JP2011188837A - リーシークエンスdnaチップおよび最適抗てんかん薬決定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リーシークエンスDNAチップが対応するてんかん責任遺伝子は、ナトリウムチャネル遺伝子、カリウムチャネル遺伝子、カルシウムチャネル遺伝子、塩素チャネル遺伝子、アセチルコリン受容体遺伝子及びγ−アミノ酪酸受容体遺伝子の6種類から選択した14個のてんかん責任遺伝子である。リーシークエンスDNAチップに搭載されたプローブは上記てんかん責任遺伝子から選択した1以上の責任部位を搭載している。リーシークエンスDNAチップを用いててんかん患者のてんかん責任遺伝子を同定し、同定されたてんかん遺伝子に作用するAEDを選択することにより、最適なAEDを決定する。
【選択図】図1
Description
この発明のリーシークエンスDNAチップにおいて、挿入/欠失(insertion/deletion)に対応する塩基配列に基づく他のプローブをさらに搭載することができる。
リーシークエンシング(Resequencing)は、既知の配列と未知の配列とを比較することを意味し、遺伝子異常(変異)の同定に用いることができる。本発明では、Affymetrix(登録商標)Resequencing Arrayをベースにして、リーシークエンス(Resequence)DNAチップ上にてんかん責任遺伝子に対応するプローブを設計し搭載することにより、てんかんの遺伝子診断用リーシークエンスDNAチップを開発した。てんかんは複数の遺伝的用要因(出願時点で23個。責任遺伝子/305変異)が関与している。本発明のリーシークエンスDNAチップに搭載しているプローブは、出願時点までに報告されているてんかん責任遺伝子の91%をカバーしている。以下、各実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図2は、図1のリーシークエンスDNAチップ開発ステップ(ステップS10)を示す部分の拡大図である。図2において、符号10はGeneChip(登録商標)CustomSeq(登録商標)Array、12はGeneChip(登録商標)CustomSeq(登録商標)Array10に設けられたリーシークエンスDNAチップ、12’はリーシークエンスDNAチップ12の拡大図である。図2に示されるリーシークエンスDNAチップ12’は、これまでに判明した既存の情報に基づくてんかんの原因(責任)遺伝子を網羅しており、全てんかん責任遺伝子の変異領域配列のプローブを搭載している。本発明における遺伝子型判定領域は18Kベース(base)であるが、今後、新たな責任遺伝子が判明した場合でも300Kベースまでは本発明のリーシークエンスDNAチップ12’に搭載可能である。図2に示されるリーシークエンスDNAチップ12’のサイズは1.28cm×1.28cmであるが、これに限定されるものではなく、例えば8mm×8mmであってもよい。符号12aはリーシークエンスDNAチップ12’の一部(プローブセル)の拡大図であり、ハイブリダイズされたプローブ14が示されている。図2に示されるプローブセルのサイズは24μm×24μmであるが、これに限定されるものではなく、例えば8μm×8μmであってもよい。
(1)SCN1A遺伝子のエキソン1から26、
(2)SCN1B遺伝子のエキソン3、
から選択することが好適である。
(1)KCNQ2遺伝子のエキソン1、エキソン2、
(2)KCNQ2遺伝子のエキソン8、
(3)KCNQ3遺伝子のエキソン6、
から選択することが好適である。
(1)CACNA1A遺伝子のエキソン3、エキソン33、エキソン36、
(2)CACNA1H遺伝子のエキソン4、エキソン7、エキソン9から11、エキソン23、
(3)CACNB4遺伝子のエキソン13、
から選択することが好適である。
(1)CLCN2遺伝子のエキソン5、エキソン19
から選択することが好適である。
(1)CHRNA4遺伝子のエキソン5、
(2)CHRNA7遺伝子のエキソン10、
(3)CHRNB2遺伝子のエキソン5、
から選択することが好適である。
(1)GABRA1遺伝子のエキソン10、
(2)GABRAD遺伝子のエキソン5−6、
(3)GABRG2遺伝子のエキソン2、エキソン4
から選択することが好適である。
対象としたいシークエンスは所望のデータベースからダウンロードされ、FASTAフォーマット(上記所定フォーマット。1つのシーケンスのデータが、">"
で始まるヘッダ行(1行目)と2行目以降の実際のシークエンス文字列とで構成される。)へ変換する。アレイ容量(塩基数)はアレイフォーマットに応じて3種類用意されている。本実施例では、アレイフォーマット169を選択したため、アレイの最大容量は47,974である。以下では「配列」および「アレイ」を慣用に合わせて使い分けしているが、両者共同じ意味である。
標準的な設計オプションは以下の通りである。
1.ターゲット螺旋性(Target strandedness):進行方向および逆方向
2.プローブセルサイズ(feature size):8μm
3.プローブ長:25−mer
4.設計:単一アレイまたはマルチアレイセット
5.アレイフォーマット:49、100、169
上述したFASTAフォーマット化されたシークエンスは、シークエンス・ファイルに記録する。シークエンスには固有のシークエンス名を付けておく。上述した指示ファイルには、アレイ上に配置された各連続フラグメントについての開始および終了位置に関する情報等を記録する。開始はフラグメントの最初の塩基を指定し、終了は最後の塩基を指定する。所定のデザイン・リクエスト・フォーム等の詳細に関しては、上記ガイドを参照されたい。
次に、てんかん患者より採血した末梢血からDNAを抽出する。発明者らは、QIAGEN(登録商標)社のQIAamp(登録商標)DNA Blood Maxi Kitを用いてDNA抽出を行なった。当該キットでは、スピンカラム操作法を使用して血液からDNAを精製する。このため、DNAを精製するためのフェノール/クロロホルム抽出は不要である。詳細は、「QIAamp(登録商標)DNA Blood Midi/Maxi Kitプロトコールとトラブルシューティング」の「QIAamp(登録商標)Blood Maxi Kitを用いた全血からのDNA精製(スピンプロトコール)」を参照されたい。なお、DNA抽出は上記スピンプロトコールに限定されるものではなく、他のプロトコールであってもよい。
DNA抽出ステップ(ステップS20、S22、S24)で抽出したDNAを、上述したリーシークエンスDNAチップ12上に搭載されたプローブ14とハイブリダイゼーションさせ、各塩基に対応した蛍光シグナル強度を検出する。図5は、リーシークエンス実験(ステップS30)のプロトコールを示す。図5に示されるように、まず、配列を決定したいてんかんの原因遺伝子の各領域をポリメラーゼチェーンリアクション(Polymerase Chain Reaction : PCR)で増幅する(ステップS31)。次に、各増幅産物(amplicon:アンプリコン)を定量し、同じ濃度になるようにアンプリコンを1つのチューブにまとめ(pooling:プーリング)、精製する(ステップS32)。その後、ハイブリダイズしやすいサイズになるようにアンプリコンを断片化(フラグメンテーション)させる(ステップS33)。続いて、アンプリコンのラベリング(labeling)を行う(ステップS34)。ラベリングされたアンプリコンとリーシークエンスDNAチップ12とのハイブリダイゼーションを行なう(ステップS35)。この後、リーシークエンスDNAチップ12の洗浄、蛍光染色、検出(スキャニング)を行う(ステップS36)。詳細は、“GeneChip (登録商標)CustomSeq(登録商標)Resequencing Array Protocol Version 2.1”を参照されたい。以下では当該プロトコールを適宜引用して、簡単に説明する。
(i)試薬
後述するPCR条件1−4についてはTOYOBO(登録商標)Co., LTD.社のKOD FXを用い、後述するPCR条件5に対しては同社のKOD Plusを用いた。
(ii)サーマルサイクルプログラム
上記プロトコールに例示されているサーマルサイクラー(ブロック)を94℃(2分)で初期熱変性した後、熱変性、アニールおよび伸長反応を所定数のサイクルで繰返し、伸長反応の延長を行なった(PCR条件)。実際のPCR条件はプローブの種類により異なる。
(i)試薬および装置
アンプリコンの定量には、Invitrogen(登録商標)社のQuant-iT PicoGreen(登録商標)dsDNA Assay Kit等を用いた。詳細は上記プロトコールの表1.9を参照されたい。蛍光測定にはコロナ蛍光マイクロプレートリーダMTP-601Labを用いた(励起波長480nm、蛍光波長520nm)。精製にはClontech(登録商標)社のDNA Amplification Clean-UP Kit等を用いた。詳細は上記プロトコールの表1.12および1.13を参照されたい。
(ii)定量
PicoGreen(登録商標)法により行なった。Resequencing Assay Workbookをダウンロードし、当該Workbookを用いて行なっていく。詳細は上記プロトコールのPicoGreen(登録商標)Methodを参照されたい。
(iii)プーリング
上記WorkbookのPG Standard Curveタブを選択し、PicoGreen(登録商標) Quantitation- Standard Curveワークシートを用いて行なう。詳細は上記プロトコールのPool the PCR Productsを参照されたい。
(iv)精製
詳細は上記プロトコールのPurificationを参照されたい。
(i)試薬
Affymetrix(登録商標)社のGeneChip(登録商標) Resequencing Assay Kit中のGeneChip(登録商標)Fragmentation Reagent等を用いた。詳細は上記プロトコールの表1.14を参照されたい。
(ii)フラグメンテーション
詳細は上記プロトコールのFragment the Pooled PCR Productsを参照されたい。
(i)試薬
Affymetrix(登録商標)社のGeneChip(登録商標) Resequencing Assay Kit中のGeneChip(登録商標)DNA Labeling Reagent等を用いた。詳細は上記プロトコールの表1.17を参照されたい。
(ii)ラベリング
ラベリングは2時間行なった。詳細は上記プロトコールのLabelingを参照されたい。
(i)試薬
Affymetrix(登録商標)社のGeneChip(登録商標)Resequencing Assay Kit中のOligonucleotide Control Reagent等を用いた。詳細は上記プロトコールの表1.20を参照されたい。
(ii)ハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーションは49℃で16時間行なった。詳細は上記プロトコールのhybridizationを参照されたい。
(i)試薬および装置
DNAチップの洗浄、蛍光染色、スキャニングはGeneChip(登録商標)Operating Software(GCOS)を用いた。DNAチップの洗浄はGeneChip(登録商標) Fluidics Station 450等を用い、スキャニングはGeneChip(登録商標) Scanner 3000等を用いて行なった。染色にはSAPE(Streptavidin Phycoerythrin)を使用した。詳細は上記プロトコールの表1.25を参照されたい。
(ii)DNAチップの洗浄、蛍光染色、スキャニング
まず、Fluidics Stationのセットアップを行なう。即ち、上記GCOSに新しい実験(実験名)の登録等を行なう。詳細は上記プロトコールのExperiment and Fluidics Station Setupを参照されたい。図11は、染色プロトコールを示す。図11で図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図11に示されるように、ハイブリダイゼーションしたプローブ14をビオチン標識し(ステップS351)、ビチオン標識されたDNAをSAPEで染色する(ステップS352)。さらに、抗Streptavidin−ビオチン化抗体でビオチン標識し(ステップS353)、再びSAPEで染色する(ステップS354)。詳細は上記プロトコールのPrepare the Arrays for Washing and StainingからFluidics station Protocolsまでを参照されたい。洗浄・染色の過程は4アレイあたり約1時間半である。この後、スキャニングを行なって、蛍光シグナル強度を検出する。スキャナは上記GCOSにより制御されている。詳細は上記プロトコールのScanning Arraysを参照されたい。スキャン時間は1アレイあたり5分程度である。検出後のアレイイメージはデータ解析用パーソナルコンピュータPC(不図示)の画面上に表示される。図12に、データ解析用パーソナルコンピュータPCの画面上に表示されたスキャン画像(検出後のアレイイメージ)を示す。上記表示は後述するソフトウェアGSEQにより行なわれる。
上述のように検出した蛍光シグナル強度に基づき、てんかん患者における遺伝子変異の有無およびその領域を探索する。配列解析はAffymetrix(登録商標)GeneChip(登録商標)Sequence Analysis Software(GSEQ)で行った。GSEQはGCOSで検出されたデータに基づき配列解析を行なう。詳細はAffymetrix(登録商標)GeneChip(登録商標)Sequence Analysis Software User’s Guide Version 4.1を参照されたい。GCOSとGSEQとの関連は上記ユーザガイドの第2章GETTING STARTEDに記載され、蛍光シグナル強度の解析は上記ユーザガイドの第3章ANALYZING CELLINTENSITY DATAに記載され、リーシークエンス解析は上記ユーザガイドの第4章RESEQUENCING ANALYSIS WINDOWに記載されている。各々参照されたい。
& Error)を減少させ、患者の負担を軽減することができる(図1のステップS50)。さらに、てんかん発作抑制率の向上につながり、仮性難治てんかんを防ぎ、AEDの副作用および社会的制約(運転免許の取得、職業等の制約)の軽減等により患者のQOLを向上させることができ、医療経済的側面にも大きく貢献することができる。遺伝的なてんかん要因を持っていても、てんかん発症前の特定の時期に治療することにより、てんかん発症を抑制できる可能性が明らかになりつつある。従って、上述した最適AED決定方法によるてんかんの遺伝子診断は、将来的なてんかん根治治療において非常に重要である。
Claims (9)
- てんかん患者のてんかん責任遺伝子型を同定するプローブを搭載したリーシークエンスDNAチップであって、該リーシークエンス用DNAチップが対応するてんかん責任遺伝子は、ナトリウムチャネル遺伝子、カリウムチャネル遺伝子、カルシウムチャネル遺伝子、塩素チャネル遺伝子、アセチルコリン受容体遺伝子及びγ−アミノ酪酸受容体遺伝子のいずれか1以上を含み、該プローブは該てんかん責任遺伝子から選択した1以上の責任部位を搭載したことを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。
- 請求項1記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記ナトリウムチャネル遺伝子はSCN1A遺伝子及びSCN1B遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
(1)SCN1A遺伝子のエキソン1から26、
(2)SCN1B遺伝子のエキソン3、
から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。 - 請求項1又は2記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記カリウムチャネル遺伝子はKCNQ2遺伝子及びKCNQ3遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
(1)KCNQ2遺伝子のエキソン1、エキソン2、
(2)KCNQ2遺伝子のエキソン8、
(3)KCNQ3遺伝子のエキソン6、
から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記カルシウムチャネル遺伝子はCACNA1A遺伝子、CACNA1H遺伝子及びCACNB4遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
(1)CACNA1A遺伝子のエキソン3、エキソン33、エキソン36、
(2)CACNA1H遺伝子のエキソン4、エキソン7、エキソン9から11、エキソン23、
(3)CACNB4遺伝子のエキソン13、
から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記塩素チャネル遺伝子はCLCN2遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
(1)CLCN2遺伝子のエキソン5、エキソン19
から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記アセチルコリン受容体遺伝子はCHRNA4遺伝子、CHRNA7遺伝子及びCHRNB2遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
(1)CHRNA4遺伝子のエキソン5、
(2)CHRNA7遺伝子のエキソン10、
(3)CHRNB2遺伝子のエキソン5、
から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、前記γ−アミノ酪酸受容体遺伝子はGABRA1遺伝子、GABRAD遺伝子及びGABRG2遺伝子であり、前記プローブに搭載する責任部位は、
(1)GABRA1遺伝子のエキソン10、
(2)GABRAD遺伝子のエキソン5−6、
(3)GABRG2遺伝子のエキソン2、エキソン4
から選択することを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載のリーシークエンスDNAチップにおいて、挿入/欠失(insertion/deletion)に対応する塩基配列に基づく他のプローブをさらに搭載したことを特徴とするリーシークエンスDNAチップ。
- てんかん患者に最適な抗てんかん薬を決定する最適抗てんかん薬決定方法であって、請求項1乃至8のいずれかに記載したリーシークエンスDNAチップを用いててんかん患者のてんかん責任遺伝子を同定し、同定されたてんかん遺伝子に作用する抗てんかん薬(AED)を選択することを特徴とする最適抗てんかん薬決定方法。
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