定めるところにより、本発明の詳細な実施形態をここに開示するが、開示している実施形態は、本発明の代表例に過ぎず、本発明は様々な形態で具現化できるものと理解されたい。従って、ここに開示している特定の構造上及び機能上の詳細は、本発明に限定を課すものではなく、単に、特許請求の範囲の根拠として、且つ、当業者に本発明を実際に適切なあらゆる詳細構造で様々に採用できるように教示するための代表的な基準と、解釈されるべきである。
図1から図16で、符号1は、本発明による多軸骨スクリュー装置又はアッセンブリの第1の実施形態全体を表している。アッセンブリ1は、全体が符号4で表され、上向きに伸張する捕捉構造8と一体化された本体6を更に含んでいる軸部と、頭部10と、二要素又は二部品構成の保持構造12を含んでいる。軸部4、頭部10、及び保持構造12は、軸部6を椎骨15に植え込む前に組み立てられるのが望ましく、その手順を図11に示している。
図12は、ロッド21の様な長手方向部材を捕捉構造8に押し付けて付勢するための本発明の閉鎖構造18を更に示しており、この閉鎖構造18は、保持構造12を付勢して捕捉構造8及び頭部10に、固定的に摩擦接触させ、ロッド21を椎骨15に対して固定する。頭部10と軸部4とは、それぞれが互いに対して、複数の角度、関節運動、又は回転整列の何れにおいても、且つ、左右、前後の両方向について選択された角度範囲内で、固定できるやり方で協働し、頭部10と軸部4とが、移植処置の終了間際に互いに対して係止又は固定されるまで、両者の柔軟性のある又は関節運動可能な係合ができるようにする。
図1、図4、及び図7によく分かるように示しているが、軸部4は細長く、捕捉構造8に隣接している頚部26付近から本体6の先端28まで伸張すると共にそこから半径方向外向きに伸張している、螺旋状に巻かれた骨植え込み可能ねじ部24を有する軸部4の本体6を備えている。使用時、本体6は、把持及び前進用のねじ部24を使用し、先端28を先にして椎骨15に植え込まれるが、図11に示し、後段で更に詳しく説明するように、装着又はねじ回し用工具31で椎骨15の中へとねじ込まれ、頚部26付近まで椎骨15に植え込まれる。軸部4は、全体を符号Aで識別している細長い回転軸を有している。なお、頂部、底部、上方、下方、などの用語は、本出願では、各図面に示される整列、並びにその様な装置に適用される典型的な含意を指すが、アッセンブリ1の実際の使用時の配置を制限するものではないことを指摘しておく。
頚部26は、軸部4の本体6から、軸方向外向き且つ上向きに伸張している。頚部26は、ねじ部24が終わっている本体6の隣接する上端又は頂部32と比較して、半径が僅かに小さくなっているのが望ましい。また、頚部26から軸方向外向きに、捕捉構造8が伸張しており、この捕捉構造8は、上端32から一定の距離だけ離して配置され、而して、本体6が椎骨15に植え込まれると椎骨15から一定の距離だけ離れて配置されることになる、接合又は捕捉装置を提供している。
捕捉構造8は、軸部4を頭部10に接続し、軸部4を頭部10内に捕捉するように構成されている。捕捉構造8は、多面体形状部であり、具体的には、前側面40と後側面41とが平行になっている、全体を符号38で示す多面体様の構造をしている。前側面40と後側面41とは、それぞれ逆等脚台形の形状をしている。前側面40と後側面41とは、合同で、且つ軸Aに平行である。前側面40と後側面41とは、その構造38の頂面44に隣接しており、頂面44は、実質的に平坦で、軸Aに対して垂直に配置されている。前側面40と後側面41とは、環状着座面又は棚部45まで伸張しており、この棚部45は、軸Aから半径方向に突き出た実質的に平坦な面であり、頂面44に平行に配置されている。頂面44は、着座面45の外径よりも大きい幅Wを有しており、台形の前側面40と後側面41との間に伸張している頂縁46と47を含んでいる。多面体様の構造38の仕上げは傾斜した側面又は面48と49であり、それぞれ、実質的に形状が矩形で、頂縁46と47それぞれから、環状着座面45に隣接して配置されている底縁50と51まで、内向きに勾配が付いている。傾斜という用語は、ここでは、軸部4の本体6に関して、平行でも垂直でも直角でもない方向又は進路又は位置に傾き又は傾斜しているが、それ以外では、軸Aに関して様々な角度に配置されている、面48と49を記述するのに使用されている。傾斜面48と49は、頂面44から軸Aに向けて、軸部4の本体6の先端28に向かう方向に勾配が付いている。底縁50と51の間の幅W2は、幅Wよりも小さく、更に着座面45の外径よりも小さい。
軸部4は、頂面44から端面53まで軸方向に突き出た工具係合構造52を更に含んでいる。工具係合構造52は、図11に示すねじ回し工具31を係合させる働きをする。工具31は、ソケットの形態のねじ回し構造を含んでいる。工具31は、工具係合構造52の周りに嵌り、軸部4の本体6を駆動し同時に椎骨15の中にねじ込むためのソケット兼嵌合突起を形成するように構成されている。具体的に、図1から図16の実施形態では、工具係合構造52は、ねじの切られた軸部4の本体6と同軸の六角形をした伸張頭部の形状をしている。
軸部4の端面53は、骨スクリューのアッセンブリ1を、図15に示すように組み立て、軸部4が頭部10に対してどの様な整列状態になったときでも、ロッド21と積極的に係合するように、各図に示すように曲線(曲面)ドーム形をしているのが望ましい。或る特定の実施形態では、端面53は、滑らかである。本発明の実施に当たっての要件ではないが、端面53には、端面53とロッド21の間の積極的な摩擦係合を更に増すため、刻み目やローレットを施してもよい。
各図に示す軸部4は、軸部4の全長に亘って軸Aに沿って伸張している小さい中央内径部54を有する套管が設けられている。内径部54は、軸部4の先端28の第1円形口56と、ドーム形の端面53の第2円形口58を有している。内径部54は、ねじの切られた本体6と同軸である。内径部54は、軸部4の本体6の装入に先立ち椎骨15に挿入され、軸部4の本体6を椎骨15に挿入する際の案内となる、或る長さのワイヤ(図示せず)を通す軸部4内通路を提供している。
図1及び図5に示すように、頭部10は、部分的に円筒形の内部輪郭と実質的に円筒形の外部輪郭を備えている概ねU字型の外観を有している。頭部10は、一対の直立アーム62、64と一体になった実質的に円筒形の基部60を含んでおり、U字型の受け台を形成すると共に、アーム62と64の間に、上方開口部67と、ロッド21と実質的に同じ半径を有しロッド21を作動的にぴったり受け入れる働きをする下側着座部68と、を備えているU字型の溝66を画定している。
アーム62と64は、それぞれ、内部円筒形の輪郭を画定し、部分的な螺旋状に巻かれた案内及び前進構造72を含んでいる、内側面70を有している。図示の実施形態では、案内及び前進構造72は、下に詳しく説明するように、回転させると、閉鎖構造18側の同様の構造と噛み合うようになっている、部分的な螺旋状に巻かれたフランジ形状をしている。しかしながら、案内及び前進構造62は、代わりに、回転させると閉鎖構造をアーム62とアーム64との間を下向きに作動的に案内し進める働きをする、V字型ねじ、鋸歯ねじ、逆角ねじ、又は他のねじ様又は非ねじ様の螺旋状に巻かれた前進構造であってもよいと予測される。
頭部10は、頭部10を軸部4及び保持構造12に、組み付ける際に、保持工具(図示せず)を積極的に係合させて頭部10をしっかりと把持し易くするための、各アーム62と64上に配置された外側の行き止まり把持孔74と75を含んでいる。更に、把持孔74と75は、軸部4の本体6を椎骨15に植え込む際に頭部10を保持するのに使用される。把持孔74と75は、各アーム62と64上の中心に設けられている。しかしながら、把持孔74と75は、アーム62と64の外側面に沿い様々な寸法で様々な位置に設けるようにしてもよいことを指摘しておく。
頭部10のU字型の溝66には、これと連通して、基部60の内側面80によって実質的に画定されている室又はキャビティ78が設けられている。キャビティ78は上向きにU字型の溝66内に開口している。内側面80は、実質的に球形で、その少なくとも一部は、第1半径R1を有する部分的内側球形の着座面82を形成しており、この着座面82は、下で詳しく説明するように、保持構造12と嵌合する。
基部60は、第2半径R2を有し且つキャビティ78と連通している口部84を部分的に画定している拘束孔、開口、又は頚部83と、基部60の下側外部86と、を更に含んでいる。口部84は、頭部10の回転軸Bと同軸である。頚部83と下側外部86の間には面取り部88が伸張している。頚部83及び付帯する半径R2を有する口部84は、保持構造12の半径寸法(半径R1)よりも小さい寸法形状に作られ、装着時には、下で詳しく説明するように、保持構造12に対し頚部83の位置に拘束部を形成して、保持構造12が頭部10に完全に着座し捕捉構造8と作動的に係合したときに、保持構造12が頭部10のキャビティ78と下側外部86の間から抜けないようにしている。面取り部88は、頭部10が組み付けられるときには、軸部4の角度範囲を拡大する。
軸部4の捕捉構造8を頭部10内に保持して、軸部4の本体6を頭部10に対して関節運動させるために、二部品構成の保持構造12が使用されている。保持構造12は、図1から図3でよく分かるように、軸部4に付帯する細長い軸Aと同じ作動中心軸を有している。保持構造12は、第1要素又は部品90と、鏡像の第2要素又は部品92を含んでいる。部品90と92は、下で詳しく説明するように、設置されると、頭部10内で捕捉構造8の周りにカラー又はコレットを提供する。
部品又は第1要素90と第2要素92とは、捕捉構造8と着座面82との両方を滑動可能に且つ密接に把持し、ロッド21と閉鎖構造18又は他の型式の長手方向部材と閉鎖構造とによって軸部4のドーム形の端面53に力が掛けられると、軸部4と頭部10との間に球形の着座面82で、一様で均一的な把持面を提供する。
ここでは二要素構成の保持構造12を示しているが、保持構造12は、それぞれ捕捉構造8と頭部10の着座面82との両方に滑動可能に摩擦的に噛み合うことができる、複数の要素から構成されていてもよいと予測される。各要素90、92は、寸法がまちまちで、必ずしも互いに鏡像関係になくてもよい。また、図示の実施形態は、部品90と92が、頭部10に完全に装着され軸部4の捕捉構造8に接触したときに、互いに接触しているように示しているが、部品90と92は、頭部10内に捕捉構造8と共に完全に装着されたときに、互いに離間した関係に配置される寸法形状に作られていてもよいと予測される。
各保持部品(第1及び第2要素)90と92は、それぞれ実質的に球形の外側面94と95を含んでおり、各外側面94、95は、頭部10の着座面82の半径R1と実質的に一致する半径を有している。部品90と92は、それぞれの平坦な頂面97と98、及びそれぞれの平坦な底面100と101を含んでいる。頂面97と底面100は平行である。頂面98と底面101も平行である。底面100と101は、図10に示すように頭部10に完全に装着されると、軸部4の環状の着座面45上に当接して着座し、頂面97と98が捕捉構造8の頂面44と平行且つ実質的に面一に配置される。
特に図2に示すように、保持構造12の部品90と92は、それぞれ、上又は下から見ると、各頂面97と98から各底面100と101までの空白部又は貫通路103と104それぞれを取り巻いて形成された、方形に切り欠かれたU字型形状又はC字型形状を有している。各貫通路103と104は、部分的には、角度が付いた又は勾配が付いた面106と107それぞれにより画定されている。面106は、頂縁110と底縁111とを有している。面107は、頂縁112と底縁113とを有している。保持構造12の部品90と92が、実質的に球形の面94と95を、球形の着座面82と摩擦接触させ、底面100と101を、軸部4の環状着座面45に着座させた状態で、頭部10内に作動的に配置されると、面106と107は、それぞれ底面100と101に対する傾斜の度合いが、捕捉構造8の側面48と49の、着座面45に対する傾斜の度合いに対応又は一致する配置になる。これにより、面106と面48の間には実質的に完全な摩擦接触が作り出され、面107と面49の間には実質的に完全な摩擦接触が作り出される。
保持構造12の部品90は、更に、頂面97と底面100とのそれぞれに対して垂直に配置された平行な内壁116と117も含んでいる。保持構造12の部品92は、頂面98と底面101とのそれぞれに対して垂直に配置された平行な内壁119と120を含んでいる。内壁116と119は、勾配の付いた面106が側面48と接すると、捕捉構造8の台形の後側面41と摩擦嵌合するように作られており、内壁117と120は、勾配の付いた面107が側面49と接すると、捕捉構造8の台形の前側面40に摩擦嵌合するように作られている。
部品90と92とは、互いに鏡像関係にあるので、勾配の付いた面106が側面49と接触し、勾配の付いた面107が側面48と接触し、且つ内壁116と119とが前側面40と、内壁117と120とが後側面41と、それぞれ相手を代えて嵌り合った場合でも、保持構造12は等しく良好に機能することに注目されたい。図示の壁面106、107、117、119、及び120は、滑らか平坦であるが、上記各面は、粗され又は研削されて、捕捉構造8との摩擦接触を強化してもよいと予測される。追加的又は代替的に、捕捉構造8の面40、41、48、及び49は、粗し又は何らかの方法で研削して、保持構造12との摩擦接触を強化してもよい。更に、頭部10の実質的に球形の着座面82と接触する保持構造12の外側面94と95も、ローレット面のような高摩擦面であってもよい。
保持構造12の部品又は第1要素90は、更に、外側面94から内壁116と117までそれぞれ伸張している端壁122と123も含んでいる。端壁122と123は、頂面97に実質的に垂直に配置されている。端壁122は、頂部の面取り部126を含んでおり、端壁123は、頂部の面取り部127を含んでいる。保持構造12の部品92は、更に、外側面95から内壁119と120までそれぞれ伸張している端壁130と131も含んでいる。端壁130と131は、頂面98に対して実質的に垂直に配置されている。端壁130は、頂部の面取り部134を含んでおり、端壁131は、頂部の面取り部135を含んでいる。保持構造12の部品90と92は、実質的に球形の面94と95を、球形の着座面82に滑動可能に摩擦接触させ、底面100と101を軸部4の環状着座面45に着座させた状態で、頭部10内に作動的に配置されると、端壁122と123が、図13に示すように、各端壁130と131に接触するように作られている。面取り部126、127、134、及び135は、保持構造90と92を、頭部10内で捕捉構造8の周りに、ここで引き続いて説明する本発明による方法で装着するための、隙間空間を提供している。更に、本発明によれば、装着時の追加的な隙間を提供するために、部品90と92は、骨スクリューの頭部10に完全に装着されると、端壁122と123が各端壁130と131に対して間隔を置いた実質的に平行な関係に配置されるように、作られてもよいと予測される。
アッセンブリ1と共に使用される細長いロッド又は長手方向部材21は、脊椎再建術に使用される各種移植片の何れであってもよいが、普通は、一様な直径の実質的に滑らかな円筒形の面136を有する、円筒形の細長い構造体である。ロッド21は、頭部10のU字型の溝66の底部付近にぴったりと着座する寸法形状に作られているのが望ましく、通常の作動時は、溝66の底部の僅かに上方、下側着座面68に配置される。具体的には、ロッド21は、普通は図12に示すように、軸部4の頂部の端面53と直接又は当接係合し、ドーム形の端面53に押し付けるように付勢されるので、必然的に、アッセンブリ1が完全に組み立てられると、軸部4を下向きに頭部10の基部60に向かう方向に付勢する。これを起こさせるため、軸部4の頂部の端面53は、保持構造12が頭部10のキャビティ78の下部で軸部4上にぴったりと着座したとき、少なくとも僅かに溝66の空間内に伸張していなければならない。軸部4と保持構造12は、ロッド21が軸部4の頂部の端面53を下向きに強く押すことにより、頭部10に対し所定の位置に係止又は保持される。しかしながら、本発明による他の実施形態では、上から又は横から装入可能な差込みを、ロッド21と、頂部の端面53及び協働要素(第1及び第2要素)90及び92と、の間に配置することが予測され、その場合、差込みは、初めに頂面53と係合し、そして各要素90及び92の一方又は両方と係合可能である。このような実施形態では、軸部4の頂部の端面53は、溝66の空間の中まで伸張する必要はない。この様な差込みは、ラチェット又は捩って係止させるシステムの様な各種機構を活用して、骨スクリューの頭部10に装着され、ロッド21の挿入に先立ち、骨スクリューの軸部4を頭部10に対して正しい位置に設定するのに使用される。ロッド21が骨スクリューの頭部10に設置された後、差込みは、ロッド21と頂面53の両方に係合して、骨スクリューの軸部4を所望の位置に固定することになる。
図12、及び図14から図16に示すように、閉鎖構造又は閉鎖蓋18は、直立アーム62と64上の適した噛み合い構造を備えている本発明と共に使用する場合、多種多様な閉鎖構造の何れであってもよい。閉鎖蓋18は、間隔を空けて配置されているアーム53と54の間にねじ込まれる。
図示の閉鎖蓋18は、ロッド21を擦るかロッド21に食い込ませるための下尖部又は突起139を備えた概ね円筒形状の基部138と、上向きに伸張している破断頭部140と、を有している。基部138は、螺旋状に巻かれた案内及び前進構造141を含んでおり、この前進構造141は、アーム62と64側の案内及び前進構造72と係合させ、時計回りに回転させると、閉鎖構造18を回転させながら頭部10内に進ませることができ、そして、特に、U字型の溝66の頂部又は上向きに開口している部分を覆って、望ましくはアーム62と64を広げることなく、ロッド21を捕捉することのできる寸法形状に作られ配置されている。閉鎖構造18は、更に、トルクが掛けられると前進してロッド21に圧力を掛けてロッド21を作動的に付勢するので、ロッド21は、溝66内に伸張している軸部4の頂端面53に下向きに押し付けられる。軸部4の頂端面53が下向きに付勢されると、ロッド21と頂端面53の間に摩擦係合が作動的に作り出されると共に、保持構造12が頭部10の基部60に向けて押し付けられるので、保持構造12の外側球形面94と95が、頭部10の部分的内側球形の着座面82に摩擦により着座して固定的に押し付けられると共に、軸部4と保持構造12が、頭部10に対して選択された堅固な位置に固定される。
閉鎖構造18の破断頭部140は、基部138に頚部144で固定されていおり、この頚部114は、保持構造12を頭部10に正しく着座させるように設計されている事前に選択されたトルクが掛かると破断分離する寸法形状に作られている。破断頭部140は、ねじ回し兼操作工具147を作動的に受けるための中央の内径部145及び溝146を含んでおり、工具147には、内径部145に入り込む突起148と、溝146に入り込むストッパ149と、を有している。破断頭部140は、更に、トルク印加工具152の従来の嵌合ソケット型の頭部を受け入れて、閉鎖構造18を回転させトルクを加えることができる寸法形状に作られた、外側切子面150を含んでいる。図14及び図16に示すように、反トルク工具153も提供されており、この反トルク工具153は、頭部10の周りに伸張してロッド21と係合し、トルク印加工具152が回転している間、装置1を静止状態に保持する。
閉鎖構造18は、取り外し工具係合構造も含んでおり、これは、本実施形態では、図16に示すように、基部138に配置された六角形の軸方向に整列した孔154の形をしている。六角の孔154は、破断頭部140が基部138から破断分離された後に、アクセス可能である。孔154は、螺旋状に巻かれた案内及び前進構造141と同軸で、必要に応じて、装着した後で閉鎖構造18の基部138を回転させて取り外すため、アレンレンチ型の六角工具を孔154に差し込めるように設計されている。図には六角形状の孔154を示しているが、工具係合構造は、様々な工具係合形態を取ることができ、一対の離間して配置された孔、左ねじの切られた穴、取り外し容易係合可能段式穴など、の様な各種形状の複数の孔を含んでいてもよい。
多軸骨スクリューのアッセンブリ1が、本発明による使用に際して設置される前に、保持構造12の第1要素90と第2要素92とは、通常、図5に示すように先ずU字型の溝66に挿入され又は上から装入され、次いで、キャビティ78に入れられ、保持構造12を頭部10の内側面80に隣接して配置する。代わりのやり方では、図6に示すように、一方の保持構造12の第1要素90は、溝66に挿入又は上方装入され、他方の保持構造12の第2要素92は、口部84を通してキャビティ78の中に挿入又は下方装入される。また代わりのやり方では、第1要素90及び第2要素92の両方は、口部84(図示せず)を通して上向きに装入される。
図7に示すように、保持構造12の要素90及び92が、キャビティ78内に配置された後、軸部4は、矢印160で示すように口部84を通して、頭部10の中に挿入され又は上向きに装入される。図8に示すように、台形の捕捉構造8の頂縁46と47は、各保持構造90と92の勾配の付いた内側面106と107に接触する。最初は、3つの構成要素、即ち捕捉構造8と要素90と92は、全て図8の矢印160で示すように上向きに動かされる。図9に示すように、捕捉構造8が矢印160で示すように引き続き上向きに動いてキャビティ78に入る際に、保持構造12の要素90と92は、頂縁46と47の周りに回転して、矢印162及び163で示すように、基部60に向けて下向きに動き始める。
図10に示すように、各要素90と92は、底面100と101が軸部4の環状着座面45に当接してその上に着座するまで、下向きに動き続ける。一旦、環状着座面45に着座すると、保持構造12の勾配が付いた面106は、捕捉構造8の側面48と摩擦係合し、勾配の付いた保持構造12の面107は、捕捉構造の側面49と摩擦係合する。
次に、図10の矢印166で示すように、軸部4並びに摩擦係合している保持構造12の各要素90と92を僅かに下向きに動かすと、軸部/保持構造アッセンブリは、保持構造12の面94及び95が、頭部10の着座面82と滑動的に係合した状態で、頭部10のキャビティ78に着座する。保持構造12は、これで頭部10内に完全に着座し、軸部4の捕捉構造8と同軸に整列する。図10に仮想線で示した軸部6に関して、この時点で、捕捉構造8、保持構造12、頭部10の着座面82、及び下側の穴又は頚部83は、協働して、軸部4の本体6を頭部10と回転可能な関係に維持する。図1から図16に示す本発明の実施形態によれば、保持構造12のみが頭部球形の着座面82と滑動可能な係合状態にある。捕捉構造8と軸部4の本体6のねじが切られた部分の両方は、頭部10と間隔を置いて配置された関係にある。回転範囲を図10に示しており、本図は、軸部4の本体6は、頭部10に対して左右及び前後方向の何れにも実質的に角度方向の回転を介して回転させることができるので、実質的には、回転の角度が軸部4の本体6の頚部26と頭部10の拘束頚部83との係合のみで拘束される、自在継ぎ手又はボールジョイントを提供していることを示している。
次に、図11に示すように、アッセンブリ1は、通常は、ねじ回し工具31を使用し、これを軸部4の六角形の伸張部又は工具係合頭部52に係合させ、軸部4を作動的に駆動及び回転させて、軸部4を回しながら椎骨15の様な骨にねじ込まれる。ねじ回し工具31が頭部52に係合する際、その端部が、捕捉構造8の頂面44に当接して摩擦係合するのが望ましい。
通常、頭部10と保持構造12は、軸部4の本体6を椎骨15に植え込む前に軸部4に組み付けられる。更に、椎骨15は、骨に掛かる応力を最小限にするために事前に穿孔を施して、椎骨15に対する軸部4の設置と角度決めの案内を提供するためにガイドワイヤ(図示せず)を挿入するようにしてもよい。また、ガイドワイヤを案内にしてタップを使用し、タップ孔を形成してもよい。次いで、アッセンブリ1は、先ずワイヤを底部開口部56に通し、次いで、套管の内径部54の頂部の開口部58から出すことにより、ガイドワイヤに外挿される。次いで、ワイヤを設置用案内として用いて、軸部4を椎骨15内にねじ込む。
図12及び図14から図16に示すように、ロッド21は、最終的に、頭部10のU字型の溝66内に配置され、次いで、閉鎖構造又は蓋18がアーム62と64の間に挿入され、ねじ回し兼操作工具147でアーム62、64の間を進められて、ロッド21を押し付けるように付勢又は押圧される。次に、反トルク工具153が、図13及び図14に示すように、頭部10とロッド21の周りの所定の位置に配置され、トルク印加工具又はドライバ152が破断頭部140周りに挿入される。次いで、破断頭部140を、トルクドライバ152を使用しながら事前に選択されたトルク、例えば90から120インチポンドまで捩って、ロッド21を下向きに押して最終的な所望位置に置く。
軸部4の頂部の頂端面53は、軸部4と頭部10の間の回転角度がどの様な角度でも、概ね同じ量だけ略等しく上向きに溝66内に伸張するように丸みが付けられており、且つ頂端面53は、U字型の溝66内に上向きに伸張する寸法に作られているので、閉鎖構造18をロッド21に向けて下向きに付勢して押し付けると、頂端面53にロッド21が係合し、頂端面53は頭部10の基部60に向けて下向きに押される。軸部4に働く下向きの圧力は、今度は、保持構造12の要素90と92を、下向きに半径方向外向きに頭部10の着座面82に向けて押し付けるので、保持構造12の外側の実質的に球形の面94と95が頭部10の着座面82と摩擦係合する。捕捉構造8の逆向きに傾斜した側面48と49により、要素90と92に掛かる半径方向外向きの力は、要素90と92を頭部10のキャビティ78内に保持する働きもする。閉鎖構造18がロッド21を押圧すると、ロッド21は、一体の捕捉構造8と軸部4の本体6、更には、この時点では捕捉構造8と摩擦係合して捕捉構造8の台形構造38と頭部10の間に配置され又は挟まれている保持構造12の要素90と92を押圧する。保持構造12の要素90と92の位置並びに構成により、軸部4は、頭部10に摩擦的に堅固に取り付けられた状態となり、軸部4の本体6が頭部10及びロッド21に対して所望の角度配置で固定されることになる。
図16は、多軸骨スクリューのアッセンブリ1をロッド21と閉鎖構造18も含めて示している。骨用の軸部4の軸Aは、頭部10の軸Bと同軸ではなく、角度が係止された形で軸部4が固定されている状態を示している。ロッド21などの位置決めに起因して設置処置時に必要に応じて、他の角度配置とすることもできる。
アッセンブリ1及び付帯するロッド21、並びに閉鎖構造18の取り外しが必要な場合には、アレンレンチ型(図示せず)のねじ回し工具を使って孔154に噛み合わせ、レンチを反時計回りに回し、基部138を回転させて頭部10内で逆方向に進ませることにより分解する。そこで、アッセンブリ1の分解は、組み立てる場合に関して先に説明した手順と逆の順序で行う。
図17から図28には、本発明による多軸骨スクリュー装置又はアッセンブリの第2の又は代わりの実施形態を全体として符号201で示している。このアッセンブリ201は、接合型伸縮式二部品又は二要素構成の保持構造212を含んでいる。アッセンブリ201は、先にここで説明した、本発明による装置の第1の実施形態による軸部4と頭部10とを更に含んでいる。従って、軸部4と頭部10とに関してここで既に識別されている符号の全ては、図17から図26に組み込まれ、その記述はここでアッセンブリ201に関して参考文献として援用する。
先にここで説明した第1の実施形態と同じように、軸部4、頭部10、及び保持構造212は、軸部4の本体6を椎骨15に植え込む前に、組み立てられるのが望ましく、その植え込み手順は、図11に示すようにここで先に説明している。更に、図12及び図14から図16に示す閉鎖構造18、並びにロッド21、及び随意的にロッド21の下方に配置される差込みは、アッセンブリ201と共に使用することができ、その場合もここで先に説明したものと同じ機能と便益が得られる。
二部品構成の接合型滑動可能伸縮式の脱着可能な保持構造212は、軸部4の捕捉構造8を頭部10内に保持すると共に、軸部4の本体6を頭部10に対して関節運動させるために使用されている。保持構造212は、図17から図21でよく分かるように、軸部4に付帯する細長い軸Aと同じ作動中心軸を有している。保持構造212は、第1要素又は部品220と、実質的に鏡像関係の第2要素又は部品222を含んでいるが、部品220には、第1及び第2の狭い溝224と225が形成されており、部品222は、前記溝224と225それぞれと協働する第1及び第2の伸張部228と229を含んでいる点だけが相違する。伸張部228と229及び協働相手の溝224と225は、それぞれ、保持構造212が内向きに縮み、又は僅かに潰れて楕円の様な形状になり、頭部10の溝66又は口部84何れかの拘束された空間に嵌め込むことができるようにして、保持構造212の頭部10への上方又は下方装入の何れかが行えるようにしている。保持構造212が頭部10のキャビティ78内に配置された後、部品220と222は、伸張部228と229の一部が溝224と225それぞれに配置された状態で外向きに伸ばされ、保持構造212は、捕捉構造8の周りに、捕捉構造8に摩擦的に取り付けられ、同時に、装着されると、頭部10の着座面82にも完全に着座して摩擦的に取り付けられる、カラー又はコレットを提供する。下で詳しく説明するように、部品又は要素220と222は、捕捉構造8と着座面82の両方を滑動可能に且つ密接に把持して、ロッド21と閉鎖構造18又は他の型式の長手方向部材と閉鎖構造とにより軸部4のドーム形の頂端面53に力が掛けられると、軸部4と頭部10の間に球形の着座面82で一様且つ均一的な把持面を提供する。
各保持構造212の部品220と222は、実質的に球形の外側面234と235をそれぞれ含んでおり、各外側面234と235は、頭部10の着座面82の半径R1と実質的に一致する半径を有している。部品220と222は、各々平坦な頂面237と238、及び各々平坦な底面240と241を更に含んでいる。頂面237と底面240とは、実質的に平行である。頂面238と底面241とは、実質的に平行である。底面240と241は、図28に示すように頭部10内に完全に装着されると、軸部4の環状の着座面45上に当接して着座し、頂面237と238は、捕捉構造8の面44と平行且つ実質的に面一に配置される。
特に図17及び図21に示すように、保持構造212の部品220と222は、それぞれ、上又は下から見ると、各頂面237と238から各底面240と241までの開口した貫通路243を取り巻いて形成された、方形に切り欠かれたU字型形状又はC字型形状を有している。貫通路243は、部分的には、部品220と222上に配置された傾斜した又は勾配が付いた面246と247によって画定されている。面246は、頂縁250と底縁251とを有している。面247は、頂縁252と底縁253とを有している。保持構造212の部品220と222とが、実質的に球形の面234と235を球形の着座面82と摩擦接触させ、底面240と241を軸部4の環状着座面45に着座させた状態で、頭部10内に作動的に配置されると、面246と247は、底面240と241それぞれに対する傾斜の度合いが、捕捉構造8の側面48と49の、着座面45に対する傾斜の度合いに対応又は一致する配置になるので、面246と面48の間には実質的に完全な摩擦接触が作り出され、面247と面49の間にも実質的に完全な摩擦接触が作り出される。
保持構造212の部品220は、更に、頂面237と底面240に対して垂直に配置された、平行な内壁256と257も含んでいる。保持構造の212の部品222は、頂面238と底面241とに対して垂直に配置された、平行な内壁259と260を含んでいる。内壁256と259は、勾配の付いた面246が側面48と接すると、捕捉構造8の台形の後側面41と摩擦嵌合するように作られており、内壁257と260は、勾配の付いた面247が側面49と接すると、捕捉構造8の台形の前側面40と摩擦嵌合するように作られている。
部品220と222は、互いに実質的に鏡像関係にあるので、勾配の付いた面246が側面49と接触し、勾配の付いた面247が側面48と接触し、且つ壁256と259が前側面40と、内壁257と260が後側面41と、それぞれ相手を代えて嵌り合った場合でも、保持構造212は等しく良好に機能することを指摘しておく。図示の壁面246、247、256、257、259、及び260は、滑らかで平坦であるが、上記各面は、粗され又は研削されて、捕捉構造8との摩擦接触を強化してもよいと予測される。追加的又は代替的に、捕捉構造8の面40、41、48、及び49は、粗し又は何らかの方法で研削して、接合型の保持構造212との摩擦接触を強化してもよい。更に、頭部10の実質的に球形の着座面82と接触する保持構造212の外側面234と235も、ローレット面のような高摩擦面であってもよい。
保持構造212の部品又は要素220は、外側面234と内壁256及び257とによりそれぞれ境界が規定された下端壁262と263を更に含んでいる。端壁262と263は、頂面237と実質的に垂直に配置されている。保持構造212の部品222は、外側面235及び内壁259と260によりそれぞれ境界が規定された下端壁266と267を更に含んでいる。端壁266と267は、頂面238と実質的に垂直に配置されている。
部品220に形成されている溝224と225は、それぞれ端壁262と263に開口している。溝224と225は細長く、頂面237と実質的に平行に伸張している。溝224と225は、継ぎ手伸張部228と229をそれぞれ滑動可能に受け入れることができるように作られている。更に、溝224と225は、それぞれ、部分的には、上側面268と下側面269で画定されている。上側面268は、側面又は端面270で終わっており、下側面269は、上向きに突き出たリップ271で終わっている。伸張部228と229は、それぞれ、細長く、ノブ様の突起272を端部に含んでいる。ノブ様の突起272は、各溝224と225に入り込むように作られており、挿入時には、上側面268と下側面269を接続しているU字型の面273に押し付けられるように当接する。図19、図20、及び図25に示すように、下側リップ271は、端壁262と263で終わっており、上記各端面は、リップ271から各底部240と241まで伸張している。ノブ様の突起272が溝224と225に差し込まれた後、伸張部228と229に隣接している突起272の下側部分274は、リップ271に当接することができ、リップ271は、部分的には、突起272を溝224と225内の所定の位置に収容している。リップ272は、更に、下で詳しく説明するように、捕捉構造8が頭部10に挿入される際、保持構造212の要素222が、保持構造212の要素220に対して回転運動する場合の旋回点としても機能し、その様な回転は、継ぎ手の伸張部228と229の頂面が保持構造212の要素220の上端面270に押し付けられるように当接することで制限される。
溝224と225は、それぞれ或る深さを有しており、保持構造212の部品220と222を、端壁262と266が当接し端壁263と267が当接するまで互いに滑動させると、下で詳しく説明するように、保持構造212を頭部10の中に下向き又は上向きに装入するための図18及び図19に示す幅の狭くなった楕円形の保持構造212を作り出せるようになっている。また、保持構造212の部品220と222は、実質的に球形の面234と235が球形の着座面82と滑動的に摩擦接触し、且つ底面240と241が軸部4の環状の着座面45に着座した状態で、頭部10内に作動的に配置されると、各端壁262と263が、図20及び図21に示すように各端壁266と267に対して、間隔を空けて実質的に平行な関係に配置され、継ぎ手の伸張部228と229が、各溝224と225の中に部分的に配置された状態になるように作られている。
多軸骨スクリューのアッセンブリ201が本発明による使用に際して設置される前に、保持構造の要素220と222は、ノブ様の突起272を溝224と225に挿入し、次いで、突起272を溝224と225の中に、保持構造212の要素222が保持構造212の要素220に押し付けられるように当接するまで滑り込ませることにより、組み立てられる。接合された部品220と222は、その後、図23に示すように頭部のU字型の溝66の中に挿入され又は上から装入され、保持構造212の長円部又は最大幅部分が図23に示すように垂直に配置されるように回転される。保持構造212は、次いで、図24に示すように回転させてキャビティ78に挿入され、保持構造212は、頭部10の内側面80に隣接して配置される。代わりに、接合された当接の要素220と222は、口部84(図示せず)を通して上向きに装入してもよい。
図25に示すように、保持構造212がキャビティ78内に配置された後、要素220と222は、外向き半径方向に伸ばされ又は引き離され、軸部4が、矢印275で示す方向に口部84を通して頭部10の中に挿入され又は上向きに装入される。図26に示すように、台形の捕捉構造8の頂縁46と47は、各保持構造212の要素220と222の勾配の付いた内側面246と247に接触する。最初、3つの構成要素、即ち捕捉構造8と要素220と要素222とは、全て矢印175で示すように上向きに動かされ、保持構造212を図26の矢印278と279で示す方向に回転させ又はヒンジ旋回させる。図27では、捕捉構造8が、矢印275で示すようにキャビティ78の中へと上向きに動き続けるにつれ、保持構造212は、縁部46と47の回りにヒンジ旋回し又は回転して、矢印282と283で示すように、基部60に向けて下向きに動き始める。ヒンジ旋回又は接合された要素220と222は、底面240と241が軸部4の環状着座面45に当接してその上に着座するまで、下向きに半径方向に動き続ける。図28では、環状着座面45の上に着座して、保持構造212の勾配が付いた面246は、捕捉構造の側面48と摩擦係合し、勾配が付いた保持構造の面247は、捕捉構造8の側面49と摩擦係合している。
次いで、軸部4並びに摩擦係合している保持構造212を僅かに下向きに動かすのが、軸部/保持構造アッセンブリを頭部10のキャビティ78内に完全に着座させ、保持構造212の面234と235を、頭部10の着座面82と滑動係合させる上で望ましい。保持構造212は、この時点で頭部10内に完全に着座し、軸部4の捕捉構造8と同軸に整列している。この時点で、捕捉構造8、保持構造212、頭部10の着座面82、及び下側の穴又は頚部83は、協働して、軸部4の本体6を頭部10と回転可能な関係に維持する。図17から図28に示す本発明の実施形態によれば、保持構造212だけが頭部10の球形の着座面82と滑動可能な係合状態にある。捕捉構造8と軸部4の本体6のねじが切られた部分は、共に、頭部10と間隔を空けて配置された関係にある。アッセンブリ1に関して図10に示したものと同様の回転範囲が、本発明のアッセンブリ201でも可能である。軸部4の本体6は、頭部10に対して左右及び前後方向の何れにも実質的に角度方向の回転を介して回転させることができるので、実質的には、回転の角度が軸部4の本体6の頚部26と頭部10の拘束頚部83との係合のみで拘束される、自在継ぎ手又はボールジョイントを提供している。
アッセンブリ1に関してここで先に説明した図12及び図14から図16に示すように、アッセンブリ201は、同様に、ねじ回し工具31を使用し、これを軸部4の六角形の伸張部又は工具係合頭部52に係合させ、軸部4を作動的に駆動及び回転させて、軸部4を回すことにより、椎骨15の様な骨にねじ込まれる。ねじ回し工具31が工具係合頭部52に係合させる際、その端部が、捕捉構造8の頂面44に当接して摩擦係合するのが望ましい。
通常、頭部10と保持構造212は、軸部4の本体6を椎骨15に植え込む前に軸部4に組み付けられる。アッセンブリ1に関してここで説明している、骨スクリューの挿入に備えて椎骨15に前処理を施す各段階、骨スクリューの植え込み工程、ロッド整復及び閉鎖蓋設置工程、及び閉鎖蓋取り外し工程は、アッセンブリ201についても行うことができる。このような各工程並び上で説明したアッセンブリ1の装置を、ここでアッセンブリ201に関する参考資料として援用する。
図29から図36では、本発明による多軸骨スクリュー装置又はアッセンブリの第3の実施形態を全体として符号301で表している。アッセンブリ301は、上向きに伸張している実質的に円錐形の捕捉構造308と一体の本体306を更に含んでいる軸部304と、円錐形の捕捉構造308と協働するように作られた二要素又は二部品構成の保持構造312を含んでいる。アッセンブリは、更に、先にここで説明した第1のアッセンブリ1の頭部10も含んでいる。従って、頭部10に関して先に特定した符号の全てを、図29から図36に組み込み、その記述を、ここでアッセンブリ301に関する参考資料として援用する。
軸部304、頭部10、及び保持構造312は、軸部304の本体306を、図11に示している椎骨15と同様の椎骨(図示せず)に植え込む前に組み立てるのが望ましく、その手順は、アッセンブリ1及び図12に関してここで説明済みである。更に、図12及び図14から図16に示している閉鎖構造18、並びにそこで示しているロッド21も、アッセンブリ1に関して説明したように、アッセンブリ301と共に利用することができ、その説明を、ここでアッセンブリ301に関する参考資料として援用する。ロッド21と係合可能な差込みも、アッセンブリ1に関してここで説明しているように利用することができる。頭部10と軸部304は、それぞれが互いに対して、複数の角度、関節運動、又は回転整列の何れにおいても、且つ、左右、前後、両方向について選択された角度範囲内で、固定できるやり方で協働し、頭部10と軸部304とが、移植処置の終了間際に互いに対して係止又は固定されるまで、両者の柔軟性のある又は関節運動可能な係合ができるようにしている。
図29と図33とによく分かるように示しているが、軸部304は細長く、その軸部304の本体306は、捕捉構造308に隣接する頚部326付近から本体306の先端328まで伸張すると共にそこから半径方向外向きに伸張している、螺旋状に巻かれた骨に植え込み可能なねじ部324を有している。使用時、本体306は、把持及び前進用のねじ部324を使用し、先端328を先にして椎骨15に植え込まれるが、図11に示す工具31の様な装着又はねじ回し用工具で椎骨15の中へとねじ込まれ、頚部326付近まで椎骨に植え込まれる。軸部304は、全体を符号A’で識別されている細長い回転軸を有している。
頚部326は、軸部304の本体306から軸方向外向き且つ上向きに伸張している。頚部326は、ねじ部324が終わっている本体306の隣接する上端又は頂部332と比べて、半径が僅かに小さくなっている。また、頚部326から軸方向外向きに、捕捉構造308が伸張しており、この捕捉構造308は、上端332から一定の距離だけ離して配置され、而して、本体306が椎骨15に植え込まれると椎骨15から一定の距離だけ離れて配置されることになる、接合又は捕捉装置を提供している。
捕捉構造308は、軸部304を頭部10に接続すると共に軸部304を頭部10内に捕捉することができるように作られている。捕捉構造308は、外側の円錐形の表面又は面338を備えた逆円錐形状部である。表面338は、実質的に環状の頂面344と、頚部326に隣接して配置された実質的に環状の着座面又は棚部345の間を伸張している。頂面344と着座面345は、共に実質的に平坦で、軸A’から半径方向に伸張し、軸A’に垂直に配置されている。頂面344は、外側円形縁348を有しており、これは円錐形の面338の外側縁でもある。円錐形の表面338は、下側の円形縁350を有しており、これはまた、着座面345の内側縁を画定している。外側円形縁348は、内側縁340の直径D2よりも大きい直径D1を有している。直径D1は、着座面345の外径よりも大きい。
軸部304は、頂面344からドーム形の端面353まで軸方向に突き出た工具係合構造352を更に含んでいる。工具係合構造352は、図11に示すねじ回し工具31を係合させる働きをする。工具31は、ソケットの形をした駆動構造を含んでいる。工具31は、工具係合構造352の周りに嵌り込んで、ソケット及び嵌合突起を形成し、軸部304の本体306を駆動して椎骨15にねじ込むことができるように作られている。具体的には、図29及び図32の実施形態では、工具係合構造352は、ねじが切られた軸部304の本体306と同軸の六角形状の伸張頭部の形状をしている。
軸部304の端面353は、骨スクリューのアッセンブリ301を組み立て、軸部304が頭部10に対してどの様な整列状態になったときでも、ロッド21と積極的に係合するように、各図に示すように曲線(曲面)状又はドーム形をしているのが望ましい。或る特定の実施形態では、面353は、滑らかである。本発明の実施に当たっての要件ではないが、面353には、面353とロッド21の間の摩擦係合を更に増すため、刻み目やローレットを施してもよい。
各図に示す軸部304は、軸部304の全長に亘って軸A’に沿って伸張している小さい中央の内径部354を有し、カニューレが挿入される。内径部354は、軸部304の先端328の第1円形口356と、ドーム形の面353の第2円形口358と、を有している。内径部354は、ねじの切られた本体306と同軸である。内径部354は、軸部304の本体306の挿入に先立ち椎骨15に挿入され、軸部304の本体306を椎骨15に挿入する際の案内となる、或る長さのワイヤ(図示せず)を通す軸部304内の通路を提供している。
二部品又は二要素構成の保持構造312は、軸部304の捕捉構造308を頭部10内で保持すると共に、軸部304の本体306を頭部10に対して関節運動させるのに使用されている。保持構造312は、図29から図31でよく分かるように、軸部304に付帯する細長い軸A’と同じ作動中心軸を有している。保持構造312は、別個の第1要素又は部品360と、別個の鏡像関係にある第2要素又は部品362と、を含んでいる。部品360と362は、下で詳しく説明するように、装着されると、協働して、頭部10内で捕捉構造308の周りに拘束及び関節運動用の不連続なカラー又はコレットを提供する。
保持部品又は要素360と362は、捕捉構造308と頭部10の着座面82の両方を滑動可能に且つ密接して把持し、ロッド21と閉鎖構造18又は他の型式の長手方向部材と閉鎖構造とによって軸部304のドーム形の面353に力が掛けられると、軸部304と頭部10の間に球形の着座面82で一様で均一的な把持面を提供する。
ここでは二要素構成の保持構造312を示しているが、保持構造312は、それぞれ捕捉構造308と頭部10の着座面82の両方と滑動可能に摩擦的に噛み合うことができる、2個から複数個の要素から構成されていてもよいと予測される。各要素は、寸法がまちまちであってもよく、また、必ずしも互いに鏡像関係になくてもよい。
保持構造312の各部品360と362は、実質的に球形の外側面364と365をそれぞれ含んでおり、各外側面364、365は、頭部10の着座面82の半径R1と実質的に一致する半径を有している。部品360と362は、それぞれの平坦な頂面367と368、及びそれぞれの平坦な底面370と371を含んでいる。頂面367と底面370とは、実質的に平行である。頂面368と底面371も実質的に平行である。底面370と371は、図32に示すように頭部10に完全に装着されると、軸部304の環状の着座面345に当接して着座し、頂面367と368は、捕捉構造308の面344と平行且つ実質的に面一に配置される。
特に図30に示すように、保持構造312の部品360と362それぞれは、上又は下から見ると、各頂面367と368から各底面370と371までの空白部又は貫通路373と374それぞれを取り巻いて形成されたC字型形状を有している。各通路373と374は、部分的には、傾斜した又は勾配が付いた内側の円錐形の面376と377それぞれによって画定されている。面376は、半円形の頂縁380と半円形の底縁381とを有している。面377は、半円形の頂縁382と半円形の底縁383とを有している。保持構造312の部品360と362が、実質的に球形の面364と365を球形の着座面82と摩擦接触させ、底面370と371を軸部304の環状着座面345に着座させた状態で、頭部10内に作動的に配置されると、内側の円錐形の面376と377は、底面370と371それぞれに対する傾斜の度合いが、捕捉構造308の円錐形の表面338の、着座面345に対する傾斜の度合いに対応又は一致する配置になるので、面338と面376及び377との両方の間には実質的に完全な摩擦接触が作り出される。
図31に示すように、内側の円錐形の面376及び377は、図面には滑らか又は平坦に示されているが、上記各面376、377は、粗し又は研削して、捕捉構造308との摩擦接触を高めるようにしてもよいと予測される。追加的又は代替的に、捕捉構造308の円錐面388は、粗し又は何らかの方法で研削して、保持構造312との摩擦接触を強化してもよい。更に、頭部10の実質的に球形の着座面82と接触する保持構造312の外側面364と365も、ローレット面のような高摩擦面であってもよい。
保持構造312の部品360は、更に、頂面367と底面370それぞれに対して垂直に配置された、平坦な端壁386と387も含んでいる。保持構造312の部品362は、頂面368と底面371それぞれに対して垂直に配置された、平坦な端壁389と390を含んでいる。壁386、387、389、及び390それぞれは、頂部の面取り部396を含んでいる。保持構造312の部品360と362は、実質的に球形の面364と365が球形の着座面82と滑動的に摩擦接触し、底面370と371が軸部304の環状着座面345に着座した状態で、頭部10内に作動的に配置されると、端壁386と387が各端壁389と390に対して間隔を空けて実質的に平行な関係となるように作られているが、互いに接触した状態となるように作られていてもよい。面取り部395は、保持構造312の部品360と362を、頭部10のの中で捕捉構造308の周りに、ここで引き続き説明する本発明の方法によって装着するための隙間空間を提供している。
図33に示すように、多軸骨スクリューのアッセンブリ301が本発明による使用に際して設置される前に、保持構造312の要素360と362は、通常は先ず、矢印397で示すように頭部U字型の溝66に挿入され又は上から装入され、次いで、キャビティ78の中に入れられ、保持構造312が頭部10の内側面80に隣接して配置される。代わりのやり方では、一方の保持構造312の要素360は、溝66に挿入され又は上方装入され、他方の保持構造312の要素362は口部84(図示せず)を通してキャビティ78の中に挿入され又は下方装入される。別の代わりのやり方では、要素360と362の両方が、口部84(図示せず)を通して挿入され又は上向きに装入される。
図33及び図34に示すように、保持構造312の要素360と362がキャビティ78の中に配置された後、軸部304は、口部84を通して頭部10の中に挿入され又は上向きに装入される。捕捉構造308の円錐面338の外側円形縁348は、各保持構造312の要素360と362の勾配が付いた内側面376と377に接触する。最初は、3つの構成要素全て、即ち捕捉構造308と要素360と要素362とは、矢印398で示すように上向きに動く。次いで、軸部304が矢印398で示すように上向きにキャビティ78の中へと動き続けるにつれ、保持構造312の要素360と362が、縁部348回りに回転して、図34及び図35に矢印399と400で示すように、基部60に向けて下向きに且つ捕捉構造308の周りに半径方向に動き始める。
図35に示すように、要素360と362は、底面370と371が、図36に示すように、軸部304の環状着座面345に当接してその上に着座するまで、下向きに動き続ける。一旦、環状着座面345に着座すると、保持構造312の勾配が付いた面376と377は、捕捉構造308の円錐形の面338と摩擦係合する。
次いで、軸部304を僅かに下向きに動かすのは、保持面(外側面)364と365を頭部10の着座面82と滑動的に係合させて、軸部/保持構造アッセンブリを頭部10のキャビティ78内に完全に着座させる上で望ましい。保持構造312は、これで頭部10内に完全に着座し、軸部304の捕捉構造308と同軸に整列している。この時点で、捕捉構造308、保持構造312、頭部10の着座面82、及び頭部10の拘束頚部83は、協働して、軸部304の本体306を頭部10と回転可能な関係に維持する。保持構造312だけが、頭部10の球形の着座面82と滑動可能に係合している。捕捉構造308と、軸部304の本体306のねじが切られた部分は、共に、頭部10と間隔を置いて配置された関係にある。アッセンブリ1に関して図10に示したものと同様の回転範囲が、本発明のアッセンブリ301でも可能である。軸部304の本体306は、頭部10に対して左右及び前後方向の何れにも実質的に角度方向の回転を介して回転させることができるので、実質的には、回転の角度が軸部304の本体306の頚部326と頭部10の拘束頚部83との係合のみで拘束される、自在継ぎ手又はボールジョイントを提供している。
アッセンブリ1に関してここで先に説明した図12及び図14から図16に示すように、アッセンブリ301も同様に、ねじ回し工具31を使用し、これを軸部304の六角形の伸張部又は工具係合頭部352に係合させ、軸部304を作動的に駆動及び回転させて軸部304を回すことにより、椎骨15の様な骨にねじ込まれる。ねじ回し工具31を頭部352に係合させる際、その端部は、捕捉構造308の頂面344に当接して摩擦係合するのが望ましい。
通常、頭部10と保持構造312は、軸部304の本体306を椎骨15に植え込む前に軸部304に組み付けられる。アッセンブリ1に関してここで説明している、骨スクリューの挿入に備えて椎骨15に前処理を施す各段階、骨スクリューを植え込む工程、ロッド整復及び閉鎖蓋装着工程、及び閉鎖蓋取り外し工程は、アッセンブリ301でも同様に行われる。このような各工程並びに上で説明したアッセンブリ1の装置を、ここでアッセンブリ301に関する参考資料として援用する。
ここでは、本発明の或る特定の形態を例示し説明してきたが、本発明は、説明及び図示した特定の部品の形態又は配置に限定されるものではないものと理解されたい。