JP2011202594A - 車両用ウォータポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】
省電力化および小型化した流体吐出量可変手段を使用して、車両搭載を容易にすると共に内燃機関の運転状況に応じて適切に流体の送給量を調節可能な、車両用ウォータポンプを提供する。
【解決手段】
ケーシング10と、ケーシング10に支持され、動力源から伝達された動力により回転する動力伝達部材20と、動力伝達部材20と一体回転する永久磁石21と、ケーシング10を介して永久磁石21に対向配設され、永久磁石21の回転に連動して回転する誘導子30と、誘導子30の一端側に固設され同軸一体回転するインペラ40と、誘導子30の他端側に配設され、誘導子30の回転軸芯方向に移動可能なアーマチュア52と、アーマチュア52の異動に連動して誘導子30に接触可能に配設される短絡部53と、アーマチュア52に磁力を作用させる電磁コイル51と、を備える車両用ウォータポンプ1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両に搭載された内燃機関等を冷却する流体の流量を可変する車両用ウォータポンプに関する。
車両に搭載された内燃機関等を冷却する流体の循環路に設けられ、流体を吐出するように動力源からの動力により作動する装置として、様々なウォータポンプが使用されている。
特許文献1のウォータポンプは、エンジン(内燃機関)の回転が伝達される永久磁石と、永久磁石の回転に伴う回転磁界により回転する誘導子と、誘導子の回転に連動して回転するポンプ羽根車(インペラ)と、永久磁石が収容される大気室と誘導子が収容される液室とを分離形成する隔壁と、ポンプ羽根車の回転を規制する規制ロッドと、を備えている。規制ロッドは、負圧アクチュエータの作動により規制ロッドの軸方向(すなわちポンプ羽根車の径方向)に出没される。そしてポンプ羽根車の回転軌跡を規制ロッドで遮蔽または開放してポンプ羽根車の回転を規制または許容する。このようにポンプ羽根車の回転を選択的に規制・許容することにより、内燃機関の温度(すなわち循環経路に内燃機関を含む流体の温度)に応じて流体の流動が制御される。
また、特許文献2のウォータポンプは、ポンプケース(ケーシング)と、ポンプケースに収容された回転可能なインペラと、ポンプケースに対し回転可能に支持されると共に、動力が入力される軸体と、軸体とインペラとの間に設けられた動力伝達手段と、を備えている。動力伝達手段は、軸体と共に回転するように設けられた第1の磁石部材(磁石)と、インペラと共に回転するように設けられた第2の磁石部材(磁石)と、を有している。第1の磁石部材と第2の磁極部材との間で相互作用する磁力を介して軸体に入力される動力がインペラに伝達され、インペラの回転に伴って流体が吐出される。そして第1の磁極部材と第2の磁極部材との軸方向の相対位置を可変する調整機構を備えることで、インペラの回転により吐出される流体の送給量を調節する技術が開示されている。
また、特許文献3のウォータポンプは、内燃機関からの動力により回転する第一磁石部材(磁石)および摺動可能に設けられたスライダを備えたハウジングと、第一磁石部材の回転を伝達される第二磁石部材(誘導子)および回転により流体を送出するインペラを有する被駆動軸と、を備えている。ハウジングとスライダとの間に形成された圧力(負圧)室の圧力を変更することで、スライダが移動し、インペラに伝達される回転力の大きさを変更することで、流体の流量を変える技術が開示されている。
特開2005−233044号公報 特開2007−285268号公報 特開2008−185003号公報
しかしながら、特許文献1では、ポンプ羽根車の回転軌跡を遮るように規制ロッドが挿入される構成であるため、ポンプ羽根車の回転中に規制ロッドを挿入すると、羽根と規制ロッドとの衝突により羽根が変形または破損する虞がある。すなわち、特許文献1によるポンプ羽根車の回転制御の形態としては、内燃機関の始動時などの冷間時にポンプ羽根車が完全に停止している状態で規制ロッドを挿入しておき、内燃機関が暖められてからポンプ羽根車を停止状態から回転状態へ変化させる動作のみが可能である。従って、内燃機関の運転状況に応じて適切に流体の送給量を調節することができない問題がある。
特許文献2では、インペラの回転を止めてウォータポンプによる流体の吐出を止めるには、動力伝達部材と連動して回転する第1の磁石部材(磁石)の磁力と、インペラと一体に配設され回転する第2の磁石部材(磁石)の磁力と、が相互作用しない距離に遠ざける必要がある。そのためには、動力伝達部材と連動して回転する第1の磁石部材の移動距離を軸方向に長くとる必要があり、ウォータポンプの大型化と車両搭載性の悪化を招来する。また、移動距離が長いと移動に必要なエネルギーが増大する。そのため、移動手段を構成する電磁コイルの大型化と大電流化を招来する問題がある。
また、特許文献3では、圧力(負圧)室の気密性確保のためにスライダとハウジングとの間に配設されるシール部材には高いシール性が要求され、コストが高くなる問題がある。また、負圧供給部に用いられるシール部材は、高速回転による摩擦により劣化する可能性があり、耐久性に問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、省電力化および小型化した流体吐出量を可変する手段を使用して車両搭載を容易にすると共に、内燃機関等の運転状況に応じて適切に流体の送給量を調節可能な車両用ウォータポンプを提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために講じた第1の課題解決手段は、ケーシングと、前記ケーシングに支持され、動力源から伝達された動力により回転する動力伝達部材と、前記動力伝達部材と一体回転する磁石部と、前記ケーシングを介して前記磁石部に対向配設され、短絡状態となったときに前記磁石部の回転により生じる回転磁界の作用で誘導電流が内部を流れる誘導子と、前記誘導子の一端側に固設され、前記誘導子と同軸一体回転するインペラと、前記誘導子の他端側に配設され、前記誘導子の回転軸芯方向に移動可能なアーマチュアと、前記アーマチュアの移動に連動して移動し、前記誘導子を短絡状態とするように接触可能に配設される短絡部と、前記アーマチュアに作用させる磁力を発生する磁力発生部と、を備えることである。
第2の課題解決手段は、前記磁力発生部は電磁コイルであり、前記電磁コイルの通電により前記アーマチュアが磁力の作用を受けて前記誘導子の回転軸芯方向に移動し、前記短絡部と前記誘導子との接触および非接触が切り替えられる、ことである。
第3の課題解決手段は、両端が前記誘導子および前記短絡部に接触して配設され、前記アーマチュアおよび前記短絡部を前記誘導子の回転軸芯方向に付勢する付勢手段を備えることである。
本発明の第1の課題解決手段によれば、磁力発生部に磁力を発生させると、誘導子の回転軸芯方向に移動可能なアーマチュアに磁力が作用する。磁力発生部からの磁力作用を受けて誘導子の回転軸芯方向にアーマチュアが移動し、それに連動して短絡部が移動する。短絡部の移動により短絡部と誘導子とが接触すれば誘導子が短絡状態となる。このとき、動力伝達部材と一体回転する磁石部が回転していれば、回転磁界の作用で誘導子に生じる起電力により誘導子に誘導電流が流れる。そして誘導子に流れる誘導電流と磁石部から発する磁束(回転磁界)との相互作用により誘導子が回転する。誘導子とインペラとは同軸一体回転するため、短絡部と誘導子とを接触状態・離間状態に切り替えることにより、インペラを、動力伝達部材の回転に連動して回転・非回転の各状態で切り替え可能となる。
インペラの回転・非回転は短絡部と誘導子との接触・非接触により切り替え可能であるため、アーマチュアおよび短絡部の移動距離を短く設定できる。そのため、インペラの回転・非回転を切り替え可能なウォータポンプを小型化でき、車両搭載性が向上する。さらに、磁石部から発生する回転磁束と誘導子に流れる誘導電流との相互作用によってインペラを回転させることができるため、ケーシングを介して誘導子と磁石部とを対向配設する構造をとることができる。従って、シール部材を使用して回転軸を介してインペラに回転を伝達する構造としなくても、低コスト化および耐久性向上が図れる。
上記のように、インペラの回転・非回転を切り替え制御することにより、被冷却装置の運転状況に応じてウォータポンプから吐出される流体の吐出量を制御できる。例えば、ウォータポンプから吐出される流体が内燃機関を通過するように流路を構成した場合、内燃機関が適切な作動温度となるまでインペラを非回転にして流体の流動を停止できる。流体が流動しない状態では、内燃機関が迅速に温度上昇し、短時間のうちに安定した作動状態となる。内燃機関の温度が適正温度範囲のとき、インペラを回転して流体を流動させることにより内燃機関の過熱を抑制するように冷却できる。アイドリングストップ時やハイブリッド車のモータのみの走行時など、内燃機関の燃焼を休止した状態では、インペラを非回転にして流体の流動を停止することにより内燃機関の温度低下を抑制できる。
第2の課題解決手段によれば、電磁コイルの通電により磁力がアーマチュアに作用する構成であるため、アーマチュアおよび短絡部が移動できる程度の磁力を発生させる電磁コイルを使用すればよい。そのため、電磁コイルを小型化および省電力化することが可能になり、車両搭載性が向上する。
第3の課題解決手段によれば、付勢部材の両端が誘導子と短絡部とに接触して、アーマチュアおよび短絡部を誘導子の回転軸芯方向に付勢する。付勢部材を備えることにより、アーマチュアおよび短絡部の付勢方向の反対方向にアーマチュアおよび短絡部を移動させる場合にのみ電磁コイルを通電すればよい構成となる。例えば、短絡部と誘導子とが接触する方向に付勢する付勢部材を設けた場合、短絡部と誘導子とが非接触状態へと切り替えられる場合にのみ、電磁コイルを通電し、アーマチュアに磁力を作用させればよい。付勢部材を用いない場合、短絡部と誘導子とを接触・非接触のいずれの状態でも常に電磁コイルを通電させなければならないが、付勢部材を備えることにより付勢方向にアーマチュアを移動させるための電磁コイルの通電が不要となり、電磁コイルの省電力化が可能になる。
実施例における車両用ウォータポンプのインペラ回転状態の断面図である。 実施例における誘導子と制御手段の平面図である。 実施例における車両用ウォータポンプのインペラ停止状態の断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる。なお、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付し、重複説明は省略される。
図1は、車両用ウォータポンプ1の断面図である。車両用ウォータポンプ1は、ケーシング10と動力伝達部材20と誘導子30とインペラ40と移動手段50とにより構成される。ケーシング10は、流体が流入するインペラ収容空間と外気とを隔てる隔壁としての役割を果たすもので、金属板状部材により形成される。本実施例では、ケーシング10は、端部でベアリング23を介して動力伝達部材20を支持するポンプハウジング11と、ポンプハウジング11に固設され大気室と液室とを分離形成して動力伝達部材20側への流体の侵入を防ぐ隔壁12と、を備える。
ケーシング10を境界として、流体に接する側(液室)に誘導子30とインペラ40とが配設される。誘導子30およびインペラ40は、一端を隔壁12に固定されたシャフト41により回転可能に支持される。誘導子30は、短絡状態と非短絡状態とを切り替え可能なカゴ型誘導子である。インペラ40は、誘導子30の一端側に固設され、誘導子30と一体回転する。
ケーシング10を境界として、流体に接しない側(大気室)に動力伝達部材20が配設される。動力伝達部材20は、ベアリング23を介してケーシング10に支持され、動力源(図示略)からの動力の伝達を受けて回転する。また、動力伝達部材20の回転軸芯方向の端部には、ポンプハウジング11と隔壁12との間隙の形状に沿って段差を設けた段付円筒21が固設されており、段付円筒21は、動力伝達部材20への固設側の端部より誘導子30側の端部のほうが径大となるように形成される。段付円筒21の誘導子30側の端部には永久磁石(磁石部)22が備えられ、動力伝達部材20と永久磁石22とが一体回転するように構成される。
永久磁石22は、隔壁11を介して誘導子30の円周側面と対向する位置に配設される。永久磁石22と誘導子30とは同じ回転中心を有し、各々が独立に回転可能である。動力伝達部材20が回転状態かつ誘導子30が短絡状態のとき、永久磁石22の回転により生じる磁束の急激な変化(回転磁界の発生)とカゴ型誘導子である誘導子30との電磁相互作用により誘導子30が回転可能となる。一方、動力伝達部材20が回転状態かつ誘導子30が非短絡状態のとき、永久磁石22の回転により生じる磁束の急激な変化(回転磁界の発生)とカゴ型誘導子である誘導子30との間に電磁相互作用が働かず、誘導子30は回転しない。
図2は、誘導子30および制御手段50を動力伝達部材20側から見た説明図である。以下、図1および図2を参照して、誘導子30および制御手段50について説明する。
誘導子30は、鉄心部31と導通部32とから構成される。鉄心部31は、外側に複数の凸部を備えるケイ素鋼板を積層したもので、積層状態で軸方向に並行にまたは傾斜させて凸部が連続するように形成される。導通部32は、鉄心部31に形成された複数の凸部の間を埋めるようにアルミダイカストで鋳ぐるみすることにより、鉄心部31と一体形成される。そして複数の柱状の導通部32が形成され、導通部32のインペラ40側の端部で全部または一部が繋がった形状となる。導通部32は、非短絡状態では電流が流れないが、短絡部53と接触して短絡状態となった場合に、短絡部53と柱状の中間部分とインペラ40側の端部とにより電流が流れる回路が形成され、カゴ型誘導子としての役割を果たす。
誘導子30の短絡状態および非短絡状態の切り替えは、制御手段50によりなされる。制御手段50は、電磁コイル51とアーマチュア52と短絡部53と付勢部材54とにより構成される。
電磁コイル51は、ポンプハウジング11と隔壁12とにより挟持された状態で誘導子30の位置より動力伝達部材20側(図示左側)に固設される。本実施例ではシャフト41の周囲を取り巻くように、環状の電磁コイル51が使用される。また、アーマチュア52に効率的に磁力が作用するように、電磁コイル51には磁性体からなるヨーク51aが備えられる。
アーマチュア52は、電磁コイル51の作動により発生する磁力により、電磁コイル51に対して吸引される磁性材が使用される。アーマチュア52は、電磁コイル51の作動状態に応じてシャフト41に沿って進退移動し、吸引状態で電磁コイル51の内周面とシャフト41の外周面との間に位置するように誘導子30の他端側に配設される。
短絡部53は、アーマチュア52の誘導子30側端部の外周部から径方向外側に延設されており、環状に形成された外周部が誘導子30の端面と面接触する。そしてアーマチュア52の進退移動に伴って短絡部53がシャフト41の長手方向に進退移動し、短絡部53の環状の外周部が誘導子30と接触状態または離間状態となる。
付勢部材54は、外周側端部で結合部材55b(55)によって短絡部53に固定され、内周側端部で結合部材55a(55)によって誘導子30に固定されており、短絡部53を誘導子30の方向に付勢する。また、短絡部53と誘導子30とが結合部材55によって固定されているため、アーマチュア52と短絡部53と付勢部材54とは、誘導子30と一体回転する。誘導子30が半時計方向に回転する場合を図2に示す。誘導子30の回転軸の垂直面において短絡部53の径方向より傾斜させて3つの付勢部材54が配置される。そして付勢部材54の傾斜方向は、短絡板53側の結合部材55aより誘導子30側の結合部材55bが回転方向の前側になるように配置される。これにより、誘導子30の回転に連動して短絡部53が同軸で連れ回る際に、回転軸のぶれを抑制できる。また、短絡部53が誘導子30に引っ張られる構成であるため、付勢部材54には引っ張りの力がかかる。そのため、誘導子30側の結合部材55bより短絡板53側の固定部材55aを回転方向の前側になるように配置した場合と比較して付勢部材54の信頼性が高い。
次に、本実施例に関するウォータポンプ1の動作について説明する。
上記構成において、内燃機関等の動力源(図示略)から伝達された動力により、動力伝達部材20が回転する。動力伝達部材20の回転に連動して隔壁11の外周にある永久磁石22が回転し、隔壁11内の磁束の向きが変化(回転磁界が発生)する。図1に示すように誘導子30の導通部32と短絡部53とが接触状態のとき、誘導子30に働く電磁誘導作用により、フレミングの右手の法則に従って導電部32と短絡部53とにより形成される回路内で磁束の向き(導電部32を通過する磁束の向きは、誘導子30の円周方向)に対して垂直方向(誘導子30の軸方向)に起電力が生じる。誘導子30に起電力が生じ、導電部32と短絡部53とにより形成される回路内で誘導電流が流れているときに、誘導電流により発生する磁束と誘導子30により発生する磁束とが相互作用する。この電磁力により、フレミングの左手の法則に従って電流と磁束それぞれに対して垂直方向、つまりシャフト41の周方向に力が発生するため、誘導子30が回転する。誘導子30の回転に連動して誘導子30の一端側に固設されたインペラ40が回転する。インペラ40の回転により流体がケーシング10に流入し、遠心力を受けてケーシング10から吐出される。
電磁コイル51を非通電から通電に変化させたとき、電磁コイル51から発生する磁束により、磁性体からなるアーマチュア52が動力伝達部材20側に吸引される。アーマチュア52の動力伝達部材20側への移動に伴い短絡部53も動力伝達部材20側に移動し、図3に示すように離間状態となる。離間状態では、短絡部53と柱状の中間部分とインペラ40側の端部とにより電流が流れる回路が形成されないため、回転する永久磁石22から磁束の変化を受けてもシャフト41の周方向に力が発生しない。インペラ40は、慣性の法則に従って回転を続けるが徐々に減速し、最終的に停止する。それに伴い、インペラ40の流体吐出量が減少し、最終的には流体の吐出が停止する。
さらに、電磁コイル51を通電から非通電に変化させると、電磁コイル51から発生していた磁束が停止され、アーマチュア52を動力伝達部材20側に移動させる力が働かない。そのため、付勢部材54の付勢力によって短絡部53が動力伝達部材20反対側に移動する。導通部32と短絡部53とが図1のように接触した状態となり、インペラ40が回転可能な状態となる。
従って、永久磁石22の回転に伴って誘導子30に生じる起電力を制御手段50により制御することで、インペラ40の回転による流体吐出量を制御できる。インペラ40の回転および非回転は、導通部32と短絡部53とを接触状態および非接触状態に切り替えることで制御できる。選択的にインペラ40の回転をON−OFF制御できるため、内燃機関等の運転状況に応じて流体の流量を変化させることができ、内燃機関等の暖機性能が向上し、燃費向上に寄与し得る。
さらに、制御手段50の移動距離は、導通部32と短絡部53とを接触状態および非接触状態となるように切り替え可能な範囲でよいため、移動距離が短い構成が可能になる。よって、インペラ40の流体吐出量を可変する機構を小型化でき車両搭載性が向上する。また、移動距離が短くてすむため、電磁コイル51の小型化および省電力化が可能になり車両搭載性が向上する。
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
例えば、電磁コイル51の通電時間のデューティ比を調整すれば、インペラ40の回転速度を制御でき、インペラ40による流体の吐出量を制御できる。例えば、電磁コイル51の通電時間のデューティ比を0%とした際のインペラ40による流体の吐出量が100L/minであった場合、電磁コイル51の通電時間のデューティ比を60%とした際のインペラ40による流体の吐出量は、ほぼ40L/minになるように制御可能である。
付勢部材54は板バネに限定されず、ゴムなどの弾性部材でもよい。また、短絡部53が導電部32から離間する方向に付勢部材54の付勢方向を設定し、かつアーマチュア52に磁石等の強磁性体を用いた場合には、電磁コイル51を通電したときにアーマチュア52との反発作用により短絡部53が付勢部材54の付勢力に抗して導電部32に当接するようにして、インペラ40を回転可能な状態とする構成も採用可能である。さらに、アーマチュア52に強磁性体を使用し、付勢部材54を使用せずに、電磁コイル51とアーマチュア52との磁気的相互作用によりアーマチュア52が軸方向に進退動可能になるようにし、短絡部53と誘導子30との接触・非接触を切り替え、インペラ40の回転を制御する構成も可能である。
本実施例は、シャフト41の径方向に磁気的な相互作用が生じるように永久磁石22と誘導子30とが対向に配設された構造であるが、シャフト41の長手方向に対して平行に磁気的な相互作用が生じるように永久磁石22と誘導子30が対抗配置される構造でもインペラ30は回転可能であり、上記効果と同様の作用効果を奏する。
1・・・車両用ウォータポンプ
10・・・ケーシング
20・・・動力伝達部材
22・・・永久磁石(磁石部)
30・・・誘導子
40・・・インペラ
51・・・電磁コイル
52・・・アーマチュア
53・・・短絡部

Claims (3)

  1. ケーシングと、
    前記ケーシングに支持され、動力源から伝達された動力により回転する動力伝達部材と、
    前記動力伝達部材と一体回転する磁石部と、
    前記ケーシングを介して前記磁石部に対向配設され、短絡状態となったときに前記磁石部の回転により生じる回転磁界の作用で誘導電流が内部を流れる誘導子と、
    前記誘導子の一端側に固設され、前記誘導子と同軸一体回転するインペラと、
    前記誘導子の他端側に配設され、前記誘導子の回転軸芯方向に移動可能なアーマチュアと、
    前記アーマチュアの移動に連動して移動し、前記誘導子を短絡状態とするように接触可能に配設される短絡部と、
    前記アーマチュアに作用させる磁力を発生する磁力発生部と、
    を備える車両用ウォータポンプ。
  2. 前記磁力発生部は電磁コイルであり、前記電磁コイルの通電により前記アーマチュアが磁力の作用を受けて前記誘導子の回転軸芯方向に移動し、前記短絡部と前記誘導子との接触および非接触が切り替えられる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ウォータポンプ。
  3. 両端が前記誘導子および前記短絡部に接触して配設され、前記アーマチュアおよび前記短絡部を前記誘導子の回転軸芯方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ウォータポンプ。
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