JP2011222763A - 太陽電池モジュール用中間膜及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用中間膜及び太陽電池モジュール Download PDF

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悦朗 廣田
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Abstract

【課題】中間膜の体積抵抗率を高くすることができ、従って中間膜を用いた太陽電池モジュールにおける発電効率を高くすることができる太陽電池モジュール用中間膜、並びに該太陽電池モジュール用中間膜を用いた太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池モジュール用中間膜2は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度とアセチル化度との合計は70モル%以上であり、かつ上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は5モル%以上である。太陽電池モジュール1は、太陽電池モジュール用中間膜2と、太陽電池モジュール用中間膜2の表面に積層されているか、又は太陽電池モジュール用中間膜2内に埋め込まれている光電変換素子5とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む太陽電池モジュール用中間膜、並びに該太陽電池モジュール用中間膜を用いた太陽電池モジュールに関する。
太陽電池モジュールとして、ガラス基板などの2枚の透明部材の間に、光電変換素子が配置されて構成されている太陽電池モジュールがある。光電変換素子は、一般に、樹脂中間膜中に埋め込まれた状態で、又は樹脂中間膜の表面に積層された状態で、2枚の透明部材の間に配置されている。
上記太陽電池モジュールに用いられる樹脂中間膜を構成する樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエポキシ樹脂等が広く用いられている。また、上記樹脂中間膜を構成する樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂が用いられることもある。
ポリビニルアセタール樹脂を用いた樹脂中間膜の一例として、下記の特許文献1には、16N/mmの引裂強さを有するPVBフィルムが開示されている。
特開2006−13505号公報
上記特許文献1に記載のPVBフィルムの体積抵抗率は低いことがある。このため、該樹脂中間膜を用いて太陽電池モジュールを作製した場合に、得られる太陽電池モジュールにおける発電効率が低いことがある。
本発明の目的は、中間膜の体積抵抗率を高くすることができ、従って中間膜を用いた太陽電池モジュールにおける発電効率を高くすることができる太陽電池モジュール用中間膜、並びに該太陽電池モジュール用中間膜を用いた太陽電池モジュールを提供することである。
本発明の広い局面によれば、太陽電池モジュールに用いられる中間膜であって、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含み、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度とアセチル化度との合計が70モル%以上であり、かつ上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が5モル%以上である、太陽電池モジュール用中間膜が提供される。
本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜のある特定の局面では、上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は20〜40重量部である。
本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜の他の特定の局面では、上記可塑剤は、ジエステル可塑剤、又は下記式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤である。
X=100×O/(C+H) ・・・式(1)
上記式(1)中、Oは可塑剤一分子中に含まれる酸素原子の数を表し、Cは可塑剤一分子中に含まれる炭素原子の数を表し、Hは可塑剤一分子中に含まれる水素原子の数を表す。
本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜のさらに他の特定の局面では、上記可塑剤が上記ジエステル可塑剤である場合には、上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、該ジエステル可塑剤の含有量は20〜30重量部であり、上記可塑剤が上記式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤である場合には、上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、該式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤の含有量は20〜40重量部である。
本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜のさらに他の特定の局面では、上記ジエステル可塑剤は、下記式(11)で表される構造を有する。
Figure 2011222763
上記式(11)中、R1及びR2は炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。
本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜の別の特定の局面では、上記ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られており、上記ポリビニルアルコールの平均重合度は1600〜4000である。
本発明に係る太陽電池モジュールは、本発明に従って構成された太陽電池モジュール用中間膜と、上記太陽電池モジュール用中間膜の表面に積層されているか、又は上記太陽電池モジュール用中間膜内に埋め込まれている光電変換素子とを備える。
本発明に係る太陽電池モジュールのある特定の局面では、第1の太陽電池モジュール構成部材と、第2の太陽電池モジュール構成部材とがさらに備えられており、上記第1,第2の太陽電池モジュール構成部材の間に、上記太陽電池モジュール用中間膜と上記光電変換素子とが挟み込まれている。
本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含み、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度とアセチル化度との合計が70モル%以上であり、かつ上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が5モル%以上であるので、体積抵抗率を高くすることができる。従って、本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜を用いて、太陽電池モジュールを作製することにより、得られる太陽電池モジュールにおける発電効率を高くすることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール用中間膜を備えた太陽電池モジュールを模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係る太陽電池モジュール用中間膜を備えた太陽電池モジュールを模式的に示す断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度とアセチル化度との合計は70モル%以上であり、かつ上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は5モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度とアセチル化度との合計の下限及び上記アセチル化度の下限が上記値以上であることで、太陽電池モジュール用中間膜の体積抵抗率を高くすることができる。
本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜は、言い換えれば、例えば、太陽電池モジュール用接着シート又は太陽電池モジュール用封止材である。
本明細書において、太陽電池モジュール用中間膜を、単に中間膜と呼ぶことがある。すなわち、本明細書における中間膜の用語は、太陽電池モジュール用中間膜を意味する。
上記ポリビニルアセタール樹脂と上記可塑剤との併用により、太陽電池モジュール構成部材に対する太陽電池モジュール用中間膜の接着力を高くすることができる。
中間膜の体積抵抗率をより一層低くする観点からは、太陽電地用モジュール用中間膜の含水率は、1.0重量%以下であることが好ましい。中間膜の体積抵抗率をさらに一層低くする観点からは、太陽電地用モジュール用中間膜の含水率は、0.8重量%以下であることがより好ましく、0.6重量%以下であることが更に好ましい。
本明細書において、太陽電池モジュール用中間膜の含水率は、以下のようにして測定された値を意味する。
太陽電池モジュール用中間膜を、重量が10gとなるように裁断する。また、シリカゲルを内部に備える蓋付きデシケータを用意する。乾燥処理前の太陽電池モジュール用中間膜10gをデシケータ内に置いて、デシケータの蓋を閉める。次に、太陽電池モジュール用中間膜が置かれたデシケータを23℃の恒温室内に置いて、太陽電池モジュール用中間膜の重量が変化しなくなるまで乾燥処理する。その後、デシケータの蓋を開け、太陽電池モジュール用中間膜を取り出して、太陽電池モジュール用中間膜の重量を測定する。乾燥処理前の太陽電池モジュール用中間膜の重量と、乾燥処理後の太陽電池モジュール用中間膜の重量とから、下記式により太陽電池モジュール用中間膜の含水率を求める。
太陽電池モジュール用中間膜の含水率(重量%)={(乾燥処理前の太陽電池モジュール用中間膜の重量(g))−(乾燥処理後の太陽電池モジュール用中間膜の重量(g))×100}/(乾燥処理前の太陽電池モジュール用中間膜の重量(g))
(ポリビニルアセタール樹脂)
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアセタール化することにより製造できる。アセタール化にはアルデヒド等が用いられる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に80〜99.8モル%の範囲内である。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度の好ましい下限は200、より好ましい下限は500、更に好ましい下限は1600、好ましい上限は4000、より好ましい上限は3500である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、1600〜4000の範囲内であることが好ましい。上記平均重合度が高いほど、中間膜の体積抵抗率が高くなる傾向がある。上記平均重合度が上記好ましい下限を満たすと、中間膜が適度に硬くなり、中間膜の体積抵抗率をより一層高めることができる。上記平均重合度が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の成形が容易になる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により、求めることができる。
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチ
ルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。ポリビニルブチラール樹脂の使用により、太陽電池モジュール構成部材に対する中間膜の接着力をより一層高くすることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、5〜30モル%の範囲内であることが好ましい。上記水酸基の含有率のより好ましい下限は10モル%、より好ましい上限は25モル%である。上記水酸基の含有率が上記下限を満たすと、中間膜の耐湿性をより一層高めることができる。また、上記水酸基の含有率が上記上限を満たすと、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱い性を高めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して、原料となるポリビニルアルコールの水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
中間膜の体積抵抗率を高くするために、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は、5モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は、5〜30モル%の範囲内であることが好ましい。上記アセチル化度のより好ましい下限は8モル%、より好ましい上限は25モル%、更に好ましい上限は20モル%である。上記アセチル化度が上記好ましい下限を満たすと、中間膜の体積抵抗率をより一層高くすることができる。さらに、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性がより一層高くなり、かつ中間膜のガラス転移温度を十分に低下させることができる。上記アセチル化度が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の耐湿性をより一層高めることができる。
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、50〜85モル%の範囲内であることが好ましい。上記アセタール化度のより好ましい下限は55モル%、より好ましい上限は80モル%である。上記アセタール化度が上記好ましい下限を満たすと、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性がより一層高くなり、かつ中間膜のガラス転移温度を十分に低下させることができる。上記アセタール化度が上記好ましい上限を満たすと、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率である。
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、アセチル基量とビニルアルコール量とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、次いで、100モル%からアセチル基量とビニルアルコール量とを差し引くことにより算出され得る。
なお、ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル基量は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
中間膜の体積抵抗率を高くするために、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度とアセチル化度との合計は70モル%以上である。アセタール化度とアセチル化度との合計の好ましい下限は72モル%、より好ましい下限は75モル%である。アセタール化度とアセチル化度との合計が上記好ましい下限を満たすと、中間膜の体積抵抗率をより一層高くすることができる。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度とアセチル化度との合計の好ましい上限は90モル%、より好ましい上限は80モル%である。アセタール化度とアセチル化度との合計が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の耐湿性をより一層高めることができる。
(可塑剤)
上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等などの有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などのリン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
上記有機エステル可塑剤としては、特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
さらに、上記可塑剤として、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート等を用いることができる。
上記可塑剤は、ジエステル可塑剤、又は下記式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤であることが好ましく、ジエステル可塑剤、又はジエステル可塑剤以外の可塑剤でありかつ下記式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤であることが好ましい。このような可塑剤の使用により、中間膜の体積抵抗率をより一層高くすることができる。下記式(1)で表される値Xは、可塑剤の極性度合いを示す。なお、ジエステル可塑剤であれば、下記式(1)で表される値Xが9.2を超えても、中間膜の体積抵抗率が高くなる。さらに、下記式(11)で表される構造を有するジエステル可塑剤であれば、下記式(1)で表される値Xが9.2を超えても、中間膜の体積抵抗率が十分に高くなる。
X=100×O/(C+H) ・・・式(1)
上記式(1)中、Oは可塑剤一分子中に含まれる酸素原子の数を表し、Cは可塑剤一分子中に含まれる炭素原子の数を表し、Hは可塑剤一分子中に含まれる水素原子の数を表す。
代表的な可塑剤の上記値Xを以下に示す。
ジイソデシルアジペート(DIDA):X=5.3
セバシン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOS):X=5.3
アジピン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOA):X=6.3
フタル酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOP):X=6.5
ジヘキシルアジペート(DHA):X=7.7
ジブチルセバケート(DBS):X=7.7
セバシン酸−ジ−2−ブトキシエチル(DBES):X=9.4
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO):X=9.4
ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(DINCH):X=5.4
テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO):X=10.0
トリエチレングリコールジヘプタノエート(3G7):X=10.3
テトラエチレングリコールジヘプタノエート(4G7):X=10.9
アジピン酸−ジ−2−ブトキシエチル(DBEA):X=11.5
ビス(2−ブトキシエチル)アジペート:X=11.5
トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH):X=11.5
テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(4GH):X=12.1
アジピン酸−ジ−2−ブトキシエトキシエチル(DBEEA):X=12.5
上記ジエステル可塑剤は、下記式(11)で表される構造を有することが好ましい。下記式(11)で表される構造を有するジエステル可塑剤の使用により、中間膜の体積抵抗率をより一層高くすることができる。
Figure 2011222763
上記式(11)中、R1及びR2は炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。
上記式(11)で表される構造を有するジエステル可塑剤の具体例としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジn−ヘプタノエート(3G7)、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジn−オクタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジn−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ペンタエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、オクタエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ノナエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、デカエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート及びテトラエチレングリコールジ−n−オクタノエート等が挙げられる。
上記可塑剤は、ジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート、ジイソデシルアジペート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートの内の少なくとも1種であることが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートであることがより好ましい。
中間膜における上記可塑剤の含有量は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量の好ましい下限は20重量部、より好ましい下限は30重量部、好ましい上限は60重量部、より好ましい上限は50重量部、更に好ましい上限は40重量部である。上記可塑剤の含有量が上記好ましい下限を満たすと、中間膜の体積抵抗率をより一層高めることができる。上記可塑剤の含有量が上記好ましい上限を満たすと、中間膜の物性をより一層高めることができる。中間膜の体積抵抗率をより一層高くする観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は20〜40重量部の範囲内であることが特に好ましい。
上記可塑剤が上記ジエステル可塑剤である場合には、上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、上記ジエステル可塑剤の含有量は20〜30重量部の範囲内であることが好ましい。上記ジエステル可塑剤が20〜30重量部の範囲内であると、中間膜の体積抵抗率をさらに一層高くすることができる。
上記可塑剤が上記式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤である場合には、上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、上記式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤の含有量は20〜40重量部の範囲内であることが好ましい。上記式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤の含有量が20〜40重量部の範囲内であると、中間膜の体積抵抗率をさらに一層高くすることができる。
(他の成分)
本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(太陽電池モジュール)
本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜は、太陽電池モジュールを得るために用いられる。
図1に、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール用中間膜を備えた太陽電池モジュールを模式的に断面図で示す。
図1に示す太陽電池モジュール1は、中間膜2と、該中間膜2内に埋め込まれている光電変換素子5とを備える。中間膜2は、太陽電池モジュール用中間膜である。中間膜2は、太陽電池モジュールに用いられる。
中間膜2は、第1の中間膜3と、第2の中間膜4とを有する。複数の光電変換素子5が等間隔に並べられ、第1,第2の中間膜3,4の間に挟み込まれている。複数の光電変換素子5が、第1の中間膜3の第1の表面3aの一部の領域に積層され、接着されている。複数の光電変換素子5が、第2の中間膜4の第1の表面4aの一部の領域に積層され、接着されている。太陽電池モジュール1は、第1の中間膜3と光電変換素子5と第2の中間膜4とがこの順で積層された部分と、第1の中間膜3と第2の中間膜4とが積層された部分とを有する。
太陽電池モジュール1は、第1の太陽電池モジュール構成部材6と、第2の太陽電池モジュール構成部材7とをさらに備える。第1,第2の太陽電池モジュール構成部材6,7の間に、第1の中間膜3と光電変換素子5と第2の中間膜4とが挟み込まれている。第1の中間膜3の第1の表面3aとは反対側の第2の表面3bに第1の太陽電池モジュール構成部材6が積層され、接着されている。第2の中間膜4の第1の表面4aとは反対側の第2の表面4bに第2の太陽電池モジュール構成部材7が積層され、接着されている。従って、太陽電池モジュール1は、第1の太陽電池モジュール構成部材6と第1の中間膜3と光電変換素子5と第2の中間膜4と第2の太陽電池モジュール構成部材7とがこの順で積層された部分と、第1の太陽電池モジュール構成部材6と第1の中間膜3と第2の中間膜4と第2の太陽電池モジュール構成部材7とがこの順で積層された部分とを有する。
本実施形態では、第1,第2の中間膜3,4の全層が、本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜である。ただし、多層中間膜の場合、複数の層の内の少なくとも1層が、本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜であればよい。多層中間膜の複数の層の内の少なくとも1層として、本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜を用いることにより、本発明に係る太陽電池モジュール用中間膜を用いていない場合に比べて、体積抵抗率を高くすることができる。
図2に、本発明の他の実施形態に係る太陽電池モジュール用中間膜を備えた太陽電池モジュールを模式的に断面図で示す。図2に示す太陽電池モジュール11において、太陽電池モジュール1と同様に構成されているところは同一の符号を付して、説明を省略する。
太陽電池モジュール11は、中間膜12と、中間膜12の第1の表面12aに積層されている光電変換素子5とを備える。光電変換素子5は、中間膜12の第1の表面12aに接着されている。中間膜12は、太陽電池モジュール用中間膜である。中間膜12は、太陽電池モジュールに用いられる。
複数の光電変換素子5が等間隔に並べられ、中間膜12の第1の表面12aにおいて、中間膜12の一部の領域に埋め込まれている。
太陽電池モジュール11は、第1の太陽電池モジュール構成部材6と、第2の太陽電池モジュール構成部材7とをさらに備える。第1,第2の太陽電池モジュール構成部材6,7の間に、中間膜12と光電変換素子5とが挟み込まれている。中間膜12の第1の表面12a側に第2の太陽電池モジュール構成部材7が配置されている。中間膜12の第1の表面12aに第2の太陽電池モジュール構成部材7が積層されている。光電変換素子5が積層されていない部分において、第1の表面12aに、第2の太陽電池モジュール構成部材7が接着されている。中間膜12の第1の表面12aとは反対側の第2の表面12bに第1の太陽電池モジュール構成部材6が積層されて、接着されている。従って、太陽電池モジュール11は、第1の太陽電池モジュール構成部材6と中間膜12と光電変換素子5と第2の太陽電池モジュール構成部材7とがこの順で積層された部分と、第1の太陽電池モジュール構成部材6と中間膜12と第2の太陽電池モジュール構成部材7とがこの順で積層された部分とを有する。
第1,第2の太陽電池モジュール構成部材6,7としては、一般に太陽電池モジュールに用いられている部材を用いることができる。第1,第2の太陽電池モジュール構成部材6,7としては、ガラス板、金属板及び樹脂板等が挙げられる。太陽電池モジュールにおける発電効率を高める観点からは、第1,第2の太陽電池モジュール構成部材6,7の内の少なくとも一方は、透明板であることが好ましい。透明板として、ガラス板及び透明樹脂板が好適に用いられ、ガラス板がより好適に用いられる。
上記ガラス板の材料としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス又は熱線反射ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとして、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板として、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
太陽電池モジュールを軽量化し、中間膜の透明性を高めて太陽電池モジュールにおける発電効率をより一層高める観点からは、中間膜2,3,4,12の各厚みの好ましい下限は0.05mm、より好ましい下限は0.25mm、好ましい上限は3mm、より好ましい上限は1.5mmである。
第1,第2の太陽電池モジュール構成部材6,7の厚みは、1〜3mmの範囲内であることが好ましい。また、太陽電池モジュール構成部材6,7がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、1〜3mmの範囲内であることが好ましい。
太陽電池モジュール1,11の製造方法は特に限定されない。例えば、第1,第2の太陽電池モジュール構成部材6,7の間に、中間膜3,4,12及び光電変換素子5を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、第1,第2の太陽電池モジュール構成部材6,7と中間膜3,4,12及び光電変換素子5との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、太陽電池モジュール1,11を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
以下の材料を用意した。
(実施例1)
ポリビニルブチラール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率23モル%、アセチル化度12モル%、ブチラール化度65モル%)100重量部と、可塑剤としてジイソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(DINCH)40重量部とを混合し、押出機を用いて厚みが0.76mmとなるように押出成形して、中間膜を作製した。
(実施例2〜8及び比較例1〜2)
下記の表1に示すポリビニルブチラール樹脂と可塑剤とを用いて、実施例1と同様にして、中間膜を作製した。
(評価)
(1)体積抵抗率
得られた中間膜を用いて、23℃及び相対湿度85%RHの条件下で、24時間保管した後、中間膜の体積抵抗率を評価した。中間膜の体積抵抗率を下記の判定基準で判定した。体積抵抗率は、ハイレジスタンスメータ(アジレント社製「4339B」)を使用して測定した。
[体積抵抗率の判定基準]
○○:体積抵抗率が1.0×1012以上
○:体積抵抗率が2.5×1011Ω以上、1.0×1012未満
×:体積抵抗率が2.5×1011Ω未満
(2)含水率
得られた中間膜を、重量が10gとなるように裁断した。また、シリカゲルを内部に備える蓋付きデシケータを用意した。乾燥処理前の中間膜10gをデシケータ内に置いて、デシケータの蓋を閉めた。次に、中間膜が置かれたデシケータを23℃の恒温室内に置いて、中間膜の重量が変化しなくなるまで乾燥処理した。その後、デシケータの蓋を開け、中間膜を取り出して、中間膜の重量を測定した。乾燥処理前の中間膜の重量と、乾燥処理後の中間膜の重量とから、下記式により中間膜の含水率を求めた。
中間膜の含水率(重量%)={(乾燥処理前の中間膜の重量(g))−(乾燥処理後の中間膜の重量(g))×100}/(乾燥処理前の中間膜の重量(g))
結果を下記の表1に示す。
Figure 2011222763
1…太陽電池モジュール
2…中間膜
3…第1の中間膜
3a…第1の表面
3b…第2の表面
4…第2の中間膜
4a…第1の表面
4b…第2の表面
5…光電変換素子
6…第1の太陽電池モジュール構成部材
7…第2の太陽電池モジュール構成部材
11…太陽電池モジュール
12…中間膜
12a…第1の面
12b…第2の面

Claims (8)

  1. 太陽電池モジュールに用いられる中間膜であって、
    ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含み、
    前記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度とアセチル化度との合計が70モル%以上であり、かつ前記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度が5モル%以上である、太陽電池モジュール用中間膜。
  2. 前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、前記可塑剤の含有量が20〜40重量部である、請求項1に記載の太陽電池モジュール用中間膜。
  3. 前記可塑剤が、ジエステル可塑剤、又は下記式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤である、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用中間膜。
    X=100×O/(C+H) ・・・式(1)
    上記式(1)中、Oは可塑剤一分子中に含まれる酸素原子の数を表し、Cは可塑剤一分子中に含まれる炭素原子の数を表し、Hは可塑剤一分子中に含まれる水素原子の数を表す。
  4. 前記可塑剤が前記ジエステル可塑剤である場合には、前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、該ジエステル可塑剤の含有量が20〜30重量部であり、
    前記可塑剤が前記式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤である場合には、前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、該式(1)で表される値Xが9.2以下である可塑剤の含有量が20〜40重量部である、請求項3に記載の太陽電池モジュール用中間膜。
  5. 前記ジエステル可塑剤が、下記式(11)で表される構造を有する、請求項3又は4に記載の太陽電池モジュール用中間膜。
    Figure 2011222763
    上記式(11)中、R1及びR2は炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。
  6. 前記ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られており、前記ポリビニルアルコールの平均重合度が1600〜4000である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用中間膜。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用中間膜と、
    前記太陽電池モジュール用中間膜の表面に積層されているか、又は前記太陽電池モジュール用中間膜内に埋め込まれている光電変換素子とを備える、太陽電池モジュール。
  8. 第1の太陽電池モジュール構成部材と、
    第2の太陽電池モジュール構成部材とをさらに備え、
    前記第1,第2の太陽電池モジュール構成部材の間に、前記太陽電池モジュール用中間膜と前記光電変換素子とが挟み込まれている、請求項7に記載の太陽電池モジュール。
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