JP2011203208A - 変位測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構造物に設けられて、構造物の変位を測定する変位測定装置1であって、構造物に取り付けられる支持部2と、支持部2によって水平方向に移動可能に支持される支持体3と、支持体3に設けられたアノトペン(絶対変位算出部)5と、支持部2に設けられた基準板(絶対変位算出部)6とを備える。支持部2には支持体3の移動方向に延びて粘性体32が収容された溝部31が形成されていて、支持体3には溝部31の粘性体32内に挿入された減衰部材33が設けられている。
【選択図】図2
Description
これら変位測定装置の中には、建物に固定されて建物とともに振動する感震器と、この感震器に連結されたスリット板と、このスリット板を挟んで対向配置された発光部及び受光部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この変位測定装置は、建物が振動すると、感震器を介してスリット板が振動し、発光部から発せられた光がスリットを介して受光部に到達したり、遮られたりする。受光部は、この断続光を受光すると共に、この受光した光パルスを電気信号に変換して出力する。
そして、一定時間あたりの光パルスから最大振動速度値を求め、変位量を測定している。
本発明は、構造物に設けられて、前記構造物の変位を測定する変位測定装置であって、 前記構造物に取り付けられる支持部と、前記支持部によって水平方向に移動可能に支持される支持体と、前記支持体と前記構造物又は前記支持部とに設けられ、前記構造物の前記水平方向の絶対変位を算出する絶対変位算出部とを備え、前記支持部には前記支持体の移動方向に延びて粘性体が収容された溝部が形成されていて、前記支持体には前記溝部の前記粘性体内に挿入された減衰部材が設けられていることを特徴とする。
以下、本発明の第1の実施形態における変位測定装置について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、変位測定装置1は、建物(構造物)Kに取り付けられて、地震や風などによって生じる建物Kの絶対変位を測定するものである。
変位測定装置1は、図2及び図3に示すように、角筒状に延びる支持部2と、この支持部2内に配された矩形板状の支持体3とを備えている。
基板部22と角筒部23との長手寸法は等しくなっており、短手寸法は角筒部23の方が短くなっている。そして、角筒部23は、基板部22の短手方向の中央に配置されている。
基板部22は、建物KのスラブSの下面側に、接着剤や固定ねじなどにより固定されている。すなわち、基板部22は、水平方向の一方向(水平方向h1)に延ばされている。
基板部22の下面のうち、基板部22と角筒部23との差分領域22aには、データの記憶や送受信を行う通信部4が設けられている。
これら一対の長溝23bは、図4に示すように、下方に緩やかに湾曲している。そして、長溝23bの最深部P2が、角筒部23の長手方向の中心位置に設定されている。
長溝23b内には、球状のベアリング(球状体)24が載置されている。そして、ベアリング24は、長溝23b内を水平方向h1に転がるようになっている。また、図2に示すように、長溝23bの曲率は、ベアリング24の曲率よりも小さくなっており、ベアリング24が長溝23b内を転がるときの摩擦が小さくなるようになっている。
ベアリング24の上には、支持体3が載置されている。
支持体3の上面には、上方に向けられたアノトペン(変位算出部)5が設けられている。アノトペン5は、アノトパターンのドットを読み取るセンサ(不図示)と、このセンサからの出力により、絶対変位を算出する算出部(不図示)とを備えている。また、角筒部23の内周面のうちの上面には、アノトパターンが印刷された基準板(絶対変位算出部)6が貼り付けられている。そして、角筒部23とともに基準板6が水平方向h1に振動すると、アノトペン5が基準板6のドットを読み取り、絶対変位を算出するようになっている。
支持体3の下面には、この下面から突出する板状の減衰部材33が固定されている。減衰部材33は、支持体3が支持部2に設置された際に、先端33a側が溝部31内に挿入され、粘性体32内に浸るように支持体3に固定されている。支持体3が水平方向h1に移動することにより、減衰部材33は溝部31の粘性体32内を水平方向h1に移動する。
なお、減衰部材33は板状の部材としているが、水平断面形状が舟形の柱状部材としてもよく、このほかの形状としてもよい。
そして、減衰部材33の形状や、減衰部材33と粘性体と32の接触面積、また粘性体32の粘度などを調整することで、支持体3の変位速度に対する減衰力を調整する。
制御部8は、動作検出部7と、アノトペン5の不図示の制御部と、通信部4とに接続されている。そして、制御部8は、動作検出部7から出力された駆動信号を受けて、アノトペン5を駆動し、またアノトペン5の検出結果を、通信部4を介して外部機器に出力する。
なお、本実施の形態では制御部8を設けているが、制御部8を設けずに、動作検出部7から出力された駆動信号が直接アノトペン5の不図示の制御部と、通信部4に伝達されるシステムとしてもよい。
地震などにより、建物Kに水平方向h1の振動が生じると、スラブSを介して、支持部2が水平方向h1に振動する。このとき、図5及び図6に示すように、支持体3が、ベアリング24上に載置されていることから、支持部2が水平方向h1に移動しても、ベアリング24が転がることにより、支持体3は水平方向h1にほとんど変位しない。特に、長溝23bと凹部3aの曲率がベアリング24の曲率よりも小さくなっていることから、長溝23b及び凹部3aとベアリング24との接触面積が微小に抑制され、それら長溝23b及び凹部3aとベアリング24との間の摩擦が極めて小さくなっている。そのため、支持部2が水平方向h1に変異しても、支持体3は、ほとんど変位せず慣性により水平方向h1の一点(固定点P1)に留まることになる。
そして、ベアリング24が自重により最深部P2に向かって転がり、支持体3が支持部2の長手方向の中心位置に移動する際にも、減衰部材33が粘性体32内を移動するので支持体3の移動速度が減衰され、移動する支持体3が慣性により必要以上に移動することが抑制される。
また、支持体3をベアリング24に載置するという簡易な構成により、測定精度を向上させることができる。
また、長溝23b及び凹部3aが鉛直方向vに対向して配置されその間にベアリング24が配されていることから、簡易な構成により確実に支持体3を固定点Pに留めることができる。
また、長溝23b及び凹部3aの曲率がベアリング24の曲率よりも小さくなっていることから、長溝23b及び凹部3aとベアリング24との間の摩擦を小さくすることができ、支持体3を固定点P1に留めることができる。
また、減衰部材33が粘性体32内に挿入されていることから、減衰部材33と粘性体32との摩擦により支持体3の変位速度が減衰されるので、支持体3の変位を抑制し支持体3を固定点P1に留めることができる。
また、支持部2がスラブSの下面に取り付けられるようになっていることから、建物K内の人間の生活空間や仕事空間などに影響されない位置に支持部2を取り付けることができ、そのため、各階に複数設置することにより、測定精度をさらに向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7から図9は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
図7から図9において、図1から図6に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
取付支持部25は、スラブSの下方にスラブSと間隔をあけて配設され、一の水平方向h1に延びる長尺の部材で、その両端部が固定部材27によってスラブSに固定されている。取付支持部25は、上面に長手方向全長にわたって延びる一対の長溝25aが形成されている。一対の長溝25a内には、それぞれ2つずつベアリング24aが配されている。
取付支持部25の下面には通信部4が設けられている(図8、9参照)。
長溝25aおよび凹部26aの曲率は、ベアリング24aの曲率よりも小さくなっており、ベアリング24aが長溝25a内を転がるときの摩擦が小さくなるようになっている。
また、移動支持部26は、上面に長手方向全長にわたって延びる一対の長溝26bが形成されている。一対の長溝26b内には、それぞれ2つずつベアリング24bが配されている。
長溝26bおよび凹部3aの曲率は、ベアリング24bの曲率よりも小さくなっており、ベアリング24bが長溝26b内を転がるときの摩擦が小さくなるようになっている。
支持体3の上面には、上方に向けられたアノトペン(変位算出部)5が設けられていて、アノトペン5がスラブSの下面に設置された基準板6のドットを読み取り、絶対変位を算出するようになっている。
第一の減衰部材42は、移動支持部26が取付支持部25上に設置された際に、先端42a側が第一の溝部41内に挿入され、粘性体32内に浸るように設置されている。
なお、第一および第2の減衰部材41、43は板状の部材としているが、水平断面形状が舟形の柱状部材としてもよく、このほかの形状としてもよい。
そして、第一および第2の減衰部材41、43の形状や、第一および第2の減衰部材41、43と粘性体と32の接触面積、また粘性体32の粘度などを調整することで、移動支持部26および支持体3の変位速度に対する減衰力を調整する。
更に、移動支持部26に固定された第一の減衰部材42が第一の溝部41の粘性体32内に挿入されているので、粘性体32と第一の減衰部材42との摩擦により第一の減衰部材42の変位が減衰され、移動支持部25の変位が抑制される。また、支持体3に固定された第二の減衰部材44が第二の溝部44の粘性体32内に挿入されているので、粘性体32と第二の減衰部材44との摩擦により第二の減衰部材44の変位が減衰され、支持体3を固定点Pに留めることができる。すなわち、アノトペン5が固定点Pに固定された状態で、基準板6が変位する。
これにより、アノトペン5を介して建物Kの絶対変位が算出される。
また、動作検出部7の駆動信号によりアノトペン5を駆動するものとしたが、これに限ることはなく、アノトペン5を常時駆動しておいてもよい。
また、絶対変位算出部としてアノトペン5が設けられるとしたが、これに限ることはなく、例えばバーコードリーダーや光の透過・反射を利用した光学式の読取部、光学式マウスなどであってもよい。
また、必ずしもベアリングおよび各長溝を設ける必要はないが、ベアリングおよび長溝を設けた方が支持体3を安定的に支持できる点で好ましい。
また、必ずしも長溝を湾曲状に形成しなくてもよいが、湾曲状にした方が支持体3の固定位置を一定にすることができる点で好ましい。
また、長溝や凹部の曲率がベアリング24の曲率よりも小さくなっているものとしたが、これに限ることはなく、曲率を同じにしてもよい。
また、ベアリング24や長溝、凹部の数は適宜設定してもよい。
また、ベアリング24を設けずに、ベアリング24に代わって例えば車輪などを採用してもよい。
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
2,2A支持部
3 支持体
3a 凹部
23b,261a 長溝(溝)
5 アノトペン(絶対変位算出部)
6 基準板(絶対変位算出部)
23a 下面(支持面)
24 ベアリング(球状体)
25 取付支持部
26 移動支持部
31 溝部
32 粘性体
33 減衰部材
41 第一の溝部
42 第一の減衰部材
43 第二の溝部
44 第2の減衰部材
h1,h2 水平方向
K 建物(構造物)
v 鉛直方向
Claims (7)
- 構造物に設けられて、前記構造物の変位を測定する変位測定装置であって、
前記構造物に取り付けられる支持部と、
前記支持部によって水平方向に移動可能に支持される支持体と、
前記支持体と前記構造物又は前記支持部とに設けられ、前記構造物の前記水平方向の絶対変位を算出する絶対変位算出部とを備え、
前記支持部には前記支持体の移動方向に延びて粘性体が収容された溝部が形成されていて、前記支持体には前記溝部の前記粘性体内に挿入された減衰部材が設けられていることを特徴とする変位測定装置。 - 前記支持部が、前記水平方向に延在する支持面と、前記支持面に載置される球状体とを備え、
前記支持体が、前記球状体の上に載置されることを特徴とする請求項1に記載の変位測定装置。 - 前記支持部に、前記水平方向に延びる溝が形成され、
前記支持体に、凹部が形成され、
前記溝と前記凹部とが鉛直方向に対向して配置されており、
前記球状体が、前記溝と前記凹部との間に配されることを特徴とする請求項2に記載の変位測定装置。 - 前記溝及び前記凹部の断面が円状に形成されており、
前記断面の曲率が、前記球状体の曲率よりも小さくなっていることを特徴とする請求項3に記載の変位測定装置。 - 前記支持部の溝が、下方に湾曲していることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の変位測定装置。
- 前記支持部が、前記構造物に取り付けられる取付支持部と、前記取付支持部に前記水平方向と異なる他の水平方向に移動可能に支持される移動支持部とを備え、前記移動支持部が、前記水平方向に移動可能に前記支持体を支持していて、前記取付支持部には前記移動支持体の移動方向に延びて粘性体が収容された第一の溝部が形成されていて、前記移動支持部には前記第一の溝部の前記粘性体内に挿入された第一の減衰部材が固定されて、前記移動支持部には前記支持体の移動方向に延びて粘性体が収容された第二の溝部が形成されていて、前記支持体には前記第二の溝部の前記粘性体内に挿入された第二の減衰部材が固定されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の変位測定装置。
- 前記支持部が、前記構造物の床の下面側に取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の変位測定装置。
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