JP2011206159A - 内視鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】体腔内に挿入される挿入部先端に内蔵の発熱体の熱を、操作ワイヤを使って挿入部の軸方向後方に迅速に伝熱する。
【解決手段】挿入部先端には、撮像素子60が内蔵されている。撮像素子60を実装する回路基板61には、伝熱部材70の一端70aが取り付けられている。他端70bは、操作ワイヤ44に取り付けられている。操作ワイヤ44,46は、熱伝導率の高く、引っ張り強度の高い特性をもつ多層カーボンナノチューブでファイバー状に作られており、湾曲部24の内部では、連結駒65のワイヤガイド69に摺動している。撮像素子60で生じる熱は、回路基板61、伝熱部材70を介して操作ワイヤ44に伝達され、操作ワイヤ44から連結駒65に放熱される。
【選択図】図4

Description

本発明は、内視鏡に関し、さらに詳しくは、挿入部の先端に配された固体撮像素子や照明部などの発熱部から発する熱を、挿入部の軸方向後端に効果的に放熱する内視鏡に関する。
従来、医療分野において、内視鏡、例えば、電子内視鏡を利用した医療診断が盛んに行われている。電子内視鏡の体腔内に挿入される挿入部の先端には、CCDなどの固体撮像素子や、体腔内を照明する照明部が内蔵されている。体腔内の画像は、CCDから出力される撮像信号に対して、プロセッサ装置で各種信号処理を施すことで、モニタで観察することができる。
挿入部の先端は、CCDなどの電子部品の駆動熱によって、時には40℃以上と高温になる。挿入部の先端の温度が上昇すると、挿入部の先端を洗浄する水やエアーによって生じる挿入部先端の表面と内部との温度差に起因して、CCDを保護するカバーガラスに結露が生じる、CCDの信号線が熱せられて信号が劣化するなどして著しく画質が劣化し、観察が困難になる。また、JIST 0601−2−18で要求されている41℃を越える可能性も考えられる。このような背景を踏まえて、挿入部の先端の温度上昇を抑えるための様々な対策が講じられている(特許文献1、2参照)。
特許文献1に記載の技術は、固体撮像装置を構成する対物光学系、CCD、電子部品、回路基板などを、熱伝導性の高い放熱シリコンを充填したシールド枠の内部に配設し、挿入部の先端の後方に接続された湾曲駒の透孔から、熱伝導性、粘性の高い第二放熱シリコンを充填し、第二放熱シリコンで固体撮像装置の近傍を覆うことで、挿入部の先端に発生した熱を湾曲駒に伝わせて放熱している。
特許文献2には、固体撮像素子の駆動回路を構成する電子回路部品と回路基板をセラミック材で一纏めに封止したセラミックパッケージ中に、金属材からなる放熱部材の一部分を埋め込み、放熱部材の他の部分を挿入部内の空間に露出させた電子内視鏡の先端部が開示されている。
特許文献3には、一端が挿入部の先端の発熱部に取り付けられ、他端が挿入部の後端側に位置される熱伝導材を用いた内視鏡が開示されている。熱伝導材としては、シート状のフイルムで作られており、挿入部の軸方向に挿設された管やケーブル、鉗子チャンネルの他に、送気・送水用管ノズル、及び操作ワイヤ等の管状の部材に巻き付けられている。
特開平6−327626号公報 特開2005−348846号公報 特開2009−56107号公報
特許文献1、2に記載の発明では、発熱している部分の熱は吸熱されるものの、放熱シリコンや放熱部材に伝わった熱によって周囲が熱せられ、結局は発熱部分周辺の温度が上昇してしまう。換言すると、発熱部分から熱を奪っても、その近傍で奪った熱が放熱されるため、逆に発熱部分が拡大してしまう。
特許文献3に記載の発明では、熱伝導材であるフイルム自体は、熱伝導率が高いが、これに接触して挿入部の軸方向後方に伝熱する管状の部材は、熱伝導率の高い材料で作ったとしてもそれ以外に弾性や引張強度の高い特性を持たせるために他の材料を含有するため、単体の熱伝導材よりも熱伝導率が劣るおそれがある。このため、軸方向後方に迅速に伝熱することができない。
ここで、電子内視鏡は、従来、患者への負担を軽減するために挿入部の細径化を図る様々な試みがなされてきており、最近では、鼻の穴から挿入するタイプの経鼻内視鏡など、細径な挿入部をもつ電子内視鏡が開発されている。しかしながら、挿入部を細径化すると挿入部の先端の熱容量が減少し、したがって挿入部の先端の温度が上昇しやすくなる。
また、従来、体腔内を照明する照明部の光源として、キセノンランプやメタルハライドランプを用いていたが、さらなる小型化、コストダウンを実現するために、光源に発光ダイオードや半導体レーザーを採用する動きが活発になっている。光源に発光ダイオードや半導体レーザーを採用した場合は、照明部の発熱量が増加する。さらに、固体撮像素子の高画素化に伴う回路処理負荷の増大や、固体撮像素子からの撮像信号をデジタル化して処理する負担の増大により、固体撮像素子や回路基板の駆動熱も増加の一途を辿っている。このため、挿入部の先端の温度上昇を効果的かつ迅速的に抑える技術の開発は、当面の急務であるだけでなく、電子内視鏡の将来を通じて最重要な課題である。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、挿入部の先端の温度上昇を迅速的にかつ効果的に抑えることができる内視鏡を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために、本発明の内視鏡は、操作ノブを有する操作部本体と; 前記操作部本体に設けられた長尺状の軟性部と、前記操作部本体に対して前記軟性部の遠位端側に設けられ連結駒列及び発熱体を内蔵する先端部と、を備えた挿入部と;前記先端部側から体腔内に挿入されるとともに前記操作部本体から前記先端部までの内部に挿通されておりカーボンナノチューブ又はこれを主とする複合材をファイバー状に作った操作ワイヤと;前記先端部の内部に配され前記発熱体と前記操作ワイヤとを繋ぐ伝熱部材と;前記湾曲部又は前記湾曲部に対して前記挿入部の軸方向後方で、前記操作ワイヤに接触する放熱部材と;を備えたものである。
放熱部材としては、湾曲部に内蔵する連結駒、軟性部の内で操作ワイヤをガイドするためのコイルパイプ、軟性部の外皮の内側に設けた螺管、操作ワイヤを分断した間に介在される連結部材、連結部材の移動をガイドする支持部材、及び操作部本体に内蔵され操作ワイヤを押し引きするプーリのうちのいずれか一つ又はこれらの組合せのものであってもよい。
本発明の内視鏡では、カーボンナノチューブ又はこれを主とする複合材でファイバー状に作った操作ワイヤを使用しているので、先端部の発熱体から発する熱を挿入部の軸方向後方に迅速に伝熱することができる。また複数の放熱部材をもつ発明では、放熱部材が挿入部の軸方向後方に沿って順に配されているため、放熱を効果的に行うことができる。
本発明を用いた内視鏡システムを示す斜視図である。 軟性部の断面図である。 先端部の先端面を示す説明図である。 先端部の断面図である。 内視鏡の操作ワイヤの巻き回しを概略的に示す説明図である。 操作ノブに連結されているプーリを示す説明図である。 操作ワイヤの連結部材をガイドする支持部材を示す斜視図である。 プーリの回転と操作ワイヤの押し引きの関係を示す説明図であり、(A)は初期状態、(B)は操作ノブを一方に回転したときの連結部材の移動方向、(C)は操作ノブを他方に回転したときの連結部材の移動方向をそれぞれ示している。
内視鏡システム10は、図1に示すように、内視鏡11、光源装置13、プロセッサ装置14、及びモニタ15等を備えている。内視鏡11には、体腔内に挿入される挿入部16を持っている。挿入部16の基端部には、把持部17が接続され、把持部17には、手元操作部18が取り付けられている。手元操作部18には、ユニバーサルケーブル20が設けられ、ユニバーサルケーブル20の先端には、光源装置13、及びプロセッサ装置14にそれぞれ接続されるユニバーサルコネクタ19が取り付けられている。
挿入部16には、先端から把持部17へと貫通する内部空間に鉗子管路が設けられている。鉗子管路は、一端が先端部に設けた鉗子出口に、また他端は把持部17に設けた鉗子入口21にそれぞれ接続されている。把持部17と手元操作部18とで操作部本体22を構成する。
挿入部16は、周知のように、先端硬質部23、湾曲部24、及び軟性部25とで構成されている。なお、先端硬質部23と湾曲部24とが本発明の内視鏡11の挿入部16の先端部26を構成する。
先端硬質部23は、硬質な金属材料等で形成されており、内部には観察光学系、撮像素子、及び照明光学系等が内蔵されている。ユニバーサルコネクタ19は、ライトガイド用のLGコネクタ27と、これから延設されたコード28の先端に設けた電気コネクタ29とから構成されている。電気コネクタ29がプロセッサ装置14に、また、LGコネクタ27が光源装置13にそれぞれ接続される。
プロセッサ装置14には、撮像素子から得られる撮像信号を画像処理してコンポジット信号やRGBコンポーネント信号にエンコードするための画像処理回路等が設けられている。光源装置13には、光源ランプが内蔵されており、その光は、手元操作部18を通って挿入部16の内部空間に収容したライトガイド(ファイバーバンドル)によって把持部17から先端部26へと導かれて照明光学系に入射する。
軟性部25は、手元操作部18と湾曲部24との間を細径で長尺状に繋ぐ部分であり、可撓性を有している。手元操作部18には、上下用と左右用との2つの操作ノブ30,31が設けられている。湾曲部24には、複数の連結駒を連結した連結駒列が内蔵されている。2つの操作ノブ30,31を操作することに連動して挿入部16の内部空間に収容した操作ワイヤが押し引きされて連結駒列が湾曲動作する。これにより、先端硬質部23の先端面33が体腔内の所望の方向に向くため、所望する観察部位を観察することができる。観察部位は、照明光学系から放たれる光により照明され、その反射光を、観察光学系を介して撮像素子で撮像し、画像処理回路を介してモニタ15に表示される。
手元操作部18には、前述した2つの操作ノブ30,31や鉗子入口21の他に、送気・送水ボタン34、吸引ボタン35及びウォータージェット口(WJ口)36等が設けられている。WJ口36には、被観察部位に向けて噴射するための洗浄水や薬液等の流体を収容したシリンジや送水装置等が着脱自在に接続される。なお、WJ口36、及び鉗子入口21は、通常は着脱自在な栓により塞がれている。
内視鏡11の軟性部25は、図2に示すように、内側より順に螺管37、ネット38、外層39との三層からなる可撓性管40を備える。螺管37は、可撓性を保ちながら内部を保護するものであり、一般的にフレックスと呼ばれる。ネット38は、螺管37の上に被覆され外層39の樹脂を保持するものであり、一般的にブレードと呼ばれる。外層39は、ネット38上に樹脂を被着して作られている。
軟性部25の内部には、先端硬質部23の照明用光学系に照明光を導くためのライトガイド41,42、操作ワイヤ43〜46、鉗子管路47、送気・送水管路48、多芯ケーブル49、及び、ウォータージェット管路(WJ管路)50等の複数本の内容物が遊挿されている。多芯ケーブル49は、主に、映像信号処理部から撮像素子を駆動するための信号を送るとともに、撮影素子から得られる撮像信号を映像信号処理部に送るためのケーブルであり、複数の信号線を保護被膜で覆った断面形状になっている。操作ワイヤ43〜46は、上下用と左右用との2本のワイヤを操作ノブ30,31の操作に連動する2つのプーリに各々掛け回してそれら先端を湾曲部24に向けて挿通しているので軟性部25の内部には4本あり、それぞれが密着コイルパイプ51の中に挿通されている。4本の密着コイルパイプ51は、湾曲部24と把持部17との間で操作ワイヤ43〜44を摺動自在で且つ軟性自在にガイドする。
先端硬質部23の先端面33には、図3に示すように、観察窓52、一対の照明窓53,54、ウォータージェットノズル(WJノズル)55、鉗子出口56、送気・送水ノズル57などが露呈して設けられている。観察窓52には、体腔内の被観察部位の像光を取り込むための対物光学系の一部が配されており、この奧に撮像素子が内蔵されている。照明窓53,54は、観察窓52を挟んだ両側に設けられ、光源装置13から伝送される光を、ライトガイド41,42を介して体腔内の被観察部位に照射する。
鉗子出口56は、鉗子管路47を介して鉗子入口21と連通されている。送気・送水ノズル57は、送気・送水ボタン34を操作することによって患部に送気・送水をしたり、観察窓52に向けて洗浄水やエアーを噴射する。WJノズル55は、WJ口36に着脱自在に取り付けられるシリンジから供給される洗浄水や薬液等の流体を被観察部位に向けて噴射する。
観察窓52には、図4に示すように、対物光学系58の一部が露呈して配されている。照明窓53,54から発する照明光は、被観察部位を反射して対物光学系58に入射する。入射した被写体光は、対物光学系58を通ってプリズム59に入射してプリズム59の内部で屈曲することで撮像素子60の結像面に結像する。撮像素子60には、回路基板61に接続されており、この回路基板61には多芯ケーブル49の各信号線62が接続されている。
先端硬質部23から湾曲部24の外層は、柔軟性を有するアングルゴム63で形成されている。アングルゴム63の内側には、硬質な先端側接続リング64が設けられている。先端側接続リング64は、熱伝導率の高い特性をもつ材料で作られている。先端側接続リング64には、内周に操作ワイヤ44,46の先端が半田付け等により固定されている。先端側接続リング64には、複数の連結駒65が連結され、複数の連結駒66の連結範囲が湾曲部24になっている。複数の連結駒66は、伝熱性の高い材料で形成されており、湾曲中心となる左右及び上下の連結ピン67,68で交互に連結されて軸方向に列をなす連結駒列72を構成する。各連結駒65の内側には、パイプ状のワイヤガイド69が一体的に設けられている。ワイヤガイド69には、操作ワイヤ44,46が摺動自在に挿通されている。連結駒列72は、上下用と左右用との2本の操作ワイヤ43〜46の押し引きにより上下及び左右に湾曲する。
また、湾曲部24の内部には、軟性部25から挿通されている鉗子管路47が配されている。この鉗子管路47は、先端が鉗子出口56に接続されている。
回路基板61は、撮像素子60を実装するとともに、撮像素子60のドライバを構成する回路も実装する。回路基板61、撮像素子60、及びドライバは、発熱源となる発熱体を構成する。回路基板61は、熱伝導率の高い特性を有する材料で形成されている。回路基板61の一部、例えば裏面には、シート状の伝熱部材70の一端70aが取り付けられている。伝熱部材70の他端70bは、操作ワイヤ44に固定されている。なお、他の操作ワイヤ46に固定してもよい。固定としては、巻回した先端70bを、熱伝導率の高い特性を有する接着剤71で接着する、又は溶着する等で固定するのが望ましい。
伝熱部材70としては、発熱体の熱を操作ワイヤ44に伝熱するために、熱伝導率の高い特性をもつ材料であることが好ましいのは勿論、先端部26の内部は電気部品や機械部品が多いためにスペースの確保が難しいことから、機械的な特性(例えば柔軟性(可撓性))も考慮しなくてはならない。このような条件を満たす伝熱部材70の材料としては、例えばカーボンシートのようなサーマルシート、柔軟性を持てる薄さを備えた銅シートやアルミニウムシートを使用するのが望ましい。可撓性を有するフレキシブルなシート状の伝熱部材70を使用することで、電気機械部品、配線等の間をかいくぐるような伝熱経路を実現することができる。
なお、伝熱部材70としては、回路基板61に接触させるため、絶縁性の高い特性をもつ材料で作るのが望ましい。また、伝熱部材70としては、可撓性を有するフレキシブルなシート状の部材の代わりに、封止剤を使用してもよい。封止剤を先端部26内に充填することで、回路基板61と操作ワイヤ44とを接触させて、発熱体の熱を操作ワイヤ44に伝熱する。
本実施形態の操作ワイヤ43〜46は、多層カーボンナノチューブ(Multi-wall Carbon NanoTube(以下、「MWCNT」と称す))で作られている。カーボンナノチューブは、熱伝導性が極めて高い特性を有する。このため、発熱体の熱を軸方向後方(操作部本体側)に向けて迅速に伝熱することができる。なお、単層カーボンナノチューブとしてもよい。
操作部本体22の内部には、図5に示すように、上下用及び左右用の2つのプーリ73,74が設けられており、各プーリ73,74は、回転軸方向にずらして配置されている(図6参照)。これらプーリ73,74は、熱伝導率の高い特性をもつ材料で作られている。プーリ73と湾曲部24aは、操作ワイヤ44,46によって連結される。操作ワイヤ44,46は、プーリ73に巻き掛けられるプーリ側ワイヤ(以下、Pワイヤと省略する)75と、湾曲部24aに接続される2本の湾曲部側Aワイヤ(以下、Aワイヤと省略する)46、湾曲部側Bワイヤ(以下、Bワイヤ)44の3本のワイヤに分断されており、Pワイヤ75の両端(分断端)75a,75bと、Aワイヤ46及びBワイヤ44の一方の端部(分断端)46a,44aが、それぞれ連結部材76,78によって連結される。具体的には、Aワイヤ46,44の端部46a,44は、連結部材76,78に溶接により固着される。
これら連結部材76,78は、熱伝導率の高い特性をもつ材料で作られている。Aワイヤ46、Bワイヤ44のそれぞれの他端46b,44bは、湾曲部24aの連結駒65に接続される。これらプーリ73、連結部材76,78、Pワイヤ75、Aワイヤ46及びBワイヤ44によって上下方向用湾曲駆動系が構成される。操作ワイヤ43,45には、上下用湾曲部24aの連結駒65から伝達される熱が左右用湾曲部24bの連結駒65を介して伝達される。
左右用駆動系も、上下用駆動系と同様に、プーリ74、連結部材79,80、Pワイヤ81、Aワイヤ45及びBワイヤ43から構成される。Pワイヤ81の両端(分断端)81a,81bは、連結部材79,80によって、Aワイヤ45及びBワイヤ43のそれぞれ端部45a,43aと連結される。Aワイヤ45及びBワイヤ43の他端45b,43bは、湾曲部24bと接続される。
操作部本体22には、図6に示すように、各湾曲部24a,24bを操作するための操作ノブ30,31が設けられており、各操作ノブ30,31は、それぞれプーリ74,73に連結されている。プーリ74,73は、熱伝導率の高い特性を有する材料で形成されている。操作ノブ31は、上下用湾曲部24aを上下方向に湾曲するための操作ノブであり、また、操作ノブ30は、左右用湾曲部24bを左右方向に湾曲するための操作ノブである。これら操作ノブ30,31は、操作部本体22のハウジング83の外部に露呈して設けられており、各々の回転操作に連動してPワイヤ75,81が挿入部16の軸方向に沿って押し引きされ、湾曲部24a,24bを上下又は左右方向に湾曲動作させる。
4つの連結部材76,78,79,80は、Pワイヤ75,81、A及びBワイヤ46,44,45,43の押し引き動作に伴って移動する。この移動をガイドするために、把持部17の内部には、図7に示すように、支持部材85が内蔵されている。支持部材85は、熱伝導率の高い特性をもつ材料で作られている。支持部材85には、4つの移動路86〜89が形成されている。これら移動路86〜89は、各連結部材76,78,79,80を個別に支持し、各々が干渉することを防止する。
支持部材85は、操作部本体22のハウジング83の輪郭形状に合わせて、挿入部16に向けて窄まる輪郭形状になっており、これに伴って各移動路86〜89も先端部26に向けて下り勾配の斜面になっている。そして、各移動路86〜89には、連結部材76,78,79,80の移動量を規制するストッパ部材90がプーリ73,74側にそれぞれ設けられている。
上下用駆動系と左右用駆動系は、ほぼ同様の構成であるので、以下、上下用駆動系を例に説明する。図8に示すように、プーリ73の回転によって操作ワイヤ44,46が押し引きされると、連結部材76,78が移動して、各連結部材76,78とプーリ73との相対距離が変化する。湾曲部24aをストレートにしたときの連結部材76,78の位置を、図8(A)に示す位置(初期位置)とすると、図8(B)に示すように、プーリ73が反時計方向に回転すると、Pワイヤ75の引っ張り側の連結部材76がプーリ73に向かって移動し、逆に押し出し側の連結部材78は、先端部26に向かって移動する。その反対に、図8(C)に示すように、プーリ73が時計方向に回転すると、連結部材76が先端部26に向かって移動し、連結部材78がプーリ73に向かって移動する。
操作ワイヤ43〜46から伝達される熱は、各連結部材76,78,79,80、及びにPワイヤ75,81にそれぞれ伝熱される。そして、各連結部材76,78,79,80が移動路86〜89に接触しているため、各連結部材76,78,79,80に伝達される熱は、支持部材85に放熱される。またPワイヤ75,81に伝達される熱は、プーリ73,74に放熱される。なお、プーリ73,74は、軸受け91(図6参照)で支持されている。軸受け91はハウジング83に取り付けられている。そこで、軸受け91及びハウジング83を熱伝導率の高い特性を有する材料で形成し、プーリ73,74からハウジング83に熱を放熱するように構成してもよい。また、軟性部25に内臓した密着コイルパイプ51、及び螺管37を、熱伝導率の高い特性を有する材料で作り、操作ワイヤ43〜46に伝達される熱を、密着コイルパイプ51を介して螺管37に放熱するように構成してもよい。
操作ワイヤ43〜46としては、太さが数十nm以下にある中空炭素繊維であるカーボンナノチューブを多層にして作ったMWCNTであり、ファイバー状をしている。ところで、従来、カーボンファイバーが知られている。カーボンファイバーは、製法によって同心円筒には作れず、また、構造の欠陥が多く、強度の上限が欠陥で決まる。これに対しMWCNTは、同心円筒に作れ、欠陥が少なく、製法に関わらず機械的強度及び熱伝導性の品質が安定している。
カーボンナノチューブ(以下「CNT」と称す)の密度は、1.3〜1.4g/cmとなっている。従来のワイヤは、7.8g/cmの密度である鋼又はステンレスの材料を使っている。CNTの密度は、これらと比較すると略1/6である。また、CNTの引張強度は、50〜70GPaであり、引張強度が0.5Gpaである鉄やステンレスに対して同じ断面積で比べると約100倍もある。さらに、CNTの熱伝導度は、4000〜6000W/m・kであり、熱伝導度が403W/m・kの銅と比べると10倍以上、熱伝導度が16.3W/m・kのステンレスと比べると200倍以上もある。したがって、CNTで作る操作ワイヤ43〜46及びPワイヤ75,81は、従来のワイヤに対して直径が1/10でも引っ張り強度が同等であり、よって、約0.05mm位の極細径でよい。この場合でも熱伝導度が2倍の特性を有する。また、CNTを従来のワイヤと同じ直径にすると200倍の熱を通すことができ、引っ張り強度も100倍強く、耐久性が向上する。したがって、従来のワイヤがもつ特性をカバ−するようにワイヤをCNTで作る場合には、0.5〜0.05mmの直径が好適であり、放熱を優先する場合には太いワイヤを、挿入部11の細さを優先する場合は細いワイヤを、と言う様に目的に応じてワイヤの太さを選択するのが望ましい。なお、上記実施形態では、MWCNT(多層CNT)を使用しているが、本発明ではこれに限らず、単層CNTを使用してもよい。
複数のCNTを撚ってひもを作り、これを操作ワイヤとして使用してもよい。この場合、複数のCNTを合成することで作ることもできる。また、CNT複合材を複数撚ってひもを作ったものを使用してもよい。CNT複合材としては、CNTの単繊維をプラスチック、例えばナイロン樹脂やエンジニアリングプラスチックに配合したもの等が好適である。CNT、もしくはこれを主とする複合材でファイバー状に作った操作ワイヤを使用することで、従来のステンレスや鉄のワイヤに比べて、熱伝導度が高く、また引張強度が強いため細径のものを使用することができる。このため、挿入部の径、及び操作部本体のコンパクト化を図ることができる。
また、上記各実施形態では、先端部26の軸方向後方で操作ワイヤ43〜46に接触する部材、具体的には先端側接続リング64、連結駒65、密着コイルパイプ51、螺管37、連結部材76,78,79,80、支持部材85、プーリ73,74、及びハウジング83等に放熱している。これら部材の材料としては、ステンレス、セラミック等が挙げられる。このような材料で作ることで、撮像ユニットの熱を迅速に放熱することができる。
なお、上記各実施形態では、操作ワイヤに接触する連結駒、支持部材、及びプーリ等で放熱するようにしているが、本発明では全部に限定することなく、それらのうちのいずれか一つのみを熱伝導率の高い特性をもつ材料で作って放熱するように構成してもよい。
CNTは、極細なので一般的な溝車であるプーリ73,74ではスリップしてPワイヤ75,81を押し引きできないおそれがある。この場合には、Pワイヤ75,81にゴムチューブや樹脂パイプを被せて摩擦抵抗を高くすればよい。また、Pワイヤ75,81として周知のステンレスワイヤ等を用いれば、従来通りのプーリ73,74を用いることができる。また、一条で繋がる螺旋溝をプーリに作り、螺旋溝に1本の操作ワイヤを複数回巻き掛けることで、極細のCNTでもスリップを防止することができる。いずれの例の場合でも、連結部材76,78,79,80から支持部材85に放熱することができるので問題はない。
上記実施形態では、発熱源を撮像ユニットとしているが、本発明ではこれに限らず、先端部の内部でかつ撮像ユニットの周りに配される照明ユニットの発熱を放熱するように構成してもよい。照明ユニットとしては、ライトガイド方式とLED方式とがある。ライトガイド方式の場合には、光源装置に内蔵のランプから照射さえる光をライトガイドにより先端部に設けた照明用レンズに入射させて照明光を作っている。この場合、ライトガイドの出射端に生じる熱を伝熱部材により先端側接続リングに伝熱すればよい。LED方式の場合には、発光に伴って発熱する発光素子が実装されている実装基板と先端側接続リングとを伝熱部材で繋げばよい。
10 内視鏡システム
24 湾曲部
26 先端部
43〜46 操作ワイヤ
61 撮像素子
70 伝熱部材

Claims (7)

  1. 操作ノブを有する操作部本体と、
    前記操作部本体に設けられた長尺状の軟性部と、前記操作部本体に対して前記軟性部の遠位端側に設けられ連結駒列及び発熱体を内蔵する先端部と、を有する挿入部と、
    前記先端部側から体腔内に挿入されるとともに前記操作部本体から前記先端部までの内部に挿通されておりカーボンナノチューブ又はカーボンナノチューブを主とする複合材をファイバー状に作った操作ワイヤと、
    前記先端部の内部に配され前記発熱体と前記操作ワイヤとを繋ぐ伝熱部材と、
    前記湾曲部又は前記湾曲部に対して前記挿入部の軸方向後方で前記操作ワイヤに接触し、熱伝導率の高い特性を有する材料で作られる放熱部材と、
    を備えたことを特徴とする内視鏡。
  2. 前記放熱部材は、前記発熱体に対して前記軸方向後方に配される前記連結駒を含むことを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
  3. 前記放熱部材は、前記軟性部の内で前記操作ワイヤをガイドするためのコイルパイプを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の内視鏡。
  4. 前記放熱部材は、前記軟性部の外皮の内側に設けた螺管を含むことを特徴とする請求項3記載の内視鏡。
  5. 前記放熱部材は、前記操作ワイヤを分断した間に介在される連結部材を含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の内視鏡。
  6. 前記放熱部材は、前記連結部材の移動をガイドする支持部材を含むことを特徴とする請求項5記載の内視鏡。
  7. 前記放熱部材は、前記操作部本体に内蔵され前記操作ワイヤを押し引きするプーリを含むことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の内視鏡。
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