以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、ここでは、置換又は無置換を明示していない基及び原子団には、置換基を有していないものと置換基を有しているものとの双方が含まれることとする。例えば、置換又は無置換を明示していない「アルキル基」は、置換基を有していないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有しているアルキル基(置換アルキル基)をも包含することとする。
[1]樹脂(P)
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、酸の作用により分解してアルカリ可溶性基を発生する構造部位(S1)と、アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液中への溶解速度が増大する構造部位(S2)とを備えた繰り返し単位(A)を含んだ樹脂(P)を含有している。このような樹脂を組成物に含有させると、ラフネス特性、露光ラチチュード、焦点深度、現像欠陥性能及びパターン形状を改善することが可能となる。
〔繰り返し単位(A)〕
繰り返し単位(A)が備えている構造部位(S2)は、特に限定されないが、例えば、アリールエステル構造又はラクトン構造を含んでいる。構造部位(S2)は、ラクトン構造を含んでいることがより好ましい。構造部位(S2)としてラクトン構造を含んだ構成を採用することにより、例えば、基板密着性を更に改善することが可能となる。
構造単位(S2)がラクトン構造を含んでいる場合、構造部位(S1)は、下記一般式(4)に示すように、ラクトン構造を含んだ環(以下、ラクトン環ともいう)に結合していることが好ましい。このような構成を採用すると、例えば、樹脂の加水分解性及び組成物の現像欠陥性能を向上させることができる。
式中、S1は、構造部位(S1)に対応した基を表す。破線部は、エステル基と共にラクトン環を形成するために必要な原子団を表す。
構造部位(S2)がラクトン構造を含んでいる場合、構造部位(S1)は、上記ラクトン構造を構成しているエステル基に隣接した2つの炭素原子の少なくとも一方に結合していることが好ましい。即ち、繰り返し単位(A)は、下記一般式(4−1)又は一般式(4−2)により表される構造を含んでいることが好ましい。なお、繰り返し単位(A)は、下記一般式(4−1)により表される構造を含んでいることがより好ましい。
式中、S1は、構造部位(S1)に対応した基を表す。破線部は、エステル基と共にラクトン環を形成するために必要な原子団を表す。
以上のような構成を採用することにより、例えば、樹脂の加水分解性及び組成物の現像欠陥性能を更に向上させることが可能となる。
構造部位(S1)は、例えば、「−(連結基)−(酸分解性基)」により表される。ここで、酸分解性基は、「−(アルカリ可溶性基から水素原子を除いた基)−(酸の作用により脱離する基)」で表される基が好ましい。
アルカリ可溶性基としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシ基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、カルボキシ基、フッ素化アルコール基及びスルホン酸基が挙げられる。フッ素化アルコール基としては、ヘキサフルオロイソプロパノール基が特に好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)及び−C(R01)(R02)(OR39)により表される基が挙げられる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成していてもよい。R01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
好ましい酸分解性基としては、例えば、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基及び第3級のアルキルエステル基が挙げられる。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基が挙げられる。
酸分解性基は、脂環構造を含んでいることが好ましい。即ち、樹脂(P)は、脂環構造を含んだ酸分解性基を備えた繰り返し単位(A)を含んでいることが好ましい。このような構成を採用すると、例えば、エッチング耐性及び解像性を更に向上させることが可能となる。なお、この脂環構造は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
構造部位(S1)としては、特に限定されないが、下記一般式(S1−1)で表される基がより好ましい。
式中、
Z21は、単結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、又は、これらを組み合わせた基を表す。
L2は、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、2価の芳香環基、又はこれらの2以上を組み合わせた基を表す。上記組み合わせた基において、組み合わされる2以上の基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、上記2以上の基は、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子又はアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、及びこれらを組み合わせた基からなる群より選択される連結基を介して連結されていてもよい。
R4は、アルキル基を表す。
R5及びR6は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R5とR6とは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
Z21としての−NR−において、Rにより表されるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、このアルキル基は、置換基を有していてもよい。Rにより表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基などの炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基、特に好ましくは炭素数3以下のアルキル基が挙げられる。Rとしては、水素原子、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
また、2価の窒素含有非芳香族複素環基とは、少なくとも1個の窒素原子を有する、好ましくは3〜8員の非芳香族複素環基を意味する。具体的には、例えば、下記構造の2価の連結基が挙げられる。
Z21としては、単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−OSO2−、−SO3−、−CONR−、又は、−CO−と2価の窒素含有非芳香族複素環基とを組み合わせた基が好ましく、単結合、−COO−、−SO3−又は−CONR−がより好ましく、単結合又は−COO−が特に好ましい。
L2におけるアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキレン基としては、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基などの炭素数1〜8のものが挙げられる。L2におけるアルキレン基は、炭素数1〜6のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基であることが特に好ましい。
L2におけるアルケニレン基としては、上で説明したアルキレン基の任意の位置に二重結合を有する基が挙げられる。
L2におけるシクロアルキレン基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このシクロアルキレン基としては、好ましくは、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、ノルボルナニレン基、アダマンチレン基及びジアマンタニレン基などの炭素数3〜17のものが挙げられる。L2におけるシクロアルキレン基は、炭素数5〜12のシクロアルキレン基であることがより好ましく、炭素数6〜10のシクロアルキレン基であることが特に好ましい。
L2における2価の芳香環基としては、フェニレン基、トリレン基及びナフチレン基などの炭素数6〜14のアリーレン基、又は、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール及びチアゾールなどのヘテロ環を含んだ2価の芳香環基が挙げられる。これら2価の芳香環基は、置換基を有していてもよい。
L2としては、単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレン基とシクロアルキレン基とを組み合わせた基、又はアルキレン基と2価の芳香環基とを組み合わせた基が好ましく、単結合、アルキレン基又はシクロアルキレン基がより好ましく、単結合又はアルキレン基が特に好ましい。
一般式(1)において、Z
21及びL
2の双方が単結合であることも好ましい。即ち、構造部位(S1)は、下式(S1−2)により表される基であることも好ましい。このような構成を採用すると、樹脂のガラス転移温度(Tg)が高くなり、例えば、露光ラチチュードを更に向上させることが可能となる。
式(S1−2)中、R4、R5及びR6の各々は、先に一般式(S1−1)について説明したものと同義である。
以下、式(S1−1)及び(S1−2)におけるR4乃至R6について説明する。
R4、R5又はR6におけるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、これらアルキル基は、置換基を有していてもよい。R4又はR5におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、及びドデシル基などの炭素数20以下のアルキル基、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基、特に好ましくは炭素数3以下のアルキル基が挙げられる。
R5又はR6のシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、アダマンチル基、ジアダマンチル基、テトラシクロデカニル基、及びテトラシクロドデカニル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、炭素数3〜20のものが好ましく、炭素数5〜10のものがより好ましい。
R5とR6とが互いに結合して形成し得る環としては、炭素数3〜20のものが好ましく、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基などの単環式のものであってもよいし、ノルボニル基、アダマンチル基、テトラシクロデカニル基及びテトラシクロドデカニル基などの多環式のものであってもよい。R5とR6とが互いに結合して環を形成する場合、R4は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
R
5及びR
6の一方は、アダマンチル基であることが好ましい。即ち、構造部位(S1)は、下式により表される構造を有していることが好ましい。なお、下式は、R
6がアダマンチル基である場合の構造を示している。
式中、R4及びR5は、一般式(S1−1)及び(S1−2)における各々と同義である。
R
5とR
6とは、互いに結合して環を形成していることも好ましい。この環は、例えば、下式により表される構造を有している。
式中、R4は、一般式(S1−1)及び(S1−2)におけるR4と同義である。
nは、1〜5の整数である。nは、好ましくは、3又は4である。即ち、R5とR6とが互いに結合して形成される環は、5員環又は6員環であることが好ましい。
構造部位(S2)がラクトン構造を含んでいる場合、このラクトン構造は、好ましくは5〜7員環ラクトン構造である。また、この5〜7員環ラクトン構造に、ビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で、他の環構造が縮環していてもよい。
ラクトン構造としては、例えば、下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)で表される構造が挙げられる。これらのうち、(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)又は(LC1−14)で表される構造がより好ましく、(LC1−4)又は(LC1−5)により表される構造が特に好ましい。
上記ラクトン構造は、構造部位(S1)以外の置換基を更に有していてもよい。好ましい置換基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、及びシアノ基挙げられる。
なお、ラクトン構造を備えた繰り返し単位には、通常は光学異性体が存在するが、何れの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度が90%ee以上のものが好ましく、95%ee以上のものがより好ましい。
繰り返し単位(A)は、下記一般式(1)により表される構造を備えていることが好ましい。
式中、R3は、k≧2の場合には各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。k≧2の場合、前記R3の少なくとも2つが互いに結合して、環を形成していてもよい。
Xは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Yは、m≧2の場合には各々独立に、先に説明した構造単位(S1)を表す。
kは、0〜5の整数を表す。
mは、m+k≦6なる関係を満たす1〜5の整数を表す。
R3は、上述した通り、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。これらアルキル基又はシクロアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
R3のアルキル基としては、炭素数が1〜30であることが好ましく、炭素数が1〜15であることがより好ましい。R3のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基及びn−オクタデシル基が挙げられる。
分岐鎖アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
R3のシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。また、R3のシクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R3のシクロアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基が挙げられる。
R3のアルキル基又はシクロアルキル基が有し得る置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子;メルカプト基;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基及びベンジルオキシ基のアルコキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;シアノ基;ニトロ基;スルホニル基;シリル基;エステル基;アシル基;ビニル基;及びアリール基が挙げられる。
なお、k≧2の場合、R3の少なくとも2つが互いに結合して、環を形成していてもよい。R3の少なくとも2つが互いに結合することにより形成される基は、好ましくは、シクロアルキレン基である。
Xは、上述した通り、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。このアルキレン基は、置換基を更に有していてもよい。
Xのアルキレン基としては、炭素数が1又は2のものが好ましい。即ち、Xのアルキレン基は、メチレン基又はエチレン基であることが好ましい。
Xのアルキレン基が有し得る置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子;メルカプト基;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基及びベンジルオキシ基のアルコキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;シアノ基;ニトロ基;スルホニル基;シリル基;エステル基;アシル基;ビニル基;及びアリール基が挙げられる。
Yは、先に説明した構造部位(S1)を表す。構造部位(S1)は、上述した通り、一般式(S1−1)又は(S1−2)により表されることが好ましい。
kは、上述した通り、0〜5の整数を表す。kは、好ましくは、0〜3の整数である。
mは、上述した通り、m+k≦6なる関係を満たす1〜5の整数を表す。mは、好ましくは1〜3の整数であり、特に好ましくは1である。
なお、上記一般式(1)により表される構造において、Yは、ラクトン構造を構成しているエステル基に隣接した2つの炭素原子の少なくとも一方に結合していることが好ましい。特には、Yの少なくとも1つは、上記エステル基のカルボニル炭素のα位に結合していることが好ましい。即ち、上記一般式(1)により表される構造は、下記一般式(1α)により表されることが特に好ましい。
一般式(1α)中、R3、X、Y、k及びmは、一般式(1)における各々と同義である。
繰り返し単位(A)は、下記一般式(A1)により表される繰り返し単位であることが特に好ましい。
式中、
R11は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。
L1は、n≧2の場合には各々独立に、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、2価の芳香環基、又はこれらの2以上を組み合わせた基を表す。上記組み合わせた基において、組み合わされる2以上の基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、上記2以上の基は、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子又はアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、及びこれらを組み合わせた基からなる群より選択される連結基を介して連結されていてもよい。
Z11及びZ12は、各々独立に、単結合、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子若しくはアルキル基)、2価の窒素含有非芳香族複素環基、又は、これらを組み合わせた基を表す。
nは、0〜5の整数を表す。
R3、X、Y、k及びmは、一般式(1)における各々と同義である。
R11におけるアルキル基としては、炭素数が1〜5のものが好ましく、メチル基が特に好ましい。R1のアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、並びに、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基及びベンジルオキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。R1は、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基であることがより好ましい。
L1におけるアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキレン基としては、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基などの炭素数1〜8のものが挙げられる。L1におけるアルキレン基は、炭素数1〜6のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基であることが特に好ましい。
L1におけるアルケニレン基としては、上で説明したアルキレン基の任意の位置に二重結合を有する基が挙げられる。
L1におけるシクロアルキレン基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このシクロアルキレン基としては、好ましくは、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、ノルボルナニレン基、アダマンチレン基及びジアマンタニレン基などの炭素数3〜17のものが挙げられる。L1におけるシクロアルキレン基は、炭素数5〜12のシクロアルキレン基であることがより好ましく、炭素数6〜10のシクロアルキレン基であることが特に好ましい。
L1における2価の芳香環基としては、フェニレン基、トリレン基及びナフチレン基などの炭素数6〜14のアリーレン基、又は、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール及びチアゾールなどのヘテロ環を含んだ2価の芳香環基が挙げられる。これら2価の芳香環基は、置換基を有していてもよい。
L1としては、単結合、シクロアルキレン基、シクロアルキレン基とアルキレン基とを組み合わせた基、2価の芳香環基、又は、2価の芳香環基とアルキレン基とを組み合わせた基が好ましく、単結合、シクロアルキレン基又は2価の芳香環基がより好ましく、単結合又はシクロアルキレン基が特に好ましい。
Z11及びZ12としての−NR−において、Rにより表されるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、このアルキル基は、置換基を有していてもよい。Rにより表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基などの炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基、特に好ましくは炭素数3以下のアルキル基が挙げられる。Rとしては、水素原子、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
また、2価の窒素含有非芳香族複素環基とは、少なくとも1個の窒素原子を有する、好ましくは3〜8員の非芳香族複素環基を意味する。具体的には、例えば、先に一般式(S1−1)におけるZ21について挙げたのと同様の2価の連結基が挙げられる。
Z11としては、単結合、−COO−、−OCO−、−SO3−、−CONR−、又は、−CO−と2価の窒素含有非芳香族複素環基とを組み合わせた基が好ましく、単結合、−COO−、−CONR−、又は、−CO−と2価の窒素含有非芳香族複素環基とを組み合わせた基がより好ましく、−COO−又は−CONR−が特に好ましい。
Z12としては、単結合、−O−、−OCO−、−COO−、−OSO2−、−CONR−、又は−NRCO−が好ましく、単結合、−O−、−OCO−、−COO−又は−CONR−がより好ましく、単結合、−O−、−OCO−又は−COO−が特に好ましい。
nは、0〜5の整数を表し、0であっても、1〜5の整数であってもよい。前者の場合、樹脂(P)のガラス転移温度(Tg)が高くなり、例えば、露光ラチチュードを更に向上させることが可能となる。後者の場合、樹脂(P)の現像液に対する溶解性を更に向上させることが可能となる。nは、好ましくは、0〜3の整数である。
繰り返し単位(A)は、下記一般式(A2)により表されることが更に好ましい。
一般式(A2)中、
X、R3及びkは、一般式(1)における各々と同義である。
Z21、L2、R4、R5及びR6は、一般式(S1−1)における各々と同義である。
R11、L1、Z11、Z12及びnは、一般式(A1)における各々と同義である。
一般式(A2)により表される繰り返し単位を含んだ樹脂(P)は、一般式(A2)に対応する化合物を重合させるか、又は、この化合物と他の単量体とを共重合させることにより得られる。
一般式(A2)に対応する化合物は、常法に従って合成することができる。例えば、下記一般式(3M)で表される重合性化合物は、以下のスキームにより合成できる。
なお、一般式(3M)中、R1aは、一般式(A2)におけるR11と同義である。R3、R4、R5、R6、X、k、及びnは、一般式(A2)における各々と同義である。lは、1〜5の整数を表す。nが1〜5の整数である場合、lは1であることが好ましい。
上記のスキームでは、まず、上式により表されるシアノラクトンを加水分解することにより、シアノ基をカルボキシ基に変換する。これにより、一般式(3M−1)により表されるカルボン酸を得る。
次に、一般式(3M−1)により表されるカルボン酸とアルコールとを反応させることにより、一般式(3M−2)により表される化合物を得る。
この反応は、例えば、溶媒中、一般式(3M−1)により表されるカルボン酸と、アルコールと、塩基と、縮合剤とを順次又は同時に加えることにより行う。この際、必要に応じて、反応系を冷却又は加熱してもよい。
この反応の溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロエタン、酢酸エチル及びアセトニトリルが挙げられる。塩基としては、例えば、4−ジメチルアミノピリジンが挙げられる。縮合剤としては、例えば、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-(tert-ブチル)-N'-エチルカルボジイミド、及び、N,N'-ジ(ter-ブチル) カルボジイミドが挙げられる。
続いて、一般式(3M−2)により表されるアルコールと重合性部位とを反応させることにより、一般式(3M−3)により表されるエステルを得る。この重合性部位は、公知の方法により容易に導入できる。
例えば、重合性部位がメタクリル酸クロリド及びノルボルネンカルボン酸クロリド等の酸クロリドである場合、上記の反応は、例えば、以下のようにして行う。即ち、上記の反応は、例えば、溶媒中、一般式(3M−2)により表されるアルコールと、上記の酸クロリドと、塩基とを順次又は同時に加えることにより行う。この際、必要に応じて、反応系を冷却又は加熱してもよい。
この反応の溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジイソプロピルエーテル及びメチルエチルケトンが挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、及び4−ジメチルアミノピリジンが挙げられる。
或いは、重合性部位がメタクリル酸及びノルボルネンカルボン酸等のカルボン酸である場合、上記の反応は、例えば、以下のようにして行う。即ち、上記の反応は、例えば、溶媒中、一般式(3M−2)により表されるアルコールと、上記のカルボン酸と、無機酸及び/又は有機酸とを混合して加熱することにより行う。この反応は、反応により生じる水を系外に除きながら行ってもよい。
この反応の溶媒としては、例えば、トルエン及びヘキサンが挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸及び過塩素酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、p−トルエンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸が挙げられる。
次いで、一般式(3M−3)により表されるエステルを加水分解する。このようにして、一般式(3M−4)により表されるカルボン酸が得られる。
この加水分解反応は、例えば、溶媒中、一般式(3M−3)により表されるエステルと塩基とを順次又は同時に加えることにより行う。この際、必要に応じて、反応系を冷却又は加熱してもよい。
この反応の溶媒としては、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及び水が挙げられる。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム及び炭酸カリウムが挙げられる。
その後、一般式(3M−4)により表されるカルボン酸の酸部位を酸クロリドに変換させて、一般式(3M−5)により表される酸クロリドを得る。この反応は、例えば、一般式(3M−4)により表されるカルボン酸と、塩化チオニルとを順次又は同時に加えることにより行う。この際、必要に応じて、反応系を冷却又は加熱してもよい。また、ベンゼン及びジクロロメタン等の溶媒、及び/又は、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド及びピリジン等の触媒を更に加えてもよい。
最後に、一般式(3M−5)により表される酸クロリドと対応するアルコールとを反応させて、一般式(3M)により表される化合物を得る。この酸クロリドとアルコールとの反応は、先に説明した一般式(3M−3)により表される化合物の合成と同様にして行うことができる。
繰り返し単位(A)の含有量は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、15〜100mol%であることが好ましく、20〜100mol%であることがより好ましく、30〜100mol%であることが更に好ましい。
以下に、繰り返し単位(A)の具体例を挙げる。下記具体例中、R
1は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又はハロゲン原子を表す。R
1は、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子である。
〔繰り返し単位(B)〕
樹脂(P)は、繰り返し単位(A)とは異なる、酸の作用により分解して、アルカリ可溶性基を発生する繰り返し単位(B)(以下、「酸分解性基を有する繰り返し単位」と称することがある)を有していてもよい。
アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、1価の芳香環基、アルキレン基と1価の芳香環基とを組み合わせた基、又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、1価の芳香環基、アルキレン基と1価の芳香環基とを組み合わせた基、又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
繰り返し単位(B)としては、下記一般式(V)で表される繰り返し単位がより好ましい。
一般式(V)において、R51、R52、R53は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R52はL5と結合して環(好ましくは、5員もしくは6員環)を形成していてもよく、その場合のR52はアルキレン基を表わす。
L5は、単結合または2価の連結基を表し、R52と環を形成する場合には3価の連結基
を表す。
R54はアルキル基を表し、R55及びR56は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基または1価の芳香環基を表す。R55及びR56は互いに結合して環を形成してもよい。但し、R55とR56とが同時に水素原子であることはない。
一般式(V)について、更に詳細に説明する。
一般式(V)におけるR51〜R53のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していても良いメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基、特に好ましくは炭素数3以下のアルキル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R51〜R53におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
シクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよい。好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個で単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
上記各基における好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
またR52がアルキレン基でありL5と環を形成する場合、アルキレン基としては、好ま
しくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基が挙げられる。炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基が特に好ましい。
式(V)におけるR51及びR53としては、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基(−CF3)、ヒドロキシメチル基(−CH2−OH)、クロロメチル基(−CH2−Cl)、フッ素原子(−F)が特に好ましい。R52としては、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、アルキレン基(L5と環を形成)がより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基(−CF3)、ヒドロキシメチル基(−CH2−OH)、クロロメチル基(−CH2−Cl)、フッ素原子(−F)、メチレン基(L5と環を形成)、エチレン基(L5と環を形成)が特に好ましい。
L5で表される2価の連結基としては、アルキレン基、2価の芳香環基、−COO−L1−、−O−L1−、これらの2つ以上を組み合わせて形成される基等が挙げられる。ここで、L1はアルキレン基、シクロアルキレン基、2価の芳香環基、アルキレン基と2価の芳香環基を組み合わせた基を表す。
L5は、単結合、−COO−L1−で表される基又は2価の芳香環基が好ましい。ArFエキシマレーザーで露光する場合には、193nm領域の吸収低減の観点から、単結合又は−COO−L1−であることが好ましい。L1は炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、メチレン、プロピレン基がより好ましい。
R54〜R56のアルキル基としては炭素数1〜20のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜10のものであり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが特に好ましい。
R55及びR56で表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜20のものが好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環性のものであってもよいし、ノルボニル基、アダマンチル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、等の多環性のものであってもよい。
また、R55及びR56が互いに結合して形成される環としては、炭素数3〜20のものが好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環性のものであってもよいし、ノルボニル基、アダマンチル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、等の多環性のものであってもよい。R55及びR56が互いに結合して環を形成する場合、R54は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
R55及びR56で表される1価の芳香環基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R55及びR56のどちらか一方が水素原子の場合、他方は1価の芳香環基であることが好ましい。
ArFエキシマレーザーで露光する場合には、193nm領域の吸収低減の観点から、R55及びR56は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基であることが好ましい。
一般式(V)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの合成方法としては、一般的な重合性基含有エステルの合成法を適用することが可能であり、特に限定されることはない。
以下に、繰り返し単位(B)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、樹脂(P)は、繰り返し単位(B)として、下記一般式(VI)で表される繰り返し単位を含んでいてもよく、特に電子線又はEUVで露光する場合に好ましい。
一般式(VI)中、R61、R62、R63は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R62はAr6と結合して環(好ましくは、5員もしくは6員環)を形成していてもよく、その場合のR62はアルキレン基を表わす。
Ar6は、2価の芳香環基を表す。Yは、複数ある場合は各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。nは、1〜4の整数を表す。
一般式(VI)について更に詳細に説明する。
一般式(VI)におけるR61〜R63のアルキル基としては、好ましくは置換基を有していてもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R61〜R63におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
シクロアルキル基としては、単環型でも多環型でもよく、好ましくは置換基を有していても良いシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基のような炭素数3〜8個の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
R62がアルキレン基を表す場合、アルキレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
Ar6は、2価の芳香環基を表す。2価の芳香環基は、置換基を有していても良く、例
えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基などの炭素数6〜18のアリーレン基、あるいは、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール等のヘテロ環を含む2価の芳香環基を好ましい例として挙げることができる。
上述したアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキレン基及び2価の芳香環基が有し得る置換基としては、上述した一般式(V)におけるR51〜R53により表わされる各基が有し得る置換基と同様の具体例が挙げられる。
nは1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、n個中の少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
酸の作用により脱離する基Yとしては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−CH(R36)(Ar)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、1価の芳香環基、アルキレン基と1価の芳香環基を組み合わせた基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、1価の芳香環基、アルキレン基と1価の芳香環基とを組み合わせた基、又はアルケニル基を表す。
Arは、1価の芳香環基を表す。
R36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39、R01、R02及びArの1価の芳香環基は、炭素数6〜10の1価の芳香環基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール等のヘテロ環を含む2価の芳香環基を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアルキレン基と1価の芳香環基とを組み合わせた基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
R36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロへキセニル基等を挙げることができる。
R36とR37とが、互いに結合して形成する環は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル構造が好ましく、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロへキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、ジシクロペンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等を挙げることができる。尚、シクロアルキル構造中の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R
36〜R
39、R
01、R
02、及びArとしての上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
酸の作用により脱離する基Yとしては、下記一般式(VI−A)で表される構造がより好ましい。
ここで、L1及びL2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、1価の芳香環基、又はアルキレン基と1価の芳香環基とを組み合わせた基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよい1価の芳香環基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアルデヒド基を表す。
Q、M、L1の少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員もしくは6員環)を形
成してもよい。
L1及びL2としてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
L1及びL2としてのシクロアルキル基は、例えば炭素数3〜15個のシクロアルキル基であって、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等を好ましい例として挙げることができる。
L1及びL2としての1価の芳香環基は、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましい例として挙げることができる。
L1及びL2としてのアルキレン基と1価の芳香環基を組み合わせた基は、例えば、炭素数6〜20であって、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基が挙げられる。
Mとしての2価の連結基は、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基など)、シクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基など)、アルケニレン基(例えば、エチレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など)、2価の芳香環基(例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基など)、−S−、−O−、−CO−、−SO2−、−N(R0)−、およびこれらの複数を組み合わせた2価の連結基である。R0は、水素原子またはアルキル基(例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基など)である。
Qとしてのアルキル基は、上述のL1及びL2としての各基と同様である。
Qとしてのヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基及びヘテロ原子を含んでいてもよい1価の芳香環基に於ける、ヘテロ原子を含まない肪族炭化水素環基及びへテロ原子を含まない1価の芳香環基としては、上述のL1及びL2としてのシクロアルキル基、及び1価の芳香環基などが挙げられ、好ましくは、炭素数3〜15である。
ヘテロ原子を含むシクロアルキル基及びヘテロ原子を含む1価の芳香環基としては、例えば、チイラン、シクロチオラン、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール、ピロリドン等のヘテロ環構造を有する基が挙げられるが、一般にヘテロ環と呼ばれる構造(炭素とヘテロ原子で形成される環、あるいはヘテロ原子にて形成される環)であれば、これらに限定されない。
Q、M、L1の少なくとも2つが結合して形成してもよい環としては、Q、M、L1の少なくとも2つが結合して、例えば、プロピレン基、ブチレン基を形成して、酸素原子を含有する5員または6員環を形成する場合が挙げられる。
一般式(VI−A)におけるL1、L2、M、Qで表される各基は、置換基を有していてもよく、例えば、前述のR36〜R39、R01、R02、及びArが有してもよい置換基として説明したものが挙げられ、置換基の炭素数は8以下が好ましい。
−M−Qで表される基として、炭素数1〜30個で構成される基が好ましく、炭素数5〜20個で構成される基がより好ましい。
以下に繰り返し単位(B)の好ましい具体例として、一般式(VI)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
樹脂(P)が繰り返し単位(B)を含んでいる場合、本発明の樹脂(P)中における繰り返し単位(B)の含有率は、樹脂(P)中の全繰り返し単位に対して、1〜70モル%の範囲が好ましく、5〜50モル%の範囲がより好ましい。
〔繰り返し単位(C)〕
樹脂(P)は、繰り返し単位(A)とは異なる、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を有する繰り返し単位(C)を有していてもよい。
アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基としては、ラクトン構造、フェニルエステル構造などが挙げられる。
繰り返し単位(C)としては、下記一般式(AII)で表される繰り返し単位がより好ましい。
一般式(AII)中、
Rb0は、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0として、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環または多環のシクロアルキル構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はこれらを組み合わせた2価の連結基を表す。好ましくは、単結合、−Ab1−CO2−で表される2価の連結基である。
Ab1は、直鎖又は分岐アルキレン基、単環または多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基である。
Vは、アルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基を表す。好ましくはエステル結合を有する基であり、中でもラクトン構造を有する基がより好ましい。
ラクトン構造を有する基としては、ラクトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。Vとしては、先に挙げた一般式(LC1−1)〜(LC1−17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基がより好ましい。また、樹脂(P)は、繰り返し単位(C)以外に更にラクトン構造が主鎖に直接結合した繰り返し単位を含有していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)である。特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥性能が良好になる。
なお、上記ラクトン構造は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、水酸基、及びアルコキシ基などを置換基として有していてもよい。
一般式(AII)により表される繰り返し単位は、下記一般式(III−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(III−1)に於いて、
R
0は、複数個ある場合にはそれぞれ独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合
を表す。ここで、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。
nは、−R0−Z−で表される構造の繰り返し数であり、0〜5の整数を表す。
R7は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
R0のアルキレン基、シクロアルキレン基は置換基を有してよい。
Zは好ましくは、エーテル結合、エステル結合であり、特に好ましくはエステル結合である。
R9は、複数個ある場合にはそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコ
キシカルボニル基、シアノ基、水酸基又はアルコキシ基を表し、複数個ある場合には2つのR9が結合し、環を形成していてもよい。
Xは、アルキレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。
mは、置換基数であって、0〜5の整数を表す。mは0または1であることが好ましい。
R9のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、がより好ましく、メチル基が最も好ましい。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基を挙げることができる。アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。これらの基は置換基を有していてもよく、該置換基としてはヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、シアノ基、フッ素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。R9はメチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、シアノ基であることがさらに好ましい。
Xのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Xは酸素原子またはメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることがさらに好ましい。
mが1以上である場合、少なくとも1つのR9はラクトンのカルボニル基のα位またはβ位に置換することが好ましく、特にα位に置換することが好ましい。
樹脂(P)が繰り返し単位(C)を含んでいる場合、樹脂(P)中の繰り返し単位(C)の含有率は、全繰り返し単位に対して、1〜60モル%の範囲が好ましく、より好ましくは2〜50モル%の範囲であり、さらに好ましくは5〜50モル%の範囲である。繰り返し単位(C)は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
以下に、樹脂(P)中の繰り返し単位(C)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。式中、Rxは、H,CH
3,CH
2OH,またはCF
3を表す。
〔繰り返し単位(D)〕
樹脂(P)は、前述の繰り返し単位(A)、繰り返し単位(B)及び繰り返し単位(C)以外の水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を更に有していても良い。これにより基板密着性、現像液親和性を向上させることができる。
繰り返し単位(D)は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましく、酸分解性基を有さないことが好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
一般式(VIIa)〜(VIIc)に於いて、R
2c〜R
4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R
2c〜R
4cの内の少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R
2c〜R
4cの内の1つ又は2つが水酸基で、残りが水素原子である。一般式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、R
2c〜R
4cの内の2つが水酸基で、残りが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
一般式(AIIa)〜(AIId)に於いて、R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
R2c〜R4cは、一般式(VIIa)〜(VIIc)に於ける、R2c〜R4cと同義である。
樹脂(P)が繰り返し単位(D)を含んでいる場合、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位(D)の含有率は、樹脂(P)中の全繰り返し単位に対し、1〜40mol%が好ましく、より好ましくは2〜30mol%、更に好ましくは5〜25mol%である。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位(D)の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の樹脂(P)は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有してもよい。アルカリ可溶性基としてはフェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えばヘキサフロロイソプロパノール基)が挙げられる。
ArFエキシマレーザーで露光する場合には、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、更にはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
樹脂(P)がアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含んでいる場合、この繰り返し単位の含有率は、樹脂(P)中の全繰り返し単位に対し、1〜20mol%が好ましく、より好ましくは1〜15mol%、更に好ましくは2〜10mol%である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、RxはH、CH
3、CH
2OH,又はCF
3を表す。
KrFエキシマレーザー光、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー光線(EUVなど)で露光する場合には、芳香環基とアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位であることが好ましく、下記一般式(IV)で表される構造がより好ましい。
ここで、R41、R42及びR43は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R42はAr4と結合して環(好ましくは5員又は6員環)を形成していてもよく、その場合のR42はアルキレン基を表わす。
Ar4は、2価の芳香環基を表す。nは、1〜4の整数を表す。
式(IV)におけるR41、R42、R43のアルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、及びアルコキシカルボニル基及びこれらの基が有し得る置換基の具体例としては、一般式(V)における各基と同様の具体例が挙げられる。
Ar4としての2価の芳香環基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基
、トリレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基などの炭素数6〜18のアリーレン基、あるいは、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール等のヘテロ環を含む2価の芳香環基を好ましい例として挙げることができる。
上記各基における好ましい置換基としては、一般式(V)におけるR51〜R53で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
Ar4としては、置換基を有していても良い炭素数6〜18のアリーレン基がより好ましく、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基が特に好ましい。
以下に、芳香環基とアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。式中、aは0〜2の整数を表す。
樹脂(P)は、極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を更に有していてもよい。このような繰り返し単位としては、例えば、一般式(VII)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(VII)中、R5は少なくとも一つの脂環炭化水素構造を有し、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
R5が有する脂環炭化水素構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、たとえば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などの炭素数3から12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基など炭素数3から12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3から7の単環式炭化水素基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環及び、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護された水酸基、保護基で保護されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護された水酸基、保護基で保護されたアミノ基を挙げることができる。
保護基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
樹脂(P)が、極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有する場合、この繰り返し単位の含有率は、樹脂(P)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは2〜20モル%である。
極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH
3、CH
2OH、又はCF
3を表す。
本発明の樹脂(P)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的に必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、本発明の組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
本発明の組成物に用いられる樹脂(P)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
また、本発明の組成物が、後述する疎水性樹脂を含んでいる場合、樹脂(P)は、疎水性樹脂との相溶性の観点から、フッ素原子及びケイ素原子を含んでいないことが好ましい。
本発明の樹脂(P)の形態としては、ランダム型、ブロック型、クシ型、スター型のいずれの形態でもよい。
樹脂(P)は、例えば、各構造に対応する不飽和モノマーのラジカル、カチオン、又はアニオン重合により合成することができる。また各構造の前駆体に相当する不飽和モノマーを用いて重合した後に、高分子反応を行うことにより目的とする樹脂を得ることも可能である。
例えば、一般的合成方法としては、不飽和モノマー及び重合開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤に不飽和モノマーと重合開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。
重合に使用される溶媒としては、例えば、後述の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を調製する際に使用することができる溶剤等を挙げることができ、より好ましくは本発明の組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。必要に応じて連鎖移動剤(例えば、アルキルメルカプタンなど)の存在下で重合を行ってもよい。
反応の濃度は通常5〜70質量%であり、好ましくは10〜50質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは40〜100℃である。
反応時間は、通常1〜48時間であり、好ましくは1〜24時間、更に好ましくは1〜12時間である。
反応終了後、室温まで放冷し、精製する。精製は、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過等の溶液状態での精製方法や、樹脂溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈澱法やろ別した樹脂スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法等の通常の方法を適用できる。たとえば、上記樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒(貧溶媒)を、該反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、接触させることにより樹脂を固体として析出させる。
ポリマー溶液からの沈殿又は再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿又は再沈殿溶媒)としては、該ポリマーの貧溶媒であればよく、ポリマーの種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。これらの中でも、沈殿又は再沈殿溶媒として、少なくともアルコール(特に、メタノールなど)又は水を含む溶媒が好ましい。
沈殿又は再沈殿溶媒の使用量は、効率や収率等を考慮して適宜選択できるが、一般には、ポリマー溶液100質量部に対して、100〜10000質量部、好ましくは200〜2000質量部、更に好ましくは300〜1000質量部である。
沈殿又は再沈殿する際の温度としては、効率や操作性を考慮して適宜選択できるが、通常0〜50℃程度、好ましくは室温付近(例えば20〜35℃程度)である。沈殿又は再沈殿操作は、攪拌槽などの慣用の混合容器を用い、バッチ式、連続式等の公知の方法により行うことができる。
沈殿又は再沈殿したポリマーは、通常、濾過、遠心分離等の慣用の固液分離に付し、乾燥して使用に供される。濾過は、耐溶剤性の濾材を用い、好ましくは加圧下で行われる。乾燥は、常圧又は減圧下(好ましくは減圧下)、30〜100℃程度、好ましくは30〜50℃程度の温度で行われる。
なお、一度、樹脂を析出させて、分離した後に、再び溶媒に溶解させ、該樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒と接触させてもよい。即ち、上記ラジカル重合反応終了後、該ポリマーが難溶あるいは不溶の溶媒を接触させ、樹脂を析出させ(工程a)、樹脂を溶液から分離し(工程b)、改めて溶媒に溶解させ樹脂溶液Aを調製(工程c)、その後、該樹脂溶液Aに、該樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒を、樹脂溶液Aの10倍未満の体積量(好ましくは5倍以下の体積量)で、接触させることにより樹脂固体を析出させ(工程d)、析出した樹脂を分離する(工程e)ことを含む方法でもよい。
樹脂(P)は、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、単量体およびオリゴマー成分の残存量が0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましく、0〜1質量%であることが更に好ましい。これにより、液中異物の量を減少させ、感度等の経時変化を低減することが可能となる。
本発明に係わる樹脂(P)の分子量は、特に制限されないが、重量平均分子量が1000〜200000の範囲であることが好ましく、2000〜60000の範囲であることがより好ましく、2000〜30000の範囲であることが特に好ましい。重量平均分子量を1000〜200000の範囲とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
また分散度(Mw/Mn)は、好ましくは1.00〜5.00、より好ましくは1.03〜3.50であり、更に好ましくは、1.05〜2.50である。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
本発明の樹脂(P)は、1種類単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。樹脂(P)の含有率は、本発明の感活性光線性または感放射線性樹脂組成物中の全固形分を基準にして、30〜99質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましい。
樹脂(P)のより好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[2]活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(Q)
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」ともいう)を、少なくとも1種含有している。
この光酸発生剤は、波長193nmにおけるモル吸光係数(以下、「モル吸光係数ε」ともいう)が55000以下である。このような光酸発生剤を用いると、上記組成物を用いて形成した膜の波長193nmの光に対する透過率が高くなり、目的の性能を達成することができる。この光酸発生剤のモル吸光係数εは、5500以上であることが好ましい。こうすると、上記の組成物の光吸収効率が比較的高くなり、更に優れた感度を達成できる。
この光酸発生剤は、モル吸光係数εが5500〜55000の範囲内にあることが好ましく、10000〜55000の範囲内にあることがより好ましく、10000〜50000の範囲内にあることが更に好ましい。モル吸光係数εが過度に大きいと、ラフネス特性が悪化したり、良好なパターン形状が得られない可能性がある。モル吸光係数εが過度に小さいと、感度が低下する可能性がある。
本発明者らは、モル吸光係数εは、光酸発生剤に含まれる芳香環の数及び構成などの影響を受けることを見出している。即ち、本発明者らは、光酸発生剤の構造を工夫する(例えば、芳香環の数を調整する)ことにより、モル吸光係数εを適宜調節できることを見出している。
なお、本発明の組成物では、モル吸光係数εが55000以下である光酸発生剤以外に、モル吸光係数εが55000より大きい光酸発生剤を併用しても構わない。
本発明におけるモル吸光係数εが55000以下である光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
光酸発生剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等が好ましく、スルホニウム塩、ヨードニウム塩がより好ましく、スルホニウム塩が特に好ましい。
光酸発生剤としては、下記一般式(ZI)又は(ZII)により表される構造が好ましい。
まず、一般式(ZI)により表される化合物について説明する。
一般式(ZI)中、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的には1〜30であり、好ましくは1〜20である。
R201〜R203のうち2つは、単結合又は連結基を介して互いに結合して、環構造を形成してもよい。この場合の連結基としては、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。R201〜R203のうちの2つが結合して形成する基としては、例えば、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
一般式(ZI)におけるカチオン部位の好ましい態様については、後で詳しく説明する。
Z−は、非求核性アニオンを表す。この非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが挙げられる。
なお、非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンである。このようなアニオンを用いると、分子内求核反応による経時分解を抑制することができる。それゆえ、こうすると、組成物及びそれを用いて形成した膜の経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン及びカンファースルホン酸アニオンが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンが挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもよく、シクロアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素数は1〜30であることが好ましく、シクロアルキル基の炭素数は3〜30であることが好ましい。このようなアルキル基又はシクロアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及びボルニル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオンにおける芳香族基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基及びナフチル基が挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、及びシクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)が挙げられる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基として、アルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を更に挙げることができる。
脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位としては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオンおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、例えば、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のアリール基が挙げられる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、炭素数が6〜12のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基及びナフチルブチル基が挙げられる。
脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基等が挙げられる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンが挙げられる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基及びネオペンチル基が挙げられる。これらのアルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、及びシクロアルキルアリールオキシスルホニル基が挙げられる。これらのうち、フッ素原子で置換されたアルキル基が特に好ましい。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、BF4 −、PF6 −及びSbF6 −が挙げられる。
Z-の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換された脂肪族
スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、又はアルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。Z-の非求核性アニオンとしては、炭素数4〜8のパーフロロ脂肪
族スルホン酸アニオン又はフッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオンがより好ましく、ノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン及び3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンが更に好ましい。
Z
−の好ましい有機アニオンとしては、例えば、下記の有機アニオンが挙げられる。
式中、Rc1は有機基を表す。
この有機基としては、炭素数が1〜30のものが挙げられる。この有機基は、好ましくは、アルキル基、アリール基、又はこれらの複数が単結合若しくは連結基を介して連結された基である。この連結基としては、例えば、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−及び−SO2N(Rd1)−が挙げられる。ここで、Rd1は、水素原子又はアルキル基を表す。なお、上記の有機基は、置換基を更に有していてもよい。
また、Rc3、Rc4及びRc5は、各々独立に、有機基を表す。これら有機基としては、例えば、先にRc1について説明したのと同様の基が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4のパーフロロアルキル基が特に好ましい。
なお、Rc3とRc4とは、互いに結合して、環を形成していてもよい。Rc3とRc4とが結合して形成し得る基としては、例えば、アルキレン基及びアリーレン基が挙げられる。この基は、好ましくは、炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基である。
Rc1、Rc3、Rc4及びRc5の有機基としては、1位がフッ素原子若しくはフロロアルキル基で置換されたアルキル基、又は、フッ素原子若しくはフロロアルキル基で置換されたフェニル基が特に好ましい。これら有機基にフッ素原子又はフロロアルキル基を含有させることにより、光照射によって発生する酸の酸性度が上がり、感度を向上させることが可能となる。
また、Z
−として、下記一般式(A1)により表されるアニオンが挙げられる。
式中、Rは、水素原子又は有機基を表す。
Rが有機基である場合、この基は、炭素数が1〜40であることが好ましく、炭素数が3〜20であることがより好ましい。
この有機基は、炭素原子を少なくとも1つ有していれば特に限定されないが、上記一般式(A1)に示すエステル結合における酸素原子と結合する原子が炭素原子であることが好ましい。例えば、この有機基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はラクトン構造を備えた基であることが好ましい。なお、これらの基は、鎖中に酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。また、これらを相互に置換基として有していてもよく、水酸基、アシル基、アシルオキシ基、オキシ基(=O)及びハロゲン原子等の他の置換基を有していてもよい。
特に好ましいRとしては、下記一般式(A1a)により表される有機基が挙げられる。
式(A1a)中、Rcは、単環又は多環式の環状有機基を表す。この環状有機基は、炭素数が3〜30である。この環状有機基は、炭素数が7〜16であることが好ましい。この環状有機基は、例えば、環状エーテル、環状チオエーテル、環状ケトン、環状炭酸エステル、ラクトン及びラクタム構造を含んでいる。
Yは、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜10のアシルオキシ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキル基、又は炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表す。なお、m≧2の場合、複数のYは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
mは、0〜6の整数である。
nは、0〜10の整数である。nは、0〜3の整数であることが好ましい。
式(AIa)により表されるRに含まれる炭素原子の総数は、40以下であることが好ましい。
また、Z
−として、下記一般式(A2)により表されるアニオンが挙げられる。
式(A2)中、
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R1及びR2は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、y≧2の場合には、複数の前記R1及びR2の各々は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表し、z≧2の場合には、複数の前記Lは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Aは、環状構造を有する基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
以下、一般式(A2)により表されるアニオンについて、更に詳細に説明する。
Xfは、上述したように、フッ素原子であるか、又は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。このアルキル基としては、炭素数が1〜4のものが好ましい。また、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。具体的には、Xfは、好ましくは、フッ素原子、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15、C8F17、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9又はCH2CH2C4F9である。これらのうち、フッ素原子又はCF3が特に好ましい。
R1及びR2の各々は、上述したように、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。このフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜4のものが好ましい。また、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基は、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。具体的には、例えば、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15、C8F17、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9及びCH2CH2C4F9が挙げられる。これらのうち、CF3が特に好ましい。
Lは、上述したように、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、アルキレン基、シクロアルキレン基及びアルケニレン基が挙げられる。これらのうち、−COO−、−OCO−、−CO−又は−O−が好ましく、−COO−又は−OCO−がより好ましい。
Aは、上述したように、環状構造を有する基を表す。環状構造を有する基としては、例えば、シクロアルキル基、アリール基及び複素環構造を有する基が挙げられる。環状構造を有する基としては、例えば、テトラヒドロピラニル基及びラクトン基が挙げられる。なお、複素環構造を有する基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。
Aとしてのシクロアルキル基は、単環構造を有していてもよく、多環構造を有していてもよい。
単環構造を有したシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が好ましい。
多環構造を有したシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。特には、炭素数が7以上の多環のシクロアルキル基が好ましい。このような嵩高い構造を有するシクロアルキル基を採用すると、PEB工程での酸の膜中拡散性が抑制され、MEEF(Mask Error Enhancement Factor)を更に向上させることが可能となる。
Aとしてのアリール基は、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基又はアントリル基である。これらのうち、波長が193nmの光に対する吸光度が低いナフチル基を用いることが特に好ましい。
Aとしての複素環構造を有する基としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環及びピリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、デカヒドロイソキノリン環、デカヒドロキノリン環等が挙げられる。これらのうち、フラン環、チオフェン環及びピリジン環、ピペリジン環、デカヒドロイソキノリン環が特に好ましい。
Aとしてのシクロアルキル基、アリール基又は複素環構造を有する基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基及びスルホン酸エステル基が挙げられる。
xは、1〜8であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
yは、0〜4であることが好ましく、0であることがより好ましい。
zは、0〜8であることが好ましく、0〜4であることがより好ましい。
更に、Z
−として、特開2005−221721号公報に開示されている下記一般式(A3)又は(A4)により表されるアニオンが挙げられる。
式(A3)及び(A4)中、Yは、水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたアルキレン基を表す。なお、このアルキレン基は、鎖中に酸素原子を含有していてもよい。
このアルキレン基は、炭素数が2〜4であることが好ましい。Yは、好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基であり、より好ましくはテトラフロロエチレン基、ヘキサフロロプロピレン基又はオクタフロロブチレン基である。
式(A4)中、Rは、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。なお、これらアルキル基及びシクロアルキル基は、鎖中に酸素原子を含有していてもよい。
一般式(A3)又は(A4)により表されるアニオンを有する化合物としては、例えば、特開2005−221721号公報に記載されているものが挙げられる。
なお、酸発生剤としては、一般式(ZI)により表される構造を複数有する化合物を使用してもよい。例えば、一般式(ZI)により表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)により表されるもう1つの化合物のR201〜R203の少なくとも1つと結合した構造を有する化合物であってもよい。
続いて、一般式(ZII)により表される化合物について説明する。
一般式(ZII)中、R204及びR205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
R204及びR205のアリール基としては、フェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基が更に好ましい。アリール基は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子等を有する複素環を備えたアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基としては、例えば、ピロール残基(ピロールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、フラン残基(フランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、チオフェン残基(チオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)、インドール残基(インドールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾフラン残基(ベンゾフランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、及びベンゾチオフェン残基(ベンゾチオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)が挙げられる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合、これら複数のアリール基は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
R204及びR205におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又は、炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基が挙げられる。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びノルボニル基が挙げられる。
R204及びR205のアリール基、アルキル基及びシクロアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、及びフェニルチオ基が挙げられる。
Z-は、非求核性アニオンを表す。この非求核性アニオンとしては、例えば、一般式(ZI)におけるZ-として説明したものが挙げられる。
また、光酸発生剤として、下記一般式(ZIII)、(ZIV)、(ZV)又は(ZVI)により表される化合物を更に挙げることができる。
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
R206〜R210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
酸発生剤としては、一般式(ZI)〜(ZVI)で表される構造のうち、一般式(ZI)、(ZII)がより好ましく、一般式(ZI)が特に好ましい。
一般式(ZI)で表される光酸発生剤としては、一般式(ZI−2)、(ZI−3)又は(ZI−4)で表される化合物が特に好ましい。このような化合物を用いると、例えば、ラフネス特性、現像欠陥性能及びパターン形状を更に良化させることが可能となる。
以下、これらについて詳細に説明する。
まず、一般式(ZI−2)により表される化合物について説明する。
一般式(ZI−2)中、
R1a〜R13aは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。
Zaは、単結合又は2価の連結基である。
R1a〜R13aとしては、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、シリル基、ウレイド基、−W−Y(ここで、Yは、水酸基で置換された鎖状又は環状アルキル基であり、Wは、単結合または2価の連結基である)が好ましい。
R1a〜R13aとしては、水素原子又はハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基が、より好ましい。
また、R1a〜R13aのうちの隣接する2つが、共同して環を形成することもできる。この環は、例えば、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、又は複素環である。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。これら環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、及びフェナジン環が挙げられる。
Zaは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、ジスルフィド基、アシル基、アルキルスルホニル基、−CH=CH−、−C≡C−、アミノカルボニルアミノ基、及びアミノスルホニルアミノ基が挙げられる。これら基は、置換基を有してもよい。この置換基としては、例えば、先にR1a〜R13aについて説明したのと同様のものが挙げられる。
Zaは、好ましくは、単結合、アルキレン基、アリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、−CH=CH−、−C≡C−、アミノカルボニルアミノ基、及びアミノスルホニルアミノ基など電子求引性を持たない置換基であり、更に好ましくは、単結合、エーテル基又はチオエーテル基であり、特に好ましくは単結合である。
Z−は、非求核性アニオンを表す。この非求核性アニオンとしては、例えば、一般式(ZI)におけるZ−として説明したものが挙げられる。
以下に、一般式(ZI−2)により表される化合物におけるカチオン部位の好ましい具体例を示す。
次に、一般式(ZI−3)により表される化合物について説明する。
一般式(ZI−3)中、
R15は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。2つのR15は、互いに結合して、環を形成していてもよい。
X2は、−CR21=CR22−、−NR23−、−S−又は−O−を表す。ここで、R21及びR22は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。R23は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール又はアシル基を表す。
Rは、n1≧2の場合には各々独立に、置換基を表す。Rにより表される置換基としては、例えば、一般式(ZI−3)の好ましい態様として以下に説明する一般式(ZI−3−1)〜(ZI−3−3)における対応する基を挙げることができる。
nは0〜3の整数を表す。
n1は0〜11の整数を表す。
R15及びR21〜R23におけるアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。
なお、置換基を有するアルキル基として、特には、直鎖又は分岐アルキル基にシクロアルキル基が置換した基(例えば、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、カンファー残基など)を挙げることができる。
R15及びR21〜R23におけるシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子を有していてもよい。
R15及びR21〜R23におけるアリール基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基である。
これらの各基は更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜14)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜10)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜14)、などが挙げられる。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造、及びアミノアシル基については、置換基として、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)を更に有していてもよい。
2つのR
15が互いに結合して形成してもよい環としては、例えば、一般式(ZI-3)に示された−S
+と共に形成する環構造が挙げられ、硫黄原子を1個含む5員環、又はそれを含む縮環が好ましい。縮環の場合、硫黄原子を1個と炭素原子を18個以下含むものが好ましく、より好ましくは下記一般式(IV−1)〜(IV−3)で表される環構造である。
式中、*は結合手を表す。Rは任意の置換基を表し、例えばR15及びR21〜R23における各基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。nは0〜4の整数を表す。n2は0〜3の整数を表す。
一般式(ZI−3)で表される化合物は、下記一般式(ZI−3−1)〜(ZI−3−3)の何れかにより表されることが好ましい。
まず、一般式(ZI−3−1)により表される化合物について説明する。
一般式(ZI−3−1)中、
R13は水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
R14は、r≧2の場合には各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、水酸基、又は単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。
R15は、各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。
lは0〜2の整数を表す。rは0〜8の整数を表す。
一般式(ZI−3−1)において、R13、R14及びR15のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等がより好ましい。
R13、R14及びR15のシクロアルキル基としては、単環でも多環でもよく、炭素数3〜12のものが好ましく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデカニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクタジエニル基、ビシクロヘプチル(ノルボルニル)基、アダマンチル基等があげられ、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基がより好ましい。
R13及びR14のアルコキシ基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等を挙げることができる。これらのアルコキシ基のうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が好ましい。
R13及びR14のアルコキシカルボニル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数2〜11のものが好ましく、例えばR13、R14及びR15におけるアルキル基がカルボニル基に置換したものが挙げられ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。これらのアルコキシカルボニル基のうち、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等がより好ましい。
R13及びR14の単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基としては、例えば、単環もしくは多環のシクロアルキルオキシ基、及び、単環もしくは多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基が挙げられる。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
R13及びR14の単環若しくは多環のシクロアルキルオキシ基としては、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましく、また、単環のシクロアルキル骨格を有することが好ましい。総炭素数7以上の単環のシクロアルキルオキシ基とは、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロドデカニルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基に、任意にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、iso−アミル基等のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する単環のシクロアルキルオキシ基であって、該シクロアルキル基上の任意の置換基と合わせた総炭素数が7以上のものを表す。
また、総炭素数が7以上の多環のシクロアルキルオキシ基としては、ノルボルニルオキシ基、トリシクロデカニルオキシ基、テトラシクロデカニルオキシ基、及びアダマンタンチルオキシ基等が挙げられる。
R13及びR14の単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基としては、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましく、また、単環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基であることが好ましい。総炭素数7以上の、単環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、iso−アミルオキシ等のアルコキシ基に上述の置換基を有していてもよい単環シクロアルキル基が置換したものであり、置換基も含めた総炭素数が7以上のものを表す。たとえば、シクロヘキシルメトキシ基、シクロペンチルエトキシ基、シクロヘキシルエトキシ基等が挙げられ、シクロヘキシルメトキシ基が好ましい。
また、総炭素数が7以上の多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基としては、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基、トリシクロデカニルメトキシ基、トリシクロデカニルエトキシ基、テトラシクロデカニルメトキシ基、テトラシクロデカニルエトキシ基、アダマンタンチルメトキシ基、アダマンタンチルエトキシ基等が挙げられ、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基等が好ましい。
R14のアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基としては、直鎖状、分岐状又は環状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えばR13、R14及びR15におけるアルキル基がスルホニル基に置換したものが挙げられ、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基、n−ペンタンスルホニル基、ネオペンタンスルホニル基、n−ヘキサンスルホニル基、n−ヘプタンスルホニル基、n−オクタンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基n−ノナンスルホニル基、n−デカンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等を挙げることができる。これらのアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基のうちメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等がより好ましい。
lとしては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。rとしては、0〜2が好ましい。
前記、R13、R14、R15の各基は、更に置換基を有していてもよく、有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、iso−アミル基等のアルキル基、シクロアルキル基(単環でも多環でもよく、好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは炭素数5〜8のもの)、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基等の置換基を挙げることができる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基等を挙げることができる。
前記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
2つのR15が互いに結合して形成してもよい環構造としては、2つの2価のR15が一般式(ZI−3−1)中の硫黄原子と共に5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)が挙げられ、アリール基または脂肪族炭化水素環基と縮環していてもよい。この2価のR15は置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
一般式(ZI−3−1)におけるR15としては、メチル基、エチル基、ナフチル基、2個のR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基等が好ましい。
R13のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、R14のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基は、上記のように置換されていてもよく、置換基としては、水酸基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)が好ましい。
Z-は、非求核性アニオンを表す。この非求核性アニオンとしては、例えば、一般式(ZI)におけるZ-として説明したものが挙げられる。
以下に、一般式(ZI−3−1)により表される化合物におけるカチオン部位の好ましい具体例を示す。
次に、一般式(ZI−3−2)により表される化合物について説明する。
一般式(ZI−3−2)中、X1−2は、酸素原子、硫黄原子、又は−NRa1−基を表し、Ra1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアシル基を表す。
Ra2及びRa3は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。Ra2及びRa3は、互いに結合して環を形成してもよい。
Ra4は、m≧2の場合には各々独立に、1価の基を表す。
mは、0〜5の整数を表す。
Ra1〜Ra3のアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
Ra1〜Ra3のシクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を挙げることができる。
Ra1〜Ra3のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
Ra1のアシル基は、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
Ra2及びRa3が互いに結合して形成してもよい環構造としては、一般式(ZI−3−2)中の硫黄原子と共に5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(例えばテトラヒドロチオフェン環)を形成する基が好ましく、酸素原子を含んでいてもよく、具体的には一般式(ZI−1)中のR15同士が連結して形成しても良い環と同様のものが挙げられる。
Ra4の1価の基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、アリール基(好ましくは炭素数6〜10)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシロキシ基(好ましくは炭素数2〜20)、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基等を挙げることができる。
Ra1としてはアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
Ra2及びRa3は互いに連結して5〜6員環を構成していることがより好ましい。
Ra1〜Ra4における各基は更に置換基を有していてもよく、有していても良い更なる置換基としては、一般式(ZI−3−1)におけるR13〜R15の各基が有していても良い更なる置換基と同様のものが挙げられる。
Z-は、非求核性アニオンを表す。この非求核性アニオンとしては、例えば、一般式(ZI)におけるZ-として説明したものが挙げられる。
以下に、一般式(ZI−3−2)で表される化合物におけるカチオン部位の好ましい具体例を示す。
続いて、一般式(ZI−3−3)により表される化合物について説明する。
一般式(ZI−3−3)中、
R41〜R43は、各々独立に、アルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基又はヒドロキシアルキル基を表す。
R41〜R43としてのアルキル基及びアルコキシ基は、式(ZI−3−1)中、R13〜R15と同様のものが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基の1つ又は複数の水素原子がヒドロキシ基によって置換された基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
n1は0〜3の整数であり、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
n2は0〜3の整数であり、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n3は0〜2の整数であり、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
R41〜R43における各基は更に置換基を有していてもよく、有していても良い更なる置換基としては、一般式(ZI−3−1)におけるR13〜R15の各基が有していても良い更なる置換基と同様のものが挙げられる。
Z-は、非求核性アニオンを表す。この非求核性アニオンとしては、例えば、一般式(ZI)におけるZ-として説明したものが挙げられる。
以下に、一般式(ZI−3−3)により表される化合物におけるカチオン部位の好ましい具体例を示す。
次いで、一般式(ZI−4)により表される化合物について説明する。
一般式(ZI−4)中、
Mは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はベンジル基を表す。
R1c及びR2cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
M、R1c及びR2cの少なくとも2つは、互いに結合して、環構造を形成していてもよく、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又は炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又はアルケニル基を表す。RxとRyとは、互いに結合して、環構造を形成していてもよく、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合又は炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい。
Mとしてのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、炭素数が1〜12であることがより好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基を挙げることができる。
Mとしてのシクロアルキル基は、炭素数が3〜12のものであることが好ましい。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基などを挙げることができる。
Mとしてのアリール基は、炭素数が5〜15であることが好ましい。このようなアリール基としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
Mとしての各基は、置換基として、シクロアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子、フェニルチオ基等を有していてもよい。Mとしてのシクロアルキル基及びアリール基は、置換基として、アルキル基を有していてもよい。これら置換基の炭素数は、15以下であることが好ましい。
Mがフェニル基である場合、置換基として、少なくとも1つのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、又はフェニルチオ基を有することが好ましい。また、この場合、置換基の炭素数の和が2〜15であることが更に好ましい。このような構成を採用すると、光酸発生剤の溶剤への溶解性が向上し、保存時におけるパーティクルの発生を更に抑制することが可能となる。
R1c及びR2cとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができる。
また、R1c及びR2cとしてのシクロアルキル基としては、単環型あるいは多環型のいずれであってもよく、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
R1c及びR2cとしてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R1c及びR2cとしてのアリール基としては、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、フェニル基及びナフチル基を挙げることができる。
R1c及びR2cとしてのアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基が挙げられる。
上述したように、M、R1c及びR2cのうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。この環としては、好ましくは3〜12員環、より好ましくは3〜10員環、更に好ましくは3〜6員環が挙げられる。この環は、炭素−炭素二重結合を備えていてもよい。
R1cとR2cとが結合して環を形成する場合に、R1cとR2cとが結合して形成する基としては、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができる。また、R1cとR2cとが結合して形成する環は、環内に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
Rx及びRyとしてのアルキル基及びシクロアルキル基としては、R1c〜R2cにおける各々と同様のものが挙げられ、例えば、2−オキソアルキル基又は2−オキソシクロアルキル基(即ち、アルキル基又はシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基)であってもよい。
Rx及びRyとしてのアルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基が挙げられる。
Rx及びRyとしてのアルケニル基としては、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及びシクロへキセニル基等を挙げることができる。アルケニル基は、単環若しくは多環のシクロアルキル基で置換されていても良い。
RxとRyとが結合して環を形成する場合、RxとRyとが結合して形成する基としては、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができる。また、RxとRyとが結合して形成する環は、環内に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。Rx及びRyが互いに結合して形成してもよい環構造としては、一般式(ZI-4)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)が挙げられる。
Rx及びRyとしての各基は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、及びアリールチオ基が挙げられる。
Rx及びRyとしては、アルキル基、シクロアルキル基、又はRxとRyとが結合して形成するアルキレン基が好ましく、炭素数4個以上のアルキル基、炭素数6個以上のシクロアルキル基、又は、RxとRyとが結合して形成する炭素数2〜10のアルキレン基がより好ましく、炭素数4個以上のアルキル基、RxとRyとが結合して形成する炭素数4〜8のアルキレン基が特に好ましい。
Z-は、非求核性アニオンを表す。この非求核性アニオンとしては、例えば、一般式(ZI)におけるZ-として説明したものが挙げられる。
以下に、一般式(ZI−4)により表される化合物におけるカチオン部位の好ましい具体例を示す。
光酸発生剤は、発生する酸のpKaが−1以下であることが好ましい。このような光酸発生剤を用いると、組成物の感度を更に向上させることができる。光酸発生剤としては、pKa≦−1であるフッ化置換アルカンスルホン酸、フッ化置換ベンゼンスルホン酸又はフッ化置換イミド酸を発生する化合物を用いることが特に好ましい。
一般式(ZI−2)〜(ZI−4)で表される光酸発生剤のうち、一般式(ZI−3)および(ZI−4)が特に好ましい。
一般式(ZI−2)〜(ZI−4)で表される化合物の代表的な具体例について、各々のモル吸光係数εを以下に示す。
これらモル吸光係数εは、以下のようにして求めた値である。まず、光酸発生剤をアセトニトリル溶媒に溶解させた測定溶液を準備する。そして、この測定溶液を1cm角のセルに移し、25℃において、UVスペクトルを測定する。このようにして、波長193nmにおける吸光度(A)を得る。そして、この吸光度(A)と測定溶液の濃度(c)とから、ランベルト−ベールの式に従って、モル吸光係数εを算出する。
なお、上述した通り、本発明の組成物では、モル吸光係数εが55000より大きい光酸発生剤を併用してもよい。このような光酸発生剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
以下に、モル吸光係数εが55000以下の光酸発生剤の具体例を示す。
モル吸光係数εが55000以下の酸発生剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、前述した通り、モル吸光係数εが55000より大きい光酸発生剤を併用しても構わない。
モル吸光係数εが55000を超える光酸発生剤としては、公知のものであれば特に限定されないが、例えば、トリアリールスルホニウム塩を挙げることができる。特に好ましい例を以下に挙げる。
本発明における組成物において、全光酸発生剤の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜45質量%、更に好ましくは7〜40質量%、最も好ましくは10〜40質量%である。
ここで、モル吸光係数εが55000以下である光酸発生剤の含有量は、組成物の全固形分を基準として、10質量%以上であることが好ましく、10質量%乃至35質量%であることがより好ましく、15質量%乃至30質量%であることが更に好ましい。こうすると、例えば、ラフネス特性及び露光ラチチュードを更に良化させることが可能となる。
<その他の成分>
本発明に係る組成物は、疎水性樹脂、溶剤、塩基性化合物、界面活性剤、カルボン酸オニウム塩、溶解阻止化合物、及び/又は、その他の添加剤を更に含んでいてもよい。
(疎水性樹脂)
疎水性樹脂は、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有している。
疎水性樹脂に於けるフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかは、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、下記一般式(F2)〜(F4)のいずれかで表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
一般式(F2)〜(F4)中、
R57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基(直鎖若しくは分岐)を表す。但し、R57〜R61の少なくとも1つ、R62〜R64の少なくとも1つ及びR65〜R68の少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。
R57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。R62、R63及びR68は、フルオロアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。R62及びR63がパーフルオロアルキル基であるとき、R64は水素原子であることが好ましい。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(F2)で表される基の具体例としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
一般式(F3)で表される基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)で表される基の具体例としては、例えば、−C(CF3)2OH、−C(C2F5)2OH、−C(CF3)(CH3)OH、−CH(CF3)OH等が挙げられ、−C(CF3)2OHが好ましい。
フッ素原子を含む部分構造は、主鎖に直接結合しても良く、さらに、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びウレイレン結合よりなる群から選択される基、あるいはこれらの2つ以上を組み合わせた基を介して主鎖に結合しても良い。
フッ素原子を有する好適な繰り返し単位としては、以下に示すものが挙げられる。
式中、R10及びR11は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる。
W3〜W6は、各々独立に、少なくとも1つ以上のフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には前記(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
また、疎水性樹脂は、これら以外にも、フッ素原子を有する繰り返し単位として下記に示すような単位を有していてもよい。
式中、R4〜R7は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基であり、置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基としては特にフッ素化アルキル基を挙げることができる。
ただし、R4〜R7の少なくとも1つはフッ素原子を表す。R4とR5若しくはR6とR7は環を形成していてもよい。
W2は、少なくとも1つのフッ素原子を含有する有機基を表す。具体的には前記(F2)〜(F4)の原子団が挙げられる。
L2は、単結合、あるいは2価の連結基を示す。2価の連結基としては、置換又は無置換のアリーレン基、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のシクロアルキレン基、−O−、−SO2−、−CO−、−N(R)−(式中、Rは水素原子又はアルキルを表す)、−NHSO2−又はこれらの複数を組み合わせた2価の連結基を示す。
Qは脂環式構造を表す。脂環式構造は置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよく、多環型の場合は有橋式であってもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンチル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。Qとして特に好ましくはノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基等を挙げることができる。
疎水性樹脂は、珪素原子を含有してもよい。
珪素原子を有する部分構造として、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、又は環状シロキサン構造を有することが好ましい。
アルキルシリル構造、又は環状シロキサン構造としては、具体的には、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基などが挙げられる。
一般式(CS−1)〜(CS−3)に於いて、
R12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)を表す。
L3〜L5は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、フェニレン基、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又はウレイレン結合よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
フッ素原子又は珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位は(メタ)アクリレート系繰り返し単位であることが好ましい。
以下、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、X
1は、水素原子、−CH
3、−F又は−CF
3を表し、X
2は、−F又は−CF
3を表す。
疎水性樹脂は、下記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b)を有することが好ましい。
(x)アルカリ可溶基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(極性変換基)
(z)酸の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基
繰り返し単位(b)としては、以下の類型が挙げられる。
・1つの側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかと、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b’)
・上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有し、かつ、フッ素原子及び珪素原子を有さない繰り返し単位(b*)
・1つの側鎖上に上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有し、かつ、同一繰り返し単位内の前記側鎖と異なる側鎖上に、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(b”)
疎水性樹脂は、繰り返し単位(b)として繰り返し単位(b’)を有することがより好ましい。すなわち、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有することがより好ましい。
なお、疎水性樹脂が、繰り返し単位(b*)を有する場合、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位(前記繰り返し単位(b’)、(b”)とは異なる繰り返し単位)とのコポリマーであることが好ましい。また、繰り返し単位(b”)における、下記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する側鎖とフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する側鎖とは、主鎖中の同一の炭素原子に結合している、すなわち下記式(K1)のような位置関係にあることが好ましい。
式中、B1は上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する部分構造、B2はフッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する部分構造を表す。
上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる基は、好ましくは、(x)アルカリ可溶基又は(y)極性変換基であり、(y)極性変換基であることがより好ましい。
アルカリ可溶性基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(カルボニル)メチレン基が挙げられる。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位などが挙げられ、さらにはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入することもでき、いずれの場合も好ましい。
繰り返し単位(bx)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である場合(すなわち、前記繰り返し単位(b’)又は(b”)に相当する場合)、繰り返し単位(bx)におけるフッ素原子を有する部分構造としては、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは、前記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。またこの場合、繰り返し単位(bx)における珪素原子を有する部分構造は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは前記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜50mol%が好ましく、より好ましくは3〜35mol%、更に好ましくは5〜20mol%である。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位(bx)の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、具体例中、X
1は、水素原子、−CH
3、−F又は−CF
3を表す。
極性変換基(y)としては、例えば、ラクトン基、カルボン酸エステル基(−COO−)、酸無水物基(−C(O)OC(O)−)、酸イミド基(−NHCONH−)、カルボン酸チオエステル基(−COS−)、炭酸エステル基(−OC(O)O−)、硫酸エステル基(−OSO2O−)、スルホン酸エステル基(−SO2O−)などが挙げられ、好ましくはラクトン基である。
極性変換基(y)は、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルによる繰り返し単位中に含まれることにより、樹脂の側鎖に導入される形態、あるいは極性変換基(y)を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入される形態のいずれも好ましい。
極性変換基(y)を有する繰り返し単位(by)の具体例としては、後述の式(KA−1−1)〜(KA−1−17)で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を挙げることができる。
更に、極性変換基(y)を有する繰り返し単位(by)は、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である(すなわち、前記繰り返し単位(b’)、(b”)に相当する)ことが好ましい。該繰り返し単位(by)を有する樹脂は疎水性を有するものであるが、特に現像欠陥の低減の点で好ましい。
繰り返し単位(by)として、例えば、式(K0)で示される繰り返し単位を挙げることができる。
式中、Rk1は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を含む基を表す。
Rk2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は極性変換基を含む基を表す。
但し、Rk1、Rk2の少なくとも一方は、極性変換基を含む基を表す。
極性変換基とは、上述したようにアルカリ現像像液の作用により分解しアルカリ現像液中での溶解度が増大する基を表す。極性変換基としては、一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造におけるXで表される基であることが好ましい。
一般式(KA−1)又は(KB−1)におけるXは、カルボン酸エステル基:−COO−、酸無水物基:−C(O)OC(O)−、酸イミド基:−NHCONH−、カルボン酸チオエステル基:−COS−、炭酸エステル基:−OC(O)O−、硫酸エステル基:−OSO2O−、又は、スルホン酸エステル基:−SO2O−を表す。
Y1及びY2は、それぞれ同一でも異なっても良く、電子求引性基を表す。
なお、繰り返し単位(by)は、一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造を有する基を有することで、好ましいアルカリ現像液中での溶解度が増大する基を有するが、一般式(KA−1)で表される部分構造、Y1及びY2が1価である場合の(KB−1)で表される部分構造の場合のように、該部分構造が結合手を有しない場合は、該部分構造を有する基とは、該部分構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
一般式(KA−1)又は(KB−1)で表される部分構造は、任意の位置で置換基を介して疎水性樹脂の主鎖に連結している。
一般式(KA−1)で表される部分構造は、Xとしての基とともに環構造を形成する構造である。
一般式(KA−1)におけるXとして好ましくは、カルボン酸エステル基(即ち、KA−1としてラクトン環構造を形成する場合)、及び酸無水物基、炭酸エステル基である。より好ましくはカルボン酸エステル基である。
一般式(KA−1)で表される環構造は、置換基を有していてもよく、例えば、置換基Zka1をnka個有していてもよい。
Zka1は、複数ある場合はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基、ラクトン環基、又は電子求引性基を表す。
Zka1同士が連結して環を形成しても良い。Zka1同士が連結して形成する環としては、例えば、シクロアルキル環、ヘテロ環(環状エーテル環、ラクトン環など)が挙げられる。
nkaは0〜10の整数を表す。好ましくは0〜8の整数、より好ましくは0〜5の整数、さらに好ましくは1〜4の整数、最も好ましくは1〜3の整数である。
Zka1としての電子求引性基は、後述のY1及びY2としての電子求引性基と同様である。なお、上記電子求引性基は、別の電子求引性基で置換されていてもよい。
Zka1は好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシル基、又は電子求引性基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又は電子求引性基である。なお、エーテル基としては、アルキル基又はシクロアルキル基等で置換されたもの、すなわち、アルキルエーテル基等が好ましい。電子求引性基は前記と同義である。
Zka1としてのハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Zka1としてのアルキル基は置換基を有していてもよく、直鎖、分岐のいずれでもよい。直鎖アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜30、さらに好ましくは1〜20であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。分岐アルキル基としては、好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは3〜20であり、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、i−ヘプチル基、t−ヘプチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、i−ノニル基、t−デカノイル基等が挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Z
ka1としてのシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、単環型でもよく、多環型でもよい。多環型の場合、シクロアルキル基は有橋式であってもよい。即ち、この場合、シクロアルキル基は橋かけ構造を有していてもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基が挙げられる。シクロアルキル基としては下記構造も好ましい。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
上記脂環部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基、トリシクロデカニル基である。
これらの脂環式構造の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を表す。上記アルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。アルキル基及びアルコキシ基が有してもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)等を挙げることができる。
また、上記基は更に置換基を有していてもよく、更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基、フエネチル基、クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基、バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基等を挙げることができる。
一般式(KA−1)におけるXがカルボン酸エステル基であり、一般式(KA−1)が示す部分構造がラクトン環であることが好ましく、5〜7員環ラクトン環であることが好ましい。
なお、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)におけるように、一般式(KA−1)で表される部分構造としての5〜7員環ラクトン環に、ビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環していることが好ましい。
一般式(KA−1)で表される環構造が結合してもよい周辺の環構造については、例えば、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)におけるもの、又はこれに準じたものを挙げることができる。
一般式(KA−1)が示すラクトン環構造を含有する構造として、下記(KA−1−1)〜(KA−1−17)のいずれかで表される構造がより好ましい。なお、ラクトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましい構造としては、(KA−1−1)、(KA−1−4)、(KA−1−5)、(KA−1−6)、(KA−1−13)、(KA−1−14)、(KA−1−17)である。
上記ラクトン環構造を含有する構造は、置換基を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基としては、上記一般式(KA−1)が示す環構造が有してもよい置換基Zka1と同様のものが挙げられる。
一般式(KB−1)のXとして好ましくは、カルボン酸エステル基(−COO−)を挙げることができる。
一般式(KB−1)におけるY1及びY2は、それぞれ独立に、電子求引性基を表す。
電子求引性基は、下記式(EW)で示す部分構造である。式(EW)における*は(KA−1)に直結している結合手、又は(KB−1)中のXに直結している結合手を表す。
式(EW)中、
n
ewは−C(R
ew1)(R
ew2)−で表される連結基の繰り返し数であり、0又は1の整数を表す。n
ewが0の場合は単結合を表し、直接Y
ew1が結合していることを示す。
Y
ew1は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、−C(R
f1)(R
f2)−R
f3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、及びこれらの組み合わせをあげることができ、電子求引性基は例えば下記構造であってもよい。なお、「ハロ(シクロ)アルキル基」とは、少なくとも一部がハロゲン化したアルキル基及びシクロアルキル基を表し、「ハロアリール基」とは、少なくとも一部がハロゲン化したアリール基を表す。下記構造式において、R
ew3、R
ew4は、各々独立して任意の構造を表す。R
ew3、R
ew4はどのような構造でも式(EW)で表される部分構造は電子求引性を有し、例えば樹脂の主鎖に連結していてもよいが、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、フッ化アルキル基である。
Yew1が2価以上の基である場合、残る結合手は、任意の原子又は置換基との結合を形成するものである。Yew1、Rew1、Rew2の少なくとも何れかの基が更なる置換基を介して疎水性樹脂の主鎖に連結していてもよい。
Yew1は、好ましくはハロゲン原子、又は、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
Rew1、Rew2は、各々独立して任意の置換基を表し、例えば水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Rew1、Rew2及びYew1の少なくとも2つが互いに連結して環を形成していてもよい。
ここでRf1はハロゲン原子、パーハロアルキル基、パーハロシクロアルキル基、又はパーハロアリール基を表し、より好ましくはフッ素原子、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロシクロアルキル基、更に好ましくはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
Rf2、Rf3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子又は有機基を表し、Rf2とRf3とが連結して環を形成してもよい。有機基としては例えばアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等を表す。Rf2はRf1と同様の基を表すか、又はRf3と連結して環を形成していることがより好ましい。
Rf1〜Rf3とは連結して環を形成してもよく、形成する環としては、(ハロ)シクロアルキル環、(ハロ)アリール環等が挙げられる。
Rf1〜Rf3における(ハロ)アルキル基としては、例えば前述したZka1におけるアルキル基、及びこれがハロゲン化した構造が挙げられる。
Rf1〜Rf3における、又は、Rf2とRf3とが連結して形成する環における(パー)ハロシクロアルキル基及び(パー)ハロアリール基としては、例えば前述したZka1におけるシクロアルキル基がハロゲン化した構造、より好ましくは−C(n)F(2n−2)Hで表されるフルオロシクロアルキル基、及び、−C(n)F(n−1)で表されるパーフルオロアリール基が挙げられる。ここで炭素数nは特に限定されないが、5〜13のものが好ましく、6がより好ましい。
Rew1、Rew2及びYew1の少なくとも2つが互いに連結して形成してもよい環としては、好ましくはシクロアルキル基又はヘテロ環基が挙げられ、ヘテロ環基としてはラクトン環基が好ましい。ラクトン環としては、例えば上記式(KA−1−1)〜(KA−1−17)で表される構造が挙げられる。
なお、繰り返し単位(by)中に、一般式(KA−1)で表される部分構造を複数、あるいは、一般式(KB−1)で表される部分構造を複数、あるいは、一般式(KA−1)で表される部分構造と一般式(KB−1)で表される部分構造の両方を有していてもよい。
なお、一般式(KA−1)の部分構造の一部又は全部が、一般式(KB−1)におけるY1又はY2としての電子求引性基を兼ねてもよい。例えば、一般式(KA−1)のXがカルボン酸エステル基である場合、そのカルボン酸エステル基は一般式(KB−1)におけるY1又はY2としての電子求引性基として機能することもあり得る。
また、繰り返し単位(by)が、上記繰り返し単位(b*)又は繰り返し単位(b”)に該当し、かつ、一般式(KA−1)で表される部分構造を有する場合、一般式(KA−1)で表される部分構造は、極性変換基が、一般式(KA−1)で示す構造における−COO−で表される部分構造であることがより好ましい。
繰り返し単位(by)は、以下に示す部分構造を有する繰り返し単位でありえる。
一般式(bb)において、
Z1は、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、複数存在する場合、互いに同じでも異なっていても良い。Z1は、好ましくはエステル結合を表す。
Z2は、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、複数存在する場合、互いに同じでも異なっていても良い。Z2は、好ましくは、炭素数1若しくは2のアルキレン基又は炭素数5〜10のシクロアルキレン基を表す。
Taは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基又は電子求引性基(前記一般式(KB−1)におけるY1及びY2としての電子求引性基と同義である)を表し、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、電子求引性基を表し、更に好ましくは電子求引性基を表す。Taが複数個ある場合には、Ta同士が結合して、環を形成しても良い。
L0は、単結合又はm+1価の炭化水素基(好ましくは炭素数20以下)を表し、好ましくは単結合を表す。L0としての単結合は、mが1の場合である。L0としてのm+1価の炭化水素基は、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基、又は、これらの組み合わせから、任意の水素原子をm−1個除いたm+1価の炭化水素基を表す。
Lは、それぞれ独立に、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はエーテル基を表す。
Tcは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基又は電子求引性基(前記一般式(KB−1)におけるY1及びY2としての電子求引性基と同義である)を表す。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。すなわち、式(bb)で表される部分構造が主鎖に直結していてもよいし、樹脂の側鎖に、式(bb)で表される部分構造が結合していてもよい。なお、主鎖への結合手とは、主鎖を構成する結合中に存在する原子への結合手であり、側鎖への結合手とは、主鎖を構成する結合中以外に存在する原子への結合手である。
mは、1〜28の整数を表し、好ましくは1〜3の整数であり、更に好ましくは1である。
kは、0〜2の整数を表し、好ましくは1である。
qは、基(Z2−Z1)の繰り返し数を示し、0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2である。
rは、0〜5の整数を表す。
なお、−(L)r−Tcの代わりに、前記−L0−(Ta)mが置換していてもよい。
一般式(bb)により表されるラクトン構造のうち上記*から最も離れた位置(介在する原子数が最大である位置)にフッ素原子又はフッ素原子を含んだ基が置換している場合、又は、同一繰り返し単位内の一般式(bb)により表されるラクトン側の側鎖と異なる側鎖上にフッ素原子を有する場合(上記した繰り返し単位(b”)に該当)も好ましい。
Z2としてのアルキレン基は、直鎖アルキレン基の場合は好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは1〜20であり、分岐アルキレン基の場合は好ましくは炭素数3〜30、更に好ましくは3〜20である。R2としてのアルキレン基の具体例としては、上記したZka1としてのアルキル基の具体例から任意の水素原子を1個除いた基を挙げることができる。
Z2としてのシクロアルキレン基は、好ましくは炭素数3〜8であり、その具体例としては、上記したZka1としてのシクロアルキル基から任意の水素原子を1個除いた基を挙げることができる。
Ta及びTcとしてのアルキル基及びシクロアルキル基における好ましい炭素数、及び、具体例は、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基において記載したものと同様である。
Taとしてのアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜8であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。
Ta及びTcとしてのアリール基としては、好ましくは炭素数6〜12のアリール基、例えば、フェニル基及びナフチル基を挙げることができる。
L0としてのアルキレン基、シクロアルキレン基の好ましい炭素数及びその具体例は、Z2としての鎖状アルキレン基及び環状アルキレン基で説明したものと同様である。
繰り返し単位(bb)の更に具体的な構造として、以下に示す部分構造を有する繰り返し単位が好ましい。
一般式(ba−2)及び(bb−2)において、
nは、0〜11の整数を表し、好ましくは0〜5の整数、より好ましくは1又は2を表す。
pは、0〜5の整数を表し、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは1又は2を表す。
Tbは、独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基、ヒドロキシル基、アミド基、アリール基又は電子求引性基(前記一般式(KB−1)におけるY1及びY2としての電子求引性基と同義である)を表し、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、電子求引性基を表す。Tbが複数個ある場合には、Tb同士が結合して、環を形成しても良い。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。すなわち、式(ba−2)又は(bb−2)で表される部分構造が主鎖に直結していてもよいし、樹脂の側鎖に、式(ba−2)又は(bb−2)で表される部分構造が結合していてもよい。
Z1、Z2、Ta、Tc、L、*、m、q、rは、一般式(bb)におけるものと同意であり、好ましいものも同様である。
繰り返し単位(by)は、一般式(KY−0)で表わされる部分構造を有する繰り返し単位でありえる。
一般式(KY−0)に於いて、
R2は、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
R3は、構成炭素上の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換され、直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示す。
R4は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミド基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はR−C(=O)−若しくはR−C(=O)O−で表される基(Rは、アルキル基若しくはシクロアルキル基を表す。)を表す。R4が複数個ある場合は、同じでも異なっていてもよく、また、2つ以上のR4が結合し、環を形成していても良い。
Xは、アルキレン基、シクロアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Z、Zaは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表し、複数ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。
oは、置換基数であって、1〜7の整数を表す。
mは、置換基数であって、0〜7の整数を表す。
nは、繰り返し数を表し、0〜5の整数を表す。
−R2−Z−の構造として好ましくは、−(CH2)l−COO−で表される構造が好ましい(lは1〜5の整数を表す)。
R2としてのアルキレン基又はシクロアルキレン基の好ましい炭素数範囲及び具体例は、一般式(bb)のZ2におけるアルキレン基又はシクロアルキレン基で説明したものと同様である。
R3としての直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基の炭素数は、直鎖状の場合、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20であり、分岐状の場合、好ましくは3〜30、更に好ましくは3〜20であり、環状の場合、6〜20である。R3の具体例としては、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基の具体例を挙げることができる。
R4及びRとしてのアルキル基及びシクロアルキル基における好ましい炭素数、及び、具体例は、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基において記載したものと同様である。
R4としてのアシル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基などを挙げることができる。
R4としてのアルコキシ基及びアルコキシカルボニル基におけるアルキル部位としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル部位を挙げることができ、アルキル部位の好ましい炭素数、及び、具体例は、上記したZka1としてのアルキル基及びシクロアルキル基において記載したものと同様である。
Xとしてのアルキレン基又はシクロアルキレン基の好ましい炭素数及びその具体例は、R2としてのアルキレン基又はシクロアルキレン基について説明したものと同様である。
また、繰り返し単位(by)の具体的な構造として、以下に示す部分構造を有する繰り返し単位も挙げられる。
一般式(rf−1)及び(rf−2)中、
X´は、電子求引性の置換基を表し、好ましくは、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、フッ素原子で置換されたアルキレン基、フッ素原子で置換されたシクロアルキレン基である。
Aは、単結合又は−C(Rx)(Ry)−で表される2価の連結基を表す。ここで、Rx、Ryは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6で、フッ素原子等で置換されていてもよい)、又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜12で、フッ素原子等で置換されていてもよい)を表す。Rx,Ryとして好ましくは、水素原子、アルキル基、フッ素原子で置換されたアルキル基である。
Xは、電子求引性基を表し、その具体例としては、前述のY1及びY2としての電子求引性基を挙げることができ、好ましくは、フッ化アルキル基、フッ化シクロアルキル基、フッ素又はフッ化アルキル基で置換されたアリール基、フッ素又はフッ化アルキル基で置換されたアラルキル基、シアノ基、ニトロ基である。
*は、樹脂の主鎖又は側鎖への結合手を表す。即ち、単結合あるいは連結基を通じて樹脂の主鎖に結合する結合手を表す。
なお、X´がカルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基であるとき、Aは単結合ではない。
極性変換基がアルカリ現像液の作用により分解し極性変換がなされることによって、アルカリ現像後の樹脂組成物膜の水との後退接触角を下げることが出来る。アルカリ現像後における膜の水との後退接触角が下がることは、現像欠陥の抑制の観点から好ましい。
アルカリ現像後の樹脂組成物膜の水との後退接触角は、温度23±3℃、湿度45±5%において50°以下であることが好ましく、より好ましくは40°以下、さらに好ましくは35°以下、最も好ましくは30°以下である。
後退接触角とは、液滴−基板界面での接触線が後退する際に測定される接触角であり、動的な状態での液滴の移動しやすさをシミュレートする際に有用であることが一般に知られている。簡易的には、針先端から吐出した液滴を基板上に着滴させた後、その液滴を再び針へと吸い込んだときの、液滴の界面が後退するときの接触角として定義でき、一般に拡張収縮法と呼ばれる接触角の測定方法を用いて測定することができる。
アルカリ現像後における膜の上記後退接触角は、以下に示す膜について、後掲の実施例に記載の拡張収縮法により測定した場合の接触角である。すなわち、シリコンウエハ(8インチ口径)上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い形成された膜厚98nmの反射防止膜上に、本発明の組成物を塗布し、120℃で60秒間ベークを行い、膜厚120nmの膜を形成する。この膜をテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥して得られる膜についての、拡張収縮法による接触角である。
疎水性樹脂のアルカリ現像液に対する加水分解速度は0.001nm/秒以上であることが好ましく、0.01nm/秒以上であることがより好ましく、0.1nm/秒以上であることがさらに好ましく、1nm/秒以上であることが最も好ましい。
ここで疎水性樹脂のアルカリ現像液に対する加水分解速度は23℃のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)(2.38質量%)に対して、疎水性樹脂のみで樹脂膜を製膜した際の膜厚が減少する速度である。
また、繰り返し単位(by)は、少なくとも2つ以上の極性変換基を有する繰り返し単位であることがより好ましい。
繰り返し単位(by)が少なくとも2つの極性変換基を有する場合、下記一般式(KY−1)で示す、2つの極性変換基を有する部分構造を有する基を有することが好ましい。なお、一般式(KY−1)で表される構造が、結合手を有さない場合は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
一般式(KY−1)において、
Rky1、Rky4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。或いは、Rky1、Rky4が同一の原子と結合して二重結合を形成していてもよく、例えばRky1、Rky4が同一の酸素原子と結合してカルボニル基の一部(=O)を形成してもよい。
Rky2、Rky3はそれぞれ独立して電子求引性基であるか、又はRky1とRky2が連結してラクトン環を形成するとともにRky3が電子求引性基である。形成するラクトン環としては、前記(KA−1−1)〜(KA−1−17)の構造が好ましい。電子求引性基としては、前記式(KB−1)におけるY1、Y2と同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。好ましくはRky3がハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基であり、Rky2はRky1と連結してラクトン環を形成するか、ハロゲン原子を有さない電子求引性基である。
Rky1、Rky2、Rky4はそれぞれ互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
Rky1、Rky4は具体的には式(KA−1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
Rky1とRky2が連結して形成するラクトン環としては、前記(KA−1−1)〜(KA−1−17)の構造が好ましい。電子求引性基としては、前記式(KB−1)におけるY1、Y2と同様のものが挙げられる。
一般式(KY−1)で表される構造としては、下記一般式(KY−2)で示す構造であることがより好ましい。なお、一般式(KY−2)で表される構造は、該構造における任意の水素原子を少なくとも1つ除いた1価以上の基を有する基である。
式(KY−2)中、
Rky6〜Rky10は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。
Rky6〜Rky10は、2つ以上が互いに連結して単環又は多環構造を形成しても良い。
Rky5は電子求引性基を表す。電子求引性基は前記Y1、Y2におけるものと同様のものが挙げられ、好ましくはハロゲン原子、又は、前記−C(Rf1)(Rf2)−Rf3で表されるハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基である。
Rky5〜Rky10は具体的には式(KA−1)におけるZka1と同様の基が挙げられる。
式(KY−2)で表される構造は、下記一般式(KY−3)で示す部分構造であることがより好ましい。
式(KY−3)中、Zka1、nkaは各々前記一般式(KA−1)と同義である。Rky5は前記式(KY−2)と同義である。
Lkyはアルキレン基、シクロアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lkyのアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基等が挙げられる。Lkyは酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることがさらに好ましい。
繰り返し単位(b)は、付加重合、縮合重合、付加縮合、等、重合により得られる繰り返し単位であれば限定されるものではないが、炭素−炭素2重結合の付加重合により得られる繰り返し単位であることが好ましい。例として、アクリレート系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、スチレン系繰り返し単位(α位、β位に置換基を有する系統も含む)、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位、マレイン酸誘導体(マレイン酸無水物やその誘導体、マレイミド、等)の繰り返し単位、等を挙げることが出来、アクリレート系繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位、ビニルエーテル系繰り返し単位、ノルボルネン系繰り返し単位が好ましく、アクリレート系繰り返し単位が最も好ましい。
繰り返し単位(by)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である場合(すなわち、前記繰り返し単位(b’)又は(b”)に相当する場合)、繰り返し単位(by)におけるフッ素原子を有する部分構造としては、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは、前記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。またこの場合、繰り返し単位(by)における珪素原子を有する部分構造は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは前記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
疎水性樹脂に於ける、繰り返し単位(by)の含有率は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜100mol%が好ましく、より好ましくは20〜99mol%、更に好ましくは30〜97mol%、最も好ましくは40〜95mol%である。
アルカリ現像液中での溶解度が増大する基を有する繰り返し単位(by)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。また、上記樹脂(P)の繰り返し単位(A)及び(C)の具体例として挙げたものも、繰り返し単位(by)の具体例として挙げることができる。
Raは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
疎水性樹脂に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位(bz)は、樹脂(P)について説明した酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
繰り返し単位(bz)が、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位である場合(すなわち、前記繰り返し単位(b’)又は(b”)に相当する場合)、繰り返し単位(bz)におけるフッ素原子を有する部分構造としては、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは、前記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができる。またこの場合、繰り返し単位(by)における珪素原子を有する部分構造は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましくは前記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基を挙げることができる。
疎水性樹脂に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位(bz)の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜80mol%が好ましく、より好ましくは10〜80mol%、更に好ましくは20〜60mol%である。
以上、上記(x)〜(z)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する繰り返し単位(b)について説明したが、疎水性樹脂に於ける、繰り返し単位(b)の含有率は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜98mol%が好ましく、より好ましくは3〜98mol%、更に好ましくは5〜97mol%、最も好ましくは10〜95mol%である。
繰り返し単位(b’)の含有率は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜100mol%が好ましく、より好ましくは3〜99mol%、更に好ましくは5〜97mol%、最も好ましくは10〜95mol%である。
繰り返し単位(b*)の含有率は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜90mol%が好ましく、より好ましくは3〜80mol%、更に好ましくは5〜70mol%、最も好ましくは10〜60mol%である。繰り返し単位(b*)と共に用いられる、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位の含有率は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜99mol%が好ましく、より好ましくは20〜97mol%、更に好ましくは30〜95mol%、最も好ましくは40〜90mol%である。
繰り返し単位(b”)の含有率は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、1〜100mol%が好ましく、より好ましくは3〜99mol%、更に好ましくは5〜97mol%、最も好ましくは10〜95mol%である。
疎水性樹脂は、更に、下記一般式(III)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
一般式(III)に於いて、
Rc31は、水素原子、アルキル基、又はフッ素で置換されていても良いアルキル基、シアノ基又は−CH2−O−Rac2基を表す。式中、Rac2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Rc31は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Rc32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又はアリール基を有する基を表す。これら基はフッ素原子、珪素原子を含む基等で置換されていても良い。
Lc3は、単結合又は2価の連結基を表す。
一般式(III)に於ける、Rc32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
アリール基は、炭素数6〜20のフェニル基、ナフチル基が好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
Rc32は無置換のアルキル基又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
Lc3の2価の連結基は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、フェニレン基、エステル結合(−COO−で表される基)が好ましい。
疎水性樹脂は、更に、下記一般式(BII−AB)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
式(BII−AB)中、
Rc11’及びRc12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Zc’は、結合した2つの炭素原子(C−C)と共に脂環式構造を形成するための原子団を表す。
一般式(III)、(BII−AB)で表される繰り返し単位における各基が、フッ素原子又は珪素原子を含む基で置換されている場合、その繰り返し単位は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位にも相当する。
以下に一般式(III)、(BII−AB)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH
3、CH
2OH、CF
3又はCNを表す。なお、RaがCF
3である場合の繰り返し単位は、前記フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する繰り返し単位にも相当する。
疎水性樹脂は、樹脂(P)と同様に、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量%、0〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のないレジスト組成物が得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜3の範囲が好ましく、より好ましくは1〜2、さらに好ましくは1〜1.8、最も好ましくは1〜1.5の範囲である。
疎水性樹脂は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することもできる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。
反応溶媒、重合開始剤、反応条件(温度、濃度等)、及び、反応後の精製方法は、樹脂(P)について説明した内容と同様である。
以下に疎水性樹脂の具体例を示す。また、後掲の表に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量、分散度を示す。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを含有する疎水性樹脂を含有することにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物から形成された膜の表層に疎水性樹脂が偏在化し、液浸媒体が水の場合、水に対する該膜表面の後退接触角を向上させ、液浸水追随性を向上させることができる。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物からなる塗膜をベークした後で且つ露光前の膜の後退接触角は露光時の温度、通常室温23±3℃、湿度45±5%において60°〜90°が好ましく、より好ましくは65°以上、更に好ましくは70°以上、特に好ましくは75°以上である。
疎水性樹脂は前述のように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくても良い。
液浸露光工程に於いては、露光ヘッドが高速でウエハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウエハ上を動く必要があるので、動的な状態に於ける組成物膜に対する液浸液の接触角が重要になり、液滴が残存することなく、露光ヘッドの高速なスキャンに追随する性能が求められている。
疎水性樹脂は、疎水的であるためアルカリ現像後に現像残渣(スカム)、BLOB欠陥が悪化しやすいが、少なくとも1つの分岐部を介してポリマー鎖を3つ以上有することで直鎖型樹脂に比べ、アルカリ溶解速度が向上するため現像残渣(スカム)、BLOB欠陥性能が改善される。
疎水性樹脂がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有率は、疎水性樹脂の分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位が、疎水性樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
疎水性樹脂が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有率は、疎水性樹脂の分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂の全繰り返し単位に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。
疎水性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜50,000、更に好ましくは3,000〜30,000である。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
疎水性樹脂は1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物中の疎水性樹脂の含有率は、感活性光線又は感放射線樹脂膜の後退接触角が前記範囲になるよう適宜調整して使用できるが、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の全固形分を基準として、0.01〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%であり、特に好ましくは0.5〜8質量%である。
(溶剤)
本発明に係る組成物は、溶剤を更に含んでいてもよい。
この溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含んでいてもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルが挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル及び3−メトキシプロピオン酸エチルが挙げられる。
環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン及びα−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが挙げられる。
環を含んでいてもよいモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン、3−メチルブタノン、ピナコロン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、、4−デカノン、5−ヘキセン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘプタノン及び3−メチルシクロヘプタノンが挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、及びブチレンカーボネートが挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチルブチル、及び、酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びピルビン酸プロピルが挙げられる。
溶剤としては、常温常圧下における沸点が130℃以上であるものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、PGMEA、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル及びプロピレンカーボネートが挙げられる。
これら溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。後者の場合、水酸基を含んだ溶剤と水酸基を含んでいない溶剤との混合溶剤を使用することが好ましい。
水酸基を含んだ溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及び乳酸アルキルが挙げられる。これらのうち、プロピレングリコールモノメチルエーテル又は乳酸エチルがより好ましい。
水酸基を含んでいない溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン及び酢酸アルキルが好ましい。これらのうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート又は2−ヘプタノンが特に好ましい。
水酸基を含んだ溶剤と水酸基を含んでいない溶剤との混合溶剤を使用する場合、これらの質量比は、好ましくは1/99〜99/1とし、より好ましくは10/90〜90/10とし、更に好ましくは20/80〜60/40とする。
なお、水酸基を含んでいない溶剤を50質量%以上含んだ混合溶剤を用いると、特に優れた塗布均一性を達成し得る。また、溶剤は、PGMEAと他の1種以上の溶剤との混合溶剤であることが特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと他の少なくとも1種類の溶剤との混合溶剤であることが好ましい。
(塩基性化合物)
本発明に係る組成物は、塩基性化合物を更に含んでいてもよい。塩基性化合物としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)により表される構造を有する化合物が挙げられる。
一般式(A)及び(E)中、
R200、R201及びR202は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、又はアリール基(炭素数6〜20)を表す。R201とR202とは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
R203、R204、R205及びR206は、各々独立に、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。これらアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
好ましい塩基性化合物としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン及びピペリジンが挙げられる。更に好ましい塩基性化合物としては、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、並びに水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体が挙げられる。
イミダゾール構造を有する化合物としては、例えば、イミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール及び2−フェニルベンゾイミダゾールが挙げられる。
ジアザビシクロ構造を有する化合物としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカー7−エンが挙げられる。
オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としては、例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド及び2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシドが挙げられる。より具体的には、トリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド及び2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドが挙げられる。
オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としては、例えば、アニオンとしてカルボキシレートを備えたオニウムヒドロキシド構造を有する化合物が挙げられる。このカルボキシレートとしては、例えば、アセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート及びパーフロロアルキルカルボキシレートが挙げられる。
トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、例えば、トリ(n−ブチル)アミン及びトリ(n−オクチル)アミンが挙げられる。
アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、及びN,N−ジヘキシルアニリンが挙げられる。
水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、及びトリス(メトキシエトキシエチル)アミンが挙げられる。
水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリンが挙げられる。
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物が挙げられる。
これら化合物では、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合していることが好ましい。また、このアルキル基の鎖中に酸素原子が含まれ、オキシアルキレン基が形成されていることがより好ましい。このオキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上であることが好ましく、3〜9個であることがより好ましく、4〜6個であることが更に好ましい。これらオキシアルキレン基のうち、−CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−又は−CH2CH2CH2O−により表される基が特に好ましい。
これら化合物の具体例としては、例えば、US2007/0224539Aの[0066]に例示されている化合物(C1-1)〜(C3-3)が挙げられる。
塩基性化合物の合計量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜5質量%である。
酸発生剤の合計量の塩基性化合物の合計量に対するモル比は、好ましくは2.5〜300であり、より好ましくは5.0〜200、更に好ましくは7.0〜150である。このモル比を過度に小さくすると、感度及び/又は解像度が低下する可能性がある。このモル比を過度に大きくすると、露光と加熱(ポストベーク)との間において、パターンの太りが生ずる場合がある。
(界面活性剤)
本発明に係る組成物は、界面活性剤を更に含んでいてもよい。界面活性剤を含有することにより、波長が250nm以下、特には220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥のより少ないパターンを形成することが可能となる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301若しくはEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431若しくは4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120若しくはR08(大日本インキ化学工業(株)製);サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105若しくは106(旭硝子(株)製);トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製);GF−300若しくはGF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802若しくはEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320若しくはPF6520(OMNOVA社製);又は、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D若しくは222D((株)ネオス製)を用いてもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤は、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物を用いて合成してもよい。具体的には、このフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を備えた重合体を、界面活性剤として用いてもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することができる。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、例えば、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基及びポリ(オキシブチレン)基が挙げられる。また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)及びポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)等の、同じ鎖内に異なる鎖長のアルキレンを有するユニットであってもよい。
さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体は、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマー及び異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート等を同時に共重合してなる3元系以上の共重合体であってもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476及びF−472(大日本インキ化学工業(株)製)が挙げられる。さらに、C6F13基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C6F13基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C8F17基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、及び、C8F17基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
これら界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る組成物が界面活性剤を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0〜2質量%、より好ましくは0.0001〜2質量%、更に好ましくは0.0005〜1質量%である。
(カルボン酸オニウム塩)
本発明に係る組成物は、カルボン酸オニウム塩を更に含んでいてもよい。カルボン酸オニウム塩を含有させると、波長が220nm以下の光に対する透明性が確保され、感度及び解像力が更に向上し、疎密依存性及び露光マージンが更に改良される。
カルボン酸オニウム塩としては、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩が好ましい。そのアニオンとしては、例えば、炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐鎖アルキル又は単環式若しくは多環式シクロアルキルカルボン酸アニオンを用いることが好ましい。特には、これらアルキル基又はシクロアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたカルボン酸アニオン(以下、フッ素置換カルボン酸アニオンともいう)が好ましい。なお、アルキル又はシクロアルキル鎖中に、酸素原子を含んでいてもよい。
フッ素置換カルボン酸アニオンとしては、例えば、フロロ酢酸、ジフロロ酢酸、トリフロロ酢酸、ペンタフロロプロピオン酸、ヘプタフロロ酪酸、ノナフロロペンタン酸、パーフロロドデカン酸、パーフロロトリデカン酸、パーフロロシクロヘキサンカルボン酸、及び2,2−ビストリフロロメチルプロピオン酸のアニオンが挙げられる。
本発明に係る組成物がカルボン酸オニウム塩を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、一般的には0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは1〜7質量%である。
(溶解阻止化合物)
本発明に係る組成物は、溶解阻止化合物を更に含んでいてもよい。ここで「溶解阻止化合物」とは、酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の化合物である。
この溶解阻止化合物としては、波長が220nm以下の光に対する透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724, 355 (1996) に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体等の、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。この酸分解性基及び脂環構造としては、例えば、先に説明したのと同様のものが挙げられる。
なお、本発明に係る組成物をKrFエキシマレーザーで露光するか又は電子線で照射する場合には、溶解阻止化合物としては、フェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解基で置換した構造を含んだ化合物が好ましい。フェノール化合物としては、フェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、2〜6個含有するものが更に好ましい。
本発明に係る組成物が溶解阻止化合物を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
(その他の添加剤)
本発明に係る組成物は、必要に応じて、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び/又は現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、又はカルボキシ基を含んだ脂環族若しくは脂肪族化合物)を更に含んでいてもよい。
分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号、特開平2−28531号、米国特許第4,916,210号、及び欧州特許第219294等に記載の方法を参考にして、容易に合成することができる。
カルボキシ基を含んだ脂環族若しくは脂肪族化合物としては、例えば、コール酸、デオキシコール酸及びリトコール酸等のステロイド構造を含んだカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
<パターン形成方法>
本発明に係る組成物を用いて膜を形成する場合、この膜の膜厚は、30〜250nmであることが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。こうすると、解像度を更に向上させることが可能となる。このような膜厚を有した膜は、組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定することにより粘度を調節し、塗布性及び製膜性を向上させることによって形成可能である。
組成物中の全固形分濃度は、一般的には1〜10質量%であり、好ましくは1〜8.0質量%であり、更に好ましくは1.0〜6.0質量%である。
本発明に係る組成物は、典型的には、以下のようにして用いる。即ち、上記の各成分を、所定の溶剤(好ましくは上記の混合溶剤)に溶解させ、得られた溶液をフィルター濾過した後、所定の支持体上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは、0.1μm以下であり、より好ましくは0.05μm以下であり、更に好ましくは0.03μm以下である。このフィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製又はナイロン製であることが好ましい。
この組成物は、例えば、精密集積回路素子の製造等に使用される基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆、窒化シリコン及びクロム蒸着された石英基板など)上に、スピナー及びコーター等を用いて塗布される。その後、これを乾燥させて、感活性光線性又は感放射線性の膜(以下、感光性膜ともいう)を形成する。なお、公知の反射防止膜を予め塗設することもできる。
次いで、上記の感光性膜に活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行った後、現像する。ベークを行うことにより、更に良好なパターンを得ることが可能となる。
活性光線又は放射線としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外(EUV)光、X線及び電子線が挙げられる。これらのうち、波長が好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1〜200nmである遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、EUV光(13nm)、X線又は電子ビームが好ましい。特には、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV光、又は電子ビームが好ましい。
上記の反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
本発明に係る組成物を用いて形成した膜に対しては、液浸露光を行ってもよい。即ち、膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体を満たした状態で、活性光線又は放射線の照射を行ってもよい。これにより、解像性を更に高めることが可能となる。
液浸露光する際に使用する液浸液について、以下に説明する。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつレジスト膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましい。特に、露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ及び取り扱いのし易さといった点から、水を用いるのが好ましい。
また、更なる短波長化を図るべく、屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液であってもよく、有機溶剤であってもよい。
液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させるために、ウェハ上のレジスト層を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できる添加剤(液体)を僅かな割合で添加してもよい。
その添加剤としては、水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール及びイソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできる。一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、レジスト上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
液浸液として用いる水の電気抵抗は、18.3MQcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理がされていることが望ましい。
また、液浸液の屈折率を高めることにより、リソグラフィー性能を高めることが可能である。このような観点から、屈折率を向上させるための添加剤を水に加えてもよく、水の代わりに重水(D2O)を用いてもよい。
レジスト膜と液浸液との間には、レジスト膜と液浸液との接触を避けるために、液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。トップコートに必要な機能としては、レジスト層上への塗布適正、放射線、特には193nmの波長を有した放射線に対する透明性、及び液浸液難溶性が挙げられる。トップコートとしては、レジストと混合せず、レジスト層上に均一に塗布できるものを用いることが好ましい。
トップコートは、193nmにおける透明性という観点からは、芳香族を含有しないポリマーが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー及びフッ素含有ポリマーが挙げられる。上述した疎水性樹脂は、トップコートとしても好適なものである。トップコートから液浸液へ不純物が溶出すると光学レンズを汚染されるため、トップコートに含まれるポリマーの残留モノマー成分は、少ない方が好ましい。
トップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、レジストへの浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程がレジストの現像処理工程と同時にできるという点では、アルカリ現像液により剥離できることが好ましい。アルカリ現像液で剥離するという観点からは、トップコートは酸性であることが好ましいが、レジストとの非インターミクス性の観点から、中性であってもアルカリ性であってもよい。
トップコートと液浸液との間には、屈折率の差がないか又は小さいことが好ましい。この場合、解像力を向上させることが可能となる。露光光源がArFエキシマレーザー(波長:193nm)の場合には、液浸液として水を用いることが好ましいため、ArF液浸露光用トップコートは、水の屈折率(1.44)に近いことが好ましい。
また、透明性及び屈折率の観点から、トップコートは、薄膜であることが好ましい。トップコートは、レジスト膜と混合せず、さらに液浸液とも混合しないことが好ましい。この観点から、液浸液が水の場合には、トップコートに使用される溶剤は、本発明の組成物に使用される溶媒に難溶で、かつ非水溶性の媒体であることが好ましい。また、液浸液が有機溶剤である場合には、トップコートは水溶性であっても非水溶性であってもよい。
現像工程におけるアルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩の水溶液が用いられるが、無機アルカリ、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アルコールアミン及び環状アミン等の他のアルカリ水溶液も使用可能である。アルカリ現像液には、適当量のアルコール類及び/又は界面活性剤を添加してもよい。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常は0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常は10.0〜15.0である。
リンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
<合成例1:モノマー(1)の合成>
以下のスキームに従って、モノマー(1)を合成した。
まず、化合物(1)を、国際公開第07/037213号パンフレットに記載の方法で合成した。次いで、35.00質量部の化合物(1)に、150.00質量部の水を加えた後、27.30質量部のNaOHを更に加えた。得られた反応液を、加熱還流条件下、9時間に亘って攪拌した。これに塩酸を加えて酸性とした後、酢酸エチルを用いて生成物を抽出した。有機層を合わせ、濃縮することにより、36.90質量部の化合物(2)を得た(収率93%)。
50.87質量部の化合物(2)に300質量部の酢酸エチルを加えた。その後、51.76質量部の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアルコールと、3.18質量部の4−ジメチルアミノピリジンとを加えて攪拌した。得られた溶液中に、54.20質量部の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を加え、5時間に亘って攪拌した。200mLの1N塩酸中に反応溶液を加え、反応を停止させた。有機層を分離した後、1N塩酸を用いて洗浄し、水を用いて更に洗浄し、有機層を濃縮した。次いで、トルエンを用いて水を共沸脱水することにより、67.60質量部の化合物(3)を得た(収率76%)。
15.00質量部の化合物(3)を、67.5質量部の脱気処理したアセトニトリルに溶解させ、窒素ガスを用いてバブリングした後、反応液を10℃以下に冷却した。次いで、液温を10℃以下に維持しながら、8.11質量部のメタクリル酸クロライドを加え、7.85質量部のトリエチルアミンを滴下した。その後、反応液を室温で2時間に亘って更に攪拌した。反応終了後、9.0質量部の濃塩酸を675質量部の水で希釈して5℃まで冷却したものの中に、反応溶液を加えた。30分間に亘って攪拌した後、析出した沈殿をろ取し、水を用いて洗浄した。得られた粉体を45.6質量部のアセトニトリルに溶解させ、得られた溶液を、5℃まで冷却した304.0質量部の水中に滴下した。30分間に亘って攪拌した後、析出した沈殿をろ取し、水で洗浄した。得られた粉体に76.1質量部のヘプタンを加え、室温にて1時間に亘って攪拌した。固体をろ取し、乾燥させることにより、13.7質量部の化合物(4)を得た(収率77%)。
5.00質量部の化合物(4)を、50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた。得られた溶液に50質量部の水と2.16質量部の炭酸カリウムとを加え、室温で1時間に亘って攪拌した。反応終了後、濃塩酸を加えて反応溶液のpHを1以下とした。これに100質量部の酢酸エチルを加えて、生成物を抽出した。分離した有機層を50質量部の1N塩酸を用いて洗浄し、有機層を濃縮することにより、3.01質量部の化合物(5)を得た(収率94%)。
2.00質量部の化合物(5)に、0.13質量部のジメチルホルムアミドと2.00質量部の塩化チオニルとを加えた。反応溶液を75℃まで加熱し、1時間に亘って攪拌した。反応終了後、減圧下で、未反応の塩化チオニルを除去した。これにより、化合物(6)を得た。
次いで、Journal of Medicinal Chemistry, 1975, Vol.18, No.11, 1065-1070 に記載の方法により、化合物(7)を合成した。0.86質量部の化合物(7)を4.0質量部のアセトニトリルに溶解させた。得られた溶液に、0.84質量部のトリエチルアミンと0.28質量部の4−ジメチルアミノピリジンとを加えた。反応溶液を10℃以下に冷却し、攪拌した。液温を10℃以下に維持しながら、先に合成した化合物(6)を3.5質量部のアセトニトリルに溶解させたものを滴下した。反応終了後、50質量部の酢酸エチルと25質量部の炭酸水素ナトリウム水溶液とを加えて生成物を抽出した。分離した有機層を、飽和重曹水を用いて洗浄し、その後、水を用いて更に洗浄した。有機層を濃縮し、濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、0.54質量部のモノマー(1)を得た(収率21%)。
1H-NMR(400 MHz in (CD3)2CO):δ(ppm)=0.83-1.00(3H),1.63-1.77(8H),1.85-2.15(8H),2.18-2.56(1H),2.64(1H),3.55-3.56(1H),4.63(1H),4.69-4.71(1H),5.67(1H),6.10(1H)。
<合成例2:モノマー(4)の合成>
以下のスキームに従って、モノマー(4)を合成した。
17.09質量部のグリコール酸メチル〔化合物(10);TCI製〕に30.00質量部のテトラヒドロフランを加えた。これに21.15質量部のトリエチルアミンを加え、0℃まで冷却させた後、20.85質量部のメタクリル酸クロリドを滴下した。室温に戻した後、2時間に亘って攪拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルを用いて生成物を抽出した。有機層を合わせ、MgSO4を加え、ろ過し、ろ液を濃縮することにより、28.51質量部の化合物(11)を得た(収率95%)。
28.5質量部の化合物(11)に180mLのアセトンを加え、0℃まで冷却し、180質量部の1N水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。30分に亘って攪拌し、塩酸を加えて酸性とした後、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を合わせ、MgSO4を加え、ろ過し、ろ液を濃縮することにより、21.2質量部の化合物(12)を得た(収率82%)。
15.00質量部の化合物(12)に300質量部のトルエンを加えた。これに、7.00質量部の化合物(3)と、3.80質量部のp−トルエンスルホン酸一水和物とを加え、生成する水を共沸により取り除きながら、6時間に亘って還流した。反応液を濃縮し、濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、13.52質量部の化合物(13)を得た(収率71%)。
その後、化合物(4)の代わりに化合物(13)を用いたことを除いては、合成例1で述べたのと同様にして、モノマー(4)を合成した。
<合成例3:モノマー(7)の合成>
以下のスキームに従って、モノマー(7)を合成した。
20.00質量部のシクロヘキシルビニルエーテル(TCI製)を10℃以下に冷却した。液温を10℃以下に維持しながら、4.26質量部の化合物(5)を加えた。室温に戻した後、1時間に亘って攪拌した。反応終了後、減圧下で、未反応のシクロヘキシルビニルエーテルを除去した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、1.32質量部のモノマー(7)を得た(収率21%)。
<合成例4:モノマー(8)の合成>
以下のスキームに従って、モノマー(8)を合成した。
上記化合物(18)を、Journal of the Chemical Society, 1925, 127, 475 に記載の方法により合成した。そして、化合物(2)の代わりに化合物(18)を用いたことを除いては、合成例1で述べたのと同様にして、モノマー(8)を合成した。
<合成例5:モノマー(9)の合成>
以下のスキームに従って、モノマー(9)を合成した。
30.00gの2−(1−アダマンチル)−2−プロパノールを、570gのN−メチルピロリドンに溶解させ、35.26gの1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンを加えて撹拌した。得られた溶液を5℃まで冷却し、77.91gのブロモアセチルブロミドを30分かけて滴下した。滴下終了後、室温まで昇温して、6時間に亘って撹拌した。反応終了後、5℃まで冷却し、300mLの蒸留水を加えた。これに酢酸エチルで3回抽出を行い、併せた有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液と蒸留水で洗浄した後、有機層に無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去することにより、46.24gの化合物(6)を得た(収率95%)。
42.63gの化合物(6)を170gのN−メチルピロリドンに溶解させた。得られた溶液を5℃に冷却し、23.36gのK2CO3と、合成例1と同様にして合成した30.00gの化合物(5)を入れた。その後、室温で6時間撹拌した後、再び5℃まで冷却して、200gの蒸留水を30分かけて滴下した。反応溶液に酢酸エチルを加えて3回抽出し、併せた有機層を蒸留水で3回洗浄した後、有機層に10gの活性炭素を加えて、1時間撹拌した。その後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ液を取り出し、溶媒を留去し、49.04g(収率:87%)のモノマー(9)を得た。
1H-NMR(400 MHz in CDCl3):δ(ppm)=1.47(6H、s)、1.54−1.84(14H、m)、1.90−2.09(4H、m)、1.94(3H、s)、2.58−2.71(2H、m)、3.69(1H、d)、4.51(1H、d)、4.64(1H、d)、4.68(1H、brs)、4.73(1H、d)、5.62(1H、s)、6.10(1H、s)。
また、その他の必要なモノマーを、上記の合成例1〜5と同様にして合成した。
窒素気流下、13.74質量部のPGMEA/PGME混合溶媒(質量比:8/2)を3つ口フラスコに入れ、これを85℃に加熱した。この溶媒中に、上記のモノマーを左から順に13.74質量部、2.36質量部、5.44質量部、7.87質量部と、1.50質量部(モノマーに対し6.5mol%)の2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V-601、和光純薬工業(株)製〕とを、57.35質量部のPGMEA/PGME混合溶媒(質量比:8/2)に溶解させた溶液を、6時間かけて滴下した。滴下終了後、更に85℃で2時間に亘って反応させた。反応液を放冷後、700質量部のヘプタンと300質量部の酢酸エチルとの混合液に30分かけて滴下し、粉体を析出させた。析出した粉体をろ取及び乾燥して、24.5質量部のポリマー(1)を得た。得られたポリマー(1)のGPC法による重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算で8400であり、分散度(Mw/Mn)は、1.50であった。
ポリマー(1)と同様にして、下記ポリマー(2)〜(27)を合成した。下記表2に、各々の組成比(モル%;各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量及び分散度を示す。
光酸発生剤としては、以下の化合物を用いた。なお、モル吸光係数εは、先に説明した方法により測定した。
<ArFドライ露光>
(レジスト調製)
下記表3に示す成分を、同表に示す溶剤に溶解させて、固形分濃度5.0質量%の溶液を調製した。その後、得られた溶液を、ポアサイズ0.1μmのポリエチレンフィルターを用いてろ過して、ポジ型レジスト溶液を調製した。
(レジスト評価)
シリコンウエハー上に、有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間に亘ってベークした。これにより、シリコンウエハー上に、膜厚78nmの反射防止膜を形成した。その上に、上記のポジ型レジスト溶液を塗布し、90℃で60秒間に亘ってベークした。これにより、膜厚が120nmのレジスト膜を形成した。
得られたレジスト膜に対し、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75)を用いて、パターン露光を行った。なお、レクチルとしては、ラインサイズ=75nmであり且つライン:スペース=1:1である6%ハーフトーンマスクを用いた。次いで、95℃で60秒間加熱し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いた30秒間の現像処理に供した。その後、純水を用いてリンスし、スピン乾燥して、レジストパターンを得た。
〔ラフネス特性:LWR〕
線幅75nmのラインパターン(ライン:スペース=1:1)を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9380II)を用いて観察した。ラインパターン長手方向のエッジ2μmの範囲について、線幅を50ポイント測定し、その測定ばらつきについて標準偏差を求め、3σを算出した。この値3σを「LWR」とした。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔露光ラチチュード(EL)〕
線幅が75nmのラインアンドスペース(ライン:スペース=1:1)のマスクパターンを再現する露光量を求め、これを最適露光量Eoptとした。次いで線幅が目的の値である75nmの±10%(即ち、67.5nm及び82.5nm)となるときの露光量を求めた。そして、次式で定義される露光ラチチュード(EL)を算出した。ELの値が大きいほど、露光量変化による性能変化が小さい。
[EL(%)]=[(線幅が67.5nmとなる露光量)−(線幅が82.5nmとなる露光量)]/Eopt
〔現像欠陥性能〕
ケー・エル・エー・テンコール社製の欠陥検査装置KLA2360(商品名)を用い、欠陥検査装置のピクセルサイズを0.16μmに、また閾値を20に設定して、ランダムモードで測定し、比較イメージとピクセル単位の重ね合わせによって生じる差異から抽出される現像欠陥を検出した。単位面積あたりの現像欠陥数(個数/cm2)を算出し、以下の基準で、現像欠陥性能の評価を行った。
○(良好)…値が0.5未満の場合;
△(やや良好)…値が0.5以上0.8未満の場合;
×(不良)…値が0.8以上の場合。
〔パターン形状〕
線幅75nmのラインパターン(ライン:スペース=1:1)のパターン断面形状を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4800)を用いて観察し、以下の基準でパターン形状の評価を行った。
○(良好)…断面形状が「矩形」であり且つ「裾引き」が観測されなかった場合;
△(やや良好)…断面形状が「矩形」であるが、「裾引き」が観察された場合;
×(不良)…断面形状が「ラウンドトップ」又は「T−トップ」であった場合。
〔デフォーカスラチチュード(DOF)〕
レジスト膜に対し、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75)を用いて、パターン露光を行った。なお、レクチルとしては、スペースサイズ=100nmであり且つライン:スペース=2:1である6%ハーフトーンマスクを用いた。次いで、95℃で60秒間加熱し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いた30秒間の現像処理に供した。その後、純水を用いてリンスし、スピン乾燥して、レジストパターンを得た。
線幅100nmのスペースパターン(ライン:スペース=2:1)を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9380II)を用いて観察した。100nm±10%の線幅を再現する焦点深度幅をDOF(μm)として測定した。この値が大きい方が、焦点ズレの許容度が大きく望ましい。
表中における略号は以下の通りである。また、これら略号は、後掲の実施例に関しても共通である。
(塩基性化合物)
DIA:2,6−ジイソプロピルアニリン
TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
TMEA:トリス(メトキシエトキシエチル)アミン
PEA:N−フェニルジエタノールアミン
TOA:トリオクチルアミン
PBI:2−フェニルベンゾイミダゾール
DHA:N,N−ジヘキシルアニリン
TEA:トリエタノールアミン
DBA:N,N−ジブチルアニリン。
(界面活性剤)
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素及びシリコン系)
W−3:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製;フッ素系)
W−4:PF656(OMNOVA社製;フッ素系)
W−5:PF6320(OMNOVA社製;フッ素系)。
(溶剤)
A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
A2:シクロヘキサノン
A3:γ−ブチロラクトン
B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル
B2:乳酸エチル。
(溶解阻止化合物)
D−1:リトコール酸t−ブチル。
表3から分かるように、実施例に係る組成物は、比較例に係る組成物と比較して、ラフネス特性、露光ラチチュード、焦点深度、及び現像欠陥性能により優れていた。また、実施例に係る組成物を用いた場合は、比較例に係る組成物を用いた場合と比較して、より良好な形状のパターンを形成することができた。
<ArF液浸露光>
(レジスト調製)
下記表4に示す成分を、同表に示す溶剤に溶解させて、固形分濃度5.0質量%の溶液を調製した。その後、得られた溶液を、ポアサイズ0.1μmのポリエチレンフィルターを用いてろ過して、ポジ型レジスト溶液を調製した。
(レジスト評価)
シリコンウエハー上に、有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間に亘ってベークした。これにより、シリコンウエハー上に、膜厚98nmの反射防止膜を形成した。その上に、上記のポジ型レジスト溶液を塗布し、90℃で60秒間に亘ってベークした。これにより、膜厚が120nmのレジスト膜を形成した。
得られたレジスト膜に対し、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製XT1700i、NA1.20、C-Quad、アウターシグマ0.960、インナーシグマ0.709、XY偏向)を用いて、パターン露光を行った。なお、レクチルとしては、ラインサイズ=50nmであり且つライン:スペース=1:1である6%ハーフトーンマスクを用いた。また、液浸液としては、超純水を用いた。
次いで、露光後の膜を、95℃で60秒間加熱し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いた30秒間の現像処理に供した。その後、純水を用いてリンスし、スピン乾燥して、レジストパターンを得た。そして、先に説明したのと同様にして、LWR、EL、パターン形状及び現像欠陥数を評価した。デフォーカスラチチュードは、スペースサイズ=75nm(ライン:スペース=2:1)のパターンで評価した以外は、先に説明したのと同様にして評価した。
これらの測定結果を、下記表4に示す。
なお、表4中の「添加形態」の列には、疎水性樹脂の添加形態を「添加」又は「TC」として記載している。「添加」と記載した例では、疎水性樹脂は、レジスト溶液中に含まれている。「TC」と記載した例では、疎水性樹脂を含んでいないレジスト溶液を用いてレジスト膜を形成した後、その上層に、疎水性樹脂を含んだトップコート(TC)保護膜を設けている。
疎水性樹脂の添加形態が「TC」である場合、レジスト膜を形成した後、下記の操作を行った。なお、「TCの場合の溶媒」の列に挙げた溶媒は、以下の通りである。
S−1:2−エチルブタノール。
<トップコートの形成方法>
表4に示す疎水性樹脂を溶剤に溶解させ、得られた溶液を、スピンコータを用いて、上記レジスト膜上に塗布した。その後、これを115℃で60秒間に亘って加熱乾燥して、膜厚が0.05μmのトップコート層を形成させた。形成後、トップコート層の塗布ムラを観察し、トップコート層が均一に塗布されていることを確認した。
表4から分かるように、実施例に係る組成物は、比較例に係る組成物と比較して、ラフネス特性、露光ラチチュード、焦点深度、及び現像欠陥性能により優れていた。また、実施例に係る組成物を用いた場合は、比較例に係る組成物を用いた場合と比較して、より良好な形状のパターンを形成することができた。