JP2011191154A - 高架橋における不同変位計測システム - Google Patents

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Abstract


【課題】 離間配置された2つの高架橋構造物間に生じる目違いや角折れを計測し、それによって列車軌道の健全性を迅速かつ効率的に評価する。
【解決手段】本発明に係る不同変位計測システム1は、2台の構造物用変位センサー3,3を備えるるとともに、それらを構成する円筒状ケーシング5を、高架橋構造物2b,2c,2d,2dにそれぞれ固着する一方、高架橋構造物2a,2b,2c,2dの端部には、ロッド状をなす計測補助部材22を、その材軸が橋軸方向と平行となるように突設し、該計測補助部材に、その材軸に沿って直線移動自在となるように2つのスライダー21,21を取り付けた上、構造物用変位センサー3を構成する中空ピストン状部材6を連結ロッド8を介してスライダー21にそれぞれピン接合してあり、中空ピストン状部材6,6は、それらの進退軸線が互いに平行になるよう、スライダー21,21にそれぞれピン接合してある。
【選択図】 図2

Description

本発明は、主として目違いや角折れといった高架橋の不同変位を計測する際に用いられる高架橋における不同変位計測システムに関する。
道路用や鉄道用の高架橋は、鉄筋コンクリート(以下、RC)のラーメン架構で下部工を構築する場合が多く、大地震時においては、該RCラーメン架構を構成する柱の地震時挙動が高架橋全体の耐震性に大きく影響する。
すなわち、大地震時においては、橋軸方向又はそれに直交する方向への柱の曲げ変形によって柱脚部あるいは柱頭部が塑性化し、それがコンクリートの剥離あるいは剥落を招いて曲げ変形がさらに進行するといった事態が懸念される。
そのため、RCラーメン架構を構成する柱の曲げ変形を計測するセンサーやそれを用いたシステムが開発されており(特許文献1,2)、かかるセンサーによれば、地震を受けている間に柱がどれだけ曲げ変形したかを最大応答部材角として計測することができるとともに、この計測結果を利用すれば、例えば鋼板巻立てされていることで外部から目視が不可能な柱の場合であっても、その損傷状況、特に塑性化の進行状況を適切に把握することが可能となる。
特開2008−51676号公報 特開2008−51675号公報
一方、鉄道用の高架橋は、支持地盤の違いや地上の交通状況等に応じて、ラーメン高架橋、調整桁、架道橋といったさまざまな種類の高架橋構造物を組み合わせて構築されており、全体としては、相異なる複数の高架橋構造物が橋軸方向に沿って配列されたものとなる。
そのため、鉄道用高架橋は、場所によって異なる地震時挙動を呈することになり、例えば橋軸方向に沿って離間配置された2つのラーメン高架橋が互いに異なる固有周期で橋軸直交方向に振動し、その結果、これら2つのラーメン高架橋の端部同士が不同変位を生じる場合がある。
かかる不同変位のうち、橋軸直交方向に沿った相対変位は目違い、回転方向の相対変位は角折れと呼ばれているが、かかる目違いや角折れは、高架橋上部工のスラブに敷設された列車軌道に撓みや座屈を生じさせる原因となり、列車の走行安定性に大きな影響を及ぼす。
しかしながら、従来においては、どの程度の目違いや角折れが生じているのかを把握できるシステムが構築されていないため、列車軌道の撓みや座屈の有無あるいは程度を大地震後に目視観察せざるを得ず、結果として列車運転を停止している時間、いわゆるダウンタイムが長くなるという問題を生じていた。
加えて、上述した目視観察では、地震後の軌道の撓みや座屈状況を把握することはできても、地震によってどの程度まで変形を受けたのかを把握することはできないため、軌道の損傷状況を適切に把握することは困難であるという問題も生じていた。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、離間配置された2つの高架橋構造物間に生じる目違いや角折れを計測し、それによって列車軌道の健全性を迅速かつ効率的に評価することが可能な高架橋における不同変位計測システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る高架橋における不同変位計測システムは請求項1に記載したように、可動側部材を固定側部材に対して進退自在となるように対向配置するとともに前記固定側部材と前記可動側部材との部材間相対変位を計測できるように構成されてなる変位計測手段を用いて互いに離間配置された2つの高架橋構造物間の不同変位を計測する高架橋における不同変位計測システムであって、
前記変位計測手段を2台備え、前記2つの高架橋構造物のうち、一方の高架橋構造物に前記各変位計測手段を構成する固定側部材をそれぞれ固着するとともに、2つのスライダーを他方の高架橋構造物又はそれに剛接された計測補助部材に直線移動自在に設置し、前記各変位計測手段を構成する可動側部材を、それらの進退軸線が互いに平行になるように前記各スライダーにそれぞれピン接合したものである。
また、高架橋における不同変位計測システムは、前記変位計測手段を、前記進退軸線に沿った前記可動側部材の進退動作が前記固定側部材によって案内されるように構成するとともに、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第1の被摺動部材と、他方の部材に固着され前記第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられた第1の摺動部材とを備え、前記第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の両端が第1のポテンショメータの固定端子、前記第1の摺動部材に設けられた接点が前記第1のポテンショメータの可動端子として機能するように構成したものである。
また、高架橋における不同変位計測システムは、前記変位計測手段は、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第2の被摺動部材と、該第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられ前記進退軸線に沿って進退自在に配置された第2の摺動部材と、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第3の被摺動部材と、該第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられ前記進退軸線に沿って進退自在に配置された第3の摺動部材とを備え、
前記第2の摺動部材は、前記固定側部材に対する前記可動側部材の所定方向移動に伴って前記固定側部材及び前記可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、反対方向移動に対しては前記他方の部材とともに移動することなく前記一方の部材に対する位置を保持するようになっており、
前記第3の摺動部材は、前記固定側部材に対する前記可動側部材の反対方向移動に伴って前記固定側部材及び前記可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、所定方向移動に対しては前記他方の部材とともに移動することなく前記一方の部材に対する位置を保持するようになっており、
前記第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、その両端が第2のポテンショメータの固定端子として機能し、前記第2の摺動部材に設けられた接点は、前記第2のポテンショメータの可動端子として機能し、
前記第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、その両端が第3のポテンショメータの固定端子として機能し、前記第3の摺動部材に設けられた接点は、前記第3のポテンショメータの可動端子として機能するようになっているものである。
また、高架橋における不同変位計測システムは、前記第2の被摺動部材を前記固定側部材に固着するとともに前記第2の摺動部材をその基端側が前記可動側部材の端面に当接自在となるように構成し、前記第3の被摺動部材を前記固定側部材に固着するとともに前記第3の摺動部材をその基端側が前記可動側部材に挿通された状態で該可動側部材の背面で係止自在となるように構成したものである。
また、高架橋における不同変位計測システムは、前記固定側部材と前記可動側部材との部材間相対変位をデータ処理する演算処理部を備え、該演算処理部は、前記進退軸線同士の垂直離間距離をD、前記進退軸線と前記スライダーの移動軸線とがなす角度をα、前記進退軸線から水平目違い評価ラインまでの垂直距離をRとしたとき、次式、
θ=tan-1((δB−δA)sinα
/(D/sinα−δAcosα+δBcosα)) (1)
δ=(δAsinα−(R/sinα+δAcosα)tanθ)
/(sinα−cosαtanθ) (2)
δA、δB;部材間相対変位
によって前記他方の高架橋構造物に対する前記一方の高架橋構造物の相対回転角θと目違いδをそれぞれ算出するようになっているものである。
また、高架橋における不同変位計測システムは、前記一方の高架橋構造物の橋軸に平行になるように前記他方の高架橋構造物から計測補助部材を突設して該計測補助部材に前記各スライダーを設置するとともに、前記各可動側部材の進退軸線を前記一方の高架橋構造物の橋軸に直交させ、前記θ及び前記δを、次式、
θ=tan-1((δB−δA)/D) (1′)
δ=δA−Rtanθ (2′)
で算出するものである。
本実施形態に係る高架橋における不同変位計測システムにおいては、変位計測手段を構成する固定側部材を、一方の高架橋構造物に固着するとともに、同じく変位計測手段を構成する可動側部材を他方の高架橋構造物に連結してある。
このようにすると、地震による揺れによって2つの高架橋構造物間に角折れや目違いが生じたとき、かかる不同変位に伴って可動側部材が進退軸線に沿って進退動作し、固定側部材との距離が変化するので、かかる固定側部材と可動側部材との部材間相対変位を計測することにより、高架橋構造物間の相対変位を知ることができる。
また、本発明においては、変位計測手段を2台備えるとともに、それらを構成する各可動側部材の進退軸線が互いに平行になるように構成してあるため、高架橋構造物間の相対変位が互いに平行でかつ相異なる2つのライン上で計測される。
そのため、例えば2つのラインを平面内に設定しておくと、該2つのラインに沿って得られた2つの相対変位を用いて、橋軸に直交する水平方向に沿った相対変位(水平目違い)及び鉛直軸線廻りの相対回転角(水平面内の角折れ)を求めることができるとともに、2つのラインを鉛直面内に設定しておけば、鉛直方向に沿った相対変位(鉛直目違い)及び水平軸線廻りの相対回転角(鉛直面内の角折れ)を求めることができる。
また、一方の高架橋構造物が他方の高架橋構造物に対して相対的に橋軸方向又はそれに直交する方向にのみ変位する場合には、可動側部材の進退軸線が他方の高架橋構造物の定点を常に通ることとなり、該他方の高架橋構造物側での連結構造は簡易なもので足りるが、両者が相対的に回転する場合、可動側部材の進退軸線はそれ自体が回転するため、他方の高架橋構造物上の定点を常に通らないことになり、他方の高架橋構造物側への連結自体が困難となる。
しかし、本発明においては、他方の高架橋構造物にスライダーを直線移動自在に設置し、該スライダーに可動側部材を接合してあるため、可動側部材の進退軸線の回転に追従することが可能となる。
加えて、2つの高架橋構造物が相対回転して角折れが発生する場合、可動側部材の進退軸線と他の高架橋構造物との取合い角度も変化するが、本発明においては、可動側部材をスライダーにピン接合してあるため、かかる取合い角度の変化にも追従することが可能となる。
水平面内あるいは鉛直面内における剛体の移動は、回転角度を直接計測しないという前提においては、本来、相異なる2点における直交2方向の相対変位、すなわち4自由度を計測する必要があるが、本発明によれば、変位計測手段を2台設置する、つまり2自由度を計測するだけで、2つの高架橋構造物間の目違い及び角折れを同時に知ることを可能ならしめるものであって、計測すべき自由度を大幅に減らすことが可能となる。
具体的には、以下の算出手順を演算処理部で行えばよい。
すなわち、進退軸線同士の垂直離間距離をD、進退軸線とスライダーの移動軸線とがなす角度をα、進退軸線から水平目違い評価ラインまでの垂直距離をRとしたとき、次式、
θ=tan-1((δB−δA)sinα
/(D/sinα−δAcosα+δBcosα)) (1)
δ=(δAsinα−(R/sinα+δAcosα)tanθ)
/(sinα−cosαtanθ) (2)
δA、δB;進退軸線に沿って計測された2つの相対変位
によって他方の高架橋構造物に対する一方の高架橋構造物の相対回転角θと目違いδをそれぞれ算出する。
ここで、一方の高架橋構造物の橋軸に平行になるように他方の高架橋構造物から計測補助部材を突設して該計測補助部材に各スライダーを設置するとともに、各可動側部材の進退軸線を一方の高架橋構造物の橋軸に直交させるようにすれば、αを90゜にすればよいので、上述のθ及びδは、次式、
θ=tan-1((δB−δA)/D) (1′)
δ=δA−Rtanθ (2′)
で算出することができる。
このように、スライダーは、他方の高架橋構造物に直接設置するほか、他方の高架橋構造物に計測補助部材を剛接し、該計測補助部材に設けることが可能であり、要するに他方の高架橋構造物と一体化し全体として剛体挙動するのであれば、どのような部位に設けてもかまわない。
変位計測手段は、固定側部材と可動側部材との部材間相対変位を計測できるのであれば、その構成は任意であるが、例えば、進退軸線に沿った可動側部材の進退動作が固定側部材によって案内されるように構成するとともに、固定側部材及び可動側部材のうち、一方の部材に固着された第1の被摺動部材と、他方の部材に固着され第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられた第1の摺動部材とを備え、第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の両端が第1のポテンショメータの固定端子、第1の摺動部材に設けられた接点が第1のポテンショメータの可動端子として機能するように構成することができる。
かかる構成においては、可動側部材は、固定側部材に案内されつつ該固定側部材に対して進退するとともに、第1の摺動部材の先端に設けられた接点は、第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子上を摺動する。
したがって、地震による揺れが収束したとき、電気抵抗素子に対する接点の位置を求めることによって、初期位置からの接点のずれを、高架橋構造物間に生じた目違いや角折れといった残留相対変位として評価することができるとともに、該残留相対変位から高架橋上部工のスラブに敷設された列車軌道の撓みや座屈といった変形状況を把握することも可能となり、かくして地震後における列車の走行安定性を迅速かつ適切に評価し、ひいては地震後の列車運行システムにおけるダウンタイムを大幅に短縮することが可能となる。
上述した変位計測手段(第1の変位計測手段)は、高架橋構造物間に生じる残留変位の計測のみを目的としたものであって、かかる計測により、列車運行システムのダウンタイムを大幅に短縮することができるが、列車軌道の健全性は、必ずしも軌道に生じた撓みや座屈といった変形状況でのみ評価できるとは限らず、地震継続中に軌道が受けた変形履歴、特にその最大変形量が重要な判断指標となることがある。
かかる場合においては、第2の被摺動部材及び第2の摺動部材を用いた第2のポテンショメータと、第3の被摺動部材及び第3の摺動部材を用いた第3のポテンショメータをさらに備えることで、残留変位のみならず、正負両方向に沿った高架橋構造物間の最大相対変位を計測するようにすればよい(第2の変位計測手段)。
すなわち、第2の変位計測手段においては、第2の被摺動部材を、固定側部材及び可動側部材のうち、一方の部材、例えば固定側部材に固着するとともに、該第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられた第2の摺動部材を進退軸線に沿って進退自在に配置し、該第2の摺動部材を、固定側部材に対する可動側部材の所定方向移動(以下、負方向移動と呼ぶ)に伴って、固定側部材及び可動側部材のうちの他方の部材、例えば可動側部材とともに移動し、反対方向移動(以下、正方向移動と呼ぶ)に対しては、例えば可動側部材とともに移動することなく固定側部材に対する位置を保持するように構成してある。
また、第2の変位計測手段においては、第3の被摺動部材を、固定側部材及び可動側部材のうち、一方の部材、例えば固定側部材に固着するとともに、該第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられた第3の摺動部材を進退軸線に沿って進退自在に配置し、該第3の摺動部材を、正方向移動に伴って固定側部材及び可動側部材のうちの他方の部材、例えば可動側部材とともに移動し、負方向移動に対しては、例えば可動側部材とともに移動することなく固定側部材に対する位置を保持するように構成してある。
このようにすると、第2の摺動部材は、可動側部材が固定側部材に対して負方向移動するときのみ、例えば可動側部材とともに移動するため、その先端に設けられた接点及び該接点が摺動する第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、該接点を可動端子、該電気抵抗素子の両端を固定端子とした第2のポテンショメータとして機能するとともに、負方向移動に沿った固定側部材に対する可動側部材の最大相対変位を計測するピークセンサーとなり、かくして2つの高架橋構造物間に生じた負側の最大相対変位を計測することが可能となる。
同様に、第3の摺動部材は、可動側部材が固定側部材に対して正方向移動するときのみ、例えば可動側部材とともに移動するため、その先端に設けられた接点及び該接点が摺動する第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、該接点を可動端子、該電気抵抗素子の両端を固定端子とした第3のポテンショメータとして機能するとともに、正方向移動に沿った固定側部材に対する可動側部材の最大相対変位を計測するピークセンサーとなり、かくして2つの高架橋構造物間に生じた正側の最大相対変位を計測することが可能となる。
第2の摺動部材は、固定側部材に対する可動側部材の負方向移動に伴って固定側部材及び可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、正方向移動に対しては他方の部材とともに移動することなく一方の部材に対する位置を保持するように構成される限り、その具体的な構成は任意であるが、第2の被摺動部材が固定側部材に固着される場合には、第2の摺動部材の基端側が可動側部材の端面に当接自在となるように構成することができる。
また、第3の摺動部材は、固定側部材に対する可動側部材の正方向移動に伴って固定側部材及び可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、負方向移動に対しては他方の部材とともに移動することなく一方の部材に対する位置を保持するように構成される限り、その具体的な構成は任意であるが、第3の被摺動部材が固定側部材に固着される場合には、第3の摺動部材の基端側が可動側部材に挿通された状態で該可動側部材の背面で係止自在となるように構成することができる。
高架橋構造物には、ラーメン高架橋、調整桁及び桁橋が少なくとも含まれるものとし、離間配置された2つの高架橋構造物としては、ラーメン高架橋同士、ラーメン高架橋と調整桁、桁橋同士、ラーメン高架橋と桁橋、調整桁と桁橋の各組み合わせが少なくとも包摂される。なお、ラーメン高架橋同士の組み合わせはさらに、ラーメン高架橋の張出し部が互いに対向するタイプと、背割れタイプのものが含まれる。
第1の被摺動部材及び第1の摺動部材は、第1の被摺動部材を固定側部材に、第1の摺動部材を可動側部材にそれぞれ固着してもよいし、逆に、第1の被摺動部材を可動側部材に、第1の摺動部材を固定側部材にそれぞれ固着してもよい。また、第2の被摺動部材や第3の被摺動部材は、固定側部材と可動側部材のいずれに固着するようにしてもかまわない。
第1のポテンショメータ、第2のポテンショメータ及び第3のポテンショメータは、いずれも地震が収束した後に、固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子と固定端子間の電圧を計測できれば足りるものであり、常時通電しておく必要はない。
本実施形態に係る高架橋における不同変位計測システムのブロック図。 本実施形態に係る高架橋における不同変位計測システムの図であり、(a)は全体配置図、(b)は設置状況を示す平面図。 スライダー21の構造を示した図であり、(a)は平面図、(b)はA−A線方向の矢視図。 本実施形態に用いる構造物用変位センサー3を詳細に示した縦断面図。 水平目違いδと角折れθが生じている様子を示した平面図。 水平目違いδと角折れθの導出手順を示した説明図。 地震収束後における構造物用変位センサー3を示した縦断面図。 変形例に係る図であり、(a)は構造物用変位センサーの詳細断面図、(b)はそれを用いた高架橋における不同変位計測システムのブロック図。
以下、本発明に係る高架橋における不同変位計測システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る高架橋における不同変位計測システム1を示したブロック図、図2はその配置図及び平面図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る高架橋における不同変位計測システム1は、高架橋構造物2a,2b,2c,2d,2eのうち、隣り合う位置で離間配置された2つの高架橋構造物の間にそれぞれ設置してある。
高架橋構造物2a,2b,2c,2d,2eは共通の橋軸に沿って連続配置してあり、高架橋構造物2aは、図2(a)で言えば右側に張出し部を有するラーメン高架橋、高架橋構造物2bは、同じく左側に張出し部を有するラーメン高架橋、高架橋構造物2cは調整桁、高架橋構造物2dは、右側に張出し部を有するラーメン高架橋、高架橋構造物2eは、左側に張出し部を有するラーメン高架橋であり、調整桁である高架橋構造物2cは、ラーメン高架橋2b,2dの間に架け渡してある。
高架橋における不同変位計測システム1は図1に示したように、変位計測手段としての構造物用変位センサー3,3を2台備えるとともに該構造物用変位センサーを演算処理部4に電気接続する一方、図2(b)に示すように、構造物用変位センサー3を、固定側部材としての円筒状ケーシング5の内部に可動側部材としての中空ピストン状部材6を進退自在に嵌挿した状態で対向配置し、円筒状ケーシング5を一方の高架橋構造物としての高架橋構造物2b,2c,2d,2dにそれぞれ固着してある。
他方の高架橋構造物である高架橋構造物2a,2b,2c,2dの端部には、ロッド状をなす計測補助部材22を、その材軸が橋軸方向と平行となるように突設してあるとともに、該計測補助部材には、その材軸に沿って直線移動自在となるように2つのスライダー21,21を取り付けてあり、上述した中空ピストン状部材6は、該中空ピストン状部材から延設された連結ロッド8を介してスライダー21にそれぞれピン接合してある。
ここで、構造物用変位センサー3,3をそれぞれ構成する中空ピストン状部材6,6は、それらの進退軸線が互いに平行になるよう、本実施形態では、橋軸に直交する水平方向に一致させた状態で互いに平行になるよう、スライダー21,21にそれぞれピン接合してある。
なお、図中、Dは、中空ピストン状部材6,6の進退軸線同士の垂直離間距離を示し、Rは、進退軸線から水平目違い評価ライン、ここでは高架橋構造物間の中心線までの垂直距離を示しているが、これらについては後ほど詳述する。
スライダー21は図3に示すように、一対のローラ31,31を矩形フレーム32の内側に平行に配置するとともに該ローラの間に計測補助部材22を挿通することができるようになっており、取付けロッド8の先端に固定された二股状取付け部材33をピン34,34を介して矩形フレーム32の両側に連結することにより、中空ピストン状部材6をそれに延設された取付けロッド8の先端において回動自在かつ移動自在となるように計測補助部材22に連結してある。
中空ピストン状部材6は中空円筒体で形成してあるとともに、円筒状ケーシング5は、その材軸を進退軸線として該進退軸線に沿った中空ピストン状部材6の進退動作を案内する固定側部材として機能するよう、中空ピストン状部材6の外径より若干大きな内径を有する有底の中空円筒体で形成してある。
図4は、構造物用変位センサー3の詳細を示した縦断面図である。同図でわかるように、円筒状ケーシング5には、これを一方の部材として該円筒状ケーシングを構成する端板17の内面に第1の被摺動部材としての被摺動部材10aを固着してあるとともに、円筒状ケーシング5の端板17の内面と向かい合う中空ピストン状部材6の端板15の対向面には、該中空ピストン状部材を他方の部材として、第1の摺動部材としての摺動部材13aを固着してあり、これら被摺動部材10a及び摺動部材13aは、摺動部材13aの先端に設けられた接点12aが被摺動部材10aに設けられた電気抵抗素子11aの上を摺動自在となるように位置決めしてある。
ここで、電気抵抗素子11aは、その両端が第1のポテンショメータの固定端子として機能し、摺動部材13aに設けられた接点12aは、該第1のポテンショメータの可動端子として機能する。
また、円筒状ケーシング5の端板17の内面には、第2の被摺動部材としての被摺動部材10bを固着してあるとともに、第2の摺動部材としての摺動部材13bを、中空ピストン状部材6の進退軸線に沿った進退動作が可能となるよう、端板17の内面とそれに向かい合う中空ピストン状部材6の端板15の対向面との間に配置してある。
摺動部材13bは、その基端14が中空ピストン状部材6の端板15の対向面に当接自在となるように構成してあり、かかる構成により、摺動部材13bは、円筒状ケーシング5に対する中空ピストン状部材6の負方向移動(同図では右方向)に伴い、該中空ピストン状部材に押し込まれるようにして中空ピストン状部材6とともに移動し、正方向移動(同図では左方向)に対しては、中空ピストン状部材6から離れて円筒状ケーシング5に対する位置を保持するようになっている。
ここで、被摺動部材10b及び摺動部材13bは、摺動部材13bの先端に設けられた接点12bが被摺動部材10bに設けられた電気抵抗素子11bの上を摺動自在となるように位置決めしてあり、電気抵抗素子11bは、その両端が第2のポテンショメータの固定端子として機能し、摺動部材13bに設けられた接点12bは、該第2のポテンショメータの可動端子として機能する。
また、円筒状ケーシング5の端板17の内面には、第3の被摺動部材としての被摺動部材10cを固着してあるとともに、第3の摺動部材としての摺動部材13cを、中空ピストン状部材6の進退軸線に沿って進退動作が可能となるように配置してある。
摺動部材13cは、その基端側に設けられた係止部材16が中空ピストン状部材6の端板15の背面で係止されるようになっており、かかる構成により、摺動部材13cは、円筒状ケーシング5に対する中空ピストン状部材6の正方向移動に伴い、該中空ピストン状部材に引っ張られるようにして中空ピストン状部材6とともに移動し、負方向移動に対しては、中空ピストン状部材6の動きに追従せず、円筒状ケーシング5に対する位置を保持するようになっている。
ここで、被摺動部材10c及び摺動部材13cは、摺動部材13cの先端に設けられた接点12cが被摺動部材10cに設けられた電気抵抗素子11cの上を摺動自在となるように位置決めしてあり、電気抵抗素子11cは、その両端が第3のポテンショメータの固定端子として機能し、摺動部材13cに設けられた接点12cは、該第3のポテンショメータの可動端子として機能する。
演算処理部4は、電気抵抗素子11aの両端に設けられた2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子である接点12aと一方の固定端子との電圧を計測することで、電気抵抗素子11aに対する接点12aの位置を計測するとともに、その計測された位置と初期位置との関係から円筒状ケーシング5に対する地震収束後の中空ピストン状部材6の部材間相対変位を残留変位として算出するようになっている。
また、演算処理部4は、電気抵抗素子11bの両端に設けられた2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子である接点12bと一方の固定端子との電圧を計測することで、電気抵抗素子11bに対する接点12bの位置を計測するとともに、その計測された位置と初期位置との関係から円筒状ケーシング5に対する中空ピストン状部材6の部材間相対変位を負方向最大相対変位として算出するようになっている。
同様に、演算処理部4は、電気抵抗素子11cの両端に設けられた2つの固定端子間に基準電圧を印加した状態で可動端子である接点12cと一方の固定端子との電圧を計測することで、電気抵抗素子11cに対する接点12cの位置を計測するとともに、その計測された位置と初期位置との関係から円筒状ケーシング5に対する中空ピストン状部材6の部材間相対変位を正方向最大相対変位として算出するようになっている。
ここで、演算処理部4は、上述のように計測された部材間相対変位を用いて、高架橋構造物2a,2b,2c,2d,2eのうち、隣り合う位置で離間配置された2つの高架橋構造物の間に生じた相対変位のうち、橋軸に直交する水平方向の相対変位、すなわち水平目違いδと、鉛直軸線廻りの相対回転角、すなわち水平面内の角折れθを算出するようになっている。
演算処理部4は、例えば無線ネットワークを介して、遠隔地に設置されたコンピュータ(図示せず)から制御自在に構成するとともに、該コンピュータに随時データを転送するように構成することが可能である。
本実施形態に係る高架橋における不同変位計測システム1を用いて高架橋構造物間に生じた不同変位を計測するには、まず、図2(a)のように高架橋構造物2a,2b間、高架橋構造物2b,2c間、高架橋構造物2c,2d間及び高架橋構造物2d,2e間にそれぞれ不同変位計測システム1を上述したように設置するとともに、該不同変位計測システムを構成する構造物用変位センサー3の摺動部材13a,13b,13cを中立位置にリセットしておく。
次に、地震が到来したとき、その収束を待って、接点12a,12b,12cの位置を構造物用変位センサー3ごとに計測するとともに、該計測値を用いて部材間相対変位を算出する。かかる計測及び算出は、演算処理部4で行う。
図5は、地震収束後、高架橋構造物2a,2bに橋軸に直交する水平方向に沿って水平目違いδが生じ、鉛直軸線廻りに角折れθが生じている様子を示したものである。
かかる状況において、構造物用変位センサー3,3で計測された部材間相対変位が、それぞれδA、δBであるとき、水平目違いδと水平面内の角折れθは、次式、
θ=tan-1((δB−δA)/D) (1′)
δ=δA−Rtanθ (2′)
によって算出することができる。ここで、Dは上述したように、中空ピストン状部材6,6の進退軸線同士の垂直離間距離、同様にRは、進退軸線から水平目違い評価ラインまでの垂直距離である。
図6は、かかる算出式の導出手順を示すための説明図である。同図に示すように、構造物用変位センサー3,3でそれぞれ計測された部材間相対変位をそれぞれδA、δBとしたとき、水平目違いδと水平面内の角折れθは、δA、δBを用いて、次式、
θ=tan-1((δB−δA)sinα
/(D/sinα−δAcosα+δBcosα)) (1)
δ=(δAsinα−(R/sinα+δAcosα)tanθ)
/(sinα−cosαtanθ) (2)
により算出することができる。
ここで、αは、構造物用変位センサー3,3を構成する中空ピストン状部材6,6の進退軸線とスライダー21の移動軸線とがなす角度であり、本実施形態ではαは90゜となるため、上述のようにのように簡略化されるが、同図では、構造物用変位センサー3,3の配置角度(進退軸線の角度)や計測補助部材22の突設角度が任意の場合にも適用できるよう、一般化した状態で示してある。また、同図では、構造物用変位センサー3,3の円筒状ケーシング5が固着された右側の高架橋構造物が、計測補助部材22が突設された左側の高架橋構造物に対して時計廻りに回転した場合を示しているが、幾何学上の便宜から計測補助部材22の方を反時計廻りに回転させて示してある。
また、構造物用変位センサー3で計測される相対変位は、残留変形、正方向最大値及び負方向最大値の3種類であって、水平目違いδや角折れθを算出するために用いる部材間相対変位δA、δBとしては主として残留変形の値を採用するが、これとは別に、正方向最大相対変位や負方向最大相対変位を採用すれば、それぞれの最大値に対応する水平目違い量や角折れ量を算出することが可能である。
図7は、地震収束後の構造物用変位センサー3の状況を一例として示したものである。同図の例では、中空ピストン状部材6が初期位置から左方向にずれていることからもわかる通り、正方向に残留変位が発生しており、かかる残留変位は、摺動部材13aの先端に設けられた接点12aの位置から求めることができる。また、係止部材16がさらにその左方向にずれたところで止まっていることからもわかる通り、比較的大きな正方向最大相対変位が発生しており、かかる正方向の最大相対変位は、摺動部材13cの先端に設けられた接点12cの位置から求めることができる。また、負方向の最大相対変位は、摺動部材13bの先端に設けられた接点12bの位置から求めることができる。
算出された水平目違いδや角折れθは、列車軌道の変形状況、ひいては、列車が脱線することなく安定して走行できるかどうかの指標として用いることができる。また、水平目違いδや角折れθという形で最終的に残留しなくても、地震継続中に大きな変形をしていれば、目に見えない形で損傷を受けている懸念があるが、上述した正負両方向の最大相対変位を用いることにより、それらに対応した水平目違い量や角折れ量を算出すれば、列車軌道自体の損傷のみならず、該列車軌道を支持するバラストの崩れや、スラブ板の固定モルタルの損傷を推定することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る不同変位計測システム1によれば、構造物用変位センサー3を2台備えるとともに、それらを構成する中空ピストン状部材6,6の進退軸線が互いに平行になるように配置したので、高架橋構造物間の相対変位δA、δBは、互いに平行でかつ相異なる2つのライン上で計測されることとなり、かくしてかかる2つの部材間相対変位δA、δBを用いて、橋軸に直交する水平方向に沿った水平目違いδ及び鉛直軸線廻りの角折れθを求めることが可能となる。
また、本実施形態に係る高架橋における不同変位計測システム1によれば、高架橋構造物2a,2b,2c,2dに計測補助部材22を突設するとともに該計測補助部材にスライダー21を直線移動自在に設置し、かかるスライダー21に中空ピストン状部材6をピン接合するようにしたので、角折れに伴う中空ピストン状部材6の進退軸線自体の回転や該進退軸線と高架橋構造物2a,2b,2c,2dとの取合い角度の変化にも追従が可能となり、水平目違いや角折れをより正確に計測することができるとともに、構造物用変位センサー3に進退軸線に沿った自由度以外の外力が作用して該構造物用変位センサーに損傷を与える懸念もない。
また、本実施形態に係る高架橋における不同変位計測システム1によれば、地震による揺れによって、2つの高架橋構造物2a,2b、高架橋構造物2b,2c、高架橋構造物2c,2d、高架橋構造物2d,2eに相対変位が生じたとき、かかる相対変位に伴い、中空ピストン状部材6は、円筒状ケーシング5に案内されつつ該円筒状ケーシングの材軸に沿って進退するとともに、摺動部材13a,13b,13cの先端に設けられた接点12a,12b,12cは、被摺動部材10a,10b,10cに設けられた電気抵抗素子11a,11b,11c上をそれぞれ摺動するが、摺動部材13aは、その基端を中空ピストン状部材6に固着してあるため、中空ピストン状部材6の動きに追従し、摺動部材13bは、その基端側で中空ピストン状部材6に当接するようになっているため、正方向への移動が制限され、摺動部材13cは、その基端側で中空ピストン状部材6の端板15の背面側に係止されるため、負方向への移動が制限される。
したがって、地震による揺れが収束したとき、電気抵抗素子11aに対する接点12aの位置を演算処理部4で計測することにより、初期位置からの接点12aのずれを、高架橋構造物間に生じた残留相対変位として求めることができるとともに、該残留相対変位から高架橋上部工のスラブに敷設された列車軌道の残留変形を推定することも可能となり、かくして地震後における列車の走行安定性を迅速かつ適切に評価し、ひいては地震後の列車運行システムにおけるダウンタイムを大幅に短縮することが可能となる。
また、電気抵抗素子11b,11cに対する接点12b,12cの位置を演算処理部4でそれぞれ計測することにより、初期位置からの接点12b,12cのずれを、高架橋構造物間に生じた負方向及び正方向の最大相対変位としてそれぞれ求めることができるとともに、該正負の最大相対変位から高架橋上部工のスラブに敷設された列車軌道の最大変形量を推定することも可能となり、上述した残留変形と併せて、列車軌道の健全性をさらに適切に判断することができる。
本実施形態では、水平目違いδと水平面内の角折れθを計測する場合について説明したが、図2(b)で示した配置を鉛直面内に置き換えることにより、上述した実施形態と全く同様に鉛直目違いと鉛直面内の角折れを計測することが可能である。
また、本実施形態では特に言及しなかったが、正負方向の最大相対変位を計測する必要がないのであれば、第2のポテンショメータ及び第3のポテンショメータを省略してもかまわない。
図8は、変形例に係る構造物用変位センサー61とそれを用いた高架橋における不同変位計測システム62を示したものであり、構造物用変位センサー61は構造物用変位センサー3と同様、円筒状ケーシング5と該円筒状ケーシングの内部に嵌挿された可動側部材としての中空ピストン状部材6とをそれぞれ備え、円筒状ケーシング5には、これを一方の部材として該円筒状ケーシングを構成する端板17の内面に第1の被摺動部材としての被摺動部材10aを固着してあるとともに、円筒状ケーシング5の端板17の内面と向かい合う中空ピストン状部材6の端板15の対向面には、該中空ピストン状部材を他方の部材として、第1の摺動部材としての摺動部材13aを固着してあり、これら被摺動部材10a及び摺動部材13aは、摺動部材13aの先端に設けられた接点12aが被摺動部材10aに設けられた電気抵抗素子11aの上を摺動自在となるように位置決めしてあるとともに、構造物用変位センサー61を演算処理部4に電気接続することで、高架橋における不同変位計測システム62を構築してある。
かかる構成においては、正負方向の最大相対変位を計測することができないものの、残留変位については上述と同様の作用効果を奏するものであり、列車軌道の健全性を残留変形のみで判断可能である場合には、比較的安価なコストで地震収束後の被災状況を広い範囲にわたって瞬時に把握することができる。なお、本変形例に係る作用効果については、残留変位に関する限り、上述の実施形態と同様であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
1,62 高架橋における不同変位計測システム
2a,2b,2c,2d,2e
高架橋構造物
3,61 構造物用変位センサー(変位計測手段)
4 演算処理部
5 円筒状ケーシング(固定側部材)
6 中空ピストン状部材(可動側部材)
10a,10b,10c 被摺動部材
11a,11b,11c 電気抵抗素子
12a,12b,12c 接点
13a,13b,13c 摺動部材
16 係止部材
21 スライダー
22 計測補助部材

Claims (6)

  1. 可動側部材を固定側部材に対して進退自在となるように対向配置するとともに前記固定側部材と前記可動側部材との部材間相対変位を計測できるように構成されてなる変位計測手段を用いて互いに離間配置された2つの高架橋構造物間の不同変位を計測する高架橋における不同変位計測システムであって、
    前記変位計測手段を2台備え、前記2つの高架橋構造物のうち、一方の高架橋構造物に前記各変位計測手段を構成する固定側部材をそれぞれ固着するとともに、2つのスライダーを他方の高架橋構造物又はそれに剛接された計測補助部材に直線移動自在に設置し、前記各変位計測手段を構成する可動側部材を、それらの進退軸線が互いに平行になるように前記各スライダーにそれぞれピン接合したことを特徴とする高架橋における不同変位計測システム。
  2. 前記変位計測手段を、前記進退軸線に沿った前記可動側部材の進退動作が前記固定側部材によって案内されるように構成するとともに、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第1の被摺動部材と、他方の部材に固着され前記第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられた第1の摺動部材とを備え、前記第1の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の両端が第1のポテンショメータの固定端子、前記第1の摺動部材に設けられた接点が前記第1のポテンショメータの可動端子として機能するように構成した請求項1記載の高架橋における不同変位計測システム。
  3. 前記変位計測手段は、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第2の被摺動部材と、該第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられ前記進退軸線に沿って進退自在に配置された第2の摺動部材と、前記固定側部材及び前記可動側部材のうち、一方の部材に固着された第3の被摺動部材と、該第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子の上を摺動する接点が先端に設けられ前記進退軸線に沿って進退自在に配置された第3の摺動部材とを備え、
    前記第2の摺動部材は、前記固定側部材に対する前記可動側部材の所定方向移動に伴って前記固定側部材及び前記可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、反対方向移動に対しては前記他方の部材とともに移動することなく前記一方の部材に対する位置を保持するようになっており、
    前記第3の摺動部材は、前記固定側部材に対する前記可動側部材の反対方向移動に伴って前記固定側部材及び前記可動側部材のうちの他方の部材とともに移動し、所定方向移動に対しては前記他方の部材とともに移動することなく前記一方の部材に対する位置を保持するようになっており、
    前記第2の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、その両端が第2のポテンショメータの固定端子として機能し、前記第2の摺動部材に設けられた接点は、前記第2のポテンショメータの可動端子として機能し、
    前記第3の被摺動部材に設けられた電気抵抗素子は、その両端が第3のポテンショメータの固定端子として機能し、前記第3の摺動部材に設けられた接点は、前記第3のポテンショメータの可動端子として機能するようになっている請求項2記載の高架橋における不同変位計測システム。
  4. 前記第2の被摺動部材を前記固定側部材に固着するとともに前記第2の摺動部材をその基端側が前記可動側部材の端面に当接自在となるように構成し、前記第3の被摺動部材を前記固定側部材に固着するとともに前記第3の摺動部材をその基端側が前記可動側部材に挿通された状態で該可動側部材の背面で係止自在となるように構成した請求項3記載の高架橋における不同変位計測システム。
  5. 前記固定側部材と前記可動側部材との部材間相対変位をデータ処理する演算処理部を備え、該演算処理部は、前記進退軸線同士の垂直離間距離をD、前記進退軸線と前記スライダーの移動軸線とがなす角度をα、前記進退軸線から水平目違い評価ラインまでの垂直距離をRとしたとき、次式、
    θ=tan-1((δB−δA)sinα
    /(D/sinα−δAcosα+δBcosα)) (1)
    δ=(δAsinα−(R/sinα+δAcosα)tanθ)
    /(sinα−cosαtanθ) (2)
    δA、δB;部材間相対変位
    によって前記他方の高架橋構造物に対する前記一方の高架橋構造物の相対回転角θと目違いδをそれぞれ算出するようになっている請求項1乃至請求項4のいずれか一記載の高架橋における不同変位計測システム。
  6. 前記一方の高架橋構造物の橋軸に平行になるように前記他方の高架橋構造物から計測補助部材を突設して該計測補助部材に前記各スライダーを設置するとともに、前記各可動側部材の進退軸線を前記一方の高架橋構造物の橋軸に直交させ、前記θ及び前記δを、次式、
    θ=tan-1((δB−δA)/D) (1′)
    δ=δA−Rtanθ (2′)
    で算出する請求項5記載の高架橋における不同変位計測システム。
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