JP2011214541A - タービン翼の補修方法および補修されたタービン翼 - Google Patents
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Abstract
【課題】 亀裂などの損傷部位を高精度かつ高品質に補修されたタービン翼を提供する。
【解決手段】タービン翼(143)は、エネルギ機関に用いられ、先端から根元へ伸びるエアフォイル(28)と、エアフォイルの根元に形成され表面と裏面とを有するプラットフォーム(30)と、該プラットフォームを中心としてエアフォイルと反対側に形成されるダブテール(34)とを有する。そのタービン翼は、エアフォイルからダブテールへ一方向凝固されたニッケル基合金またはコバルト基合金(30)と、発生した亀裂が溶接によって補修され多結晶化されたニッケル基合金またはコバルト基合金(53)とを有する。
【選択図】図9
【解決手段】タービン翼(143)は、エネルギ機関に用いられ、先端から根元へ伸びるエアフォイル(28)と、エアフォイルの根元に形成され表面と裏面とを有するプラットフォーム(30)と、該プラットフォームを中心としてエアフォイルと反対側に形成されるダブテール(34)とを有する。そのタービン翼は、エアフォイルからダブテールへ一方向凝固されたニッケル基合金またはコバルト基合金(30)と、発生した亀裂が溶接によって補修され多結晶化されたニッケル基合金またはコバルト基合金(53)とを有する。
【選択図】図9
Description
本発明は、ガスタービン、スチームタービン、ジェットエンジン等のエネルギ機関のタービン翼、特にタービン動翼に生じた損傷や欠陥を補修するタービン翼の補修方法及び補修されたタービン翼に関する。
ニッケル基超合金およびコバルト基超合金は、高温環境下におかれるタービン機関のタービン動翼、タービン静翼等などのタービン翼に用いられている。これらのタービン翼は高温ガスと直接接触して過酷な熱サイクルとエロージョン腐食とを受けて著しい損傷を生じる。このため部品が劣化してしまい、タービン翼に亀裂などの損傷が発生したりするため、交換又は補修がなされている。
近年では、ガスタービンの高温化に伴い、ニッケル基超合金またはコバルト基超合金で構成される一方向凝固のタービン翼が使用されている。これらのタービン翼は高価な材料であるので、受けた損傷が致命的である場合を除いて部品を交換しないで補修して再度使用に供することが望まれている。特許文献1は、タービン翼の損傷を受けた部位のみをレーザー溶接もしくは電子ビーム溶接して補修している。具体的には、タービン翼の亀裂部分を表面が結晶の優先成長方位に削り取り、そこにタービン翼と同じ合金の粉体を加えてトーチ等の熱源で溶かして亀裂部分を補修する。
しかしながら、特許文献1は、出力の異なる複数のトーチを用意しなければならず、またそれらの温度調整が困難である。このため補修されたタービン翼を非破壊検査で検査してみると、一部のタービン翼が完全に補修されていなかったりすることが生じていた。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、亀裂などの損傷部位を高精度かつ高品質に補修することができるタービン翼の補修方法及び補修されたタービン翼を提供することを目的とする。
第1観点のタービン翼の補修方法は、ニッケル基合金またはコバルト基合金からなるタービン翼の表面に発生した亀裂を切削し切削面を形成する第1切削工程と、第1切削工程後に、誘導コイルを使って切削面を含むタービン翼の周囲を加熱する加熱工程と、切削面の周囲が加熱された状態で、円弧状の切削面をニッケル基合金またはコバルト基合金に近似する溶接材料を使って溶接し、タービン翼の表面から出るように肉盛した肉盛部を形成する溶接工程と、誘導コイルによる加熱を止めて所定温度まで徐冷するとともに、所定温度から室温までタービン翼を冷却する冷却工程と、冷却工程後に肉盛部をタービン翼の表面と同一面になるように第2切削工程と、第2切削工程後にタービン翼をγ'(ガンマプライム)相を析出する熱処理を行う熱処理工程と、を備える。
第2観点のタービン翼の補修方法において、タービン翼は正圧面および負圧面を含み先端から根元へ伸びるエアフォイルと、エアフォイルの根元に形成され表面と裏面とを有するプラットフォームとを有し、亀裂がプラットフォームの表面に発生し裏面にまで達していない場合には、第1切削工程は表面を円弧状の凹みの切削面に切削する。
第3観点のタービン翼の補修方法において、タービン翼は正圧面および負圧面を含み先端から根元へ伸びるエアフォイルと、エアフォイルの根元に形成され表面と裏面とを有するプラットフォームとを有し、亀裂がプラットフォームの表面から裏面にまで達している場合には、第1切削工程は表面から裏面まで円弧状の切削面に切削する。
第4観点のタービン翼の補修方法において、誘導コイルは30kHzから70kHzの周波数の交番パルス電流を印加し、プラットフォームを900℃〜950℃に加熱する。
第5観点のタービン翼の補修方法において、誘導コイルは正圧面の形状で且つプラットフォームの表面と裏面とをつなぐ側面を覆う形状で形成される。
第6観点のタービン翼の補修方法において、誘導コイルによる加熱工程はタービン翼が不活性ガス中に配置された状態で行われる。
第7観点のタービン翼の補修方法において、溶接材料が細く伸びたワイヤ形状になっており、溶接工程は、所定の間隔で順次にワイヤをTIG溶接器で溶かして積層させ肉盛部を形成する。
第8観点のタービン翼の補修方法において、溶接材料が粉末状になっており、溶接工程は、レーザー溶接で溶けた溶融プールに粉末を投射し肉盛部を形成する。
第8観点のタービン翼の補修方法において、溶接材料が粉末状になっており、溶接工程は、レーザー溶接で溶けた溶融プールに粉末を投射し肉盛部を形成する。
第9観点のタービン翼は、エネルギ機関に用いられ、先端から根元へ伸びるエアフォイルと、エアフォイルの根元に形成され表面と裏面とを有するプラットフォームと、該プラットフォームを中心としてエアフォイルと反対側に形成されるダブテールとを有する。そのタービン翼は、エアフォイルからダブテールへ一方向凝固されたニッケル基合金またはコバルト基合金と、発生した亀裂が溶接によって補修され多結晶化されたニッケル基合金またはコバルト基合金とを有する。
第10観点のタービン翼において、多結晶化されたニッケル基合金またはコバルト基合金はプラットフォームに形成される。
第11観点のタービン翼において、多結晶化されたニッケル基合金またはコバルト基合金は、タービン翼に発生した亀裂が切削され、その切削面およびその周囲が誘導コイルを使って加熱され、ニッケル基合金またはコバルト基合金に近似する溶接材料で溶接によって肉盛部が形成され、タービン翼の表面から出た肉盛部が切削された後、熱処理された箇所である。
本発明によれば、亀裂などの損傷を確実に溶接補修することができ、保証強度の要求レベルを満たす高品質の補修部位が得られる。このため、従来は新品に交換して廃棄していたような亀裂などの損傷を有するタービン翼を補修して再度使用に供することができる。このため、メンテナンスコストを大幅に低減することができるという利点がある。
以下、添付の図面を参照して本発明の種々の好ましい実施の形態について説明する。本実施形態では発電用ガスタービン機関に用いられる第1タービン動翼を補修する場合を例にとって説明する。
<ガスタービンエンジン10の構成>
図1は、例示的なガスタービンエンジン10の概略図である。ガスタービンエンジン10は、圧縮機12、上流タービン翼列14、下流タービン翼列16及び燃焼器18を含む。また、ガスタービンエンジン10はロータディスク21を有する第1ローターシャフト20および下流ロータディスク23を有する第2ローターシャフト22を有している。圧縮機12とロータディスク21とは第1ローターシャフト20で互いに連結されている。上流タービン翼列14の第1タービン動翼143及びその他のタービン動翼は円盤状のロータディスク21と連結されている。下流タービン16のタービン動翼は、下流ロータディスク23および第2ローターシャフト22を介して、発電機(図示せず)又はプロペラ(図示せず)のような外部負荷に結合される。
図1は、例示的なガスタービンエンジン10の概略図である。ガスタービンエンジン10は、圧縮機12、上流タービン翼列14、下流タービン翼列16及び燃焼器18を含む。また、ガスタービンエンジン10はロータディスク21を有する第1ローターシャフト20および下流ロータディスク23を有する第2ローターシャフト22を有している。圧縮機12とロータディスク21とは第1ローターシャフト20で互いに連結されている。上流タービン翼列14の第1タービン動翼143及びその他のタービン動翼は円盤状のロータディスク21と連結されている。下流タービン16のタービン動翼は、下流ロータディスク23および第2ローターシャフト22を介して、発電機(図示せず)又はプロペラ(図示せず)のような外部負荷に結合される。
圧縮機12は取り込んだ空気を圧縮し、圧縮された空気が燃焼器18に供給される。燃焼器18は圧縮空気と燃料とを混合して点火して燃焼ガスを生成する。燃焼器18から送られた燃焼ガスは、上流タービン翼列14及び下流タービン翼列16を駆動する。上流タービン翼列14は第1ローターシャフト20を回転駆動させ圧縮機12に動力を供給する。下流タービン翼列16は第2ローターシャフト22を回転駆動して外部負荷に動力を供給する。
上流タービン翼列14は、燃焼器18に一番近い第1タービン静翼141と第1タービン動翼143とを有している。特に、第1タービン動翼143には燃焼器18から送られた燃焼ガスによる熱と高速回転による遠心力とが加わるため、第1タービン動翼143には大きな負荷がかかる。また、第1タービン動翼143は、この大きな負荷に耐えうるように、高価な材料が使われている。たとえば第1タービン動翼143は、INCONEL738などのニッケル基超合金またはコバルト基超合金からなる。
<第1タービン動翼143の構成>
図2は、例えばガスタービンエンジン10(図1を参照)の第1タービン動翼143の斜視図である。例えば第1タービン動翼143は、第1ローターシャフト20(図1を参照)に結合されたロータディスク21に接続される。複数の第1タービン動翼143は、ロータディスクの円周の周りに間隔を置いて配置される。第1タービン動翼143は、円周方向に延び出すエアフォイル28、エアフォイル28の内周側の基部に設けられたプラットフォーム30を含む。また、第1タービン動翼143は、燃焼器18から送られた圧縮空気の通路を形成するシャンク32及びロータディスク21に接続するダブテール34を含む。
図2は、例えばガスタービンエンジン10(図1を参照)の第1タービン動翼143の斜視図である。例えば第1タービン動翼143は、第1ローターシャフト20(図1を参照)に結合されたロータディスク21に接続される。複数の第1タービン動翼143は、ロータディスクの円周の周りに間隔を置いて配置される。第1タービン動翼143は、円周方向に延び出すエアフォイル28、エアフォイル28の内周側の基部に設けられたプラットフォーム30を含む。また、第1タービン動翼143は、燃焼器18から送られた圧縮空気の通路を形成するシャンク32及びロータディスク21に接続するダブテール34を含む。
第1タービン動翼143は、エアフォイル28と、プラットフォーム30と、シャンク32と、ダブテール34とが一体化したニッケル基超合金またはコバルト基超合金からなる。第1タービン動翼143は、遠心力に耐えることができるようにエアフォイル28の先端からダブテール34の後端にかけて一方向凝固の精密鋳造品である。エアフォイル28は中空構造をなし、エアフォイル28を空冷するために、エアフォイル28に多数の孔282がエアフォイル28の長手に沿って直列に形成されている。なお、エアフォイル28のZ方向の長さは15cm〜30cmであり、プラットフォーム30のZ方向の厚さは1〜3cmであり、ダブテール34のZ方向の長さは15cm〜30cmである。
エアフォイル28は、負側壁36と正側壁38とを含む。負側壁36は凸面形でエアフォイル28の負圧面を形成し、正側壁38は凹面形でエアフォイル28の正圧面を形成する。隣り合うプラットフォーム30は、燃焼ガスの通路を形成する。
第1タービン動翼143は高温高応力の過酷な条件で使用されると、図2に示されるように、エアフォイル28の正圧側でプラットフォーム30の端縁部に複数の亀裂99を生じやすい。亀裂99は正圧側でプラットフォーム30のエアフォイル側面30Tに生じやすく、大きな亀裂99になるとエアフォイル側面30Tからダブテール側面30Bに達することもある。安全にガスタービンエンジン10を運用するためには、これらの亀裂99を補修する必要がある。
<亀裂箇所の補修工程>
使用済の第1タービン動翼143が修理工場内に搬入された後、第1タービン動翼143は真空熱処理炉に入れ、例えば1000℃前後で固溶化処理が行われる。第1タービン動翼143は高温高応力の過酷な条件で使用されるため、第1タービン動翼143に偏った残留応力が発生したり材料特性が低下したりする。このため固溶化処理することで図3に示される説明する補修の溶接性能が低下することを防いでいる。
使用済の第1タービン動翼143が修理工場内に搬入された後、第1タービン動翼143は真空熱処理炉に入れ、例えば1000℃前後で固溶化処理が行われる。第1タービン動翼143は高温高応力の過酷な条件で使用されるため、第1タービン動翼143に偏った残留応力が発生したり材料特性が低下したりする。このため固溶化処理することで図3に示される説明する補修の溶接性能が低下することを防いでいる。
図3は、第1タービン動翼143を補修するフローチャートである。
このフローチャートは、作業者が第1タービン動翼143にプラットフォーム30に亀裂を発見してから、第1タービン動翼を補修し終えるまでの工程を示している。
このフローチャートは、作業者が第1タービン動翼143にプラットフォーム30に亀裂を発見してから、第1タービン動翼を補修し終えるまでの工程を示している。
ステップS101では、第1タービン動翼143がジグに固定され、第1タービン動翼143のプラットフォーム30の亀裂99(図2)がグラインダまたは砥石等で切削される。切削面は、円弧状の緩やかな凹みに加工される。溶接による肉盛部を容易に形成し易くするとともに、緩やかな形状とすることで溶接直後の残留応力をできるだけ緩和するためである。切削面の大きさは、亀裂99の大きさによって変わり、プラットフォーム30の上下を貫通する大きな亀裂は半円柱状に加工される。また補修時の欠陥発生の頻度を下げるためにできるだけ切削面積(または切削体積)はできるだけ小さくする。切削面については図4から図6を使って後述する。
ステップS103では、第1タービン動翼143がチャンバー(不図示)内に配置される。そして、誘導コイル70、72(図7、図8参照)が第1タービン動翼143のプラットフォーム30に取り付けられる。誘導コイルは切削面およびその周辺を囲むようにして配置される。また、チャンバー内はアルゴンなどの不活性ガスで充填される。アルゴンなどの不活性ガスによりチャンバー内が非酸化性雰囲気に保持されているので溶接内外部での酸化を抑制し酸化物により誘起される溶接欠陥を防ぐことが可能となる。
ステップS105では、誘導コイルによりプラットフォーム30の温度が900〜950℃に上げられる。誘導コイルはプラットフォーム30全体または一部を加熱する。誘導コイルの周波数が70kHzよりも高いと、表皮効果のため、20mm程度の厚みを有するプラットフォーム30の内部にまで熱が到達しないおそれがあるので不適当である。一方、30kHzより低い周波数ではプラットフォーム30の温度の上昇に時間がかかってしまう。このため誘導コイルの周波数は30〜70kHzが好ましい。誘導コイルによる加熱は、赤外線を放射することで対象物の表面温度を非接触で計測できる放射温度計などの温度計により測定する。放射温度計は加熱されたプラットフォーム30の温度を測定し、その結果を不図示の誘導コイルコントローラに送る。誘導コイルコントローラは誘導コイルに供給する高周波電力をコントロールすることにより、所望の維持を行う。たとえば放射温度計でプラットフォーム30の温度を測定し、作業者が手動で誘導コイルに供給する高周波電力をコントロールしてもよい。誘導コイルについては図7および図8を使って後述する。
ステップS107では、プラットフォーム30の温度が900〜950℃の状態で、TIG溶接などによりニッケル基超合金接合ワイヤなどが溶かされ、切削面に肉盛部が形成される。切削面は溶けた接合ワイヤで覆われ、プラットフォーム30の表面より外側にでるように肉盛部が形成される。切削面については図4から図6を使って後述する。
ステップS109では、チャンバー内で誘導コイルの出力を下げて、第1タービン動翼143のプラットフォーム30が約30℃/分で600〜650℃まで冷却される。急速に温度が下がるとプラットフォーム30に引張応力による割れが生じるおそれがある。その後、600〜650℃までプラットフォーム30が冷却された後、誘導コイルの電源が切られる。電源を切ることなくチャンバー内で誘導コイルの出力を下げて、第一タービン動翼143を冷却してもよい。そしてプラットフォーム30室温まで徐冷される。
ステップS111では、プラットフォーム30の表面からはみ出た肉盛部がグラインダ等で切削される。肉盛部はプラットフォーム30の表面と同一面に形成されるこれにより、補修された第1タービン動翼143は、補修前の形状とほぼ同等になる。
ステップS113では、第1タービン動翼143が真空熱処理炉に入れられ真空状態に配置される、そして例えば1000〜1100℃の温度で所望の時間加熱され、第1タービン動翼143のプラットフォーム30が溶体化処理される。その後、プラットフォーム30はたとえば650〜850℃の温度で4時間から10時間以上加熱する時効処理が施される。これにより溶接による残留応力を除去する、またプラットフォーム30の肉盛部を含めてINCONEL738等の材料は析出強化型材料のため時効熱処理を実施してγ’(ガンマプライム)を適度に析出させて材料強度を所定の強度まで回復させる。
ステップS115では、たとえば蛍光浸透探傷検査などの非破壊検査により、第1タービン動翼143の切削面および肉盛部の検査が行われる。非破壊検査ではたとえば切削面と肉盛部との間もしくは溶接部自体に隙間があったり割れがあったりするかの検査が行われる。検査に合格した第1タービン動翼143は高温高応力の過酷な条件で使用されても、新品と同等の性能を出すことができる。
次に、図3のステップS101の切削工程およびステップS107の溶接工程について説明する。
<亀裂箇所の切削および溶接>
次に図4から図6を参照して、Ni基合金(たとえばINCONEL738)からなる第1タービン動翼143の亀裂、特にプラットフォーム30が受けた損傷部位を補修する場合について詳しく説明する。
次に図4から図6を参照して、Ni基合金(たとえばINCONEL738)からなる第1タービン動翼143の亀裂、特にプラットフォーム30が受けた損傷部位を補修する場合について詳しく説明する。
図4はプラットフォーム30の端縁部に発生した亀裂99(99a、99b)を拡大した断面図である。図4の(a1)はプラットフォーム30のエアフォイル側面30Tの表面に小さな亀裂99aが発生した場合を示し、図4(b1)はプラットフォーム30のエアフォイル側面30Tの表面に大きな亀裂99bが発生した場合を示す。これらの亀裂99a、99bは、高速流体にさらされたことによるエロージョンに起因して発生したものである。これらの亀裂を含む周辺領域が補修対象領域となる。
図4(a2)および図4(b2)は、亀裂周辺の補修対象領域を切削する工程を示している。
図4(a2)に示されるように、小さな亀裂99aに対しては小さな亀裂99aを含む補修対象領域がグラインダまたは砥石等によってエアフォイル側面30Tから切削される。これによりプラットフォーム30のエアフォイル側面30Tに第1切削面41が形成される。小さな亀裂99aを取り去った第1切削面41は、緩やかな円弧状の凹みに形成される。図4(p)は第1切削面41を示した斜視図である。第1切削面41は球体を4等分した円弧状の凹みであり、第1切削面41は端点P2及び端点P3を有している。端点P2及び端点P3は、図4(p)に示されているようにできるだけ丸みを持たせることが好ましい。
図4(a2)に示されるように、小さな亀裂99aに対しては小さな亀裂99aを含む補修対象領域がグラインダまたは砥石等によってエアフォイル側面30Tから切削される。これによりプラットフォーム30のエアフォイル側面30Tに第1切削面41が形成される。小さな亀裂99aを取り去った第1切削面41は、緩やかな円弧状の凹みに形成される。図4(p)は第1切削面41を示した斜視図である。第1切削面41は球体を4等分した円弧状の凹みであり、第1切削面41は端点P2及び端点P3を有している。端点P2及び端点P3は、図4(p)に示されているようにできるだけ丸みを持たせることが好ましい。
図4(b2)に示されるように、大きな亀裂99bに対しては大きな亀裂99bを含む補修対象領域がグラインダ等によってエアフォイル側面30Tから切削される。これによりプラットフォーム30に第2切削面43が形成される。大きな亀裂99bを取り去った第2切削面43は緩やかな円弧状の凹みに形成されるとともに、第1切削面41よりも深く切削されている。図4(p)は第2切削面43を示した斜視図である。第2切削面43も球体を4等分したに円弧状の凹みであり、第1切削面41は端点P2及び端点P3を有している。端点P2及び端点P3は、図4(p)に示されているようにできるだけ丸みを持たせることが好ましい。
図4(a3)および図4(b3)は、切削面に肉盛溶接を施す補修工程を示している。
図4(a3)は、第1切削面41に対して肉盛溶接を行う工程を概略的に示している。この第1切削面41内に、溶接粉末、溶接ワイヤ又は溶接棒などの溶接材が供給されるとともに不図示の加熱源でこれらの溶接材が溶かされる。そして、溶かされた溶接材は、最初に、図4(p)に示されているプラットフォーム30の表面(エアフォイル側面30T)の溶接開始点P1から肉盛塊51aが形成され、次に第1切削面41内に肉盛塊51bが形成される。このように一定間隔で複数の肉盛塊が積層され溶接終了点P4で溶接が終了する。これにより、第1切削面41に一層の肉盛部51が形成される。肉盛部51はプラットフォーム30の表面から出るように形成されている。
図4(a3)は、第1切削面41に対して肉盛溶接を行う工程を概略的に示している。この第1切削面41内に、溶接粉末、溶接ワイヤ又は溶接棒などの溶接材が供給されるとともに不図示の加熱源でこれらの溶接材が溶かされる。そして、溶かされた溶接材は、最初に、図4(p)に示されているプラットフォーム30の表面(エアフォイル側面30T)の溶接開始点P1から肉盛塊51aが形成され、次に第1切削面41内に肉盛塊51bが形成される。このように一定間隔で複数の肉盛塊が積層され溶接終了点P4で溶接が終了する。これにより、第1切削面41に一層の肉盛部51が形成される。肉盛部51はプラットフォーム30の表面から出るように形成されている。
図4(b3)は、第2切削面43に対して肉盛溶接を行う工程を概略的に示している。この第2切削面43内に溶接材が供給されるとともに不図示の加熱源でこれらの溶接材が溶かされる。そして、溶かされた溶接材は、第2切削面43は第1切削面41に比べて深く切削されているため、まず第2切削面43内に一定間隔で複数の肉盛塊53a……の一層目が積層される。次に、図4(p)に示されているプラットフォーム30の表面(エアフォイル側面30T)の溶接開始点P1から肉盛塊53d…が形成される。このように一定間隔で複数の肉盛塊が積層され溶接終了点P4で溶接が終了する。これにより、第2切削面43に二層の肉盛部53が形成され、肉盛部53はプラットフォーム30の表面から出ている。
図5はプラットフォーム30の端縁部にエアフォイル側面30Tからダブテール側面30Bまで貫通した貫通亀裂99cを補修する図である。図5(a1)から(a3)は貫通亀裂99cを補修する第1例であり、図5(b1)から(b5)は貫通亀裂99cを補修する第2例である。
図5の(a1)及び(b1)はプラットフォーム30のエアフォイル側面30Tからダブテール側面30Bまで貫通した貫通亀裂99cを示す。亀裂99cは、高速流体にさらされたことによるエロージョンや低サイクル疲労もしくは高サイクル疲労に起因して発生したものである。これらの亀裂を含む周辺領域が補修対象領域となる。
まず、第1例の補修方法を説明する。
図5(a2)に示されるように、貫通亀裂99cに対しては貫通亀裂99cを含む補修対象領域がグラインダ等によってエアフォイル側面30Tから切削される。これによりプラットフォーム30に第3切削面45が形成される。貫通亀裂99cを取り去った第3切削面45は緩やかな円弧状(円錐を約半分に割った形状)の凹みに形成される。図6(q)は第3切削面45を示した斜視図である。第3切削面45は円錐体を2等分した円弧状の凹みである。第3切削面45はエアフォイル側面30Tに端点P2及び端点P3を有している。
図5(a2)に示されるように、貫通亀裂99cに対しては貫通亀裂99cを含む補修対象領域がグラインダ等によってエアフォイル側面30Tから切削される。これによりプラットフォーム30に第3切削面45が形成される。貫通亀裂99cを取り去った第3切削面45は緩やかな円弧状(円錐を約半分に割った形状)の凹みに形成される。図6(q)は第3切削面45を示した斜視図である。第3切削面45は円錐体を2等分した円弧状の凹みである。第3切削面45はエアフォイル側面30Tに端点P2及び端点P3を有している。
図5(a3)は、第3切削面45に対して肉盛溶接を行う工程を概略的に示している。この第3切削面45内に、溶接粉末、溶接ワイヤ又は溶接棒などの溶接材が供給されるとともに不図示の加熱源でこれらの溶接材が溶かされる。そして、溶かされた溶接材は、第3切削面45は第2切削面43(図4)に比べてさらに深く切削されているため、まず第3切削面45内のダブテール側面30Bに肉盛塊55aが積層される。肉盛塊55aはプラットフォーム30の表面(ダブテール側面30B)からはみ出るように形成する。つまり、肉盛塊55aは第3切削面45を越えてダブテール側面30Bまで形成される。
肉盛塊55aの上に肉盛塊55b……の層が形成され、プラットフォーム30の表面(エアフォイル側面30T)の溶接開始点P1から肉盛塊55k…が形成される。このように一定間隔で複数の肉盛塊が積層され溶接終了点P4で溶接が終了する。これにより、第3切削面45に複数層の肉盛部55が形成され、肉盛部55はプラットフォーム30の表面(エアフォイル側面30Tおよびダブテール側面30B)から出ている。
次に、第2例の補修方法を説明する。
図5(b2)に示されるように、貫通亀裂99cに対しては貫通亀裂99cを含む補修対象領域がグラインダ等によってエアフォイル側面30Tから切削される。これによりプラットフォーム30に第4切削面47が形成される。この第4切削面47はプラットフォーム30の厚みの半分程度まで形成され、ダブテール側面30Bまで貫通しない。
図5(b2)に示されるように、貫通亀裂99cに対しては貫通亀裂99cを含む補修対象領域がグラインダ等によってエアフォイル側面30Tから切削される。これによりプラットフォーム30に第4切削面47が形成される。この第4切削面47はプラットフォーム30の厚みの半分程度まで形成され、ダブテール側面30Bまで貫通しない。
貫通亀裂99cを取り去った第4切削面47は緩やかな円弧状の凹みに形成される。図6(r)は第4切削面47を示した斜視図である。第4切削面47は球体を4等分した円弧状の凹みである。第4切削面47はエアフォイル側面30Tに端点P2及び端点P3を有している。
図5(b3)は、第4切削面47に対して肉盛溶接を行う工程を概略的に示している。この第4切削面47内に、溶接粉末、溶接ワイヤ又は溶接棒などの溶接材が供給されるとともに不図示の加熱源でこれらの溶接材が溶かされる。まず第4切削面47内に一定間隔で複数の肉盛塊55a……の一層目が積層され、引き続き2層目、3層目が形成される。次に、プラットフォーム30の表面(エアフォイル側面30T)の溶接開始点P1から肉盛塊55h…が形成される。このように一定間隔で複数の肉盛塊が積層され溶接終了点P4で溶接が終了する。これにより、第4切削面47に肉盛部55が形成される。
次に、図5(b4)に示されるように、残った貫通亀裂99cに対しては貫通亀裂99cを含む補修対象領域がグラインダ等によってダブテール側面30Bから切削される。これによりプラットフォーム30に第5切削面49が形成される。この第5切削面49はプラットフォーム30だけでなく肉盛部55の一部が切削されて形成される。
そして第5切削面49内に肉盛塊55kが積層される。肉盛塊55kは先に溶接された肉盛塊55aに積層される。肉盛塊55kの上に肉盛塊55m……の層が形成され、プラットフォーム30の表面(エアフォイル側面30T)の溶接開始点P1から肉盛塊55t…が形成される。このように一定間隔で複数の肉盛塊が積層され溶接終了点P4で溶接が終了する。これにより、第4切削面47および第5切削面49に複数層の肉盛部55が形成される。
以上、図4から図6を参照して、Ni基合金(たとえばINCONEL738)からなる第1タービン動翼143のプラットフォーム30が受けた損傷部位を補修する場合について説明した。本実施形態による溶接では、加熱源としてTIG(Tungsten Insert Gas)溶接によりニッケル基合金の溶接ワイヤを溶かすことが好ましい。別の加熱源としては、レーザビーム、電子ビーム、プラズマビームなどでニッケル基合金の粉末を溶かすようにしてもよい。
<亀裂箇所の加熱>
次に、図3のステップS105の誘導コイルによる亀裂箇所の加熱工程について説明する。プラットフォーム30は、第1切削面41〜第5切削面49が形成された後に、第1誘導コイル70、第2誘導コイル72によって加熱される。
次に、図3のステップS105の誘導コイルによる亀裂箇所の加熱工程について説明する。プラットフォーム30は、第1切削面41〜第5切削面49が形成された後に、第1誘導コイル70、第2誘導コイル72によって加熱される。
図7は、第1タービン動翼143のプラットフォーム30に第1誘導コイル70が取り付けられた図である。図7では、第1タービン動翼143のプラットフォーム30に2つの第1切削面41が形成されている。
第1誘導コイル70の一部70aは、プラットフォーム30の正圧面側の正側壁38側で且つエアフォイル28のエアフォイル側面30Tに載るように配置される。また、第1誘導コイル70の一部70bは、プラットフォーム30の側面(図中の左右)を回ってプラットフォーム30のダブテール側面30Bに配置される。そしてまとめられた第1誘導コイル70cは、不図示の誘導コイルコントローラにつながっている。第1誘導コイル70は、プラットフォーム30の2つの第1切削面41を含む範囲を囲み、特にプラットフォーム30の正圧面側の範囲が特に加熱される。
図8は、第1タービン動翼143のプラットフォーム30に第2誘導コイル72が取り付けられた図である。図8では、第1タービン動翼143のプラットフォーム30に2つの第1切削面41が形成されている。
第2誘導コイル72の一部72aは、プラットフォーム30の2つの第1切削面41を含む範囲を囲み、エアフォイル28のエアフォイル側面30Tに載るように配置される。また、第2誘導コイル72の一部72bは、プラットフォーム30の側面(図中の左右)を回ってプラットフォーム30のダブテール側面30Bに配置される。第2誘導コイル72は、特に一つの第1切削面41の範囲が特に加熱される。
誘導コイルコントローラが第1誘導コイル70又は第2誘導コイル72に供給する高周波電力の周波数は、70kHz以下とする。70kHzより高い周波数は表皮効果のため、肉厚のプラットフォーム30の加熱には不適当である。一方、30kHzより低い周波数では温度の上昇に長時間かかるため、誘導コイルコントローラは第1誘導コイル70又は第2誘導コイル72に30kHz以上の交番パルス電流を供給する。第1誘導コイル70又は第2誘導コイル72に30kHz〜70kHzの交番パルス電流を供給し、プラットフォーム30を900〜950℃に加熱する。誘導コイルコントローラは不図示の放射温度計によりプラットフォーム30の温度を測定し、第1誘導コイル70又は第2誘導コイル72に供給する電力を調整する。
<誘導コイルに与える周波数の比較例>
実際に、100kHzの高周波の第1誘導コイル70でプラットフォーム30を加熱した場合と、50kHzの高周波の第1誘導コイル70でプラットフォーム30を加熱した場合とで、溶接の不良率を測定した。それぞれ100個の亀裂99を有する第1タービン動翼143を用意し、第1誘導コイル70に供給する周波数だけ異ならせ、図3に示したフローチャートの作業を行った。
実際に、100kHzの高周波の第1誘導コイル70でプラットフォーム30を加熱した場合と、50kHzの高周波の第1誘導コイル70でプラットフォーム30を加熱した場合とで、溶接の不良率を測定した。それぞれ100個の亀裂99を有する第1タービン動翼143を用意し、第1誘導コイル70に供給する周波数だけ異ならせ、図3に示したフローチャートの作業を行った。
この結果、第1誘導コイル70が50kHzの高周波数で加熱した場合には、不良率が5%であったのに対し、100kHzの高周波で加熱した場合には86%であった。第1誘導コイル70の高周波をいろいろ検討した結果、30kHz〜70kHzの高周波電力が最適であった。ここで、不良品とは、蛍光浸透探傷検査によって、不良品には肉盛部51とプラットフォーム30(図4を参照)との境界に割れが生じていたり、肉盛塊51aと肉盛塊51b(図4を参照)との境界に割れが生じていたり製品である。
<補修された肉盛部の状態>
図9は、図3で示されたフローチャートに従って補修された第1タービン動翼143のプラットフォーム30を示す。
図9(a)は、第2切削面43に肉盛部53(図4)が形成されて補修されたプラットフォーム30の側面図である。図9(b)は図9(a)のb−b断面の顕微鏡写真(約10倍)である。つまり、プラットフォーム30のエアフォイル側面30Tからダブテール側面30Bまでの断面図である。
図9は、図3で示されたフローチャートに従って補修された第1タービン動翼143のプラットフォーム30を示す。
図9(a)は、第2切削面43に肉盛部53(図4)が形成されて補修されたプラットフォーム30の側面図である。図9(b)は図9(a)のb−b断面の顕微鏡写真(約10倍)である。つまり、プラットフォーム30のエアフォイル側面30Tからダブテール側面30Bまでの断面図である。
図9(b)に示されるプラットフォーム30の被溶接部は一方向凝固の構造である。一方、肉盛部53はさまざまな大きさの結晶粒により構成された多結晶構造となっている。この一方向凝固の構造と多結晶構造との境界では、酸化物や溶接不良、結合不良による内在欠陥がなく互いに良く溶け合い結合している様子が分かる。
以上、本発明の最適な実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
例えば、亀裂はコーティング施工翼であってもコーティング未施工翼とほぼ同様な形状である。タービン動翼表面にMCrAlY(ここでMはNi,Co,Feあるいはそれらの合金を示す),アルミナイジング、クロマイジング、シリコナイジングあるいはそれらの複合処理を施した耐食コーティング施工翼および耐食コーティング上層にY2O3−ZrO2、MgO−ZrO2等の遮熱コーティングを施した翼についても、コーティングを剥がした後はコーティング未施工翼と同様な手法により補修が可能である。
また、本実施形態では、ガスタービンのプラットフォームの補修について説明したが、スチームタービン、ジェットエンジン等のエネルギ機関のタービン翼についても同様に適用することが可能である。
10 …… ガスタービンエンジン
12 …… 圧縮機
14 …… 上流タービン翼列(141…第1タービン静翼、143…第1タービン動翼)
16 …… 下流タービン翼列
18 …… 燃焼器
20 …… 第1ローターシャフト
21 …… ロータディスク
22 …… 第2ローターシャフト
23 …… 下流ロータディスク
28 …… エアフォイル、
30 …… プラットフォーム、(30T…エアフォイル側面、30B…ダブテール側面)
32 …… シャンク
34 …… ダブテール
41 …… 第1切削面、
43 …… 第2切削面
45 …… 第3切削面、
47 …… 第4切削面
49 …… 第5切削面
51 …… 肉盛部(肉盛塊51a〜53b)
53 …… 肉盛部(肉盛塊53a〜53d)
55 …… 肉盛部(肉盛塊55a〜55t)
36 …… 負側壁
38 …… 正側壁
70 …… 第1誘導コイル
72 …… 第2誘導コイル
99(99a、99b、99c) …… 亀裂、貫通亀裂
12 …… 圧縮機
14 …… 上流タービン翼列(141…第1タービン静翼、143…第1タービン動翼)
16 …… 下流タービン翼列
18 …… 燃焼器
20 …… 第1ローターシャフト
21 …… ロータディスク
22 …… 第2ローターシャフト
23 …… 下流ロータディスク
28 …… エアフォイル、
30 …… プラットフォーム、(30T…エアフォイル側面、30B…ダブテール側面)
32 …… シャンク
34 …… ダブテール
41 …… 第1切削面、
43 …… 第2切削面
45 …… 第3切削面、
47 …… 第4切削面
49 …… 第5切削面
51 …… 肉盛部(肉盛塊51a〜53b)
53 …… 肉盛部(肉盛塊53a〜53d)
55 …… 肉盛部(肉盛塊55a〜55t)
36 …… 負側壁
38 …… 正側壁
70 …… 第1誘導コイル
72 …… 第2誘導コイル
99(99a、99b、99c) …… 亀裂、貫通亀裂
Claims (11)
- エネルギ機関に用いられるタービン翼を補修するための方法であって、
ニッケル基合金またはコバルト基合金からなるタービン翼の表面に発生した亀裂を切削し切削面を形成する第1切削工程と、
前記第1切削工程後に、誘導コイルを使って前記切削面を含む前記タービン翼の周囲を加熱する加熱工程と、
前記切削面の周囲が加熱された状態で、前記円弧状の切削面を前記ニッケル基合金またはコバルト基合金に近似する溶接材料を使って溶接し、前記タービン翼の前記表面から出るように肉盛した肉盛部を形成する溶接工程と、
前記誘導コイルによる加熱を止めて所定温度まで徐冷するとともに、前記所定温度から室温まで前記タービン翼を冷却する冷却工程と、
前記冷却工程後に、前記肉盛部を前記タービン翼の表面と同一面になるように第2切削工程と、
前記第2切削工程後に、前記タービン翼をγ'(ガンマプライム)相を析出する熱処理を行う熱処理工程と、
を備えるタービン翼の補修方法。 - 前記タービン翼は、正圧面および負圧面を含み先端から根元へ伸びるエアフォイルと、前記エアフォイルの根元に形成され表面と裏面とを有するプラットフォームとを有し、
前記亀裂が前記プラットフォームの表面に発生し前記裏面にまで達していない場合には、前記第1切削工程は、前記表面を円弧状の凹みの切削面に切削する請求項1に記載のタービン翼の補修方法。 - 前記タービン翼は、正圧面および負圧面を含み先端から根元へ伸びるエアフォイルと、前記エアフォイルの根元に形成され表面と裏面とを有するプラットフォームとを有し、
前記亀裂が前記プラットフォームの表面から前記裏面にまで達している場合には、前記第1切削工程は、前記表面から前記裏面まで円弧状の切削面に切削する請求項1に記載のタービン翼の補修方法。 - 前記誘導コイルは30kHzから70kHzの周波数の交番パルス電流を印加し、前記プラットフォームを900℃〜950℃に加熱する請求項2又は請求項3に記載のタービン翼の補修方法。
- 前記誘導コイルは前記正圧面の形状で且つ前記プラットフォームの表面と裏面とをつなぐ側面を覆う形状で形成される請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のタービン翼の補修方法。
- 前記誘導コイルによる加熱工程は前記タービン翼が不活性ガス中に配置された状態で行われる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のタービン翼の補修方法。
- 前記溶接材料は細く伸びたワイヤ形状になっており、
前記溶接工程は、所定の間隔で順次に前記ワイヤをTIG溶接器で溶かして積層させ前記肉盛部を形成する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のタービン翼の補修方法。 - 前記溶接材料は粉末状になっており、
前記溶接工程は、レーザー溶接で溶けた溶融プールに前記粉末を投射し、前記肉盛部を形成する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のタービン翼の補修方法。 - エネルギ機関に用いられ、先端から根元へ伸びるエアフォイルと、前記エアフォイルの根元に形成され表面と裏面とを有するプラットフォームと、該プラットフォームを中心として前記エアフォイルと反対側に形成されるダブテールとを有するタービン翼であって、
前記タービン翼は、前記エアフォイルから前記ダブテールへ一方向凝固されたニッケル基合金またはコバルト基合金と、発生した亀裂が溶接によって補修され多結晶化されたニッケル基合金またはコバルト基合金とを有する補修されたタービン翼。 - 前記多結晶化されたニッケル基合金またはコバルト基合金は、前記プラットフォームに形成される請求項9に記載の補修されたタービン翼。
- 前記多結晶化されたニッケル基合金またはコバルト基合金は、前記タービン翼に発生した亀裂が切削され、その切削面およびその周囲が誘導コイルを使って加熱され、前記ニッケル基合金またはコバルト基合金に近似する溶接材料で溶接によって肉盛部が形成され、前記タービン翼の表面から出た前記肉盛部が切削された後、熱処理された箇所である請求項9に記載の補修されたタービン翼。
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