JP2011173191A - ロール金型の製造方法及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents

ロール金型の製造方法及び光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ロールツーロール法により製造される光学フィルムにシワが発生するのを抑制できるロール金型の製造方法を提供する。
【解決手段】本実施の形態によるロール金型の製造方法では、バイト31を備えた旋盤装置1を準備する。次に、ロール100を旋盤装置1に取り付ける。次に、旋盤加工中に生じるバイトの磨耗量に応じて設定される切り込み量に基づいて、旋盤加工により、前記ロール100の表面に、X軸方向に配列される複数の溝を形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ロール金型の製造方法及び光学フィルムの製造方法に関し、さらに詳しくは、ロール金型の製造方法及び、構造化された表面を有する光学フィルムの製造方法に関する。
光学フィルムは、構造化された表面を有する。換言すれば、光学フィルムは、微細な凹凸が形成された表面を有する。光学フィルムはたとえば、導光フィルムやプリズムシート、レンチキュラレンズシート、マイクロレンズアレイである。
光学フィルムは通常、射出成形法により製造される。特開平10−278062号公報(特許文献1)には、射出成形法により光学フィルム(導光フィルム)を製造する方法が記載されている。
特開平10−278062号公報
射出成形法により光学フィルムを製造する場合、サイズの大きい光学フィルムを製造しにくい。また、射出成形法はバッチ処理であるため、生産性が低い。
光学フィルムを製造する他の方法に、ロールツーロール法がある。ロールツーロール法では、ロール金型を使用する。ロール金型によりフィルムの表面が賦形され、光学フィルムが製造される。ロールツーロール法は、連続的に光学フィルムを製造するため、射出成形と比較して生産性が向上する。さらに、ロールツーロール法では、サイズの大きな導光フィルム等の光学フィルムも製造できる。
ロールツーロール法により光学フィルムを製造する場合、製造された光学フィルムを巻き取りロールに巻き取る。しかしながら、光学フィルムを巻き取るとき、光学フィルムにシワが発生する場合がある。シワが発生すれば、光学フィルムの巻姿が悪くなる。
本発明の目的は、ロールツーロール法により製造される光学フィルムにシワが発生するのを抑制できるロール金型の製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明によるロール金型の製造方法は、光学フィルムの製造に利用されるロール金型を製造する。ロール金型の製造方法は、バイトを備えた旋盤装置を準備する工程と、ロールを旋盤装置に取り付ける工程と、旋盤加工により生じるバイトの磨耗量に応じて設定される切り込み量に基づいて、旋盤加工により、ロールの表面に、ロールの軸方向に配列された複数の溝を形成する工程とを備える。
本発明によれば、バイトの磨耗量に応じて切り込み量が調整される。そのため、ロールに形成される複数の溝の深さのばらつきを低減できる。そのため、製造された光学フィルムの表面に形成される凹凸の高さのばらつきを低減できる。したがって、光学フィルムを巻き取りロールに巻き取るときに、光学フィルムにシワが発生しにくい。
好ましくは、ロールは、第1端面及び第2端面を備える。複数の溝を形成する工程は、第1端面から第2端面に向かってロール表面上に溝を順番に形成する。複数の溝を形成する工程はさらに、第1〜第n切り込み量(nは2以上の自然数)を設定する工程と、第n−1切り込み量で1又は複数の溝を形成した後、第n切り込み量で新たな1又は複数の溝を形成する工程とを備える。
この場合、複数の切り込み量を設定することにより、ロールに形成される複数の溝の深さのばらつきを低減できる。
好ましくは、第1〜第n切り込み量を設定する工程は、第n−1切り込み量により複数の溝が形成された後のバイトの磨耗量に基づいて、第n切り込み量を設定する。
この場合、バイトの磨耗量に基づいて第nの切り込み量を設定することにより、第n切り込み量の精度を向上することができる。
好ましくは、第1〜第n切り込み量を設定する工程は、ロールと同じ材質及び大きさを有するサンプルロールを準備する工程と、旋盤装置にサンプルロールを取り付ける工程と、第1切り込み量に基づいて、第1端面から第2端面に向かって複数の溝を形成する工程と、形成された複数の溝の深さを測定し、形成された溝数に対応するバイトの磨耗量を決定する工程と、決定されたバイトの摩耗量に基づいて、第n切り込み量を設定する工程とを備える。
この場合、第n切り込み量の精度を向上することができる。
本発明による光学フィルムの製造方法は、上述のロール金型を準備する工程と、樹脂からなるフィルム素材を準備する工程と、ロール金型によりフィルム素材の表面を賦形して光学フィルムを製造する工程とを備える。
光学フィルムの製造に利用されるロール金型の斜視図である。 図1に示したII―II線での断面の拡大図である。 図1に示したロール金型を用いて製造した光学フィルムの断面図である。 本発明の実施の形態による旋盤装置の構成を示す概略図である。 図4に示した移動データテーブルを示す図である。 図4に示す旋盤装置を用いて設定切り込み量を設定する動作を示すフロー図である。 本発明の実施の形態によるサンプルロールに溝を形成する工程を示す模式図である。 図7に続く工程を示す模式図である。 図6の動作でサンプルロールに形成された溝の実測深さの一例を説明するための図である。 図9に基づいて設定される設定切り込み量の一例を説明するための図である。 本発明の実施の形態によるロール金型を示す拡大図である。 図11に示したロール金型の製造方法を示すフロー図である。 図11に示したロール金型を用いて製造された光学フィルムの断面図である。 本発明の実施の形態による活性エネルギ線硬化樹脂を用いた光学フィルムの製造装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態による熱成形による光学フィルムの製造装置を示す概略図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
本発明者らは、ロールツーロール法により製造される光学フィルムにシワが発生する原因を調査した。その結果、次に示す原因により、光学フィルムにシワが発生することを見出した。
図1はロールツーロール法に利用されるロール金型10の斜視図である。図1を参照して、ロール金型10は、ロール胴部120と、ロール軸部110とを備える。ロール軸部110は、ロール金型10の軸12と同軸に配置される。ロール胴部120は、円柱状のロール表面103と、端面101及び102とを備える。
ロール表面103には、複数の溝GR1〜GRi(iは自然数)が形成される。複数の溝GR1〜GRiは、軸12方向に配列する。各溝GR1〜GRiは、ロール表面103の周方向に延びる。
図2は、図1中のII−II線での断面図である。図2を参照して、本例では、各溝GR1〜GRiの横断形状は三角形状である。しかしながら、溝GR1〜GRiの横断形状は三角形状に限定されない。たとえば、溝GR1〜GRiの横断形状は弓状であってもよいし、矩形状であってもよい。溝GR1〜GRiは、深さD1〜Diを有する。
図3は、ロール金型10を用いて製造される光学フィルム300の断面図である。図3を参照して、光学フィルム300は、複数の柱状光学素子OE1〜OEiを備える。複数の柱状光学素子OE1〜OEiは、各柱状光学素子OE1〜OEiの横断方向に並んで配列される。各柱状光学素子OE1〜OEiの横断面は、ロール金型10の溝GR1〜GRnの横断面に対応する。要するに、溝GR1〜GRnにより、複数の柱状光学素子OE1〜OEiが形成される。図3では柱状光学素子OE1〜OEiは線状プリズムである。しかしながら、柱状光学素子はシリンドリカルレンズであってもよいし、矩形状や台形状の横断面を有する柱状光学素子であってもよい。
本発明者らは、図1に示すロール金型10を用いてロールツーロール法により光学フィルム300を製造した。その結果、光学フィルム300にシワが発生し、光学フィルム300の巻姿が悪かった。そこで、本発明者らは、シワの発生原因を調査した。
初めに、本発明者らは、光学フィルム300の各柱状光学素子OE1〜OEiの高さを調査した。その結果、柱状光学素子OE1〜OEiの高さは一定ではなく、ばらついていた。より具体的には、柱状光学素子の高さは、OE1からOEiに向かって徐々に低くなっていた。
そこで、本発明者らは、柱状光学素子OE1〜OEiを形成する溝GR1〜GRiの深さを調査した。調査の結果、ロール金型10の溝GR1〜GRiの深さが一定ではなく、ばらついていた。より具体的には、溝の深さは、GR1からGRiに向かって徐々に小さくなっていた。
以上の調査の結果、本発明者らは、以下の原理により、光学フィルム300にシワが発生すると考えた。溝GR1〜GRiの深さのばらつきにより、柱状光学素子OE1〜OEiの高さにばらつきが生じる。柱状光学素子OE1〜OEiの高さにばらつきが生じるため、巻き取り時の光学フィルム300にシワが発生する。
以上の知見に基づいて、本発明者らは、溝GR1〜GRiの高さのばらつきを抑えれば、光学フィルム300にシワが発生するのを抑制できると考えた。そこで、本発明者らはさらに、溝GR1〜GRiの高さがばらつく原因を検討した。
溝GR1〜GRiはバイトを用いた旋盤加工により形成される。溝は、GR1から、GR2、GR3、・・・、GRi−1、GRiの順番で形成される。溝が順次形成されるに従って、バイトが磨耗する。このバイトの磨耗により、溝GR1〜GRiの深さにばらつきが生じると考えられる。
以上の検討に基づいて、本発明者らは、旋盤加工時に、バイトの磨耗量を考慮した切り込み量を設定することにより、溝GR1〜GRiの深さのばらつきを低減できると考え、本発明を完成した。以下、本発明の詳細を説明する。
[旋盤装置の構成]
本実施の形態によるロール金型は、図4に示す旋盤装置を用いて製造される。以下、旋盤装置1の構成について説明する。
図4を参照して、旋盤装置1は、ベッド40と、主軸台50と、往復台30と、心押台45と、制御装置20とを備える。
主軸台50は、旋盤装置1の一端に配置され、心押台45は、旋盤装置1の他端に配置される。主軸台50は、心押台45と対向する側面に、図示しないチャックを備える。心押台45は、主軸台50と対向する側面に、図示しないチャックを備える。主軸台50のチャック及び心押台45のチャックにより、ロール金型の素材となるロール100(溝GR1〜GRiが形成されていないロール)が、旋盤装置1に回転可能に取り付けられる。
主軸台50はさらに、図示しないモータを備える。このモータにより、ロール100は回転する。心押台45は、ベッド40上に配置される。心押台45は、ベッド40上でロール100の軸方向に移動できる。以降、ロール100の軸方向をX軸方向という。
往復台30は、ベッド40上に配置される。往復台30は、図示しないモータにより、x軸方向に移動できる。往復台30は、横送り台と、サーボモータと、刃物台とを備える。横送り台は、サーボモータにより、X軸と垂直な水平方向(つまり、ロールの径方向)に移動できる。以降、横送り台の移動軸をY軸という。Y軸はX軸と略水平面上で直交する。
刃物台は、横送り台に固定される。刃物台にはバイト31が取り付けられる。往復台30は、バイト31をX軸方向及びY軸方向に移動する。バイト31は刃物である。バイト31の先端形状は、ロール金型10の溝GR1〜GRiの横断形状に対応する。したがって、本例ではバイト31の先端形状は三角形状である。
制御装置20は、旋盤装置1を制御する。制御装置20は、制御部21と、表示部22と、操作部23と、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)24と、インターフェイス25とを備える。
制御部21は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)及びメモリを含む。表示部22は、たとえば、液晶ディスプレイである。操作部23は、たとえば、マウス及びキーボード等である。操作部23は、ユーザ操作を受け付ける。
HDD24は、旋盤装置1の制御プログラムを記憶する。制御プログラムが制御部21内のメモリにロードされ、CPUで実行されることにより、制御装置20は旋盤装置1を制御する。このとき、制御装置20は、インターフェイス25を介して、旋盤装置1を制御する。
HDD24はさらに、旋盤加工時のバイト31の移動データテーブル24Aを記憶する。移動データテーブルは、バイト31の切り込み量に関するデータと、バイト31のロールの軸方向(X軸)への移動量に関するデータとを含む。切り込み量は、各溝GR1〜GRiに対応して設定される。切り込み量は、ロール100の表面からY軸方向へのバイト31の移動量を示し、溝GR1〜GRiの設定深さに相当する。X軸方向への移動量は、各溝GR1〜GRiのピッチPGRに対応して設定される。
本実施の形態では、溝GR1〜GRiの深さのばらつきを抑制するために、切り込み量は、バイト31の磨耗量に応じて設定される。以下、設定される切り込み量について説明する。
[移動データテーブル24A]
図5は、移動データテーブル24Aの一例を示す図である。図5を参照して、移動データテーブル24Aは、溝番号が登録されるフィールドと、設定切り込み量番号が登録されるフィールドと、設定切り込み量が登録されるフィールドと、Y軸移動量が登録されるフィールドと、X軸移動量が登録されるフィールドとを含む。
「溝番号」フィールドには、ロール100に形成される溝の識別番号が登録される。本例では、溝番号は、図2と対応したGR1〜GRiである。「切り込み量番号」フィールドには、対応する溝番号の溝を形成するときに使用される設定切り込み量の識別番号が登録される。「設定切り込み量」フィールドには、切り込み量番号に対応する設定切り込み量(μm)が登録される。
「Y軸移動量」フィールドには、溝GR1〜GRi形成時のバイト31のY軸方向への移動量が登録される。本例では、旋盤加工時、バイト31は溝を形成した後、ロール100の表面から所定距離(本例では100μm)離れた位置まで移動する。次に、設定された溝間のピッチだけX軸方向にバイト31が移動する。次に、バイト31がY軸方向にY軸移動量だけ移動して、新たな溝を形成する。要するに、Y軸移動量は、設定切り込み量に所定距離を加算した値である。
「X軸移動量」フィールドには、バイト31のX軸方向への移動量が登録される。本例では、各溝GR1からGRiは、バイト31がY軸移動量だけ移動することにより形成される。そのため、バイト31の刃先の形状は、溝GR1〜GRiの形状に相当する。X移動量は、溝GR1〜GRiのピッチPGRに相当する。本例では、図5に示すとおり、ピッチPGRは30μmである。ピッチPGRは、光学フィルムの種類等に適宜設定される。たとえば、光学フィルム300が導光フィルムである場合、ピッチPGRは一定でなくてもよい。溝GR1〜GRiに進むに従って、ピッチPGRを徐々に小さくしてもよい。
図5を参照して、設定切り込み量は、溝番号が大きくなるに従って大きくなる。つまり、設定切り込み量は一定ではなく、複数の設定切り込み量が設定される。仮に、設定切り込み量が1つのみ設定された場合、図2に示すとおり、バイト31の磨耗量に基づいて、溝GR1〜GRiの深さがばらつく。形成された溝数が多くなるほど、バイト31の磨耗量は大きくなる。したがって、溝GR1〜GRiの深さが略一定になるように、バイト31の磨耗量に応じて設定切り込み量が設定される。
[設定切り込み量の設定方法]
設定切り込み量の設定は、形成される溝数に応じたバイト31の磨耗量に基づいて設定されれば、特に限定されない。以下に、設定切り込み量の設定方法の一例を説明する。
図6は、設定切り込み量の設定方法の一例を示すフロー図である。図6を参照して、本例では、ロールと同じ材質及び形状を有するサンプルロールを準備する(S101)。そして、準備されたサンプルロールを旋盤装置1に取り付ける(S102)。
次に、基準設定切り込み量を設定する(S103)。ここでは、サンプルロールに形成される各溝用の設定切り込み量を一定とする。以降、ステップS103で設定された設定切り込み量を基準設定切り込み量という。本例では、基準設定切り込み量を1.0μmと仮定して説明を続ける。
基準設定切り込み量に基づいて、サンプルロールを旋盤加工してロール金型10を製造する(S104)。図7を参照して、バイト31を、溝GR1を形成する位置に配置する。次に、図8を参照して、バイト31を、基準設定切り込み量に基づいてY軸方向に移動して、溝GR1を形成する。上述のとおり、バイト31の刃先31Aの形状は溝GR1〜GRiの横断形状に相当する。そのため、バイト31を基準設定切り込み量分Y軸方向に移動すれば、溝GR1が形成される。
溝GR1を形成した後、バイト31をロール100から離れるように、Y軸方向に移動する。そしてロール表面から所定距離離れた位置でバイト31を停止する。次に、バイト31を、ピッチPGRに相当する距離だけX軸方向に移動する。移動後、基準設定切り込み量に基づいてバイト31をY軸方向に移動して、溝GR2を形成する。以上の動作を繰り返し、基準設定切り込み量に基づいて、ロール100に溝GR1〜GRiを形成する。
次に、形成された溝GR1〜GRiの深さD1〜Diを測定する(S105)。仮に、バイト31が磨耗しなければ、溝GR1〜GRiの深さD1〜Diは基準設定切り込み量(本例では1.0μm)で一定のはずである。しかしながら、旋盤加工中にバイト31は磨耗する。磨耗したバイト31により形成された溝の深さは、基準設定切り込み量よりも小さくなる。換言すれば、バイト31が磨耗するほど、溝の深さは浅くなる。
そこで、形成された溝GR1〜GRiの深さを測定することにより、溝GRk(kは自然数、1≦k≦i)におけるバイト31の磨耗量を決定する。
ステップS105では、溝GR1〜GRiの各々の深さを測定してもよいし、図9に示すとおり、複数の溝から選択された溝(GR1、GR101、GR201、・・・)の深さを測定してもよい。光学フィルム300に形成される柱状光学素子OE1〜OEiの数は多数であり、高さ及びピッチも数μm〜数十μm程度である。したがって、全ての溝GR1〜GRiの深さを測定するのは困難な場合がある。したがって好ましくは、複数の溝から選択された溝の深さを測定する。
測定結果の一例を図9に示す。図9中の「溝番号」フィールドには、深さが測定された溝の識別番号が示される。「実測溝深さ」フィールドには、対応する溝番号の溝の測定結果が示される。
次に、測定結果に基づいて、所定の溝GR1〜GRiを形成した時点でのバイト31の磨耗量を決定する(S106)。本例では、以下の式(1)により、溝GRkを形成した時点でのバイト磨耗量(μm)を決定する。
バイト磨耗量=基準切り込み量(μm)−溝番号GRkの実測溝深さ(μm) (1)
決定されたバイト磨耗量を図9に示す。続いて、ステップS106の結果に基づいて、設定切り込み量を決定する(S107)。
本例では、溝100個単位で設定切り込み量を変更する。n個の設定切り込み量が設定された場合、第n設定切り込み量(μm)は、以下の式(2)により決定される。
第n設定切り込み量=第n−1設定切り込み量により溝を形成した後のバイト31の磨耗量+基準設定切り込み量 (2)
図10は、式(2)により決定された設定切り込み量と溝番号とを関係を示す図である。図9及び図10を参照して、たとえば、溝GR101〜GR200を形成する第2設定切り込み量は、次のとおり決定される。
本例では、第1設定切り込み量(=1.0μm)により、溝GR1〜GR100が形成される。そこで、第1設定切り込み量により溝GR1〜GR100を形成することにより生じたバイト31の磨耗量を特定する。図9より、このときの磨耗量は0.009μmである。次に、式(2)により、溝GR101〜GR200までの形成に使用する第2設定切り込み量は、以下のとおり決定される。
第2設定切り込み量=0.009μm+1.0μm=1.009μm
同様に、第3〜第6設定切り込み量は図10のとおり決定される。第7〜第n設定切り込み量も、同様の方法で決定される。
上述のように、設定切り込み量の設定方法では、バイトの磨耗量に基づいて第nの切り込み量を設定する。そのため、第n設定切り込み量の精度を向上することができる。
また、設定切り込み量の設定方法では、サンプルロールにより、形成される溝数とバイトの磨耗量との関係を求める。そのため、第n切り込み量の精度を向上することができる。
上記例では、溝を100個形成するごとに設定切り込み量を変更する。しかしながら、設定切り込み量の設定数はこれに限定されない。上述の方法により、各溝ごとに設定切り込み量を決定してもよい。また、実測した溝深さに基づいて、外挿補間又は内挿補間により、実測していない溝番号の溝深さを予測して、バイト磨耗量を求めてもよい。
以上の方法により、第1〜第n設定切り込み量が決定される。図9及び図10のテーブルは、HDD24に格納されてもよい。また、上述のバイト磨耗量及び設定切り込み量は制御部21により求められてもよい。また、旋盤装置1の作業者その他の利用者が設定切り込み量を求め、求めた設定切り込み量を、操作部23を用いてHDD24に登録してもよい。
以上のとおり設定された設定切り込み量を用いて、以降に説明する製造方法でロール金型を製造する。図11に、本実施の形態による製造方法で製造されたロール金型70の模式図を示す。本実施の形態による製造方法により製造されたロール金型70の溝GR1〜GRiの深さD1〜Diのばらつきは、図1のロール金型10と比較して、抑制される。以下、本実施の形態によるロール金型の製造方法の詳細を説明する。
[ロール金型の製造方法]
図12は、図6で求めた設定切り込み量を用いたロール金型の製造方法の一例を示すフロー図である。
図12を参照して、初めに、旋盤装置1を準備する(S1)。このとき、溝GR1〜GRiの形状に対応する刃先31Aを有するバイト31を、往復台30に固定する。次に、ロール100を旋盤装置1に取り付ける(S2)。
次に、旋盤加工を開始する(S3〜S8)。作業者が操作部23を操作し、制御装置20がインターフェイス25を介して旋盤装置1の制御を開始する。ロール100は主軸台50により、回転を開始する。
制御部21は、カウント値k=1に設定する(S3)。続いて、制御部21は、HDD24に格納された移動データテーブルを参照して、溝GR1に対応する設定切り込み量を特定する(S4)。本例では、溝GR1に対応する設定切り込み量は、第1設定切り込み量(=1.0μm)である。そこで、制御部21は、第1設定切り込み量に基づいて、溝GR1を形成する(S5)。制御部21は、移動データテーブル24A内の第1設定切り込み量に対応するY軸移動量を読み出す。そして、往復台30内の横送り台をY軸移動量だけY軸方向に移動する。これにより、バイト31の切り込み量は第1設定切り込み量と等しくなる。溝GR1が形成された後、制御部21は横送り台をY軸移動量だけ戻す。つまり、バイト31をY軸上の元の位置に戻す。以上の工程により、溝GR1が形成される。
次に、制御部21は、kがiであるか否かを判断する(S6)。kがi未満である場合、ロール金型70は未完成である。そのため、制御部21はkをインクリメントして、k+1にする(S7)。ここでは、k=2となる。
次に、制御部21は、移動データテーブル24Aを参照して、溝番号GR2に対応するX軸移動量を読み出す。そして、往復台30を制御してバイト31を読み出されたX軸移動量(本例では30μm)だけ移動する(S8)。移動後、制御部21はステップS4以降の動作を繰り返し、溝GR2を形成する。
以上の工程を繰り返し、溝GR1〜GRiを形成する。制御部21は溝GR101を形成するとき、移動データテーブル24Aに基づいて、第1設定切り込み量ではなく第2設定切り込み量を読み出す(S4)。そして、制御部21は、第2設定切り込み量に基づいて、溝GR101を形成する(S5)。
全ての溝GR1〜GRiを形成したとき(S6でYES)。制御部21は旋盤加工を終了する。以上の工程により、ロール金型70が製造される。
上述の工程では、溝GR1〜GRiは、旋盤加工中のバイトの磨耗量に応じた複数の設定切り込み量で形成される。上述のとおり、複数の設定切り込み量は、溝GR1〜GRiの深さがなるべく一定となるように設定されている。したがって、溝GR1〜GRiの深さのばらつきは低減される。
また、複数の設定切り込み量が設定されることにより、複数の溝の深さのばらつきが低減する。
図13は、ロール金型70を用いて製造された光学フィルム700の断面図である。光学フィルム700では、複数の柱状光学素子OE1〜OEiの高さのばらつきが低減される。そのため、ロール金型70を用いて製造された光学フィルム700では、シワが発生しにくく、巻姿を改善できる。以下、ロール金型70を用いた光学フィルムの製造方法について説明する。
[光学フィルムの製造方法]
本実施の形態による光学フィルムの製造方法では、ロール金型70により、光学フィルム700の原料となるフィルム素材の表面を賦形し、複数の柱状光学素子OE1〜OEiを形成する。光学フィルムの製造方法には、活性エネルギ線により硬化する活性エネルギ線硬化樹脂を用いて複数の柱状光学素子OE1〜OEiを形成する方法と、溶融樹脂を賦形して複数の柱状光学素子OE1〜OEiを形成する方法とがある。以下、それぞれの方法について説明する。
[活性エネルギ線硬化樹脂を用いた光学フィルムの製造方法]
図14は、活性エネルギ線硬化樹脂を用いた光学フィルムの製造装置を示す図である。
図14を参照して、製造装置は、供給ロール401と、巻取ロール402と、塗布装置403と、ロール金型70と、照射装置406とを備える。
供給ロール401には、基材350が巻かれている。基材350はフィルム状であり、周知の樹脂からなる。基材350はたとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。基材350は供給ロール401から巻き出され、ロール金型70に向かって搬送される。塗布装置403は、ロール金型70の上方に配置される。塗布装置403は、未硬化の活性エネルギ線硬化樹脂をロール金型70表面に塗布する。塗布装置403はたとえば、ダイコータである。活性エネルギ線硬化樹脂は、電子線や紫外線に代表される活性エネルギ線により硬化する樹脂である。活性エネルギ線硬化樹脂はたとえば、アクリル系の紫外線硬化樹脂である。
ロール金型表面に塗布された活性エネルギ線硬化樹脂は、塗布膜360を形成する。そして、塗布膜360は、基材350上に付着する。このとき、塗布膜360は、ロール金型70と基材350との間に挟まれる。塗布膜360と基材350とはフィルム素材370を構成する。換言すれば、フィルム素材370は塗布膜360と基材350とを備える。フィルム素材370は光学フィルム700の素材である。
ロール金型70により、フィルム素材370内の塗布膜360の表面が賦形される。照射装置406は活性エネルギ線を照射する。そのため、表面が賦形された塗布膜360が硬化し、光学フィルム700が形成される。
形成された光学フィルム700は、巻取ロール402に巻き取られる。ロール金型70を利用することにより、光学フィルム700の柱状光学素子OE1〜OEiの高さは略一定である。そのため、巻き取り中の光学フィルム700にシワが発生しにくく、良好な巻姿を維持する。
[熱成形による光学フィルムの製造方法]
図15は、熱成形による光学フィルム700の製造装置を示す図である。
図15を参照して、熱成形による光学フィルム700の製造装置は、冷却ロール501と、巻取ロール502と、塗布装置503と、ロール金型70とを備える。
塗布装置503は、フィルム状の溶融樹脂を押し出す。溶融樹脂とは、周知の樹脂が加熱され、融解されたものである。溶融樹脂は、たとえば、ポリカーボネイト(PC)、アクリル、ポリエチレン(PE)、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱可塑性エラストマー等である。フィルム状の溶融樹脂は、光学フィルム700の素材となる。以降、フィルム状の溶融樹脂をフィルム素材370と定義する。
フィルム素材370が冷却ロール501に冷却されながら、ロール金型70により賦形される。以上の工程により、表面が賦形された光学フィルム700が形成される。
形成された光学フィルム700は巻取ロール502に巻き取られる。ロール金型70を利用することにより、光学フィルム700の柱状光学素子OE1〜OEiの高さは略一定である。そのため、巻き取り中の光学フィルム700にシワが発生しにくく、良好な巻姿を維持する。
[他の実施の形態]
本実施の形態では、光学フィルムの一例として、表面が賦形された導光フィルムを用いて説明したがこれに限定されない。例えば、プリズムシートなどでもよい。本実施の形態によるロール金型の製造方法は、大型の導光フィルム用のロール金型の製造に特に適している。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
1 旋盤装置
10,70 ロール金型
45 心押台
50 主軸台
100 ロール
101,102 端面
300 光学フィルム
370 フィルム素材

Claims (5)

  1. 光学フィルムの製造に利用されるロール金型の製造方法であって、
    バイトを備えた旋盤装置を準備する工程と、
    ロールを前記旋盤装置に取り付ける工程と、
    旋盤加工中に生じるバイトの磨耗量に応じて設定される切り込み量に基づいて、前記旋盤加工により、前記ロールの表面に、前記ロールの軸方向に配列された複数の溝を形成する工程とを備える、ロール金型の製造方法。
  2. 請求項1に記載のロール金型の製造方法であって、
    前記ロールは、第1端面及び第2端面を備え、
    前記複数の溝を形成する工程は、
    前記第1端面から前記第2端面に向かって前記ロール表面上に前記溝を順番に形成し、
    第1〜第n切り込み量(nは2以上の自然数)を設定する工程と、
    前記第n−1切り込み量で1又は複数の溝を形成した後、第n切り込み量で新たな1又は複数の溝を形成する工程とを備える、ロール金型の製造方法。
  3. 請求項2に記載のロール金型の製造方法であって、
    前記第1〜第n切り込み量を設定する工程は、第n−1切り込み量により複数の溝が形成された後の前記バイトの磨耗量に基づいて、前記第n切り込み量を設定する、ロール金型の製造方法。
  4. 請求項3に記載のロール金型の製造方法であって、
    前記第1〜第n切り込み量を設定する工程は、
    前記ロールと同じ材質及び大きさを有するサンプルロールを準備する工程と、
    前記旋盤装置にサンプルロールを取り付ける工程と、
    前記第1切り込み量に基づいて、前記第1端面から前記第2端面に向かって複数の溝を形成する工程と、
    前記形成された複数の溝の深さを測定し、測定結果に基づいて、前記形成された溝数に対応する前記バイトの磨耗量を決定する工程と、
    決定された前記バイトの磨耗量に基づいて、第n切り込み量を設定する工程とを備える、ロール金型の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のロール金型を準備する工程と、
    樹脂からなるフィルム素材を準備する工程と、
    前記ロール金型により前記フィルム素材の表面を賦形して光学フィルムを製造する工程とを備える、光学フィルムの製造方法。
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JP2013215849A (ja) * 2012-04-10 2013-10-24 Kobe Steel Ltd 切削工具及び切削方法

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