JP2011183458A - はんだ付け用フラックスおよびはんだペースト組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のはんだ付け用フラックスは、ベース樹脂と活性剤と有機溶剤とを含んでなるはんだ付け用フラックスであって、前記ベース樹脂の含有量は、フラックス総量に対して8.7〜71重量%であり、前記活性剤の含有量は、フラックス総量に対して0.1〜20重量%であり、前記有機溶剤の含有量は、フラックス総量に対して26.7〜90.0重量%であり、前記ベース樹脂として、ガラス転移温度が−50℃未満の熱可塑性アクリル樹脂を、フラックス総量に対して5.7〜56重量%含有する。本発明のはんだペースト組成物は、前記本発明のフラックスとはんだ合金粉末とを含有する。
【選択図】 なし
Description
ところが、従来のフラックスおよびはんだペースト組成物では、はんだ付けを行った後のフラックス残渣に亀裂が発生し、この亀裂部に水分が浸入して部品リード間の短絡不良を招くといった問題を生じることがあった。この問題は、特に、使用時の寒暖差が大きく、また振動も大きい車載用基板上で発生する可能性が高い。
前記b)の手段では、合成樹脂の使用により、ロジン系フラックスと比較して、はんだのぬれ性の確保が難しくなり、はんだ付け性が低下するという問題があった。
前記c)の手段では、洗浄のための後工程や洗浄設備の増設等が必要になることで製品コストが高騰したり、洗浄に用いる溶剤によって環境汚染が懸念されるという問題があった。
(1)ベース樹脂と活性剤と有機溶剤とを含んでなるはんだ付け用フラックスであって、
前記ベース樹脂の含有量は、フラックス総量に対して8.7〜71重量%であり、
前記活性剤の含有量は、フラックス総量に対して0.1〜20重量%であり、
前記有機溶剤の含有量は、フラックス総量に対して26.7〜90.0重量%であり、
前記ベース樹脂として、ガラス転移温度が−50℃未満の熱可塑性アクリル樹脂を、フラックス総量に対して5.7〜56重量%含有する、
ことを特徴とするはんだ付け用フラックス。
(2)上記(1)に記載のはんだ付け用フラックスとはんだ合金粉末とを含有することを特徴とするはんだペースト組成物。
本発明のはんだ付け用フラックス(以下、単に「フラックス」と称することもある)は、ベース樹脂として、ガラス転移温度が−50℃未満の熱可塑性アクリル樹脂(以下「低Tgアクリル樹脂」と称することもある)を含有する。低Tgアクリル樹脂は、柔軟性が極めて高く、優れた耐亀裂性や耐剥離性を有する。したがって、このような低Tgアクリル樹脂をベース樹脂とすることにより、−40℃から125℃までの過酷な低温高温サイクルを負荷した場合であっても、はんだ付け後のフラックス残渣中に亀裂が発生するのを効果的に抑制しつつ、良好なはんだ付け性と高信頼性を得ることができるのである。ガラス転移温度が−50℃以上であると、例えば−40℃から125℃までの過酷な低温高温サイクルを負荷した場合には、残渣中の亀裂の発生を抑制するという本発明の効果が不充分になる。
活性剤の含有量は、フラックス総量に対して0.1〜20重量%であるのがよい。活性剤が0.1重量%未満であると、活性力が不足し、はんだ付け性が低下するおそれがある。一方、活性剤が20重量%を超えると、フラックスの皮膜性が低下し、親水性が高くなるので、腐食性および絶縁性が低下するおそれがある。
はんだ合金粉末としては、特に制限はなく、一般に用いられている錫−鉛合金、さらに銀、ビスマスまたはインジウムなどを添加した錫−鉛合金等を用いることができる。また、錫−銀系、錫−銅系、錫−銀−銅系等の鉛フリー合金を用いてもよい。なお、はんだ合金粉末の粒径は、5〜50μm程度であるのがよい。
実施例、参考例および比較例で得られたフラックスおよびはんだペースト組成物の評価は、下記の方法で行なった。
20本のリードを持つ0.8mmピッチのSOP(Shrink Outline Package)パターンが15個存在するガラスエポキシ基板にフラックスを塗布した。フラックス塗布後の基板を噴流はんだ付け装置ではんだ付けした後(はんだ付けには、Sn−Ag−Cu合金(Sn:Ag:Cu=96.5:3.0:0.5(重量比))からなるはんだ合金粉末を使用)、目視観察によりSOPパターン部でのブリッジ不良の有無を判定し、ブリッジがあった場合、その数(不良発生数)をカウントし、全SOPパターン(300本)に対する不良発生数の割合を百分率で示した値を不良率(%)として求めることにより評価した。
0.8mmピッチのQFP(Quad Flat Package)パターンが存在する基板に、同じパターンを有する厚み200μmのメタルマスクを用いてはんだペースト組成物を印刷した。印刷後10分以内に、大気下において175±5℃で80±5秒間プリヒートを行い、最高温度235±5℃でリフローを行った。そして、はんだ付け性の指標となるはんだボールの発生状況を、20倍の実体顕微鏡を用いて80パッド(80個のはんだ付け部)の周囲に発生したはんだボール数(個)をカウントすることにより評価した。
上記のはんだ付け性試験またははんだボール試験を行った後の基板を試験片とし、該試験片に、−40℃×30分→125℃×30分を1サイクルとして1000サイクルの条件で冷熱サイクル負荷をかけた後、基板上のSOPパターンまたはQFPパターンのはんだ付け部における亀裂発生状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
○;亀裂が全く認められない。
△;亀裂は発生しているが、信頼性に悪影響を及ぼす亀裂、すなわち2つ以上の隣接するはんだ付け部にまたがるような亀裂(以下「連結亀裂」と称する)は認められない。
×;連結亀裂が発生している。
1)液状フラックス:JIS−Z−3197に規定するくし形基板(II型)に、フラックスを塗布した。フラックス塗布後、噴流はんだ付け装置ではんだ付けを行った(使用したはんだ組成はSn96.5%−Ag3.0%−Cu0.5%)。はんだ付け後の基板に上記残渣亀裂試験と同じ条件で冷熱サイクル負荷をかけ、その後、85℃、85%の恒温恒湿槽内に放置して経時的に(初期、500時間後および1000時間後)抵抗値(Ω)を測定することにより電気的な信頼性として絶縁抵抗を評価した。
2)はんだペースト:JIS−Z−3197に規定するくし形基板(II型)に、同じパターンを有する厚み100μmのメタルマスクを用いてはんだペースト組成物を印刷した。印刷後10分以内に、大気下において175±5℃で80±5秒間プリヒートを行い、最高温度235±5℃でリフローを行った。リフロー後の基板に上記残渣亀裂試験と同じ条件で冷熱サイクル負荷をかけ、その後、85℃、85%の恒温恒湿槽内に放置して経時的に(初期、500時間後および1000時間後)抵抗値(Ω)を測定することにより電気的な信頼性として絶縁抵抗を評価した。
フラックスまたははんだペースト組成物を用いてJIS−Z−3197に規定する銅板腐食試験片を作製し、該試験片に上記残渣亀裂試験と同じ条件で冷熱サイクル負荷をかけた。その後、各試験片を40℃、85%の恒温恒湿槽内に放置して、500時間後および1000時間後に、目視観察により点食もしくは腐食発生の有無を確認した。
イソオクチルアクリレート40重量部、ラウリルメタクリレート35重量部、ブチルアクリレート10重量部およびメタクリル酸15重量部からなるモノマー成分を、溶液重合法で重合して、熱可塑性アクリル樹脂Aを得た。
この熱可塑性アクリル樹脂Aは、ガラス転移温度(Tg)が−55℃、酸価が100mgKOH/g、平均分子量が約7000であった。
2−エチルヘキシルアクリレート50重量部、ブチルアクリレート37重量部およびアクリル酸13重量部からなるモノマー成分を、溶液重合法で重合して、熱可塑性アクリル樹脂Bを得た。
この熱可塑性アクリル樹脂Bは、ガラス転移温度(Tg)が−60℃、酸価が100mgKOH/g、平均分子量が約6000であった。
イソオクチルアクリレート75重量部、ブチルアクリレート17重量部およびメタクリル酸8重量部からなるモノマー成分を、溶液重合法で重合して、熱可塑性アクリル樹脂Cを得た。
この熱可塑性アクリル樹脂Cは、ガラス転移温度(Tg)が−70℃、酸価が50mgKOH/g、平均分子量が約8000であった。
イソオクチルアクリレート57重量部、エチルアクリレート32重量部およびアクリル酸11重量部からなるモノマー成分を、溶液重合法で重合して、熱可塑性アクリル樹脂Dを得た。
この熱可塑性アクリル樹脂Dは、ガラス転移温度(Tg)が−54℃、酸価が85mgKOH/g、平均分子量が約5000であった。
2−エチルヘキシルアクリレート50重量部、イソステアリルアクリレート40重量部およびメタクリル酸10重量部からなるモノマー成分を、溶液重合法で重合して、熱可塑性アクリル樹脂Eを得た。
この熱可塑性アクリル樹脂Eは、ガラス転移温度(Tg)が−46℃、酸価が100mgKOH/g、平均分子量が約7500であった。
イソオクチルアクリレート56重量部、n−ブチルメタクリレート39重量部およびアクリル酸5重量部からなるモノマー成分を、溶液重合法で重合して、熱可塑性アクリル樹脂Fを得た。
この熱可塑性アクリル樹脂Fは、ガラス転移温度(Tg)が−46℃、酸価が54mgKOH/g、平均分子量が約8500であった。
ベース樹脂として上記各製造例で得られたアクリル樹脂A、B、Eおよびホルミル化ロジンのうちの1種以上と、活性剤としてアジピン酸およびアニリン臭化水素酸塩と、溶剤としてイソプロピルアルコールまたはブチルカルビトールとを、それぞれ表1に示す配合組成で混合し、均一になるように充分に熱を加えて溶解、拡散させ、フラックスをそれぞれ得た。
得られた各フラックスを用いて、はんだ付け性試験、残渣亀裂試験、絶縁抵抗試験および腐食試験を行った。結果を表1に示す。
ベース樹脂として上記各製造例で得られたアクリル樹脂C、D、F、水添ロジンおよびアクリル化ロジンのうちの1種以上と、活性剤としてジフェニル酢酸、アジピン酸およびモノエチルアミン塩酸塩のうちの1種以上と、チキソ剤として硬化ひまし油と、溶剤としてブチルカルビトールとを、それぞれ表2に示す配合組成で混合し、均一になるように充分に熱を加えて溶解、拡散させ、フラックスをそれぞれ得た。
次いで、得られた各フラックスと、Sn−Ag−Cu合金(Sn:Ag:Cu=96.5:3.0:0.5(重量比))からなる鉛フリーのはんだ合金粉末(粒径38〜25μm)とを、フラックス:はんだ合金粉末=12:88(重量比)の比率で混合して、はんだペースト組成物をそれぞれ得た。
得られた各はんだペースト組成物を用いて、はんだボール試験、残渣亀裂試験、絶縁抵抗試験および腐食試験を行った。結果を表2に示す。
Claims (2)
- ベース樹脂と活性剤と有機溶剤とを含んでなるはんだ付け用フラックスであって、
前記ベース樹脂の含有量は、フラックス総量に対して8.7〜71重量%であり、
前記活性剤の含有量は、フラックス総量に対して0.1〜20重量%であり、
前記有機溶剤の含有量は、フラックス総量に対して26.7〜90.0重量%であり、
前記ベース樹脂として、ガラス転移温度が−50℃未満の熱可塑性アクリル樹脂を、フラックス総量に対して5.7〜56重量%含有する、
ことを特徴とするはんだ付け用フラックス。 - 請求項1に記載のはんだ付け用フラックスとはんだ合金粉末とを含有することを特徴とするはんだペースト組成物。
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