JP2011213654A - 骨芽細胞分化促進活性を有する抗体 - Google Patents
骨芽細胞分化促進活性を有する抗体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】骨芽細胞分化促進活性を有し、骨代謝疾患の治療又は予防に用い得る抗体の提供。
【解決手段】RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、以下のエピトープのいずれかを認識する抗RANKL抗体又はその機能的断片:(i)RANKLのアミノ酸残基80〜110の領域に存在するエピトープ;(ii)RANKLのアミノ酸残基130〜160の領域に存在するエピトープ;(iii)RANKLのアミノ酸残基170〜200の領域に存在するエピトープ;(iv)RANKLのアミノ酸残基240〜270の領域に存在するエピトープ;及び(v)RANKLのアミノ酸残基290〜310の領域に存在するエピトープ。
【選択図】なし
【解決手段】RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、以下のエピトープのいずれかを認識する抗RANKL抗体又はその機能的断片:(i)RANKLのアミノ酸残基80〜110の領域に存在するエピトープ;(ii)RANKLのアミノ酸残基130〜160の領域に存在するエピトープ;(iii)RANKLのアミノ酸残基170〜200の領域に存在するエピトープ;(iv)RANKLのアミノ酸残基240〜270の領域に存在するエピトープ;及び(v)RANKLのアミノ酸残基290〜310の領域に存在するエピトープ。
【選択図】なし
Description
本発明は、骨芽細胞分化促進活性を有する抗体及び該抗体の骨形成増強のための利用に関する。
骨は自らの形態変化や血中カルシウム濃度の維持のため、常に形成と吸収・破壊を繰り返し再構築を行う動的な器官である。通常は骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収とは平衡状態にあり、これらの細胞間の相互応答機構により骨量が一定に保たれる(非特許文献1を参照)。閉経、老化、炎症などによりこの平衡状態が破綻すると骨粗鬆症、関節リウマチによる骨破壊などの骨代謝異常を発症する。これらの骨代謝異常症は現在高齢化社会の大きな問題の一つとなっており、その発症メカニズムの分子レベルでの解明と有効な治療薬の開発は急務である。
骨粗鬆症は日本においては1千万人以上の潜在的な患者がいると推測されている。骨粗鬆症をはじめとする骨量減少症には、若年性骨粗鬆症、骨形成不全、高カルシウム血症、上皮小体機能亢進症、骨軟化症、骨石灰脱失症、骨溶解性骨疾患、骨壊死、パジェット病、関節リウマチ、変形性関節症による骨の低下、炎症性関節炎、骨髄炎、グルココルチコイド処置、転移性の骨疾患、歯周の骨の喪失、癌による骨の喪失、加齢による骨の喪失、及びその他の骨量減少症が含まれる。
これまで骨粗鬆症などの骨量減少を示す骨代謝疾患に対する治療薬としては、エストロゲン、選択的エストロゲンレセプター調節因子(SERM)、イプリフラボン、ビタミンK2、カルシウム、カルシトリオール、カルシトニン、アレンドロネートなどのビスホスホネート等の骨吸収過程を阻害する骨吸収抑制剤が用いられてきた。しかし、これらの薬剤を用いた治療法は、その効果並びに治療結果において必ずしも満足できるものではなく、より安全かつ有効性の高い新しい治療薬の開発が待ち望まれている。
骨形成促進薬としては副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone, PTH)が臨床開発中であり、その他BMP2、BMP7、IGF1、FGF2などに骨形成促進作用があることが知られている。しかしながら、実際に骨形成促進薬として応用されている例は限られている。
骨破壊を司る破骨細胞は単球・マクロファージ系の造血細胞に由来する大型の多核細胞である。その前駆細胞は骨表面において骨芽細胞/間質細胞による調節を受け破骨細胞へと分化・成熟する(非特許文献1を参照)。破骨細胞分化因子(RANKL; receptor activator of NF-κB ligand)は、骨吸収因子によって骨芽細胞/間質細胞上に誘導される腫瘍壊死因子(TNF; tumor necrosis factor)ファミリーに属する膜結合タンパク質で、破骨細胞分化・成熟に必須の因子である(非特許文献2及び3を参照)。その受容体であるRANK(receptor activator of NF-κB)及びおとり受容体のOPG(osteoprotegerin)を含めたRANKL/RANK/OPGを軸とした研究により、破骨細胞分化・成熟の調節メカニズムの解明が生体レベルで進み、これら3分子と骨代謝疾患との関わりも明らかになってきている(非特許文献4を参照)。
骨吸収と骨形成は通常平衡状態にあり、吸収した量だけ形成するという絶妙のバランスを調節するメカニズムが存在する。この骨吸収と骨形成の共役はカップリングと呼ばれる(非特許文献5を参照)。破骨細胞分化因子であるRANKLは骨吸収因子の刺激を受けて骨芽細胞上に産生され、破骨細胞前駆細胞や破骨細胞上のRANKL受容体であるRANKに結合することにより、分化・活性化シグナルを伝える。このメカニズムに基づいて、TNFの結合領域の立体構造に似せた人工ペプチドをRANKLからRANKへのシグナル伝達の抑制に用いたという報告がある(非特許文献6〜8を参照)。また、RANKLに結合するペプチド等を骨代謝疾患の治療に用いることも報告されている(特許文献1を参照)。
Sudaら、Endocr Rev,13:66, 1992
Yasudaら、Proc Natl Acad Sci USA 95: 3597, 1998
Laceyら、Cell 93: 165, 1998
Sudaら、Endocr Rev,20:345, 1999
Martinら、Trends Mol Med,11:76, 2005
Aokiら、J Clin Invest 116: 1525, 2006
Takasakiら、Nat Biotec, 15:1266, 1997
Chengら、J Biol Chem, 279; 8269, 2004
本発明は骨芽細胞又は骨芽細胞に分化し得る細胞の分化・成熟・石灰化を増強する抗RANKL抗体、該抗体を有効量投与することを含む骨形成を増強する方法、及び前記抗体を有効成分として含む骨形成を刺激するための医薬品組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、RANKLを介して骨芽細胞に骨形成シグナルを伝達するメカニズムについて検討を行い、リガンドであるRANKLからその受容体であるRANKに順方向のシグナルが入るだけでなく、RANKからRANKLに逆方向のシグナルが入ることを見出した。また、このRANKLとRANKの間の双方向性シグナルが、骨吸収と骨形成のカップリングを司ることを見出した。本発明者等は、この知見に基づき、RANKLに作用して、骨芽細胞分化を促進する分子について検討を行い、RANKLの特定のエピトープを認識する抗体が骨芽細胞分化を促進し、骨密度等を増加させ、骨量減少を伴う骨代謝疾患の治療や予防に用い得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、以下のエピトープのいずれかを認識する抗RANKL抗体又はその機能的断片:
(i) RANKLのアミノ酸残基80〜110の領域に存在するエピトープ;
(ii) RANKLのアミノ酸残基130〜160の領域に存在するエピトープ;
(iii) RANKLのアミノ酸残基170〜200の領域に存在するエピトープ;
(iv) RANKLのアミノ酸残基240〜270の領域に存在するエピトープ;及び
(v) RANKLのアミノ酸残基290〜310の領域に存在するエピトープ。
[2] RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、以下のエピトープのいずれかを認識する、[1]の抗RANKL抗体又はその機能的断片:
(i) RANKLのアミノ酸残基80〜110の領域に存在するエピトープ;及び
(ii) RANKLのアミノ酸残基130〜160の領域に存在するエピトープ。
[3] RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、clone.12A668抗体、clone.OYC200及びclone.1-12Hからなる群から選択される抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識する、clone.12A668抗体、clone.OYC200及びclone.1-12Hを除く抗RANKL抗体又はその機能的断片。
[4] モノクローナル抗体である、[1]〜[3]のいずれかの抗RANKL抗体又はその機能的断片。
[5] ヒト化抗体である、[1]〜[4]のいずれかの抗RANKL抗体又はその機能的断片。
[6] ヒト抗体である、[1]〜[4]のいずれかの抗RANKL抗体又はその機能的断片。
[7] [1]〜[6]のいずれかの抗RANKL抗体又はその機能的断片を有効成分として含む、骨芽細胞分化・成熟剤。
[8] [1]〜[6]のいずれかの抗RANKL抗体又はその機能的断片を有効成分として含む、骨量減少を伴う骨代謝疾患の治療又は予防のための医薬組成物。
[9] 骨量減少を伴う骨代謝疾患が、骨粗鬆症、若年性骨粗鬆症、骨形成不全、高カルシウム血症、上皮小体機能亢進症、骨軟化症、骨石灰脱失症、骨溶解性骨疾患、骨壊死、パジェット病、関節リウマチ、変形性関節症による骨の低下、炎症性関節炎、骨髄炎、グルココルチコイド処置、転移性の骨疾患、歯周の骨の喪失、癌による骨の喪失、及び加齢による骨の喪失からなる群から選択される、[8]の骨量減少を伴う骨代謝疾患の治療又は予防のための医薬組成物。
[1] RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、以下のエピトープのいずれかを認識する抗RANKL抗体又はその機能的断片:
(i) RANKLのアミノ酸残基80〜110の領域に存在するエピトープ;
(ii) RANKLのアミノ酸残基130〜160の領域に存在するエピトープ;
(iii) RANKLのアミノ酸残基170〜200の領域に存在するエピトープ;
(iv) RANKLのアミノ酸残基240〜270の領域に存在するエピトープ;及び
(v) RANKLのアミノ酸残基290〜310の領域に存在するエピトープ。
[2] RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、以下のエピトープのいずれかを認識する、[1]の抗RANKL抗体又はその機能的断片:
(i) RANKLのアミノ酸残基80〜110の領域に存在するエピトープ;及び
(ii) RANKLのアミノ酸残基130〜160の領域に存在するエピトープ。
[3] RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、clone.12A668抗体、clone.OYC200及びclone.1-12Hからなる群から選択される抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識する、clone.12A668抗体、clone.OYC200及びclone.1-12Hを除く抗RANKL抗体又はその機能的断片。
[4] モノクローナル抗体である、[1]〜[3]のいずれかの抗RANKL抗体又はその機能的断片。
[5] ヒト化抗体である、[1]〜[4]のいずれかの抗RANKL抗体又はその機能的断片。
[6] ヒト抗体である、[1]〜[4]のいずれかの抗RANKL抗体又はその機能的断片。
[7] [1]〜[6]のいずれかの抗RANKL抗体又はその機能的断片を有効成分として含む、骨芽細胞分化・成熟剤。
[8] [1]〜[6]のいずれかの抗RANKL抗体又はその機能的断片を有効成分として含む、骨量減少を伴う骨代謝疾患の治療又は予防のための医薬組成物。
[9] 骨量減少を伴う骨代謝疾患が、骨粗鬆症、若年性骨粗鬆症、骨形成不全、高カルシウム血症、上皮小体機能亢進症、骨軟化症、骨石灰脱失症、骨溶解性骨疾患、骨壊死、パジェット病、関節リウマチ、変形性関節症による骨の低下、炎症性関節炎、骨髄炎、グルココルチコイド処置、転移性の骨疾患、歯周の骨の喪失、癌による骨の喪失、及び加齢による骨の喪失からなる群から選択される、[8]の骨量減少を伴う骨代謝疾患の治療又は予防のための医薬組成物。
本発明のRANKL上の特定のエピトープを認識しRANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体は、骨芽細胞又は骨芽細胞に分化し得る細胞の分化を促進することができる。従って、該抗体は骨粗鬆症等の骨量減少を伴う骨代謝疾患の治療、予防に有効に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
RANKL(Receptor activator of NF-κB ligand)は、TNFスーパーファミリーのメンバーであるRANK(NF-κBの受容体アクティベーター)のリガンドであり、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞外ドメインを有する2型貫通タンパク質である(特表2002-509430号公報)。RANKLは骨吸収因子の刺激を受けて骨芽細胞又は骨芽細胞に分化し得る細胞上に発現する。ここで、骨芽細胞に分化し得る細胞には、骨芽細胞に分化し得る限りあらゆる細胞が含まれ、例えば、骨芽前駆細胞、間葉系幹細胞、間質細胞、筋芽細胞等が挙げられる。マウス由来のRANKLの全長アミノ酸配列及びヒト由来のRANKLの全長アミノ酸配列を、それぞれ配列番号62及び63に示す。図14にmRANKLとhRANKLのアミノ酸配列のアラインメントを示す。図14に示すように、mRANKLの32番目のアミノ酸に対応するアミノ酸がhRANKLでは欠失しており、さらにhRANKLの110及び111番目に対応するアミノ酸がmRANKLでは欠失している。ここでhRANKLのアミノ酸に対応するmRANKLのアミノ酸とはhRANKLのアミノ酸配列とmRANKLのアミノ酸配列をアラインメントさせたときに並置されるアミノ酸をいう。
RANKL(Receptor activator of NF-κB ligand)は、TNFスーパーファミリーのメンバーであるRANK(NF-κBの受容体アクティベーター)のリガンドであり、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞外ドメインを有する2型貫通タンパク質である(特表2002-509430号公報)。RANKLは骨吸収因子の刺激を受けて骨芽細胞又は骨芽細胞に分化し得る細胞上に発現する。ここで、骨芽細胞に分化し得る細胞には、骨芽細胞に分化し得る限りあらゆる細胞が含まれ、例えば、骨芽前駆細胞、間葉系幹細胞、間質細胞、筋芽細胞等が挙げられる。マウス由来のRANKLの全長アミノ酸配列及びヒト由来のRANKLの全長アミノ酸配列を、それぞれ配列番号62及び63に示す。図14にmRANKLとhRANKLのアミノ酸配列のアラインメントを示す。図14に示すように、mRANKLの32番目のアミノ酸に対応するアミノ酸がhRANKLでは欠失しており、さらにhRANKLの110及び111番目に対応するアミノ酸がmRANKLでは欠失している。ここでhRANKLのアミノ酸に対応するmRANKLのアミノ酸とはhRANKLのアミノ酸配列とmRANKLのアミノ酸配列をアラインメントさせたときに並置されるアミノ酸をいう。
本発明の抗体は、RANKLの特定の領域を認識し結合する。詳細には、RANKLの特定の領域に存在する特定のエピトープを認識し結合する。
本発明の抗体は、RANKLの細胞外ドメインに結合し、さらに、該細胞外ドメインの以下の領域に結合する抗体を含む。細胞外ドメインは、mRANKLの場合、アミノ酸残基72〜316からなる領域であり、hRANKLの場合、アミノ酸残基71〜317からなる領域である。
(1)RANKLのアミノ酸残基80〜110の領域、好ましくはアミノ酸残基87〜101の領域、
(2)RANKLのアミノ酸残基130〜160の領域、好ましくはアミノ酸残基140〜154の領域、(3)RANKLのアミノ酸残基170〜200の領域、好ましくはアミノ酸残基177〜191の領域、
(4)RANKLのアミノ酸残基240〜270の領域、好ましくはアミノ酸残基247〜266の領域、又は
(5)RANKLのアミノ酸残基290〜310の領域、好ましくはアミノ酸残基292〜306の領域。
(1)RANKLのアミノ酸残基80〜110の領域、好ましくはアミノ酸残基87〜101の領域、
(2)RANKLのアミノ酸残基130〜160の領域、好ましくはアミノ酸残基140〜154の領域、(3)RANKLのアミノ酸残基170〜200の領域、好ましくはアミノ酸残基177〜191の領域、
(4)RANKLのアミノ酸残基240〜270の領域、好ましくはアミノ酸残基247〜266の領域、又は
(5)RANKLのアミノ酸残基290〜310の領域、好ましくはアミノ酸残基292〜306の領域。
これらの抗体は、これらの領域に存在するエピトープを認識し、結合する。
本発明の抗体が認識し、結合するRANKLの由来動物種は限定されないが、好ましくはhRANKL又はmRANKL、さらに好ましくはhRANKLである。mRANKLとhRANKLのアミノ酸残基159よりC末側の領域のアミノ酸配列同一性は約89%であり、mRANKLとhRANKLは共通のエピトープを有すると予測され、例えば、mRANKLの特定のエピトープを認識する抗体は、hRANKLの対応するエピトープも認識すると予測される。hRANKLにおいて、図14のアラインメントに示すように、mRANKLに対して1つのアミノ酸の欠失(mRANKLの32番目のアミノ酸)が認められ、2つのアミノ酸の挿入(hRANKLの110及び111番目のアミノ酸)が認められる。従って、例えば、上記の(1)の「RANKLのアミノ酸残基87〜101」をmRANKLのアミノ酸位置とした場合、hRANKLではアミノ酸残基86〜100に対応する。図4B及び図5BにhRANKLとmRANKLの細胞外ドメインにおける対応するアミノ酸位置を示す。ただし、エピトープは通常6個〜十数個の連続するアミノ酸で構成され、mRANKLのアミノ酸残基87〜101の領域に存在するエピトープという場合、ヒトの対応するアミノ酸配列の位置に共通するエピトープが含まれると予測される。また、タンパク質の立体構造において、一次構造上離れた位置に存在するアミノ酸が近接してエピトープを形成することもある。mRANKLとhRANKLでアミノ酸配列の相同性から立体構造も類似していることが予測され、従って、立体構造において形成されるエピトープも共通していることが予測される。本発明の抗体は、連続するアミノ酸により形成されるエピトープだけでなく、タンパク質の立体構造において形成されるエピトープを認識する抗体も含む。例えば、本発明の抗体は、mRANKLのアミノ酸残基80〜110の領域、好ましくはアミノ酸残基87〜101の領域、若しくはそれらの領域に対応するhRANKLの領域;hRANKLのアミノ酸残基130〜160の領域、好ましくはアミノ酸残基140〜154の領域、若しくはそれらの領域に対応するmRANKLの領域;mRANKLのアミノ酸残基170〜200の領域、好ましくはアミノ酸残基177〜191の領域、若しくはそれらの領域に対応するhRANKLの領域;mRANKLのアミノ酸残基240〜270の領域、好ましくはアミノ酸残基247〜266の領域、若しくはそれらの領域に対応するhRANKLの領域;又はmRANKLのアミノ酸残基290〜310の領域、好ましくはアミノ酸残基292〜306の領域、若しくはそれらの領域に対応するhRANKLの領域に存在するエピトープを認識し、結合する。
本発明の抗マウスRANKL抗体として、例えば、IMGENEXのclone.12A668抗体(カタログ番号 IMG-133E)、オリエンタル酵母工業のclone.OYC200が挙げられ、抗ヒトRANKL抗体として、オリエンタル酵母工業のclone.1-12Hが挙げられる。
本発明の抗体は、これらの抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識する抗体も包含する。
本発明の抗RANKL抗体は、公知の方法により、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体として得ることができ、モノクローナル抗体が好ましい。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマに産生されるもの、及び遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるものを含む。モノクローナル抗体産生ハイブリドーマは、公知の手法により、以下のようにして作製できる。すなわち、膜型若しくは可溶型RANKL又はその断片ペプチドを感作抗原として用いて、公知の免疫方法により免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、公知のスクリーニング法により、モノクローナル抗体を産生する細胞をスクリーニングすることによって作製することができる。免疫に用いるRANKLとしては、マウス由来のRANKL又はヒト由来のRANKLの細胞外ドメイン又はその断片を用いればよい。RANKLを免疫する際、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン等のキャリアタンパク質と結合させて用いてもよい。また、モノクローナル抗体としては、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型のものも用いることができる(例えば、Vandamme, A. M. et al., Eur. J. Biochem. 1990;192:767-775.参照)。この際、抗体重鎖(H鎖)又は軽鎖(L鎖)をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を同時形質転換させてもよいし、あるいはH鎖及びL鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換させてもよい(国際公開第WO 94/11523号パンフレット)。また、トランスジェニック動物を使用することにより、組換え型抗体を産生することもできる。例えば、抗体遺伝子を、乳汁中に固有に産生されるタンパク質(ヤギβカゼインなど)をコードする遺伝子の途中に挿入して融合遺伝子として調製する。抗体遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ又はその子孫が産生する乳汁から所望の抗体を得ることができる(Ebert, K.M. et al., Bio/Technology 1994;12:699-702)。
さらに、本発明の抗RANKL抗体は、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体をも含み、いずれも公知の方法を用いて製造することができる。キメラ抗体は、抗体V領域をコードするDNAを得て、ヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる。ヒト化抗体は、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR; complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、ヒト以外の動物抗体由来のCDRとヒト抗体由来のフレームワーク領域を有する。ヒト化抗体は公知の方法により作製することができる(欧州特許出願公開番号EP 125023号公報、WO 96/02576 号公報参照)。ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体ともいう。キメラ抗体及びヒト化抗体のC領域には、ヒト抗体のものが使用され、例えばH鎖では、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4を、L鎖ではCκ、Cλを使用することができる。また、抗体又はその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体C領域を修飾してもよい。
ヒト抗体は、例えばヒト抗体遺伝子座を導入し、ヒト由来抗体を産生する能力を有するトランスジェニック動物に抗原を投与することにより得ることができる。該トランスジェニック動物としてマウスが挙げられ、ヒト抗体を産生し得るマウスの作出方法は、例えば、米国特許第7,145,056号明細書(XenoMouse(登録商標));米国特許第5,612,205号明細書、米国特許第5,981,175号明細書、米国特許第5,814,318号明細書、米国特許第5,545,806号明細書(HuMAb-Mouse(登録商標));Tomizuka, K. et al., Nature Genet., 16, 133-143, 1997(TransChromo Mouse(商標));Ishida I. et al., Cloning and Stem Cells, 4, 85-95, 2002(KM Mouse(商標))等に記載されている。また、ヒト抗体断片を表面に提示するファージを利用したファージディスプレイ法によっても作製することができる。すなわち、ヒトB細胞からヒト抗体重鎖及び軽鎖を得て、CDR領域に人工的な配列を加え、ファージディスプレイ法によりヒト可変領域を発現するファージのライブラリーを作製し、所望の結合性を有するヒト抗体を選択する。ファージディスプレイ法によるヒト抗体の作製については、国際公開第1992/015679号国際公開パンフレット等に記載されている。
抗RANKL抗体は、完全抗体だけでなく、その機能的断片も含む。抗体の機能的断片とは、抗体の一部分(部分断片)であって、抗体の抗原への作用を1つ以上保持するものを意味し、具体的にはF(ab')2 、Fab'、Fab、Fv、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv(scFv)、及びこれらの重合体等が挙げられる[D.J.King., Applications and Engineering of Monoclonal Antibodies., 1998 T.J.International Ltd]。
また、モノクローナル抗体を用いる場合、1種類のみのモノクローナル抗体を用いてもよいが、認識するエピトープが異なる2種類以上のモノクローナル抗体を用いてもよい。
本発明の抗体が骨芽細胞に分化し得る細胞上に発現しているRANKLに結合すると、それらの骨芽細胞又は骨芽細胞に分化し得る細胞の分化、増殖、成熟、石灰化を促進し、骨形成を促し、骨量増強等を引き起こす。これらの細胞が分化、増殖するかを検定することにより、決定することができる。分化、増殖は、例えば細胞のアルカリフォスファターゼ活性の上昇や石灰化等を指標に決定することができる。
本発明の抗体は、骨形成を増強する医薬組成物として用いることもできる。特に、骨量減少を伴う骨代謝疾患の治療又は予防のために用いることができる。このような、骨代謝疾患としては、骨粗鬆症、若年性骨粗鬆症、骨形成不全、高カルシウム血症、上皮小体機能亢進症、骨軟化症、骨石灰脱失症、骨溶解性骨疾患、骨壊死、パジェット病、関節リウマチ、変形性関節症による骨の低下、炎症性関節炎、骨髄炎、グルココルチコイド処置、転移性の骨疾患、歯周の骨の喪失、癌による骨の喪失、加齢による骨の喪失、及びその他の骨量減少症が挙げられる。本発明の抗体を動物に投与した場合、骨密度、骨塩量、骨面積が増加する。骨密度とは、骨中のカルシウムなどミネラル成分の密度を数字で表したものをいう。骨密度は、pQCT(peripheral quantitative computerized tomography; 末梢骨X線CT装置)、SXA(Single Energy X-Ray Absorptiometry)、DXA(Dual Energy X-Ray Absorptiometry; 二重エネルギーX線吸収法)等により計測することができる。さらに、上記化合物を動物に投与した場合、μCTで骨の3次元構造解析を行った場合、海綿骨の密度の上昇が認められる。さらに、海綿骨骨梁構造計測により、BV/TV(単位骨量:bone volume/total tissue volume)、骨梁幅、骨梁数の増加が認められる。さらに、上記化合物を動物に投与した場合、pQCTによる骨形態計測により、皮質骨領域の骨密度の増加が認められる。
投与量は、症状、年齢、体重などによって異なるが、通常、経口投与では、成人に対して、1日約0.01mg〜1000mgであり、これらを1回、又は数回に分けて投与することができる。また、非経口投与では、1回約0.01mg〜1000mgを皮下注射、筋肉注射又は静脈注射によって投与することができる。
組成物は、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤、賦形剤を含む。たとえば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、ステアリン酸マグネシウムなどが使用される。注射用の水性液としては、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが使用され、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール、プロピレングリコールなどのポリアルコール、非イオン界面活性剤などと併用してもよい。油性液としては、ゴマ油、大豆油などが使用され、溶解補助剤としては安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 rRANKLに対する抗マウスRANKL抗体の結合能
試薬
リコンビナントマウスRANKL(rmRANKL)はR&D Systems及びPEPROTECHのものを用いた。R&D SystemsのrmRANKLはマウス型RANKL残基72-316、PEPROTECHのrmRANKLはマウス型RANKL残基143-316で構成される(図1)。抗マウスRANKL抗体はR&D Systems(clone.88227、カタログ番号 MAB462)、IMGENEX(clone.12A668、カタログ番号 IMG-133E)、及びオリエンタル酵母工業(clone. OYC200)を用いた。
試薬
リコンビナントマウスRANKL(rmRANKL)はR&D Systems及びPEPROTECHのものを用いた。R&D SystemsのrmRANKLはマウス型RANKL残基72-316、PEPROTECHのrmRANKLはマウス型RANKL残基143-316で構成される(図1)。抗マウスRANKL抗体はR&D Systems(clone.88227、カタログ番号 MAB462)、IMGENEX(clone.12A668、カタログ番号 IMG-133E)、及びオリエンタル酵母工業(clone. OYC200)を用いた。
トランケート(Truncated)GST-hRANKLの調製
プライマーV127Gn(配列番号1)及びRevGEX(配列番号4)を用いてhRANKL残基127-317(V127と示す)をコードするcDNA(配列番号5)をPCRにより作製した。同様に、プライマーI140Gn(配列番号2)及びRevGEXを用いてhRANKL残基140−317(I140と示す)をコードするcDNA(配列番号7)をPCRにより作製した。最後にプライマーK159Gn(配列番号3)及びRevGEXを用いてhRANKL残基159-317(K159と示す)をコードするcDNA(配列番号9)を作製した。PCRの条件及びプライマーの配列は以下に示す。PCR反応はKOD-Plus-(TOYOBO)を用いた。DNAサーマルサイクラー(Applied Biosystems)を使用し、96℃で5分熱変性を行った後、熱変性94℃で15秒、アニーリング60℃で30秒、伸長反応68℃で40秒を15サイクル行った。それぞれのcDNAはPCRにてSal I-Not Iサイトが付加されており、これらのエンドヌクレアーゼを用いて、常法によりpGEX-4T-2(GE healthcare ; Genbank Accession Number U13854)のグルタチオンS-トランスフェラーゼの下流にクローニングした。
プライマーV127Gn(配列番号1)及びRevGEX(配列番号4)を用いてhRANKL残基127-317(V127と示す)をコードするcDNA(配列番号5)をPCRにより作製した。同様に、プライマーI140Gn(配列番号2)及びRevGEXを用いてhRANKL残基140−317(I140と示す)をコードするcDNA(配列番号7)をPCRにより作製した。最後にプライマーK159Gn(配列番号3)及びRevGEXを用いてhRANKL残基159-317(K159と示す)をコードするcDNA(配列番号9)を作製した。PCRの条件及びプライマーの配列は以下に示す。PCR反応はKOD-Plus-(TOYOBO)を用いた。DNAサーマルサイクラー(Applied Biosystems)を使用し、96℃で5分熱変性を行った後、熱変性94℃で15秒、アニーリング60℃で30秒、伸長反応68℃で40秒を15サイクル行った。それぞれのcDNAはPCRにてSal I-Not Iサイトが付加されており、これらのエンドヌクレアーゼを用いて、常法によりpGEX-4T-2(GE healthcare ; Genbank Accession Number U13854)のグルタチオンS-トランスフェラーゼの下流にクローニングした。
[プライマー配列]
V127Gn: 5’-ATCATGCGTCGACTGTGCAAAAGGAATTACAACA -3’(配列番号1)、
I140Gn :5’-ATCATGCGTCGACTATCAGAGCAGAGAAAGCGAT -3’(配列番号2)、
K159Gn: 5’-ATCATGCGTCGACTAAGCTTGAAGCTCAGCCTTTT -3’(配列番号3)、
RevGEX: 5’-TCAATGCGGCCGCATCCAGGAAATACATAACA -3’(配列番号4)
V127Gn: 5’-ATCATGCGTCGACTGTGCAAAAGGAATTACAACA -3’(配列番号1)、
I140Gn :5’-ATCATGCGTCGACTATCAGAGCAGAGAAAGCGAT -3’(配列番号2)、
K159Gn: 5’-ATCATGCGTCGACTAAGCTTGAAGCTCAGCCTTTT -3’(配列番号3)、
RevGEX: 5’-TCAATGCGGCCGCATCCAGGAAATACATAACA -3’(配列番号4)
BL21(DE3)Escherischia coli(Invitrogen)におけるIPTG(終濃度:0.5 mM)によるタンパク質発現の誘導後、菌体を抽出バッファー(50mM Tris-HCl, pH8.0, 100mM NaCl, 1mM EDTA, 1mM DTT, 1%(v/v)TritonX-100)にて懸濁し、4℃でソニケーターを用いて破砕した。18000×g、15minで遠心後、上清を回収しグルタチオンセファロースカラムにかけた。続いて洗浄バッファー(50mM Tris-HCl, pH8.0, 100mM NaCl, 1mM DTT, 0.1%(v/v)TritonX-100)にて洗浄した。その後、グルタチオン溶液(20mM 還元型グルタチオン, 50mM Tris-HCl, pH8.0)で溶出した。精製した各トランケートGST-hRANKLのV127(配列番号6)、I140(配列番号8)、K159(配列番号10)の分子量及び純度をSDS-PAGEにて確認した。図1にそれぞれGST-hRANKL(V127)、(I140)、(K159)の構造を示す。
各rRANKL及びV127、I140及びK159をそれぞれ50nMに希釈し、96穴プレートに50μlずつ添加し、4℃で一晩コートした。ネガティブコントロールとしてGSTも同様に50nMに希釈し、96穴プレートに50μlずつ添加し、4℃で一晩コートした。各ウェルをWash液(PBS-0.05% Tween20)で4回洗浄し、ブロッキング溶液(ナカライテスク)を120μlずつ添加し、室温で2時間静置した。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で1μg/mlに希釈した抗マウスRANKL抗体(R&D Systems clone.88227、IMGENEX clone.12A668、及びオリエンタル酵母工業clone OYC200)をそれぞれ50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、抗マウスRANKL抗体(IMGENEX clone.12A668)を添加したウェルにはブロッキング溶液で2000倍希釈した抗マウスIgG1-HRP(Southern Biotech)を50μlずつ添加し、また抗マウスRANKL抗体(R&D Systems clone.88227及びオリエンタル酵母工業clone. OYC200)を添加したウェルにはブロッキング溶液で2000倍希釈した抗ラットIgG-HRP(CHEMICON)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、TMB(BD)を100μlずつ添加し、室温で5分間インキュベートした。1N硫酸を25μlずつ添加し、反応を停止した。反応停止後、マイクロプレートリーダー(BMG Labtech)で吸光度を測定した。
抗マウスRANKL抗体(IMGENEX clone.12A668)はV127、I140、K159、rmRANKL(PEPROTECH)及びrmRANKL(R&D Systems)のすべてのrRANKLと結合した(図2)。また、抗マウスRANKL抗体(オリエンタル酵母工業clone. OYC200)はrmRANKL(R&D Systems)のみと結合した(図2)。また、抗マウスRANKL抗体(R&D Systems)もrmRANKL(R&D Systems)のみと結合した(図3)。この結果より、抗マウスRANKL抗体(IMGENEX clone.12A668)はhRANKL及びrmRANKLの両方と結合し、エピトープはhRANKL残基159以降にあることが示唆された。また、抗マウスRANKL抗体(オリエンタル酵母工業clone. OYC200及びR&D Systems clone.88227)はR&D SystemsのrmRANKLに含まれてPEPROTECHには含まれていない領域、すなわちmRANKL残基72から142にエピトープが存在することが示唆された。
実施例2 mRANKLのペプチドライブラリーに対する抗マウスRANKL抗体の結合能
試薬
rmRANKLはPEPROTECH及びR&D Systemsのものを用いた。抗マウスRANKL抗体は実施例1で用いた抗体に加え、オリエンタル酵母工業製(clone. OYC100)を用いた。
試薬
rmRANKLはPEPROTECH及びR&D Systemsのものを用いた。抗マウスRANKL抗体は実施例1で用いた抗体に加え、オリエンタル酵母工業製(clone. OYC100)を用いた。
ペプチドライブラリーの作製
mRANKLの細胞外領域(mRANKL残基72-316)の配列をもとに、15アミノ酸の長さでオフセット5アミノ酸のペプチドを47個合成した(図4)(mR-001〜mR-047、それぞれ配列番号11〜57)。乾燥されたペプチドは100mg/mlになるようにDMSOで溶解した。図4Bには、それぞれのペプチドのアミノ酸配列の位置及び対応するhRANKLのアミノ酸配列位置を示す。
mRANKLの細胞外領域(mRANKL残基72-316)の配列をもとに、15アミノ酸の長さでオフセット5アミノ酸のペプチドを47個合成した(図4)(mR-001〜mR-047、それぞれ配列番号11〜57)。乾燥されたペプチドは100mg/mlになるようにDMSOで溶解した。図4Bには、それぞれのペプチドのアミノ酸配列の位置及び対応するhRANKLのアミノ酸配列位置を示す。
ペプチドライブラリーを用いたELISA
DMSOで溶解した各ペプチドをPBSで100μg/mlに希釈し、96穴プレートに50μlずつ添加し、4℃で一晩コートした。また、コントロールとして、rmRANKL(R&D Systems)を25nMに希釈し、各ペプチドと同様に4℃で一晩コートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液を120μlずつ添加し、室温で2時間静置した。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で1μg/mlに希釈した抗マウスRANKL抗体(R&D Systems、IMGENEX、オリエンタル酵母工業clone. OYC100及びclone. OYC200)をそれぞれ50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、抗マウスRANKL抗体(IMGENEX clone.12A668)を添加したウェルにはブロッキング溶液で2000倍希釈した抗マウスIgG1-HRP(Southern Biotech)を50μlずつ添加し、抗マウスRANKL抗体(R&D Systems clone.88227、オリエンタル酵母工業clone. OYC100、及びclone. OYC200)を添加したウェルにはブロッキング溶液で2000倍希釈した抗ラットIgG-HRP(CHEMICON)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、TMB(BD)を100μlずつ添加し、室温で10分間インキュベートした。1N硫酸を25μlずつ添加し、反応を停止した。反応停止後、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。
DMSOで溶解した各ペプチドをPBSで100μg/mlに希釈し、96穴プレートに50μlずつ添加し、4℃で一晩コートした。また、コントロールとして、rmRANKL(R&D Systems)を25nMに希釈し、各ペプチドと同様に4℃で一晩コートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液を120μlずつ添加し、室温で2時間静置した。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で1μg/mlに希釈した抗マウスRANKL抗体(R&D Systems、IMGENEX、オリエンタル酵母工業clone. OYC100及びclone. OYC200)をそれぞれ50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、抗マウスRANKL抗体(IMGENEX clone.12A668)を添加したウェルにはブロッキング溶液で2000倍希釈した抗マウスIgG1-HRP(Southern Biotech)を50μlずつ添加し、抗マウスRANKL抗体(R&D Systems clone.88227、オリエンタル酵母工業clone. OYC100、及びclone. OYC200)を添加したウェルにはブロッキング溶液で2000倍希釈した抗ラットIgG-HRP(CHEMICON)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、TMB(BD)を100μlずつ添加し、室温で10分間インキュベートした。1N硫酸を25μlずつ添加し、反応を停止した。反応停止後、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。
抗マウスRANKL抗体(IMGENEX clone.12A668)はmR-022(アミノ酸残基177-191)、mR-036(アミノ酸残基247-261)、mR-037(アミノ酸残基252-266)、mR-045(アミノ酸残基292-306)のペプチドと結合した(図5)。また、抗マウスRANKL抗体(オリエンタル酵母工業clone. OYC200)はmR-004のペプチドと結合した(図6)。また、抗RANKL抗体(R&D Systems clone.88227及びオリエンタル酵母工業clone. OYC100)は今回用いたペプチドとの結合は確認できなかった(それぞれ図7、8)。これらの結果から、抗マウスRANKL抗体(IMGENEX clone.12A668)のエピトープはmRANKL残基177-191、247-266、292-306を含む領域にあると考えられる。また、抗マウスRANKL抗体(オリエンタル酵母工業 clone. OYC200)のエピトープはmRANKL残基87-101を含む領域にあると考えられる。また、抗マウスRANKL抗体(R&D Systems clone.88227及びオリエンタル酵母工業clone. OYC100)のエピトープは絞り込むことができなかった。
実施例3 rRANKLに対する抗ヒトRANKL抗体の結合能
試薬
V127、I140及びK159は実施例1で調製したものを用いた。rhRANKLはPEPROTECHの製品を用いた。PEPROTECHのrhRANKLはhRANKL残基143-317で構成される(図1)。抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)はオリエンタル酵母工業製を用いた。
試薬
V127、I140及びK159は実施例1で調製したものを用いた。rhRANKLはPEPROTECHの製品を用いた。PEPROTECHのrhRANKLはhRANKL残基143-317で構成される(図1)。抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)はオリエンタル酵母工業製を用いた。
rRANKLを用いたELISA
調製した領域の異なるV127、I140、K159及びrhRANKL(PEPROTECH)(図1)をそれぞれ50nMに希釈し、96穴プレートに50μlずつ添加し、4℃で一晩コートした。ネガティブコントロールとしてGSTも同様に50nMに希釈し、96穴プレートに50μlずつ添加し、4℃で一晩コートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液を120μlずつ添加し、室温で2時間静置した。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で1μg/mlに希釈した抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で2000倍希釈した抗マウスIgG1-HRP(Southern Biotech)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、TMB(BD)を100μlずつ添加し、室温で5分間インキュベートした。1N硫酸を25μlずつ添加し、反応を停止した。反応停止後、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。
調製した領域の異なるV127、I140、K159及びrhRANKL(PEPROTECH)(図1)をそれぞれ50nMに希釈し、96穴プレートに50μlずつ添加し、4℃で一晩コートした。ネガティブコントロールとしてGSTも同様に50nMに希釈し、96穴プレートに50μlずつ添加し、4℃で一晩コートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液を120μlずつ添加し、室温で2時間静置した。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で1μg/mlに希釈した抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で2000倍希釈した抗マウスIgG1-HRP(Southern Biotech)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、TMB(BD)を100μlずつ添加し、室温で5分間インキュベートした。1N硫酸を25μlずつ添加し、反応を停止した。反応停止後、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。
抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)はV127及びI140と結合するが、K159及びrhRANKL(PEPROTECH)に結合しないことを確認した。(図9)
この結果より、抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)のエピトープはI140に含まれてrhRANKL(PEPROTECH)に含まれていない領域であることが示唆された。
実施例4 hRANKLのペプチドライブラリーに対する抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)の結合能
ペプチドライブラリーの作製
実施例3より、抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)のエピトープはhRANKL140, 141残基付近に示唆されたことから、さらに特定するためにhRANKLの細胞外領域(hRANKL残基135-164)の配列をもとに、15アミノ酸の長さでペプチドを4個合成した(配列番号58〜61)。(図10)乾燥ペプチドは100mg/mlになるようにDMSOで溶解した。図10Bには、それぞれのペプチドのアミノ酸配列の位置及び対応するmRANKLのアミノ酸配列位置を示す。
ペプチドライブラリーの作製
実施例3より、抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)のエピトープはhRANKL140, 141残基付近に示唆されたことから、さらに特定するためにhRANKLの細胞外領域(hRANKL残基135-164)の配列をもとに、15アミノ酸の長さでペプチドを4個合成した(配列番号58〜61)。(図10)乾燥ペプチドは100mg/mlになるようにDMSOで溶解した。図10Bには、それぞれのペプチドのアミノ酸配列の位置及び対応するmRANKLのアミノ酸配列位置を示す。
ペプチドライブラリーを用いたELISA
DMSOで溶解した各ペプチドをPBSで100μg/mlに希釈し、96穴プレートに50μlずつ添加し、4℃で一晩コートした。また、コントロールとしてI140を50nMに希釈し、各ペプチドと同様に4℃で一晩コートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液を120μlずつ添加し、室温で2時間静置した。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で1μg/mlに希釈した抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で2000倍希釈した抗マウスIgG1-HRP(Southern Biotech)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、TMB(BD)を100μlずつ添加し、室温で10分間インキュベートした。1N硫酸を25μlずつ添加し、反応を停止した。反応停止後、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。
DMSOで溶解した各ペプチドをPBSで100μg/mlに希釈し、96穴プレートに50μlずつ添加し、4℃で一晩コートした。また、コントロールとしてI140を50nMに希釈し、各ペプチドと同様に4℃で一晩コートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液を120μlずつ添加し、室温で2時間静置した。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で1μg/mlに希釈した抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、ブロッキング溶液で2000倍希釈した抗マウスIgG1-HRP(Southern Biotech)を50μlずつ添加し、室温で1時間インキュベートした。各ウェルをWash液で4回洗浄し、TMB(BD)を100μlずつ添加し、室温で10分間インキュベートした。1N硫酸を25μlずつ添加し、反応を停止した。反応停止後、マイクロプレートリーダーで吸光度を測定した。
抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)はhR-049(アミノ酸残基140-154)のペプチドのみと結合した(図11)。
この結果から、抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)のエピトープはヒトRANKL残基140-154を含む領域にあると考えられる。この抗体はhR-050(アミノ酸残基142-156)と結合しないことから、実施例3にて示されたように、そのエピトープはhRANKL140, 141残基付近であることが確認できた。また、hRANKL140, 141残基を含むhR-048に結合しないことから、hRANKL残基140-154がエピトープであることが示唆された。
実施例5 抗RANKL抗体による骨芽細胞及び間葉系幹細胞の分化促進
試薬・細胞
ヒト間葉系幹細胞はLonzaから購入した。培養は専用培地(Lonza)を用いた。
BMP-2はR&D Systems製を用いた。
試薬・細胞
ヒト間葉系幹細胞はLonzaから購入した。培養は専用培地(Lonza)を用いた。
BMP-2はR&D Systems製を用いた。
マウス骨芽細胞の採取
新生児マウス頭蓋骨を酵素溶液(0.1%コラゲナーゼ(Wako)+0.2%ディスパーゼ(合同酒精))に浸して、37℃の恒温槽にて5分間振とうさせた。最初の細胞浮遊画分は除去し、新しい酵素液10mLを添加し、さらに37℃の恒温槽にて10分間振とうさせた。この操作を4回繰り返し、それぞれの細胞浮遊液を回収した。細胞浮遊液を250×gで5分間遠心し、培地に懸濁してCO2インキュベーター内で3〜4日間培養した。トリプシン-EDTA溶液(ナカライテスク)を用いてこれら細胞を回収し、セルバンカー(十慈科学)にて凍結保存した。
新生児マウス頭蓋骨を酵素溶液(0.1%コラゲナーゼ(Wako)+0.2%ディスパーゼ(合同酒精))に浸して、37℃の恒温槽にて5分間振とうさせた。最初の細胞浮遊画分は除去し、新しい酵素液10mLを添加し、さらに37℃の恒温槽にて10分間振とうさせた。この操作を4回繰り返し、それぞれの細胞浮遊液を回収した。細胞浮遊液を250×gで5分間遠心し、培地に懸濁してCO2インキュベーター内で3〜4日間培養した。トリプシン-EDTA溶液(ナカライテスク)を用いてこれら細胞を回収し、セルバンカー(十慈科学)にて凍結保存した。
ALP(アルカリフォスファターゼ)活性測定
分化誘導後培養上清を除去し、細胞をアセトン・エタノール固定液(1:1)で固定した。固定後のALP活性は、パラニトロフェニルリン酸を基質とする方法で測定を行った。すなわち、パラニトロフェニルリン酸(ナカライテスク)1mg/mLを含む炭酸バッファー(5mM MgCl2, 50mM NaHCO3)を各ウェルに100μL添加し、37℃でインキュベート後に各ウェルの405nmにおけるOD値をマイクロプレートリーダーにて測定した。ALPは骨芽細胞のマーカーの一つであり、その活性の上昇は骨芽細胞の分化が亢進していることを示す。
分化誘導後培養上清を除去し、細胞をアセトン・エタノール固定液(1:1)で固定した。固定後のALP活性は、パラニトロフェニルリン酸を基質とする方法で測定を行った。すなわち、パラニトロフェニルリン酸(ナカライテスク)1mg/mLを含む炭酸バッファー(5mM MgCl2, 50mM NaHCO3)を各ウェルに100μL添加し、37℃でインキュベート後に各ウェルの405nmにおけるOD値をマイクロプレートリーダーにて測定した。ALPは骨芽細胞のマーカーの一つであり、その活性の上昇は骨芽細胞の分化が亢進していることを示す。
マウス骨芽細胞の分化誘導
得られたマウス骨芽細胞を0.8×104/wellとなるように、96wellプレートに10%FBS+αMEMを用いて播種した。細胞接着後に、10mMのβグリセロリン酸(SIGMA)+50μg/mLのアスコルビン酸(Wako)+100nMデキサメサゾン(SIGMA)を含む培地にて分化誘導を行った。各抗マウスRANKL抗体は2μg/mLを分化誘導と同時に添加した。陽性対照としてBMP-2を20ng/mL添加した。分化誘導後4日目にプレートを固定後、ALP活性測定を行った。
得られたマウス骨芽細胞を0.8×104/wellとなるように、96wellプレートに10%FBS+αMEMを用いて播種した。細胞接着後に、10mMのβグリセロリン酸(SIGMA)+50μg/mLのアスコルビン酸(Wako)+100nMデキサメサゾン(SIGMA)を含む培地にて分化誘導を行った。各抗マウスRANKL抗体は2μg/mLを分化誘導と同時に添加した。陽性対照としてBMP-2を20ng/mL添加した。分化誘導後4日目にプレートを固定後、ALP活性測定を行った。
その結果、抗マウスRANKL抗体(IMGENEX clone.12A668)及び抗マウスRANKL抗体(オリエンタル酵母工業clone. OYC200)を添加した群において、有意なALP活性の上昇が確認された(図12)。一方、抗マウスRANKL抗体(R&D Systems clone.88227)及び、抗マウスRANKL抗体(オリエンタル酵母工業clone. OYC100)はALP活性を上昇させなかった。
一方、ヒト間葉系幹細胞は2x103/wellとなるように、96wellプレートに専用培地を用いて播種した。細胞接着後に、10mMのβグリセロリン酸(SIGMA)+50μg/mLのアスコルビン酸(Wako)+100nMデキサメサゾン(SIGMA)を含む培地にて分化誘導を行った。抗ヒトRANKL抗体(オリエンタル酵母工業clone.1-12H)は5μg/mLを分化誘導と同時に添加した。分化誘導後5日目にプレートを固定後、ALP活性測定を行った。その結果、抗ヒトRANKL抗体(オリエンタル酵母工業clone.1-12H)添加群において有意なALP活性の上昇が確認された(図13)。
以上、マウス骨芽細胞の分化促進活性を示す抗マウスRANKL抗体(clone.12A668)及び抗マウスRANKL抗体(clone. OYC200)。さらにヒト間葉系幹細胞に対してALP活性亢進能を有する抗ヒトRANKL抗体(clone.1-12H)のエピトープが特定できたことから、これらのエピトープを特異的に認識する抗体は骨芽細胞もしくは間葉系幹細胞の分化促進活性を示すことが考えられる。また、骨芽細胞の分化促進活性を示さない抗マウスRANKL抗体(clone.88227)及び、抗マウスRANKL抗体(clone. OYC100)のエピトープが特定できなかったことは、これらの抗体がRANKLの一次構造ではなく、立体構造を認識していることを示唆する。
本発明の抗体は、骨芽細胞分化・成熟を促進し、骨量を増加させることができ、医薬品への利用が可能である。
配列番号1〜4 プライマー
配列番号11〜61 合成ペプチド
配列番号11〜61 合成ペプチド
Claims (9)
- RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、以下のエピトープのいずれかを認識する抗RANKL抗体又はその機能的断片:
(i) RANKLのアミノ酸残基80〜110の領域に存在するエピトープ;
(ii) RANKLのアミノ酸残基130〜160の領域に存在するエピトープ;
(iii) RANKLのアミノ酸残基170〜200の領域に存在するエピトープ;
(iv) RANKLのアミノ酸残基240〜270の領域に存在するエピトープ;及び
(v) RANKLのアミノ酸残基290〜310の領域に存在するエピトープ。 - RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、以下のエピトープのいずれかを認識する、請求項1記載の抗RANKL抗体又はその機能的断片:
(i) RANKLのアミノ酸残基80〜110の領域に存在するエピトープ;及び
(ii) RANKLのアミノ酸残基130〜160の領域に存在するエピトープ。 - RANKLに結合し骨芽細胞分化促進活性を有する抗RANKL抗体であって、clone.12A668抗体、clone.OYC200及びclone.1-12Hからなる群から選択される抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識する、clone.12A668抗体、clone.OYC200及びclone.1-12Hを除く抗RANKL抗体又はその機能的断片。
- モノクローナル抗体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗RANKL抗体又はその機能的断片。
- ヒト化抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗RANKL抗体又はその機能的断片。
- ヒト抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗RANKL抗体又はその機能的断片。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗RANKL抗体又はその機能的断片を有効成分として含む、骨芽細胞分化・成熟剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗RANKL抗体又はその機能的断片を有効成分として含む、骨量減少を伴う骨代謝疾患の治療又は予防のための医薬組成物。
- 骨量減少を伴う骨代謝疾患が、骨粗鬆症、若年性骨粗鬆症、骨形成不全、高カルシウム血症、上皮小体機能亢進症、骨軟化症、骨石灰脱失症、骨溶解性骨疾患、骨壊死、パジェット病、関節リウマチ、変形性関節症による骨の低下、炎症性関節炎、骨髄炎、グルココルチコイド処置、転移性の骨疾患、歯周の骨の喪失、癌による骨の喪失、及び加齢による骨の喪失からなる群から選択される、請求項8記載の骨量減少を伴う骨代謝疾患の治療又は予防のための医薬組成物。
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