JP2011187119A - 対物レンズ、光ピックアップ及び光ディスク装置 - Google Patents

対物レンズ、光ピックアップ及び光ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】温度変動による球面収差の低減を実現しつつ、共通の一の対物レンズを用いて3波長の光ビームを信号記録面に集光可能な光ピックアップに用いられる対物レンズを提供する。
【解決手段】対物レンズ34における光ビームが入射される入射側の面の回折部50が、最内周部に設けられた第1の領域51と、第1の領域51の外側に設けられた第2の領域52と、第2の領域53の外側に設けられた第3の領域53とを有し、λ1の光ビームが第1乃至第3の領域51〜53に相当する開口径となり、λ2の光ビームが第1及び第2の領域51、52に相当する開口径となり、λ3の光ビームが第1の領域51に相当する開口径となるように形成され、第1の領域51には、非球面レンズ形状に、輪帯状で且つ所定の高さを有する階段形状が輪帯の半径方向に周期的に形成された階段状周期構造511と、階段状周期構造の各周期内において同じ深さdの段差構造512が重畳されている。
【選択図】 図8

Description

本発明は、異なる3種類の光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップに用いられる対物レンズ、並びに光ピックアップ及びこの光ピックアップを用いた光ディスク装置に関する。
近年、次世代光ディスクフォーマットとして、青紫色半導体レーザによる波長405nm程度の光ビームを用いて信号の記録再生を行う高密度記録が可能な光ディスク(以下、「高密度記録光ディスク」という。)が提案されている。この高密度記録光ディスクは、信号記録層を保護するカバー層の厚さを薄く、例えば0.1mmとした構造のものが提案されている。
これらの高密度記録光ディスクに対応する光ピックアップを提供するに際して、従来の光ディスクとの互換性を有することが望まれる。すなわち、従来の使用波長が785nm付近であるCD(Compact Disc)、使用波長が655nm付近であるDVD(Digital Versatile Disc)等のフォーマットの異なる光ディスクとの互換性を有するものが望まれる。このように、ディスク構造及びこれに伴うレーザ仕様が異なるフォーマットの光ディスク間の互換性を有する光ピックアップ及び光ディスク装置が必要とされる。
従来、異なるフォーマットとされた3種類の光ディスクに対して、情報信号の記録又は再生を実現する方法として、2種類の対物レンズを有するものがあった。具体的には、DVD・CD用、及び、高密度記録光ディスク用の2種類の対物レンズと2種類の光学系を設け、それぞれの対物レンズを使用波長毎に切り換える方式の光ピックアップがある。
これに対して、特許文献1には、光学部品の簡素化を可能とするため複数種類の光ディスク及び3種類の使用波長に対して共通の単一の対物レンズを備える光ピックアップが記載されている。特許文献1に記載された光ピックアップでは、光路上に回折部を設け、この回折部により拡散方向又は収束方向に回折作用を加えることで、使用波長とメディアの組み合わせによって生じる球面収差を補正するというものである。
特開2009−245575号公報
特許文献1に記載された光ピックアップでは、温度や波長の変動によらず良好な記録再生特性を実現しつつ、共通の一の対物レンズを用いて3波長の光ビームを信号記録面に集光可能であるが、更に温度変動による球面収差の低減が望まれる。
本発明は、この実情に鑑みて提案されたもので、温度変動による球面収差の低減を実現しつつ、共通の一の対物レンズを用いて3波長の光ビームを信号記録面に集光可能な光ピックアップに用いられる対物レンズを提供することを目的とする。また、この対物レンズが組み込まれた光ピックアップ及び光ディスク装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための手段として、本発明に係る対物レンズは、少なくともλ1<λ2<λ3の関係を有する3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームを互換して対応する光ディスクの信号記録面上に集光する対物レンズであって、光ビームが入射される入射側の面に所定の回折構造を有する回折部を備え、回折部は、最内周部に設けられ光ビームを回折する第1の領域と、第1の領域の外側に設けられ光ビームを回折する第2の領域と、第2の領域の外側に設けられる第3の領域とを有し、第1乃至第3の領域は、λ1の光ビームが第1乃至第3の領域に相当する開口径となり、λ2の光ビームが第1及び第2の領域に相当する開口径となり、λ3の光ビームが第1の領域に相当する開口径となるように形成され、第1の領域には、非球面レンズ形状に、輪帯状で且つ所定の高さを有する階段形状が輪帯の半径方向に周期的に形成された階段状周期構造と、階段状周期構造の各周期内において同じ深さdの段差構造が重畳されている。深さdは、当該対物レンズの構成材料のλ1に対する屈折率がn1としたときに、関係式d≒−10×K×λ1/(n1−1))を満たす。ここで、mは、単調増加する自然数であって、階段状周期構造において、レンズ中心を基準として外周方向に並んだ階段形状の位置を示す番号である。Kは、0以上の整数であり、m周期目で与えられる深さdの比例係数であって、Km−1≦Kと、少なくとも階段状周期構造の任意の周期の一箇所において、K=Km−1とを満たす。
また、本発明に係る光ピックアップは、少なくともλ1<λ2<λ3の関係を有する3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームが入射される対物レンズと、3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームの光路上に配置される光学素子又は対物レンズの一方の面に設けられ、3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームを互換して対物レンズにより対応する光ディスクの信号記録面上に集光させる回折部とを備え、回折部は、最内周部に設けられ光ビームを回折する第1の領域と、第1の領域の外側に設けられ光ビームを回折する第2の領域と、第2の領域の外側に設けられる第3の領域とを有し、第1乃至第3の領域は、λ1の光ビームが第1乃至第3の領域に相当する開口径となり、λ2の光ビームが第1及び第2の領域に相当する開口径となり、λ3の光ビームが第1の領域に相当する開口径となるように形成され、第1の領域には、非球面レンズ形状に、輪帯状で且つ所定の高さを有する階段形状が輪帯の半径方向に周期的に形成された階段状周期構造と、階段状周期構造の各周期内において同じ深さdの段差構造が重畳されている。深さdは、当該対物レンズの構成材料のλ1に対する屈折率がn1としたときに、関係式d≒−10×K×λ1/(n1−1))を満たす。ここで、mは、単調増加する自然数であって、階段状周期構造において、レンズ中心を基準として外周方向に並んだ階段形状の位置を示す番号である。Kは、0以上の整数であり、m周期目で与えられる深さdの比例係数であって、Km−1≦Kと、少なくとも上記階段状周期構造の任意の周期の一箇所において、K=Km−1とを満たす。
また、本発明に係る光ディスク装置は、回転駆動される複数種類の光ディスクに対し波長を異にする複数の光ビームを選択的に照射することにより情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップを備え、光ピックアップは、少なくともλ1<λ2<λ3の関係を有する3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームが入射される対物レンズと、3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームの光路上に配置される光学素子又は対物レンズの一方の面に設けられ、3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームを互換して対物レンズにより対応する光ディスクの信号記録面上に集光させる回折部とを備え、回折部は、最内周部に設けられ光ビームを回折する第1の領域と、第1の領域の外側に設けられ光ビームを回折する第2の領域と、第2の領域の外側に設けられる第3の領域とを有し、第1乃至第3の領域は、λ1の光ビームが第1乃至第3の領域に相当する開口径となり、λ2の光ビームが第1及び第2の領域に相当する開口径となり、λ3の光ビームが第1の領域に相当する開口径となるように形成され、第1の領域には、非球面レンズ形状に、輪帯状で且つ所定の高さを有する階段形状が輪帯の半径方向に周期的に形成された階段状周期構造と、階段状周期構造の各周期内において同じ深さdの段差構造が重畳されている。深さdは、当該対物レンズの構成材料のλ1に対する屈折率がn1としたときに、関係式d≒−10×K×λ1/(n1−1))を満たす。ここで、mは、単調増加する自然数であって、階段状周期構造において、レンズ中心を基準として外周方向に並んだ階段形状の位置を示す番号である。Kは、0以上の整数であり、m周期目で与えられる深さdの比例係数であって、Km−1≦Kと、少なくとも階段状周期構造の任意の周期の一箇所において、K=Km−1とを満たす。
本発明は、最内周部に設けられ光ビームを回折する第1の領域において、各波長の所定の次数の回折光が光ディスクの信号記録面に集光するように回折する階段状周期構造と、深さdの段差構造とが重畳されている。この段差構造は、各波長の略整数倍であるため、設計中心において各波長の波面収差状態にほとんど影響を与えないで、温度変化による球面収差量を相殺するように、Kの比例係数で決定されるdの段差がレンズ中心を基準として外周方向に形成されている。
このようにして、本発明は、全波長の光ビームが入射する第1の領域で、段差構造により、温度変動による球面収差の低減を実現しつつ、階段状周期構造により、各波長の所定の次数の回折光が光ディスクの信号記録面に集光するように回折することができる。
以上のようにして、本発明は、回折部により3種類の光ディスクに対して、共通の一の対物レンズを用いてそれぞれ対応する光ビームを信号記録面に適切に集光することを可能とする。また、本発明は、回折部による不要回折光が温度や波長の変動により増大してサーボが不安定となることを防止する。これにより、本発明は、記録再生特性の劣化を防止して、良好な記録再生特性を実現することができる。
本発明を適用した光ディスク装置を示すブロック回路図である。 本発明を適用した光ピックアップの光学系を示す光路図である。 図2に示す光ピックアップを構成する回折部の機能を説明するための図である。(A)は、例えば、第1の光ディスクに対して第1の波長の光ビームの+1次回折光を発生させた場合の光ビームを示すための図である。(B)は、例えば、第2の光ディスクに対して第2の波長の光ビームの−2次回折光を発生させた場合の光ビームを示すための図である。(C)は、例えば、第3の光ディスクに対して第3の波長の光ビームの−3次回折光を発生させた場合の光ビームを示すための図である。 本発明が適用された対物レンズの構成について説明するための図である。(A)は、対物レンズの平面図であり、(B)は、対物レンズの断面図である。 回折部に係る回折構造について説明するための図である。(A)は、階段状周期構造を示す断面図であり、(B)は、ブレーズ形状を示す断面図である。 回折構造における高さと位相差との対応関係について説明するための図である。 温度変動に応じた球面収差の変化について説明するための図である。(A)は、温度変動時の球面収差量SA_65を示すグラフであり、(B)は、コリメータレンズの移動によって生じる球面収差量SA_Cを示すグラフであり、(C)は、コリメータレンズの動作に応じて相殺された球面収差量SA_CANを示すグラフである。 第1の領域に重畳される段差構造について説明するための図である。(A)は、階段状周期構造を示す断面図であり、(B)は、階段状周期構造と段差構造とが重畳された回折部を示す断面図である。 ピストン段に応じた球面収差量の変化について説明するための図である。(A)は、ピストン段導入時の基準温度の波面状態を示すグラフであり、(B)は、ピストン段導入時で、基準温度から+30℃温度変動したときの波面状態を示すグラフである。 各ピストン段毎に非球面係数を調整したときの球面収差量の変化について説明するための図である。(A)は、非球面係数調整前の離散的な波面状態を示すグラフであり、(B)は、非球面係数調整後の波面状態を示すグラフである。 第2の領域に重畳される段差構造について説明するための図である。(A)は、階段状周期構造を示す断面図であり、(B)は、階段状周期構造と段差構造とが重畳された回折部を示す断面図である。 導入されるピストン段の数に応じたコリメータレンズ42でSA3を補正した際の全球面収差量の変化について説明するための図である。
以下、発明を実施するための最良の形態を以下の順で説明する。
1.光ディスク装置の全体構成
2.光ピックアップの全体構成
3.対物レンズについて
〔1.光ディスク装置の全体構成〕
以下、本発明が適用された光ピックアップを用いた光ディスク装置について、図面を参照して説明する。
本発明が適用された光ディスク装置1は、図1に示すように、光ディスク2から情報記録再生を行う光ピックアップ3と、光ディスク2を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ4とを備える。また、光ディスク装置1は、光ピックアップ3を光ディスク2の径方向に移動させる送りモータ5を備えている。
この光ディスク装置1は、フォーマットの異なる3種類の光ディスク及び記録層が積層化された光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行うことができる3規格間互換性を実現した光ディスク装置である。
ここで用いられる光ディスクは、例えば、発光波長が785nm程度の半導体レーザを用いたCD(Compact Disc)、CD−R(Recordable)、CD−RW(ReWritable)等の光ディスクである。また、ここで用いられる光ディスクは、発光波長を655nm程度の半導体レーザを用いたDVD(Digital Versatile Disc)、DVD−R(Recordable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクである。さらに、ここで用いられる光ディスクは、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能なBD(Blu-ray Disc(登録商標))等の高密度記録光ディスクである。
特に、以下で光ディスク装置1により情報の再生又は記録を行う3種類の光ディスク2として、以下の第1乃至第3の光ディスク11,12,13を用いるものとして説明する。第1の光ディスク11は、0.1mm程度の第1の厚さで形成された保護層を有し波長405nm程度の光ビームを記録再生光として使用する高密度記録が可能な上述したBD等の光ディスクである。尚、この第1の光ディスク11には、記録層が単層である光ディスク(カバー層厚さ:100μm)や、記録層が2層である所謂2層光ディスクがあるが、更に、多くの記録層を有していても良い。2層光ディスクの場合は、記録層L0のカバー層厚さが100μm程度とされ、記録層L1のカバー層厚さが75μm程度とされている。第2の光ディスク12は、0.6mm程度の第2の厚さで形成された保護層を有し波長655nm程度の光ビームを記録再生光として使用するDVD等の光ディスクである。なお、この光ディスクにおいても、複数の記録層を設けても良い。第3の光ディスク13は、1.1mm程度の第3の厚さで形成された保護層を有し波長785nm程度の光ビームを記録再生光として使用するCD等の光ディスク13である。
光ディスク装置1において、スピンドルモータ4及び送りモータ5は、ディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ7からの指令に基づいて制御されるサーボ制御部9によりディスク種類に応じて駆動制御されている。スピンドルモータ4及び送りモータ5は、例えば、第1の光ディスク11、第2の光ディスク12、第3の光ディスク13に応じて所定の回転数で駆動される。
光ピックアップ3は、3波長互換光学系を有する光ピックアップであり、規格の異なる光ディスクの記録層に対して異なる波長の光ビームを保護層側から照射するとともに、この光ビームの記録層における反射光を検出する。光ピックアップ3は、検出した反射光から各光ビームに対応する信号を出力する。
光ディスク装置1は、光ピックアップ3から出力された信号に基づいてフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号等を生成するプリアンプ14を備える。また、光ディスク装置1は、プリアンプ14からの信号を復調し又は外部コンピュータ17等からの信号を変調するための信号変復調器及びエラー訂正符号ブロック(以下、信号変復調器&ECCブロックと記す。)15を備える。また、光ディスク装置1は、インターフェース16と、D/A,A/D変換器18と、オーディオ・ビジュアル処理部19と、オーディオ・ビジュアル信号入出力部20とを備える。
このプリアンプ14は、光検出器からの出力に基づいて、非点収差法等によってフォーカスエラー信号を生成し、また、3ビーム法、DPD法、DPP法等によってトラッキングエラー信号を生成する。また、プリアンプ14は、更にRF信号を生成し、RF信号を、信号変復調器&ECCブロック15に出力する。また、プリアンプ14は、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とをサーボ制御部9に出力する。
信号変復調器&ECCブロック15は、第1の光ディスクに対して、データの記録を行うとき、インターフェース16又はD/A,A/D変換器18から入力されたディジタル信号に対して、以下の処理を行う。すなわち、信号変復調器&ECCブロック15は、第1の光ディスク11に対してデータを記録するとき、入力されたディジタル信号に対して、LDC−ECC及びBIS等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行う。信号変復調器&ECCブロック15は、次いで、1−7PP方式等の変調処理を行う。また、信号変復調器&ECCブロック15は、第2の光ディスク12に対してデータを記録するとき、PC(Product Code)等のエラー訂正方式に従ってエラー訂正処理を行い、次いで、8−16変調等の変調処理を行う。更に、信号変復調器&ECCブロック15は、第3の光ディスク13に対してデータを記録するとき、CIRC等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、8−14変調処理等の変調処理を行う。そして、信号変復調器&ECCブロック15は、変調されたデータをレーザ制御部21に出力する。更に、信号変復調器&ECCブロック15は、各光ディスクの再生を行うとき、プリアンプ14から入力されたRF信号に基づいて、変調方式に応じた復調処理を行う。更に、信号変復調器&ECCブロック15は、エラー訂正処理を行って、インターフェース16又はデータをD/A,A/D変換器18に出力する。
なお、データ圧縮してデータ記録するときには、圧縮伸長部を信号変復調器&ECCブロック15とインターフェース16又はD/A,A/D変換器18との間に設けても良い。この場合、データは、MPEG2やMPEG4といった方式でデータが圧縮される。
サーボ制御部9は、プリアンプ14からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が入力される。サーボ制御部9は、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が0となるようなフォーカスサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらのサーボ信号に基づいて、対物レンズを駆動する2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動部を駆動制御する。また、プリアンプ14からの出力より、同期信号等を検出して、CLV(Constant Linear Velocity)やCAV(Constant Angular Velocity)、更にはこれらの組み合わせの方式等で、スピンドルモータをサーボ制御する。
レーザ制御部21は、光ピックアップ3のレーザ光源を制御する。特に、この具体例では、レーザ制御部21は、記録モード時と再生モード時とでレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。また、光ディスク2の種類に応じてもレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。レーザ制御部21は、ディスク種類判別部22によって検出された光ディスク2の種類に応じて光ピックアップ3のレーザ光源を切り換えている。
ディスク種類判別部22は、第1〜第3の光ディスク11,12,13の間の表面反射率、形状的及び外形的な違い等から反射光量の変化を検出し光ディスク2の異なるフォーマットを検出することができる。
光ディスク装置1を構成する各ブロックは、ディスク種類判別部22における検出結果に応じて、装着される光ディスク2の仕様に基づく信号処理ができるように構成されている。
システムコントローラ7は、ディスク種類判別部22で判別された光ディスク2の種類に応じて装置全体を制御する。また、システムコントローラ7は、ユーザからの操作入力に応じて、光ディスク最内周にあるプリマスタードピットやグルーブ等に記録されたアドレス情報や目録情報(Table Of Contents;TOC)に基づいて、各部を制御する。すなわち、システムコントローラ7は、上述の情報に基づいて、記録再生を行う光ディスクの記録位置や再生位置を特定し、特定した位置に基づいて、各部を制御する。
以上のように構成された光ディスク装置1は、スピンドルモータ4によって、光ディスク2を回転操作する。そして、光ディスク装置1は、サーボ制御部9からの制御信号に応じて送りモータ5を駆動制御し、光ピックアップ3を光ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
具体的には、光ディスク装置1により記録再生するときには、サーボ制御部9は、CAVやCLVやこれらの組み合わせで光ディスク2を回転する。光ピックアップ3は、光源から光ビームを照射して光検出器により光ディスク2からの戻りの光ビームを検出し、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成する。また、光ピックアップ3は、これらフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ駆動機構により対物レンズを駆動してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行う。
また、光ディスク装置1により記録する際には、外部コンピュータ17からの信号がインターフェース16を介して信号変復調器&ECCブロック15に入力される。信号変復調器&ECCブロック15は、インターフェース16又はA/D変換器18から入力されたディジタルデータに対して上述したような所定のエラー訂正符号を付加し、更に所定の変調処理を行った後に記録信号を生成する。レーザ制御部21は、信号変復調器&ECCブロック15で生成された記録信号に基づいて、光ピックアップ3のレーザ光源を制御して、所定の光ディスクに記録する。
また、光ディスク2に記録された情報を光ディスク装置1により再生する際には、光検出器で検出された信号に対して、信号変復調器&ECCブロック15が復調処理を行う。信号変復調器&ECCブロック15により復調された記録信号がコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェース16を介して外部コンピュータ17に出力される。これにより、外部コンピュータ17は、光ディスク2に記録された信号に基づいて動作することができる。また、信号変復調器&ECCブロック15により復調された記録信号がオーディオビジュアル用であれば、D/A変換器18でデジタルアナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部19に供給される。そしてオーディオ・ビジュアル処理部19でオーディオビジュアル処理が行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部20を介して、図示しない外部のスピーカやモニターに出力される。
ここで、上述した光ディスク装置1に用いられる記録再生用光ピックアップ3等について詳しく説明する。
〔2.光ピックアップの全体構成〕
次に、上述した光ディスク装置1に用いられる本発明を適用した光ピックアップ3について説明する。この光ピックアップ3は、上述したように、保護層の厚さ等のフォーマットが異なる3種類の第1乃至第3の光ディスク11,12,13から任意に選択された光ディスクに対し波長を異にする複数の光ビームを選択的に照射する。そして、この光ピックアップ3は、3種類の光ディスクのそれぞれに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う3波長互換を実現する光ピックアップである。それとともに、この光ピックアップ3は、光利用効率を高めること、不要光入射を低減させること、作動距離と焦点距離を適切にすること、製造の観点から有利な構成とすること等を実現するものである。
本発明を適用した光ピックアップ3は、図2に示すように、第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部を有する第1の光源部31を備える。また、光ピックアップ3は、第1の波長より長い第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部を有する第2の光源部32を備える。また、光ピックアップ3は、第2の波長より長い第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部を有する第3の光源部33を備える。また、光ピックアップ3は、この第1乃至第3の出射部から出射された光ビームを光ディスク2の信号記録面上に集光する集光光学デバイスとして機能する対物レンズ34を備える。
また、光ピックアップ3は、第2及び第3の出射部と対物レンズ34との間に設けられる第1のビームスプリッタ36を有する。この第1のビームスプリッタ36は、第2の出射部から出射された第2の波長の光ビームの光路と第3の出射部から出射された第3の波長の光ビームの光路とを合成する光路合成手段として機能する。また、光ピックアップ3は、第1のビームスプリッタ36と対物レンズ34との間に設けられる第2のビームスプリッタ37を有する。この第2のビームスプリッタ37は、第1のビームスプリッタ36で光路を合成された第2及び第3の波長の光ビームの光路と、第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームの光路とを合成する光路合成手段として機能する。また、光ピックアップ3は、第2のビームスプリッタ37と対物レンズ34との間に設けられる第3のビームスプリッタ38を有する。この第3のビームスプリッタ38は、第2のビームスプリッタ37で光路を合成された第1乃至第3の波長の光ビームの往路の光路と、光ディスクで反射された第1乃至第3の波長の光ビームの戻り(以下、「復路」ともいう。)の光路とを分離する光路分離手段として機能する。
さらに、光ピックアップ3は、第1の光源部31の第1の出射部と第2のビームスプリッタ37との間に設けられる第1のグレーティング39を有する。この第1のグレーティング39は、第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームをトラッキングエラー信号等の検出のために3ビームに回折する。また、光ピックアップ3は、第2の光源部32の第2の出射部と第1のビームスプリッタ36との間に設けられる第2のグレーティング40を有する。この第2のグレーティング40は、第2の出射部から出射された第2の波長の光ビームをトラッキングエラー信号等の検出のために3ビームに回折する。また、光ピックアップ3は、第3の光源部33の第3の出射部と第1のビームスプリッタ36との間に設けられる第3のグレーティング41を有する。この第3のグレーティング41は、第3の出射部から出射された第3の波長の光ビームをトラッキングエラー信号等の検出のために3ビームに回折する。
また、光ピックアップ3は、第3のビームスプリッタ38と対物レンズ34との間に設けられるコリメータレンズ42を有する。このコリメータレンズ42は、第3のビームスプリッタ38で光路を合成された第1乃至第3の波長の光ビームの発散角を変換して略平行光の状態又は略平行光に対して拡散若しくは収束した状態となるように調整して出射させる発散角変換手段として機能する。また、光ピックアップ3は、コリメータレンズ42と対物レンズ34との間に設けられ、コリメータレンズ42に発散角を調整された第1乃至第3の波長の光ビームに1/4波長の位相差を与える1/4波長板43を有する。また、光ピックアップ3は、対物レンズ34と1/4波長板43との間に設けられる立ち上げミラー44を有する。立ち上げミラー44は、対物レンズ34の光軸に略直交する平面内で上述した光学部品を経由された光ビームを反射して立ち上げることにより対物レンズ34の光軸方向に光ビームを出射させる。
さらに、光ピックアップ3は、第3のビームスプリッタ38で往路の第1乃至第3の波長の光ビームの光路から分離された復路の第1乃至第3の波長の光ビームを受光して検出する光検出器45を有する。また、光ピックアップ3は、第3のビームスプリッタ38と光検出器45との間に設けられるマルチレンズ46を有する。このマルチレンズ46は、第3のビームスプリッタ38で分離された復路の第1乃至第3の波長の光ビームを光検出器45のフォトディテクタ等の受光面に集光させるとともにフォーカスエラー信号等の検出のための非点収差を付与する。
第1の光源部31は、第1の光ディスク11に対して405nm程度の第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部を有する。第2の光源部32は、第2の光ディスク12に対して655nm程度の第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部を有する。第3の光源部33は、785nm程度の第3の光ディスクに対して第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部を有する。尚、ここでは、第1乃至第3の出射部をそれぞれ別々の光源部31,32,33に配置するように構成したが、これに限られるものではない。例えば、第1乃至第3の出射部の内2つの出射部を有する光源部と、残りの1つの出射部を有する光源部とを異なる位置に配置するように構成してもよい。さらに例えば、第1乃至第3の出射部を略同一位置に有する光源部となるように構成してもよい。
対物レンズ34は、入射した第1乃至第3の波長の光ビームを光ディスク2の信号記録面上に集光させる。この対物レンズ34は、図示しない2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動機構によって移動自在に保持されている。そして、この対物レンズ34は、光検出器45で検出された光ディスク2からの戻り光のRF信号により生成されたトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号に基づいて、2軸アクチュエータ等により移動操作される。これにより対物レンズ34は、光ディスク2に近接離間する方向及び光ディスク2の径方向の2軸方向へ移動される。よって、対物レンズ34は、第1乃至第3の出射部から出射される光ビームが光ディスク2の信号記録面上で常に焦点が合うように、この光ビームを集束するとともに、この集束された光ビームを光ディスク2の信号記録面上に形成された記録トラックに追従させる。尚、後述のように回折部50を対物レンズとは別体の光学素子(回折光学素子35B)に設ける場合がある。この場合には、対物レンズ34Bが保持される対物レンズ駆動機構のレンズホルダに、この対物レンズ34Bと一体となるように後述の回折光学素子35Bを保持するように構成されることになる。そして、かかる構成により、対物レンズ34Bのトラッキング方向への移動等の視野振りの際にも回折光学素子35Bに設けた回折部50の後述の作用効果を適切に発揮することができる。
また、対物レンズ34は、その一方の面として例えば、入射側の面に複数の回折領域からなる回折部50が設けられている。対物レンズ34は、この回折部50により、複数の回折領域毎に通過する第1乃至第3の波長の光ビームのそれぞれを所定の次数となるように回折する。対物レンズ34の回折部50は、所定の発散角を有する拡散状態又は収束状態の光ビームとして対物レンズ34に入射させるのと同様の状態とできる。すなわち、回折部50は、この単一の対物レンズ34を用いて第1乃至第3の波長の光ビームをそれぞれに対応する3種類の光ディスクの信号記録面に球面収差を発生しないように適切に集光することを可能とする。回折部50を有する対物レンズ34は、基準となる屈折力を発生させるレンズ面形状を基準として回折力を発生させる回折構造が形成されている。回折部50を有する対物レンズ34は、かかる構成により、3つの異なる波長の光ビームをそれぞれに対応する光ディスクの信号記録面に球面収差を発生しないように適切に集光する集光光学デバイスとして機能する。また、このように対物レンズ34は、屈折素子の機能と回折素子の機能を兼ね備えており、すなわち、レンズ曲面による屈折機能と、一方の面に設けられた回折部50による回折機能とを兼ね備えるものである。
ここで、回折部50の回折機能について概念的に説明するために、回折部50が屈折力を有する対物レンズ34Bと別体の回折光学素子35Bに設けられているものとして説明する。屈折機能のみを有する対物レンズ34Bとともに用いられる回折光学素子35Bは、例えば、図3(A)に示すように、回折部50を通過した第1の波長の光ビームBB0を+1次回折光BB1となるように回折して対物レンズ34Bに入射させる。すなわち、回折部50を有する回折光学素子35Bは、所定の発散角を有する拡散状態の光ビームとして対物レンズ34Bに入射させることで、第1の光ディスク11の信号記録面に適切に集光させる。また、この回折光学素子35Bは、図3(B)に示すように、回折部50を通過した第2の波長の光ビームBD0を−2次回折光BD1となるように回折して対物レンズ34Bに入射させる。すなわち、回折部50を有する回折光学素子35Bは、所定の発散角を有する収束状態の光ビームとして対物レンズ34Bに入射させることで、第2の光ディスク12の信号記録面に適切に集光させる。また、この回折光学素子35Bは、図3(C)に示すように、回折部50を通過した第3の波長の光ビームBC0を−3次回折光BC1となるように回折して対物レンズ34Bに入射させる。すなわち、回折部50を有する回折光学素子35Bは、所定の発散角を有する収束状態の光ビームとして対物レンズ34Bに入射させることで、第3の光ディスク13の信号記録面に適切に集光させる。このように、回折光学素子35Bの回折部50は、単一の対物レンズ34Bを用いて3種類の光ディスクの信号記録面に球面収差を発生しないように適切に集光することを可能とする。
なお、ここでは、回折部50の複数の回折領域において、同じ波長の光ビームを同じ回折次数の回折光とする例について図3を用いて説明したが、これに限られるものでない。本発明を適用した光ピックアップ3を構成する回折部50は、後述のように、各領域毎に各波長に対する回折次数を設定し、適切な開口制限を行うとともに球面収差を低減するように構成することを可能とする。
以上では、説明のため回折部50を対物レンズと別体の光学素子に設けた場合を例に挙げて説明したが、ここで説明する対物レンズ34の一方の面に一体に設けた回折部50もその回折構造に応じた回折力を付与することで同様の機能を有する。そして、回折部50の回折力と、対物レンズ34の基準となるレンズ曲面による屈折力により、各波長の光ビームを対応する光ディスクの信号記録面に球面収差を発生しないように適切に集光することを可能とする。
上述及び以下の回折次数の記載において、入射した光ビームに対して、進行方向に進むにつれて光軸側に近接する方向に回折する次数を正の次数とし、進行方向に進むにつれて光軸から離間する方向に回折する次数を負の次数とする。換言すると、入射した光ビームに対して光軸方向に向かって回折する次数を正の次数とする。
対物レンズ34と第3のビームスプリッタ38との間に設けられたコリメータレンズ42は、第2のビームスプリッタ37で光路を合成され、第3のビームスプリッタ38を透過された、第1乃至第3の波長の光ビームの発散角をそれぞれ変換する。かかるコリメータレンズ42は、各波長の光ビームの発散角を変換して、例えば略平行光の状態として、1/4波長板43及び対物レンズ34側に出射させる。例えば、コリメータレンズ42は、第1の波長の光ビームの発散角を、略平行光の状態として上述した対物レンズ34に入射させる。それとともに、コリメータレンズ42は、第2及び第3の波長の光ビームの発散角を、平行光に対してわずかに拡散した発散角の状態(以下、この拡散した状態及び収束した状態のことを「有限系の状態」ともいう。)で対物レンズ34に入射させる。このように構成することにより、コリメータレンズ42は、第2又は第3の波長の光ビームの対物レンズ34を介して第2、第3の光ディスクの信号記録面に集光する際の球面収差を低減してより収差が発生しない3波長互換を実現する。ここでは、第2の光源部32とコリメータレンズ42との配置関係、及び/又は、第3の光源部33とコリメータレンズ42との配置関係により、この所定の発散角の状態で対物レンズ34に入射させることを実現できる。その他の構成としては、例えば、複数の出射部を共通の光源部に配置した場合には、第2及び/又は第3の波長の光ビームの発散角のみを変換する素子を設けることで実現してもよい。さらに、コリメータレンズ42を駆動する手段を設けること等により所定の発散角の状態で対物レンズ34に入射させることを実現してもよい。また、状況に応じて、第2及び第3の波長の光ビームのうちいずれかを有限系の状態で対物レンズ34に入射させるように構成して、さらに収差を低減するようにしてもよい。また、第2及び第3の波長の光ビームを有限系で且つ拡散状態で入射させることにより、戻り倍率を調整することを実現することもできる。そして、かかる場合は、戻り倍率の調整によりフォーカス引き込み範囲等をフォーマットに適合させた所望の状態として、さらに良好な光学系の互換性を達成するという効果も有している。
マルチレンズ46は、例えば、波長選択性のマルチレンズである。マルチレンズ46には、各光ディスクの信号記録面で反射され、対物レンズ34、コリメータレンズ42等を経由して、第3のビームスプリッタ38で反射されて往路の光ビームより分離された戻りの第1乃至第3の波長の光ビームが入射される。マルチレンズ46は、かかる光ビームを光検出器45のフォトディテクタ等の受光面に適切に集光する。このとき、マルチレンズ46は、フォーカスエラー信号等の検出のための非点収差を戻りの光ビームに付与する。
光検出器45は、マルチレンズ46で集光された戻りの光ビームを受光して、情報信号とともに、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号等の各種検出信号を検出する。
以上のように構成された光ピックアップ3において、光検出器45によって得られたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、対物レンズ34が駆動変位される。光ピックアップ3は、対物レンズ34を駆動変位することで、光ディスク2の信号記録面に対して対物レンズ34が合焦位置に移動されて、光ビームが光ディスク2の信号記録面に合焦されて、光ディスク2に対して情報の記録又は再生が行われる。
〔3.対物レンズについて〕
次に、本発明が適用された対物レンズ34の具体的な説明に先立ち、3波長互換対物の入射面の回折域を2つ以上の領域に分け、3波長の互換を実現するための回折部50に係る構成について、図4を参照して説明する。
まず、図4(a)及び図4(b)に示すように、対物レンズ34の入射側の面に設けられた回折部50の基本形状は、下記の(1)式によって決定される。
Figure 2011187119
ここで、zは、光軸に平行するサグ量であり、hは光軸からの高さを表す。Cは曲率であり、曲率半径の逆数である。κはコーニック係数を表し、a4、a6、a8…は、それぞれ非球面係数を表す。またΔzは、後述する第1の領域51を基準に取った場合の第1の領域51からの軸上面間距離を表す。
このような非球面形状の回折部50は、最内周部に設けられ略円形状の回折領域である第1の領域(以下、「内輪帯」ともいう。)51を有する。また、回折部50は、第1の領域51の外側に設けられ輪帯状の回折領域である第2の領域(以下、「中輪帯」ともいう。)52を有する。また、回折部50は、第2の領域52の外側に設けられ輪帯状の回折領域である第3の領域(以下、「外輪帯」)53を有する。
ここで、第1の領域51、第2の領域52、第3の領域53は、次のようにして形成されている。すなわち、第1の波長の光ビームの開口径が、第1の領域51、第2の領域52、第3の領域53に相当し、第2の波長の光ビームの開口径が、第1の領域51、第2の領域52に相当し、第3の波長の光ビームの開口径が、第1の領域51に相当するように形成されている。
第1の領域51、及び、第2の領域52は、複数の異なる波長の光ビームを、それぞれ所定の次数光に回折するため、図5(A)に示すような、輪帯状で、基準面に対して、複数のステップ数(S+1)の段部に傾斜部を組み合わせて凹凸形状とされた単位周期構造50aが輪帯の半径方向に連続的に形成された周期構造を有している。
なお、図5(A)では、S=3でステップ数を4とし、各段の深さが略同一深さ(H/4)とされた第1乃至第4の段部s1〜s4からなる階段部が半径方向に周期的に形成された単位周期構造50aを示している。
第3の領域53は、第1の波長の光ビームを所定の次数光に回折するために、例えば図5(B)に示すようなブレーズ形状b1、b2・・・、bnからなるブレーズ形状周期構造50bによって構成される。
以上ような、非球面に対して与えられる第1の領域51及び第2の領域52が有する周期構造による位相差Φは、下記の(2)によって表される。
Figure 2011187119
ここで、hは光軸からの高さを示し、kは回折次数を示す。λ0は設計波長である。この得られた位相差関数Φに対して形成される回折面形状は、一般的には、図6に示すような高さと位相差との対応関係に基づいて変換することにより、所定の位相差を実現するような回折面の形状へと変換される。
すなわち、図6において、横軸にMOD(Φ、λ0)をとり、(ここでMODは剰余を取る関数)そのときの値から高さを一意に決定する。この方法で得られた高さを位相差関数Φと正負を同様として基本形状に足し合わせることにより、所定の位相差を実現するような回折レンズが形成される。ここで、Φが負の値のときは、レンズに対して掘り込み方向の値を示す。
具体例として、第1の領域51、第2の領域52、第3の領域53の回折形状は、下記の表1のように設計したものを用いることができる。
Figure 2011187119
ここで、面番号「2−1」は、第1の領域51に相当する。面番号「2−2」は、第2の領域51に相当する。面番号「2−3」は、第1の領域53に相当する。
このような回折形状を設計したものに対して、回折部50は、例えば、下記の表2で示したような条件で、非球面形状を設計することで、BD・DVD・CDの各光ディスクへの回折次数の光の光量を確保しつつ、各波長毎に異なる所定の回折次数光が当該対物レンズ34により信号記録面上に集光することができる。具体的に、このような非球面形状は、最小自乗法などの数値解析手法を用いることで、下記の非球面形状に係る各係数を求めることが可能である。
Figure 2011187119
ここで、面番号「0」は、各波長の光ビームの光源部に相当する。面番号「1」は、各光源部から回折部50までの光学系に相当する。面番号「2」は、回折部50に相当する。面番号「3」は、対物レンズ34の出射面に相当する。面番号「4」は、対物レンズ34の出射面から各光ディスクの間の媒質である空気に相当する。面番号「5」は、各光ディスクに相当する。
また、Rはレンズの曲率半径を示す。「回折次数」において、「1/−2/−3」は、それぞれBD・DVD・CDに対応する波長の光ビームを、1次、−2次、−3次に回折することを表し、「0/−1」は、それぞれBD、DVDに対応する波長の光ビームを、0次、−1次に回折することを表す。
なお、内輪帯に対応する第1の領域51では、図6で示したような、位相差に対して等間隔な形状ではなく、不等間隔形状や傾斜つき不等間隔形状を採用することによって、さらに不要光影響を低減する構成とするようにしてもよい。加えて実際の回折部に係るレンズ形状では、回折面に対して斜め入射する光を考慮した補正も一般的に行われる。また、外輪帯に対応する第3の領域53では、製造工程の簡略化を重視する観点から、ブレーズがない単純非球面形状にしてもよい。
以上のような設計条件に基づいて設計された対物レンズ34において、BDに対応する波長の光ビームを入射したときの温度変化に伴う球面収差量の変化を、下記の表3に示す。
Figure 2011187119
ここで、温度波長係数を0.05nm/℃、dn/dT=−11.0×10−5としている。また、表3では、設計中心を35℃として、温度変化の一例として65℃のときの球面収差量を示している。また、表3中において、「SA3」は、3次球面収差量を示し、「SA5」は、3次球面収差量を示し、「SA7」は、3次球面収差量を示している。また、表3中の「65℃SA補正後」では、65℃における球面収差をコリメータレンズ42を動かして取り除いた際の収差量を示している。
具体的に、「2−1面との軸上面間距離Δ」に応じた球面収差量を用いて説明する図7(A)に示すような、温度変動時の球面収差量SA_65は、図7(B)に示すようなコリメータレンズ42の移動によって生じる球面収差量SA_Cで、図7(C)に示すような球面収差量SA_CANに相殺することができる。この際、球面収差量SA_CANでは、SA5やSA7などの高次の項に関しても一部がキャンセルされている。特に球面収差量SA_65において、SA3と、SA5やSA7などの高次の球面収差量のバランスが、コリメータレンズ42移動時のSA3と高次収差のバランスと同等の場合には、球面収差量SA_CANを、完全に0にすることができる。
このようにして、コリメータレンズ42の移動によって生じる球面収差量で、温度変動時の球面収差量を相殺することが可能であるが、表3に示すように、表2に係る設計条件に基づいて設計された対物レンズ34においては、温度変動によって生ずる3次球面収差量が次の比較例と比べて相対的に大きくなる。
比較例として、単にBDに対応する波長の光ビームを集光するBD専用の対物レンズは、温度変動によって生じる球面収差が、100〜120mλrms/30℃程度のものが用いられている。
このような温度変動によって生じる球面収差は、上述の通りコリメータレンズ42によってキャンセルすることができるが、球面収差が大きいと、コリメータレンズ42の駆動量が大きくなり、光ピックアップ3が大型化してしまう。特に薄い4層ディスクや3層ディスクを想定した場合には、コリメータレンズ42の駆動量が更に大きくなる。また対物レンズ34への入射倍率が大きく変動すると、レンズチルトさせた際のコマ収差発生量も大きく変動するため、レンズ傾きの調整機構が必要となる。
そこで、温度変動によって生じる球面収差差を低減するため、本願発明が適用された対物レンズ34は、例えばBDに対応する波長の光ビームが入射する第1の領域51に、非球面レンズ形状に、上述した階段状周期構造に加えて、次のような段差構造が重畳されている。
すなわち、第1の領域51には、非球面レンズ形状に対して、図8(A)に示すような、輪帯状で且つ所定の高さを有する階段形状が輪帯の半径方向に周期的に形成された階段状周期構造511と、下記の関係式により決定され、階段状周期構造の各周期内において同じ深さdの段差構造512とのみが、図8(B)に示すようにして重畳される。
ここで、深さdは、当該対物レンズ34の構成材料の上記λ1に対する屈折率がn1としたときに、関係式d≒−10×K×λ1/(n1−1))を満たす。
ここで、mは、単調増加する自然数であって、階段状周期構造511において、レンズ中心を基準として外周方向に並んだ階段形状の位置を示す番号である。
また、深さdは、BDに対応する第1の波長にとって約10λ、DVDに対応する第2の波長にとって約6λ、CDに対応する第3の波長にとって約5λとなる深さであり、任意の基準温度で設計した設計中心においては、これらのディスクに対応する各波長の光ビームの波面収差状態にほとんど影響を与えない。以後の実施例では、同一の材料について記しているが、例えば他の材料、n1=1.525,1.508,1.503であったとしても、本関係性は崩れない。これは屈折率違いよりも波長による違いが大きいためである。
第1の領域51では、階段状周期構造511の各周期の任意の階段形状に対し、任意のKを用いて、深さdの段差構造512の段差(以下、ピストン段512aともいう。)を導入する。ここで、Kは、0以上の整数であり、m周期目で与えられる深さdの比例係数であって、温度変化に伴う球面収差を低減するため、Km−1≦Kを満たす必要がある。また、少なくとも階段状周期構造511の任意の周期の一箇所において、K=Km−1とを満たす必要がある。
についてこのような条件が必要なのは、次のとおりである。まず、図9(A)に示すように、ピストン段512a導入時の基準温度における「2−1面との軸上面間距離Δ」方向の波面状態には変化がない。これに対して、図9(B)に示すように、例えば+30℃の温度変動が生じた場合、上述したKm−1≦Kの条件を満たすと、ピストン段512aを0、1、2の数で導入した各第1の領域51の波面状態SA_P0、SA_P1、SA_P2が、温度変動によって生じるSA3_65の波面形状と真逆の波面形状とおおよそ似通った離散波面形状となる。また、SA3_65の波面形状の頂点は、図9(B)に示すように、おおよそ中輪帯に相当する第2の領域52にある。このため、内輪帯に相当する第1の領域51においてはKがmの変化に対して単調増加となるKm−1≦Kを満たすことが、球面収差量を低減するのに必要となる。
また、d<0とは、対物レンズ34上に形成された回折部50が、本来の非球面形状に対してレンズ内側に掘り込まれていることを示す。
<第1の実施例>
具体例として、上述した図8を参照して、階段状周期構造511に対して、ピストン段512aが導入されたときの形状について説明する。
図8中では、K=0、K=0、K=1、K=1とした。図8(A)に示すように、位相差関数に従って形成された階段状周期構造511に、ピストン段512aを導入すると、図8(B)に示すように、第2周期と第3周期との間に形成されていた凹部513が消え、回折階段がさらに下方に形成されることになる。
また、本実施例中にあげている材料でdを計算すると、おおよそ7300nmとなるから、第2周期と第3周期との間の段差は、7300nm−5000nm=2300nmとなる。
実際にこの手法に従って、第1の領域51に対して、下記の表4に示すように、4箇所の深さdの段差構造を導入するものとする。
Figure 2011187119
ここで、面番号「2−1」に対応する第1の領域51には、合計で11個の階段形状が輪帯の半径方向に周期的に形成された階段状周期構造となっているものとする。そして、2−1−1面乃至2−1−11面は、それぞれ、第1の領域51における第1回目乃至第11回目の階段形状における面パラメータに相当する。
上記のように表4に示す設計条件では、階段状周期構造において、第3周期と第4周期との間、第6周期と第7周期との間、第9周期と第10周期との間に、それぞれピストン段512aを導入する。
このように、面番号「2−1」に対応する第1の領域51の階段状周期構造において、ピストン段512aの導入によって深さdが異なる領域には、異なった非球面係数を定義する必要がある。すなわち、上記の表4に示す設計条件では、第1周期乃至第3周期の領域、第4周期乃至第6周期の領域、第7周期乃至第9周期の領域、及び、第10周期乃至第11周期の領域は、互いに深さdが異なる領域となっているので、それぞれ、異なった非球面係数を定義する必要がある。これは前述のとおり、ピストン段512aの導入によって入射面での波面収差変動が生じないが、対物レンズ34から光ディスクへの射出面の到達距離が異なってしまうため、階段状周期構造の各周期上での非球面係数を変化させることで補正を行う必要があるためである。すなわち、ピストン段512aの数に応じた球面収差量に対して、ピストン段512aの導入周期ごとに非球面係数を変えることによって、図10(A)に示すような、「2−1面との軸上面間距離Δ」方向に並んだ離散的な波面状態SA_P0、SA_P1、SA_P2から、図10(B)に示すような、SA3_65の形状に近い波面状態SA_P10、SA_P11、SA_P12へと変更する必要があるためである。
この補正処理を条件式として表すのならば、Km−1≠Kのとき、Am−1≠Aとなる。ここで、Aは、レンズベースR、コーニック係数κ、非球面係数a4、6、・・・、2Nにより決定される下記式の行列とする。
=(R、κ、a4、6、・・・、2N
このような設計指針に基づいて、回折部50は、例えば、下記の表5で示すような条件で、非球面形状を設計することで、BD・DVD・CDの各光ディスクへの回折次数の光の光量を確保しつつ、各波長毎に異なる所定の回折次数光が当該対物レンズ34により信号記録面上に集光することができる。
Figure 2011187119
ここで、表5に示す設計例では、K=Km−1の場合にも、Am−1≠Aとなっているが、必ずしもこの必要はない。これは、そもそもピストン段512aを導入しない領域では、非球面係数によって連続に面が形成された状態で収差を取りきる解が存在するためである。
以上のような設計条件に基づいて設計された対物レンズ34において、BDに対応する第1の波長の光ビームを入射したときの、温度変化に伴う球面収差量の変化を、下記の表6に示す。
Figure 2011187119
第1の実施例に係る対物レンズ34では、表5に従って設計することで、上述した表3における設計例に比べて、温度変動によって生じる球面収差差が改善しており、また、上述したBD専用の対物レンズに近い球面収差に係る性能を実現できる。
これは、第1の領域51に、ピストン段512aが導入されることで、温度変動時には、球面収差の波面に近く、かつ、この球面収差と逆特性の波面が生成されるため、温度変動によって生じる球面収差差を低減することができるからである。
また、Km−1≦Kを満たす必要があるが、特に、Km−1<Kとなるように構成すると、回折部50の第1の領域51において凹部がすべて消失する。一般に深い凹部における材料流動性は悪いが、この改善によってすべて浅い凸部とすることができれば製造上有利となる。
ただし、このKm−1<Kとなるように構成した場合には、温度変動によって生じる球面収差のうち、特に高次収差が著しく生じる。この高次収差の増加が許容できない場合には、第1の領域51に導入されるピストン段512aの数に限界がある。
表6と表3を比べると、明らかにコリメータを動かした際の高次の球面収差取れ残り量が増大していることが確かめられる。これはピストン段512aの導入数が増えたことによって高次収差の取れ残りが増大することを示している。
また、表4に係る設計例では、内輪帯に相当する第1の領域51のみにピストン段512aを導入したが、中輪帯に相当する第2の領域52にも、ピストン段に相当する段差構造を導入することが好ましい。
この場合、中輪帯に相当する第2の領域52には、非球面レンズ形状に対して、図11(A)に示すように、階段状周期構造521と、下記の関係式により決定され、階段状周期構造の各周期内において同じ深さdの段差構造522が、図10(B)に示すようにして重畳される。
ここでは、d≒−5Kmmλ/(n−1)の段差構造522に係るピストン段522aを導入する構造とし、Kmm−1≦Kmmを満たすことが必要である。また、mmは、単調増加する自然数であって、階段状周期構造521において、レンズ中心を基準として外周方向に並んだ階段形状の位置を示す番号である。
上記の深さdを導出するための比例係数が5となっているのは、BDとDVDの互換のみを実現すればよいためである。すなわち、深さdが、BDに対応する第1の波長の整数倍、DVDに対応する第2の波長の整数倍となる深さであり、任意の基準温度で設計した設計中心においては、これらのディスクに対応する各波長の光ビームの波面収差状態にほとんど影響を与えないからである。
一般に、内輪帯に相当する第1の領域51のみにピストン段512aを導入するだけでなく、中輪帯に相当する第2の領域52にもピストン段522aを導入することで、レンズチルト時の高次コマ収差を抑えられるため好ましい。
なお、内輪帯部と中輪帯部の基本回折構造が異なる場合には、製造上の有利、不利が異なるため、適切な回折構造となるようにピストン段の導入数を適宜調整する必要がある。
<第2の実施例>
第2の実施例に係る対物レンズ34においては、上述した第1の実施例に係る設計条件と異なり、第1の領域51に対して、下記の表7に示すように、6箇所にピストン構造を導入するものとする。
Figure 2011187119
すなわち、上記のように表7に示す設計条件では、階段状周期構造において、第2周期と第3周期との間、第4周期と第5周期との間、第6周期と第7周期との間、第8周期と第9周期との間、第10周期と第11周期との間に、それぞれピストン段512aを導入する。
このような設計条件の下、回折部50は、例えば、下記の表8で示すような条件で、非球面形状を設計することで、BD・DVD・CDの各光ディスクへの回折次数の光の光量を確保しつつ、各波長毎に異なる所定の回折次数光が当該対物レンズ34により信号記録面上に集光することができる。
Figure 2011187119
以上のような設計条件に基づいて設計された対物レンズ34において、BDに対応する第1の波長の光ビームを入射したときの、温度変化に伴う球面収差量の変化を、下記の表9に示す。
Figure 2011187119
表9から明らかなように、第2の実施例に係る対物レンズ34は、第1実施例と同様に温度変動によって生じる球面収差を低減できる。この際、第2の実施例に係る対物レンズ34では、3次球面収差量が、第1実施例と比べて改善しているが、一方でSA5、SA7などの高次の球面収差量が増大している。これは、第1の領域51においてピストン段512aを導入すればするほど、波面の凸凹が生じることに起因している。
ここで、表9と表6を比べると、図12に示すように、コリメータレンズ42を動かした際の高次の球面収差取れ残り量がさらに増大している。図11では、横軸に、導入されるピストン段の数に相当するKの最大値を示し、縦軸にはコリメータレンズ42でSA3を補正した際の全球面収差量を示している。また同時にマレシャルの限界値として、0.07λrmsも示している。
図12から明らかなように、この第1の領域51において6本を越えるピストン段512aを導入すると、コリメータレンズ42による補正後の全球面収差量がマレシャル限界を超えてしまい、信号読み取り特性が悪化することが示唆されている。また、コリメータレンズ42による補正後の全球面収差量は、Kの最大値の増加に比例する。mの値が、1乃至11で、階段状周期構造511が全部で11周期であり、ピストン段512aの導入が6である点を考慮すると、階段状周期構造511の全周期数に対して半分以下となるように、ピストン段512aを導入しないと、マレシャル限界を超えてしまうことになる。
よって、内輪帯周期の少なくとも一箇所において
Km−1=Km
とならなくてはならない。
特に、上記の条件を満たし、さらに、
Km≦m/2
が成立するのが、次の理由から好ましい。
これは前述の図10において、ピストン段512aによって形成された波面を球面収差形状に近づける、という目的のためには、一部箇所にピストンが集中するよりも、分散して少しずつ導入されていくほうが好ましいためである。このため、整数値しか取れないKでもっとも綺麗に波面を接続すると、Kは、階段状周期構造において、一定の複数の周期間隔毎に増加するような設計が好ましいからである。
以上のように、本発明が適用された対物レンズ34は、全波長の光ビームが入射する第1の領域51で、段差構造512により、温度変動による球面収差の低減を実現しつつ、階段状周期構造511により、各波長の所定の次数の回折光が光ディスクの信号記録面に集光するように回折することができる。
以上のようにして、本発明が適用された対物レンズ34は、回折部50により3種類の光ディスクに対して、共通の一の対物レンズ34を用いてそれぞれ対応する光ビームを信号記録面に適切に集光することを可能とする。
また、本発明が適用された対物レンズ34は、回折部50による不要回折光が温度や波長の変動により増大してサーボが不安定となることを防止することにより、記録再生特性の劣化を防止して、良好な記録再生特性を実現することができる。
1 光ディスク装置、2 光ディスク、3 光ピックアップ、4 スピンドルモータ、5 送りモータ、7 システムコントローラ、9 サーボ制御部、11、12、13 光ディスク、14 プリアンプ、15 信号変復調器&ECCブロック、16 インターフェース、17 外部コンピュータ、18 D/A,A/D変換器、19 オーディオ・ビジュアル処理部、20 オーディオ・ビジュアル信号入出力部、21 レーザ制御部、22 ディスク種類判別部、31、32、33 光源部、34 対物レンズ、34B 対物レンズ、35B 回折光学素子、36、37、38 ビームスプリッタ、39、40、41 グレーティング、42 コリメータレンズ、43 1/4波長板、44 立ち上げミラー、45 光検出器、46 マルチレンズ、50 回折部、51 第1の領域、52 第2の領域、53 第3の領域、50a 単位周期構造、50b ブレーズ形状周期構造、511、521 階段状周期構造、512、522 段差構造、512a、522a ピストン段、513 凹部

Claims (7)

  1. 少なくともλ1<λ2<λ3の関係を有する3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームを互換して対応する光ディスクの信号記録面上に集光する対物レンズにおいて、
    上記光ビームが入射される入射側の面に所定の回折構造を有する回折部を備え、
    上記回折部は、最内周部に設けられ光ビームを回折する第1の領域と、上記第1の領域の外側に設けられ光ビームを回折する第2の領域と、上記第2の領域の外側に設けられる第3の領域とを有し、
    上記第1乃至第3の領域は、上記λ1の光ビームが上記第1乃至第3の領域に相当する開口径となり、上記λ2の光ビームが上記第1及び第2の領域に相当する開口径となり、上記λ3の光ビームが上記第1の領域に相当する開口径となるように形成され、
    上記第1の領域には、非球面レンズ形状に、輪帯状で且つ所定の高さを有する階段形状が輪帯の半径方向に周期的に形成された階段状周期構造と、該階段状周期構造の各周期内において同じ深さdの段差構造が重畳された対物レンズ。
    上記深さdは、当該対物レンズの構成材料の上記λ1に対する屈折率がn1としたときに、関係式d≒−10×K×λ1/(n1−1))を満たす。
    ここで、mは、単調増加する自然数であって、上記階段状周期構造において、レンズ中心を基準として外周方向に並んだ階段形状の位置を示す番号である。
    は、0以上の整数であり、m周期目で与えられる深さdの比例係数であって、
    m−1≦Kと、
    少なくとも上記階段状周期構造の任意の周期の一箇所において、K=Km−1とを満たす。
  2. ≦m/2を満たす請求項1記載の対物レンズ。
  3. 上記第3の領域は、回折構造を有する請求項2記載の対物レンズ。
  4. 上記第1の領域には、上記非球面レンズ形状に、上記階段状周期構造と上記段差構造とのみが重畳されている請求項3記載の対物レンズ。
  5. 上記第1の領域の非球面レンズ形状は、該第1の領域で回折される光ビームのうち、各波長毎に異なる所定の次数光が当該対物レンズにより信号記録面上に集光するように、上記m周期目における非球面係数Aによって以下の式を満たすよう決定されている請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の対物レンズ。
    m−1≠Kのとき、A≠Am−1
    ここで、Aは、レンズベースR、コーニック係数κ、非球面係数a4、6、・・・、2Nにより決定される下記式の行列とする。
    =(R、κ、a4、6、・・・、2N
  6. 少なくともλ1<λ2<λ3の関係を有する3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームが入射される対物レンズと、
    上記3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームの光路上に配置される光学素子又は上記対物レンズの一方の面に設けられ、上記3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームを互換して上記対物レンズにより対応する光ディスクの信号記録面上に集光させる回折部とを備え、
    上記回折部は、最内周部に設けられ光ビームを回折する第1の領域と、上記第1の領域の外側に設けられ光ビームを回折する第2の領域と、上記第2の領域の外側に設けられる第3の領域とを有し、
    上記第1乃至第3の領域は、上記λ1の光ビームが上記第1乃至第3の領域に相当する開口径となり、上記λ2の光ビームが上記第1及び第2の領域に相当する開口径となり、上記λ3の光ビームが上記第1の領域に相当する開口径となるように形成され、
    上記第1の領域には、非球面レンズ形状に、輪帯状で且つ所定の高さを有する階段形状が輪帯の半径方向に周期的に形成された階段状周期構造と、該階段状周期構造の各周期内において同じ深さdの段差構造が重畳された光ピックアップ。
    上記深さdは、当該対物レンズの構成材料の上記λ1に対する屈折率がn1としたときに、関係式d≒−10×K×λ1/(n1−1))を満たす。
    ここで、mは、単調増加する自然数であって、上記階段状周期構造において、レンズ中心を基準として外周方向に並んだ階段形状の位置を示す番号である。
    は、0以上の整数であり、m周期目で与えられる深さdの比例係数であって、
    m−1≦Kと、
    少なくとも上記階段状周期構造の任意の周期の一箇所において、K=Km−1とを満たす。
  7. 回転駆動される複数種類の光ディスクに対し波長を異にする複数の光ビームを選択的に照射することにより情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップを備え、
    上記光ピックアップは、
    少なくともλ1<λ2<λ3の関係を有する3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームが入射される対物レンズと、
    上記3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームの光路上に配置される光学素子又は上記対物レンズの一方の面に設けられ、上記3つの波長λ1,λ2,λ3の光ビームを互換して上記対物レンズにより対応する光ディスクの信号記録面上に集光させる回折部とを備え、
    上記回折部は、最内周部に設けられ光ビームを回折する第1の領域と、上記第1の領域の外側に設けられ光ビームを回折する第2の領域と、上記第2の領域の外側に設けられる第3の領域とを有し、
    上記第1乃至第3の領域は、上記λ1の光ビームが上記第1乃至第3の領域に相当する開口径となり、上記λ2の光ビームが上記第1及び第2の領域に相当する開口径となり、上記λ3の光ビームが上記第1の領域に相当する開口径となるように形成され、
    上記第1の領域には、非球面レンズ形状に、輪帯状で且つ所定の高さを有する階段形状が輪帯の半径方向に周期的に形成された階段状周期構造と、該階段状周期構造の各周期内において同じ深さdの段差構造が重畳された光ディスク装置。
    上記深さdは、当該対物レンズの構成材料の上記λ1に対する屈折率がn1としたときに、関係式d≒−10×K×λ1/(n1−1))を満たす。
    ここで、mは、単調増加する自然数であって、上記階段状周期構造において、レンズ中心を基準として外周方向に並んだ階段形状の位置を示す番号である。
    は、0以上の整数であり、m周期目で与えられる深さdの比例係数であって、
    m−1≦Kと、
    少なくとも上記階段状周期構造の任意の周期の一箇所において、K=Km−1とを満たす。
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