JP2011219525A - ガス化炉及びボイラ設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス化炉及びボイラ設備において、ガス化率を向上することで燃料ガスの生成効率の向上を可能とすると共に、熱回収効率の向上を可能とする。
【解決手段】中空形状をなすガス化炉本体11に対して、このガス化炉本体11内にバイオマスを供給可能な燃料供給系と、ガス化炉本体11内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系としての第1、第2空気供給配管61,62(空気供給配管21)を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイオマスを燃焼・ガス化してガス燃料を生成するガス化炉、バイオマスを用いて生成したガス燃料と石炭や油などの化石燃料とを燃料として併用して燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラ設備に関するものである。
バイオマスを燃料としてガス化させることで一酸化炭素や水素などを発生させ、これをガス燃料として生成するガス化炉が各種提案されている。また、石炭や油などの化石燃料を燃料として燃焼させることで熱を発生させ、この発生した熱を回収するボイラが各種提案されている。そして、ガス化炉で生成したガス燃料をボイラに供給し、このガス燃料と化石燃料とを燃料として併用して燃焼させ、熱を回収するようにした設備が、例えば、下記特許文献1に記載されている。
米国特許第4676177号公報
このようなガス化炉とボイラとを組み合わせた設備において、ガス化炉は、バイオマスと共に高温空気を供給することで、このバイオマスを燃焼・ガス化させ、発生した可燃性のガスを燃料ガスとして取り出している。一般的に、高温空気はガス化炉の下部から供給されるものであり、燃焼ガスが上昇することから、ガス化炉内で空気比が相違し、バイオマスの反応速度が異なる。そのため、ガス化炉内の異なる位置でバイオマスの反応速度が変動し、バイオマスのガス化率が低下してしまうという問題がある。また、バイオマスは、色々な状態(例えば、種類、大きさ、形状、水分率など)のものがあり、最適な空気比が相違することからガス化炉内での反応速度が異なる。そのため、異なる状態のバイオマスをガス化炉内に投入すると、ガス化炉内での反応速度が変動し、バイオマスのガス化率が低下してしまうという問題がある。
本発明は上述した課題を解決するものであり、ガス化率を向上することで燃料ガスの生成効率の向上を可能とすると共に、熱回収効率の向上を可能とするボイラ設備を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明のガス化炉は、バイオマスを燃料として燃焼・ガス化させることでガス燃料を生成するガス化炉であって、中空形状をなすガス化炉本体と、該ガス化炉本体内にバイオマスを供給可能な燃料供給系と、前記ガス化炉本体内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系と、を備えることを特徴とするものである。
従って、ガス化炉本体内に空気を供給可能な複数の空気供給系が設けられることで、ガス化炉本体に対して複数の箇所から空気が供給されることとなり、ガス化炉本体内を均一な空気比にすることができ、ガス化炉内での反応速度を上げてガス化率を向上することができ、その結果、燃料ガスの生成効率を向上することができる。
本発明のガス化炉では、前記複数の空気供給系は、前記ガス化炉本体の下部に空気を供給可能な第1空気供給系と、前記ガス化炉本体における前記第1空気供給系より上方に空気を供給可能な第2空気供給系とを有することを特徴としている。
従って、第1空気供給系と第2空気供給系とでガス化炉本体に対する空気の供給位置を上下に相違させることで、ガス化炉本体内での燃焼・ガス化状態やバイオマスの状態に応じてガス化炉本体に対する空気の供給位置を変更することができ、ガス化炉本体内の状態に適応した最適な空気比で燃焼・ガス化してガス化炉内での反応速度を上げることができ、容易にガス化率を向上することができる。
本発明のガス化炉では、前記第2空気供給系は、前記ガス化炉本体における鉛直方向の中間位置に空気を供給することを特徴としている。
従って、第2空気供給系からの空気が、反応速度の低いガス化炉本体の中間位置に供給されることとなり、ガス化炉本体の全領域にわたってバイオマスを適正に燃焼・ガス化することができ、ガス化炉内での反応速度を上げてガス化率を向上することができる。
本発明のガス化炉では、前記第2空気供給系は、前記ガス化炉本体にガス化促進剤を供給することを特徴としている。
従って、第2空気供給系からのガス化促進剤が、反応速度の低いガス化炉本体内に供給されることとなり、ガス化炉本体の全領域にわたってバイオマスを適正に燃焼・ガス化することができ、ガス化炉内での反応速度を上げてガス化率を向上することができる。
また、本発明のボイラ設備は、バイオマスを燃料として燃焼・ガス化させることでガス燃料を生成するガス化炉と、該ガス化炉で生成されたガス燃料と化石燃料を燃焼させて発生した熱を回収するボイラと、を備え、前記ガス化炉は、中空形状をなすガス化炉本体と、該ガス化炉本体内にバイオマスを供給可能な燃料供給系と、前記ガス化炉本体内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系と、を有する、ことを特徴とするものである。
従って、ガス化炉にて、ガス化炉本体に対して複数の箇所から空気が供給されることとなり、ガス化炉本体内を均一な空気比にすることができ、ガス化炉内での反応速度を上げてガス化率を向上することができ、その結果、燃料ガスの生成効率を向上することができ、その結果、ボイラにて、熱回収効率を向上することができる。
本発明のボイラ設備では、前記複数の空気供給系は、前記ボイラに供給される燃焼用空気の一部を前記ガス化炉内に供給することを特徴としている。
従って、ボイラに供給される燃焼用空気の一部が空気供給系によりガス化炉内に供給されることとなり、別途、空気供給系や加熱手段を設ける必要もなく、構成を簡素化することで設備コストの低減を可能とすると共に、品質の高いガス燃料を生成可能とすることができる。
本発明のボイラ設備では、前記複数の空気供給系のうちの一つは、前記ボイラから排出される排ガスの一部を前記ガス化炉内に供給することを特徴としている。
従って、ボイラから排出される排ガスの一部が空気供給系によりガス化炉内に供給されることとなり、別途、供給系などを設けることなく、排ガスによりガス化を促進することができ、品質の高いガス燃料を生成可能とすることができる。
本発明のガス化炉及びボイラ設備によれば、ガス化炉本体内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系を設けるので、ガス化炉本体に対して複数の箇所から空気が供給されることとなり、ガス化炉本体内を均一な空気比にすることができ、ガス化炉内での反応速度を上げてガス化率を向上することができ、その結果、燃料ガスの生成効率を向上することができ、その結果、熱回収効率を向上することができる。
図1は、本発明の実施例1に係るボイラ設備を表す概略構成図である。 図2は、本発明の実施例2に係るボイラ設備を表す概略構成図である。 図3は、本発明の実施例3に係るボイラ設備を表す概略構成図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るガス化炉及びボイラ設備の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係るボイラ設備を表す概略構成図である。
実施例1のボイラ設備は、バイオマスを用いて生成したガス燃料と石炭や油などの化石燃料とを燃料として併用して燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能なボイラ設備である。
この実施例1のボイラ設備は、図1に示すように、バイオマスを燃焼・ガス化させることでガス燃料を生成するガス化炉10と、このガス化炉10で生成したガス燃料と化石燃料とを燃焼することで発生した熱を回収するボイラ30を有している。
ここで、バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源であって、化石資源を除いたものと定義する。例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを減量としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。
ガス化炉10は、循環流動層形式のガス化炉であって、ガス化炉本体11を有している。この場合、循環流動層形式に限らず気泡型循環流動層形式であってもよい。このガス化炉本体11は、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、上下及び周囲の各壁部が全面耐火材料により構成され、外部への放熱が防止可能な構造であり、例えば、500〜1000℃で運転可能となっている。このガス化炉本体11は、流動材としての流動砂と燃料としてのバイオマスを供給可能となっており、内部でバイオマスを燃焼・ガス化することで流動砂を高温化すると共に、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガスが発生し、この可燃性ガスをガス化剤としてガス化反応が起こる。ここで、流動砂としては、例えば、珪砂(主成分として、SiO、Alなど)であり、また、ガス化炉本体11内で発生したガスから硫黄を除去(脱硫)するために、炭酸カルシウム(CaCO)を投入してもよい。
燃料供給系として、ホッパ12、スクリューフィーダ13、コンベア14、供給配管15を有している。ホッパ12は、所定量のバイオマスを貯留可能であり、スクリューフィーダ13は、このホッパ12に貯留されたバイオマスを所定量ずつ供給することができる。コンベア14は、スクリューフィーダ13から供給されたバイオマスを搬送可能であり、ここで、図示しない磁選機により釘や蝶番など、混入している金属製の異物を除去する。そして、バイオマスは、供給配管15を通して側部からガス化炉本体11内に投入される。
なお、燃料供給系にて、ホッパ12の上方には乾燥装置16が設けられている。この乾燥装置16は、バイオマスに含まれる水分を除去する。
また、ガス化炉本体11は、可燃性ガスと流動砂を分離するサイクロン17が接続されている。即ち、ガス化炉本体11は、上側部が排出配管18を介してサイクロン17の上側部に連結されており、このサイクロン17は、下部が循環配管19を介してガス化炉本体11の下側部に連結されており、この循環配管19にシールポッド20が装着されている。
そして、ガス化炉本体11に対して、燃焼用の空気を供給する複数(本実施例では、2個)の空気供給系が設けられている。即ち、空気供給系として空気供給配管21が設けられており、この空気供給配管21は、先端部が2つに分岐され、第1燃料供給系としての第1空気供給配管61と、第2燃料供給系としての第2空気供給配管62が設けられている。そして、第1空気供給配管61は、先端部がガス化炉本体11の下部に連結されると共に、この第1空気供給配管21から分岐した空気供給分岐配管22がシールポッド20に連結されている。また、第2空気供給配管62は、先端部がガス化炉本体11における第1空気供給配管61より上方、つまり、ガス化炉本体11における鉛直方向の中間位置に連結されている。この空気供給配管21は、後述するが、200〜350℃に加熱された高温空気をガス化炉本体11の下部及び中間部から内部に供給することができると共に、空気供給分岐配管22によりシールポッド20に供給することができる。
ガス化炉本体11は、下部にバイオマスに混入していた異物を除去する異物排出配管23が連結されている。
また、サイクロン17は、上部に生成した可燃性ガス、つまり、ガス燃料を送給するガス燃料配管24が連結されている。このガス燃料配管24は、ガス燃料をボイラ30まで搬送するためのものであり、中途部に除塵装置25とサイクロン26が設けられている。この除塵装置25は、流速を低減することで、比重が重く、ガス燃料の気流に乗りにくい燃料とならない成分、具体的には、珪砂を主成分とする粉体を集塵除去する。そのため、除塵装置25は、下部に粉体排出配管27が設けられている。また、サイクロン26は、セラミックフィルタを有し、サイクロン17で除去できなかった微細なチャーを除去する。そのため、サイクロン26は、下部にチャー排出配管28が設けられている。
なお、ガス化炉10で生成されるガス燃料は、主成分が一酸化炭素(CO)、水素(H)、二酸化炭素(CO)、窒素(N)などから構成され、300〜1100kcal/Nm程度の低カロリーガスであり、650〜850℃の範囲でガス化炉10により生成される。
従って、ガス化炉10にて、ガス化炉本体11は、図示しない供給経路から流動砂が供給されており、バイオマスは、乾燥装置16で乾燥された後にホッパ12に貯留され、このホッパ12からスクリューフィーダ13及びコンベア14により供給配管15を通してガス化炉本体11に投入される。また、ガス化炉本体11は、第1空気供給配管61により下部から燃焼用の高温空気が供給されると共に、第2空気供給配管62により下部から燃焼用の高温空気が供給される。すると、ガス化炉本体11内にて、流動砂とバイオマスとが流動混合すると共に、バイオマスが燃焼・ガス化して可燃性ガスが発生する。
この燃焼・ガス化により発生した可燃性ガスは、流動砂と共に排出配管18を通してサイクロン17に排出され、このサイクロン17により可燃性ガスと流動砂とに分離される。そして、分離された可燃性ガスは、ガス燃料としてガス燃料配管24を通してボイラ30に供給される。このとき、ガス燃料配管24を流動するガス燃料は、除塵装置25により珪砂を主成分とする粉体が集塵除去され、サイクロン26により微細なチャーが除去される。また、サイクロン17で分離された高温の流動砂は、シールポッド20を介して循環配管19によりガス化炉本体11に戻される。
一方、ボイラ30は、コンベンショナルボイラであって、ガス燃料と化石燃料とを燃焼可能なボイラ本体31を有している。このボイラ本体31は、中空形状をなして鉛直方向に設置され、このボイラ本体31を構成するボイラ本体壁の下部に燃焼装置32が設けられている。この燃焼装置32は、ボイラ本体壁に装着された複数の化石燃料用の燃焼バーナ33と、複数のガス燃料用の燃焼バーナ34とを有している。本実施例にて、化石燃料用の燃焼バーナ33は、周方向に沿って4個配設されたものが上下方向に4段配置されている。一方、ガス燃料用の燃焼バーナ34は、複数の化石燃料用の燃焼バーナ33の下方であって、周方向に沿って4個配設されたものが上下方向に1段配置されている。なお、化石燃料用の燃焼バーナ33とガス燃料用の燃焼バーナ34の配置関係は上下逆であってもよい。また、各燃焼バーナ33,34にて、周方向の数は4個に限るものではなく、段数も4段や1段に限るものではない。更に、各燃焼バーナ33,34対向するように配置してもよい。
そして、化石燃料用の燃焼バーナ33は、微粉炭供給部35が供給配管36を介して連結されると共に、燃料油(または、燃料ガス)供給部37が供給配管38を介して連結されており、この場合、化石燃料として、微粉炭または燃料油を供給可能となっている。一方、ガス燃料用の燃焼バーナ34は、ガス化炉10からのガス燃料配管24が連結されている。この場合、ガス燃料配管24からガス燃料用の燃焼バーナ34に供給されるガス燃料は、400℃以上に維持することが望ましい。
また、燃焼装置32は、各燃焼バーナ33,34に燃焼用空気を供給可能な空気供給配管39を有しており、この空気供給配管39は、基端部に送風機40が装着され、先端部がボイラ本体31の外周側に設けられた風箱41に連結されている。そのため、この風箱41に供給された空気を各燃焼バーナ33,34に供給することができる。
ボイラ本体31は、上部に煙道42が連結されており、この煙道42に、対流伝熱部として排ガスの熱を回収するための、過熱器43,44、再熱器45,46、節炭器47,48,49が設けられており、ボイラ本体31での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
煙道42は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス配管50が連結されている。この排ガス配管50は、空気供給配管39との間にエアヒータ51が設けられ、空気供給配管39を流れる空気と、排ガス配管50を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ33,34に供給する燃焼用空気を200〜300℃の範囲に昇温することが望ましい。
また、空気供給配管39は、エアヒータ51より下流側の位置から分岐して、空気供給配管21が設けられている。この空気供給配管21は、塵や埃などの粒子状物質を除去可能な除塵装置52と、高温空気を昇圧可能なブロア53が装着されており、エアヒータ51で200〜300℃に加熱した空気をガス化炉10のガス化炉本体11内に供給することができる。
なお、排ガス配管50は、エアヒータ51より上流側に位置して、選択還元型触媒54が設けられ、エアヒータ51より下流側に位置して、電気集塵機55、誘引送風機56、脱硫装置57が設けられ、下流端部に煙突58が設けられている。
従って、ボイラ30にて、送風機40を駆動して空気を吸引すると、この空気は、空気供給配管39を通してエアヒータ51で加熱された後に風箱41を介して各燃焼バーナ33,34に供給される。また、化石燃料としての微粉炭または燃料油は、供給配管36,38を通して化石燃料用の燃焼バーナ33に供給されると共に、ガス化炉10からのガス燃料は、ガス燃料配管24を通してガス燃料用の燃焼バーナ34に供給される。
すると、化石燃料用の燃焼バーナ33は、燃焼用空気と化石燃料をボイラ本体31に噴射すると同時に着火し、また、ガス燃料用の燃焼バーナ34は、燃焼用空気とガス燃料をボイラ本体31に噴射すると同時に着火する。このボイラ本体31では、燃焼用空気、化石燃料、ガス燃料が燃焼して火炎が生じる。ボイラ本体31内の下部で火炎が生じると、燃焼ガスがこのボイラ本体31内を上昇し、煙道42に排出される。
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器47,48,49によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給されボイラ本体壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器43,44に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器43,44で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器45,46に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、ボイラ本体31をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
その後、煙道42の節炭器47,48,49を通過した排ガスは、排ガス配管50にて、選択還元型触媒54でNOxなどの有害物質が除去され、電気集塵機55で粒子状物質が除去され、脱硫装置57により硫黄分が除去された後、煙突58から大気中に排出される。
このように構成された本実施例のボイラ設備のガス化炉10において、上述したように、ガス化炉本体11に燃焼・ガス化用空気を供給可能な第1、第2空気供給系61,62が設けられ、第1空気供給配管61は、ガス化炉本体11の下部に空気を供給可能であり、第2空気供給配管62は、ガス化炉本体11の上下方向の中間部に空気を供給可能である。また、ガス化炉本体11にバイオマスを供給する燃料供給系(ホッパ12、スクリューフィーダ13、コンベア14、供給配管15など)が設けられ、ガス化炉本体11にバイオマスを供給可能である。
即ち、ガス化炉本体11は、内部に流動砂と共にバイオマス及び燃焼・ガス化用の空気が供給されることで、バイオマスが燃焼し、発生した一酸化炭素などの可燃性ガスが上昇し、上部に設けられたガス燃料配管24から排出される。この場合、生成ガスが上昇することが起因し、ガス化炉本体11は、ガス化炉本体11の上方と下方では、空気比がばらついてしまう。ガス化炉本体11では、バイオマスを燃焼して効率良くガス化するために、空気比を0.3〜0.7の範囲に設定することが最適であると考えられている。
そこで、実施例1では、第1空気供給配管61により、ガス化炉本体11の下部に空気を供給すると共に、第2空気供給配管62により、ガス化炉本体11の中間部(上部)に空気を供給することで、ガス化炉本体11の上方から下方まで、均一な空気比となるように調整している。そのため、ガス化炉本体11は、下部だけでなく、中間部(上部)からも空気(酸素)が供給されることとなり、内部が均一な空気比となるように調整され、全域にわたって燃焼温度も均一化され、バイオマスを適正に燃焼・ガス化させて反応速度を上げることができる。
また、第1空気供給配管61と第2空気供給配管62に流量調整弁を設けることで、ガス化炉本体11の下部と中間部に供給する空気量を調整してもよい。即ち、ガス化炉本体11における燃焼状態に応じて、流量調整弁により、第1空気供給配管61からの空気供給量と、第2空気供給配管62からの空気供給量を増減するとよい。
この場合、ガス化炉本体11で燃焼されるバイオマスは、ガス化しやすいものと、ガス化しにくいものがある。例えば、水分量の少ないもの、例えば、木屑、麦蕎、ペレット、石炭などは反応速度が高く、水分量の多いもの、例えば、間伐材、汚泥、流木などは反応速度が低い。そのため、ガス化炉本体11に供給されるバイオマスの反応速度に応じて、流量調整弁により、第1空気供給配管61からの空気供給量と、第2空気供給配管62からの空気供給量を増減してもよい。
従って、ガス化炉10のガス化炉本体11にて、第1空気供給配管61からガス化炉本体11の下部に空気が供給されると共に、第2空気供給配管62からガス化炉本体11の中間部に空気が供給される。また、燃料供給系からガス化炉本体11内にバイオマスが供給される。
すると、このガス化炉本体11は、下部にてバイオマスの燃焼により発生した二酸化炭素をガス化剤とするガス化反応により生成した一酸化炭素や水素を含む可燃性ガスが発生して上昇するが、空気は、下部だけでなく中間部からも供給されることで、全域にわたって空気比が均一となり、上部でもバイオマスが適正にガス化する。そして、このガス化により発生した可燃性ガスは、サイクロン17で流動砂が分離され、ガス燃料としてガス燃料配管24を通してボイラ30に供給される。
このように実施例1のガス化炉にあっては、中空形状をなすガス化炉本体11に対して、このガス化炉本体11内にバイオマスを供給可能な燃料供給系と、ガス化炉本体11内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系としての第1、第2空気供給配管61,62(空気供給配管21)を設けている。
従って、ガス化炉本体11内に空気を供給可能な第1、第2空気供給配管61,62が設けられることで、ガス化炉本体11に対して複数の箇所から空気が供給されることとなり、ガス化炉本体11内を均一な空気比にすることができ、ガス化炉10内での反応速度を上げてガス化率を向上することができ、その結果、燃料ガスの生成効率を向上することができる。また、ガス化炉本体11にて、ガス化炉本体11にある色々な状態のバイオマスに対して、第1、第2空気供給配管61,62から空気を供給し、ガス化炉本体11内をバイオマスの状態に応じた最適な空気比に調整することができ、ガス化炉10内での反応速度を上げてガス化率を向上することができる。
また、実施例1のガス化炉では、第1空気供給配管61は、ガス化炉本体11の下部に空気を供給可能であり、第2空気供給配管62は、ガス化炉本体11における第1空気供給配管61より上方に空気を供給可能としている。従って、第1空気供給配管61と第2空気供給配管62とでガス化炉本体11に対する空気の供給位置を上下に相違させることで、ガス化炉本体内でのガス化状態やバイオマスの状態に応じて、ガス化炉本体11に対する空気の供給位置を変更することができ、ガス化炉本体11のガス化状態に適応した最適な空気比で燃焼・ガス化してガス化炉10内での反応速度を上げることができ、容易にガス化率を向上することができる。
また、実施例1のガス化炉では、第2空気供給配管62は、ガス化炉本体11における鉛直方向の中間位置に空気を供給している。従って、第2空気供給配管62からの空気が、反応速度の低いガス化炉本体11の中間位置に供給されることとなり、ガス化炉本体11の全領域にわたってバイオマスを適正に燃焼・ガス化することができ、ガス化炉10内での反応速度を上げてガス化率を向上することができる。
実施例1のボイラ設備にあっては、バイオマスを燃料として燃焼・ガス化させることでガス燃料を生成するガス化炉10と、ガス化炉10で生成されたガス燃料と化石燃料を燃焼させて発生した熱を回収するボイラ30とを設け、ガス化炉10として、中空形状をなすガス化炉本体11に対して、このガス化炉本体11内にバイオマスを供給可能な燃料供給系と、ガス化炉本体11内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系としての第1、第2空気供給配管61,62(空気供給配管21)を設けている。
従って、ガス化炉10にて、ガス化炉本体11に対して複数の箇所から空気が供給されることとなり、ガス化炉本体11内を均一な空気比にすることができ、ガス化炉10内での反応速度を上げてガス化率を向上することができ、その結果、燃料ガスの生成効率を向上することができる、その結果、ボイラにて、熱回収効率を向上することができる。また、ガス化炉本体11にて、ガス化炉本体11にある色々な状態のバイオマスに対して、第1、第2空気供給配管61,62から空気を供給し、ガス化炉本体11内をバイオマスの状態に応じた最適な空気比に調整することができ、ガス化炉10内での反応速度を上げてガス化率を向上することができる。
この場合、第1、第2空気供給配管61,62は、ボイラ30に供給される燃焼用空気の一部をガス化炉本体11に供給している。従って、ボイラ30に供給される燃焼用空気の一部が空気供給配管21によりガス化炉10内に供給されることとなり、別途、空気供給系や加熱手段を設ける必要もなく、構成を簡素化することで設備コストの低減を可能とすると共に、品質の高いガス燃料を生成可能とすることができる。
図2は、本発明の実施例2に係るボイラ設備を表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例2のボイラ設備において、図2に示すように、ガス化炉10のガス化炉本体11にガス化用空気を供給可能な空気供給系として空気供給配管71が設けられており、この空気供給配管71は、基端部に送風機72が装着され、中間部にガス燃料配管24との間で熱交換を行う熱交換器73が設けられている。また、空気供給配管71は、先端部が2つに分岐され、第1燃料供給系としての第1空気供給配管74と、第2燃料供給系としての第2空気供給配管75が設けられ、第1空気供給配管74は、先端部がガス化炉本体11の下部に連結されると共に、この第1空気供給配管74から分岐した空気供給分岐配管76がシールポッド20に連結されている。また、第2空気供給配管75は、先端部がガス化炉本体11における第1空気供給配管74より上方、つまり、ガス化炉本体11における鉛直方向の中間位置に連結されている。
従って、ガス化炉10のガス化炉本体11にて、送風機72により外部の空気が空気供給配管71に吸入されると、この空気は、熱交換器73によりガス燃料配管24を流れるガス燃料との間で熱交換が行われる。ここで、空気供給配管71を流れる空気は、200〜350℃に加熱されることが望ましい。そして、ここで加熱された空気は、第1空気供給配管74からガス化炉本体11の下部に供給されると共に、第2空気供給配管75からガス化炉本体11の中間部に供給される。また、燃料供給系からガス化炉本体11内にバイオマスが供給される。
すると、このガス化炉本体11は、下部にてバイオマスの燃焼により発生した二酸化炭素をガス化剤とするガス化反応により生成した一酸化炭素や水素を含む可燃性ガスが発生して上昇するが、空気は、下部だけでなく中間部からも供給されることで、全域にわたって空気比が均一となり、上部でもバイオマスが適正にガス化する。そして、このガス化により発生した可燃性ガスは、サイクロン17で流動砂が分離され、ガス燃料としてガス燃料配管24を通してボイラ30に供給される。
このように実施例2のガス化炉にあっては、中空形状をなすガス化炉本体11に対して、このガス化炉本体11内にバイオマスを供給可能な燃料供給系と、ガス化炉本体11内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系としての第1、第2空気供給配管74,75(空気供給配管71)を設けている。
従って、ガス化炉本体11に対して複数の箇所から空気が供給されることとなり、ガス化炉本体11内を均一な空気比にすることができ、ガス化炉10内での反応速度を上げてガス化率を向上することができる。この場合、外部の空気を熱交換器73により加熱してから第1、第2空気供給配管74,75によりガス化炉本体11の下部と中間部に供給することとなり、ガス化炉10へ独立した空気供給系を構成することとなり、ガス化炉本体11の下部や中間部へ供給する空気量をボイラ30の作動に関係なく、コントロールすることができる。
なお、本実施例であっても、第1空気供給配管74と第2空気供給配管75に流量調整弁を設けることで、ガス化炉本体11の下部と中間部に供給する空気量を調整することができる。また、空気供給配管71に集塵装置を設けてもよい。
図3は、本発明の実施例3に係るボイラ設備を表す概略構成図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例3のボイラ設備において、図3に示すように、ガス化炉10のガス化炉本体11にガス化用空気を供給可能な空気供給系として空気供給配管21が設けられており、この空気供給配管21は、基端部が燃焼用空気をボイラ30に供給する空気供給配管39に連結されている。また、空気供給配管21は、先端部が2つに分岐され、第1空気供給配管61と第2空気供給配管62が設けられ、第1空気供給配管61は、先端部がガス化炉本体11の下部に連結され第2空気供給配管62は、先端部がガス化炉本体11の中間部に連結されている。
また、ガス化炉10のガス化炉本体11にガス化促進剤として二酸化炭素を含有するボイラ排ガスを供給可能な第2空気供給系として排ガス供給配管81が設けられ、この排ガス供給配管81にブロア82が装着されている。この排ガス供給配管81は、基端部がボイラ30からの排ガス配管50における選択還元型触媒54とエアヒータ51との間に連結されている。また、排ガス供給配管81は、先端部がガス化炉本体11における第2空気供給配管62より上方に連結されている。
従って、ガス化炉10のガス化炉本体11にて、空気供給配管39の高温空気が空気供給配管21を通り、第1空気供給配管61からガス化炉本体11の下部に供給されると共に、第2空気供給配管62からガス化炉本体11の中間部に供給される。また、排ガス配管50の排ガスが排ガス供給配管81からガス化炉本体11の中間部に供給される。更に、燃料供給系からガス化炉本体11内にバイオマスが供給される。
すると、このガス化炉本体11は、下部にてバイオマスの燃焼により発生した二酸化炭素をガス化剤とするガス化反応により生成した一酸化炭素や水素を含む可燃性ガスが発生して上昇するが、空気は、下部だけでなく中間部からも供給されることで、全域にわたって空気比が均一となり、上部でもバイオマスが適正にガス化する。また、ガス化炉本体11の中間部には、二酸化炭素を含む排ガスが供給されることで、バイオマスのガス化が促進される。そして、このガス化により発生した可燃性ガスは、サイクロン17で流動砂が分離され、ガス燃料としてガス燃料配管24を通してボイラ30に供給される。
このように実施例3のガス化炉にあっては、中空形状をなすガス化炉本体11に対して、このガス化炉本体11内にバイオマスを供給可能な燃料供給系と、ガス化炉本体11内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系としての第1、第2空気供給配管61,62(空気供給配管21)を設けると共に、第2空気供給系として、ガス化炉本体11内に排ガスを供給可能な排ガス供給配管81を設けている。
従って、ガス化炉本体11に対して複数の箇所から空気が供給されることとなり、ガス化炉本体11内を均一な空気比にすることができ、ガス化炉10内での反応速度を上げてガス化率を向上することができる。また、ガス化炉本体11に対して空気とは別にガス化促進剤としての排ガスが供給されることとなりガス化炉10内での反応速度を更に上げてガス化率を向上することができる。
なお、本実施例において、排ガス供給配管81に流量調整弁を設けることで、ガス化炉本体11に供給する排ガス量を調整することができる。また、空気供給系として、第1空気供給配管61または第2空気供給配管62だけとし、第2空気供給系として排ガス供給配管81を設けてもよい。更に、第2空気供給系として排ガス供給配管81を設けたが、別途、二酸化炭素を供給する経路や水蒸気を供給する経路を設けてもよい。
なお、上述した実施例では、ガス化炉本体としてのガス化炉本体11内に空気を供給可能な複数の燃料供給系として、第1、第2空気供給系61,62,74,75を設けたが、空気供給系を3つ以上設けてもよい。
本発明に係るガス化炉及びボイラ設備は、ガス化炉本体内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系を設けることで、ガス化率を向上することで燃料ガスの生成効率の向上を可能とすると共に、熱回収効率の向上を可能とするものであり、いずれのガス化炉やボイラ設備にも適用することができる。
10 ガス化炉
11 ガス化炉本体
12a,12b ホッパ(燃料供給系)
15a,15b 供給配管(燃料供給系)
16a,16b 乾燥装置
17 サイクロン
21 空気供給配管(空気供給系)
24 ガス燃料配管
25 除塵装置
26 サイクロン
30 ボイラ
31 ボイラ本体
32 燃焼装置
33 化石燃料用の燃焼バーナ
34 ガス燃料用の燃焼バーナ
39 空気供給配管
42 煙道
51 エアヒータ
52 除塵装置
53 ブロア
61,74 第1空気供給配管(第1燃料供給系)
62,75 第2空気供給配管(第2燃料供給系)
81 排ガス供給配管(第2空気供給系)

Claims (7)

  1. バイオマスを燃料として燃焼・ガス化させることでガス燃料を生成するガス化炉であって、
    中空形状をなすガス化炉本体と、
    該ガス化炉本体内にバイオマスを供給可能な燃料供給系と、
    前記ガス化炉本体内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系と、
    を備えることを特徴とするガス化炉。
  2. 前記複数の空気供給系は、前記ガス化炉本体の下部に空気を供給可能な第1空気供給系と、前記ガス化炉本体における前記第1空気供給系より上方に空気を供給可能な第2空気供給系とを有することを特徴とする請求項1に記載のガス化炉。
  3. 前記第2空気供給系は、前記ガス化炉本体における鉛直方向の中間位置に空気を供給することを特徴とする請求項2に記載のガス化炉。
  4. 前記第2空気供給系は、前記ガス化炉本体にガス化促進剤を供給することを特徴とする請求項2または3に記載のガス化炉。
  5. バイオマスを燃料として燃焼・ガス化させることでガス燃料を生成するガス化炉と、
    該ガス化炉で生成されたガス燃料と化石燃料を燃焼させて発生した熱を回収するボイラと、
    を備え、
    前記ガス化炉は、
    中空形状をなすガス化炉本体と、
    該ガス化炉本体内にバイオマスを供給可能な燃料供給系と、
    前記ガス化炉本体内にガス化用空気を供給可能な複数の空気供給系と、
    を有する、
    ことを特徴とするボイラ設備。
  6. 前記複数の空気供給系は、前記ボイラに供給される燃焼用空気の一部を前記ガス化炉内に供給することを特徴とする請求項5に記載のボイラ設備。
  7. 前記複数の空気供給系のうちの一つは、前記ボイラから排出される排ガスの一部を前記ガス化炉内に供給することを特徴とする請求項5に記載のボイラ設備。
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