JP2011185543A - 伝熱パイプ、egrクーラーおよびegrクーラーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】管状の部材であり、管内部を流通する流体(ここではEGRガス)を管外部と熱交換させるための扁平形状を有する各伝熱パイプ4・14を備えるEGRクーラー1は、各伝熱パイプ4・14の短辺方向内側の各寸法hを、各伝熱パイプ4・14内を流通するEGRガスの流れ場の状態が全て乱流(即ち、Re>5000)となる寸法(境界値hc未満)とする。
【選択図】図3
Description
EGRを実現するためのシステムにおいては、再循環される排気ガス(以下、EGRガスと呼ぶ)を冷却するための装置であるEGRクーラーが用いられており、当該EGRクーラーのコンパクト化および高効率化等のための改良が日々検討されている。
これにより、ろう付け部に起因する熱障壁がなくなるとともに、EGRガス中のPMの付着・堆積による目詰まりを防止することができ、EGRクーラー用の冷却性能の高い扁平形状を有する伝熱パイプを提供することができる。
このため、特許文献1等に示される従来技術では、伝熱パイプの内部にフィン等を設けることによって、当該フィンと伝熱パイプの高さ方向中央部を流れるEGRガスとを接触させて、伝熱パイプの高さ方向中央部を流れるEGRガスの熱交換を行うようにしている。
まず始めに、本発明の一実施形態に係るEGRクーラーの全体構成について、図1および図2を用いて説明をする。
図1に示す如く、本発明の一実施形態に係るEGRクーラー1は、EGRガスを冷却するために用いられる、所謂シェルアンドチューブ型の熱交換器であり、ケーシング2、エンドプレート3・3、伝熱パイプ4・4・・・等により構成されている。
この上流側と下流側に分けられたEGRガスの流通経路は、複数の伝熱パイプ4・4・・・によって連通され、一連のEGRガスの流通経路を形成する構成としている。
尚、本実施形態で示すEGRクーラー1は、6本の伝熱パイプ4・4・・・を高さ方向に一定の間隔で積層して備える構成であるため、一つのエンドプレート3について、6箇所の嵌合孔3a・3a・・・を形成する場合を例示している。
各嵌合孔3a・3a・・・と各伝熱パイプ4・4・・・との隙間は、ろう付けすることによって封止される。
図3(a)(b)に示す如く、EGRクーラー1を構成する第一の実施形態に係る伝熱パイプ4は、略円筒状のパイプを軸方向に対して直交する方向に押し潰すことによって、扁平形状に成型される管状部材である。
ここで、伝熱パイプ4の高さH2は、H2=h+2tとして表され、エンドプレート3の嵌合孔3aの高さH1に比して小さく、かつ、略一致する寸法としている。
内部応力は、伝熱パイプ4を加熱することによって開放されるため、伝熱パイプ4を加熱することによって、該伝熱パイプ4を元の略円筒状の形状に復元するように変形させることができる。また、伝熱パイプ4の高さ方向の両端部において長辺を形成する部位を長辺部4b・4bとして規定している。
規制部4cは、該伝熱パイプ4の長辺部4b・4bの内壁面から対面する内壁面に向けてディンプル状の突起を所定の高さx/2で突設させて形成する部位であり、対面する各規制部4c・4cの頂部同士を当接させることによって、伝熱パイプ4の寸法hが高さx未満とならないように規制できる構成としている。
規制部材5は、伝熱パイプ4の一方の長辺部4bの内壁面に所定の高さxである部材を付設して形成しており、規制部材5によって、伝熱パイプ4の寸法hが高さx未満とならないように規制する構成としている。
即ち、本発明の一実施形態に係るEGRクーラー1では、本発明の第一および第二の実施形態に係る各伝熱パイプ4・14のいずれを採用することも可能である。
内部応力は、伝熱パイプ14を加熱することによって開放されるため、伝熱パイプ14を加熱することによって、該伝熱パイプ14を構成する各素材を元の平板状の形状に復元するように変形させることができる。
また、伝熱パイプ14の高さ方向の両端部において長辺を形成する部位を長辺部14b・14bとして規定している。
規制部14cは、該伝熱パイプ14の長辺部14b・14bの内壁面から対面する内壁面に向けてディンプル状の突起を所定の高さx/2で突設させて形成する部位であり、対面する各規制部14c・14cの頂部同士を当接させることによって、伝熱パイプ14の寸法hが高さx未満とならないように規制できる構成としている。
規制部材15は、伝熱パイプ14の長辺部14bの内壁面に所定の高さxである部材を付設して形成しており、規制部材15によって、伝熱パイプ14の寸法hが高さx未満とならないように規制する構成としている。
図5(a)に示す如く、従来の伝熱パイプ24内のEGRガスの流れ場の状態は、流れの中心部分では層流域および遷移域となっており、また、層流域および遷移域の外側が乱流域となっている。このとき、伝熱パイプ24において設定される寸法hを寸法haとする。
このため、従来の伝熱パイプ24でEGRガスを冷却する場合、乱流域を流れるEGRガスは、十分に熱交換されて比較的低温の温度t1となる反面、層流域および遷移域の部分を流れるEGRガスは、熱交換が十分になされず、温度t1に比して高温である温度t2(t1<t2)に冷却されるにとどまる。
このため、伝熱パイプ4でEGRガスを冷却する場合、伝熱パイプ4を通過する全てのEGRガスが十分に熱交換されるため、全領域を比較的低温の温度t1程度にまで冷却することができる。
レイノルズ数Reは、EGRガスの流速をV(m/sec)、密度をρ(kg/m3)、粘性係数をμ(kg/m/sec)、伝熱パイプ4の代表長さをD(mm)とするとき、以下の数式1によって算出することができる。尚、代表長さDとしては、例えば、伝熱パイプ4の断面積と等しい断面積を有する円の直径(等価円管径)を採用することができる。
図7によれば、伝熱パイプ4の寸法hを小さくしていくとき、寸法hbが境界値hc未満であれば、伝熱パイプ4内のEGRガスの流れ場の状態を完全に乱流とすることが可能であることが判る。
このような構成により、フィンレスの構造で熱交換効率の良い各伝熱パイプ4・14を提供することができる。
このような構成により、各伝熱パイプ4・14内における流体(ここではEGRガス)の圧力損失を抑制して、熱交換の対象となる流体(ここではEGRガス)の流量を確保することができる。
このような構成により、フィンレスの構造で熱交換効率の良いEGRクーラー1を提供できる。
即ち、本発明に係る伝熱パイプの特徴は、寸法hを縮小させて、伝熱パイプをより扁平化することによって、フィンレスの構造でEGRガスの流れ場の状態の乱流化を進める点にあり、その最も好ましい実施形態が、EGRガスの流れ場の状態を完全に乱流化した状態である。
図8および図9に示す如く、本発明の第一の実施形態に係る伝熱パイプ4を備えるEGRクーラー1の製造方法では、まず、所定の断面形状を有する伝熱パイプ4を所定の本数(本実施形態では、少なくとも6本)生成する(STEP−1)。
伝熱パイプ4を生成する工程では、短辺部4a・4aに、元の略円筒状の形状に戻ろうとする内部応力Pが残留するように湾曲させて、伝熱パイプ4を生成する(STEP−1−a)。
またこのとき、伝熱パイプ4の内部には、規制部材5を付設しておく(STEP−1−b)。あるいは、伝熱パイプ4を生成するときに、規制部4cを形成しておく態様としてもよい。
伝熱パイプ14を生成する工程では、短辺部14a・14aに、元の平板形状に戻ろうとする内部応力Qが残留するように湾曲させて、伝熱パイプ14を生成する(STEP−1−a)。
またこのとき、伝熱パイプ14の内部には、規制部材15を付設しておく(STEP−1−b)。あるいは、伝熱パイプ14を生成するときに、規制部14cを形成しておく態様としてもよい。
そして、図8および図9に示す如く、本発明の第一の実施形態に係る伝熱パイプ4を備えるEGRクーラー1の製造方法では、複数の伝熱パイプ4・4・・・の長さ方向の各端部4d・4d・・・において、エンドプレート3の各嵌合孔3a・3a・・・を嵌合させて仮組みしておく(STEP−2)。また仮組みの状態では、各伝熱パイプ4・4・・・と各嵌合孔3a・3a・・・の隙間には、ろう材を塗布しておく。
またここで、hc>H2−2tの関係が成立していれば、確実にhc>hの関係を成立させることができるため、嵌合孔3aの高さH2は、H2<hc−2tとなる寸法に設定しておく。
これにより、各伝熱パイプ4・14の各寸法hは、各嵌合孔3a・3a・・・に嵌合されることによって、hc>hの関係を成立させることができる。
このような構成により、EGRクーラー1に備えられる各伝熱パイプ4・14の寸法精度を確実に確保できる。
また、追加のプレート部材を別途用意する必要がなく、フィンレスの構造で熱交換効率の良いEGRクーラー1を、安価に提供できる。
そして、図8および図9に示す如く、本発明の第一の実施形態に係る伝熱パイプ4を備えるEGRクーラー1の製造方法では、仮組みした状態の各伝熱パイプ4・4・・・およびエンドプレート3・3を全体的に加熱してろう付けをする(STEP−3)。
このとき、各伝熱パイプ4・4・・・の短辺部4a・4aの内部応力Pが開放されて、元の円管状の形状に復元しようと変形する。
このとき、各伝熱パイプ14・14・・・の短辺部14a・14aの内部応力Qが開放されて、元の平板形状に復元しようと変形する。
このような構成により、EGRガスの流れ場の状態が確実に乱流となるコンパクトで熱交換効率の良いEGRクーラー1を、安価に提供できる。
2 ケーシング
3 エンドプレート
4 伝熱パイプ
4a 短辺部
4b 長辺部
4c 規制部
4d 端部
14 伝熱パイプ
14a 短辺部
14b 長辺部
14c 規制部
14d 端部
Claims (6)
- 管状の部材であり、管内部を流通する流体を管外部と熱交換させるための扁平形状を有する伝熱パイプであって、
前記伝熱パイプの短辺方向の寸法を、前記伝熱パイプ内を流通する流体の流れ場の状態が全て乱流となる寸法とする、
ことを特徴とする伝熱パイプ。 - 前記伝熱パイプは、
管内部に、短辺方向への寸法の縮小量を規制する部位を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の伝熱パイプ。 - 請求項1または請求項2記載の前記伝熱パイプを備えるEGRクーラーであって、
前記伝熱パイプの短辺方向の寸法を、前記伝熱パイプ内を流通するEGRガスの流れ場の状態が全て乱流となる寸法とする、
ことを特徴とするEGRクーラー。 - 前記EGRクーラーは、
前記伝熱パイプの軸方向に直交する断面形状に対応する形状を有する孔が形成されるプレートを備え、
該プレートによって、
前記伝熱パイプの短辺方向の寸法を、前記伝熱パイプの内部におけるEGRガスの流れ場の状態が全て乱流となる寸法に規制する、
ことを特徴とする請求項3記載のEGRクーラー。 - 前記プレートは、
前記伝熱パイプを、該伝熱パイプの長さ方向における端部において支持するためのエンドプレートにより構成する、
ことを特徴とする請求項4記載のEGRクーラー。 - 請求項5記載の前記EGRクーラーの製造方法であって、
前記伝熱パイプを、長さ方向に対して直交する方向に作用する内部応力を残留させつつ生成する工程と、
複数の前記伝熱パイプの各両端部を、一対の前記エンドプレートに形成される複数の前記孔に嵌合させて仮組みする工程と、
仮組みした複数の前記伝熱パイプおよび一対の前記エンドプレートを加熱して、前記内部応力を開放させることによって、複数の前記伝熱パイプの短辺方向の寸法が、前記伝熱パイプの内部におけるEGRガスの流れ場の状態が全て乱流となる寸法に縮小するように、前記複数の前記伝熱パイプを変形させつつ、一対の前記エンドプレートと複数の前記伝熱パイプを接合する工程と、
を備える、
ことを特徴とするEGRクーラーの製造方法。
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