JP2011212105A - 顆粒状骨補填材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 患部へ盛り上げやすく、形状が崩れ難い顆粒状骨補填材を提供する。
【解決手段】 小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が200〜5000μmである生体吸収性ポリマーと、該ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず該ポリマーからポリマー粒径の2〜60%長さが突出している突起部とから構成されている顆粒状骨補填材とその製造方法に関するものである。本発明に係る顆粒状骨補填材及びその製造方法において、生体吸収性ポリマーは、L−乳酸,D−乳酸,グリコール酸,ε−カプロラクトン,ジオキサン,リンゴ酸の重合体もしくはそれらの共重合体の中から選択される一種以上であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が200〜5000μmである生体吸収性ポリマーと、該ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず該ポリマーからポリマー粒径の2〜60%長さが突出している突起部とから構成されている顆粒状骨補填材とその製造方法に関するものである。本発明に係る顆粒状骨補填材及びその製造方法において、生体吸収性ポリマーは、L−乳酸,D−乳酸,グリコール酸,ε−カプロラクトン,ジオキサン,リンゴ酸の重合体もしくはそれらの共重合体の中から選択される一種以上であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、生体骨組織再生用の足場(Scaffold),補填材,ボーンフィラー,インプラントと生体骨組織との間の介在物,海面骨の代替物,DDS(Drug Delivery System)の薬物徐放用キャリアなどの用途に適し、特に平坦な患部へ充填する際に盛り上げやすい顆粒状骨補填材に関する。
医療用途を目的とする無機の多孔体として、例えば、セラミックスを仮焼または焼結して得られる多孔性セラミックスが知られている。多孔性セラミックスとしては、生体適合性及び骨伝導能に優れたリン酸カルシウム系セラミックスが使用されている。これらは、優れた骨伝導能を有するものの、生体骨組織再建用の足場や補填材などの用途に使用するには硬いが脆いという欠点があるので、術後のわずかな衝撃による破損してしまう虞がある。また手術現場で多孔性セラミックスの形状を生体骨組織の患部の形状に合うように加工したり成型したりすることも難しい。
一方、医療用途を目的とする有機の多孔体として、スポンジ状やシート状等が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。これらは、生体吸収性のポリ乳酸からなる連続気孔を有するスポンジで、ポリ乳酸をクロロホルムベンゼンやジオキサンに溶解し、そのポリマー溶液を凍結乾燥して溶剤を昇華させる方法によって製造され、所望の形状に加工,成型することが比較的容易な材料である。さらに自由な三次元形状に細工できるものとして、本出願人は欠損の細部にも充填可能であり任意形状の欠損部に適応できる生体吸収性顆粒状多孔質骨補填材を出願している(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、顆粒状の補填材は切開部の皮膚組織に付着して除去しにくく補填時の操作性が悪い。また患部へ補填する際に顆粒状多孔体が散逸してしまい、希望の形状に盛り難いという問題がある。そこで、平坦な欠損への充填時や欠損部に盛り上げる際にも形が崩れ難い顆粒状骨補填材が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この顆粒状骨補填材は、互いに略等しい角度で放射状に設けられた4つの凸部から成るもので、いわゆる波消しブロックの形状やそれに類似した形状であるため顆粒が移動し難く、また顆粒間で組み合わせ力が得られるので、顆粒を盛った際にも崩れ難くなるものであるが、隣り合う顆粒の凸部同士が接した場合等は顆粒間で充分な組み合わせ力が十分に得られていなかった。
本発明は、患部へ盛り上げやすく、形状が崩れ難い顆粒状骨補填材を提供することを課題とする。
本発明者等は前記課題を解決するために鋭意検討した結果、小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が200〜5000μmである生体吸収性ポリマーと、該ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず該ポリマーからポリマー粒径の2〜60%長さが突出している突起部とから構成されている顆粒状骨補填材であれば、隣り合う顆粒同士が接したときにはスポンジ状の生体吸収性ポリマーより硬い突起部が、他の隣接するスポンジ状の生体吸収性ポリマー部分に係合することで顆粒間に充分な組み合わせ力が得られ、患部へ盛り上げやすく、形状が崩れ難いことを見出して本発明を完成した。
即ち本発明は、小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が200〜5000μmである生体吸収性ポリマーと、該ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず該ポリマーからポリマー粒径の2〜60%長さが突出している突起部とから構成されている顆粒状骨補填材とその製造方法に関するものである。
本発明に係る顆粒状骨補填材及びその製造方法において、生体吸収性ポリマーは、L−乳酸,D−乳酸,グリコール酸,ε−カプロラクトン,ジオキサン,ポリジオキサノン,リンゴ酸の重合体もしくはそれらの共重合体の中から選択される一種以上であることが好ましい。
バイオセラミックスが、ハイドロキシアパタイト,ジカルシウムホスフェート,トリカルシウムホスフェート,テトラカルシウムホスフェート,カルサイト,ジオプサイト及び天然珊瑚の中から選択される一種以上である生体活性なバイオセラミックスであることが好ましい。
本発明に係る顆粒状骨補填材は、隣り合う顆粒同士が接したときに、突起部が他方の顆粒のスポンジ状の生体吸収性ポリマーに係合し、顆粒間で充分な組み合わせ力が得られるので患部へ盛り上げやすく形状が崩れ難い効果がある。
本発明に係る顆粒状骨補填材は、小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が200〜5000μmである生体吸収性ポリマーと、該ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず該ポリマーからポリマー粒径の2〜60%長さが突出している突起部とから構成されている。スポンジ状の生体吸収性ポリマーは、平均孔径は5〜50μm、気孔率は70〜95%のスポンジ状であることが好ましい。このような小孔構造を有するスポンジ状の粒径が200〜5000μmの生体吸収性ポリマーの製造方法としては、例えば特許文献3に記載の方法等が知られている。
スポンジ状の生体吸収性ポリマーの粒径は200〜5000μmである必要があり、200μm未満では粒径が小さすぎて補填部で安定せず固定されないことによる微動現象によって骨形成が妨げられてしまうばかりでなく、異物巨細胞などの貧食細胞により貧食されてしまい炎症反応が惹起されてしまうため好ましくない。また5000μmを超えると補填材間の空隙が大きくなり、骨再生よりも先に補填材間の空隙へ上皮細胞等が侵入してしまう。
本発明に係る顆粒状骨補填材のスポンジ状の生体吸収性ポリマーとしては、L−乳酸,D−乳酸,グリコール酸,ε−カプロラクトン,ε−カプロラクトン,ジオキサン,ポリジオキサノン,リンゴ酸の重合体もしくはそれらの共重合体の中から選択される一種以上であることが好ましく、重量平均分子量は5000〜2000000であることが好ましい。
本発明に係る顆粒状骨補填材の突起部は小孔構造を有しておらず、その硬さはスポンジ状の生体吸収性ポリマーより硬い。これは、隣り合う顆粒同士が接したときに、一方の顆粒の突起部が隣り合うもう他方の顆粒のスポンジ状の生体吸収性ポリマーに係合し、顆粒間で充分な組み合わせ力を得るためである。また突起部の長さはスポンジ状の生体吸収性ポリマーの粒径の2〜60%の長さがスポンジ状の生体吸収性ポリマーから突出している。2%未満であると係合の具合が小さく効果が弱くなり、60%を超えると補填材間の空隙が大きくなり、骨再生よりも先に補填材間の空隙へ上皮細胞等が侵入してしまう。好ましくは2〜10%である。
本発明に係る顆粒状骨補填材の突起部を構成する材料としては、L−乳酸,D−乳酸,グリコール酸,ε−カプロラクトン,ジオキサン,ポリジオキサノン,リンゴ酸の重合体もしくはそれらの共重合体の中から選択される一種以上の生体吸収性ポリマーや、ハイドロキシアパタイト,ジカルシウムホスフェート,トリカルシウムホスフェート,テトラカルシウムホスフェート,カルサイト,ジオプサイト及び天然珊瑚の中から選択される一種以上の生体活性なバイオセラミックスを挙げることができる。生体吸収性ポリマーであれば小孔構造を有していなければスポンジ状の生体吸収性ポリマーよりも硬いと言える。また、小孔構造を有していないバイオセラミックスはスポンジ状の生体吸収性ポリマーよりも硬い。
本発明に係る顆粒状骨補填材の製造方法は、小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が100〜2000μmである生体吸収性ポリマーに、該ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず長径が100〜1800μmで長径/短径の比が3〜30である生体吸収性ポリマー及び/または生体活性なバイオセラミックスを混合攪拌した後に、型に充填して加圧しながら加熱することにより製造する。製造された顆粒状骨補填材の平均粒子径は200〜5000μmである。
他の方法では、小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が100〜2000μmである生体吸収性ポリマーと、該ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず長径が100〜1800μmで長径/短径の比が3〜30である生体吸収性ポリマー及び/または生体活性なバイオセラミックスとを交互に型に充填した後に加圧しながら加熱して製造する。製造された顆粒状骨補填材の平均粒子径は200〜5000μmである。
更に他の方法では、小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が100〜2000μmである生体吸収性ポリマーを型に入れ加圧しながら加熱して作製した粒径が200〜5000μmの顆粒状の生体吸収性ポリマーと、該顆粒状の生体吸収性ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず長径が100〜1800μmで長径/短径の比が3〜30である生体吸収性ポリマー及び/または生体活性なバイオセラミックスとを混合攪拌して製造する。製造された顆粒状骨補填材の平均粒子径は200〜5000μmである。
加圧の条件は、顆粒状骨補填材の材質,形状,大きさによって異なるが、500〜3000g/cm2であることが好ましい。500g/cm2未満では、顆粒状骨補填材の形状が安定し難いため好ましくなく、3000g/cm2を超えると骨格部の孔が残り難いばかりでなく、突起部の高さが充分でなくなるため好ましくない。より好ましくは、1000〜2000g/cm2である。
<実施例1>
平均孔径15μm,気孔率79%の小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒径が610μmの乳酸グリコール酸共重合体と、長径580μm,短径30μmのβトリカルシウムホスフェート粉末を1:3の重量比率で50mlガラスバイアル中で攪拌した後に直径2000μm球形の金型に入れ、1kgf/cm2で加圧した状態で100℃で10分間加熱して顆粒状骨補填材を得た。顆粒状骨補填材の平均粒径は1950μm,突起部の長さは120μmであった。
平均孔径15μm,気孔率79%の小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒径が610μmの乳酸グリコール酸共重合体と、長径580μm,短径30μmのβトリカルシウムホスフェート粉末を1:3の重量比率で50mlガラスバイアル中で攪拌した後に直径2000μm球形の金型に入れ、1kgf/cm2で加圧した状態で100℃で10分間加熱して顆粒状骨補填材を得た。顆粒状骨補填材の平均粒径は1950μm,突起部の長さは120μmであった。
<実施例2>
平均孔径30μm,気孔率81%の小孔構造を有するスポンジ状の平均粒径が1008μmの乳酸グリコール酸共重合体と長径600μm,短径70μmの針状ハイドロキシアパタイト粉末を、1辺が3000μmの底面積の金型に500μmずつ交互に12層充填し、1kgf/cm2で加圧した状態で90℃12分間加熱して顆粒状骨補填材を得た。顆粒状骨補填材の平均粒径は1900μm,突起部の長さは80μmであった。
平均孔径30μm,気孔率81%の小孔構造を有するスポンジ状の平均粒径が1008μmの乳酸グリコール酸共重合体と長径600μm,短径70μmの針状ハイドロキシアパタイト粉末を、1辺が3000μmの底面積の金型に500μmずつ交互に12層充填し、1kgf/cm2で加圧した状態で90℃12分間加熱して顆粒状骨補填材を得た。顆粒状骨補填材の平均粒径は1900μm,突起部の長さは80μmであった。
<実施例3>
平均孔径40μm,気孔率79%の小孔構造を有するスポンジ状の平均粒径が600μmの乳酸グリコール酸共重合体を直径2000μm球形の金型に入れ、1kgf/cm2で加圧した状態で90℃で12分間加熱して作製した平均粒径が2000μmの骨格部と長径600μm,短径50μmの針状ハイドロキシアパタイトを10:1の重量比率でガラスバイアル中で攪拌して顆粒状補填材を得た。顆粒状骨補填材の平均粒径は2000μm,突起部の長さは160μmであった。
平均孔径40μm,気孔率79%の小孔構造を有するスポンジ状の平均粒径が600μmの乳酸グリコール酸共重合体を直径2000μm球形の金型に入れ、1kgf/cm2で加圧した状態で90℃で12分間加熱して作製した平均粒径が2000μmの骨格部と長径600μm,短径50μmの針状ハイドロキシアパタイトを10:1の重量比率でガラスバイアル中で攪拌して顆粒状補填材を得た。顆粒状骨補填材の平均粒径は2000μm,突起部の長さは160μmであった。
Claims (7)
- 小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が200〜5000μmである生体吸収性ポリマーと、該ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず該ポリマーからポリマー粒径の2〜60%長さが突出している突起部とから構成されていることを特徴とする顆粒状骨補填材。
- 突起部が、生体吸収性ポリマー及び/または生体活性なバイオセラミックスである請求項1に記載の顆粒状骨補填材。
- 生体吸収性ポリマーが、L−乳酸,D−乳酸,グリコール酸,ε−カプロラクトン,ジオキサン,ポリジオキサノン,リンゴ酸の重合体もしくはそれらの共重合体の中から選択される一種以上であり、生体活性なバイオセラミックスが、ハイドロキシアパタイト,ジカルシウムホスフェート,トリカルシウムホスフェート,テトラカルシウムホスフェート,カルサイト,ジオプサイト,天然珊瑚の中から選択される一種以上であることを特徴とする請求項2に記載の顆粒状骨補填材。
- 小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が100〜2000μmである生体吸収性ポリマーに、該ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず長径が100〜1800μmで長径/短径の比が3〜30である生体吸収性ポリマー及び/または生体活性なバイオセラミックスを混合攪拌した後に、型に充填して加圧しながら加熱することを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が100〜2000μmである生体吸収性ポリマーと、該ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず長径が100〜1800μmで長径/短径の比が3〜30である生体吸収性ポリマー及び/または生体活性なバイオセラミックスとを交互に型に充填した後に加圧しながら加熱することを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 小孔構造を有するスポンジ状であって平均粒子径が100〜2000μmである生体吸収性ポリマーを型に入れ加圧しながら加熱して作製した粒径が200〜5000μmの顆粒状の生体吸収性ポリマーと、該顆粒状の生体吸収性ポリマーよりも硬く小孔構造を有さず長径が100〜1800μmで長径/短径の比が3〜30である生体吸収性ポリマー及び/または生体活性なバイオセラミックスとを混合攪拌することを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 生体吸収性ポリマーが、L−乳酸,D−乳酸,グリコール酸,ε−カプロラクトン,ジオキサン,ポリジオキサノン,リンゴ酸の重合体もしくはそれらの共重合体の中から選択される一種以上であり、生体活性なバイオセラミックスが、ハイドロキシアパタイト,ジカルシウムホスフェート,トリカルシウムホスフェート,テトラカルシウムホスフェート,カルサイト,ジオプサイト及び天然珊瑚の中から選択される一種以上であることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の顆粒状骨補填材の製造方法。
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JP2010081230A JP2011212105A (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 顆粒状骨補填材およびその製造方法 |
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JP2010081230A Pending JP2011212105A (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 顆粒状骨補填材およびその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10960106B2 (en) | 2013-03-12 | 2021-03-30 | Fujifilm Corporation | Tissue repair material |
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2010
- 2010-03-31 JP JP2010081230A patent/JP2011212105A/ja active Pending
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US10960106B2 (en) | 2013-03-12 | 2021-03-30 | Fujifilm Corporation | Tissue repair material |
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