JP2011196533A - ソレノイドバルブ - Google Patents

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博実 清水
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【課題】可動プランジャの往きと戻りのストローク差を軽減することができ、ひいては精度の高い流量制御が可能なソレノイドバルブを提供する。
【解決手段】本バルブは、ヨーク100にソレノイドコイル110を設け、ソレノイドコイル110の中心部にプランジャホルダ120を挿着している。プランジャホルダ120内には固定プランジャ130と可動プランジャ140が直列に設けられている。可動プランジャ140はボール部材160を介してニードル150の流入側開口部151を開閉するようになっている。固定プランジャ130と可動プランジ140の間にゴム板バネからなる第1の弾性材200を介設し、さらに第1の弾性部材200の周囲に波形バネからなる第2の弾性部材300を並列に介設し、これら第1および第2の弾性部材200,300の付勢力により可動プランジャ140をニードル150側に付勢する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁力の作用により可動プランジャを移動させることにより開閉するソレノイドバルブに関するものである。
従来、電磁力の作用により可動プランジャを移動させることにより開閉する様々なソレノイドバルブが知られている。ソレノイドバルブはモータで駆動する電動バルブに比べ、応答速度が速いことが特徴であるが、一般に全開か全閉のいずれかの状態を保持し、流体を流す管での流れの開閉制御に用いられる。
そして、ソレノイドバルブの代表的な構造としては、電気が流れたときに電磁力が生じるソレノイドコイルと、ソレノイドコイルの中心部を軸線方向に沿って挿通される筒状のプランジャホルダと、プランジャホルダ内において固定された固定プランジャと、ソレノイドコイルの電磁力の作用によりプランジャホルダ内を軸線方向に移動する可動プランジャと備える。
このとき可動プランジャと固定プランジャの間にはエアやコイルバネが設けられ、通常はエアやコイルバネの付勢力により全閉状態となっているが、ソレノイドコイルの電磁力が作用すると付勢力に抗して可動プランジャが移動して全開状態となる。そして、ソレノイドコイルの電磁力が作用しなくなると、再びエアやコイルバネの付勢力に従って可動プランジャが元の位置まで移動して全閉状態となる(例えば、エアのものは特許文献1〜2、コイルバネのものは特許文献3〜5参照)。
特表2008−510108号公報 特開1994−307571号公報 特開2009−127692号公報 特開2007−333194号公報 特開2003−301962号公報
しかしながら、従来のソレノイドバルブは上述のようにエアやコイルバネにより可動プランジャを付勢しているため、可動プランジャの往きと戻りにストローク差が生じていた。すなわち、可動プランジャの往き(全閉状態から全開状態の移動)の単位時間に移動するストロークよりも、戻り(全開状態から全閉状態の移動)のストロークが長く、いわゆる戻りのときにヒステリシスが生じていた。このためバルブ内を流れる流体の流量を精度良く制御するのは難しいという問題があった。特に精度の高い流量制御が求められる機器においては、製品の設計や生産に調整と手間がかかり、製品のコスト高を招く場合もあった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、可動プランジャの往きと戻りのストローク差を軽減することができ、ひいては精度の高い流量制御が可能なソレノイドバルブの提供を目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、電磁力の作用により可動プランジャを移動させることにより開閉するソレノイドバルブであって、電気が流れたときに電磁力が生じるソレノイドコイルと、該ソレノイドコイルの中心部を軸線方向に沿って挿通される筒状のプランジャホルダと、該プランジャホルダ内に軸線を一致させる態様で固定された固定プランジャと、前記プランジャホルダ内に軸線方向を一致させる態様で前記固定プランジャに直列に設けられ、前記ソレノイドコイルの電磁力の作用により前記プランジャホルダ内を軸線方向に移動する可動プランジャと、一方の端部が流体の流入側の開口部となされ、且つ他方の端部が流体の流出側の開口部となされ、前記可動プランジャにより流入側の開口部を開閉するニードルとを備え、前記固定プランジャと前記可動プランジャの間に、第1の弾性部材が介設されるとともに、該第1の弾性部材の周囲に該第1の弾性部材とは性質の異なる第2の弾性部材が並列に介設されていることを特徴とする。なお、第1の弾性部材と第2の弾性部材とは、それぞれ性質の異なる弾性部材が設けられるが、これは構造、材質、弾性係数などのうちの1つあるいは複数の性質の違いをいう。
これによれば、可動プランジャは第1および第2の弾性部材の付勢力により通常はニードル側に移動して、ニードルの流入側の開口部が全閉状態となっている。そして、ソレノイドコイルに電気を流して電磁力を作用させると、可動プランジャが第1および第2の弾性部材の付勢力に抗して固定プランジャ側に移動して(往き)、ニードルの流入側の開口部が全開状態となる。そして、ソレノイドコイルに流している電気を停止させて電磁力を作用させなくなると、可動プランジャが第1および第2の弾性部材の付勢力によりニードル側に移動して(戻り)、ニードルの流入側の開口部が再び全閉状態となる。このとき第1および第2の弾性部材の双方の性質の異なる付勢力により、可動プランジャの往きの単位時間当たりのストロークと、戻りの短時間当たりのストロークとの差を従来品に比べて軽減することができ、流体の流量を精度良く制御することが可能となる。
また、前記第1の弾性部材は薄板状の板バネであるのが好ましく、さらには記第2の弾性部材は環状の波形バネであるのが好ましい。これによれば、可動プランジャの往きと戻りのストローク差をより一層軽減することができ、流体の流量をより一層精度良く制御することができる。
また、前記可動プランジャと前記ニードルとの間にボール部材が介設され、前記可動プランジャがその移動に伴って該ボール部材をニードル側に押しつけたり離したりすることにより、ニードルの流入側の開口部を開閉するのが好ましい。これによれば、ニードルの流入側の開口部の開閉を簡単かつ確実に行うことができる。
本発明によれば、第1および第2の弾性部材の双方の性質の異なる付勢力により、可動プランジャの往きの単位時間当たりのストロークと、戻りの短時間当たりのストロークとの差を従来品に比べて軽減することができ、流体の流量を精度良く制御することが可能となる。
本バルブの構成概略図である。 本バルブの第1および第2の弾性部材付近の拡大図である。 図2のIII−III線断面図である。 本バルブのボール部材付近の拡大図である。
次に本発明に係る一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係るソレノイドバルブ(以下、本バルブという)の構成概略図である。
本バルブは、電磁力の作用により可動プランジャ140を移動させることにより開閉するものであり、いわゆるヨーク100に、ソレノイドコイル110、プランジャホルダ120、固定プランジャ130、可動プランジャ140などが設けられ、ニードル150を流れる流体の流量を制御する。
前記ヨーク100は、断面コ字状の鉄板からなり、ソレノイドコイル110を覆う態様で配置されている。
また、前記ソレノイドコイル110は、複数の金属コイル線が巻き付けられたもので、全体として円筒状に形成されている。そして、電気が流されたときに、ソレノイドコイル110に磁力線が発生して電磁力が作用する。
また、前記プランジャホルダ120は、前記ソレノイドコイル110の中心部を軸線方向に沿って挿通されている。プランジャホルダ120の一端部は、ヨーク100の一端部に挿着されてナット180により固定されるとともに、他端部は同じくヨーク100の他端部に挿着されている。これによりソレノイドコイル110がプランジャホルダ120を介してヨーク100内に軸線方向に配置されることになる。
また、前記固定プランジャ130は、棒状の鉄芯からなるもので、プランジャホルダ120の内部において一端部寄りの位置に固定されている。
また、前記可動プランジャ140は、固定プランジャ130よりも短長の棒状の鉄芯からなるもので、プランジャホルダ120の内部において他端部寄りの位置に設けられている。この可動プランジャ140は、一端面141を固定プランジャ130の他端面132に対向するとともに、他端面142をニードル150に対向する態様となされ、プランジャホルダ120の軸線に一致する態様で固定プランジャ130に直列に配置されている。そして、後述するようにソレノイドコイル110の電磁力の作用により軸線方向の移動し得るようになっている。
なお、可動プランジャ140の他端面142には後述のボール部材160と接するための円錐形の凹部が形成されている。
また、前記固定プランジャ130と可動プランジャ140との間には、第1の弾性部材200として薄板状のゴム板バネが両プランジャの端面に接する態様で介設されている。また、ゴム板バネの周囲には、第2の弾性部材300として平面視環状の波形バネが両プランジャ130,140の端面に接する態様介設されている。これら第1および第2の弾性部材300、400による可動プランジャ140の動作については後述する。
また、前記ニードル150は、両端部開口のパイプ状に形成されており、ニードルホルダ170の内部において可動プランジャ140と軸線を一致する態様で固定されている。このニードル150は、可動プランジャ140側の開口部は流体が流入する流入側開口部151となされ、かつその反対側の開口部は流体が流出する流出側開口部152となされ、流入側開口部151が開閉することにより、内部を流体を通過させたり堰き止めたりする。
なお、ニードル150の流入側開口部151は、後述のボール部材160と接するため、円錐台形の凹部に形成されている。
また、可動プランジャ140と前記ニードル150との間に鋼製のボール部材160が介設され、可動プランジャ140がその移動に伴ってボール部材160をニードル150側に押しつけたり離したりすることにより、ニードル150の流入側開口部151を開閉するようになっている。
また、前記ニードルホルダ170は、下面に流体が流入する流入口171と、流体が流出する流出口172がそれぞれ並んで設けられている。このニードルホルダ170の流入口171はニードル150の流入側開口部151と連通し、かつニードルホルダ170の流出口172はニードル150の流出側開口152に連通している。このためニードル150の流入側開口部151が開口している場合、流入口171から流入した流体はニードル150の流入側開口部151から流入したあと、ニードル150の内部を通過して流入側開口部152から流出し、さらに流出口172から流出する。一方、ニードル150の流入側開口部151が閉じている場合、流入口171から流入した流体はニードル150の流入側開口部151を閉蓋しているボール部材160により堰き止められた状態となる。
次に本バルブの開閉動作について説明する。
まず、ソレノイドコイル110に電気を流していない場合、可動プランジャ140には特に電磁力が作用しないため、図4の点線に示すように、第1および第2の弾性部材200,300の作用によりニードル150側に付勢されている。そして、それに伴って可動プランジャ140がボール部材160をニードル150側に押さえつけることにより、ニードル150の流入側開口部151が全閉状態となっている。このときニードルホルダ170の流入口171から流入した流体はボール部材160に堰き止められた状態となるため、ニードル150内に流体が通過することはできない。
次に、ソレノイドコイル110に電気を流した場合、ソレノイドコイル110の電磁力が可動プランジャ140に作用するため、図4の実線に示すように、第1および第2の弾性部材200,300の付勢力に抗して固定プランジャ130側に移動する(往き)。そして、図4の実線に示すように、それに伴って可動プランジャ140に押さえつけられていたボール部材160が解放され、ニードル150の流入側開口部151が全開状態となる。このときニードルホルダ170の流入口171から流入した流体は、図4の矢印に示すように、ニードル150の流入側開口部151から内部に流入して、ニードル150の内部を通過したあと、流出口172から流出することになる。
次に、ソレノイドコイル110の電気を停止した場合、ソレノイドコイル110の電磁力が作用しなくなるため、図4の点線に示すように、可動プランジャ140が第1および第2の弾性部材200,300の付勢力に従ってニードル150側に移動する(戻り)。そして、図4の点線に示すように、それに伴って可動プランジャ140がボール部材160を再びニードル150側に押さえつけることにより、ニードル150の流入側開口部151が全閉状態となる。このときニードルホルダ170の流入口171から流入した流体はボール部材160に堰き止められた状態となるため、ニードル150内に流体が通過することはできない。
このようにバルブを全開状態にしたい場合には、電磁力の作用により可動プランジャ140を第1および第2の弾性部材200,300の付勢力に抗して固定プランジャ130側に移動させる一方、全閉状態にしたい場合には可動プランジャ140を第1および第2の弾性部材200,300の付勢力に従ってニードル150側に移動させる。
このため固定プランジャ130と可動プランジャ140との間に介設される第1および第2の弾性部材200,300の役割は非常に大きい。従来は、固定プランジャ130と可動プランジャ140との間にはエアやコイルバネを介設していたが、これでは可動プランジャ140の往き(全閉状態から全開状態の移動)の単位時間に移動するストロークよりも、戻り(全開状態から全閉状態の移動)のストロークが長く、いわゆる戻りのときにヒステリシスが生じていた。このためバルブを流れる流体の流量を精度良く制御するのは難しいという問題があった。
しかしながら、本発明のように弾性部材を、第1の弾性部材200としてのゴム板バネと、第2の弾性部材300としての波形バネを使用することにより、可動プランジャ140の往き(全閉状態から全開状態の移動)の単位時間に移動するストロークと、戻り(全開状態から全閉状態の移動)のストロークとの差を軽減することができる。このためバルブの開放する状態をソレノイドコイル110の電磁力と相関を持たせ、また戻りのときに発生するヒステリシスを減少させる役割をなし、流体の流量を精度良く制御することが可能となる。
なお、本実施形態では、第1の弾性部材として薄板状のゴム板バネを用いたが、その他
の材質の板バネ、薄板状の弾性部材、あるいはその他の弾性部材を用いてもよい。また、第2の弾性部材として、環状の波形バネを用いたが、その他の弾性部材を用いてもよい。
また、可動プランジャ140はボール部材160を介してニードル170の流入側開口部171を開閉するものとしたが、直接的に開閉してもよい。
100・・・ヨーク
110・・・ソレノイドコイル
120・・・プランジャホルダ
130・・・固定プランジャ
140・・・可動プランジャ
150・・・ニードル
160・・・ボール部材
170・・・ニードルホルダ
180・・・ナット
200・・・第1の弾性部材
300・・・第2の弾性部材

Claims (4)

  1. 電磁力の作用により可動プランジャを移動させることにより開閉するソレノイドバルブであって、
    電気が流れたときに電磁力が生じるソレノイドコイルと、
    該ソレノイドコイルの中心部を軸線方向に沿って挿通される筒状のプランジャホルダと、
    該プランジャホルダ内に軸線を一致させる態様で固定された固定プランジャと、
    前記プランジャホルダ内に軸線方向を一致させる態様で前記固定プランジャに直列に設けられ、前記ソレノイドコイルの電磁力の作用により前記プランジャホルダ内を軸線方向に移動する可動プランジャと、
    一方の端部が流体の流入側の開口部となされ、且つ他方の端部が流体の流出側の開口部となされ、前記可動プランジャにより流入側の開口部を開閉するニードルとを備え、
    前記固定プランジャと前記可動プランジャの間に、第1の弾性部材が介設されるとともに、該第1の弾性部材の周囲に該第1の弾性部材とは性質の異なる第2の弾性部材が並列に介設されていることを特徴とするソレノイドバルブ。
  2. 前記第1の弾性部材は薄板状の板バネである請求項1に記載のソレノイドバルブ。
  3. 前記第2の弾性部材は環状の波形バネである請求項1または請求項2に記載のソレノイドバルブ。
  4. 前記可動プランジャと前記ニードルとの間にボール部材が介設され、前記可動プランジャがその移動に伴って該ボール部材をニードル側に押しつけたり離したりすることにより、ニードルの流入側の開口部を開閉する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のソレノイドバルブ。
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