JP2011174568A - モータ用カップリング - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ用カップリング1は、ステータ11及び該ステータ11に対して回転するロータ12を有するモータ10のロータ12と、該ロータ12の回転動力を伝達する動力伝達手段20に設けられた入力軸21とを連結する。モータ用カップリング1は、円柱形状の軸体2と固定部材3とを有する。軸体2は、入力軸21に連結され、該入力軸21の径よりも小さい径をなす小径部が形成される。固定部材3は、軸体2をロータ12に固定する。
【選択図】図1
Description
そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、出力軸及び入力軸の回転方向の剛性が高く、モータの制御帯域を高くすることができるモータ用カップリングを提供することにある。
前記入力軸に連結され、該入力軸の径よりも小さい径をなす小径部が形成された円柱形状の軸体と、該軸体を前記ロータに固定する固定部材とを有することを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、モータと動力伝達手段とを連結するモータ用カップリングを、前記動力伝達手段の入力軸の径よりも小さな径で形成された小径部が形成された軸体で連結したので、前記小径部の曲がりで、偏心や傾きなどの取付け誤差を吸収し、回転方向の剛性の高いモータ用カップリングを提供することができる。
1.5×10−10≦(L3/D4)/E≦1.5×10−9
請求項3に係る発明によれば、中空構造をなす前記ロータ内に前記軸体を収容したので、前記モータと、前記モータ用カップリングと、前記動力伝達手段とがそれぞれ軸方向に一列に配置された構成にあっては、軸方向の寸法を短くすることができ、省スペース化を実現できる。
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のモータ用カップリングにおいて、前記動力伝達手段が、減速機又はボールねじであることを特徴としている。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係るモータ用カップリングの第1の実施形態における構成を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態のモータ用カップリング1は、モータ10のロータ12と、該ロータ12の回転動力を伝達する動力伝達手段20に設けられた入力軸21とを連結する手段である。動力伝達手段20は、固定具50によってモータ10に固定されている。
モータ10は、いわゆる中空モータを用いる。具体的には、図1に示すように、固定子であるステータ11と、回転子であり、円筒形状をなすロータ12と、ステータ11とロータ12との間に介在してロータ12を回転可能に支持する軸受13とを有して構成されている。
また、ステータ11には、該ステータ11とロータ12との間に位置し、ロータ12に回転トルクを付与するコイル14が設けられている。
軸受13は、内輪13a及び外輪13bを有して構成されている。内輪13aは、ステータ11の外周面に嵌合し、内輪押え15により軸方向に押圧された状態でステータ11に固定されている。外輪13bは、ロータ12の内周面に嵌合し、外輪押え16により軸方向に押圧された状態でロータ12に固定されている。
なお、モータ10は、中空モータの代わりに、一般的なモータを使用してもよいが、軸体2の長さ分だけ、装置全体の軸方向の寸法が長くなるので、中空モータを使用するのが好ましい。
モータ用カップリング1は、軸体2と固定部材3とを有する。軸体2は円柱形状をなしている。軸体2には、軸方向の少なくとも一部の区間の径が、入力軸21の径よりも小さい径をなす小径部2aが形成されている。この軸体2の一端2bは入力軸21に連結されている。軸体2の一端2bと、入力軸21との連結方法としては、例えば圧入などが挙げられる。ここで、軸体2の一端2bの入力軸21への連結部分は、図1に示すように、入力軸21に対してR面2dが形成されて、応力集中を防止する形状としてもよい。
固定部材3は、円盤形状をなす本体部3aと、該本体部3aの周縁部に沿って形成されたフランジ部3bとから構成される。
軸体2の他端2cは、本体部3aのほぼ中心部に圧入、ねじ止め、緊縛などによって固定されている。そして、フランジ部3bは円筒形状をなすロータ12の一端面に固定されている。
動力伝達手段20としては、減速機やボールねじが挙げられる。これらのうち、減速機としては、遊星歯車減速機、ハーモニックドライブ減速機(登録商標)、サイクロ減速機(登録商標)などが挙げられるが、剛性が大きく、バックラッシュがない減速機に本実施形態のモータ用カップリング1を用いることにより、より顕著な効果を得ることができる。
本発明に係るモータ用カップリング1は、軸体2に形成した小径部2aによってモータ10の駆動時におけるベンディング(曲がり)を発生させることにより、モータ10のロータ12に対する動力伝達手段20の入力軸21の幾何学的偏心や傾きを吸収する構成としている。ただし、軸体2のねじり方向の剛性が小さくなると、回転方向の共振周波数が低くなって、モータ10が制御できる回転数が低くなってしまう。このため、軸体2のねじり方向の剛性をなるべく下げずに、曲げ方向の剛性をできるだけ小さくする構成とした。
δ≒F×L3/D4 ・・・・・・・・・・式(1)
θ≒M×L/D4 ・・・・・・・・・・・式(2)
Fθ≒(Kθ×(M1+M2)/M1M2)1/2 ・・・・・・式(3)
ここで、本発明に係るモータ用カップリング1は、下記式(4)を満たすことが好ましい。なお、下記式(4)において、Eは小径部の縦弾性係数(Pa)、Lは小径部の長さ(mm)、Dは小径部の直径(mm)を示す(L及びDは図1参照)。
1.5×10−10≦(L3/D4)/E≦1.5×10−9 ・・・・式(4)
上記式(4)を満たす場合、幾何学的な誤差が0.1mm〜1.0mmの範囲であれば、偏心による誤差を十分吸収することが可能となり、実用上の問題はなくなる。
本発明者らは、偏心による誤差を十分吸収することが可能となる条件を特定するために、上述の構成において、前記「幾何学的な誤差」としての軸部の曲がり量が0.1mm〜1mm及び1mmを超えたときの小径部の軸長と、小径部の軸径と、(L3/D4)/Eの値との関係を実施例1〜3として検証した。
本実施例では、小径部の直径Dを5mmとして、小径部の軸長Lと、(L3/D4)/Eの値と、ねじれ方向の共振周波数とを検証した。その検証結果を表1に示す。また、小径部の軸長Lと、(L3/D4)/Eの値、及び共振周波数との関係を図2にグラフで示す。なお、本実施例では、断面二次モーメントIを30.7とした。
表1及び図2(a)に示すように、横弾性係数Gを2.64×1010(Pa)とした実施例1−1〜1−4及び比較例1−1のうち、軸部の曲がり量(撓み)が0.1000mm〜1.001mmとなる実施例1−1〜1−4の軸長Lは18.6mm〜40.1mmであり、軸部の曲がり量(撓み)が2.000mmとなる比較例1−1の軸長Lは50.5mmであった。
また、図2(b)に示すように、小径部の軸長Lが長くなるほど、共振周波数が低くなることがわかる。なお、上述したように、軸体のねじれ方向の共振周波数は、モータ10の制御領域の2〜10倍以上であれば、モータ用カップリングとして問題なく使用できるので、実際のモータの制御帯域は、検証された共振周波数以下の周波数範囲となる。
本実施例では、小径部の直径Dを10mmとして、小径部の軸長Lと、(L3/D4)/Eの値と、ねじれ方向の共振周波数とを検証した。その検証結果を表2に示す。また、小径部の軸長Lと、(L3/D4)/Eの値及び共振周波数との関係を図3にグラフで示す。なお、本実施例では、断面二次モーメントIを490.9とした。
本実施例では、小径部の直径Dを20mmとして、小径部の軸長Lと、(L3/D4)/Eの値と、ねじれ方向の共振周波数とを検証した。その検証結果を表3に示す。また、小径部の軸長Lと、(L3/D4)/Eの値及び共振周波数との関係を図4にグラフで示す。なお、本実施例では、断面二次モーメントIを7854.0とした。
これら実施例1〜3の検証結果から、(L3/D4)/Eの値を算出すると、軸部の曲がり量(撓み)を0.1mm〜1mmとするための(L3/D4)/Eの値は、上記式(4)の範囲に特定される。
ここで、前記「幾何学的な誤差」としての軸部の曲がり量(撓み)の値を1mm以上(1mm以上の誤差を吸収する条件)とすることもできるが、その分、回転方向の共振周波数が低くなるので、上記各実施例では、1mmを上限としている。
なお、本実施形態の変形例として、軸体2の周囲にゴム材料を焼き付けたり、軸体2を中空軸としてその中に潤滑剤を充填するなどして、軸体2にダンピングを付与してもよい。
モータ10として、アウターロータ型のモータを使用した場合は、モータ10の駆動トルクを大きくできるので、装置全体の出力トルクを大きくすることができる。
一方、モータ10として、インナーロータ型のモータを使用した場合は、ロータ12の慣性を小さくできるので、装置全体の高速応答性を向上させることができる。なお、モータ10として、図1のように中空構造のアウターロータ型のモータを使用した場合は、その中空部に小径部2aを配設できるので、装置全体の軸方向寸法を小さくすることができる。
図5は、本発明に係るモータ用カップリングの第2の実施形態における構成を示す断面図である。本実施形態は、軸体2における小径部2aの形成範囲が前述の第1の実施形態と異なるだけであるので、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、図1と重複する部材等については符号を流用する。
図5に示すように、本実施形態では、軸体2における小径部2aの軸方向の形成範囲を軸体2の軸方向の長さの半分程度としている。
図6は、本発明に係るモータ用カップリングの第3の実施形態における構成を示す部分断面図である。本実施形態は、動力伝達手段が前述の第1の実施形態と異なるだけであるので、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、図1と重複する部材等については符号を流用する。
テーブル60は、基台(図示せず)の上面に対して垂直なナット取付面61を有している。このナット取付面61にはナット32の一端に設けられたフランジ70が複数本の締結ボルト100によって締結されており、ナット32はナット32内を挿通するねじ軸31及びボール34と共にボールねじ装置30を構成している。
なお、動力伝達手段20は、ボールねじ装置の他に、ローラねじ装置としてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、モータと動力伝達手段とを径の小さな小径部が形成された軸体で連結し、小径部の曲がりで、モータによる偏心や傾きなどの取付け誤差を吸収し、回転方向の剛性の高いモータ用カップリングを提供できる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
2 軸体
2a 小径部
3 固定手段
10 モータ
11 ステータ
12 ロータ
20 動力伝達手段(減速機)
21 入力軸
30 動力伝達手段(ボールねじ)
31 入力軸(ねじ軸)
Claims (4)
- ステータ及び該ステータに対して回転するロータを有するモータの前記ロータと、該ロータの回転動力を伝達する動力伝達手段に設けられた入力軸とを連結するモータ用カップリングであって、
前記入力軸に連結され、該入力軸の径よりも小さい径をなす小径部が形成された円柱形状の軸体と、該軸体を前記ロータに固定する固定部材とを有することを特徴とするモータ用カップリング。 - 前記小径部の縦弾性係数をEとし、前記小径部の長さをLとし、前記小径部の径をDとしたとき、下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のモータ用カップリング。
1.5×10−10≦(L3/D4)/E≦1.5×10−9 - 前記ロータが中空構造をなし、該ロータ内に前記軸体が収容されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ用カップリング。
- 前記動力伝達手段が、減速機又はボールねじであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のモータ用カップリング。
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