JP2011188837A - リーシークエンスdnaチップおよび最適抗てんかん薬決定方法 - Google Patents

リーシークエンスdnaチップおよび最適抗てんかん薬決定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】てんかんのように複数の遺伝的要因の関与が示唆されている疾患の場合でも複数の任意遺伝子型を一度の解析で同定でき、時間的、コスト的及び労力的に現実的なリーシークエンスDNAチップおよび最適抗てんかん薬決定方法を提供する。
【解決手段】リーシークエンスDNAチップが対応するてんかん責任遺伝子は、ナトリウムチャネル遺伝子、カリウムチャネル遺伝子、カルシウムチャネル遺伝子、塩素チャネル遺伝子、アセチルコリン受容体遺伝子及びγ−アミノ酪酸受容体遺伝子の6種類から選択した14個のてんかん責任遺伝子である。リーシークエンスDNAチップに搭載されたプローブは上記てんかん責任遺伝子から選択した1以上の責任部位を搭載している。リーシークエンスDNAチップを用いててんかん患者のてんかん責任遺伝子を同定し、同定されたてんかん遺伝子に作用するAEDを選択することにより、最適なAEDを決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、てんかん患者のてんかん責任遺伝子型を同定するプローブを搭載したリーシークエンスDNAチップおよび当該リーシークエンスDNAチップを用いた最適抗てんかん薬決定方法に関する。
てんかん患者は、人口の約1%と言われており、決してまれな病気ではない。てんかんの確定診断の後に治療が開始されており、従来、抗てんかん薬(antiepileptic drugs : AED)療法が中心となっている(非特許文献1参照)。しかし、AED治療は対症療法に過ぎず、服薬中止に至る症例は極めて少ないのが現状であると言われている。
てんかんは複数の遺伝的要因が関与している。しかし、現段階において、臨床的にてんかんにおける遺伝子診断は行なわれていない。このため、てんかんにおける遺伝子診断ツールは存在していない。一部他疾患、例えば先天的な酵素の異常によってフェニルアラニンの代謝が阻害されて起こるフェニルケトン尿症、先天性代謝異常症であるムコ多糖症、ステロイドホルモンを作成する過程に関与する酵素が先天的に欠損することで起きる先天性副腎皮質過形成等においては、遺伝子診断および出生前診断が行なわれている。これらの疾患のほとんどは責任遺伝子が1つしかない単一遺伝子疾患である。この場合、遺伝マーカー(疾患と関連のあるスニップ(Single nucleotide polymorphism : SNP))またはキャピラリー型シークエンサーを用いた配列決定による遺伝子型の同定、あるいは抗体反応等の他の手法による簡易遺伝子診断キット等が、遺伝子診断ツールとして用いられている。
上述したキャピラリー型シークエンサーは、DNA塩基配列決定法であるサンガー法(ジデオキシ法)を基本原理とし、ポリマーを充填されたガラスキャピラリーを用いて電気泳動を行なって塩基配列を決定する機器であり、ダイレクトシークエンスの一種である。シークエンスできる領域は500bp(base pairs)程度であり、単回の解析では低コストでシークエンスを行うことができるため、単一遺伝子疾患における遺伝子診断には適していると考えられる。しかし、多くの遺伝子を解析する場合、何回も繰り返してシークエンスを行う必要があるため、時間、コストおよび労力が増加するという問題があった。特に、複数の遺伝的要因の関与が示唆されているてんかんに対して従来のキャピラリー型シークエンサーを用いて遺伝子診断を行なうことは、遺伝子上に散在する多くの領域のシークエンスが必要となるため、時間的、コスト的および労力的に現実的でないという問題があった。上述した簡易遺伝子診断キットの開発も困難である。
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、てんかんのように複数の遺伝的要因の関与が示唆されている疾患の場合であっても、複数の任意遺伝子型を一度の解析で同定することができ、時間的、コスト的および労力的に現実的な、リーシークエンスDNAチップおよび最適抗てんかん薬決定方法を提供することにある。
この発明のリーシークエンスDNAチップは、てんかん患者のてんかん責任遺伝子型を同定するプローブを搭載したリーシークエンスDNAチップであって、該リーシークエンス用DNAチップが対応するてんかん責任遺伝子は、ナトリウムチャネル遺伝子、カリウムチャネル遺伝子、カルシウムチャネル遺伝子、塩素チャネル遺伝子、アセチルコリン受容体遺伝子及びγ−アミノ酪酸受容体遺伝子のいずれか1以上を含み、該プローブは該てんかん責任遺伝子から選択した1以上の責任部位を搭載したことを特徴とする。
ここで、この発明のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記ナトリウムチャネル遺伝子はSCN1A遺伝子及びSCN1B遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、(1)SCN1A遺伝子のエキソン1から26、(2)SCN1B遺伝子のエキソン3、から選択することができる。
ここで、この発明のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記カリウムチャネル遺伝子はKCNQ2遺伝子及びKCNQ3遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、(1)KCNQ2遺伝子のエキソン1、エキソン2、(2)KCNQ2遺伝子のエキソン8、(3)KCNQ3遺伝子のエキソン6、から選択することができる。
ここで、この発明のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記カルシウムチャネル遺伝子はCACNA1A遺伝子、CACNA1H遺伝子及びCACNB4遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、(1)CACNA1A遺伝子のエキソン3、エキソン33、エキソン36、(2)CACNA1H遺伝子のエキソン4、エキソン7、エキソン9から11、エキソン23、(3)CACNB4遺伝子のエキソン13、から選択することができる。
ここで、この発明のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記塩素チャネル遺伝子はCLCN2遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、(1)CLCN2遺伝子のエキソン5、エキソン19から選択することができる。
ここで、この発明のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記アセチルコリン受容体遺伝子はCHRNA4遺伝子、CHRNA7遺伝子及びCHRNB2遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、(1)CHRNA4遺伝子のエキソン5、(2)CHRNA7遺伝子のエキソン10、(3)CHRNB2遺伝子のエキソン5、から選択することができる。
ここで、この発明のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記γ−アミノ酪酸受容体遺伝子はGABRA1遺伝子、GABRAD遺伝子及びGABRG2遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、(1)GABRA1遺伝子のエキソン10、(2)GABRAD遺伝子のエキソン5−6、(3)GABRG2遺伝子のエキソン2、エキソン4から選択することができる。
この発明のリーシークエンスDNAチップにおいて、挿入/欠失(insertion/deletion)に対応する塩基配列に基づく他のプローブをさらに搭載することができる。
この発明の最適抗てんかん薬決定方法は、てんかん患者に最適な抗てんかん薬を決定する最適抗てんかん薬決定方法であって、本発明のいずれかのリーシークエンスDNAチップを用いててんかん患者のてんかん責任遺伝子を同定し、同定されたてんかん遺伝子に作用する抗てんかん薬(AED)を選択することを特徴とする。
本発明のリーシークエンスアDNAチップ等によれば、リーシークエンスDNAチップが対応するてんかん責任遺伝子として、ナトリウムチャネル遺伝子、カリウムチャネル遺伝子、カルシウムチャネル遺伝子、塩素チャネル遺伝子、アセチルコリン受容体遺伝子及びγ−アミノ酪酸受容体遺伝子の6種類から選択した14個のてんかん責任遺伝子が好適である。即ち、本発明のリーシークエンスDNAチップによれば、一度の解析で14個のてんかん責任遺伝子の責任部位のシークエンスを得ることが可能である。さらに、本発明のリーシークエンスDNAチップによれば、てんかんのように複数の遺伝的要因の関与が示唆されている疾患の場合であっても、複数の任意遺伝子型を一度の解析で同定することができるため、時間的、コスト的および労力的に現実的な、リーシークエンスDNAチップを提供することができるという効果がある。
本発明の最適抗てんかん薬決定方法によれば、本発明のリーシークエンスDNAチップを用いることにより、てんかんのように複数の遺伝的要因の関与が示唆されている疾患の場合であっても、遺伝子診断が可能となる。当該遺伝子診断により、患者の病因に即したAEDの選択が可能となる。即ち、本発明の最適抗てんかん薬決定方法によれば、上述した本発明のリーシークエンスDNAチップを用いててんかん患者のてんかん責任遺伝子を同定し、同定されたてんかん遺伝子に作用するAEDを選択することにより、最適なAEDを決定することができる。さらに、個々人の代謝能(AED代謝関連遺伝子多型)からそれに見合った投与量を設定することが可能となるという効果がある。
本発明のリーシークエンスDNAチップによる遺伝子診断の流れの概略を示す図である。 図1のリーシークエンスDNAチップ開発ステップ(ステップS10)を示す部分の拡大図である。 本発明のリーシークエンスDNAチップ12に搭載したてんかん責任遺伝子の一覧表20を示す図である。 GeneChip(登録商標)CustomSeq(登録商標)Array10におけるリーシークエンスDNAチップ12のプローブ14のタイリング(整列配置)を例示する図である。 リーシークエンス実験(ステップS30)のプロトコールを示す図である。 プローブ14−1が備えたてんかん責任遺伝子の構成を示す図である。 プローブ14−1のPCR条件1を示す図である。 プローブ14−2が備えたてんかん責任遺伝子の構成を示す図である。 プローブ14−2のPCR条件2を示す図である。 プローブ14−3が備えたてんかん責任遺伝子の構成を示す図である。 プローブ14−3のPCR条件3を示す図である。 プローブ14−4が備えたてんかん責任遺伝子の構成を示す図である。 プローブ14−4のPCR条件4を示す図である。 プローブ14−5が備えたてんかん責任遺伝子の構成を示す図である。 プローブ14−5のPCR条件5を示す図である。 染色プロトコールを示す図である。 データ解析用パーソナルコンピュータPCの画面上に表示されたスキャン画像(検出後のアレイイメージ)を示す図である。 従来のキャピラリー型シークエンサーによる同定と本発明のリーシークエンスDNAチップ12による同定との比較を示す図である。
概要.
リーシークエンシング(Resequencing)は、既知の配列と未知の配列とを比較することを意味し、遺伝子異常(変異)の同定に用いることができる。本発明では、Affymetrix(登録商標)Resequencing Arrayをベースにして、リーシークエンス(Resequence)DNAチップ上にてんかん責任遺伝子に対応するプローブを設計し搭載することにより、てんかんの遺伝子診断用リーシークエンスDNAチップを開発した。てんかんは複数の遺伝的用要因(出願時点で23個。責任遺伝子/305変異)が関与している。本発明のリーシークエンスDNAチップに搭載しているプローブは、出願時点までに報告されているてんかん責任遺伝子の91%をカバーしている。以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のリーシークエンスDNAチップによる遺伝子診断の流れの概略を示す。まず、てんかんの遺伝子診断用リーシークエンスDNAチップを開発する(リーシークエンスDNAチップ開発ステップ。ステップS10)。次に、人口の0.3%(〜1.0%)が罹患しているとされるてんかん患者から、末梢血を採血し、当該末梢血からDNAを抽出する(DNA抽出ステップ。ステップS20、S22、S24)。抽出したDNAを、開発したてんかんの遺伝子診断用リーシークエンスDNAチップ上に搭載されたプローブとハイブリダイゼーション(hybridization)させ、各塩基に対応した蛍光シグナル強度を検出するリーシークエンシング実験を行なう(リーシークエンシング実験ステップ。ステップS30)。検出した蛍光シグナル強度に基づき、てんかん患者における遺伝子変異の有無およびその領域を探索する(配列解析ステップ。ステップS40)。図1には、配列解析ステップ(ステップS40)に続き、ステップS50として本発明の最適抗てんかん薬決定方法も示されている。即ち、変異部位から適切なAEDを選択し、試行錯誤(Try & Error)を減少させ、患者の負担を軽減できる(ステップS50)。以下、各ステップについて詳細に説明する。
1.リーシークエンスDNAチップ開発ステップ(ステップS10)
図2は、図1のリーシークエンスDNAチップ開発ステップ(ステップS10)を示す部分の拡大図である。図2において、符号10はGeneChip(登録商標)CustomSeq(登録商標)Array、12はGeneChip(登録商標)CustomSeq(登録商標)Array10に設けられたリーシークエンスDNAチップ、12’はリーシークエンスDNAチップ12の拡大図である。図2に示されるリーシークエンスDNAチップ12’は、これまでに判明した既存の情報に基づくてんかんの原因(責任)遺伝子を網羅しており、全てんかん責任遺伝子の変異領域配列のプローブを搭載している。本発明における遺伝子型判定領域は18Kベース(base)であるが、今後、新たな責任遺伝子が判明した場合でも300Kベースまでは本発明のリーシークエンスDNAチップ12’に搭載可能である。図2に示されるリーシークエンスDNAチップ12’のサイズは1.28cm×1.28cmであるが、これに限定されるものではなく、例えば8mm×8mmであってもよい。符号12aはリーシークエンスDNAチップ12’の一部(プローブセル)の拡大図であり、ハイブリダイズされたプローブ14が示されている。図2に示されるプローブセルのサイズは24μm×24μmであるが、これに限定されるものではなく、例えば8μm×8μmであってもよい。
発明者らはてんかん責任遺伝子について鋭意研究を重ね、本発明のリーシークエンスDNAチップ12に搭載するてんかん責任遺伝子を見出した。図3は、本発明のリーシークエンスDNAチップ12に搭載したてんかん責任遺伝子の一覧表20を示す。一覧表20の左欄はてんかん責任遺伝子(Official Symbol)を示し、右欄はてんかん患者のてんかん責任遺伝子型を同定するプローブとして搭載した責任部位を示す。右欄に示される「exon」はタンパク質の情報を有する塩基配列の部分であるエキソンの意味であり、例えば「exon1-26」は「エキソン1から26」を示し、「exon3」は「エキソン3」を示す。一覧表20に示されるように、本発明のリーシークエンスDNAチップが対応する(または備えた)てんかん責任遺伝子は、好適にはナトリウムチャネル遺伝子、カリウムチャネル遺伝子、カルシウムチャネル遺伝子、塩素チャネル遺伝子、アセチルコリン受容体遺伝子及びγ−アミノ酪酸受容体遺伝子の6種類から選択した14個のてんかん責任遺伝子である。これらの6種類から選択した14個のてんかん責任遺伝子は、出願時点で判明しているてんかん責任遺伝子のほとんどを含んでいる。本発明のリーシークエンスDNAチップが対応するてんかん責任遺伝子は、上記6種類の遺伝子をすべて含むことが好適であるが、必ずしも上記6種類全てを含まずに、上記6種類のいずれか1種類以上を含んでいるものであってもよい。一方、技術的な理由により本発明のリーシークエンスDNAチップに搭載しなかった遺伝子もあるため、本発明のリーシークエンスDNAチップが対応するてんかん責任遺伝子に、上述した6種類−14個のてんかん責任遺伝子以外の遺伝子を含めてもよいことは勿論である。実際に搭載したプローブは、上述した6種類−14個のてんかん責任遺伝子から選択した1以上の責任部位を備えている。具体例は後述する。
以下、上述した各遺伝子について説明する。遺伝子の正確な名前(Official Name)、染色体の番号および位置等の詳細な内容は、例えばNCBI(National Center for Biotechnology Information)のEntrez gene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/)等のデータベースを参照されたい。上述したナトリウムチャネル(Naチャネル)遺伝子は、SCN1A遺伝子およびSCN1B遺伝子であり、プローブ14に搭載する責任部位は、
(1)SCN1A遺伝子のエキソン1から26、
(2)SCN1B遺伝子のエキソン3、
から選択することが好適である。
上述したカリウムチャネル(Kチャネル)遺伝子はKCNQ2遺伝子およびKCNQ3遺伝子であり、プローブ14に搭載する責任部位は、
(1)KCNQ2遺伝子のエキソン1、エキソン2、
(2)KCNQ2遺伝子のエキソン8、
(3)KCNQ3遺伝子のエキソン6、
から選択することが好適である。
上述したカルシウムチャネル(Ca2+チャネル)遺伝子はCACNA1A遺伝子、CACNA1H遺伝子およびCACNB4遺伝子であり、プローブ14に搭載する責任部位は、
(1)CACNA1A遺伝子のエキソン3、エキソン33、エキソン36、
(2)CACNA1H遺伝子のエキソン4、エキソン7、エキソン9から11、エキソン23、
(3)CACNB4遺伝子のエキソン13、
から選択することが好適である。
上述した塩素チャネル(電位依存性クロライドチャネル)遺伝子はCLCN2遺伝子であり、プローブ14に搭載する責任部位は、
(1)CLCN2遺伝子のエキソン5、エキソン19
から選択することが好適である。
上述した(ニコチン性)アセチルコリン受容体遺伝子はCHRNA4遺伝子、CHRNA7遺伝子およびCHRNB2遺伝子であり、プローブ14に搭載する責任部位は、
(1)CHRNA4遺伝子のエキソン5、
(2)CHRNA7遺伝子のエキソン10、
(3)CHRNB2遺伝子のエキソン5、
から選択することが好適である。
上述したγ−アミノ酪酸(gamma-aminobutyric acid : GABA)受容体遺伝子はGABRA1遺伝子、GABRAD遺伝子およびGABRG2遺伝子であり、プローブ14に搭載する責任部位は、
(1)GABRA1遺伝子のエキソン10、
(2)GABRAD遺伝子のエキソン5−6、
(3)GABRG2遺伝子のエキソン2、エキソン4
から選択することが好適である。
次に、上述したGeneChip(登録商標)CustomSeq(登録商標)Array10におけるリーシークエンスDNAチップ12のプローブ14について説明する。図4は、GeneChip(登録商標)CustomSeq(登録商標)Array10におけるリーシークエンスDNAチップ12のプローブ14のタイリング(整列配置)を例示する。リーシークエンスDNAチップ12では、図4に示されるように、1スポット30(1塩基に相当)にプローブ(患者の遺伝子とハイブリダイズする相補的塩基)が4種類(30T、30G、30C、30A)ある。これら4種類のプローブ30T、30G、30C、30Aは、読みたい任意の位置(30−i)のみA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4パターンの塩基となっている他は、同じ配列となっている。配列32を読む際は、この4種類のプローブ30T、30G、30C、30Aがハイブリダイズし、そのうちいずれか1種類が強くハイブリダイズする。例えば、任意の位置(30−i)でAの蛍光が強く検出された場合、それと相補的な塩基のTが強くハイブリダイズしたことになり、その結果、配列32の位置(32−j)の塩基がTであるとわかる。
しかし、insertion/deletion(挿入/欠失)があると、任意の位置(30−i)の4種のプローブ30T、30G、30C、30Aのすべてとハイブリダイズしないということが起こり、スキャン結果(後述)として、N(No Call)を返す。そこで、本発明のリーシークエンスDNAチップ12では、同じてんかん責任遺伝子上の領域であっても、missense/nonsense(ミスセンス/ナンセンス)変異を判定するための通常のプローブを搭載すると共に、これまでに報告されているinsertion/deletionを考慮した塩基配列から設計した特異なプローブを別途用意して搭載している。この結果、シグナルコ−ルエラーとinsertion/deletionとを判別し、より正確な遺伝子診断が可能となっている。本発明のリーシークエンスDNAチップ12により任意位置での塩基を決定する原理は、上述した図4およびその説明に示す通りである。しかしながら、挿入/欠失がある場合、例えば、図4の32−jのTの塩基が欠失しているか、あるいは32−jのTの位置に他の塩基が挿入している場合、搭載されているプローブ30T、30G、30C、30Aとはハイブリダイズしないことになる(塩基を判定できない)。従って、てんかんとの関わりが報告された挿入/欠失(insertion/deletion)がある遺伝子領域においては、挿入/欠失(insertion/deletion)を考慮したプローブを別途搭載している。例えば、図4に沿って考えると、32−jのTの塩基の欠失を判定するため、その状況に対応した30−iの位置のT塩基を抜いたプローブを搭載している。
以上のように設計されたリーシークエンスDNAチップ12用のプローブ14をAffymetrix(登録商標)社に注文して製作させた。具体的には、所定のデザイン・リクエスト・フォーム(Design Request Form)に必要事項を記載し、所定フォーマット化されたシークエンスおよび指示ファイルをAffymetrix(登録商標)社へ送る。その後、Affymetrix(登録商標)社が送られたデザインに基づきDNAチップを設計するという段取りとなっている。注文の際の詳細な内容は、“GeneChip (登録商標)CustomSeq(登録商標)Custom Resequencing Array Design Guide”を参照されたい。以下では当該ガイドを適宜引用して、簡単に説明する。
シークエンスの選択.
対象としたいシークエンスは所望のデータベースからダウンロードされ、FASTAフォーマット(上記所定フォーマット。1つのシーケンスのデータが、">"
で始まるヘッダ行(1行目)と2行目以降の実際のシークエンス文字列とで構成される。)へ変換する。アレイ容量(塩基数)はアレイフォーマットに応じて3種類用意されている。本実施例では、アレイフォーマット169を選択したため、アレイの最大容量は47,974である。以下では「配列」および「アレイ」を慣用に合わせて使い分けしているが、両者共同じ意味である。
アレイ制御.
標準的な設計オプションは以下の通りである。
1.ターゲット螺旋性(Target strandedness):進行方向および逆方向
2.プローブセルサイズ(feature size):8μm
3.プローブ長:25−mer
4.設計:単一アレイまたはマルチアレイセット
5.アレイフォーマット:49、100、169
シークエンス・ファイル.
上述したFASTAフォーマット化されたシークエンスは、シークエンス・ファイルに記録する。シークエンスには固有のシークエンス名を付けておく。上述した指示ファイルには、アレイ上に配置された各連続フラグメントについての開始および終了位置に関する情報等を記録する。開始はフラグメントの最初の塩基を指定し、終了は最後の塩基を指定する。所定のデザイン・リクエスト・フォーム等の詳細に関しては、上記ガイドを参照されたい。
2.DNA抽出ステップ(ステップS20、S22、S24)
次に、てんかん患者より採血した末梢血からDNAを抽出する。発明者らは、QIAGEN(登録商標)社のQIAamp(登録商標)DNA Blood Maxi Kitを用いてDNA抽出を行なった。当該キットでは、スピンカラム操作法を使用して血液からDNAを精製する。このため、DNAを精製するためのフェノール/クロロホルム抽出は不要である。詳細は、「QIAamp(登録商標)DNA Blood Midi/Maxi Kitプロトコールとトラブルシューティング」の「QIAamp(登録商標)Blood Maxi Kitを用いた全血からのDNA精製(スピンプロトコール)」を参照されたい。なお、DNA抽出は上記スピンプロトコールに限定されるものではなく、他のプロトコールであってもよい。
3.リーシークエンシング実験ステップ(ステップS30).
DNA抽出ステップ(ステップS20、S22、S24)で抽出したDNAを、上述したリーシークエンスDNAチップ12上に搭載されたプローブ14とハイブリダイゼーションさせ、各塩基に対応した蛍光シグナル強度を検出する。図5は、リーシークエンス実験(ステップS30)のプロトコールを示す。図5に示されるように、まず、配列を決定したいてんかんの原因遺伝子の各領域をポリメラーゼチェーンリアクション(Polymerase Chain Reaction : PCR)で増幅する(ステップS31)。次に、各増幅産物(amplicon:アンプリコン)を定量し、同じ濃度になるようにアンプリコンを1つのチューブにまとめ(pooling:プーリング)、精製する(ステップS32)。その後、ハイブリダイズしやすいサイズになるようにアンプリコンを断片化(フラグメンテーション)させる(ステップS33)。続いて、アンプリコンのラベリング(labeling)を行う(ステップS34)。ラベリングされたアンプリコンとリーシークエンスDNAチップ12とのハイブリダイゼーションを行なう(ステップS35)。この後、リーシークエンスDNAチップ12の洗浄、蛍光染色、検出(スキャニング)を行う(ステップS36)。詳細は、“GeneChip (登録商標)CustomSeq(登録商標)Resequencing Array Protocol Version 2.1”を参照されたい。以下では当該プロトコールを適宜引用して、簡単に説明する。
(1)PCRによる増幅(ステップS300)
(i)試薬
後述するPCR条件1−4についてはTOYOBO(登録商標)Co., LTD.社のKOD FXを用い、後述するPCR条件5に対しては同社のKOD Plusを用いた。
(ii)サーマルサイクルプログラム
上記プロトコールに例示されているサーマルサイクラー(ブロック)を94℃(2分)で初期熱変性した後、熱変性、アニールおよび伸長反応を所定数のサイクルで繰返し、伸長反応の延長を行なった(PCR条件)。実際のPCR条件はプローブの種類により異なる。
発明者らは5種類のプローブ14−1〜14−5を使用した。図6(A)はプローブ14−1が備えたてんかん責任遺伝子の構成を示し、図6(B)はプローブ14−1のPCR条件1を示す。図6(A)で、例えばSCN1A_ex3は図3のてんかん責任遺伝子の一覧表20に示されるSCN1A遺伝子のエキソン3を意味する。図6(A)中の他の記号(および図7(A)、8(A)、9(A)、10(A)の記号)も同様であるため、当該記号についての説明は以下では省略する。図6(A)に示されるように、プローブ14−1はてんかん遺伝子一覧表20に掲げた14個のてんかん遺伝子から選択した18個の責任部位から構成されている。図6(B)に示されるように、サーマルサイクラー(ブロック)を94℃(2分)で初期熱変性する(他のプローブ14−2〜14−5でも同様であるため、初期熱変性に関する説明は以下では省略する)。次に、熱変性(98℃で10秒)、アニール(58℃で30秒)および伸長反応(68℃で30秒)を30サイクル実行する(図6(B)中の矢印で示される範囲)。その後、伸長反応の延長(68℃で1分)を行なった。
図7(A)はプローブ14−2が備えたてんかん責任遺伝子の構成を示し、図7(B)はプローブ14−2のPCR条件2を示す。図7(A)に示されるように、プローブ14−2はてんかん遺伝子一覧表20に掲げた14個のてんかん遺伝子から選択した24個の責任部位から構成されている。図7(B)に示されるように、熱変性(98℃で10秒)、アニール(58℃で30秒)および伸長反応(68℃で1分)を30サイクル実行する(図7(B)中の矢印で示される範囲)。その後、伸長反応の延長(68℃で3分)を行なった。
図8(A)はプローブ14−3が備えたてんかん責任遺伝子の構成を示し、図8(B)はプローブ14−3のPCR条件3を示す。図8(A)に示されるように、プローブ14−3はてんかん遺伝子一覧表20に掲げた14個のてんかん遺伝子から選択した2個の責任部位から構成されている。図8(B)に示されるように、熱変性(98℃で10秒)、アニール(58℃で30秒)および伸長反応(68℃で2分)を30サイクル実行する(図8(B)中の矢印で示される範囲)。その後、伸長反応の延長(68℃で3分)を行なった。
図9(A)はプローブ14−4が備えたてんかん責任遺伝子の構成を示し、図9(B)はプローブ14−4のPCR条件4を示す。図9(A)に示されるように、プローブ14−4はてんかん遺伝子一覧表20に掲げた14個のてんかん遺伝子から選択した3個の責任部位から構成されている。図9(B)に示されるように、熱変性(98℃で10秒)およびアニール(68℃で3分)を30サイクル実行する(図9(B)中の矢印で示される範囲)。その後、伸長反応の延長(68℃で3分)を行なった。
図10(A)はプローブ14−5が備えたてんかん責任遺伝子の構成を示し、図10(B)はプローブ14−5のPCR条件5を示す。図10(A)に示されるように、プローブ14−5はてんかん遺伝子一覧表20に掲げた14個のてんかん遺伝子から選択した1個の責任部位から構成されている。図10(B)に示されるように、熱変性(94℃で15秒)、アニール(58℃で30秒)および伸長反応(68℃で4分)を30サイクル実行する(図10(B)中の矢印で示される範囲)。その後、伸長反応の延長(68℃で5分)を行なった。なお、プローブの種類は上記5種類に限定されるものではなく、てんかん遺伝子一覧表20に掲げた14個のてんかん遺伝子から選択した1以上の責任部位から構成された他のプローブであってもよい。
(2)アンプリコンの定量、プーリング、精製(ステップS310)
(i)試薬および装置
アンプリコンの定量には、Invitrogen(登録商標)社のQuant-iT PicoGreen(登録商標)dsDNA Assay Kit等を用いた。詳細は上記プロトコールの表1.9を参照されたい。蛍光測定にはコロナ蛍光マイクロプレートリーダMTP-601Labを用いた(励起波長480nm、蛍光波長520nm)。精製にはClontech(登録商標)社のDNA Amplification Clean-UP Kit等を用いた。詳細は上記プロトコールの表1.12および1.13を参照されたい。
(ii)定量
PicoGreen(登録商標)法により行なった。Resequencing Assay Workbookをダウンロードし、当該Workbookを用いて行なっていく。詳細は上記プロトコールのPicoGreen(登録商標)Methodを参照されたい。
(iii)プーリング
上記WorkbookのPG Standard Curveタブを選択し、PicoGreen(登録商標) Quantitation- Standard Curveワークシートを用いて行なう。詳細は上記プロトコールのPool the PCR Productsを参照されたい。
(iv)精製
詳細は上記プロトコールのPurificationを参照されたい。
(3)アンプリコンのフラグメンテーション(ステップS320)
(i)試薬
Affymetrix(登録商標)社のGeneChip(登録商標) Resequencing Assay Kit中のGeneChip(登録商標)Fragmentation Reagent等を用いた。詳細は上記プロトコールの表1.14を参照されたい。
(ii)フラグメンテーション
詳細は上記プロトコールのFragment the Pooled PCR Productsを参照されたい。
(4)アンプリコンのラベリング(ステップS330)
(i)試薬
Affymetrix(登録商標)社のGeneChip(登録商標) Resequencing Assay Kit中のGeneChip(登録商標)DNA Labeling Reagent等を用いた。詳細は上記プロトコールの表1.17を参照されたい。
(ii)ラベリング
ラベリングは2時間行なった。詳細は上記プロトコールのLabelingを参照されたい。
(5)ハイブリダイゼーション(ステップS340)
(i)試薬
Affymetrix(登録商標)社のGeneChip(登録商標)Resequencing Assay Kit中のOligonucleotide Control Reagent等を用いた。詳細は上記プロトコールの表1.20を参照されたい。
(ii)ハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーションは49℃で16時間行なった。詳細は上記プロトコールのhybridizationを参照されたい。
(6)DNAチップの洗浄、蛍光染色、スキャニング(ステップS350)
(i)試薬および装置
DNAチップの洗浄、蛍光染色、スキャニングはGeneChip(登録商標)Operating Software(GCOS)を用いた。DNAチップの洗浄はGeneChip(登録商標) Fluidics Station 450等を用い、スキャニングはGeneChip(登録商標) Scanner 3000等を用いて行なった。染色にはSAPE(Streptavidin Phycoerythrin)を使用した。詳細は上記プロトコールの表1.25を参照されたい。
(ii)DNAチップの洗浄、蛍光染色、スキャニング
まず、Fluidics Stationのセットアップを行なう。即ち、上記GCOSに新しい実験(実験名)の登録等を行なう。詳細は上記プロトコールのExperiment and Fluidics Station Setupを参照されたい。図11は、染色プロトコールを示す。図11で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図11に示されるように、ハイブリダイゼーションしたプローブ14をビオチン標識し(ステップS351)、ビチオン標識されたDNAをSAPEで染色する(ステップS352)。さらに、抗Streptavidin−ビオチン化抗体でビオチン標識し(ステップS353)、再びSAPEで染色する(ステップS354)。詳細は上記プロトコールのPrepare the Arrays for Washing and StainingからFluidics station Protocolsまでを参照されたい。洗浄・染色の過程は4アレイあたり約1時間半である。この後、スキャニングを行なって、蛍光シグナル強度を検出する。スキャナは上記GCOSにより制御されている。詳細は上記プロトコールのScanning Arraysを参照されたい。スキャン時間は1アレイあたり5分程度である。検出後のアレイイメージはデータ解析用パーソナルコンピュータPC(不図示)の画面上に表示される。図12に、データ解析用パーソナルコンピュータPCの画面上に表示されたスキャン画像(検出後のアレイイメージ)を示す。上記表示は後述するソフトウェアGSEQにより行なわれる。
4.配列解析ステップ(ステップS40)
上述のように検出した蛍光シグナル強度に基づき、てんかん患者における遺伝子変異の有無およびその領域を探索する。配列解析はAffymetrix(登録商標)GeneChip(登録商標)Sequence Analysis Software(GSEQ)で行った。GSEQはGCOSで検出されたデータに基づき配列解析を行なう。詳細はAffymetrix(登録商標)GeneChip(登録商標)Sequence Analysis Software User’s Guide Version 4.1を参照されたい。GCOSとGSEQとの関連は上記ユーザガイドの第2章GETTING STARTEDに記載され、蛍光シグナル強度の解析は上記ユーザガイドの第3章ANALYZING CELLINTENSITY DATAに記載され、リーシークエンス解析は上記ユーザガイドの第4章RESEQUENCING ANALYSIS WINDOWに記載されている。各々参照されたい。
従来のキャピラリー型シークエンサーにより同定された遺伝子変異を、本発明のリーシークエンスDNAチップ12により同定可能かどうか検討した。図13は、従来のキャピラリー型シークエンサーによる同定と本発明のリーシークエンスDNAチップ12による同定との比較を示す。図13に示されるように、患者(patient)はS1からS88まで(Sに付された番号は不連続)の48検体である。図13の比較結果(Results)欄は、従来のキャピラリー型シークエンサーにより同定された遺伝子変異を本発明のリーシークエンスDNAチップ12により同定できた場合は○(Consistent)とし、同定できなかった場合は×(Inconsistent)と示してある。例えば、患者S1ではコーディング領域の4547番のC(シトシン)がA(アデニン)に変異しており、これを本発明のリーシークエンスDNAチップ12も同定できたため、○(Consistent)となっている。一方、患者S14ではcDNAの2802番のG(グアニン)がC(シトシン)に変異しており、これを本発明のリーシークエンスDNAチップ12は同定できなかったため、×(Inconsistent)となっている。全体では、48検体中44検体が一致(○)し、92%という高い精度で遺伝子変異を同定することができた。
以上より、本発明の実施例1によれば、リーシークエンスDNAチップ12が対応するてんかん責任遺伝子としては、好適にはナトリウムチャネル遺伝子、カリウムチャネル遺伝子、カルシウムチャネル遺伝子、塩素チャネル遺伝子、アセチルコリン受容体遺伝子及びγ−アミノ酪酸受容体遺伝子の6種類から選択した14個のてんかん責任遺伝子である。即ち、本発明のリーシークエンスDNAチップ12によれば、一度の解析で14個のてんかん責任遺伝子の責任部位のシークエンスを得ることが可能である。本発明のリーシークエンスDNAチップ12に搭載しているプローブ14は、出願時点までに報告されているてんかん責任遺伝子の91%をカバーしている。なお、異なる遺伝子でも相同な領域はクロスハイブリダイゼーション(cross hybridization)してしまうため、本発明のリーシークエンスDNAチップ12では一部相同領域を除いた。このため、100%のカバー率は得られない。
従来のキャピラリー型シークエンサーにより同定された遺伝子変異を、本発明のリーシークエンスDNAチップ12により同定可能かどうか検討した。その結果、48検体中44検体が一致し、92%という高い精度で遺伝子変異を同定することができた。以上より、本発明のリーシークエンスDNAチップ12によれば、てんかんのように複数の遺伝的要因の関与が示唆されている疾患の場合であっても、複数の任意遺伝子型を一度の解析で同定することができるため、時間的、コスト的および労力的に現実的な、リーシークエンスDNAチップ12を提供することができる。
上述したように、本発明のリーシークエンスDNAチップ12はAffymetrix(登録商標)Resequencing Arrayをベースにしたものである。しかし、本発明に係るリーシークエンスDNAチップ12はAffymetrix(登録商標)Resequencing Arrayに限定されるものではなく、ターゲットとなるDNAの相補鎖を選択的に捕獲するように設計されたプローブを搭載した任意のタイプの平面支持体または固相支持体等であれば他のマイクロアレイであってもよい。
上述した本発明のリーシークエンスDNAチップ12を用いることにより、一度の解析で、従来判明しているてんかん全責任遺伝子領域の遺伝子型の判定が可能となる。この結果、てんかんのように複数の遺伝的要因の関与が示唆されている疾患の場合であっても、遺伝子診断が可能となる。当該遺伝子診断により、患者の病因に即したAED選択が可能となる。即ち、本発明の最適抗てんかん薬決定方法によれば、上述した本発明のリーシークエンスDNAチップ12を用いててんかん患者のてんかん責任遺伝子を同定し、同定されたてんかん遺伝子に作用する抗てんかん薬(AED)を選択することにより、最適なAEDを決定することができる。より具体的には、てんかん責任遺伝子およびAED作用機序、作用部位でのAED濃度を規定するAED代謝関連遺伝子多型等の知見を基に、てんかん患者に対し遺伝子診断を行なう。従来、てんかん発作型・症候群分類からAEDを判断していたが、上述した本発明のリーシークエンスDNAチップ12を用いててんかん患者のてんかん責任遺伝子を同定することにより、その患者のてんかんの原因(てんかん責任遺伝子変異)に最も適したAEDを選択することができ、個々人の代謝能(AED代謝関連遺伝子多型)からそれに見合った投与量を設定することが可能となる。加えて、以上の遺伝子診断により、患者の予後予測を的確に行なうことが可能となる。
以上より、本発明の実施例2によれば、変異部位から適切なAEDを選択し、試行錯誤(Try
& Error)を減少させ、患者の負担を軽減することができる(図1のステップS50)。さらに、てんかん発作抑制率の向上につながり、仮性難治てんかんを防ぎ、AEDの副作用および社会的制約(運転免許の取得、職業等の制約)の軽減等により患者のQOLを向上させることができ、医療経済的側面にも大きく貢献することができる。遺伝的なてんかん要因を持っていても、てんかん発症前の特定の時期に治療することにより、てんかん発症を抑制できる可能性が明らかになりつつある。従って、上述した最適AED決定方法によるてんかんの遺伝子診断は、将来的なてんかん根治治療において非常に重要である。
発作を主調とするてんかんは、他の機能性神経精神疾患(統合失調症、うつ病)と比較して、脳内標的分子が判明しつつある。従って、本発明のリーシークエンスDNAチップ12(てんかん遺伝子診断チップ)の技術的思想は、薬物治療が主たる治療法である他の神経精神疾患における遺伝子診断チップに対しても適用可能であろう。
本発明の活用例として、てんかん患者のてんかん責任遺伝子型の同定、および薬物治療が主たる治療法である他の神経精神疾患における責任遺伝子型の同定等に適用することができる。
10 GeneChip(登録商標)CustomSeq(登録商標)Array、 12、12’ リーシークエンスDNAチップ、12a リーシークエンスDNAチップ12’の一部、 14、14−1、14−2、14−3、14−4、14−5 プローブ、 20 てんかん責任遺伝子の一覧表、30 スポット、30T、30G、30C、30A スポット30のプローブ、30−i、32−j 配列の位置、32 配列。
"てんかんテキスト〜はじめの一歩〜"、[online]、大日本住友製薬株式会社、[2010年2月9日掲載]、インターネット、<URL:http://http://ds-pharma.jp/medical/gakujutsu/tenkan/tenkan01/epilepsy/index.html>

Claims (9)

  1. てんかん患者のてんかん責任遺伝子型を同定するプローブを搭載したリーシークエンスDNAチップであって、該リーシークエンス用DNAチップが対応するてんかん責任遺伝子は、ナトリウムチャネル遺伝子、カリウムチャネル遺伝子、カルシウムチャネル遺伝子、塩素チャネル遺伝子、アセチルコリン受容体遺伝子及びγ−アミノ酪酸受容体遺伝子のいずれか1以上を含み、該プローブは該てんかん責任遺伝子から選択した1以上の責任部位を搭載したことを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。
  2. 請求項1記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記ナトリウムチャネル遺伝子はSCN1A遺伝子及びSCN1B遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
    (1)SCN1A遺伝子のエキソン1から26、
    (2)SCN1B遺伝子のエキソン3、
    から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。
  3. 請求項1又は2記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記カリウムチャネル遺伝子はKCNQ2遺伝子及びKCNQ3遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
    (1)KCNQ2遺伝子のエキソン1、エキソン2、
    (2)KCNQ2遺伝子のエキソン8、
    (3)KCNQ3遺伝子のエキソン6、
    から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記カルシウムチャネル遺伝子はCACNA1A遺伝子、CACNA1H遺伝子及びCACNB4遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
    (1)CACNA1A遺伝子のエキソン3、エキソン33、エキソン36、
    (2)CACNA1H遺伝子のエキソン4、エキソン7、エキソン9から11、エキソン23、
    (3)CACNB4遺伝子のエキソン13、
    から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記塩素チャネル遺伝子はCLCN2遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
    (1)CLCN2遺伝子のエキソン5、エキソン19
    から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記アセチルコリン受容体遺伝子はCHRNA4遺伝子、CHRNA7遺伝子及びCHRNB2遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
    (1)CHRNA4遺伝子のエキソン5、
    (2)CHRNA7遺伝子のエキソン10、
    (3)CHRNB2遺伝子のエキソン5、
    から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記γ−アミノ酪酸受容体遺伝子はGABRA1遺伝子、GABRAD遺伝子及びGABRG2遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
    (1)GABRA1遺伝子のエキソン10、
    (2)GABRAD遺伝子のエキソン5−6、
    (3)GABRG2遺伝子のエキソン2、エキソン4
    から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、挿入/欠失(insertion/deletion)に対応する塩基配列に基づく他のプローブをさらに搭載したことを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。
  9. てんかん患者に最適な抗てんかん薬を決定する最適抗てんかん薬決定方法であって、請求項1乃至8のいずれかに記載したリーシークエンスDNAチップを用いててんかん患者のてんかん責任遺伝子を同定し、同定されたてんかん遺伝子に作用する抗てんかん薬(AED)を選択することを特徴とする最適抗てんかん薬決定方法。

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