JP2011192908A - ポリシリコン膜の製造方法、太陽電池及び電子デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】高価な機材である真空チャンバーを用いることなくキャリア移動度の高いポリシリコン膜を製造する。
【解決手段】ポリシリコン膜の製造方法において、少なくともシリコン粒子を分散させた液体を基板に塗付する工程と、塗布した液体を乾燥させてシリコン膜を形成する工程と、シリコン膜をポリシリコン膜にするための熱アニール処理工程と、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】ポリシリコン膜の製造方法において、少なくともシリコン粒子を分散させた液体を基板に塗付する工程と、塗布した液体を乾燥させてシリコン膜を形成する工程と、シリコン膜をポリシリコン膜にするための熱アニール処理工程と、を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ポリシリコン膜の製造方法、及び、そのポリシリコン膜を用いた太陽電池及び電子デバイスに関する。
従来、液晶ディスプレイなどの電子デバイスに用いられているキャリア移動度の高い多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)は、下記特許文献1に記載されたように、真空チャンバー内でCVD法(化学気相成長法)により非晶質シリコン膜を形成し、その非晶質シリコン膜に対してエキシマレーザーを照射するアニール処理を行うことにより製造している。
特許文献1に記載されたポリシリコン膜の製造方法によれば、高価な機材である真空チャンバーを準備しなければならず、ポリシリコン膜の製造コストが高くなっている。
なお、大きいサイズのポリシリコン膜を製造するためには、製造するポリシリコン膜のサイズに応じた大きいサイズの真空チャンバーを準備しなければならない。真空チャンバーはサイズが大きくなると、作用する外圧も大きくなるために外圧に対する強度を高める必要があり、より高価となる。
また、真空チャンバーが大型化すると、真空チャンバー内において真空チャンバー内に供給した原料ガスの密度の偏りが生じる場合があり、非晶質シリコン膜の膜厚がばらつきを生じる場合がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、高価な機材である真空チャンバーを用いることなくキャリア移動度の高いポリシリコン膜を製造する製造方法、及び、そのポリシリコン膜を用いた太陽電池及び電子デバイスを提供することである。
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、ポリシリコン膜の製造方法において、少なくともシリコン粒子を含む液体を基板に塗付する工程と、塗布した前記液体を乾燥させてシリコン膜を形成する工程と、前記シリコン膜をポリシリコン膜にするための熱アニール処理工程と、を備える。
本発明によれば、高価な機材である真空チャンバーを用いることなく、キャリア移動度の高いポリシリコン膜を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態のポリシリコン膜の製造方法を図1ないし図3に基づいて説明する。図1は、ポリシリコン膜1の製造方法を示す工程図である。まず、基板としてガラス基板2を準備する(ステップS1)。なお、ガラス基板2は、例えば、加熱機能を有するホットプレート上に載置して準備する。
本発明の第1の実施の形態のポリシリコン膜の製造方法を図1ないし図3に基づいて説明する。図1は、ポリシリコン膜1の製造方法を示す工程図である。まず、基板としてガラス基板2を準備する(ステップS1)。なお、ガラス基板2は、例えば、加熱機能を有するホットプレート上に載置して準備する。
つぎに、ガラス基板2上に、シリコン粒子3を分散させた液体4を塗付する(ステップS2)。シリコン粒子3は、直径20〜30nmの大きさのものを用い、液体4としてはイソプロピルアルコールを用いる。シリコン粒子3を分散させた液体4を塗付する方法としては、ディスペンサ法、スピンコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、ダイコート法等を用いることができる。図2(a)は、シリコン粒子3を分散させた液体4がガラス基板2上に塗布された状態を示している。
つぎに、塗布した液体4を蒸発させ(ステップS3)、図2(b)に示すようにシリコン粒子3の集まりであるシリコン膜5を形成する。なお、液体4を蒸発させる場合には、ガラス基板2が載置されてホットプレートを100℃程度に加熱することにより蒸発を促進させる。
つぎに、シリコン膜5を熱アニール処理し、シリコン膜5を構成しているシリコン粒子3を溶融、冷却することにより再結晶化させ、図2(c)に示すようにポリシリコン膜1を形成する(ステップS4)。熱アニール処理においては、例えば、エキシマレーザ等の光エネルギーをパルス状にシリコン膜5に照射し、シリコン膜5を瞬時に加熱することにより行なう。なお、熱アニール処理では、シリコン粒子3が溶融する温度に加熱できればよく、エキシマレーザに代えて、例えば、キセノン(Xe)フラッシュランプ、赤外線ランプ、抵抗加熱等を用いてもよい。
図3は、エキシマレーザ照射による熱アニール処理(ELA処理)の前後におけるシリコンの結晶性をRaman分光により評価した結果を示しており、図3(a)はELA処理前、図3(b)はELA処理後である。エキシマレーザ照射によりシリコンの結晶性を示すピーク強度が大きくなり、結晶粒径が大きくなっていることが分かる。
このような構成において、本実施の形態によれば、微小なシリコン粒子3の集まりであるシリコン膜5に対して熱アニール処理を施すことにより、結晶粒の大きいポリシリコン膜1を製造することができる。多結晶シリコンにおいては、キャリア移動度は結晶粒が大きくなることに伴って向上することがわかっており、結晶粒の大きいポリシリコン膜1は、キャリア移動度が高く、導電性が向上する。
また、本実施の形態の製造方法によれば、高価な機材である真空チャンバーを用いることなくポリシリコン膜1を安価に製造することができる。しかも、大きなサイズのポリシリコン膜1を容易に製造することができ、その大きなサイズのポリシリコン膜1の膜圧を均一にすることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態のポリシリコン膜の製造方法を図4及び図5に基づいて説明する。なお、第2の実施の形態、及び、以下に説明する他の実施の形態において、先行して説明した実施の形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
本発明の第2の実施の形態のポリシリコン膜の製造方法を図4及び図5に基づいて説明する。なお、第2の実施の形態、及び、以下に説明する他の実施の形態において、先行して説明した実施の形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
第2の実施の形態の基本的な構成は、第1の実施の形態と同じである。第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、第1の実施の形態で説明したステップS4の工程の後に、ポリシリコン膜1のダングリングボンドを低減させるダングリングボンド低減処理工程(ステップS5)を行うことである。
ダングリングボンド低減処理は、真空中、又は、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中の大気圧下で、水素プラズマ処理を施すことにより行なう。この場合、ポリシリコン膜1は水素によりエッチングされない温度で保持する必要がある。
ダングリングボンドは未結合手のことで、熱アニール処理を施したポリシリコン膜1の粒界には図5(a)に示すように多数のダングリングボンドが存在する。ダングリングボンドが存在すると、ダングリングボンドによって通電時にキャリアが捕捉され、ポリシリコン膜1の導電性が低下する。
ダングリングボンド低減処理を行うことにより、図5(b)に示すように、ダングリングボンドに水素原子が捕捉され、ダングリングボンドが低減される。
このような構成において、ポリシリコン膜1のダングリングを低減させるダングリングボンド低減処理を行うことにより、通電時にダングリングボンドによって捕捉されるキャリアが減少し、ポリシリコン膜1の導電性を高めることができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態を図6に基づいて説明する。図6は、第1又は第2の実施の形態で説明したポリシリコン膜1を発電手段として使用した太陽電池6を示す模式図である。この太陽電池6は、透明電極7と、非晶質シリコン膜8(p型、i型、n型の3相)と、ポリシリコン膜1(p型、i型、n型の3相)と、金属電極9とを積層することにより形成されている。
本発明の第3の実施の形態を図6に基づいて説明する。図6は、第1又は第2の実施の形態で説明したポリシリコン膜1を発電手段として使用した太陽電池6を示す模式図である。この太陽電池6は、透明電極7と、非晶質シリコン膜8(p型、i型、n型の3相)と、ポリシリコン膜1(p型、i型、n型の3相)と、金属電極9とを積層することにより形成されている。
このような構成において、太陽電池6において本発明の製造方法により製造されたポリシリコン膜1を使用することにより、結晶粒の大きいポリシリコン膜1はキャリア移動度が高く導電性が向上しているため、発電能力の高い太陽電池6を得ることができる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態を図7に基づいて説明する。図7は、第1又は第2の実施の形態で説明したポリシリコン膜1を半導体層として使用した電子デバイスであるMOS型トランジスタ10を示す模式図である。
本発明の第4の実施の形態を図7に基づいて説明する。図7は、第1又は第2の実施の形態で説明したポリシリコン膜1を半導体層として使用した電子デバイスであるMOS型トランジスタ10を示す模式図である。
MOS型トランジスタ10は、ポリシリコン膜1のn型領域1aに接続されたソース電極11とドレイン電極12とを有し、さらに、ポリシリコン膜1のp型領域1b上にゲート酸化膜13を介してゲート電極14が設けられている。
このような構成において、MOS型トランジスタ10において本発明の製造方法により製造されたポリシリコン膜1を使用することにより、結晶粒の大きいポリシリコン膜1はキャリア移動度が高く導電性が向上しているため、導電性の良いMOS型トランジスタ10を得ることができる。
1…ポリシリコン膜、発電手段、半導体層、2…基板、3…シリコン粒子、4…液体、5…シリコン膜
Claims (5)
- 少なくともシリコン粒子を分散させた液体を基板に塗付する工程と、
塗布した前記液体を乾燥させてシリコン膜を形成する工程と、
前記シリコン膜をポリシリコン膜にするための熱アニール処理工程と、
を備えることを特徴とするポリシリコン膜の製造方法。 - 前記ポリシリコン膜のダングリングボンドを低減させるダングリングボンド低減処理工程を備えることを特徴とする請求項1記載のポリシリコン膜の製造方法。
- 前記熱アニール処理工程は、光エネルギーをパルス状に前記シリコン膜に照射して行うことを特徴とする請求項1又は2記載のポリシリコン膜の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれかの方法で製造されたポリシリコン膜を発電手段として備えることを特徴とする太陽電池。
- 請求項1ないし3のいずれかの方法で製造されたポリシリコン膜を半導体層として備えることを特徴とする電子デバイス。
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