JP2011192832A - 回路基板の製造方法、およびその回路基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成後の金属又は金属酸化膜の微細化、及び作業性の向上。
【解決手段】ヘッド1から吐出された液滴状のインク2が飛翔中、または基板3に着弾した直後にレーザー光4を照射して液滴状のインク中の金属ナノ粒子を隣接する粒子同士を結合させ、一部の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子を肥大化させることで、基板上に印刷されたインクは元々含まれていた微小径の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子と肥大化した金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子とが混在した状態にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットヘッドから微小な液滴状のインクを吐出し、デバイスのパターンに応じて基板上の必要な場所に液滴を着弾させて描画する回路基板の製造方法等に関する。
近年、ノートPCやスマートフォンに代表される電子機器の小型・薄型、軽量、高機能化にともなって電子部品は軽薄短小化が要求されている。特に低炭素社会を実現するために、産業界における製造プロセスも環境負荷の少ない形態に転換することも望まれている。この視点から、印刷技術をエレクトロニクスの製造に応用する技術が注目を集めており、プリンテッド・エレクトロニクスという新分野が隆盛している。プリンテッド・エレクトロニクスは従来のフォトリソグラフィ技術をベースとした成膜やエッチングを繰り返すプロセスとは異なり、必要な場所に必要な量の材料を塗布するプロセスで構成される。このため材料の無駄が少なく、エネルギー消費も少ない。
印刷技術にはフレキソ印刷法やグラビア印刷法、スクリーン印刷法などさまざまな手法があるが、なかでもインクジェット法はオンデマンドで回路の設計と製造が可能であり、かつ材料を除去することなくパターンを形成できることから、環境にやさしい技術として特に期待されている。
インクジェット法は、インクジェットヘッドから微小な液滴状のインクを吐出し、デバイスのパターンに応じて基板上の必要な場所に液滴を着弾させて描画する。インクは機能性材料を含む液体であり、導体の配線を形成する場合には銀錯体インク(銀を錯体化して溶媒に溶かしこんだインク)や銀ナノ粒子インク(銀を数nm〜数十nmの微粒子にして溶媒中に分散させたインク)が一般的に用いられる。ヘッドのノズルから吐出された液滴状のインクは、ヘッドとそれに対向する基板との間の空間を飛翔して基板に着弾する。着弾した液滴は基板とインクの界面エネルギーに従って基板上を流動し濡れ拡がる。インクの溶媒を蒸発させることで機能性材料からなる膜状のパターンが得られる。銀をはじめとする金属ナノ粒子インクの場合、さらに加熱処理することで銀粒子が焼結し、バルクに近い導電性を有する配線パターンを形成することができる。
銀ナノ粒子インクに数〜数十nmの極めて小さい粒子を用いる理由として、次の二つが挙げられる。一つはインク中での粒子の分散安定性を得るためである。金属は溶媒に比べて密度が数〜十数倍と大きいため重力により沈降し沈殿物を生成しやすい。そこで粒径を小さくすることで溶媒の粘性抵抗とブラウン運動の効果により安定した分散状態を実現できる。もう一つは、焼成温度を低温化するためである。金属粒子は微小化するにつれて融点が低下し、特に粒径が10nm程度から急激に降下することが知られている。例えば銀の融点はバルクの状態で961℃だが、十数nmでは百数十度程度まで降下すると考えられており、樹脂基板などにも容易に銀の回路を形成できる。なお、金属ナノ粒子を用いたインクでは、インク中で金属ナノ粒子同士が焼結しないよう、有機膜でコーティングされている。
従来のインクジェット法では、図3で模式的に示すように基板3に着弾した液滴21が大きく濡れ広がってしまうため微細なパターンを描画できないという問題があった。この対策として基板表面に撥液処理を施すことでインクの濡れ広がりを抑制するという手法がとられてきたが、バルジ効果と呼ばれる液滴の不均一な濡れ広がりやコーヒーステイン現象と呼ばれる膜厚の不均一性が生じやすくなることから、配線幅は30〜50μm程度が微細化の限界であった。
また、銀ナノ粒子インクには溶剤や分散剤をはじめとする多量の有機物が含まれるため、焼成後の銀膜にボイド(気泡空洞)が多数発生してしまい、バルクに比べて電気抵抗が桁違いに高くなるという問題が起きやすかった。
さらに、作業効率が低いという問題がある。実用的な低い抵抗の配線を得るためには配線の厚みをある程度とる必要があるが、金属ナノ粒子インクではインク中の金属含有量はせいぜい10体積%程度しかなく、また、このインクは基板上で大きく濡れ広がってしまうため、1つの液滴を着弾させただけではサブミクロン程度の厚さしか得られない。このため、厚い配線を得るためには何度も重ね塗りをしなければならなかった。
WO2009/072603 特開2006−239899 特開2004−288517
本発明の目的は、インクジェット法による基板への配線パターン形成において、金属または金属酸化膜の微細化及び作業性の向上を図ることができるインクジェット法及びインクジェット装置を提供することである。
本発明の一態様によれば、インクジェットヘッドから吐出された液滴状のインクが飛翔中、または基板に着弾した直後にレーザー光を液滴状のインクに照射し、その際レーザー光の波長を液滴状のインク内の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の表面プラズモンに起因する吸収帯に含まれる波長に選択して、液滴状のインク中の一部の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子を肥大化させ、基板上に印刷されたインクを微小径の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子と肥大化した前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子とが混在した状態にすることを特徴とするインクジェット法が提供される。
本発明の他の一態様によれば、前記インクジェットヘッドから吐出された液滴状のインクが飛翔中、または基板に着弾した直後にレーザー光を液滴状のインクに照射し、その際レーザー光の波長を液滴状のインク内の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の表面プラズモンに起因する吸収帯に含まれる波長に選択して、液滴状のインク中の一部の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子を肥大化させ、基板上に印刷されたインクを微小径の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子と肥大化した前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子とが混在した状態にすることを特徴とするインクジェット法であって、前記インクは、金属又は金属酸化物で粒径が100nm以下の微粒子が含まれていることをさらに特徴とする前記インクジェット法が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、前記インクジェットヘッドから吐出された液滴状のインクが飛翔中、または基板に着弾した直後にレーザー光を液滴状のインクに照射し、その際レーザー光の波長を液滴状のインク内の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の表面プラズモンに起因する吸収帯に含まれる波長に選択して、液滴状のインク中の一部の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子を肥大化させ、基板上に印刷されたインクを微小径の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子と肥大化した前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子とが混在した状態にすることを特徴とするインクジェット法であって、前記レーザー光の波長が、前記インク内の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子の吸収帯ピーク付近であることをさらに特徴とする前記インクジェット法が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、前記インクジェットヘッドから吐出された液滴状のインクが飛翔中、または基板に着弾した直後にレーザー光を液滴状のインクに照射し、その際レーザー光の波長を液滴状のインク内の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の表面プラズモンに起因する吸収帯に含まれる波長に選択して、液滴状のインク中の一部の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子を肥大化させ、基板上に印刷されたインクを微小径の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子と肥大化した前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子とが混在した状態にすることを特徴とするインクジェット法であって、前記レーザー光の照射を吐出した液滴ごとに行なうことをさらに特徴とする前記インクジェット法が提供される。
またさらに、本発明の他の一態様によれば、前記インクジェットヘッドから吐出された液滴状のインクが飛翔中、または基板に着弾した直後にレーザー光を液滴状のインクに照射し、その際レーザー光の波長を液滴状のインク内の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の表面プラズモンに起因する吸収帯に含まれる波長に選択して、液滴状のインク中の一部の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子を肥大化させ、基板上に印刷されたインクを微小径の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子と肥大化した前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子とが混在した状態にすることを特徴とするインクジェット法を用いて回路を設けた前記基板が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、前記インクジェットヘッドから吐出された液滴状のインクが飛翔中、または基板に着弾した直後にレーザー光を液滴状のインクに照射し、その際レーザー光の波長を液滴状のインク内の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の表面プラズモンに起因する吸収帯に含まれる波長に選択して、液滴状のインク中の一部の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子を肥大化させ、基板上に印刷されたインクを微小径の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子と肥大化した前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子とが混在した状態にすることを特徴とするインクジェット法を用い前記回路を設けた前記基板を用いた電子部品又は電子装置が提供される。
またさらに、本発明の他の一態様によれば、前記基板に液滴状のインクを着弾させるインクジェットヘッド及び前記インクジェットヘッドから吐出された前記液滴状のインクが飛翔中、または前記基板に着弾した直後にレーザー光を照射するレーザーを有することを特徴とするインクジェット装置が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、前記基板に液滴状のインクを着弾させるインクジェットヘッド及び前記インクジェットヘッドから吐出された前記液滴状のインクが飛翔中、または前記基板に着弾した直後にレーザー光を照射する前記レーザーを有し、前記レーザー光の波長は、前記インク中の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の表面プラズモンに起因する吸収帯に含まれる波長であることを特徴とする前記インクジェット装置が提供される。
本発明によれば、低抵抗かつ微細な配線パターンを得ることができ、さらに、容易に厚膜の配線を形成することができる。
本発明の概念図である。 金属ナノ粒子のサイズごとのレーザー波長に対する吸収率を示すグラフである。 従来技術の概念図である。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。液滴状のインクに照射する光はレーザー光に限定されないが、ここではレーザー光を用いた説明を行う。
図1は本発明を模式的に図示する。本実施形態では、図1に示すように、インクジェットヘッド1は、配線が形成される基板3に対しインクが基板に着弾するように、配置される。インクジェットヘッド1から吐出された前記金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子を含有する前記液滴状のインク2が、飛翔中、または前記基板3に着弾した直後にレーザー光4を照射するレーザー5が配置される。
なお、金属ナノ粒子を、導電性を有する金属酸化物ナノ粒子とすることも当然可能であるが、以下の記載では、煩雑さを避けるため、金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子を単に金属ナノ粒子と呼称することがある。
本発明の一態様によれば、概念図である図1に示すように、インクジェットヘッド1から吐出された液滴状のインク2が飛翔中、または基板3に着弾した直後にレーザー光4を照射する。その際レーザー光4の波長を金属ナノ粒子の表面プラズモンに起因する吸収帯に含まれる波長に選択して液滴状のインク2中の金属ナノ粒子を、隣接する粒子と結合させる。これによりインク中の一部の金属ナノ粒子を肥大化させることで、基板上に印刷されたインクを微小径の金属ナノ粒子と肥大化した金属ナノ粒子とが混在した状態にすることを特徴とする。
また、上述の記載において、「混在」とは、肥大化した金属ナノ粒子と肥大化していない金属ナノ粒子の他、金属ナノ粒子が結合した粒子が含まれていても良い。
その意義を次に述べる。
金属の内部では自由電子が集団的に振動しており、これをプラズモンという。一般的にプラズモンは光と相互作用しないが、金属の表面には光と相互作用する特殊なプラズモンが存在し、これを表面プラズモンと呼んでいる。相互作用するとはすなわち光を吸収するということであり、特定の波長帯で顕著になる現象である。この様子を図2に示す。図2には、金属ナノ粒子(Au)のサイズ(粒径)によって、該金属ナノ粒子が吸収する光の波長のピークが変化する様子が示されている。図2では、金属ナノ粒子のサイズがそれぞれ2nm、12nm、50nmであるときの光吸収率の波長依存性がそれぞれ、一点鎖線、実線、点線で示されている。図2で、吸収ピークの光の波長は、対応する金属ナノ粒子の表面プラズモンの波長である。
そこで、金属ナノ粒子の表面プラズモンと相互作用する光をインクの液滴に照射すると、インク内の特定サイズの金属ナノ粒子だけを選択的に加熱することができ、前記特定サイズの金属ナノ粒子のみ、肥大化を容易に進行させることができる。
また表面プラズモンの振動周波数が粒径によっても異なるため、粒子が肥大化するにつれてレーザー光との相互作用が弱くなり、加熱されにくくなる。これにより、レーザー光を過剰に照射したとしても金属ナノ粒子が過度に肥大化することはない。
なお表面プラズモンの振動周波数は、金属の種類によっても異なるものである。
本発明の実施態様として好ましくは、インクの溶媒に吸収されない光の波長を選択する。これにより、溶媒の急激な蒸発を防ぐことが出来る。そのため溶媒の蒸発に起因する液滴状のインクの飛翔軌道の変動を低く抑えることができ、着弾位置精度を低下させないですむことになる。
本発明の実施態様として好ましくは、レーザー光の照射をインクが吐出するタイミングと同調させて、特定の液滴を選択的に照射することである。この意義は以下の通りである。
レーザー光を液滴状のインクに確実に照射するためにはビーム径を液滴よりも大きくすることが好ましい。しかしこの場合、光の強度が大きいと一つの液滴に含まれる金属ナノ粒子は全て肥大化してしまう可能性がある。そこで例えば1番目の液滴には照射し、2番目の液滴には照射しない、といったように液滴ごと照射する又は照射しないを制御する。
基板に着弾したインクはその流動性により隣接する(すなわち直前に着弾した)インクと混じりあうため、結果的に粒径の異なる金属ナノ粒子が混在した状態にできる。
なお上記手段は、組み合わせて用いることができる。
本実施形態によれば、基板に着弾したインク及び基板を加熱して焼成すると、肥大化した金属ナノ粒子が存在することで低抵抗の配線を得やすい。また、レーザー光が照射されていない微小径の金属ナノ粒子も存在することで“低温で焼成できる”という特性が損なわれない。また、肥大化した粒子の隙間に微小径の粒子が入って堆積するため、有機物の割合が少なくボイドは出来にくくなる。この効果によっても低抵抗な配線を得やすくなる。
さらに、金属ナノ粒子の肥大化はインクジェットヘッド内では起こらないため、インク中の金属ナノ粒子の分散性が悪いということが起きない。したがって、インクジェットヘッド内でインクが目詰まりすることがない。
さらに、光を照射することで溶媒がある程度蒸発するためインクの流動性は低下する。これにより基板に着弾した後の濡れ広がりは小さくなるので、微細な配線を得ることができ、また液滴状のインクを重ね打ちしてもコーヒーステイン現象が起こりにくくなるので容易に厚膜で均一な配線を形成することができる。
本発明で適用される「インク」を以下に例示する。
(1)ナノ粒子が溶媒中に分散したインクで、平均粒径が100nm以下のものが好ましい。それより大きいと粒子がインク内で沈降してしまい、インクジェットヘッド内で目詰まりを起こしてしまうためである。また、平均粒径が100nm以上であれば、融点が高いため焼結温度を高温にしなければならず、基板に熱ダメージを及ぼすので適さない。
(2)ナノ粒子は金、銀、銅、パラジウム、白金、錫、 ビスマス、コバルト、クロム、鉄、ニッケル、インジウム、チタン、亜鉛のうち少なくとも1つを含む金属および/または合金、または金属酸化物を含むものが好ましい。
(3)ナノ粒子は個々に有機皮膜でコーティングされていることが好ましい。
(4)前記溶媒はヘキサン、トルエン、デカン、テトラデカンなどの炭化水素系溶剤、またはオレイルアルコールなどの不飽和脂肪族アルコール、または2−オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、イソトリデシルアルコールなどの分鎖状脂肪族アルコール、またはミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸エチルなどのエステル系溶媒を含むものが好ましい。
以下の実施例で全ての液滴にレーザーパルスを照射したものがあるが、レーザーの出力が小さく照射時間も短いため、金属ナノ粒子の一部だけが肥大化したものと推測される。液滴の飛翔速度はヘッドの性能に依るが毎秒数mである。このため、レーザー光をパルス発振から連続発振に変更しても照射時間は数μ秒と短くて済むので良い。
ポリイミド樹脂基板上に、平均粒径が5nmのAuナノ粒子インクをインクジェット法で印刷した。インクジェットヘッドはピエゾ駆動型を用い、約6plの液滴状のインクを200Hzの周期で吐出させた。インクジェットヘッドは基板表面から約1mm離してあり、レーザー光はその中間付近に向かってほぼ水平方向から照射させている。レーザーは、Nd-YAGレーザーの第二高調波(波長532nm、25mJ/pulse)を使用した。レーザーの発振周波数を100Hzとし、インクジェットヘッドの吐出タイミングを同期させることで、レーザー光がヘッドから吐出された液滴状のインクに一つおきに照射されるよう調整した。また基板には加熱を行なわなかった。
基板に着弾したインクをTEMで観察したところ、数十nmの大きな粒子が見つかった。調査した結果、これは多数の微粒子が凝集した構造体と一つの粒子とに分類できた。一方で、レーザー光を照射せずにインクジェット法で印刷したインクからはこのような粒子が見つからなかった。このことから、レーザー照射することでインク中の金属ナノ粒子の凝集と融合(肥大化)が進行していることが確認できた。
そこで、インクジェット法で基板にAuナノ粒子インクを印刷し、250℃、60分の加熱を行なって焼結処理をしたところ金色の光沢をもつ回路パターンが得られた。この電気抵抗率はおよそ10μΩ・cmで、バルクの2.21μΩ・cmの4倍程度の良質な薄膜を得ることができた。
さらに粒子の成長をより効率的に進行させる目的で、レーザー強度を100mJ/Pulseにして同様の実験を行なったところ、液滴の溶媒が急激に蒸発してしまい、液滴を所定の位置に着弾させることができなくなった。そこで、基板に着弾する直前あるいは直後にレーザー光を照射することで、着弾位置のばらつきをなくした。
さらにレーザー強度を300mJ/Pulseにしたところ、液滴が霧散してしまった。このことから、レーザー強度は適切に選択することが重要であることがわかった。
エポキシ基板上に平均粒径が4nmのAgナノ粒子インクをインクジェット法で印刷した。インクジェットヘッドはピエゾ駆動型を用い約4plの液滴状のインクを200Hzの周期で吐出させ、レーザーはチタンサファイアレーザーの第二高調波(波長420nm、8mJ/Pulse)を使用した。レーザーの発振周波数は液滴状のインクの吐出と同じ200Hzで、全ての液滴が、基板に着弾する前にほぼ水平方向にレーザー光が照射されるようにした。また、基板は45℃に加熱しておいた。
Agナノ粒子インクを印刷した基板に220℃、10分の加熱をして焼結処理を行なったところ、銀色の光沢をもつ回路パターンが得られた。この電気抵抗率はおよそ8μΩ・cmで、バルクの1.59μΩ・cmの5倍程度の良質な薄膜を得ることができた。
ここでは全ての液滴にレーザー光を照射したが、レーザーの出力が小さく照射時間も短いため、金属ナノ粒子の一部だけが肥大化したものと推測している。このことから、レーザーをパルス発振から連続発振(CW)に変更してもかまわない。
エポキシ基板上に平均粒径が4nmのAgナノ粒子インクをインクジェット法で印刷した。インクジェットヘッドは静電吸引型を用い、約1plの液滴状のインクを1kHzの周期で吐出させ、レーザーはチタンサファイアレーザーの第二高調波(波長420nm、5mJ/Pulse)を使用した。レーザーの発振周波数は2kHzで、全ての液滴にレーザー光が着弾直後に照射されるようにした。レーザー光は基板に着弾した液滴に対し斜め上方から照射した。また、基板には加熱を行なわなかった。
Agナノ粒子インクを印刷した基板に220℃、60分の加熱をして焼結処理を行なったところ、銀色の光沢をもつ回路パターンが得られた。この電気抵抗率はおよそ6μΩ・cmで、バルクの1.59μΩ・cmの4倍程度の良質な薄膜を得ることができた。
シリコン基板上に平均粒径が16nmのCuナノ粒子インクをインクジェット法で印刷した。約4plの液滴状のインクを200Hzの周期で吐出させ、レーザーは色素レーザー(波長560nm、40mJ/Pulse)を使用した。レーザーの発振周波数は液滴状のインクの吐出と同じ200Hzで、全ての液滴にレーザーが照射されるようにした。また、基板は40℃に加熱しておいた。
Cuナノ粒子インクを印刷した基板に350℃、60分(大気中)及び350℃、30分(98%N+2%H)の加熱をして焼結処理を行なったところ、銅色の光沢をもつ回路パターンが得られた。この電気抵抗率はおよそ20μΩ・cmで、バルクの1.68μΩ・cmの13倍程度の良質な薄膜を得ることができた。
ガラス基板上に平均粒径が20nmのITOナノ粒子インクをインクジェット法で印刷した。約25plの液滴状のインクを1kHzの周期で吐出させ、レーザーはOPOレーザー(波長1500nm、0.3W)を使用した。レーザーの発振はCWで、全ての液滴にレーザーが照射されるようにした。また基板には加熱を行なわなかった。
ITOナノ粒子インクを印刷した基板に300℃、30分の加熱をして焼結処理を行なったところ、透明な回路パターンが得られた。シート抵抗で500μΩ/cm2であった。
なお、実施態様として、基板にレーザー光を照射して、間接的に金属ナノ粒子を加熱しても良い。
さらに、基板を加熱しておくことは必須ではない。
なお、レーザー光の照射位置とその効果について述べる。
液滴状のインクが飛翔中(すなわち、インクジェットノズルから吐出されてから基板に着弾する直前)までにレーザー光を照射する場合、基板の表面状態に影響されることなく、同一条件で照射できるという利点がある。また、液滴状のインクが基板に着弾した直後にレーザー光を照射する場合、インクを透過した光は基板表面で反射し、再度インクに照射するので、効率が良いという利点がある。
1 インクジェットヘッド
2 飛翔中の液滴状のインク
21 従来技術における基板に着弾した液滴状のインク
22 本発明における基板に着弾した液滴状のインク
3 基板
4 レーザー光
5 レーザー

Claims (8)

  1. インクジェットヘッドから吐出された液滴状のインクが飛翔中、または基板に着弾した直後にレーザー光を液滴状のインクに照射し、その際レーザー光の波長を液滴状のインク内の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の表面プラズモンに起因する吸収帯に含まれる波長に選択して、インク中の一部の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子を肥大化させ、前記基板上に印刷されたインクを微小径の前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子と肥大化した前記金属ナノ粒子又は前記金属酸化物ナノ粒子とが混在した状態にすることを特徴とするインクジェット法。
  2. 前記インクは、金属又は金属酸化物で粒径が100nm以下の微粒子が含まれていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット法。
  3. 前記レーザー光の波長が、前記インク内の前記金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の吸収帯ピーク付近であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のインクジェット法。
  4. 前記レーザー光の照射を吐出した液滴ごとに行なうこと特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット法で回路を設けた基板。
  6. 請求項5記載の基板を用いた電子部品又は電子装置。
  7. 基板に液滴状のインクを着弾させるインクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドから吐出された前記液滴状のインクが飛翔中、または前記基板に着弾した直後にレーザー光を照射するレーザーを有することを特徴とするインクジェット装置。
  8. 前記レーザー光の波長は、前記液滴状のインク中の金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子の表面プラズモンに起因する吸収帯に含まれる波長であることを特徴とする請求項7記載のインクジェット装置。
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