JP2011192864A - 光電変換装置 - Google Patents

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竜也 桐山
Satoo Yanagiura
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Abstract

【課題】バイパスダイオードの設置を容易にした光電変換装置を提供する。
【解決手段】スリットS3によって分割された光電変換セルを直列に接続した光電変換モジュール202と、複数の光電変換セルに跨って光電変換セルの裏面が露出する穴32が開けられ、直列接続の方向に沿って延設された絶縁部材204と、絶縁部材204の穴32内に配置され、光電変換セルをバイパスするバイパスダイオード206と、絶縁部材204及びバイパスダイオード206と共に光電変換モジュール202の裏面を封止するバックシート208と、光電変換モジュール202とバックシート208との間に充填される充填材210とを設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換装置に関する。
太陽光を利用した発電システムとして、アモルファスや微結晶等の半導体薄膜を積層した光電変換装置が用いられている。
光電変換装置では、複数の光電変換セルを直並列に接続して実用的な電気出力を取り出せる構成とされている。複数の光電変換セルを接続して透光性基板とエチレンビニルアセテート共重合体(EVA)などを主成分とする充填材で封入して光電変換モジュールが形成されている。このような光電変換モジュールを屋外に設置した場合、光電変換モジュール内のある1つの光電変換セルが何かの影になったときなどで発電が不十分になった場合、その光電変換セルは抵抗となる。このとき光電変換セルの両電極にはその抵抗値と流れる電流の積の電位差が発生する。すなわち、光電変換セルに逆方向のバイアス電圧が印加されることになり、このセルは発熱するようになる。このような状況をホットスポットと呼んでいる。このホットスポットの現象が発生し、光電変換セルの温度が上昇し続けると、最悪の場合、この光電変換セルは破壊して光電変換モジュールから所定の電気出力を取り出すことができなくなる。
そこで、ホットスポットによる光電変換モジュールの損傷を防ぐために、光電変換セルに正常時の出力に対して逆バイアスとなるようにバイパスダイオードを接続する方法が採用されている。バイパスダイオードを設けることによって、どこかの光電変換セルが陰になって発電量が落ちた場合であってもその部分を回避してバイパスダイオードを介して電流が流れるので、陰部分の影響が回路全体には及ぶことがなくなる。
ところで、光電変換装置では、多数の光電変換セルが直並列に接続されており、各光電変換セルに対して個別にバイパスダイオードを配置し、電気的に接続する処理が必要とされる。そこで、このような処理を簡易かつ迅速に行うことができる光電変換装置の構成が望まれている。
本発明の1つの態様は、スリットによって分割された光電変換セルを直列に接続した光電変換モジュールと、複数の光電変換セルに跨って光電変換セルの裏面が露出する穴が開けられ、直列接続の方向に沿って延設された絶縁部材と、絶縁部材の穴内に、隣接する光電変換セルを跨って配置されたダイオードと、絶縁部材及びダイオードと共に光電変換モジュールの裏面を封止するバックシートと、光電変換モジュールとバックシートとの間に充填される充填材と、を備える、光電変換装置である。
本発明によれば、バイパスダイオードの設置を容易にした光電変換装置ができる。
本発明の実施の形態における光電変換装置の構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態における光電変換装置の構造を説明する内部斜視図である。 本発明の実施の形態における光電変換モジュールの構造を示す拡大断面図である。 本発明の実施の形態における光電変換装置の構造を説明する内部斜視図である。 本発明の実施の形態における光電変換装置の構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態における光電変換装置の構造を説明する内部斜視図である。
本発明の実施の形態における光電変換装置200は、図1に示すように、光電変換モジュール202、絶縁部材204、バイパスダイオード206、バックシート208及び充填材210を含んで構成される。なお、図1は、絶縁部材204及びバイパスダイオード206の延設方向に沿って光電変換装置200の断面構造を模式的に示した図である。また、本発明の特徴を明確に示すために、図2に光電変換装置200のバックシート208及び充填材210を除去した状態の斜視図を示す。
光電変換モジュール202は、図3の拡大断面図に示すように、基板20を光入射側として、光入射側から、透明電極層22、トップセルとして広いバンドギャップを有するアモルファスシリコン光電変換ユニット(a−Siユニット)24、中間層26、ボトムセルとしてa−Siユニット24よりバンドギャップの狭い微結晶シリコン光電変換ユニット(μc−Siユニット)28及び裏面電極層30、を積層した構造を有する。なお、本実施の形態では、a−Siユニット24及びμc−Siユニット28を積層したタンデム型光電変換装置を例に説明を行うが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、a−Siユニット24及びμc−Siユニット28のいずれかのみを用いたシングル型光電変換装置やさらに他種の光電変換ユニットを適用した光電変換装置であってもよい。
基板20は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等の少なくとも可視光波長領域において透過性を有する材料を適用することができる。基板20上に透明電極層22が形成される。透明電極層22は、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)等に錫(Sn)、アンチモン(Sb)、フッ素(F)、アルミニウム(Al)等をドープした透明導電性酸化物(TCO)のうち少なくとも一種類又は複数種を組み合わせて用いることが好適である。特に、酸化亜鉛(ZnO)は、透光性が高く、抵抗率が低く、耐プラズマ特性にも優れているので好適である。透明電極層22は、例えば、スパッタリング法又はCVD法等により形成することができる。
光電変換モジュール202を複数の光電変換セルを直列に接続した構成とする場合、透明電極層22にスリットS1を形成して短冊状にパターニングする。例えば、波長1064nm、エネルギー密度13J/cm2、パルス周波数3kHzのYAGレーザを用いて透明電極層22を短冊状にパターニングすることができる。
透明電極層22上に、p型層、i型層、n型層のシリコン系薄膜を順に積層してa−Siユニット24を形成する。a−Siユニット24は、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、ジクロルシラン(SiH2Cl2)等のシリコン含有ガス、メタン(CH4)等の炭素含有ガス、ジボラン(B26)等のp型ドーパント含有ガス、フォスフィン(PH3)等のn型ドーパント含有ガス及び水素(H2)等の希釈ガスを混合した混合ガスをプラズマ化して成膜を行うプラズマ化学気相成長法(CVD法)により形成することができる。プラズマCVD法は、例えば、13.56MHzのRFプラズマCVD法を適用することが好適である。
a−Siユニット24上に、中間層26を形成する。中間層26は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化シリコン(SiOx)等の透明導電性酸化物(TCO)を用いることが好適である。特に、マグネシウムMgがドープされた酸化亜鉛(ZnO)や酸化シリコン(SiOx)を用いることが好適である。中間層26は、例えば、スパッタリング等により形成することができる。中間層26の膜厚は10nm以上200nm以下の範囲とすることが好適である。なお、中間層26は、設けなくてもよい。
中間層26上に、p型層、i型層、n型層を順に積層したμc−Siユニット28を形成する。μc−Siユニット28は、シラン(SiH4)、ジシラン(Si26)、ジクロルシラン(SiH2Cl2)等のシリコン含有ガス、メタン(CH4)等の炭素含有ガス、ジボラン(B26)等のp型ドーパント含有ガス、フォスフィン(PH3)等のn型ドーパント含有ガス及び水素(H2)等の希釈ガスを混合した混合ガスをプラズマ化して成膜を行うプラズマCVD法により形成することができる。プラズマCVD法は、a−Siユニット24と同様に、例えば、13.56MHzのRFプラズマCVD法を適用することが好適である。
複数のセルを直列接続する場合、a−Siユニット24及びμc−Siユニット28にスリットS2を形成して短冊状にパターニングする。透明電極層22に形成したスリットS1の位置から50μm横の位置にYAGレーザを照射してスリットS2を形成し、a−Siユニット24及びμc−Siユニット28を短冊状にパターニングする。YAGレーザは、例えば、エネルギー密度0.7J/cm2、パルス周波数3kHzのものを用いることが好適である。
μc−Siユニット28上に、裏面電極層30を形成する。裏面電極層30は、透明導電性酸化物(TCO)と反射性金属とを順に積層した構造とすることが好適である。透明導電性酸化物(TCO)としては、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)等の透明導電性酸化物(TCO)、又は、これらの透明導電性酸化物(TCO)に不純物をドープしたものが用いられる。例えば、酸化亜鉛(ZnO)にアルミニウム(Al)を不純物としてドープしたものでもよい。また、反射性金属としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等の金属が使用できる。透明導電性酸化物(TCO)は、例えば、スパッタリング法又はCVD法等により形成することができる。裏面電極層30は、合わせて1μm程度の膜厚とすることが好適である。裏面電極層30の少なくとも一方には、光閉じ込め効果を高めるための凹凸が設けることが好適である。
複数のセルを直列接続する場合、裏面電極層30にスリットS3を形成して短冊状にパターニングする。a−Siユニット24及びμc−Siユニット28に形成したスリットS2の位置から50μm横の位置にYAGレーザを照射してスリットS3を形成し、裏面電極層30を短冊状にパターニングする。YAGレーザは、エネルギー密度0.7J/cm2、パルス周波数4kHzのものを用いることが好適である。
これにより、スリットS2に埋め込まれた裏面電極層30を介して1つの光電変換セルの裏面電極層30が隣り合う光電変換セルの透明電極層22に電気的に接続され、隣り合う光電変換セル同士が直列に接続された構造となる。
次に、絶縁部材204及びバイパスダイオード206が搭載される。絶縁部材204は、絶縁性材料からなるテープ状、フィルム状又はシート状の部材である。絶縁部材204は、光電変換モジュール202の裏面電極層30上に光電変換セルの直列接続方向に沿って延設される。絶縁部材204には、その延設方向に沿って所定のピッチP1で複数の穴32が形成されており、穴32がバイパスダイオード206の位置合わせに使用される。絶縁部材204の材料は、例えば、テフロン(登録商標)とすることが好適である。
絶縁部材204に形成される穴32は、バイパスダイオード206を配置するピッチPと同じピッチP1で形成する。例えば、直列接続された光電変換セルの1つずつにバイパスダイオード206を設ける場合には、図1及び図2に示すように、光電変換セルの配置のピッチP2と同じピッチP1で穴32を形成する。また、穴32は、バイパスダイオード206を穴32内に嵌め置いた際にバイパスダイオード206の位置が空間的にずれないような形状及び大きさとする。そして、穴32が隣り合う光電変換セルの裏面電極層30に跨るように、光電変換モジュール202の裏面電極層30上に絶縁部材204を配置する。
バイパスダイオード206は、光電変換装置200にホットスポットが発生した場合に光電変換セルの破損を防ぐために設けられる。バイパスダイオード206は、光電変換セルが正常に発電している状態において、電圧が逆バイアスの状態で印加されるように光電変換セルに接続される。
例えば、直列接続された光電変換セルの1つずつにバイパスダイオード206を設ける場合には、上記のように配置された絶縁部材204の穴32の各々にバイパスダイオード206を並べ、隣り合う光電変換セルの裏面電極層30にバイパスダイオード206のアノード電極とカソード電極をそれぞれ接続する。裏面電極層30とアノード電極又はカソード電極との接続は、一般的なハンダ付けでもよいし、バックシート208の封止による機械的な圧着でもよい。
また、直列接続された光電変換セルの1つずつにバイパスダイオード206を設けず、複数の光電変換セルに跨ってバイパスダイオード206を設けてもよい。この場合には、図4に示すように、絶縁部材204には複数の光電変換セルを足し合わせたピッチP1で穴32を設ける。また、穴32は複数の光電変換セルに跨るような大きさとする。バイパスダイオード206は、複数の光電変換セルに跨って光電変換セルが正常に発電している状態において、電圧が逆バイアスの状態で印加されるように光電変換セルに接続される。
穴32が形成された絶縁部材204を用いることによって、穴32に合わせてバイパスダイオード206を配置するだけでバイパスダイオード206の位置合わせを行うことができる。したがって、バイパスダイオード206の位置合わせの作業の負担を軽減することができる。
このように絶縁部材204を用いてバイパスダイオード206を配置した状態において、充填材210によって裏面電極層30の表面をバックシート208で覆って封止する。充填材210及びバックシート208は、EVA、ポリイミド等の樹脂材料とすることができる。充填材210を塗布した裏面電極層30上をバックシート208で覆い、150℃程度の温度に加熱しつつ裏面電極層30へ向かってバックシート208に圧力を加えることによって封止を行うことができる。これによって、光電変換装置200の発電層への水分の侵入等を防ぐことができる。
このとき、絶縁部材204は、このような封止処理における加熱に耐えられる程度の耐熱性を有することが好適である。加熱処理は150℃程度で行われるので、絶縁部材204を例えばテフロン(登録商標)とすることが好適である。
また、絶縁部材204の厚さをバイパスダイオード206の厚さよりも小さくすることが好適である。バイパスダイオード206を配置する際にアノード電極及びカソード電極が裏面電極層30の表面に触れるようにしておくことによって、バックシート208に圧力を加えて封止する際にバイパスダイオード206が裏面電極層30に向けて押圧され、アノード電極及びカソード電極が裏面電極層30に押し付けられ、ハンダ付け等の作業を行うことなくアノード電極及びカソード電極と裏面電極層30との良好な電気的接続を得ることができる。
さらに好適には、絶縁部材204の厚さをバイパスダイオード206の厚さの0.3倍以上0.7倍以下にするとよい。このように、絶縁部材204の厚さをバイパスダイオード206の厚さの半分程度にすることによって、裏面電極層30からバイパスダイオード206までの段差を絶縁部材204の段差によって滑らかに繋ぎ、それぞれの段差の幅を小さくすることができる。これにより、段差によるバックシート208の浮き上がりを抑制し、バックシート208の凹凸を低減することができる。
さらに、絶縁部材204の一面には接着材を塗布し、シール状に形成しておくことも好適である。絶縁部材204を裏面電極層30上に配置する際に、接着剤により絶縁部材204を裏面電極層30に貼り付けることができ、バイパスダイオード206を配置する際に絶縁部材204の位置がずれることがなくなり、より正確かつ迅速に絶縁部材204及びバイパスダイオード206の位置合わせを行うことができる。
また、図5の断面図及び図6の内部斜視図に示すように、絶縁部材204及びバイパスダイオード206上を覆うようにカバー部材212を設けてもよい。なお、図5は、絶縁部材204,バイパスダイオード206及びカバー部材212の延設方向に沿って光電変換装置300の断面構造を模式的に示した図である。また、図6は、本発明の特徴を明確に示すために、光電変換装置300のバックシート208及び充填材210を除去した状態の斜視図を示す。図6の内部斜視図では、構成を明確にするためにカバー部材212で覆われているバイパスダイオード206及び絶縁部材204の穴32を破線で示している。
カバー部材212は、絶縁性材料からなるテープ状、フィルム状又はシート状の部材である。カバー部材212は、絶縁部材204と同様に、バックシート208の封止処理における加熱に耐えられる程度の耐熱性を有することが好適である。加熱処理は150℃程度で行われるので、カバー部材212を例えばテフロン(登録商標)とすることが好適である。
カバー部材212により絶縁部材204及びバイパスダイオード206を覆うことで、バックシート208で封止を行う際に充填材210によって絶縁部材204の穴32が埋められることを防ぐことができる。これにより、充填材210がバイパスダイオード206のアノード電極及びカソード電極と裏面電極層30との間に入り込むことがなくなり、アノード電極及びカソード電極と裏面電極層30との電気的接触が不良になることを防ぐことができる。
また、裏面電極層30と絶縁部材204との間の段差、及び絶縁部材204とバイパスダイオード206との間の段差をカバー部材212で覆うことによって滑らかな傾斜とすることができる。これによって、これらの段差によるバックシート208の浮き上がりを抑制し、バックシート208の凹凸を小さくすることができる。
以上のように、本実施の形態の光電変換装置によれば、ホットスポットが発生した場合にバイパスダイオードによって光電変換セルの破損を防ぐことができる。さらに、光電変換装置を製造する際に、バイパスダイオードの設置を容易にすることができる。
20 基板、22 透明電極層、24 アモルファスシリコン光電変換ユニット、26 中間層、28 微結晶シリコン光電変換ユニット、30 裏面電極層、32 穴、200,300 光電変換装置、202 光電変換モジュール、204 絶縁部材、206 バイパスダイオード、208 バックシート、210 充填材、212 カバー部材。

Claims (5)

  1. スリットによって分割された光電変換セルを直列に接続した光電変換モジュールと、
    隣接する前記光電変換セルに跨って前記光電変換セルの裏面が露出する穴が開けられ、前記直列接続の方向に沿って延設された絶縁部材と、
    前記絶縁部材の穴内に、隣接する前記光電変換セルを跨って配置されたダイオードと、
    前記絶縁部材及び前記ダイオードと共に前記光電変換モジュールの裏面を封止するバックシートと、
    前記光電変換モジュールと前記バックシートとの間に充填される充填材と、
    を備えることを特徴とする光電変換装置。
  2. 請求項1に記載の光電変換装置であって、
    前記絶縁部材の穴を覆うカバー部材を備えることを特徴とする光電変換装置。
  3. 請求項1又は2に記載の光電変換装置であって、
    前記絶縁部材の厚さは、前記ダイオードの厚さよりも小さいことを特徴とする光電変換装置。
  4. 請求項3に記載の光電変換装置であって、
    前記絶縁部材の厚さは、前記ダイオードの厚さの半分以下であることを特徴とする光電変換装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の光電変換装置であって、
    前記絶縁部材は、前記光電変換モジュールと接着剤にて接着されていることを特徴とする光電変換装置。
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