JP2011218247A - 膜フラッシュ型蒸留器および膜フラッシュ型蒸留装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸発効率の向上を図ることができると共に、温海水が蒸留水に混ざることを防止することができる膜フラッシュ型蒸留器および膜フラッシュ型蒸留装置を提供する。
【解決手段】垂直に配置された中空糸膜中心部の空間に温海水を通過させて、中空糸膜外部に温海水を蒸発させ、蒸発により発生した水蒸気を凝縮壁に凝縮させて蒸留水を生成させる膜フラッシュ型蒸留器であって、所定の大きさの間隙部を設けて配置された複数の親水性、あるいは親水化処理された中空糸膜により構成された中空糸膜束と、中空糸膜束が所定の大きさの空隙部を介して収納されていると共に凝縮壁として作用する収納容器と、収納容器の下部に、収納容器の内面に沿って、中空糸膜束と離されて設けられた円周状の蒸留水受け溝と、蒸留水受け溝に連通された蒸留水排出口とが設けられている膜フラッシュ型蒸留器。前記膜フラッシュ型蒸留器が備えられている膜フラッシュ型蒸留装置。
【選択図】 図1
【解決手段】垂直に配置された中空糸膜中心部の空間に温海水を通過させて、中空糸膜外部に温海水を蒸発させ、蒸発により発生した水蒸気を凝縮壁に凝縮させて蒸留水を生成させる膜フラッシュ型蒸留器であって、所定の大きさの間隙部を設けて配置された複数の親水性、あるいは親水化処理された中空糸膜により構成された中空糸膜束と、中空糸膜束が所定の大きさの空隙部を介して収納されていると共に凝縮壁として作用する収納容器と、収納容器の下部に、収納容器の内面に沿って、中空糸膜束と離されて設けられた円周状の蒸留水受け溝と、蒸留水受け溝に連通された蒸留水排出口とが設けられている膜フラッシュ型蒸留器。前記膜フラッシュ型蒸留器が備えられている膜フラッシュ型蒸留装置。
【選択図】 図1
Description
本発明は、海水の淡水化のために用いられる膜フラッシュ型蒸留器および前記膜フラッシュ型蒸留器を備えた膜フラッシュ型蒸留装置に関する。
海水を淡水化する方法の1つに、海水を蒸留して淡水を作り出すフラッシュ蒸留法がある。従来、フラッシュ蒸留法としては、所定温度に加熱された海水を、海水の飽和蒸気圧よりも低い圧力に保たれた空間にスプレーして蒸発(フラッシュ)させた後、水蒸気を凝縮させて淡水を作り出すスプレイフラッシュ式蒸留法がメインであったが、スプレー空間を設ける必要があるため装置が大型化する。このため、近年、装置の大型化を必要としない膜フラッシュ式蒸留法が注目されている。
この膜フラッシュ式蒸留法は、多孔質膜を用いて海水を蒸発させた後、水蒸気を凝縮させて淡水を作り出すものであり、従来、水蒸気のみを透過する疎水性の多孔質膜を用いて行われていた(例えば特許文献1)。
ここで、従来の膜フラッシュ式蒸留法につき、図2に基づいて説明する。なお、図2は従来の膜フラッシュ式蒸留法の概要を示す図である。
図2において、膜フラッシュ型蒸留器50は以下の通り構成されている。
即ち、2は疎水性の中空糸膜であり、多数の中空糸膜2が相互に間隙部を設けて配置されて中空糸膜束3が構成されている。そして、4は中空糸膜束3の収納容器であり、空隙部5を介して中空糸膜束3が収納されている。
また、中空糸膜束3の上端には、加温された温海水W1を各中空糸膜2に供給する温海水供給部31が設けられている。そして、下端には、各中空糸膜2を流下するに従い水温の下がった冷海水W3を回収する冷海水回収部32が、空隙部5を介して設けられている。
さらに、収納容器4の外壁面に沿って冷却水流路51が設けられており、収納容器4の下端には、生成した蒸留水W2を回収する蒸留水回収部52および蒸留水排出口7が設けられている。そして、蒸留水排出口7の先には、蒸留水タンク54が設けられている。
図2に示すように、原水タンク53において加温された温海水W1は、温海水供給部31に供給された後、各々の中空糸膜2の中心部の空間に供給され、中空糸膜2内を自然流下する。このとき温海水W1が蒸発し、発生した水蒸気は疎水性の中空糸膜2に設けられた細孔(孔径:0.1〜3μm)内を拡散して中空糸膜2の外側に出た後、収納容器4の内壁において冷却されて凝縮し、蒸留水W2が生成される。
生成した蒸留水W2は、収納容器4の壁面に沿って自然流下して、蒸留水回収部52で回収された後、蒸留水排出口7を介して蒸留水タンク54に貯えられる。また、中空糸膜から排出される温度が低下した冷海水W3は冷海水回収部32に貯えられた後、そのまま冷却水として冷却水流路51に送られ、冷却水流路51内を通過中に、凝縮熱により温められた収納容器4と熱交換することにより温められた後、原水タンク53に戻される。
蒸留水の生成の様子を示すために、従来の膜フラッシュ型蒸留装置の斜視図を図3に示す。図3において、ヒータ55により加温された温海水W1は、原水タンク53から膜フラッシュ型蒸留器50に供給された後、中空糸膜を介して蒸発する。そして、蒸発した水蒸気は、収納容器に接して設けられた冷却水流路51により冷却されて、蒸留水W2が生成され、図に示すように、冷海水回収部32の外側を落下する。
従来の膜フラッシュ型蒸留装置においては、疎水性の中空糸膜を用い、その中心部の空間に温海水を通しており、温海水は自身の表面張力のために、この中心空間から出ることができず、膜を介して外気と接することになる。そして、十分に細い中空糸を使用することにより、外気と接する表面積を大きく確保することが可能となり、蒸発効率を上げることができる。
しかしながら、このような従来の膜フラッシュ型蒸留装置は、未だ、十分な蒸発効率を有しているとは言えず、さらなる蒸発効率の向上が望まれていた。
また、中空糸膜のメンテナンスや交換を頻繁に行わないと、生成された蒸留水に海水が混ざるような事態が発生することもあった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、蒸発効率の向上を図ることができると共に、温海水が蒸留水に混ざることを防止することができる膜フラッシュ型蒸留器および膜フラッシュ型蒸留装置を提供することを課題とする。
本発明者は、先ず、従来の膜フラッシュ型蒸留装置において、十分な蒸発効率を得ることができない原因につき、検討を行った。
その結果、外気と接する温海水の表面積は広ければ広いほどよいが、従来の膜フラッシュ型蒸留装置においては、最大でも、中空糸膜の中心空間の表面積であり、また、温海水の表面と外部との間には、前記した細孔を有する多孔質膜が存在するため、水蒸気はこの細孔の中を拡散により通過する外なく、中空糸膜の外側に通風手段を設けるなどして蒸発促進を図っても、十分な効果を得ることができず、蒸発効率を向上させることが難しいことが分かった。
一方、従来の膜フラッシュ型蒸留装置において、中空糸膜のメンテナンスや交換を頻繁に行わないと、生成された蒸留水に海水が混ざるような事態が発生する原因につき、検討を行った結果、長期間の使用やバイオフィルムの付着また界面活性剤のように疎水基と親水基の両方をもつような両親媒性の汚れによりファウリング(目詰まり)が発生することにより、中空糸膜の疎水性が失われ、このために、温海水が中空糸膜の外に漏れ出して蒸留水に混ざることが分かった。
本発明者は、これらの知見に基づき、上記課題の解決につき鋭意検討の結果、小さい装置体積で蒸発面積を大きく取ることができるという膜フラッシュ式蒸留法における利点を残しながら、中空糸膜から海水が漏れ出しても問題にする必要がない構造を採るという従来とは全く逆の発想により、蒸発効率の向上を図ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、本発明を各請求毎に説明する。
請求項1に記載の発明は、
垂直に配置された中空糸膜中心部の空間に温海水を通過させて、中空糸膜外部に前記温海水を蒸発させ、蒸発により発生した水蒸気を凝縮壁に凝縮させて蒸留水を生成させる膜フラッシュ型蒸留器であって、
所定の大きさの間隙部を設けて配置された複数の親水性の、あるいは親水化処理された中空糸膜により構成された中空糸膜束と、
前記中空糸膜束が所定の大きさの空隙部を介して収納されていると共に、前記凝縮壁を備えた収納容器と、
前記収納容器の下部に、前記凝縮壁の内面に沿って、前記中空糸膜束と離されて設けられた蒸留水受け溝と、
前記蒸留水受け溝に連通された蒸留水排出口と
が設けられていることを特徴とする膜フラッシュ型蒸留器である。
垂直に配置された中空糸膜中心部の空間に温海水を通過させて、中空糸膜外部に前記温海水を蒸発させ、蒸発により発生した水蒸気を凝縮壁に凝縮させて蒸留水を生成させる膜フラッシュ型蒸留器であって、
所定の大きさの間隙部を設けて配置された複数の親水性の、あるいは親水化処理された中空糸膜により構成された中空糸膜束と、
前記中空糸膜束が所定の大きさの空隙部を介して収納されていると共に、前記凝縮壁を備えた収納容器と、
前記収納容器の下部に、前記凝縮壁の内面に沿って、前記中空糸膜束と離されて設けられた蒸留水受け溝と、
前記蒸留水受け溝に連通された蒸留水排出口と
が設けられていることを特徴とする膜フラッシュ型蒸留器である。
本請求項の発明においては、中空糸膜として、親水性の、あるいは親水化処理された中空糸膜を採用している。このため、中空糸膜中心部の空間を通過する温海水が中空糸膜の外側に滲み出て中空糸膜の外側の面を濡らし、中空糸膜の外側の面から温海水が蒸発する。
即ち、本請求項の発明においては、温海水は、従来のように中空糸膜の内部空間で外気と接するのではなく、中空糸膜の外部で外気と接しているため、外気と接する温海水の表面積を、従来に比べてはるかに大きく確保することができ、温海水の蒸発速度をより大きくすることができる。
この結果、従来よりも短い長さの中空糸膜で従来と同等の蒸発量を得ることができ、コストの低減を図ることができる。そして、短い長さの中空糸膜であるため、圧損が小さくなり設備の簡略化を図ることもできる。
また、中空糸膜の外部で外気と接している温海水は、前記した通風手段などにより蒸発促進を図ることができるため、より蒸発効率を向上させることができる。
さらに、親水性の、あるいは親水化処理された中空糸膜はファウリングの発生や汚れの発生などによる悪影響を受けにくいため、中空糸膜のメンテナンスや交換の頻度を大幅に低減することができる。
中空糸膜の外部に滲み出した温海水が蒸発しきれなかった場合、従来の膜フラッシュ型蒸留器では、この蒸発しきれなかった温海水は、そのまま蒸留水回収部に流下していくため、蒸留水と混ざる恐れがある。このため、本請求項の発明においては、凝縮壁の内面に沿って、生成した蒸留水を受けるための蒸留水受け溝を設けて蒸留水を回収すると共に、前記蒸留水受け溝を中空糸膜束と離して設けている。この結果、中空糸膜の外部に滲み出し、蒸発しきれなかった温海水があったとしても、蒸留水と混ざる恐れがない。
また、通常の蒸留法では、海水残渣が蒸発時に固体となりチャンバーや配管を汚すため、この固体残渣を取り除くことを目的として、前もって海水の濾過(前処理)を行うことがあるが、本請求項の発明によれば、蒸発時に濾過することもできるため、このような前処理を省略もしくは簡略化することができるというメリットもある。
親水性の、あるいは親水化処理された中空糸膜としては、ポリアクリロニトリル、ポリイミッド、PES、ポリフェニレンスルフィドスルフォンなどの多孔質膜を挙げることができるが、特に、耐熱性や機械的強度に優れ、また化学的にも安定なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製やポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の多孔質体に親水化処理を施した中空糸膜が好ましく用いられる。なお、中空糸膜における孔径や気孔率は、使用状況に応じて適宜設定される。
なお、中空糸膜としては、疎水性の膜であっても、前記したように、ファウリングの発生などにより徐々に親水性を示すようになるため、用いることは可能であるが、親水性膜を用いる方が海水の滲み出しが均一となるため、蒸留水の生成に関して効果が高い。
収納容器としては、その内壁が凝縮壁としての役割も果たすことができるため熱伝導性の良好な金属製を用いることが好ましく、耐食性にも配慮した場合、ステンレス製やチタンコーティング製などを挙げることができる。
請求項2に記載の発明は、
前記収納容器の外壁面に沿って冷却水流路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の膜フラッシュ型蒸留器である。
前記収納容器の外壁面に沿って冷却水流路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の膜フラッシュ型蒸留器である。
本請求項の発明においては、収納容器の外壁面に沿って冷却水流路が設けられているため、収納容器の凝縮壁としての作用を一層高めることができる。このとき、冷却水として収納容器から排出される温海水を使用した場合、冷却水流路を経由することにより再び温められるため、これを温海水として再び用いることにより蒸留の熱効率を高めることができる。
中空糸膜内を通ってきた海水の温度は、流量を上げることにより制御することができる。このとき、海水の最低温度を40℃以上に制御することにより、熱交換を行う表面に海水中の生物が付着・繁殖することを防ぐことができる。
請求項3に記載の発明は、
請求項1または請求項2に記載の膜フラッシュ型蒸留器が備えられていることを特徴とする膜フラッシュ型蒸留装置である。
請求項1または請求項2に記載の膜フラッシュ型蒸留器が備えられていることを特徴とする膜フラッシュ型蒸留装置である。
蒸発効率の向上が図れると共に、中空糸膜のメンテナンスや交換頻度の低減を図ることができる膜フラッシュ型蒸留器が備えられているため、よりコンパクトで効率的な膜フラッシュ型蒸留装置を提供することができ、ランニングコストや設備コストの低減を図ることができる。
請求項4に記載の発明は、
前記膜フラッシュ型蒸留器の前記温海水が供給される側の端部に設けられた水蒸気排気口と、
前記水蒸気排気口に連結された熱交換機と、
前記熱交換機に連結された排気手段と
が備えられていることを特徴とする請求項3に記載の膜フラッシュ型蒸留装置である。
前記膜フラッシュ型蒸留器の前記温海水が供給される側の端部に設けられた水蒸気排気口と、
前記水蒸気排気口に連結された熱交換機と、
前記熱交換機に連結された排気手段と
が備えられていることを特徴とする請求項3に記載の膜フラッシュ型蒸留装置である。
本請求項の発明においては、膜フラッシュ型蒸留器の温海水が供給される側の端部に、膜フラッシュ型蒸留器内で発生した水蒸気を排出する水蒸気排気口を設けている。これにより、膜フラッシュ型蒸留器内の上部で発生した温度の高い水蒸気が、膜フラッシュ型蒸留器下部にある温度の低い中空糸膜の外面に凝縮することを抑制できる。
そして、排気口から排出された水蒸気は、熱交換機により凝縮され、蒸留水として回収される。このため、排気口から水蒸気を排出しても、蒸発効率が下がることはない。
熱交換機により蒸留水が取り除かれた後の気体は、そのまま外部に排出してもよいが、乾燥した気体であるため、再び膜フラッシュ型蒸留器内に戻した場合、中空糸膜相互の間に設けた間隙に乾燥した気体の流れを形成させることができ、一層蒸発効率を向上させることができる。
本発明によれば、蒸発効率の向上を図ることができると共に、温海水が蒸留水に混ざることを防止することができる膜フラッシュ型蒸留器および膜フラッシュ型蒸留装置を提供することができる。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
図1に本実施の形態における膜フラッシュ式蒸留法の概要を示す。図1において、6は円周状の蒸留水受け溝であり、収納容器4の内面に沿って中空糸膜束3と一定間隔離された状態で、収納容器4の下部に設けられている。8は膜フラッシュ型蒸留器50において蒸発した水蒸気を排出する水蒸気排気口であり、膜フラッシュ型蒸留器50の温海水供給側の端部側面に設けられている。57は熱交換機であり、連結管により水蒸気排気口8に連結されている。58は真空ポンプであり、連結管により熱交換機57に連結されている。これら以外の符号は、既に述べた図2の従来の膜フラッシュ型蒸留装置と同様の部材を示す。そして、中空糸膜2は親水性の多孔質膜により構成されている。
原水タンク53において加温された温海水W1は、温海水供給部31に供給された後、各々の中空糸膜2の中心部の空間に供給され、中空糸膜2内を自然流下する。このとき、中空糸膜2は、親水性の多孔質膜であるため、中空糸膜中心部の空間を通過する温海水が中空糸膜2の外側に滲み出て中空糸膜2の外側の面を濡らし、中空糸膜2の外側の面から温海水が蒸発する。
このため、本実施の形態における外気と接する温海水の表面積は、従来の疎水性の中空糸膜の場合における中空糸膜2内部の表面積と異なり、中空糸膜2外部の表面積となり、例えば、外径2.3mm、内径1.1mmの中空糸膜ないし外径1.4mm、内径0.8mmの中空糸膜を用いた場合、従来に比べ、1.5〜3倍の表面積が確保され、蒸発速度もこれに合わせて1.5〜3倍となり、収納容器4の内壁で凝縮する蒸留水W2の量も増加する。
一方、同じ量の蒸留水を得る場合、従来に比べ、中空糸膜の長さ(収納容器の長さ)は2/3〜1/3で十分であるため、膜フラッシュ型蒸留装置をコンパクト化して、コストの低減を図ることができる。そして、長さが短い中空糸膜の場合、圧損が小さくなるため、このための設備を簡略化することができる。
例えば、一般に膜蒸留では、外径1〜3mmφ、内径0.5〜2mmφで長さ1〜4mの中空糸膜が用いられるが、本実施の形態においては、長さを0.3〜2mにすることができる。
蒸発して収納容器4の内壁で凝縮した蒸留水W2は、収納容器4の内壁に沿って自然流下し、蒸留水受け溝6に受け止められる。この際、蒸留水受け溝6は、中空糸膜束3と一定間隔離れているため、蒸発しきれなかった温海水が、中空糸膜2の外面に沿って流下してきたとしても、蒸留水受け溝6に入ることなく冷海水回収部32まで運ばれ、蒸留水と混ざる恐れがない。
蒸留水受け溝6に受け止められた蒸留水W2は、蒸留水排出口7から蒸留水タンク54に送られ、貯えられる。
さらに、本実施の形態においては、膜フラッシュ型蒸留器50の温海水供給側の端部側面に、蒸発した水蒸気を排出する水蒸気排気口8が設けられており、中空糸膜2上部で蒸発した高温の水蒸気を外部に排出している。このため、中空糸膜2上部で蒸発した高温の水蒸気が、流下するに従って水温が低下した下部の中空糸膜外面で凝縮する恐れを小さくすることができる。即ち、中空糸膜外面で凝縮した蒸留水W2は、蒸留水受け溝6に受け止められず、冷海水回収部32まで運ばれると、生成した蒸留水の一部が回収されないことになるが、このような無駄を抑制することができる。
そして、水蒸気排気口8から排出された水蒸気は、熱交換機57により蒸留水として回収された後、蒸留水タンク54に送られ、貯えられる。
以上のように、本実施の形態においては、親水性の中空糸膜を用いることにより、疎水性の中空糸膜を用いた従来の膜フラッシュ型蒸留装置に比べ、大きな蒸発速度を確保することができると共に、膜フラッシュ型蒸留器において生成された蒸留水の回収方法に上記のような工夫を凝らすことにより、温海水が蒸留水に混ざることなく、生成された蒸留水を効率よく回収することができる。このため、同じ長さの中空糸膜を用いた膜フラッシュ型蒸留装置の場合、従来に比べ、多くの蒸留水の量を得ることができる。一方、同じ量の蒸留水を得る場合、従来に比べ、中空糸膜の長さ(収納容器の長さ)が短くてすむため、膜フラッシュ型蒸留装置をコンパクト化して、コストの低減を図ることができる。そして、長さが短い中空糸膜の場合、圧損が小さくなるため、このための設備を簡略化することができる。
そして、本実施の形態における中空糸膜は親水性であるため、疎水性の中空糸膜を用いる従来の膜フラッシュ型蒸留装置のように、ファウリングの発生や汚れの発生などによる悪影響を受けることが少ないため、中空糸膜のメンテナンスや交換の頻度を大幅に低減することができ、運転コストが低減される。
以上、本発明の実施の形態を示したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
2 中空糸膜 51 冷却水流路
3 中空糸膜束 52 蒸留水回収部
4 収納容器 53 原水タンク
5 空隙部 54 蒸留水タンク
6 蒸留水受け溝 55 ヒータ
7 蒸留水排出口 57 熱交換機
8 水蒸気排気口 58 真空ポンプ
31 温海水供給部 W1 温海水
32 冷海水回収部 W2 蒸留水
50 膜フラッシュ型蒸留器 W3 冷海水
3 中空糸膜束 52 蒸留水回収部
4 収納容器 53 原水タンク
5 空隙部 54 蒸留水タンク
6 蒸留水受け溝 55 ヒータ
7 蒸留水排出口 57 熱交換機
8 水蒸気排気口 58 真空ポンプ
31 温海水供給部 W1 温海水
32 冷海水回収部 W2 蒸留水
50 膜フラッシュ型蒸留器 W3 冷海水
Claims (4)
- 垂直に配置された中空糸膜中心部の空間に温海水を通過させて、中空糸膜外部に前記温海水を蒸発させ、蒸発により発生した水蒸気を凝縮壁に凝縮させて蒸留水を生成させる膜フラッシュ型蒸留器であって、
所定の大きさの間隙部を設けて配置された複数の親水性の、あるいは親水化処理された中空糸膜により構成された中空糸膜束と、
前記中空糸膜束が所定の大きさの空隙部を介して収納されていると共に、前記凝縮壁を備えた収納容器と、
前記収納容器の下部に、前記凝縮壁の内面に沿って、前記中空糸膜束と離されて設けられた蒸留水受け溝と、
前記蒸留水受け溝に連通された蒸留水排出口と
が設けられていることを特徴とする膜フラッシュ型蒸留器。 - 前記収納容器の外壁面に沿って冷却水流路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の膜フラッシュ型蒸留器。
- 請求項1または請求項2に記載の膜フラッシュ型蒸留器が備えられていることを特徴とする膜フラッシュ型蒸留装置。
- 前記膜フラッシュ型蒸留器の前記温海水が供給される側の端部に設けられた水蒸気排気口と、
前記水蒸気排気口に連結された熱交換機と、
前記熱交換機に連結された排気手段と
が備えられていることを特徴とする請求項3に記載の膜フラッシュ型蒸留装置。
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WO2018174279A1 (ja) * | 2017-03-24 | 2018-09-27 | 旭化成株式会社 | 膜蒸留用多孔質膜及び膜蒸留用モジュールの運転方法 |
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