JP2011224049A - 座席構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 左右方向の慣性力が作用した際の姿勢の支持性を高める。
【解決手段】 シートクッション部10において、トーションバー150,160により弾性的に支持された前部フレーム130及び後部フレーム140間に、上層面と下層面との間に所定間隙をおいたループ状となるように、クッション用ベースネット170が掛け回されている。カーブ等において遠心力が作用した場合、上層面と下層面との間に間隙があるため、一方の臀部が沈み込もうとし、その反作用により大腿部、特に他方の大腿部が上方に上がろうとする。人の上体は脊柱を軸とする回動力が生じ、左右方向の力が前後方向の力に分散され、人の臀部の横方向への滑りを上記した回動力によって抑制し、左右方向の慣性力が作用した際の姿勢の支持性を高めることができる。
【選択図】 図6

Description

本発明は座席構造に関し、特に、自動車、航空機、列車などの輸送機器用シートとして適するほか、事務用椅子、家具用の椅子やソファ等として用いることもできる座席構造に関する。
本出願人は、座席構造の軽量化を図るため、クッションフレームやバックフレームに三次元立体編物や二次元ネット材を張って設けた張力構造体をクッション材とした座席構造を種々提案している。特許文献1〜3では、シートクッション部にトーションバーを介してベースネットを張設して所定のクッション特性を付与したものであり、三次元立体編物のほか、薄手のウレタン材をクッション材として用いることができ、従来の所定厚みのウレタン材をクッションパン上に載置したものいわゆる「置き構造」のタイプと比較して、軽量化を図りつつ、振動吸収特性、衝撃吸収特性の向上を図ったものである。また、特許文献4では、バックフレームに張ったクッション材に対し、追突等によって所定以上の荷重がかかると、サイドフレームが内倒れし、それにより、クッション材の張力が低下して、衝撃を効果的に減衰できる構造を備えている。これによれば、簡易な構成で人体を受け止めて衝撃を減衰させることができる。また、サイドフレームの内倒れ変形によるエネルギの吸収効果もある。
特開2004−188164号公報 特開2006−345952号公報 特開2006−345953号公報 特開2003−182427号公報
特許文献1〜4の座席構造は、軽量であってかつ振動吸収特性や衝撃吸収特性に優れていることは上記したとおりであるが、コーナリング時などに左右方向の慣性力が作用した際の姿勢の支持性は、シートクッション部及びシートバック部における両サイドの膨出部が主として担っている。左右方向の慣性力が作用した際の姿勢の支持性を高めるために、両サイドの膨出部にウレタン材を積層して高くすることも考えられるが、あまり高くすると、重量が嵩むおそれがある。また窮屈感がでる場合もある。そこで、ウレタン材を積層するか否かに拘わらず、軽量性という特性を保ったまま、左右方向の慣性力が作用した際の姿勢の支持性をより高めることができることが望まれる。
その一方、特許文献1〜4の座席構造は、上記のように、軽量化に貢献するものの、近年、ハイブリッド車や電気自動車等の普及により、座席構造のさらなる軽量化が求められている。軽量化のためには、サイドフレーム等の骨格構造の板厚をさらに薄くすることが考えられるが、サイドフレーム等の板厚をさらに薄くしただけでは、座席構造に求められる強度の点で懸念がある。そこで、サイドフレーム等の板厚を薄くする一方で、降伏応力を上げたハイテン材を使用するか、あるいは、対向するサイドフレーム間にビーム材等を追加することが考えられる。しかしながら、このようなビーム材を追加すると、座席構造の左右方向の固有振動数が高くなり、撓みにくくなる。つまり、剛性が上がるため、骨格構造の変位による振動・衝撃エネルギーの吸収性能が低下する。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、ことができ、さらには、骨格構造の剛性を高くした場合、例えば、軽量化のため、従来のものよりも板厚の薄いサイドフレームを用いつつ、所定の剛性を確保するための追加のビーム材等を設けた構造あるいはハイテン材を使用した構造であっても、振動・衝撃エネルギーの吸収特性に優れた座席構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の座席構造は、シートバック部とシートクッション部とを備えてなる座席構造であって、前記シートクッション部は、一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームの前部間に設けられる前部フレームと、前記一対のサイドフレームの後部間に設けられる後部フレームとを備えてなり、前記前部フレームが、前記一対のサイドフレームの前部間に掛け渡されたトーションバーに支持され、前記後部フレームが、前記一対のサイドフレームの後部間に掛け渡されたトーションバーに支持され、前記前部フレーム及び後部フレーム間に、上層面と下層面との間に所定間隙をおいたループ状となるように、クッション用ベースネットが掛け回されていることを特徴とする。
前記シートバック部は、一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームの上端部間を結ぶ上部フレームと、前記一対のサイドフレームの下端部間を結ぶ下部フレームとを備えたバックフレームと、前記バックフレームの前記一対のサイドフレームを被覆して配設されるバック用ベースネットとを有する構成とすることが好ましい。
前記シートバック部は、さらに、着座者の肩胛骨に対応する一対の肩胛骨支持部を有すると共に、該肩胛骨支持部同士が連結され、各肩胛骨支持部から下方に延びるサイド被覆部を有する略U字状に形成され、肩胛骨支持部を上側にして各サイド被覆部を前記バック用ベースネットを介して前記各サイドフレームに沿って配置され、着座者の動きによって動く際に、前記サイド被覆部の少なくとも一部が、前記バック用ベースネットに対して相対的な動作を示すことができるバック用可動パッドを有することが好ましい。
前記シートバック部は、前記バック用ベースネットよりも狭い幅で形成され、下部が、着座者の少なくとも骨盤から腰部に対応する部位に位置するように前記バック用ベースネットに固定されるバック用固定パッドを備えており、前記バック用可動パッドが、前記バック用固定パッドの周囲に配置されていることが好ましい。
前記バックフレームの前記一対のサイドフレームは、所定の幅と長さを備えた板状部材から形成され、該板状部材をその幅方向が前後方向にほぼ沿うように設けられていると共に、前縁部及び後縁部が略直線状に形成されていることが好ましい。
前記バックフレームは、前記一対のサイドフレームの上下方向中央部よりも下方位置に幅方向に掛け渡される面状バネ部材を有することが好ましい。
前記面状バネ部材の前面を被覆する前面被覆部を有する骨盤支持部材をさらに有し、前記前面被覆部が後方に押圧されると、前記骨盤支持部材が後方に回動すると共に、前記面状バネ部材が変形する構成であることが好ましい。
前記骨盤支持部材の前面被覆部の厚みの範囲内に、前記面状バネ部材の少なくとも一部が埋設されている構成とすることができる。 前記骨盤支持部材の前面被覆部の裏面に、前記面状バネ部材の少なくとも一部が接合されている構成とすることができる。前記骨盤支持部材は、所定幅に亘って形成した凹部を有する構造であることが好ましい。前記凹部の幅方向の間隔が150〜220mmの範囲であることが好ましい。前記面状バネ部材は、両端部付近に支持ブロックが設けられ、各支持ブロックが前記骨盤支持部材の前面被覆部の裏面に接合されていることが好ましい。
前記各支持ブロックが接合される前記骨盤支持部材の前面被覆部の裏面の幅方向両端部付近に傾斜面が設けられていることが好ましい。前記各支持ブロックが、前記骨盤支持部材の前面被覆部の裏面に、横方向にスライド可能に係合されていることが好ましい。前記支持ブロック間の間隔が150〜220mmの範囲であることが好ましい。
前記面状バネ部材は、平面視で幅方向中央部が後方に膨出する湾曲形状で設けられており、前記骨盤支持部材が後方に押圧されると幅方向に変形するように取り付けられていることが好ましい。
前記骨盤支持部材は、断面略L字状に形成され、その角部付近の内側に、シートバック部のリクライナ間に掛け渡される連結ロッドが配置される第1溝部を有することが好ましい。前記骨盤支持部材は、断面略L字状に形成され、その角部付近の外面に、シートバック部のリクライナ間に掛け渡される連結ロッドの後部側に位置する外面溝部が形成され、さらに、その後方部位に下方に膨出する膨出部が形成されていることが好ましい。前記骨盤支持部材がビーズ発泡体から形成されることが好ましい。
前記バック用ベースネットの下端縁が、前記各サイドフレームの前縁側から後縁側に外側を通過して掛け回された後、さらに各サイドフレームの内側を通過して前縁側に引き出されて固定されていることが好ましい。前記クッション用ベースネットは、一枚のネット部材を前部フレーム及び後部フレーム間にループ状に掛け回したものであり、端縁部同士が係合部材により係合され、該係合部材が前記前部フレーム又は後部フレームに接する位置となるように設けられていることが好ましい。前記係合部材がスライドファスナであることが好ましい。前記クッション用ベースネット上に設けられるクッション用表層クッション材は、該クッション用ベースネットに拘束されずに設けられることが好ましい。
本発明によれば、シートクッション部において、トーションバーにより弾性的に支持された前部フレーム及び後部フレーム間に、上層面と下層面との間に所定間隙をおいたループ状となるように、クッション用ベースネットが掛け回されている。従って、カーブ等において遠心力が作用した場合、上層面と下層面との間に間隙があるため、一方の臀部が沈み込もうとし、その反作用により大腿部、特に他方の大腿部が上方に上がろうとする。これにより、人の上体は脊柱を軸とする回動力が生じ、左右方向の力が前後方向の力に分散され、さらに、前部フレームは後方に引き寄せられて上昇してくる。その際、人には姿勢を安定させるように骨盤支持部材が作用し、さらに、上昇した大腿部、特に他方の大腿部を下方に下げるような上下方向に生じる回動力が作用して、それが踏ん張る力となる。その結果、前部フレームと大腿部との間の摩擦力が支持力となり、人の臀部の横方向への滑りを上記した回動力によって抑制し、左右方向の慣性力が作用した際の姿勢の支持性を高めることができる。また、上下方向に加わる力が、クッション用ベースネットの2つの層に分散され易くなり、入力Gに対応して受ける層が、上層面だけ、あるいは上層面と下層面の両方というように変化するため、振動吸収性、衝撃吸収特性の点でも好ましい。
また、シートバック部のバックフレームとして、一対のサイドフレームと、上部フレーム及び下部フレームから構成され、サイドフレームの下部付近間に骨盤支持部材を配設するほかは一対のサイドフレーム間に他のフレームが配置されていない構造のものを用い、このバックフレーム及び骨盤支持部材上にバック用ベースネットを張設した構造とすることが好ましい。このようにすると、バック用ベースネットのうち、周辺部の剛性が高くなり、幅方向中心線に沿ったセンター部が前後に撓み易なる。すなわち、バック用ベースネットの外側の体側の支持圧が高くなるため、走行中に左右ロールが生じた際には脊柱を中心に体が回転しようとして前後の力に変換され易くなり、着座者の支持性が高くなる。従って、コーナリングの際などにおいて、左右方向の慣性力が作用した場合、体幹の脊柱を中心とした回転運動が生じ、シートバック部に押しつけられやすくなる。上記したように、シートクッション部において臀部の横滑りが抑制されながら、さらに、背部においては脊柱を中心とした回転運動が生じるため、左右方向の慣性力による姿勢の崩れを抑制する効果が極めて高い。
さらに、バックフレームに支持されるバック用ベースネットに対して可動に配置され、着座者の肩胛骨に対応する肩胛骨支持部を有するバック用可動パッドを備えた構成とすると、肩胛骨が、バック用可動パッドに設定された肩胛骨支持部に当接して支持される。これにより、肩胛骨の支持性がさらに高くなって、上記した脊柱を中心とした回転運動がより生じやすくなり、肩胛骨が肩胛骨支持部に押しつけられる方向に力が働き、左右方向の慣性力が機能した際の姿勢の崩れをさらに抑制することができる。その一方、肩胛骨は本来可動範囲が大きい部位であるため、肩胛骨の可動範囲が規制されると着座時において窮屈感が生じ、円滑な呼吸運動の妨げとなるが、本発明によれば、肩胛骨の動きに従ってバック用可動パッドが動き、それにより体動が妨げられないため、窮屈感が生じたり、呼吸運動が妨げられたりすることがない。また、バックフレーム及びクッションフレームの剛性が高いタイプに本発明を適用した場合であっても、バック用可動パッドが動きやすいため、それにより、路面から入力される上下方向の振動エネルギーや衝撃エネルギーを吸収することができる。
図1は、本発明の一の実施形態に係る座席構造を示した正面図である。 図2は、図1のC−C線断面図である。 図3は、図1の側面図である。 図4(a)は、図3のA−A線断面図とその部分詳細図であり、(b)は動きを説明するための図である。 図5は、図3のB−B線断面図である。 図6は、図1の主要部を示した分解斜視図である。 図7は、バック用ベースネット及びクッション用ベースネット等をバックフレーム及びクッションフレームに取り付けた状態を示した背面側から見た斜視図である。 図8は、バック用可動パッド、骨盤支持部材及びクッション用ベースネット等をバックフレーム及びクッションフレームに取り付けた状態を示した正面側から見た斜視図である。 図9は、バックフレーム、クッションフレーム及び骨盤支持部材を示した正面図である。 図10は、図9のB−B線断面図である。 図11は、上記実施形態に係るバックフレーム及びクッションフレームの構成を示した斜視図である。 図12は、クッション用表層クッション材を示した外観図である。 図13は、図12のA線に沿った断面図である。 図14は、上記実施形態で用いた骨盤支持部材を示した図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は平面図、(e)は(c)のA−A線断面図である。 図15は、骨盤支持部材の他の例を示した図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は(c)のA−A線矢視図である。 図16は、骨盤支持部材のさらに他の例を示した図であり、(a)はSバネを接合する前の背面側から見た斜視図、(b)はSバネを接合した状態の背面側から見た斜視図、(c)は正面側から見た斜視図、(d)は(c)のA−A断面図である。 図17は、骨盤支持部材のさらに他の例を示した図であり、(a)はSバネを接合する前の背面側から見た斜視図、(b)はSバネを接合した状態の背面側から見た斜視図、(c)は正面側から見た斜視図、(d)は(c)のA−A断面図である。 図18は、骨盤支持部材のさらに他の例を配置したバックフレーム及びクッションフレームの構成を示した図である。 図19は、図18のA−A線断面図である。 図20は、図18及び図19で採用した骨盤支持部材を示した図であり、(a)はSバネを接合した上体の背面側から見た斜視図、(b)はSバネを接合する前の背面側から見た斜視図、(c)はSバネを接合した状態の正面図、(d)はSバネを接合した状態の背面図、(e)は(d)のA−A断面図である。 図21(a)〜(c)は、上記実施形態で用いたクッション用ベースネットの作用を説明するための図である。 図22は、上記実施形態で用いたクッション用ベースネットの作用を説明するための図である。 図23は、上記実施形態で用いたクッション用ベースネットをソファに適用した場合の作用を説明するための図である。 図24は、試験例シートに着座した際の静的状態での被験者の体圧分布を示した図であり、(a)はシートバック部における体圧部分布を、(b)はシートクッション部における体圧分布を示す。 図25(a)〜(j)は、S字カーブ走行時における試験例シートと比較例シートのシートバック部における体圧分布の時系列変化を示した図である。 図26(a)〜(k)は、S字カーブ走行時における試験例シートと比較例シートのシートバック部における体圧分布の時系列変化を示した図であり、図13の続きである。 図27(a)〜(c)は、シートバック部の角度をきつくした場合((a)のアップライト)、若干ゆるくした場合((b)のミドル)、さらにゆるくした場合((c)のリラックス)において、左カーブを曲がった際のシートバック部とシートクッション部の体圧分布を示した図である。 図28は、試験例シート、比較例シート等の振動伝達率を示した図である。 図29は、試験例シートに体重の異なる被験者を着座させて測定した振動伝達率を示した図である。 図30は、試験例シート、比較例シートを使用した被験者の疲労度の測定結果を示した図である。
以下、図面に示した実施の形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。まず、図1〜図22に基づき、本発明の一の実施形態に係る自動車用の座席構造1を説明する。これらの図に示したように、本実施形態の座席構造1は、シートクッション部10と、このシートクッション部10に対して傾動可能に設けられるシートバック部20とを有して構成される。
シートクッション部10を構成するクッションフレーム100は、所定間隔をおいて配置される一対のサイドフレーム110,120と、該サイドフレーム110,120の前縁側に配置される前部フレーム130と、後縁側に配置される後部フレーム140とを備えてなる。
前部フレーム130は、水平部131と、この水平部131の両サイド付近で略直交する方向に屈曲されたアーム部132,132とを有する略コ字状に形成されてなる。アーム部132,132の基端部が、サイドフレーム110,120の前縁部付近間に掛け渡された第1トーションバー150にそれぞれ連結される。これにより、アーム部132,132及び両者間に位置する水平部131が前後方向に回動する際に第1トーションバー150の弾性力が作用する。
後部フレーム140は、上記した前部フレーム130と同様に、水平部141と、この水平部141の両サイド付近で略直交する方向に屈曲されたアーム部142,142とを有する略コ字状に形成されてなる。アーム部142,142の基端部が、サイドフレーム110,120の後縁部付近間に掛け渡された第2トーションバー160にそれぞれ連結される。これにより、アーム部142,142及び両者間に位置する水平部141が前後方向に回動する際に第2トーションバー160の弾性力が作用する。なお、本実施形態では、クッションフレーム100の強度を高めるために、サイドフレーム110,120の後方寄りの部位に、両者間に掛け渡した補強パイプ125を配設している(図11参照)。なお、第1トーションバー150及び第2トーションバー160の復元力が、乗員を弾性的に支持する力になると共に、乗員の動きを許容して左右方向の力を前後方向に変換する回動力を生む要因の一つとなる。
クッションフレーム100の上記した前部フレーム130の水平部131と後部フレーム140の水平部141との間にクッション用ベースネット170が掛け渡される。クッション用ベースネット170は、二次元の布帛、二次元の布帛に薄いウレタン材をラミネートしたもの、あるいは、本出願人が特開2003−182427号公報等において開示した三次元立体編物等を用いることができる。
クッション用ベースネット170は、1枚ものを、前部フレーム130の水平部131と後部フレーム140の水平部141との間にループ状に掛け回して、端縁部同士を連結して配置される。ループ状に掛け回すことにより、クッション用ベースネット170は、上層部171と下層部172との2層構造となり、両者の間に間隙173が生じることになる。クッション用ベースネット170の端縁部同士の連結方法は任意であり、縫製手段により連結することもできるが、スライドファスナ等の係合部材(図示せず)を介して係合し、係合部材が、前部フレーム130又は後部フレーム140に接する位置になるように配置することが好ましい。このようにすることで、スライドファスナ等の係合部材と、前部フレーム130又は後部フレーム140との間の摩擦力が高くなり、ループ状に掛け回したクッション用ベースネット170の、前部フレーム130及び後部フレーム140に対する相対的な位置ずれを抑制できる。
クッション用ベースネット170上には、クッション用表層クッション材180が設けられる。クッション用表層クッション材180は、三次元立体編物、ビーズ発泡体、ウレタン材、あるいは、これらの積層体等を用いることができる。本実施形態では、図2及び図13に示したように、上下2枚の布帛181,182間に内包させた三次元立体編物183と、ビーズ発泡体184とからなるものを用いている。すなわち、クッション用ベースネット170上にビーズ発泡体184を積層し、さらにその上に、布帛181,182にサンドイッチされた構造の三次元立体編物183を積層した構造である。また、下側に配置される布帛182とビーズ発泡体184との間は、面ファスナ185を介して一体に固着されているが、ビーズ発泡体184とクッション用ベースネット170との間は固着されておらず、ビーズ発泡体184は、クッション用ベースネット170上に載った状態となっている。そして、上層側の布帛181の測縁部に側部被覆用表皮186が接合され、この側部被覆用表皮186が係合用の樹脂プレート186aを介してクッションフレーム100に係合される。従って、クッション用表層クッション材180は、クッション用ベースネット170に対して相対的に変位可能となっており、特に前後方向の振動吸収に役立つ。
なお、三次元立体編物183は、例えば、特開2002−331603号公報、特開2003−182427号公報等に開示されているように、互いに離間して配置された一対のグランド編地と、該一対のグランド編地間を往復して両者を結合する多数の連結糸とを有する立体的な三次元構造となった編地である。ビーズ発泡体184としては、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンのいずれか少なくとも一つを含む樹脂のビーズ法による発泡成形体が用いることができる。
ここで、三次元立体編物183(なお、この三次元立体編物183に代えて、ウレタンパッド、ウレタンパッドや三次元立体編物の積層体などのクッション材を用いることももちろん可能である)は、上記したように上下2枚の布帛181,182間にサンドイッチされるが、下側の布帛182が、上側の布帛181よりも伸びの小さな材質からなるものを用いることが好ましい。例えば、上側の布帛181としては、合皮、本革等を用いることができ、下側の布帛182としては、それよりも伸びの小さな不織布、帆布、二次元ネット、三次元立体編物等を用いることができる。また、これに加えて、ポリプロピレン製の薄い板状体、シート状に形成されたビーズ発泡体を下側の布帛182に縫製してさらに積層して用いることもできる。2枚の布帛181,182間に所定厚さの三次元立体編物183を挟んで、所望のラインに沿って2枚の布帛181,182を直接縫い付ける。これにより、上側の布帛181の方が伸びやすいため、図12及び図13に示したように、所定のラインに沿った上側の布帛181の部位が、下側の布帛182の方向に引き込まれ、深い溝181aが形成されることになる。このような溝181aを作ることにより、三次元立体編物183の弾性機能を十分に発揮させることができると共に、シートクッション部10の表面から見た際に、ボリューム感を出すことができる。従来の所定厚みのウレタンパッドを用いた置き構造のクッション材の場合、表皮をウレタンパッドに形成した溝内に釣り込んで溝底部に係合させていたが、本実施形態によれば、2枚の布帛181,182として剛性の異なるものを用いて両者の適宜位置を縫製するだけでよいため、容易に溝181aを形成することができる。
なお、布帛181,182にウレタンパッドをラミネートし、いわゆるたたき縫製によって溝181aを形成することもできる。
シートバック部20を構成するバックフレーム200は、図9〜図11に示したように、所定間隔をおいて配置される一対のサイドフレーム210,220と、該サイドフレーム210,220の上部間に配置される第1上部フレーム230,第2上部フレーム240と、該サイドフレーム210,220の下部間に配置される下部フレーム250とを備えてなる。そして、クッションフレーム100のサイドフレーム110,120の後部に、バックフレーム200のサイドフレーム210,220の下部がリクライニングアジャスタ40を介して連結され、バックフレーム200はクッションフレーム100に対して前後に傾動可能に設けられる。
バックフレーム200の各サイドフレーム210,220は、所定の幅を備えた板状部材から形成され、その幅方向がほぼ前後方向に沿う向きで配置される。具体的には、図9〜図11に示したように、その幅は、上側から下側に向かうに従って次第に幅が広くなる形状を備えており、クッションフレーム100に対するバックフレーム200の傾きを略90度とした状態で側面から見た際に、前縁部210a,220aは、上側から下側に向かうに従って前方に突出する方向に傾斜するラインに沿っており、後縁部210b,220bはほぼ垂直なラインに沿った形状となっている。また、前縁部210a,220a及び後縁部210b,220bとも、中途に大きな凹凸のない略直線状のラインとなっている。
第1上部フレーム230は、外側に向かって下方向に若干傾斜した横方向フレーム部231と、該横方向フレーム部231の各端部から下方に延びて一対のサイドフレーム210,220の各前縁上端部にそれぞれ連結された縦方向フレーム部232とを有する構造である。そして、横方向フレーム部231の略中央部に略逆U字状に屈曲されたヘッドレスト支持部233が一体に形成されている。
第2上部フレーム240は、外側に向かって下方向に若干傾斜した横方向フレーム部241と、該横方向フレーム部241の各端部から下方に延びて一対のサイドフレーム210,220の各後縁上端部にそれぞれ連結された縦方向フレーム部242とを有する構造である。
ここで、本実施形態では、サイドフレーム210,220間であって、第1上部フレーム230と第2上部フレーム240の各横方向フレーム部231,241から、サイドフレーム210,220の後縁下端部間に掛け渡された下部フレーム250までの間には、他のフレームが配置されていない陥入空間260となっている。
下部フレーム250よりもやや上方位置において、すなわち、着座者の骨盤上部から腰部付近に対応する位置において、サイドフレーム210,220の前縁側付近には、面状バネ部材としてのSバネ251が掛け渡されている。Sバネ251は、着座者の骨盤から腰部付近に当接し、前後方向へのストローク感を出す。Sバネ251は、幅方向中央部が前方又は後方に膨出したアーチ形状に設けられていることが好ましい。前方に膨出するアーチ形状に形成されていると、ストローク感を感じさせやすくでき、後方に膨出するアーチ形状に形成されていると、人の背に沿ったフィット感が向上する。着座者の好みの問題もあるため、いずれにするかは、例えば、本実施形態の座席構造を設置する自動車等の乗物のタイプ(セダンタイプ、スポーツタイプなど)により選択することができる。Sバネ251を設けると、上端縁側押圧されると下端縁側を中心として後方に回動し、骨盤を、斜め下から斜め上方向にバネによる反力で支持できる。また、左右方向に慣性力が入力された際には、相対的に小さなバネ定数により、反力の小さいストロークが生じ、回転運動を生じながら骨盤をしっかりと支えてくれる。なお、斜め下から斜め上に支持圧を作用させやすくするため、Sバネ251は、図6〜図10に示した骨盤支持部材252と一体に設けることが好ましい。
骨盤支持部材252は、図6、図8〜図10及び図14に示したように、ビーズ発泡体を側面視で略L字状に加工して形成され、Sバネ251よりも狭い幅で形成され前面被覆部252aを有し、その上部は反り返り部252bとなっている。前面被覆部252aは、Sバネ251の前面を被覆する。Sバネ251の前面を被覆するようになっていればよく、前面被覆部251の前面に前面被覆部252aの裏面を接着等の接合手段により一体化してもよいが、本実施形態では、前面被覆部252aの厚みの範囲内に、Sバネ251が埋設されるように一体成形されている。反り返り部252bは、図8〜図10に示したように、着座者の腰部に対応する位置まで前面被覆部252aから上方に延びると共に、上端縁が若干後方に反った形状に形成されている。この反り返り部252bを有することにより、着座者が後方へ荷重をかけた際に、反り返り部252bを後方斜め下方向に回転させようとする力が加わるため、その反力として着座者の骨盤から腰部にかけての部位を斜め下から斜め上方向に押圧する。
略L字状の骨盤支持部材252角部付近の内側には、第1溝部252dが形成されており、骨盤支持部材252は、この第1溝部252dを、左右のリクライナ間に位置する連結ロッド295の周囲に位置させて配置される。また、第1溝部252dよりもさらに後方に第2溝部252eが形成されており、この第2溝部252eが下部フレーム250の下縁部に係合して配設される。これにより、略L字状の骨盤支持部材252は、前面被覆部252aがSバネ251により支持され、後方側の第2溝部252eが下部フレーム250に支持されるため、両端支持構造になると共に、弾性も有するため、座席構造1の製造ラインにおいて、搬送用のキャリアの爪を連結ロッド295の下方に差し込んで搬送する際、連結ロッド295の破損防止用弾性部材にもなる。
また、骨盤支持部材252をSバネ251と一体的に設けることで、骨盤支持部材252がSバネ251の弾性により、後述のバック用ベースネット270の下端付近を前方に張り出させ、所望の外形形状を得るのに役立つ。
また、本実施形態では、骨盤支持部材252に一体化される面状バネ部材としてSバネ251を用いているが、Sバネ251に代えて、フォームドワイヤ、プルマフレックス等を用いることもできる。
バックフレーム200のサイドフレーム210,220、第1及び第2上部フレーム230,240には、バック用ベースネット270が支持されている。バック用ベースネット270は、図2〜図7に示したように、バックフレーム200の正面側を被覆する正面被覆部271を有すると共に、背面側の被覆する背面被覆部272と、サイドフレーム210,220を被覆する側面被覆部273,274を有している。
正面被覆部271は、第1上部フレーム230と第2上部フレーム240の各横方向フレーム部231,241から下部フレーム250に対応する位置に至るまでの大きさを有している。背面被覆部272は、図2に示したように、サイドフレーム210,220の各後縁側において、上下方向中央付近に至るまで設けられている。背面被覆部272は、正面被覆部271と一体に形成された袋状になっており、正面被覆部271と背面被覆部272との上縁部の境界にはスリット275が形成され、そのスリット275からヘッドレスト支持部233が突出するようにして被覆されている(図6及び図7参照)。
側面被覆部273,274は、正面被覆部271の両側部に一体に設けられており、その下端縁273a,274aが、各サイドフレーム210,220の前縁側から後縁側に外側を通過して掛け回された後、さらに各サイドフレーム210,220の内側を通過して前縁側に引き出されるようにして固定されている(図7参照)。
バック用ベースネット270をこのようにして張設することで、着座者の体側に対応するサイドフレーム210,220寄りの部分は前後への撓みの小さな部位となり、バック用ベースネット270のセンターラインに沿った体幹の脊柱に対応した部分が、前後に撓み易くなる。これにより、コーナリングの際に左右方向に慣性力が作用すると、体幹の脊柱を中心とした回転運動が生じやすくなる。回転運動が生じた際に、センターラインに沿った部分が前後に撓むと、Sバネ251の支持圧が上昇する。この上昇した支持圧により、着座者とシートバック部20との間に生じる摩擦力と回転による回動力により、体が左右方向にずれるのを防止する。
シートバック部20は、さらに、バック用ベースネット270よりも狭い幅で形成され、下部が、着座者の少なくとも腰部付近に対応する部位に位置するようにバック用ベースネット270に固定されるバック用固定パッド280を備えている(図4及び図6参照)。バック用固定パッド280は、例えば、三次元立体編物、ウレタン材、ビーズ発泡体等から所定の厚みで形成される。具体的には、図4に示したように、バック用固定パッド280の表面を被覆するバック用表層クッション材300とバック用ベースネット270とのセンターラインの部位同士が縫製されると共に、バック用表層クッション材300とバック用ベースネット270の正面被覆部271の両側縁同士も縫製され、センターラインを中心とした左右のバック用表層クッション材300とバック用ベースネット270との間に固定配設される。また、バック用表層クッション材300としてバック用ベースネット270よりも伸びやすいものを用いることで、図4に示したように、バック用表層クッション材300が縫製ラインに沿って引き込まれるため、バック用固定パッド280のクッション感、ボリューム感を出すための凹部300aが形成されることになる。このバック用固定パッド280を有することにより、腰部付近から胸部付近における前後へのストローク感が増し、腰部の支持性が高まる。なお、軽量化のためには、バック用固定パッド280をビーズ発泡体から形成することが好ましい。
バック用固定バッド280の周囲には、各サイドフレーム210,220を、バック用ベースネット270を介して被覆するようにバック用可動パッド290が配設される。バック用可動パッド290は、着座者の肩胛骨に対応する一対の肩胛骨支持部291,292を有すると共に、該肩胛骨支持部291,292同士が連結され、各肩胛骨支持部291,292から下方に延びるサイド被覆部293,294を有する正面から見て略U字状に形成されている。なお、サイド被覆部293,294は、サイドフレーム210,220の正面側、側面側及び背面側を被覆できるように、断面略コ字状に形成されている。そして、上記のようにバック用ベースネット270で被覆されたバックフレーム200に、肩胛骨支持部291,292が上側に位置するようにして、肩胛骨支持部291,292間からヘッドレスト支持部233を上方に突出させ、断面略コ字状の各サイド被覆部293,294で各サイドフレーム210,220を覆うようにして配置する。また、バック用表層クッション材300は、図4に示したように、バック用可動パッド290(サイド被覆部293,294)の外面を覆うが、バック用可動パッド290の動きは許容するように被覆される。これにより、バック用可動パッド290のうちの少なくともサイド被覆部293,294は、図4(b)の想像線の位置から実線で示したように、人の動きに追随して、バック用ベースネット270とは、相対的に独立した動きを示すことになる。
バック用可動パッド290も、三次元立体編物、ウレタン材、ビーズ発泡体等から形成できるが、上記と同様に、軽量化のためには、ビーズ発泡体から形成することが好ましい。なお、ビーズ発泡体は、広い面積(直径98mm以上)の加圧板による圧縮においてバネ定数が小さく現れるようにすることはできないため、バック用可動パッド290の上端(ヘッドレスト支持部233が挿通されて上方に突出している部分)をいわば固定端にした片持ち構造によるはりの弾性により変位を生み出せるようにし、厚み方向のバネ定数を擬似的に小さくするものである。そのため、バック用可動パッド290のサイド被覆部293,294の下部は開いていることが望ましい(図6参照)。そして、バック用表層クッション材300が人の背に押圧された際には、バック用可動パッド290のサイド被覆部293,294は、下部が固定されていないため、サイドフレーム210,220回りでバック用ベースネット270に対し、相対的に内方に回動するように動き(図4(b)の想像線で示した位置から実線に示した位置へと動き)、反力が少ない中でストローク感が発生する。これにより、人はバネ定数を小さく感じる。
バック用可動パッド290を有することにより、着座者の肩胛骨が肩胛骨支持部291,292に当接する。肩胛骨支持部291,292が位置するのは、バック用ベースネット270におけるサイドフレーム210,220寄りの部位であるため、センターラインの沿った部位よりも前後方向への撓みの少ない部分である。従って、着座者の肩胛骨が接すると、肩胛骨支持部291,292は所定の支持圧を発揮する。その結果、肩胛骨と肩胛骨支持部291,292との間は、前後に撓み易いバック用ベースネット270のセンターラインに対応する部位と比較して、高い摩擦力が生じるため、左右方向の慣性力が働いた際に、肩胛骨支持部291,292の左右方向へのずれが抑制され、骨盤を入力点として脊柱を中心とした回転運動が生じやすくなる。その一方、バック用可動パッド290は、各サイド被覆部293,294によって各サイドフレーム210,220を覆って配置しているだけであり、上記のように、人の動きに追随して、かつSバネ251による弾性力が作用してバック用ベースネット270から独立して動くことができるようになっている。人の肩胛骨、骨盤あるいは腰部は、よく動く部位であり、これに対して例えば肩胛骨支持部291,292が固定配置されていたのでは、肩胛骨の可動範囲が規制されて窮屈感が生じ、円滑な呼吸運動の妨げとなる。しかしながら、このようにバック用可動パッド290をバック用ベースネット270に対して可動に配置すれば、肩胛骨の動きに従ってバック用可動パッド290が動き、それにより体動が妨げられないため、窮屈感が生じたり、呼吸運動が妨げられたりすることがない。また、バックフレーム200及びクッションフレーム100のフレーム自体の剛性を高めたとしても、バック用可動パッド290が動きやすいため、それにより、路面から入力される上下方向の振動エネルギーや衝撃エネルギーを吸収することができる。特に、本実施形態では、バックフレーム200のサイドフレーム210,220の前縁部10a,220a及び後縁部210b,220bは、上記のように大きな凹凸のない略直線状に形成されており、バック用可動パッド290が上下に運動しやすくなっている。
本実施形態によれば、シートクッション部10、第1及び第2トーションバー150,160により弾性的に支持された前部フレーム130及び後部フレーム140間に、上層面171と下層面172との間に所定の間隙173をおいたループ状となるように、クッション用ベースネット170が掛け回されている。従って、カーブ等において遠心力が作用した場合、上層面171と下層面172との間に間隙173があるため、一方の臀部が沈み込もうとし、その反作用により大腿部、特に他方の大腿部が上方に上がろうとする。一方の臀部が沈み込んで他方の大腿部が上方に上がろうとすると、前部フレーム130は後倒方向に引っ張られて上昇してくる(図21(b)の状態)。その際、人は姿勢の維持のため、上昇した大腿部、特に他方の大腿部を下方に下げるように踏ん張る力を作用させる(図21(c)の状態)。その結果、前部フレーム130と大腿部との間の摩擦力が高くなり、人の臀部の横方向への滑りを抑制し、左右方向の慣性力が作用した際の姿勢の支持性を高めることができる。また、これは、左右の臀部を異なるバネ定数のクッション材で支持することになり、その結果、人は、均等な支持感として感じることができ、安心感を生むことになる。
また、上下方向に加わる力が、クッション用ベースネット170の2つの層に分散されるため負荷質量依存性がなくなり、振動吸収性、衝撃吸収特性の点でも好ましい。また、ループ状に張設すると、シートクッション部10の後部寄りに重心が位置するように着座した場合には、クッション用ベースネット170において、後部寄りの上層部171が下層部172に接近し、上下2層間の間隙173がなくなるように変化する。その一方で、前部寄りの上層部171と下層部172との間隙173は通常状態を保ったままであるため、図22に示したように、座角θ1からθ2へと大きくなって大腿部の支持圧が高くなり、安定した着座姿勢の維持に役立つ。
また、シートバック部20においては、上記のように、バック用ベースネット270のうちの幅方向中心線に沿ったセンター部が前後に撓み易く、その外側の体側の支持圧が高くなるため、走行中に左右ロールが生じた際には脊柱を中心に体が回転して前後の力に変換され易くなり、着座者の支持性が高くなる。従って、コーナリングの際などにおいて、左右方向の慣性力が作用した場合、体幹の脊柱を中心とした回転運動が生じやすくなる。上記したように、シートクッション部10において臀部の横滑りが抑制されながら、さらに、背部においては脊柱を中心とした回転運動に変換するため、左右方向の慣性力による姿勢の崩れを抑制する効果が極めて高い。
さらに、バックフレーム200に支持されるバック用ベースネット270に対して可動に配置され、着座者の肩胛骨に対応する肩胛骨支持部291,292を有するバック用可動パッド290を備えているため、肩胛骨が、バック用可動パッド290に設定された肩胛骨支持部291,292に当接して支持される。これにより、肩胛骨の支持性がさらに高くなって、上記した脊柱を中心とした回転運動がより生じやすくなり、左右方向の慣性力が機能した際の姿勢の崩れをさらに抑制することができる。また、本実施形態では、クッションフレーム100の剛性アップのために補強用フレーム125を配置しており、フレーム自体の横方向の固有振動数が高くなって振動吸収特性が小さくなっているが、バック用可動パッド290が動きやすいため、その運動が、路面から入力される上下方向の振動エネルギーや衝撃エネルギーを吸収するのに機能する。すなわち、頭部、特に脳に伝達される振動を極力減らすに当たって、体幹付近では、体の表層を伝播する振動を深層の筋肉、内蔵などがダンパやダイナミックダンパの役割を果たし、減衰させるものであるが、体幹から遠いところにある肩胛骨や骨盤という動きの小さい骨格は、それ自体による減衰効果が極めて小さいことからバック用可動パッド290等に当接させ、その動きによって振動を減衰するものである。また、本実施形態のように、脊柱に沿った部分の支持圧がその外側の支持圧よりも小さいと、脊柱のカーブが動きやすい。脊柱のカーブは呼吸(深呼吸)や体動により動くが、それにより、椎間板に内圧変動が生じ、椎間板内外との栄養補給、老廃物の排出が積極的に行われ、腰痛予防に寄与する。
これらの効果をまとめると、以下のようになる。すなわち、腰部をストロークのあるソフトな弾性力(バック用可動パッド290、バック用ベースネット270、骨盤支持部材252及びSバネ251等により作用する弾性力)で支持することにより、振動吸収性が向上し、かつ、左右方向の慣性力を座面に対して上下方向の力に変換し、回転力を生むため、姿勢も安定する。これにより、腰痛発症の低減、姿勢変動の際の違和感(何かに当接している感覚、あるいは、何かに動きを邪魔されている感覚)がなくなり、部屋でゆっくりしているときのようなリラックスした状態に誘導される。これは、前後方向に柔軟性がある脊柱の動きを邪魔しないことによる。また、脊柱は、左右方向の剛性が高いため、左右方向に動こうとすると何かに動きを妨げられている違和感があるが、本実施形態によれば上記した回転運動が生じることでこの違和感が減殺される。そして、脊柱のカーブが猫背姿勢にならないようにするため、骨盤及び腰部の外側(幅方向中央部から左右それぞれに75mm以上離れたところ、好ましくは90mm前後離れたところ)、腰腸肋筋部から腸骨陵を支持する骨盤上方支持及び体側支持となる。また、これらの腰部、骨盤支持が、骨盤の後転を防ぎながら体幹に回転力を生む役目もしてくれる。これら状態の動き、運動が、踵によって下肢を支持している座位姿勢では、第2の心臓と呼ばれている下肢の筋肉を動かし、静脈の心臓への還流を促す。これにより、体内の血流循環が改善される効果を生み、疲労の進行を抑え、また、座位姿勢に至る前に使われていた筋肉機能や自律神経機能の回復につながる。
また、バックフレーム200は、第1上部フレーム230と第2上部フレーム240の各横方向フレーム部231,241から、サイドフレーム210,220の後縁下端部間に掛け渡された下部フレーム250までの間には、他のフレームが配置されていない陥入空間260となっている。従って、着座者の背部は、肩胛骨付近と、腰部下部から骨盤付近の支持圧が高くなっている。そのため、追突によって所定以上の衝撃を受けた場合、人体は、バックフレーム200に張られたベースネット270を押し込む方向に変位していく。人体を押し込む力がバック用ベースネット270の張力を上回ると、該バック用ベースネット270で支えられながら、該陥入空間260に陥入していく。バック用ベースネット270がさらに押し込まれていくと、サイドフレーム210,220の前縁側が内側に倒れるように変形し、さらなるエネルギー吸収がなされながら、人体は、さらに陥入空間260に陥入し、衝撃力が減衰されていくことになる。また、腰部や骨盤を支持している骨盤支持部材252に内蔵されたSバネ251は、集中荷重により下方向に押し下げられて回動していく。あるいは、骨盤支持部材252との連結部位が外れ、Sバネ251は回動し、反力が小さくなり、人の上体がバックフレーム200の陥入空間260に侵入していく。これにより、人の頭部は、ヘッドレスト支持部233によって支持されたヘッドレストに速やかに当接して支えられることになり、頭部の急激な後傾による頸部の損傷を抑制することができる。
ここで、骨盤支持部材252としては、図15に示したような構造とすることも可能である。この骨盤支持部材252は、前面被覆部252aの幅方向中央部から左右にそれぞれ75mm以上の幅、好ましくは90mm前後(合わせて150mm以上、好ましくは150〜220mm、より好ましくは170〜190mm)に亘って形成した凹部252fを有している。従って、Sバネ251は、凹部252fを挟んだ両側部252gに埋設され、凹部252fに対応する部分では外部に露出することになる。その結果、骨盤支持部材252に被覆されるバック用ベースネット270は、凹部252fに対応する部分がより撓み易くなり、上記したコーナリングの際などにおける体幹の脊柱を中心とした回転運動がさらに生じやすくなる。なお、凹部252fは、前面被覆部252aの背面側から所定の深さで形成したものでもよいが、厚み方向に貫通させた孔として形成してもよい。いずれにしても、Sバネ251は、凹部252fに対応する部分において、前面被覆部252aと接しておらず、間隙があいている構成とすることが、Sバネ251に曲げ弾性と引張り弾性を生じさせ、Sバネ251のバネ特性をより柔らかにするために好ましい。
また、図16に示したような骨盤支持部材252を用いることもできる。この骨盤支持部材252は、前面被覆部252aにSバネ251を埋設せずに、支持ブロック(以下、「Sバネ支持ブロック」)251aをSバネ251の両端部付近に一体に設け、該Sバネ支持ブロック251aを前面被覆部252aの裏面に接着して一体化するものである。Sバネ支持ブロック251aは例えばビーズ発泡体から形成され、Sバネ251の両端付近に設けられる。Sバネ支持ブロック251a,251a同士の間隔は、上記と同様に150mm以上、好ましくは150〜220mm、より好ましくは170〜190mmとする。また、図16に示したように、前面被覆部252aの裏面には、所定間隔をおいて、山形の接合部252h,252hを形成しておくことが好ましい。この山形の接合部252h,252hのそれぞれの外側の傾斜面にSバネ支持ブロック251a,251aを接着する。それにより、Sバネ251は、幅方向中央部が後方に膨出するように湾曲し、Sバネ支持ブロック251a,251a間に位置する部分と前面被覆部252aとの間には間隙が形成される。すると、前面被覆部252aが後方に押圧された場合、Sバネ251は単に下端縁を中心として上端縁側が後方に回動するだけでなく、Sバネ251の幅方向、すなわち、S文字を崩す方向にも力が作用して変形する。これにより、Sバネ251の幅方向の弾性も作用し、Sバネ251を含んだ骨盤支持部材252は人の上体をさらに柔らかい弾性で支持でき、コーナリング時における上記した上体の回転運動を促すことができる。
骨盤支持部材252としては、さらに、図17に示したようなものを用いることができる。この骨盤支持部材252は、前面被覆部252aの裏面に、中央付近に厚みがあり、その両端付近が徐々に厚みが薄くなる傾斜面252i,252iが設けられている。また、この傾斜面252i,252iには、横方向に溝部252j,252jが形成されている。Sバネ251の両側部付近には、図16のものと同様にSバネ支持ブロック251a,251aが設けられ、このSバネ支持ブロック251a,251aが、傾斜面252i,252iに対面するように取り付けられる。Sバネ支持ブロック251a,251aにおける傾斜面252i,252iとの対向面には突片251b,251bが設けられており、この突片251b,251bが傾斜面252i,252iの溝部252j,252jに係合される。その他の構成は、図16のものと同様である。
図17に示した態様の骨盤支持部材252は、前面被覆部252aが後方に押圧された場合、Sバネ251は単に下端縁を中心として上端縁側が後方に回動するだけでなく、Sバネ支持ブロック251a,251aの突片251b,251bと傾斜面252i,252iの溝部252j,252jとの係合により一体化されているため、Sバネ251が幅方向、すなわち、S文字を崩す方向に力が作用した際に、突片251b,251bが溝部252j,252jに沿って横方向にスライド移動でき、Sバネ251の幅方向の変形が図16のものよりもさらに容易に行われる。すなわち、図16に示した骨盤支持部材252よりも、図17に示した骨盤支持部材252の方が、より柔らかな弾性で人の上体を支持できる。
図18〜図20は、さらに別の態様に係る骨盤支持部材252を配設した図である。この骨盤支持部材252は、図19及び図20に示したように、断面略L字状に形成されているものの、図14に示したもののように略L字状の骨盤支持部材252角部付近の内側に形成される第1溝部252dを有していない。第1溝部252dに代えて、略L字状の骨盤支持部材252の角部付近には、幅方向に外面溝部252mが形成されており、この外面溝部252mよりも後方部位は肉厚の厚い膨出部252nとなっている。膨出部252nの内面側に、図14の第2溝部252eと同様に下部フレーム250に係合する溝部252pが形成されている。
図18〜図20に示した骨盤支持部材252は、外面溝部252mがリクライナ間の連結ロッド295の後部側に沿うように配置され、その結果、膨出部252nが連結ロッド295の下部よりも下方に膨出した位置に配置される。このような構成とすることにより、骨盤支持部材252の後方への回動する場合には、連結ロッド295から離間する方向であるため、後方回動の際のストロークを上記した図14等に示したものよりも大きくとることができるという利点がある。それにより、骨盤支持部材252がより後方に回動しやすく、コーナリングの際などにおける体幹の脊柱を中心とした回転運動がさらに生じやすくなる。また、外面溝部252mが連結ロッド295の後部側に沿うように配置したにも拘わらず、上記した膨出部252nを有しているため、座席構造1の製造ラインにおいて、搬送用のキャリアの爪を連結ロッド295の下方に差し込んで搬送する際には、この膨出部252nが連結ロッド295の破損防止用弾性部材として機能する。なお、前面被覆部252aの裏面には、傾斜面252rが設けられ、この傾斜面252rにSバネ251の両端部付近に設けられるSバネ支持ブロック251a,251aが接合されることは上記態様と同様である(図20参照)。
(試験例)
まず、図1に示した座席構造1(「試験例シート」)を、セダンタイプの乗用車の運転席にセットし、被験者が静的状態で着座した際の体圧分布を調べた。図24(a)はシートバック部における体圧分布であり、図24(b)は、シートクッション部における体圧分布である。この結果、シートバック部においては、上体の脊柱に沿った位置よりも体側部における支持圧が高いことがわかる。また、体側部の中でも、肩胛骨及び骨盤(特に上部)に対応する付近の体圧が高く、さらに、シートクッション部においては、大腿部に対応する部分の体圧も高くなっている。従って、試験例シートは、肩胛骨、骨盤(特に上部)、大腿部の支持性の高いシートであることがわかる。
次に、試験例シートを、運転席にセットしたセダンタイプの乗用車により、S字カーブを時速80kmで走行した際の体圧分布の変化を調べた。また、比較のため、試験に使用した乗用車の純正のシート(「比較例シート」:シートクッション部及びシートバック部共にウレタンパッドをクッション材として使用した置き構造のもので、外観、サイズは、図1に示した実施形態に係るものとほぼ同じ)でも同様の試験を行った。図25及び図26は、シートバック部20における体圧分布の変化を示したものである。0.0〜6.5secまでが、右カーブ進入直前から右カーブ離脱までの区間であり、7.0〜10.0secが、右カーブ離脱後から左カーブ離脱までの区間である。また、各測定時間における左列が試験例シートの結果であり、右列が比較例シートの結果である。
比較例シートの場合、右カーブにおいては、0.5〜4.5secまでの間、特に、2.0〜4.0secにおいて、シートバック部の左側部に体圧の高い部分が生じており、シートバック部の左側に被験者の背部がずれていることがわかる。これに対し、試験例シートの場合、左側部へのずれは明らかに小さい。また、その間における背部の接触面積は、比較例シートが、約760〜約1080cm2の間であったのに対し、試験例シートは、約1020〜約1270cm2であり、試験例シートでは、背部が安定してシートバック部に接していた。
左カーブにおいても同様であり、7.0〜10.0secの間、特に、9.0sec以降、比較例シートは、右側部の体圧分布が高くなっている。これに対し、試験例シートでは、右側部の体圧分布は僅かしか上がっていない。但し、相対的に右肩胛骨付近の体圧分布は高くなっている。また、接触面積も、比較例シートが約670〜約900cm2であったのに対し、試験例シートは約930〜約1340cm2であった。以上のことから、試験例シートでは、横方向Gが入っても、左右方向へのずれが小さいことがわかる。
図27は、試験例シートで、被験者が、シートバック部の角度をきつくした場合((a)のアップライト)、若干ゆるくした場合((b)のミドル)、さらにゆるくした場合((c)のリラックス)において、左カーブを曲がった際のシートバック部とシートクッション部の体圧分布を示したものである。この結果から、いずれの姿勢であっても、被験者の左肩胛骨付近と右大腿部付近、並びに骨盤付近の体圧分布が高くなっていることがわかる。つまり、左カーブを曲がった際の慣性力に対し、左右方向にずれるのではなく、左肩胛骨付近、右大腿部で体を支え、脊柱を中心とした回転運動に変化されていることがわかる。
図28は、試験例シート、比較例シート等を加振機にセットして振動吸収特性を調べたものである。図28では、車両のフロア(本試験例では加振機)から入力される入力振動の波形と、試験例シート及び比較例シートの振動伝達率に加え、比較例シートに、本出願人の製品に係る三次元立体編物からなるドライブクッションを載置した場合(「参考例シート」)の振動伝達率も併せて示している。この結果、試験例シートは、5Hz付近以降、比較例シートはもとより、参考例シートと比較しても、振動伝達率が大幅に小さくなっていることがわかる。これは、バック用可動パッド290の上下運動による振動吸収特性が高いことを示すものである。なお、試験例シートでは、4Hz付近の振動伝達率が比較例シート及び参考例シートより高くなっているが、これは入力振動の共振点から外れているため問題はない。
図29は、試験例シートに、体重58kg、70kg、100kgの被験者を着座させて加振機により図28と同じ入力振動を付与して加振し、負荷荷重の違いによる振動吸収特性を調べたものである。図29より、体重がいずれの場合であっても、図28の場合と同様に低い振動伝達率を達成できており、負荷荷重によって振動吸収特性に大きな違いがないことがわかる。
図30は、試験例シート及び比較例シートに被験者を、振動を与えることのない静的な状態で40分間着座させた際の疲労度を調べたグラフである。また、疲労度と共に被験者の官能評価も示した。なお、疲労度は、本出願人がWO2005/039415A1公報等において提案している手法により求めた。すなわち、被験者の脈波を生体信号として採取し、そのデータからパワー値を求め、パワー値の傾きの時系列信号を絶対値処理して積分値を算出し、その積分値を疲労度として求める手法である。図30から、試験例シートは、被験者の疲労の進行の程度が比較例シートよりも遙かに低いことがわかる。これは、官能評価とも一致している。
上記した説明は、本発明を自動車等の乗物用のシートに適用した場合を示したが、これに限らず、事務用椅子や家具用のソファなどに適用することもできる。特に、シートクッション部において、前後2つのトーションバー150,160に支持させた前部フレーム130及び後部フレーム140間に、クッション用ベースネット170をループ状に掛けた構成を適用した場合、次のように利用できる。
このようにしてシートクッション部20を形成した場合、図23に示したように、人が着座していない無負荷時では、シートクッション部表面はほぼ水平である(実線の位置)。これに対し、人が着座すると、図22に示したように、クッション用ベースネット170の後部側の上層部171と下層部172が接して間隙173がなくなるように変化する一方、前部側では上層部171と下層部172との間隙173がほぼ保たれているため、座角が付くことになる(θ2)。従来、ソファなどにおいて座角をつける場合、はじめから座角のついたクッション構成とする必要がある。しかし、大型のソファなどの場合、腰掛けるだけでなく、シートクッション部に横たわって休息したり、さらには仰向けで睡眠することに利用されることもある。その場合、座角がついていたのでは、寝姿勢を保ちにくい。しかしながら、本発明によれば、前部フレーム及び後部フレームの中央付近で横になれば、クッション用ベースネット170は、上層部171と下層部172が偏りなく接するため、安定した寝姿勢を保つことができるようになる。つまり、本発明を適用すれば、着座時においては、安定した着座姿勢をとるために必要な座角がつく一方、寝姿勢をとる際には座角のないフラットな面を作るということが、何らの操作をする必要もなく行うことができる。
1 座席構造
10 シートクッション部
100 クッションフレーム
110,120 サイドフレーム
130 前部フレーム
140 後部フレーム
150 第1トーションバー
160 第2トーションバー
170 クッション用ベースネット
180 クッション用表層クッション材
181,182 布帛
183 三次元立体編物
184 ビーズ発泡体
20 シートバック部
200 バックフレーム
210,220 サイドフレーム
230 第1上部フレーム
240 第2上部フレーム
250 下部フレーム
251 Sバネ
252 骨盤支持部材
260 陥入空間
270 バック用ベースネット
280 バック用固定パッド
290 バック用可動パッド
291,292 肩胛骨支持部
300 バック用表層クッション材

Claims (23)

  1. シートバック部とシートクッション部とを備えてなる座席構造であって、
    前記シートクッション部は、一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームの前部間に設けられる前部フレームと、前記一対のサイドフレームの後部間に設けられる後部フレームとを備えてなり、
    前記前部フレームが、前記一対のサイドフレームの前部間に掛け渡されたトーションバーに支持され、
    前記後部フレームが、前記一対のサイドフレームの後部間に掛け渡されたトーションバーに支持され、
    前記前部フレーム及び後部フレーム間に、上層面と下層面との間に所定間隙をおいたループ状となるように、クッション用ベースネットが掛け回されていることを特徴とする座席構造。
  2. 前記シートバック部は、
    一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームの上端部間を結ぶ上部フレームと、前記一対のサイドフレームの下端部間を結ぶ下部フレームとを備えたバックフレームと、
    前記バックフレームの前記一対のサイドフレームを被覆して配設されるバック用ベースネットと
    を有する請求項1記載の座席構造。
  3. 前記シートバック部は、さらに、
    着座者の肩胛骨に対応する一対の肩胛骨支持部を有すると共に、該肩胛骨支持部同士が連結され、各肩胛骨支持部から下方に延びるサイド被覆部を有する略U字状に形成され、肩胛骨支持部を上側にして各サイド被覆部を前記バック用ベースネットを介して前記各サイドフレームに沿って配置され、着座者の動きによって動く際に、前記サイド被覆部の少なくとも一部が、前記バック用ベースネットに対して相対的な動作を示すことができるバック用可動パッドを有する請求項1又は2記載の座席構造。
  4. 前記シートバック部は、前記バック用ベースネットよりも狭い幅で形成され、下部が、着座者の少なくとも骨盤から腰部に対応する部位に位置するように前記バック用ベースネットに固定されるバック用固定パッドを備えており、
    前記バック用可動パッドが、前記バック用固定パッドの周囲に配置されている請求項3記載の座席構造。
  5. 前記バックフレームの前記一対のサイドフレームは、所定の幅と長さを備えた板状部材から形成され、該板状部材をその幅方向が前後方向にほぼ沿うように設けられていると共に、前縁部及び後縁部が略直線状に形成されている請求項2〜4のいずれか1に記載の座席構造。
  6. 前記バックフレームは、前記一対のサイドフレームの上下方向中央部よりも下方位置に幅方向に掛け渡される面状バネ部材を有する請求項2〜5のいずれか1に記載の座席構造。
  7. 前記面状バネ部材の前面を被覆する前面被覆部を有する骨盤支持部材をさらに有し、前記前面被覆部が後方に押圧されると、前記骨盤支持部材が後方に回動すると共に、前記面状バネ部材が変形する請求項6記載の座席構造。
  8. 前記骨盤支持部材の前面被覆部の厚みの範囲内に、前記面状バネ部材の少なくとも一部が埋設されている請求項7記載の座席構造。
  9. 前記骨盤支持部材の前面被覆部の裏面に、前記面状バネ部材の少なくとも一部が接合されている請求項7記載の座席構造。
  10. 前記骨盤支持部材は、所定幅に亘って形成した凹部を有する構造である請求項7〜9のいずれか1に記載の座席構造。
  11. 前記凹部の幅方向の間隔が150〜220mmの範囲である請求項10記載の座席構造。
  12. 前記面状バネ部材は、両端部付近に支持ブロックが設けられ、各支持ブロックが前記骨盤支持部材の前面被覆部の裏面に接合されている請求項9〜11のいずれか1に記載の座席構造。
  13. 前記各支持ブロックが接合される前記骨盤支持部材の前面被覆部の裏面の幅方向両端部付近に傾斜面が設けられている請求項12記載の座席構造。
  14. 前記各支持ブロックが、前記骨盤支持部材の前面被覆部の裏面に、横方向にスライド可能に係合されている請求項12又は13記載の座席構造。
  15. 前記支持ブロック間の間隔が150〜220mmの範囲である請求項12〜14のいずれか1に記載の座席構造。
  16. 前記面状バネ部材は、平面視で幅方向中央部が後方に膨出する湾曲形状で設けられており、前記骨盤支持部材が後方に押圧されると幅方向に変形するように取り付けられている請求項7〜15のいずれか1に記載の座席構造。
  17. 前記骨盤支持部材は、断面略L字状に形成され、その角部付近の内側に、シートバック部のリクライナ間に掛け渡される連結ロッドが配置される第1溝部を有する請求項7〜16のいずれか1に記載の座席構造。
  18. 前記骨盤支持部材は、断面略L字状に形成され、その角部付近の外面に、シートバック部のリクライナ間に掛け渡される連結ロッドの後部側に位置する外面溝部が形成され、さらに、その後方部位に下方に膨出する膨出部が形成されている請求項7〜16のいずれか1に記載の座席構造。
  19. 前記骨盤支持部材がビーズ発泡体から形成される請求項7〜18のいずれか1に記載の座席構造。
  20. 前記バック用ベースネットの下端縁が、前記各サイドフレームの前縁側から後縁側に外側を通過して掛け回された後、さらに各サイドフレームの内側を通過して前縁側に引き出されて固定されている請求項2〜19のいずれか1に記載の座席構造。
  21. 前記クッション用ベースネットは、一枚のネット部材を前部フレーム及び後部フレーム間にループ状に掛け回したものであり、端縁部同士が係合部材により係合され、該係合部材が前記前部フレーム又は後部フレームに接する位置となるように設けられている請求項1〜20のいずれか1に記載の座席構造。
  22. 前記係合部材がスライドファスナである請求項21記載の座席構造。
  23. 前記クッション用ベースネット上に設けられるクッション用表層クッション材は、該クッション用ベースネットに拘束されずに設けられる請求項1〜22のいずれか1に記載の座席構造。
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