JP2011190425A - 接着剤樹脂組成物、硬化物及び接着剤フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】繰り返し高温環境に置かれても、配線層と接着剤層との接着力を低下させない接着剤層を形成可能な接着剤樹脂組成物を提供する。
【解決手段】接着剤樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和二重結合を有するシロキサン含有ポリイミド樹脂及び(B)ビスフェノール型ビニルエステル樹脂、を含有し、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対し、(B)成分を25重量部以下の範囲で含有する。(A)成分に含まれるエチレン性不飽和二重結合は、(B)成分のビスフェノール型ビニルエステル樹脂と反応し、架橋を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、多層プリント基板やフレキシブルプリント配線板等の回路基板に用いられる接着剤樹脂組成物に関するものである。
近年、電子機器の高性能化が急速に進んでおり、これに伴い電子機器に用いられる電子部品やそれらを実装する基板に対しても、より高密度で高性能なものへと要求が高まっている。一方、電子機器は益々軽量化、小型化、薄型化の傾向にあり、電子部品を収容するスペースは狭まる一方である。このため多層基板の需要はますます多くなっている。また、リジッドプリント配線板に代わり、フレキシブルプリント配線板(FPC;Flexible Printed Circuits)が多用されるようになってきた。FPCとは、可撓性のある絶縁フィルムと、例えば銅箔等を、接着剤等を用いて積層し、これに配線加工を施したものであり、薄く、軽量で、立体配線の自由度が高く、しかも回路中に可動部分を組み込むことができるため、年々需要が増大している。
プリント配線板を積層して多層基板を作成したり、異種の回路材料を複合化する工程においては種々の接着剤が用いられている。例えば、接着剤フィルムは多層プリント配線板製造等の回路が形成された凹凸面同士の接着に用いた場合、回路面への充填性と高い接着性が要求される。また、FPCには、配線部分を保護する目的でカバーレイフィルムが用いられ、カバーレイフィルムは、ポリイミド樹脂などの合成樹脂製のカバーレイ用フィルム材と接着剤層とを積層して形成されている。FPCの製造においては、例えば熱プレス等の方法を用いて回路基板に接着剤層を介してカバーレイ用フィルム材を貼り付けている。接着剤層は、銅配線などの回路配線パターンとカバーレイ用フィルム材との両方に対して、高い接着性が要求される。
このような多層基板やFPC用の接着剤として、比較的低温の熱圧着条件で加工が可能で、耐熱性などの特性に優れたものとして、シロキサンユニットを有するポリイミド樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂に、リン酸エステル系、フタル酸エステル系、ポリエステル系及び脂肪酸エステル系から選ばれる1種以上の可塑剤を配合してなるプリント基板用接着剤樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。
一般に、多層基板用接着剤やFPC用接着剤として200℃以下の低温圧着が可能で、しかも接着強度、長期耐熱性、配線加工時の寸法安定性などに優れた材料が求められる。
特開平10−212468号公報
ところで、FPCを使用した自動車の車載用電子機器では、繰り返し150℃程度の高温環境に置かれるため、長期間の使用でFPCの接着剤層と配線との接着力が低下し、配線保護機能が大幅に低下してしまうという問題が生じている。FPCの用途拡大に伴い、車載用電子機器に限らず、同様に過酷な温度環境でFPCが使用される場面は今後も増加していくものと予想される。このことから、高温環境で使用されるFPCにおいて、接着剤の接着力の低下に対して対策を講ずることが強く求められている。
従って、本発明の課題は、繰り返し高温環境に置かれても、配線層と接着剤層との接着力を低下させない接着剤樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記問題について原因の究明を行った結果、高温が繰返される環境での長期間の使用により、銅配線中の銅が接着剤層へ拡散していく現象に注目した。そして、この銅の拡散が、接着力低下の主な要因であり、銅の拡散を抑制することによって、高温環境でも長期間に亘り優れた接着性を維持できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の接着剤樹脂組成物は、下記(A)成分及び(B)成分、
(A)エチレン性不飽和二重結合を有するシロキサン含有ポリイミド樹脂
(B)ビスフェノール型ビニルエステル樹脂
を含有する接着剤樹脂組成物であって、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対し、(B)成分を25重量部以下の範囲で含有することを特徴とする。
また、本発明の接着剤樹脂組成物は、(A)成分の原料であるジアミン成分が、シロキサンジアミンと、エチレン性の不飽和二重結合を有する芳香族ジアミンと、を含有し、全ジアミン成分100モルに対し、エチレン性の不飽和二重結合を有する芳香族ジアミンを1〜70モル含有するものであってもよい。
また、本発明の接着剤樹脂組成物は、(A)成分の原料であるジアミン成分が、エチレン性不飽和二重結合を有するシロキサンジアミンを含有し、全ジアミン成分100モルに対し、エチレン性の不飽和二重結合を有するシロキサンジアミンを1〜100モル含有するものであってもよい。
また、本発明の接着剤樹脂組成物は、平均粒径が2〜25μmの範囲内の板状の無機フィラーを、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、5〜200重量部さらに含有するものであってもよい。
本発明の硬化物は、上記いずれかに記載の接着剤樹脂組成物を硬化して得られるものである。
本発明の接着剤フィルムは、上記いずれかに記載の接着剤樹脂組成物を、フィルム状に成形してなるものである。
本発明の接着剤樹脂組成物は、比較的低温の熱圧着条件で加工でき、接着強度、耐熱性に優れ多層基板用接着剤やFPC用接着剤フィルムに好適である。しかも、高温環境下に置かれても配線層との接着力を保持することから、過酷な温度環境で使用される接着剤としても好適である。従って、本発明の接着剤樹脂組成物は、用途は特に限定されないが、例えば、車載用電子機器に用いられるFPC用の接着剤フィルムとして有用である。
また、本発明の接着剤フィルムに用いられるシロキサンユニットを有するポリイミド樹脂は溶剤可溶性であるため、(B)成分との架橋形成が可能であるとともに、シロキサンユニットを有するため熱圧着時に良好な流動性を示し、被接着物に対して優れた充填性及び密着性を有する。また、シロキサンユニットを有するポリイミド樹脂にアクリル架橋構造を導入することにより、高温環境での使用が繰返されても、優れた密着性を長期間に亘り維持できる。より具体的には、大気中、150℃、1000時間の長期耐熱性試験後において、長期耐熱性試験後の銅配線層と接着剤層との剥離強度を0.2kN/m以上、40%を超える接着強度保持率を有する優れた長期耐熱性を示す。
本発明の接着剤樹脂組成物(以下、樹脂組成物ともいう)は、上記(A)及び(B)成分を含有する。(A)成分は、エチレン性不飽和二重結合を有するシロキサン含有ポリイミド樹脂であり、(B)成分はビスフェノール型ビニルエステル樹脂である。(A)成分と(B)成分は、熱処理によって架橋し、優れた接着性と耐熱性を有する接着剤層を形成することができる。但し、熱処理前においても樹脂組成物の一部が架橋していてもよい。
本発明に用いる(A)成分は、その分子構造中にエチレン性不飽和二重結合(以下、「エチレン性不飽和結合」と略することもある)を有するシロキサン含有ポリイミド樹脂であり、分子内に重合可能なエチレン性不飽和結合を有することにより、(B)成分のビスフェノール型ビニルエステル樹脂と反応性を有し、架橋可能となるシロキサン含有ポリイミド樹脂である。ここで、(A)成分のシロキサン含有ポリイミド樹脂は、エチレン性不飽和結合部位での(B)成分との架橋形成が有効に行われるために、イミド構造となっており、完全にイミド化された構造が最も好ましい。但し、ポリイミド樹脂の一部がアミド酸となっていてもよく、そのイミド化率は90%以上が望ましいが、イミド化率は95%以上が好ましく、より好ましくは99%以上がよい。なお、イミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(市販品:日本分光製FT/IR620)を用い、1回反射ATR法にてポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを測定することによって、1015cm−1付近のベンゼン環吸収体を基準とし、1780cm−1のイミド基に由来するC=O伸縮の吸光度から算出される。
[シロキサン含有ポリイミド樹脂]
(A)成分は、原料として、テトラカルボン酸二無水物を含む酸無水物成分と、ジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるシロキサン含有ポリイミド樹脂であり、その分子構造中にシロキサン結合(Si−O−Si)を有するものである。ポリイミド樹脂中にシロキサン結合を導入することにより、本発明の接着剤樹脂組成物に加熱圧着時の流動性を与え、プリント回路配線上での充填性を向上させることができる。シロキサン結合はテトラカルボン酸二無水物中に存在してもよく、ジアミン中に存在してもよい。
また、(A)成分は、その分子構造中にエチレン性不飽和結合を有する1価の有機基を含有するが、例えば、以下の(イ)〜(ハ)のいずれかの手段の少なくとも1つを採用することにより、その分子構造中に不飽和結合を有する1価の有機基を付与することができる。
(イ)酸無水物成分として、エチレン性不飽和結合を有する1価の有機基がSi原子に直接結合したシロキサンテトラカルボン酸二無水物を使用すること、
(ロ)ジアミン成分として、エチレン性不飽和結合を有する1価の有機基がSi原子に直接結合したシロキサンジアミンを使用すること、及び
(ハ)ジアミン成分として、エチレン性不飽和結合を有する1価の有機基を含有する芳香族ジアミンを使用すること。
(A)成分のシロキサン含有ポリイミド樹脂を製造するために使用されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記の一般式(1)で表されるシロキサンテトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
Figure 2011190425
[式(1)中、R、R’は独立に3価の炭素数1〜4の脂肪族基又は芳香族基を示し、R〜Rは独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基を示し、nは1〜50の整数を示すが、平均繰り返し数は1〜20である]
また、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記の式(2)及び(3)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2011190425
[式(2)及び(3)において、Yは単結合又は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−NH−若しくは−CONH−から選ばれる2価の基を示す]
芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、2,2”,3,3’−、2,3,3’,4’−又は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−、1,2,4,5−、1,4,5,8−、1,2,6,7−又は1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,6−又は2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−(又は1,4,5,8−)テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−(又は2,3,6,7−)テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−、2,2’,3,3’−又は2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4” −、2,3,3”,4”−又は2,2”,3,3”−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)−プロパン二無水物、ビス(2,2−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,3,8,9−、3,4,9,10−、4,5,10,11−又は5,6,11,12−ペリレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−、1,2,6,7−又は1,2,9,10−フェナンスレン−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物等を挙げることができる。これらの中でも好ましいテトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,2,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、2種以上を組み合わせて配合することもできる。
(A)成分のシロキサン含有ポリイミド樹脂を製造するために使用されるジアミンとしては、例えば、下記の一般式(4)で表されるシロキサンジアミンを挙げることができる。
Figure 2011190425
[式(4)中、R11及びR12は独立に2価の炭化水素基を示し、R〜Rは独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基を示し、nは1〜50の整数を示すが、平均繰り返し数は1〜20である]
シロキサンジアミンの具体例として、下記の一般式(5)〜(9)が好ましく、これらのシロキサンジアミンにおけるnの平均は、好ましくは1〜20の範囲であり、より好ましくは5〜15の範囲である。この範囲より少ないと接着剤フィルムとしての充填性が低下するので好ましくない。また、この範囲より多いと接着性が低下するので好ましくない。
Figure 2011190425
また、芳香族ジアミンとしては、例えば、下記の式(10)及び(11)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2011190425
[式(10)及び(11)において、R21は独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、Xは単結合又は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−NH−若しくは−CONH−から選ばれる2価の基を示し、nは独立に0〜4の整数を示す]
芳香族ジアミンの具体例としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−p−ターフェニル等が挙げられるが、有機溶剤に対する可溶性を向上させる目的で、2,2−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、3,3−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、4,4−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、3,3−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン等の3つ以上の芳香環を有するジアミンを用いることが好ましい。
(A)成分のシロキサン含有ポリイミド樹脂を製造するために使用されるエチレン性不飽和結合を有するテトラカルボン酸二無水物としては、上記の一般式(1)において、R、R’は独立に3価の炭素数1〜4の脂肪族基又は芳香族基を示し、R〜Rは独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基を示すが、Rは炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基、又は炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基で置換されていてもよい炭素数1〜6の炭化水素基を示し、かつ、分子内で少なくとも1つのRは炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基を含んでおり、nは1〜50の整数を示すが、平均繰り返し数は1〜20である。ここで、Rにおける「炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基」は、好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基、−R−OCO−CR=CH(Rは直結合又は炭素数1〜4の2価の連結基であり、Rは水素又はメチル基である)で表わされる(メタ)アクリロキシ基含有基、又は−R−CO−CR=CH(Rは直結合又は炭素数1〜4の2価の連結基であり、Rは水素又はメチル基である)である。より好ましくは、炭素数2〜4のアルケニル基又は(メタ)アクリロキシ基である。
また、(A)成分のシロキサン含有ポリイミド樹脂を製造するために使用されるエチレン性不飽和結合を有するシロキサンジアミンとしては、上記の一般式(4)において、R11及びR12は独立に2価の炭化水素基を示し、R〜Rは独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基を示すが、Rは炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基、又は炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基で置換されていてもよい炭素数1〜6の炭化水素基を示し、かつ、分子内で少なくとも1つのRは炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基を含んでおり、nは1〜50の整数を示すが、平均繰り返し数は1〜20である。ここで、Rにおける「炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基」は、好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基、−R−OCO−CR=CH(Rは直結合又は炭素数1〜4の2価の連結基であり、Rは水素又はメチル基である)で表わされる(メタ)アクリロキシ基含有基、又は−R−CO−CR=CH(Rは直結合又は炭素数1〜4の2価の連結基であり、Rは水素又はメチル基である)である。より好ましくは、炭素数2〜4のアルケニル基又は(メタ)アクリロキシ基である。
また、(A)成分のシロキサン含有ポリイミド樹脂を製造するために使用されるエチレン性不飽和結合を有する芳香族ジアミンとしては、上記の一般式(10)又は(11)において、R21は独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示すが、一般式(10)又は(11)の芳香族ジアミンのそれぞれの分子内において、少なくとも1つのR21は、炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基、又は炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基で置換されている炭素数1〜6の炭化水素基を示し、Xは単結合又は炭素数1〜15の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−NH−若しくは−CONH−から選ばれる2価の基を示し、nは独立に0〜4の整数を示す。ここで、R21における「炭素数2〜6のエチレン性不飽和結合を有する1価の基」は、好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基、−R−OCO−CR=CH(Rは直結合又は炭素数1〜4の2価の連結基であり、Rは水素又はメチル基である)で表わされる(メタ)アクリロキシ基含有基、又は−R−CO−CR=CH(Rは直結合又は炭素数1〜4の2価の連結基であり、Rは水素又はメチル基である)である。より好ましくは、炭素数2〜4のアルケニル基又は(メタ)アクリロキシ基である。
(A)成分の原料であるジアミン成分としては、接着剤に優れた耐熱性を付与する観点から、シロキサンジアミンと、エチレン性の不飽和二重結合を有する芳香族ジアミンと、を含有し、全ジアミン成分100モルに対し、エチレン性の不飽和二重結合を有する芳香族ジアミンを1〜70モル含有するものであることが好ましく、1〜10モル含有するものであることがより好ましい。
また、(A)成分の原料であるジアミン成分としては、シロキサンジアミンの中にエチレン性不飽和二重結合を有するシロキサンジアミンを含有することが好ましく、全ジアミン成分100モルに対し、エチレン性の不飽和二重結合を有するシロキサンジアミンを1〜100モル含有するものであることが好ましい。このように、シロキサンジアミンの中にエチレン性の不飽和結合を有するシロキサンジアミンを含有することで、樹脂組成物における溶剤可溶性の低下を抑制することができる。
本発明に用いる(A)成分は、例えば本発明の接着剤樹脂組成物をフィルム状に形成する際に、そのフィルム成形性が良好な溶剤可溶性とすることが望ましい。溶剤可溶性を有するポリイミド樹脂として好適に用いられる例としては、下記の一般式(12)で表される構成単位(I)、及び下記の一般式(13)で表される構造単位(II)を含有するものを挙げることができる。特に良好な溶剤可溶性を付与する観点から、より好ましくは、構成単位(I)と構成単位(II)とのモル比(I/II)が、30/70〜100/0であることがよく、更に好ましくは、構成単位(I)と構成単位(II)とのモル比(I/II)が、35/65〜100/0であることがよい。別の観点から、(A)成分中における式(12)で表される構成単位(I)の存在量は、より好ましくは30モル%〜100モル%の範囲内、更に好ましくは35モル%〜100モル%の範囲内である。
Figure 2011190425
[式(12)中、Arは4価の芳香族基を示し、R11及びR12は独立に2価の炭化水素基を示し、R〜Rは独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基を示し、nは1〜50の整数を示すが、平均繰り返し数は1〜20である]
Figure 2011190425
[式(13)中、Arは4価の芳香族基を示し、Arは2価の芳香族基を示す]
ここで、エチレン性不飽和結合を有する基は、式(12)におけるRに含まれるものであるか、又は、式(13)における2価の芳香族基であるAr中に1価の置換基として含まれるものである。長期耐熱性の保持率の観点から、有利には、式(13)におけるAr中に1価の置換基として含まれるものが望ましい。すなわち、(A)成分は、原料として、芳香族テトラカルボン酸二無水物を含む酸無水物成分と、エチレン性不飽和結合を有するシロキサンジアミン又はエチレン性不飽和結合を有する芳香族ジアミン(有利には、シロキサンジアミンとエチレン性不飽和結合を有する芳香族ジアミン)とを含むジアミン成分とを反応させて得られるシロキサン含有ポリイミド樹脂であることが望ましい。このようなシロキサン含有ポリイミド樹脂を(A)成分とする接着剤樹脂組成物を用いることで、例えばプリント基板用用途の耐熱性接着剤フィルムとして有利に使用される。
前述のように、本発明に用いる(A)成分は、原料として、芳香族テトラカルボン酸二無水物を含む酸無水物成分と、エチレン性不飽和結合を有する、シロキサンジアミン又は芳香族ジアミンを含むジアミン成分とを反応させて得られるシロキサン含有ポリイミド樹脂であることが望ましいが、全ジアミン成分に対して、エチレン性不飽和結合を有するジアミンの存在量は、(B)成分のビスフェノール型ビニルエステル樹脂との架橋構造を形成させるため、エチレン性不飽和結合を有するシロキサンジアミンを含む場合には、該エチレン性不飽和結合を有するシロキサンジアミンは好ましくは35モル%〜100モル%の範囲内であり、エチレン性不飽和結合を有する芳香族ジアミンを含む場合には、該エチレン性不飽和結合を有する芳香族ジアミンは好ましくは1モル%〜10モル%の範囲内である。このような範囲とすることで、本発明の接着剤樹脂組成物の接着強度及び溶剤可溶性を向上させることができる。
本発明に用いる(A)成分のエチレン性不飽和二重結合を有するシロキサン含有ポリイミド樹脂(以下、「シロキサン含有ポリイミド樹脂」と略することもある)の製造方法の一例について説明する。まず、上記テトラカルボン酸二無水物を溶媒中に加え、溶解する。これを撹拌しながら、窒素雰囲気下、上記シロキサンジアミン及び芳香族ジアミン(必要な場合)を徐々に加える。この後、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間、好ましくは2〜8時間撹拌して反応させることによって前駆体であるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂を得る。このような方法で得られるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂は、重合度が異なる混合物である。なお、ジアミンの添加方法を変えるなどして、ランダム重合型又はブロック重合型のポリアミド酸樹脂としてもよい。得られたシロキサン含有ポリアミド酸樹脂は、加熱閉環させることによりシロキサン含有ポリイミド樹脂とすることができる。
より具体的には、例えば、酸無水物成分とジアミン成分とをほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるシロキサン含有ポリアミド酸樹脂が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に10〜40重量%の範囲内、好ましくは20〜35重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン、2−ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。
合成された前駆体は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮、希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、前駆体は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。前駆体をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80〜300℃の範囲内の温度条件で1〜24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。
[ビスフェノール型ビニルエステル樹脂]
本発明に用いる(B)成分は、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂である。ビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸を付加させて得られる反応生成物である。
原料となるビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、原料となるビスフェノール型エポキシ樹脂の重量平均分子量は、通常200〜20万の範囲内であるが、好ましくは500〜2万の範囲内、より好ましくは1000〜1万の範囲内である。分子量が上記範囲未満であると、接着剤層の機械的特性や耐熱性が低下する傾向になり、上記範囲を超えると、α,β−不飽和モノカルボン酸の付加反応時にゲル化が起こりやすくなる。別の観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂を、例えば70%の固形分の有機溶媒溶液(有機溶媒中にソルベントナフサ30%含有)とした場合の25℃での粘度は、好ましくは2000cP〜10万cPの範囲内、より好ましくは4000cP〜5万cPの範囲内である。
α,β−不飽和モノカルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられ、反応性の観点から、好ましくはアクリル酸及びメタクリル酸がよく、より好ましくはアクリル酸がよい。これらのモノカルボン酸は単独又は混合して用いることができる。
また、本発明に用いる(B)成分のビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、好ましくは下記の一般式(14)で表されるビスフェノールA型又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と、α,β−不飽和モノカルボン酸との反応生成物がよい。このようなビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、市販のものが入手可能であり、例えば日本化薬社製の商品名「ZAA−205」や商品名「ZFA−201」、ダイセル・サイテック社製の商品名「EBECRYL600」、サートマージャパン社製の商品名「CN−104」、東洋ケミカルズ社製の商品名「Miramer PE210」等が挙げられる。
Figure 2011190425
[式(14)中、R31は水素原子又は2,3−エポキシプロピル基を示し、R32は水素原子又はメチル基、好ましくはメチル基を示し、nは1以上の整数を示すが、平均繰り返し数は1以上である]
(B)成分のビスフェノール型ビニルエステル樹脂の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対し、(B)成分を25重量部以下、好ましくは1〜20重量部である。このような配合量とすることで、熱処理によってシロキサン含有ポリイミド樹脂におけるエチレン性の不飽和二重結合部位と有効に架橋構造を形成し、ポリイミド樹脂が原因となる銅原子の求核能を低下させることによって、銅配線からの銅の接着剤層への拡散を抑制することができ、高温環境での使用における接着強度の低下を抑制する効果が得られるものと考えられる。このような理由により、本発明で使用するビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、「初期における接着強度」に対する「高温環境下での使用後における接着強度」の百分率(接着強度保持率)を低下させないという観点から、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対し、(B)成分の配合量は1重量部以上とすることが好ましい。また、(B)成分の配合量が上記上限を超えると、ビニルエステル樹脂そのものが銅原子の拡散を誘発する原因となるので好ましくない。なお、銅の拡散量は、例えば、エネルギー分散型X線(EDX)分析装置(堀場製作所製)を用いて分析を行い、加速電圧;16kV、エミッション電流;50.0μA、収集時間;60秒の条件で測定し、得られた表面濃度を接着層への銅の拡散量とすることができる。接着層への銅の拡散量は、検出される全原子の質量に対する銅原子の質量を百分率で表した値として算出できる。
[無機フィラー]
本発明の接着剤樹脂組成物は、任意成分の(C)成分として、平均粒径が2〜25μmの範囲内の板状の無機フィラーを含有することが好ましい。接着剤層にガスバリア性を有する無機フィラーを含有させることにより、大気中の酸素の透過が遮断される結果、銅配線の酸化と銅の拡散が抑制されて長期耐熱性を向上させることができる。
(C)成分の無機フィラーとしては、接着剤層に十分なガスバリア性を付与するために、板状のものを用いることが好ましい。ここで「板状」とは、例えば、扁平状、平板状、薄片状、鱗片状等を含む意味で用い、無機フィラーの厚みが、平面部分の長径又は短径より十分に小さいもの(好ましくは1/2以下)をいう。特に、鱗片状の無機フィラーを用いることが好ましい。別の観点から、「板状」はフィラー粒子の長径と厚みとの比(長径/厚み)が好ましくは5以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上であるものを意味する。また、板状の無機フィラーは、上記長径と平均粒径との関係が、長径≧平均粒径>0.4×長径であることが好ましく、より好ましくは長径≧平均粒径≧0.5×長径であることがよい。なお、本発明においてフィラー粒子の長径(又は短径)及び厚み並びに長径と厚みとの比は、実体顕微鏡により任意10粒のフィラーを測定したときの平均値とする。無機フィラーの形状が板状でなく、例えば球状である場合には、接着剤層のガスバリア性が低下して配線層の酸化が進行し、接着強度が低下する場合があるが、板状フィラー配合の効果を損なわない範囲で、板状以外の形状の無機フィラーを配合することを妨げるものではない。
(C)成分の無機フィラーとしては、例えばタルク、マイカ、セリサイト、クレイ、カオリン等の絶縁性の無機フィラーを用いることが好ましい。
無機フィラーは、レーザー回折法により算出した平均粒径が2〜25μmの範囲内であり、5〜20μmの範囲内であることが好ましい。ここで、無機フィラーの粒径は、粒子の長手直径の平均値を基準とする。平均粒径が上記上限値を超えると、接着剤層の表面荒れが生じる傾向があり、上記下限値を下回ると、酸素透過を抑制する効果が得られにくい。
また、無機フィラーの粒度分布は、個数基準で、粒径10μm以下が好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上であり、粒径20μm以上が10%以下であることが好ましい。粒径10μm以下の無機フィラーが60%未満であると、接着剤樹脂組成物をフィルム化した際に、フィラーが層状に並ばす、フィルム表面に突起が現れ、フィルム表面の荒れの原因となる。また、粒径20μm以上の無機フィラーが10%を超えると、フィルム表面に突起が現れ、フィルム表面の荒れの原因となり、例えば15μm以下の薄いフィルムを作製した際には、表面荒れの傾向になりやすい。
また、頻度分布は、0.1〜100μmが好ましく、0.5〜70μmがより好ましい。頻度分布が、上記上限値を超えると、接着剤層の表面荒れが生じる傾向があり、上記下限値を下回ると、酸素透過を抑制する効果が得られにくい。
(C)成分の無機フィラーの配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、5〜200重量部であり、好ましくは10〜150重量部であり、更に好ましくは30〜100重量部であり、望ましくは40〜80重量部である。(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して無機フィラーの配合量が5重量部未満では、配合の効果が得られず、酸素透過を抑制する効果が得られない。また、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して無機フィラーの配合量が200重量部を超えると、接着剤層が脆弱となり、その結果として接着剤層での凝集破壊による強度低下が生じるため、見かけ上の接着性が著しく低下する。また、本発明において無機フィラーは、板状のものを用いるが、板状でない無機フィラーを併用することも可能である。板状でない無機フィラーを併用する場合には、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して無機フィラー全体(板状およびその他形状の合計)の配合量が200重量部を超えないようにすることが好ましい。
また、本発明の接着剤樹脂組成物には、上記(A)成分及び(B)成分、並びに任意成分である(C)成分の他に、更に必要に応じてその他の任意成分として、例えば、溶媒、エポキシ樹脂などの他の樹脂成分、可塑剤、硬化促進剤、カップリング剤、顔料、粘度調整剤などを適宜配合することができる。但し、高温使用条件で優れた接着性を維持するために、接着剤樹脂組成物中の樹脂成分は、すべて上記(A)成分及び(B)成分からなることが好ましい。また、可塑剤は銅配線からの銅の拡散を誘発し、それが原因となって接着力を低下させる懸念があるため、可塑剤は極力使用しないことが好ましい。
本発明の接着剤樹脂組成物にその他の任意成分を配合する場合は、例えば、上記(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対し、その他の任意成分の固形分としての合計で1〜10重量部の配合とすることが好ましい。
[接着剤フィルム及び硬化物]
上記各成分よりなる本発明の接着剤樹脂組成物は、好適にはフィルム状に成形して用いられるが、従来公知の方法を用いてフィルム化することが可能である。特に限定されるものではないが、好適な成形方法の例としては、上記(A)成分、(B)成分及び必要により他の成分よりなる樹脂を溶媒に溶解し、得られた樹脂溶液を、表面が剥離処理された金属箔、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の基材上に従来公知の方法によりコーティングした後、乾燥し、基材から剥離することにより本発明の接着剤フィルムとすることができる。
上記フィルム成形工程で用いられる溶媒として代表的なものとしては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサン、γ−ブチロラクトン、キシレノール、クロロフェノール、フェノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン等のエーテル、エステル、アルコール系溶媒を挙げることができる。また、フィルム成形時の溶媒として、前記ポリイミド樹脂製造時に用いた溶媒をそのまま使用してもなんら差し支えない。
本発明の接着剤フィルムの使用方法としては、例えばフレキシブルプリント回路基板、ガラス繊維−エポキシ配線基板、紙−フェノール配線基板、金属、樹脂基材等の被接着物の間に、本発明の耐熱性接着剤フィルムを挿入し、温度20〜250℃、圧力1〜100kg/cmの条件で熱圧着し、好ましくはさらに50〜250℃の温度で所定時間熱処理し、(B)成分を完全に硬化させることにより、被接着物の間に接着層を形成させる方法が挙げられる。また、本発明の硬化物も、同様の条件で処理することによって得ることが出来る。
[カバーレイフィルム]
また、本発明の接着剤樹脂組成物は、これを用いて接着剤層を形成した場合に優れた柔軟性と熱可塑性を有するものとなり、例えばFPC、リジッド・フレックス回路基板などの配線部を保護するカバーレイフィルム用の接着剤として好ましい特性を有している。カバーレイフィルムの接着剤層として使用する場合、カバーレイ用フィルム材の片面に本発明の接着剤樹脂組成物を任意の溶媒を用いて溶液の状態で塗布した後、例えば60〜200℃の温度で熱処理することにより、カバーレイ用フィルム材層と接着剤層を有するカバーレイフィルムを形成できる。ここで、接着剤樹脂組成物に使用する溶媒としては、上記フィルム成形工程で用いられる溶媒と同じものを使用できる。また、任意の基材上に、本発明の接着剤樹脂組成物を上記と同様の溶媒を用いて溶液の状態で塗布し、例えば80〜180℃の温度で乾燥した後、剥離することにより、接着剤フィルムを形成し、この接着剤フィルムを、上記カバーレイ用フィルム材と熱圧着させることによっても、カバーレイ用フィルム材層と接着剤層を有するカバーレイフィルムを形成できる。
カバーレイ用フィルム材としては、限定する趣旨ではないが、例えばポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のポリイミド系樹脂フィルムや、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルムなどを用いることができる。これらの中でも、優れた耐熱性を持つポリイミド系樹脂フィルムを用いることが好ましい。カバーレイ用フィルム材層の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば5μm以上100μm以下が好ましい。また、接着剤層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば25μm以上50μm以下が好ましい。
また、接着剤フィルムやカバーレイフィルムは、接着剤面に離型材を貼り合わせて離型材層を有する形態としてもよい。離型材の材質は、接着剤フィルムやカバーレイフィルムの形態を損なうことなく剥離可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂フィルムや、これらの樹脂フィルムを紙上に積層したものなどを用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[接着強度の測定]
接着強度は、幅10mm、長さ100mmに切り出した試験片を、引張試験機(東洋精機株式会社製、ストログラフ−M1)を用いて、180°方向に50mm/分の速度で引き剥がす時の力を接着強度とした。本実験では、接着強度が、0.2kN/m以上である場合を「可」、0.35kN/m以上である場合を「良」と判定した。
[重量平均分子量(Mw)の測定]
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー株式会社製、HLC−8220GPCを使用)により測定した。標準物質としてポリスチレンを用い、展開溶媒にN,N−ジメチルアセトアミドを用いた。
[平均粒子径の測定]
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所、SALD−2000J)を用いて測定した。
本実施例で用いた略号は以下の化合物を示す。
DSDA:3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
BAPP:2,2-ビス[4−(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
HAB:4,4’−(3,3'−ジヒドロキシ)ジアミノビフェニル
VAB:2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル
MAB:下記式(15)で表されるエチレン性不飽和結合を有する芳香族ジアミン
Figure 2011190425
K−1:タルク(日本タルク株式会社製、商品名;MICRO ACE K−1、形状;鱗片状、平均長径;7.0μm、平均短径;5.8μm、長径と厚みとの比;15以上、平均粒子径;6.6μm、メジアン径(D50);6.9μm、最大粒子径;64.9μm、最小粒子径;0.5μm、最頻径;8.7μm、粒子径10μm以下の積算粒子量;77%、粒子径20μm以上の積算粒子量;5%)
TBC:クエン酸トリブチルエステル
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
ZAA−205:ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂(日本化薬株式会社製、重量平均分子量;約7500)
NPGDA:ネオペンチルグリコールアクリレート(日本化薬株式会社製)
EAM−2160:ノボラックエポキシアクリレート(日本化薬株式会社製)
EOCN−1020:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製)
PSX−A:上記式(5)で表されるシロキサンジアミン
[但し、nの数平均値は1〜20の範囲内であり、重量平均分子量は740である]
X−22−9412:下記式(16)で表されるビニル基含有シロキサンジアミン
[式(16)中、R41はメチル基又はビニル基を示し(ただし、分子内で少なくとも1つのR41はビニル基である)、nの数平均値は1〜20の範囲内であり、重量平均分子量は874である]
Figure 2011190425
合成例1
1000mlのセパラブルフラスコに44.65gのDSDA(0.1246モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを添加、混合した。次に56.26gのPSX−A(0.0760モル)、17.91gのBAPP(0.0436モル)、及び1.18gのVAB(0.0050モル)を添加し、室温にて2時間攪拌し、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、24時間加熱、攪拌し、イミド化を完結したポリイミド溶液aを得た。
合成例2
1000mlのセパラブルフラスコに44.50gのDSDA(0.1242モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを添加、混合した。次に56.06gのPSX−A(0.0758モル)、17.85gのBAPP(0.0435モル)、及び1.59gのMAB(0.0050モル)を添加し、室温にて2時間攪拌し、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、24時間加熱、攪拌し、イミド化を完結したポリイミド溶液bを得た。
合成例3
1000mlのセパラブルフラスコに46.18gのDSDA(0.1289モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを添加、混合した。次に39.43gのX−22−9412(0.0451モル)、及び34.39gのBAPP(0.0838モル)を添加し、室温にて2時間攪拌し、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、24時間加熱、攪拌し、イミド化を完結したポリイミド溶液cを得た。
合成例4
1000mlのセパラブルフラスコに44.69gのDSDA(0.1247モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを添加、混合した。次に56.31gのPSX−A(0.0761モル)、17.92gのBAPP(0.0437モル)、及び1.08gのHAB(0.0050モル)を添加し、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、24時間加熱、攪拌し、イミド化を完結したポリイミド溶液dを得た。
合成例5
1000mlのセパラブルフラスコに44.65gのDSDA(0.1246モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを添加、混合した。次に46.10gのPSX−A(0.0623モル)、23.52gのBAPP(0.0573モル)、及び1.18gのVAB(0.0050モル)を添加し、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、24時間加熱、攪拌し、イミド化を完結したポリイミド溶液eを得た。
合成例6
1000mlのセパラブルフラスコに44.65gのDSDA(0.1246モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを添加、混合した。次に46.10gのPSX−A(0.0623モル)、23.52gのBAPP(0.0573モル)、及び1.60gのMAB(0.0050モル)を添加し、ポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、24時間加熱、攪拌し、イミド化を完結したポリイミド溶液fを得た。
合成例1〜6を表1にまとめた。
Figure 2011190425
[実施例1]
合成例1で得られたポリイミド溶液aの固形分85重量部に対し、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂(日本化薬株式会社製、商品名;ZAA−205)の固形分15重量部を混合し、2時間室温にて撹拌させて、接着剤樹脂組成物の溶液(樹脂溶液1)を調製した。この樹脂溶液をガラス板上に塗布し、80℃で15分間乾燥してフィルム化し、接着剤フィルム1(縦×横×厚さ=200mm×300mm×35μm)とした。この接着剤フィルム1を、表面の防錆金属層を除去した銅箔上に置き、温度180℃、圧力4MPa、時間60分の条件で熱圧着した後、温度150℃、時間60分間の条件で加熱し、評価サンプル1を得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.44kN/mであった。
次に評価サンプル1に対しオーブンで大気中、150℃、1000時間の熱処理を行った。熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)を測定したところ、0.20kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は45%であった。結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1におけるポリイミド溶液aの固形分85重量部の代わりに、ポリイミド溶液bの固形分85重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤樹脂組成物の溶液(樹脂溶液2)を得たのち、接着剤フィルム2を得、評価サンプル2を得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.46kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.23kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は50%であった。結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例1におけるポリイミド溶液aの固形分85重量部の代わりに、ポリイミド溶液cの固形分85重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤樹脂組成物の溶液(樹脂溶液3)を得たのち、接着剤フィルム3を得、評価サンプル3を得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.56kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.23kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は41%であった。結果を表2に示す。
[実施例4]
実施例1におけるポリイミド溶液aの固形分85重量部の代わりに、ポリイミド溶液eの固形分85重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤樹脂組成物の溶液(樹脂溶液4)を得たのち、接着剤フィルム4を得、評価サンプル4を得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.49kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.22kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は45%であった。結果を表3に示す。
[実施例5]
実施例1におけるポリイミド溶液aの固形分85重量部の代わりに、ポリイミド溶液fの固形分85重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、接着剤樹脂組成物の溶液(樹脂溶液5)を得たのち、接着剤フィルム5を得、評価サンプル5を得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.51kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.25kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は49%であった。結果を表3に示す。
[実施例6]
合成例5で得られたポリイミド溶液eの固形分85重量部に対し、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂(日本化薬株式会社製、商品名;ZAA−205)の固形分15重量部、及びK−1の50重量部を混合し、2時間室温にて撹拌させて、接着剤樹脂組成物の溶液(樹脂溶液6)を調製した。この樹脂溶液をガラス板上に塗布し、80℃で15分間乾燥してフィルム化し、接着剤フィルム6(縦×横×厚さ=200mm×300mm×35μm)とした。この接着剤フィルム6を、表面の防錆金属層を除去した銅箔上に置き、温度180℃、圧力4MPa、時間60分の条件で熱圧着した後、温度150℃、時間60分間の条件で加熱し、評価サンプル6を得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.69kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.31kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は45%であった。結果を表3に示す。
[実施例7]
実施例6におけるポリイミド溶液eの固形分85重量部の代わりに、ポリイミド溶液fの固形分85重量部を使用したこと以外は、実施例6と同様にして、接着剤樹脂組成物の溶液(樹脂溶液7)を得たのち、接着剤フィルム7を得、評価サンプル7を得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.70kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.35kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は50%であった。結果を表3に示す。
比較例1
実施例1におけるZAA−205の固形分15重量部を混合したことの代わりに、ZAA−205を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂溶液を得たのち、フィルムを得、評価サンプルを得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.67kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.13kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は19%であった。結果を表2に示す。
比較例2
実施例3におけるZAA−205の固形分15重量部を混合したことの代わりに、ZAA−205を配合しなかったこと以外は、実施例3と同様にして、樹脂溶液を得たのち、フィルムを得、評価サンプルを得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.64kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.08kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は13%であった。結果を表2に示す。
比較例3
合成例4で得られたポリイミド溶液dの固形分70重量部に対し、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名;EOCN−1020)の30重量部を混合し、さらに、ポリイミド溶液dの固形分及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の合計100重量部に対し、可塑剤成分として25重量部のTBCを混合し、2時間室温にて攪拌させて、樹脂溶液を調製した。樹脂溶液を得たのち、実施例1と同様にして、フィルムを得、評価サンプルを得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.57kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.04kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は7%であった。結果を表2に示す。
参考例1
実施例1におけるポリイミド溶液aの固形分85重量部に対し、ZAA−205の固形分15重量部を混合したことの代わりに、ポリイミド溶液aの固形分70重量部に対し、ZAA−205の固形分30重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂溶液を得たのち、フィルムを得、評価サンプルを得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.33kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.03kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は9%であった。結果を表4に示す。
参考例2
実施例3におけるポリイミド溶液cの固形分85重量部に対し、ZAA−205の固形分15重量部を混合したことの代わりに、ポリイミド溶液cの固形分70重量部に対し、ZAA−205の固形分30重量部を混合したこと以外は、実施例3と同様にして、樹脂溶液を得たのち、フィルムを得、評価サンプルを得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.28kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.15kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]54%であった。結果を表4に示す。
参考例3
実施例1におけるポリイミド溶液aの固形分85重量部に対し、ZAA−205の固形分15重量部を混合したことの代わりに、ポリイミド溶液aの固形分70重量部に対し、ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名;NPGDA)の30重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂溶液を得たのち、フィルムを得、評価サンプルを得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.55kN/mであった。また、熱処理後の銅箔の接着強度(接着強度2)は0.05kN/mであった。このときの接着強度の保持率[(接着強度2/接着強度1)×100(%)]は9%であった。結果を表4に示す。
参考例4
実施例1におけるポリイミド溶液aの固形分85重量部に対し、ZAA−205の固形分15重量部を混合したことの代わりに、ポリイミド溶液aの固形分70重量部に対し、ノボラックエポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名;EAM−2160)の30重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂溶液を得たのち、フィルムを得、評価サンプルを得た。硬化後の銅箔との接着強度(接着強度1)は0.07kN/mであった。結果を表4に示す。
表2、表3及び表4において、接着強度1は、硬化後の銅箔との接着強度を示し、接着強度2は、大気中、150℃、1000時間の熱処理後の銅箔とカバーレイフィルムとの接着強度を示す。
Figure 2011190425
Figure 2011190425
Figure 2011190425
上記表2及び表3より、(A)成分のポリイミド樹脂と(B)成分のビニルエステル樹脂の合計量に対して(B)成分を25重量部以下の範囲内で含有する実施例1〜7では、150℃、1000時間の熱処理後でも、接着強度が0.2[kN/m]以上であり、接着強度保持率も40%を超え、優れた耐熱性を示した。また、無機フィラーとして鱗片状のタルク(K−1)を配合した実施例6及び7では、熱処理後の接着強度及び接着強度保持率がより向上することが確認された。一方、(B)成分のビニルエステル樹脂を含有しない比較例1〜3では、150℃、1000時間の熱処理後の接着強度が0.2[kN/m]未満であり、接着強度保持率も低いものであった。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。当業者は本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を成し得、それらも本発明の範囲内に含まれる。

Claims (6)

  1. 下記(A)成分及び(B)成分、
    (A)エチレン性不飽和二重結合を有するシロキサン含有ポリイミド樹脂、
    (B)ビスフェノール型ビニルエステル樹脂、
    を含有する接着剤樹脂組成物であって、
    (A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対し、(B)成分を25重量部以下の範囲で含有することを特徴とする接着剤樹脂組成物。
  2. (A)成分の原料であるジアミン成分が、シロキサンジアミンと、エチレン性の不飽和二重結合を有する芳香族ジアミンと、を含有し、全ジアミン成分100モルに対し、エチレン性の不飽和二重結合を有する芳香族ジアミンを1〜70モル含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の接着剤樹脂組成物。
  3. (A)成分の原料であるジアミン成分が、エチレン性不飽和二重結合を有するシロキサンジアミンを含有し、全ジアミン成分100モルに対し、エチレン性の不飽和二重結合を有するシロキサンジアミンを1〜100モル含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の接着剤樹脂組成物。
  4. 平均粒径が2〜25μmの範囲内の板状の無機フィラーを、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、5〜200重量部さらに含有する請求項1から3のいずれかに記載の接着剤樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の接着剤樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の接着剤樹脂組成物をフィルム状に成形してなることを特徴とする接着剤フィルム。
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