JP2011223916A - 筍の栽培方法 - Google Patents

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【課題】本発明は米ぬかを肥料として活用することで苦味やアクの少ない筍の栽培を可能とする筍の栽培方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】筍の収穫後から収穫前までの期間において、竹林の表層土上に有機肥料及び化成肥料を散布する工程と、竹林の表層土上に米ぬかを散布する工程とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は筍の栽培方法に関する。詳しくは米ぬかによって苦味を減少させる筍の栽培方法に係るものである。
竹は、地下約30〜50cm深さに地下茎が張り巡らされ、この地下茎の節ごとに根と芽を備え、主に3〜4年目の芽が春先に伸長を始めるものを筍と称している。
ここで、竹林は山の斜面を利用したものが多く、畑等で栽培される農作物のように耕運機等で土を耕し肥料を散布するということができず、具体的には筍の収穫後の5月に有機肥料を地面に散布し、8月に化成肥料、硫酸アンモニウム肥料を散布し、更に収穫前の1月に化成肥料、硫酸アンモニウム肥料を散布して3及び4月にかけて筍の収穫を行っている。
一方、筍は生長し始めてから、早く収穫するほど苦味やアクが少なく美味しいとされる。また、生長するにしたがい含まれている甘み成分が消費され、繊維質は増加して堅く締り、苦味もより強くなって食用には適さなくなる。
この苦味やアクは、シュウ酸やホモゲンチジン酸とその配糖体などが主成分とされ、アルカリ水(米のとぎ汁、米ぬか、重曹等)で煮ることにより取り除くことができる。
この中でシュウ酸は炭素原子を2個持ち、反応性が高く、金属と塩を作り、生成された塩は極めて溶け難いために、体内でのシュウ酸塩の沈着により尿路結石が惹起されやすい。
更に、野菜に含まれるショウ酸が食品中のミネラルと結合し、その結果、これらのミネラルの吸収を阻害することが知られている。
特開平10−94323号公報
上述した様に、筍の栽培では、山の斜面が多く、かつ地下茎が地中に張り巡らされているために農地のように地面を掘起しながら散布することができず地面上に大量の肥料を散布しているのが現状である。
また、収穫された筍は調理をする前に必ず米のとき汁等で茹でて苦味とアク抜きを行わなければならず、例えば生で食する場合には収穫後の1時間以内が限界とされていることから生の筍を食材とした料理を作ることに無理が生じる問題がある。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、米ぬかを肥料として活用することで苦味やアクの少ない筍の栽培を可能とする筍の栽培方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明に係る筍の栽培方法は、筍の収穫後から収穫前までの期間において、竹林の表層土上に有機肥料及び化成肥料を散布する工程と、前記竹林の表層土に米ぬかを散布する工程とを備える。
ここで、筍の収穫後から収穫前までの期間において、竹林の表層土上に有機肥料及び化成肥料を散布する工程と、竹林の表層土上に米ぬかを散布する工程とを備えることによって、米ぬかが水に溶けてアルカリ水となり筍の苦味の要因とされるシュウ酸と中和することによって苦味の少ない筍の栽培が可能となる。
また、米ぬかを気温が12℃以下で竹林の表層土上に散布することによって米ぬかが腐敗等により酸化することで筍の生育を阻害することなく、収穫するまでの数カ月の間に雨水等によって地中に溶け込んで筍の養分として吸収される。
本発明の筍の栽培方法では、筍の栽培過程において米ぬかを散布することによって筍の苦味の要因であるシュウ酸を中和させて苦味の少ない筍の栽培が可能となる。
また、米ぬかを肥料として活用することにより多くが廃棄処分とされる米ぬかの有効利用となり有機栽培による良質な筍の栽培が可能となる。
本発明を適用した筍の栽培方法における竹の地下茎の派生状態の一例を示す模式図である。 本発明を適用した筍の栽培方法における収穫までの工程の一例を示すフロー説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明を適用した筍の栽培方法における竹の地下茎の派生状態の一例を示す模式図である。
ここで示す竹林1は、所定の間隔毎に伸長したそれぞれの竹2の地下約30cm〜50cmにおいて地下茎3が四方に延びた状態となっており、それぞれの地下茎3の節ごとに芽と根とが備わった構成とされている。
ここで、地下茎3の根によって地下の養分が1年を通して吸収され、毎年3月から4月にかけての春先に地下茎3の節ごとの芽が生長して筍4として収穫されている。
従って、それぞれの竹2との間の地下には地下茎3が張り付いているために、耕運機等によって耕すことができず、有機肥料及び化成肥料を表層土上に散布することとなる。
一方、玄米を白米に精米する際に表層が削られてできる米ぬかには、抗酸化物質や抗菌物質が含まれており、また、糖質、タンパク質、ビタミン、リン酸、ミネラル等が多く含まれており肥料として利用することができるものである。
ところが、米ぬかは炭素率が高く、脂肪が多いため、土壌に添加しても分解が遅く、酸化劣化しやすいために気温の高い夏季などの時期ではかえって植物の生育を阻害する恐れがある。
また、米ぬかは水に溶けることでアルカリ水となり、筍の苦味の基因となるシュウ酸と中和してシュウ酸を減少させる効果を有する。
このシュウ酸は筍の場合には約100g中654mgの含有量を占めているのが一般的である。
次に、本発明を適用した筍の栽培方法における栽培工程を詳述する。
図2は本発明を適用した筍の栽培方法における収穫までの工程の一例を示すフロー説明図である。
ここで、筍の収穫後の5月に竹林の表層土上に一反当たり20kgの有機肥料及び化成肥料を散布する(図2中符号S1参照)。
これは筍の収穫後に次世代の若竹の生育に必要な栄養分として有機肥料及び化成肥料を散布することによって約3カ月の間に急激に成長する若竹の栄養分を補充することで次世代の竹を育てながら安定した筍の生産を維持することができる。
次に、8月に竹林の表層土上に一反当たり20kgの硫酸アンモニウムを散布する(図2中符号S2参照)。
これは、若竹が成長した後に地下茎に芽が付く時期であり、この芽の成長に不可欠な硫酸アンモニウムを散布することによって芽から筍へ安定した成長の促進を可能とするものである。
なお、硫酸アンモニウムは、代表的な窒素肥料の1つであり、速効性であり、窒素分が吸収された後に硫酸イオンが遊離硫酸や硫酸カルシウムとして残り土壌は酸性化する。
続いて、気温が12℃を割り込む時期となる9月後半から10月末日までに竹林の表層土に一反当たり300kgの米ぬかを散布する(図2中符号S3参照。)。
これは、米ぬかの散布条件を温度が12℃以下とすることによって米ぬかが急激に酸化することなく雨水等によって地下に染み込んで地下茎から吸収されることを目的とするものである。
また、地下茎に付いた芽から筍へ成長する過程において米ぬかを含んだ多くの水分や地中の栄養分が地中に浸み込む、根から吸収されることによって筍内のシュウ酸が中和されて苦味のない筍として成長する。
そして収穫前の1月頃に竹林の表層土上に一反当たり20kgの化成肥料を散布する(図2中符号S4参照。)。これにより収穫前に芽から筍への成長が促進させて形が良く、かつ早い時期での収穫が行えるような状態とする。
最後に、3月から4月の期間中に順次成長した筍が地表に出るころに掘り起こして収穫を行う(図中2S5参照。)。
ここで、収穫した筍に含まれる糖度、チロシン、アスパラギン酸、シュウ酸、グルタミン酸の含有量の測定を行った結果を下記表1に示す。
Figure 2011223916
測定の結果、シュウ酸が280mg/100gであり、市販されている筍(654mg/100g)に対して50%以上にシュウ酸の含有量が減少することが判明した。
更に、糖度、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸の含有量は市販されている筍と殆ど変りはなかった。
また、収穫した筍を生で食した場合、あるいは米のとき汁等によるアク抜きをせずに調理した場合であっても苦味を感じることが殆どなかった。
従って市販されている筍を米のとき汁等によりアク抜きをして調理する場合に比べて、歯応えがあり、かつ筍の風味が損なわれず調理することが可能となった。
このようにして米ぬかを散布することで筍の生育過程において生成されるシュウ酸が米ぬかの成分が溶け込んだアルカリ水によって中和されて著しく減少することで生食でも苦味のない筍を生産することが可能となる。
また、精米過程で産出する米ぬかの大半は廃棄処分されることが多く、このような状況の米ぬかを肥料として活用することにより有機肥料及び化成肥料の散布料を少なく押さえることができるために生産コストの低減を図ることが可能となる。
1 竹林
2 竹
3 地下茎
4 筍

Claims (2)

  1. 筍の収穫後から収穫前までの期間において、
    竹林の表層土上に有機肥料及び化成肥料を散布する工程と、
    前記竹林の表層土上に米ぬかを散布する工程とを備える
    筍の栽培方法。
  2. 前記米ぬかを気温が12℃以下で前記竹林の表層土上に散布する
    請求項1に記載の筍の栽培方法。
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