート33の通過に起因して状態変更抽選手段(不図示)による抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に、中央始動口29の開閉羽根が開放され、球が入球し易い状態を実現する。この中央始動口29に流入すると、その流入に起因して図柄表示装置7aの表示図柄7cが回転表示を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当りが発生する。そして、中央大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の景品球が貯留皿14へと払い出されるようになっている。
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う主制御基板(電子基板)34を有する主制御基板ユニットUが配置されている。その主制御基板ユニットUは、主制御基板34、主制御基板34を内包する主制御基板ケース(基板ケース)35、後述する封印シール(封印部材)41、保護カバー(カバー部材)42を有して構成されている。
また、遊技盤6の裏面側には、図柄表示装置7aの画像演出の制御を行う画像制御基板(図示せず)を収容した画像制御基板ケース36と、景品球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
なお、本実施の形態1では、主制御基板34について例示して説明するが、他の制御基板についても同様の構造を採用することが可能である。すなわち、画像制御基板(電子基板)、画像制御基板ケース(基板ケース)、封印シール及び保護カバーを有して画像制御基板ユニット(電子基板ユニット)を構成することが可能である。同様に、払出制御基板(電子基板)、払出制御基板ケース(基板ケース)、封印シール及び保護部材を有して払出制御基板ユニット(電子基板ユニット)を構成したり、電源基板(電子基板)、電源基板ケース(基板ケース)、封印シール及び保護部材を有して電源基板ユニット(電子基板ユニット)を構成することが可能である。
以下、本発明の実施の形態1に係る主制御基板ユニット(電子基板ユニット)の構造について、図3〜図5を用いて説明する。以下の説明においては、上下及び前後左右の方向は、遊技者からパチンコ機2を見た際の方向に基づいて定義し、図中に適宜図示する。
図3は、主制御基板ユニットUの平面図であり、図4は、主制御基板ユニットUの分解斜視図である。主制御基板ケース35は、遊技盤6の裏面側に着脱自在に固定される本体ケース(基板ケース)35aと、本体ケース35aに対して着脱自在に固定される蓋ケース(基板ケース)35bとの2つの基板ケースを有し、これら両者が協働して主制御基板34を内部に内包するようになっている。主制御基板34は、蓋ケース35bの内面側に形成された開口部に固定されて、蓋ケース35bと本体ケース35aとが係合することにより、主制御基板ケース35の内部に収容されるようになっている。この収容された状態では、主制御基板34に対して外部から接触することはできない。
主制御基板34の表面(ここでいう表面は、前面側である場合と後面側である場合とを含む。)には、ROM、RAM、CPU等の電子デバイス、接続コネクタ等を含む電子部品34bが実装されている。主制御基板34の周囲には、固定部としての固定穴34aが形成されている。主制御基板34の後側から固定穴34aに固定ネジを挿入して、この固定ネジと蓋ケースのネジ穴とをネジ止めすることにより、主制御基板34が蓋ケース35b内に固定されるようになっている。
主制御基板ケース35の下側部には、ヒンジ部が設けられている。ヒンジ部は、本体ケース35aの下側壁面に沿った軸部(図示せず)と、この軸部に係止される蓋ケース35b側の円弧状の弧状爪部35eと、を有して構成され、軸部は本体ケース35aに形成され、弧状爪部35eは蓋ケース35bに形成されている。蓋ケース35bは本体ケース35aに対して軸部を中心として揺動可能に支持されており、蓋ケース35bが本体ケース35aに対して回転移動することより、主制御基板ケース35の開口部を開放した開状態と閉鎖した閉状態とを実現する。
主制御基板ケース35の上側部には、痕跡残留部としての封止部が形成されている。封止部は、主制御基板ケース35の上側部において、後述する不正開放検出構造を挟んだ左右側方に配置されている。封止部は、本体ケース35aの上側壁面に対して突出して形成された本体カシメ部35gと、蓋ケース35bに連結部材35hを介して接続された蓋カシメ部35kと、本体カシメ部35gと蓋カシメ部35kとの間に収容可能な封止片35mと、からなる。
封止片35mは、「ロック」の文字が印字された表面が前方に位置する第一状態又は表面が後側に位置する第二状態で各カシメ部に収容される。本体カシメ部35g内に封止片35mを第一状態で配置して基板ケースを閉状態とすると、封止片35mは本体カシメ部35g及び蓋カシメ部35kと嵌合して、主制御基板ケース35の閉状態が保持される封止状態となる。一方、本体カシメ部35gに封止片35mを第二状態で配置して基板ケースを閉状態とすると、封止片35mは本体カシメ部35g及び蓋カシメ部35kと嵌合せず、基板ケースの閉状態は保持されない。
したがって、主制御基板ケース35を閉状態で封止する際には、いずれかの封止片35mを第一状態として各カシメ部に配置し、他の封止片35mを第二状態として各カシメ部に配置して、基板ケースを閉状態とする。これにより、主制御基板ケース35は、封止状態となる。
このような封止部によって主制御基板ケース35を封止することにより、封止状態を解除することは困難であり、主制御基板ケース35を開封するためには、第一状態の封止片35mを収容した蓋カシメ部35kと連結された連結部材35hを切断して、この蓋カシメ部35kを蓋ケース35bから切り離すことが必要である。したがって、主制御基板ケース35を開封した後は、連結部材35hを切断した痕跡が残り、主制御基板ケース35が不正に開放されたことを検出することができる。
しかし、連結部材35hを切断した痕跡は、主制御基板ケース35を視認しなければ検出できず、主制御基板ケース35が不正に開放されたことを早期に発見できない虞がある。この対策として、本実施の形態1に係る主制御基板ユニットUは、封止部と合わせて不正開放検出構造を備えている。
また、主制御基板ケース35の右側部には、痕跡残留部としての本体封止部が形成されている。本体封止部は、蓋ケース35bに形成された蓋カシメ部35kと、本体カシメ部と同様の構造であって遊技盤6の裏面側の取付基板に設けられた盤カシメ部(図示せず)と、各カシメ部に収容される封止片35mと、を有する。本体封止部によって、主制御基板ユニットUと遊技盤6とを固定した状態で保持することができるとともに、主制御基板ユニットUが外された場合の痕跡を残し、主制御基板ユニットUが不正に取り外されたことを検出することができる。
主制御基板ケース35の上側部には、不正開放検出構造が設けられている。不正開放検出構造は、不正行為者による主制御基板ケース35の不正開放を予防し、また、万一不正に開放された際に、その不正開放の痕跡を残存させるためのものである。図5は、この不正開放検出構造を拡大して示す分解拡大図である。不正開放検出構造は、本体ケース35aと蓋ケース35bとが合わさった部分に設けられており、両ケース35a,35bの境界線(合わせ目)35fを有している。この境界線35fは、非直線状であり、本体ケース35aと蓋ケース35bとが交互にかみ合うような凹凸形状である。
境界線35fの近傍部分には、結合部材としての第1ネジ部35p及び第2ネジ部35qが設けられている。第1ネジ部35pは、蓋ケース35bの前面側から本体ケース35aに形成されたネジ穴35rと螺合することにより、本体ケース35aと蓋ケース35bとを結合する。第2ネジ部35qは、後述する保護カバー42の後面側から本体ケース35aに形成されたネジ穴35rと螺合することにより、本体ケース35aと保護カバー42とを結合する。本体ケース35aと蓋ケース35bとが第1ネジ部35pによって結合された状態において、第1ネジ部35pの頭部の上面を覆いかつ境界線35fを跨るように封印シール41が貼付されている。
図6は、封印シール41の表面及び裏面を模式的に示した図である。図7は、図3に示す主制御基板ユニットUのA−A断面図である。封印シール41は、長方形状であり、表面には識別情報としてのシリアル番号41aが印刷されている。封印シール41の裏面には、シリアル番号41a等個々の遊技機を特定するための情報を格納したICチップ41bと、ICチップ41bの情報を電波によって送信するためのアンテナ部41cと、が貼付されている。ICチップ41bは、封印シール41の略中央に配置されており、アンテナ部41cは対角線に沿って配置されている。
ICチップ41bに格納された情報は、アンテナ部41cが電波によって送信可能に構成されており、図示しないリーダを用いて情報を読み取ることが可能である。アンテナ部41cには、電波によって情報を送信するためのループを構成するためのスリットが設けられており、このスリットの近傍に切り欠き部41dが形成されている。切り欠き部41dが形成されていることにより、封印シール41が剥がされたり封印シール41に外部から力が加えられたりした際に、アンテナ部41cが破損して情報送信が不可能となり、不正アクセスの痕跡を残存させることができる。
本体ケース35aの境界線35f近傍には、位置決め部としてのケースリブ35sが形成されている。ケースリブ35sは、封印シール41の左側部と右側部とに沿う位置に突出形成されており、このケースリブ35sに封印シール41の左側部又は右側部を合わせて封印シール41を貼付することにより、アンテナ部41cが第1ネジ部35pの真上に配置される。第1ネジ部35pによる結合を解除するために封印シール41の上から第1ネジ部35pにアクセスしようとすると、アンテナ部41cが破壊されICチップ41bの情報が読み取り不可能となる。
本実施の形態1においては、封印シール41は紙製であるが、もちろん封印部材がプラスチックフィルムや布、金属板等であってもよい。また、本実施の形態1においては、封印シール41の裏面が接着面とされており、封印シール41が両ケース35a,35bに接着貼付されることにより固定されるが、封印部材の固定は接着に限られない。溶着、ネジ止め等様々な固定方法であってよい。
本体ケース35aと蓋ケース35bが第1ネジ部35pによって結合されているので、両ケースの分離が防止され、外部から主制御基板34へのアクセスが防止されている。そして、封印シール41は第1ネジ部35pを覆うように貼付されており、本体ケース35aと蓋ケース35bとを分離するために第1ネジ部35pの結合を解除しようとすると、封印シール41のアンテナ部41cが破損又は切断して、ICチップ41bの情報が読み取り不可能な状態となる。したがって、本体ケース35aと蓋ケース35bとが分離された場合には、封印シール41のアンテナ部41cが破損又は破壊されており、必ず不正アクセスの痕跡が残存する。更に、リーダを用いてICチップ41bの情報を読み取ることにより不正開放を検出することができるため、目視のみの検出と比較して、不正に開放されたことを何人も容易に検出することができる。
また、封印シール41の不測の破損を防止するために、封印シール41を覆うように保護カバー42が取り付けられている。保護カバー42が取り付けられていることにより、封印シール41が外部に対して非露出状態となり、パチンコ機2の組付け時やメンテナンス時等において、意図せず封印シール41を破損してしまうということが防止されるようになっている。
保護カバー42は、例えばアクリル、ポリカーボネート等の透光性材料で形成されている。本実施の形態1においては、保護カバー42は、透明な樹脂成型品である。この保護カバー42は、実質的に封印シール41を覆って保護カバー42を介して外部から境界線35fに対応する封印シール41のシリアル番号を視認し易くするための窓部42aを有している。
窓部42aは、保護カバー42の屈曲部に形成された傾斜面である。保護カバー42は、本体ケース35a及び蓋ケース35bが結合した状態で、両ケースの外側面に沿った内側面を有している。封印シール41のシリアル番号41aは、本体ケース35aの屈曲部に配置されており、シリアル番号41aを覆うように保護カバー42の屈曲部が配置される。保護カバーの屈曲部によってシリアル番号41aを覆うと、屈曲部のゆがみにより検査者がシリアル番号41aを視認し難くなる虞がある。
しかし、窓部42aを設けることにより、シリアル番号41aの視認性を確保することができる。シリアル番号41aに不正行為の痕跡があった場合に、ICチップ41bに格納された情報の読み取りと併せて容易かつ迅速にその痕跡を発見、確認することができる。更に、ICチップ41bに格納された情報とシリアル番号41aとを関連付けることにより、ICチップ41b内の情報とシリアル番号41aとを相互チェックして、不正に交換されていないかを確認することができる。
また、封印シール41を覆うように保護カバー42が取り付けられた状態で、保護カバー42と本体ケース35aは、第2ネジ部35qによって固定されている。第2ネジ部35qは保護カバー42の後面側から本体ケース35aのネジ穴35rら侵入してネジ穴35rと螺合しており、保護カバー42と本体ケース35aとの結合を解除するためには、本体ケース35aの後面側から第2ネジ部35qを操作する必要がある。しかし、主制御基板ユニットUは、パチンコ機2の遊技盤6の裏面側に取り付けられた状態において後面に空間がなく、第2ネジ部35qにアクセスすることはできない。したがって、主制御基板ユニットUがパチンコ機2の遊技盤6の裏面側に取り付けられた状態において、保護カバー42の取り外しを防止することができ、不正アクセスを防止することができる。
更に、主制御基板ユニットUは、本体封止部によって遊技機枠に固定されており、分離できないように構成されている。このように、保護カバー42を本体ケース35aに第2ネジ部35qによって固定するとともに、主制御基板ユニットUを本体封止部によって遊技盤6の裏面側に固定することにより、主制御基板ユニットUがパチンコ機2に取り付けられた状態において、保護カバー42の取り外しを防止することができ、不正アクセスを効果的に防止することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態1を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
[実施の形態2]
次いで、図8から図10に基づいて、実施の形態2に係る主制御基板ユニットについて詳細に説明する。実施の形態2に係る主制御基板ユニットは、カバー部材を基板ケースから取り外す際に、封印部材を破る接触部をカバー部材に設けた実施形態である。なお、実施の形態1と同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。
図8は、実施の形態2に係る主制御基板ユニットの不正開放検出構造を拡大して示す分解斜視図である。実施の形態2に係る不正開放検出構造は、本体ケース35aと蓋ケース35bの境界線において、その分離を阻止すべく両ケースに跨るように固定された封印部材としての封印シール41と、両ケースに固定された封印シール41を覆う保護カバー42と、両ケースを固定する第1ネジ部35pと、を有し、保護カバー42は、両ケースに対して着脱自在に構成されており、両ケースから取り外される際に封印シール41を接触部としての爪部42bが形成されている。爪部42bが封印シール41を破ることにより、リーダによる情報部の情報の読み取りが実質的に不可能となる。
第1ネジ部35pは、蓋ケース35bの前面側から本体ケース35a及び蓋ケース35bに形成されたネジ穴35rと螺合することにより、本体ケース35aと蓋ケース35bとを結合する。本体ケース35aと蓋ケース35bとが第1ネジ部35pによって結合された状態において、第1ネジ部35pの頭部の上面を覆いかつ本体ケース35aと蓋ケース35bとの境界線35fを跨るように封印シール41が貼付されている。本体ケース35aと蓋ケース35bとが第1ネジ部35pによって結合された状態において、第1ネジ部35pの頭部は蓋ケース35bの表面より突出して配置されている。
本体ケース35aの境界線35f近傍には、位置決め部としてのケースリブ35sが形成されている。ケースリブ35sは、封印シール41の左側部と右側部とに沿う位置に突出形成されており、このケースリブ35sに封印シール41の左側部又は右側部を合わせて封印シール41を貼付することにより、アンテナ部41cが第1ネジ部35pの真上に配置される。第1ネジ部35pの頭部は蓋ケース35bの表面より突出して配置されているため、アンテナ部41cは、封印シール41の表面から突出して配置される。
また、封印シールを覆うように保護カバー42が設けられており、封印シール41の不測の破損が防止される。保護カバー42が取り付けられていることにより、封印シール41が外部に対して非露出状態となり、パチンコ機2の組付け時やメンテナンス時等において、意図せず封印シール41を破損してしまうということが防止されるようになっている。
保護カバー42における封印シール41のアンテナ部41cと対向する面には、爪部42bが形成されている。爪部42bは、保護カバー42を両ケースから取り外す方向に移動することにより、第1ネジ部35p上に配置された封印シール41と接触し、封印シール41のアンテナ部41cを断線させ、リーダによる情報の読み取りを不可能にするように形成されている。図9は、主制御基板ユニットの保護カバー部分を拡大した拡大断面図である。(a)は、両ケースに保護カバー42を装着する過程の状態を示しており、(b)は、両ケースに保護カバーが装着された状態を示しており、(c)は、保護カバーを両ケースから取り外す過程の状態を示している。
保護カバー42の封印シール41との対向面には、ケースリブ35sと対向して配置され、かつケースリブ35sに向かって突出形成されたカバーリブ42cが設けられている。保護カバー42を両ケースに装着する際は、保護カバー42のカバーリブ42cとケースリブ35sとを当接して配置し、カバーリブ42cがケースリブ35sに沿うように保護カバーをX方向に移動する。このように装着することにより、爪部42bがアンテナ部41cから離間するP方向に保護カバー42が弾性変形して、爪部42bとアンテナ部41cとを接触させずに、保護カバー42を両ケースに取り付けることができる。(a)は、保護カバー42を両ケースに装着する過程の状態であり、爪部42bとアンテナ部41cは接触していない。
保護カバー42の内面と両ケース35a、35bの外面が当接するまで、保護カバー42をX方向に移動した後、保護カバー42をZ方向(図8参照)に移動することにより、カバーリブ42cがケースリブ35sの上方から側方に移動し、保護カバー42の弾性変形が解除される。弾性変形が解除されることにより、爪部42bが封印シール41に近づくようにQ方向に移動して、保護カバー42が両ケースに装着する。(b)は、保護カバー42の弾性変形が解除されて、保護カバーが両ケースに装着した状態である。図10は、(b)のB部分を拡大した部分拡大図である。
保護カバー42を両ケースに装着した後、保護カバー42を両ケースから取り外そうとして保護カバー42をY方向に移動すると、(c)に示すように爪部42bと第1ネジ部35p上の封印シール41とが接触する。第1ネジ部35p上には、アンテナ部41cが配置されており、保護カバー42を更にY方向に移動すると、爪部42bによってアンテナ部41cが破損又は破壊される。このように保護カバー42を両ケースから取り外そうとすると、アンテナ部41cが破壊されICチップ41bの情報が読み取り不可能となる。主制御基板34にアクセスするには、保護カバー42を両ケースから外して、各ケースを分離しなければならないが、保護カバー42を外すことによりアンテナ部41cが破壊されるため、不正に主制御基板34にアクセスしようとした痕跡を確実に残すことが可能となる。
本体ケース35aと蓋ケース35bが第1ネジ部35pによって結合された状態で、両ケースの分離を阻止すべく両ケースに跨るように封印シール41が固定され、この封印シールを覆うように保護カバー42が設けられている。主制御基板34への不正アクセスのために保護カバー42を取り外そうとすると、封印シール41のアンテナ部41cが破損又は破壊され、ICチップ41bの情報を読み取り不可能な状態となる。したがって、もし本体ケース35aと蓋ケース35bとが分離された場合は、封印シール41のアンテナ部41cが切断され、必ずその痕跡が残存するようになっている。更に、リーダを用いてICチップ41bの情報を読み取ることにより不正開放を検出することができるため、目視のみの検出と比較して、何人も不正に開放されたことを容易に検出することができる。
更に、本体ケース35aと蓋ケース35bが第1ネジ部35pによって結合されているので、両ケースの分離が防止され、外部から主制御基板34へのアクセスが防止されている。そして、封印シール41は第1ネジ部35pを覆うように貼付しており、本体ケース35aと蓋ケース35bとを分離するために第1ネジ部35pの結合を解除しようとすると、封印シール41のアンテナ部41cが破損又は破壊され、ICチップ41bの情報が読み取り不可能な状態となる。したがって、本体ケース35aと蓋ケース35bとが分離された場合には、封印シール41のアンテナ部41cが破損又は破壊されており、必ず不正アクセスの痕跡が残存する。すなわち、実施の形態2に係る主制御基板ケースユニットは、カバー部材を基板ケースから取り外すこと、及び結合部材による結合を解除しようとすることによって、封印シールのアンテナ部41cが破損又は破壊されるため、確実に不正開放の痕跡を残すことが可能である。
更に、上記実施の形態2においては、情報部が接触部側に突出して配置された構成について説明したが、本発明に係る接触部の構成は、この構成に限られず変形例を概念することができる。次いで、変形例に係る主制御基板ケースについて、図11から図13に基づいて詳細に説明する。図11は、変形例に係る主制御基板ユニットUの不正開放検出構造の断面を拡大して示す分解斜視図である。図12は、主制御基板ユニットUの不正開放検出構造の分解斜視図である。なお、図11は、説明の便宜のため、不正開放検出構造部分のみを示すように主制御基板ユニットを任意の断面で切断している。また、上記実施の形態と同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。
不正開放検出構造は、本体ケース35aと蓋ケース35bの境界線において、その分離を阻止すべく両ケースに跨るように固定された封印部材としての封印シール41と、両ケースに固定された封印シール41を覆う保護カバー42と、を有する。蓋ケース35bの封印シールが貼付される面には、空間としての窪み部35tが形成されている。保護カバー42は、両ケースに対して着脱自在に構成されており、両ケースから取り外される際に窪み部35tに侵入して封印シール41を破る接触部としての爪部42bが形成されている。爪部42bが封印シール41を破ることにより、リーダによる情報部の情報の読み取りが実質的に不可能となる。
爪部42bは、保護カバー42を両ケースに装着する際の先端部に形成されている。保護カバー42を両ケースから取り外す方向に移動することにより、封印シール41が貼付された窪み部35tに爪部42bが侵入して、封印シール41のアンテナ部41cが断線して、リーダによる情報の読み取りを不可能となるように構成されている。図13は、実施の形態2に係る主制御基板ユニットUの保護カバー部分を拡大した拡大断面図である。(a)は、両ケースに保護カバー42を装着する過程の状態を示しており、(b)は、両ケースに保護カバーが装着された状態を示しており、(c)は、保護カバーを両ケースから取り外す過程の状態を示している。
保護カバー42を両ケースに装着する際は、保護カバー42の表面に形成されたカバーリブ42cとケースリブ35sとを当接して配置し、カバーリブ42cがケースリブ35sに沿うように保護カバーをX方向に移動する。このように装着することにより、爪部42bがアンテナ部41cから離間するP方向に保護カバー42が弾性変形して、爪部42bとアンテナ部41cとを接触させずに、保護カバー42を両ケースに取り付けることができる。(a)は、保護カバー42を両ケースに装着する過程の状態であり、爪部42bとアンテナ部41cは接触していない。
保護カバー42の内面と両ケース35a、35bの外面が当接するまで、保護カバー42をX方向に移動した後、保護カバー42をZ方向(図11参照)に移動することにより、カバーリブ42cがケースリブ35sの上方から側方に移動し、保護カバー42の弾性変形が解除される。弾性変形が解除されることにより、爪部42bが封印シール41に近づくようにQ方向に移動して、保護カバー42が両ケースに装着する。(b)は、保護カバー42の弾性変形が解除されて、保護カバーが両ケースに装着した状態である。
保護カバーを基板ケースに装着した後、保護カバー42を基板ケースから取り外そうとしてY方向に移動すると、(c)に示すように爪部42bが封印シール41の端部に引っ掛かる。保護カバー42を更にY方向に移動すると、爪部42bによって封印シール41が破れてアンテナ部41cが破損又は破壊する。このように保護カバー42を両ケースから取り外そうとすると、アンテナ部41cが破壊されICチップの情報が読み取り不可能となる。以上のように、本実施の形態2に係る制御基板ユニットによっても、保護カバー42を取り外すことによりアンテナ部41cが破壊するため、不正に主制御基板34にアクセスしようとした痕跡を確実に残すことが可能となる。
U:主制御基板ユニット(電子基板ユニット)
2:パチンコ機(遊技機)
3:枠体
4:筐体枠(枠体の一部)
6:遊技盤(遊技装置体)
6a:遊技盤面(表面)
7:センター役物
7a:図柄表示装置
7b:表示画面(映像表示面)
7c:表示図柄
7d:開口部
9:機枠(枠体の一部)
10:前面ガラス(前面透明板)
12:装飾枠(枠体の一部)
14:貯留皿
14a:上皿
14b:下皿
14c:球排出ボタン
15:発射ハンドル
16:遊技領域
22:ヒンジ部(揺動支持部)
23:球(遊技媒体)
28:普通入賞口
29:中央始動口
30:アウト口
31:中央大入賞口
32:装飾部材
33:通過ゲート
34:主制御基板(電子基板)
34a:固定穴(固定部)
34b:電子部品
35:主制御基板ケース(基板ケース)
35a:本体ケース(基板ケース)
35b:蓋ケース(基板ケース)
35e:弧状爪部
35f:境界線(合わせ目)
35g:本体カシメ部(残留痕跡部)
35h:連結部材(残留痕跡部)
35k:蓋カシメ部(残留痕跡部)
35m:封止片(残留痕跡部)
35p:第1ネジ部(結合部材)
35q:第2ネジ部(結合部材)
35r:ネジ穴
35s:ケースリブ(位置決め部)
36:画像制御基板ケース
37:払出制御基板ケース
38:電源基板ケース
39:外部出力端子板
41:封印シール(封印部材)
41a:シリアル番号(識別情報)
41b:ICチップ(情報部)
41c:アンテナ部(情報部)
41d:切り欠き部
42:保護カバー(カバー部材)
42a:窓部
42b:爪部
42c:カバーリブ