JP2011173082A - 振動発生器 - Google Patents

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聡 澤野
Eiichiro Hashimoto
栄一郎 橋本
Hitoo Togashi
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Abstract

【課題】ストローク端付近において大きな磁気推力を得る。
【解決手段】コイル21を巻いた円柱形状の中央ヨーク25の両端面にカップ状のバックヨーク26Aを結合することで固定子を形成し、永久磁石30を有する可動子と固定子を弾性体で連結する。バックヨーク26Aは、永久磁石30のN極面と対向する対向面を有し、該対向面に溝60Aが設けられる。可動子が振動中心付近に位置するときには、溝60Aの持つ高い磁気抵抗が障壁となってコイル21の鎖交磁束量が抑制される。可動子が上方に移動して溝60Aの部分を越えると、溝60Aの上方側に磁路313aが形成されるため、可動子の変位量に対する鎖交磁束の変化量が大きくなって、大きな磁気推力が得られる。
【選択図】図17

Description

本発明は、携帯機器などに搭載される振動発生器に関する。
携帯電話機等の携帯機器には、携帯機器そのもの又は携帯機器の付属品内に振動発生器を収納しておき、この振動発生器を振動させることで人体に着信を感知させるものがある。
例えば、図23に示されるような断面構造を有する振動発生器901が提案されている(下記特許文献1参照)。振動発生器901は、多角形状の外ヨーク904と、この外ヨーク904の内側に位置する筒状の内ヨーク903と、この内ヨーク903の中央部分に巻かれた巻き線であるコイル部902と、外ヨーク904の内周側に設けられたマグネット部905と、を備える。内ヨーク903は中心にシャフト908を有しており、このシャフト908は内ヨーク903の底面から突出している。振動発生器901における固定子は、少なくとも内ヨーク903を含んで形成される。内ヨーク903は、シャフト908の突出部と基台909の凹部との嵌合により位置決めされ、基台909上に固定される。基台909と内ヨーク903との間に板バネ906が挟まれている。コイル部902は、基台909の底面から伸びたランド911と電気的に結合しており、このランド911から給電される。外蓋907は、内ヨーク903及び外ヨーク904を覆う蓋であり、基台909に設けられた蓋カシメ部910を用いて基台909に固定されている。
板バネ906は、外ヨーク904がつりあい点より下方向に動いたときに外ヨーク904を上方向に移動させる力(機械推力)を与え、外ヨーク904がつりあい点より上方向に動いたときに外ヨーク904を下方向に移動させる力(機械推力)を与える。ランド911を介してコイル部902に電流を供給することで、マグネット部905及び外ヨーク904から成る可動子を上下方向に振動させる振動磁界が発生する。この振動磁界による磁気推力と板バネ906による機械推力を利用して、可動子を振動させることができる。
特開2003−181376号公報
携帯機器の小型化に伴い、携帯機器に用いられる振動発生器の小型化も要求される。一方で、ユーザへの振動体感を低下させないため振動量の低下は許容されがたい。しかしながら、振動発生器を小型化すると、部品寸法の制約から固定子に磁気飽和が生じやすくなり、結果、ストローク端における推力が低下する。ストローク端とは、可動子の振動中心(上記つりあい点に相当)からの変位量が最大となる位置を指す。
所望の振動量を得るべく、振動発生器を形成する部品の機械的特性及びコイルへの供給電流の特性などには、満たすべき一定の仕様条件が定められる。例えば、可動子と固定子を連結する弾性体(板バネ906に相当)の共振周波数を(fO−Δf)以上且つ(fO+Δf)以下に収めなければならないという仕様条件が定められる。fOは共振周波数の設計値であり、Δfは許容誤差である。ストローク端における推力の低下は、このような仕様条件を厳しくする方向に作用する。つまり例えば、許容誤差Δfを小さくする方向に作用する。許容誤差Δfが小さくなれば、大量生産される振動発生器の歩留まりが低くなる、或いは、歩留まりの低下を避けるために特別な製造的配慮を成す必要が生じてくる。
尚、磁気飽和がストローク端における推力低下を招く理由、及び、ストローク端における推力低下が上記仕様条件を厳格化させる理由については、後に設けた説明からも明らかとなる。
本発明は、ストローク端付近において比較的高い推力を得ることのできる振動発生器を提供することを目的とする。
本発明に係る振動発生器は、永久磁石を有する可動子と、前記可動子を振動させるための磁界を発生するコイル、前記コイルが巻かれた磁性体から成る第1ヨーク部、及び、前記第1ヨーク部の両端に位置する磁性体から成る第2ヨーク部を有する固定子と、前記可動子が振動可能なように前記固定子と前記可動子を連結する弾性体と、を備えた振動発生器において、前記第2ヨーク部は、前記永久磁石の一方の磁極面に対向する対向面を持つ対向ヨーク部を有し、前記永久磁石による前記コイルの鎖交磁束を抑制するための磁気抵抗部を前記対向ヨーク部に設けたことを特徴とする。
可動子の振動方向における可動子の移動はコイルの鎖交磁束を変化させ、コイルの鎖交磁束の変化は可動子に磁気推力を発生させる。一方、可動子の振動過程において、鎖交磁束の増大を無条件に認めたならば固定子のヨーク部分が容易に磁気飽和しやすくなり、磁気飽和が発生すると可動子の変位に対する磁気推力の発生量が低下する。これを考慮し、鎖交磁束を抑制するための磁気抵抗部を対向ヨーク部に設ける。これにより、磁気抵抗部が磁束通過の障壁となって磁気飽和の発生がおこりにくくなり、磁気飽和が比較的おこりやすい条件化においても(例えば、可動子がストローク端付近に位置しているときにおいても)、比較的大きな磁気推力を得ることが可能となる。
具体的には例えば、前記磁気抵抗部は、前記可動子の振動方向における前記可動子の振動範囲の両端位置よりも前記可動子の振動中心側に設けられる。
これにより、可動子が振動中心に近い部分に位置しているときには、磁気抵抗部の影響で鎖交磁束の増大が比較的低く抑えられ、磁気飽和の発生に至るまでの磁束増大許容量が温存される。一方で、磁気抵抗部が可動子の振動範囲の両端位置よりも可動子の振動中心側に設けられているため、可動子がストローク端(可動子の振動範囲の両端)付近に位置しているときには、磁気抵抗部の影響が弱くなる。また、上述の如く磁気飽和の発生に至るまでの磁束増大許容量も温存されているため、可動子がストローク端付近に位置しているときには、可動子の変位に対する鎖交磁束の変化量を大きくすることができ、結果、比較的大きな磁気推力を得ることが可能となる。
具体的には例えば、前記可動子の振動方向に直交する平面に沿った、前記対向ヨーク部の磁性体の断面積を、部分的に小さくすることで前記磁気抵抗部が形成される。
また具体的には例えば、前記対向ヨーク部の磁性体に溝又は穴が設けられ、空気、又は、前記対向ヨーク部の磁性体よりも比透磁率の小さい部材が、前記溝又は前記穴に配置されることで前記磁気抵抗部が形成される。
本発明に係る他の振動発生器は、永久磁石を有する可動子と、前記可動子を振動させるための磁界を発生するコイル、前記コイルが巻かれた磁性体から成る第1ヨーク部、及び、前記第1ヨーク部の両端に位置する磁性体から成る第2ヨーク部を有する固定子と、前記可動子が振動可能なように前記固定子と前記可動子を連結する弾性体と、を備えた振動発生器において、前記第2ヨーク部は、前記永久磁石の一方の磁極面に対向する対向面を持つ対向ヨーク部を有し、前記対向ヨーク部の磁性体に溝又は穴が設けられ、前記溝又は前記穴は、前記可動子の振動方向において前記可動子の振動範囲の両端位置よりも前記可動子の振動中心側に設けられる。
可動子の振動方向における可動子の移動はコイルの鎖交磁束を変化させ、コイルの鎖交磁束の変化は可動子に磁気推力を発生させる。一方、可動子の振動過程において、鎖交磁束の増大を無条件に認めたならば固定子のヨーク部分が容易に磁気飽和しやすくなり、磁気飽和が発生すると可動子の変位に対する磁気推力の発生量が低下する。これを考慮し、溝又は穴を対向ヨーク部に設ける。これにより、溝又は穴が磁束通過の障壁となって磁気飽和の発生がおこりにくくなり、磁気飽和が比較的おこりやすい条件化においても(例えば、可動子がストローク端付近に位置しているときにおいても)、比較的大きな磁気推力を得ることが可能となる。
可動子が振動中心に近い部分に位置しているときには、溝又は穴による磁気抵抗の影響で鎖交磁束の増大が比較的低く抑えられ、磁気飽和の発生に至るまでの磁束増大許容量が温存される。一方で、溝又は穴が可動子の振動範囲の両端位置よりも可動子の振動中心側に設けられているため、可動子がストローク端(可動子の振動範囲の両端)付近に位置しているときには、溝又は穴による磁気抵抗の影響が弱くなる。また、上述の如く磁気飽和の発生に至るまでの磁束増大許容量も温存されているため、可動子がストローク端付近に位置しているときには、可動子の変位に対する鎖交磁束の変化量を大きくすることができ、結果、比較的大きな磁気推力を得ることが可能となる。
また具体的には例えば、上記の何れかの振動発生器において、前記対向ヨーク部は、前記コイルの外周側に位置する筒形状の磁性体であり、前記対向面は、前記永久磁石よりも前記コイル側に位置するとともに前記筒形状の磁性体の外周面であり、前記永久磁石からの磁束は、前記対向面及び前記対向ヨーク部を経由して前記第1ヨーク部を通ることで前記コイルを鎖交し、前記筒形状の磁性体の内周面若しくは外周面に前記溝が設けられる、又は、前記内周面及び前記外周面間に前記穴が設けられる。
本発明によれば、ストローク端付近において比較的高い推力を得ることのできる振動発生器を提供することが可能である。
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
本発明の実施形態に係る振動発生器の外観斜視図である。 図1の振動発生器を2つに割った時の外観斜視図である。 図1の振動発生器の断面図である。 図1の振動発生器の分解図である。 図1の振動発生器に設けられた固定子ヨークを形成する中央ヨーク及びバックヨークの外観斜視図(a)及び(b)と、中央ヨークのZ断面図(c)である。 コイルが巻かれた中央ヨークと2つのバックヨークとの結合方法を示す図である。 図1の振動発生器に設けられた永久磁石の、X軸に沿った断面図である。 図1の振動発生器における振動動作を説明するための図である。 XZ座標面の第1象限内における、基本構造の固定子ヨークのZ断面図(a)と、該基本構造に係る固定子ヨークの形状を説明するための図(b)である。 可動子が上方ストローク端及び下方ストローク端に位置している時における、可動子及び固定子のZ断面図である。 第1特殊構造に係る固定子ヨークのZ断面図である。 第2特殊構造に係る固定子ヨークのZ断面図である。 第3特殊構造に係る固定子ヨークのZ断面図である。 第4特殊構造に係る固定子ヨークのZ断面図である。 第5特殊構造に係る固定子ヨークのZ断面図(a)(d)と、第5特殊構造に係る固定子ヨークの側面図(b)と、第5特殊構造に係るバックヨークのQ−Q’断面図である。 基本構造において形成される磁路を説明するための図である。 第1特殊構造において形成される磁路を説明するための図である。 可動子の変位量と永久磁石によるコイルの鎖交磁束との関係を示す図である。 可動子の変位量と推力定数との関係を示す図である。 コイルに供給する交流電流の周波数と可動子の振動加速度との関係を示す図である。 可動子の変位量と推力定数との関係を示すグラフに、コイルに供給する交流電流(励磁電流)の波形例を重畳した図である。 可動子の永久磁石の変形構造を示す図である。 従来の振動発生器の断面構造を示す図である。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る振動発生器1の外観斜視図である。振動発生器1は、ボタン電池のような高さの比較的低い円柱形状の外形を有している。その円柱の中心軸に沿って振動発生器1を2つに切って得られる片方の部材(振動発生器1の半分)の外観斜視図を図2に示す。また、その片方の部材を側面から見た平面図、即ち、上記中心軸に沿った面を断面とする、振動発生器1の断面図を図3に示す。図4は、振動発生器1の構成部材の分解図である。振動発生器1は、例えば、携帯電話機のような携帯機器の内部又は該携帯機器の付属品内部に設けられる。それら以外の任意の機器(例えばゲーム機器)に振動発生器1を搭載することも可能である。
振動発生器1は、内部に空洞を有する円柱形状のケース10と、磁性材料にて形成された固定子ヨーク20と、固定子ヨーク20に巻かれたコイル21と、円筒形状を有する永久磁石30と、永久磁石30の外周側に設けられた円筒形状の重量体31と、弾性体であるバネ材41及び42とを有する。図4に示す如く、ケース10は、円盤状のケース部材11とカップ状のケース部材12を接合することで形成される。尚、図示の便宜上、図2においてコイル21の図示を省略しており、図4においてコイル21並びにバネ材41及び42の図示を省略している。
固定子ヨーク20及びコイル21によって固定子が形成され、永久磁石30及び重量体31によって可動子が形成される。固定子及び可動子並びにバネ材41及び42は、ケース10内部に収容される。固定子をケース10に固定する一方で、バネ材41及び42を用いて可動子をケース10内で振動可能なように配置することで振動発生器1が形成される。尚、溝などで形成される磁気抵抗部を固定子ヨーク20に設けることができるが、磁気抵抗部の詳細については後述することとし、磁気抵抗部を持たない構造を先に説明する(従って、図2等では磁気抵抗部が示されていない)。
コイル21の中心軸をZ軸と定義する。そうすると、図3は、Z軸に沿った平面を断面とする、振動発生器1の断面図に相当する。可動子の振動方向はZ軸と平行である。以下、Z軸に沿った断面をZ断面と呼ぶと共にZ断面を断面とする断面図をZ断面図と呼ぶ。また、Z断面図上において、Z軸に直交する軸をX軸と定義する。X軸に沿った断面をX断面と呼ぶと共にX断面を断面とする断面図をX断面図と呼ぶ。X軸とZ軸は、固定子ヨーク20の中心点と一致する原点Oにて交差する。更に、X軸とZ軸を座標軸とする二次元直交座標面をXZ座標面と呼ぶ。また、特に断りなき限り、以下の説明における第1〜第4象限とは、XZ座標面における第1〜第4象限を指す。
ケース10内に配置された固定子ヨーク20、永久磁石30及び重量体31は、全て、Z軸を回転軸とする回転体であると言える。XZ座標面において、ケース10内に配置された固定子ヨーク20は、Z軸及びX軸の夫々に対して線対称の構造を有している。XZ座標面において、永久磁石30及び重量体31は、Z軸に対して線対称の構造を有していると共に可動子の振動停止時においてはX軸に対しても線対称の構造を有している。
図5(a)及び(b)は、固定子ヨーク20の構成部材である中央ヨーク(第1ヨーク部)25及びバックヨーク(第2ヨーク部)26の外観斜視図であり、図5(c)は、中央ヨーク25のZ断面図である。図6は、コイル21が巻かれた中央ヨーク25と2つのバックヨーク26との結合方法を示す図である。
中央ヨーク25は、円柱形状のヨーク(棒状のヨーク)であり、中央ヨーク25の外周面に沿ってコイル21が巻かれる。中央ヨーク25の外形形状である円柱の中心軸は、コイル21の中心軸であるZ軸に一致する。バックヨーク26は、上面及び下面の内、一方の面にのみ磁性材料の底面を有する円筒形状のヨークであり、カップ状の外形を有している。バックヨーク26の内周半径は、中央ヨーク25の外周半径よりも大きい。中央ヨーク25の円柱の両端面の夫々には突出部が存在し(図5(c)参照)、バックヨーク26の底面の中央には穴が開いている。図6に示す如く、中央ヨーク25にコイル21を巻いた後、中央ヨーク25の上面の突出部を第1のバックヨーク26の穴に嵌め込むことで中央ヨーク25の上面と第1のバックヨーク26の底面を密着させて中央ヨーク25及び第1のバックヨーク26を結合し、且つ、中央ヨーク25の下面の突出部を第2のバックヨーク26の穴に嵌め込むことで中央ヨーク25の下面と第2のバックヨーク26の底面を密着させて中央ヨーク25及び第2のバックヨーク26を結合する。これにより、コイル21が巻かれた固定子ヨーク20が形成される。尚、固定子ヨーク20の形状を示す図面(図2〜図4並びに後述する図8(a)及び(b)等)において、上記の突出部がバックヨーク26の底面からはみ出していないが、そのはみ出しが発生するような突出部を中央ヨーク25に設けるようにしても構わない。
永久磁石30及び重量体31の夫々は、上述したように、Z軸を中心軸とする円筒形状(輪形状)の外形を有する。従って、図7に示す如く、永久磁石30は、X断面図において、内周と内周よりも半径の大きい外周とを有する輪状図形を描く。重量体31も同様である。永久磁石30の外周面と重量体31の内周面が接するように永久磁石30と重量体31が結合されることによって可動子が形成される。重量体31は、可動子の質量を所望の質量に設定するための重りである。中央ヨーク25及びバックヨーク26は磁性体から成る。永久磁石30の比透磁率は1に近い値(例えば、1.1)を有する一方で、中央ヨーク25及びバックヨーク26を形成する磁性体の比透磁率は十分に大きな値(例えば、数百〜数万)を有する。重量体31の比透磁率は任意である。本明細書において、磁性体と磁性材料は同義である。
本実施形態では、永久磁石30の内周側がN極、永久磁石30の外周側がS極であると想定する(勿論、それらを逆にすることも可能である)。従って、永久磁石30の内周面及び外周面はそれぞれN極面及びS極面であり、永久磁石30のN極面はコイル21の外周面に対向している(図3等参照)。
バネ材41はZ軸方向が伸張方向となるように、その一端がケース10の上方側の内面(ケース部材12の内面)に固定されると共に、その他端が可動子の上面に結合されている。バネ材42はZ軸方向が伸張方向となるように、その一端がケース10の下方側の内面(ケース部材11)に固定されると共に、その他端が可動子の下面に結合されている。このため、可動子を上方向に移動させる力を加えれば、Z軸方向にバネ材41が縮む一方でバネ材42が伸び、可動子を下方向に移動させる力を加えれば、Z軸方向にバネ材41が伸びる一方でバネ材42が縮む。ここで、上方向はZ軸の正側の方向に対応し、下方向はZ軸の負側の方向に対応している。
図1及び図6を含む各図面には示されていないが、固定子ヨーク20及びケース10に設けられた穴などを介して、コイル21の両端に電気的に接続された一対のリード線がケース10の外側に引き出されている。この一対のリード線に交流電圧を印加することでコイル21に交流電流が流れ、該交流電流に応じた磁界が固定子ヨーク20に現れる。
コイル21に電流を流しておらず、可動子の振動が停止している時、バネ材41及び42による推力(以下、機械推力という)が均衡して、Z軸方向における可動子の中心はX軸上に位置する。コイル21に交流電流を流すことで磁界が発生し、これによって可動子をZ軸方向に振動させる磁気による推力(以下、磁気推力という)が発生して、磁気推力と機械推力に従い可動子がZ軸方向に振動する。
コイル21に第1方向の電流を流した時には、図8(a)に示す如く、固定子ヨーク20の上側及び下側が夫々N極及びS極になり、永久磁石30のN極と固定子ヨーク20の上側磁極(N極)とが反発しあう一方で永久磁石30のN極と固定子ヨーク20の下側磁極(S極)とが吸引しあうため、可動子を下方向(Z軸の負側)に向かわせる磁気推力が発生する。一方、コイル21に第1方向とは逆の第2方向の電流を流した時には、図8(b)に示す如く、固定子ヨーク20の上側及び下側が夫々S極及びN極になり、永久磁石30のN極と固定子ヨーク20の下側磁極(N極)とが反発しあう一方で永久磁石30のN極と固定子ヨーク20の上側磁極(S極)とが吸引しあうため、可動子を上方向(Z軸の正側)に向かわせる磁気推力が発生する。
尚、固定子はケース10に固定されていると共にバネ材41及び42の各一端もケース10に固定されているため、バネ材41及び42は、ケース10を介して固定子と可動子を連結する弾性体であると言える。或いは、ケース10自体も固定子の構成部材に含まれる、と考えることもできる。また、可動子がZ軸方向に振動可能となるように、ケース10を介することなく固定子と可動子を直接的に弾性体にて連結するようにしてもよい。
図9(a)は、XZ座標面上の、固定子ヨーク20、永久磁石30及び重量体31を表している。但し、図示の煩雑化防止のため、図9(a)には、XZ座標面の第1象限内のそれらの形状のみを示している。XZ座標面における注目点の位置を(x,z)にて表し、位置(x,z)に配置された点を点(x,z)と表記する。注目点に対するx及びzは、夫々、注目点のX座標値(X軸上の座標値)及びZ座標値(Z軸上の座標値)を表している。
XZ座標面の第1象限において、固定子ヨーク20は、第1〜第3四角形を連結した図形を成す(図9(b)も参照)。第1四角形は、点(0,0)と一致する原点O、点(x1,0)、点(x1,z3)及び点(0,z3)を4頂点とする長方形であり、第2四角形は、点(x1,z2)、点(x2,z2)、点(x2,z3)及び点(x1,z3)を4頂点とする長方形であり、第3四角形は、点(x2,z1)、点(x3,z1)、点(x3,z3)及び点(x2,z3)を4頂点とする長方形である。固定子ヨーク20の内、この第3四角形を描くヨーク部分を、対向ヨーク部50と呼ぶ。固定子ヨーク20の内、第2及び第3四角形を描くヨーク部分はバックヨーク26に含まれる。第1四角形を描くヨーク部分の大半は中央ヨーク25に含まれるが、第1四角形を描くヨーク部分の内、第2四角形に隣接する一部分のみはバックヨーク26に含まれる。
XZ座標面の第1象限において、永久磁石30は、点(x4,0)、点(x5,0)、点(x5,zQ)及び点(x4,zQ)を4頂点とする長方形を成し、重量体31は、点(x5,0)、点(x6,0)、点(x6,zQ)及び点(x5,zQ)を4頂点とする長方形を成す。ここで、0<x1<x2<x3<x4<x5<x6、且つ、0<z1<z2<z3、である。
X軸方向におけるバックヨーク26の外周面(即ち固定子ヨーク20の外周面)は、永久磁石30の内面面(即ちN極面)と空隙52を介して対向している。X軸方向におけるバックヨーク26の外周面を符号51によって表し、それを対向面と呼ぶ。対向面51は対向ヨーク部50の外周面でもある。対向面51と永久磁石30との間の空隙52の厚み方向はX軸方向であり、空隙52の厚みは(x4−x3)によって表される。
Z軸方向における永久磁石30の上端位置を表すZ座標値をzQで表す(上述したように、上方向はZ軸の正側の方向に対応し、下方向はZ軸の負側の方向に対応している)。Z座標値zQは、可動子の振動過程において様々な値をとるが、Z座標値zQの下限値及び上限値は夫々zQL及びzQUであるとする。即ち、図10(a)に示す如くzQ=zQUとなる位置と、図10(b)に示す如くzQ=zQLとなる位置との間を、可動子はZ軸方向に沿って往復運動する。zQL<zQUであり、且つ、0<zQUである。zQ=zQLであるとき、Z軸方向における永久磁石30の下端位置を表すZ座標値は(−zQL)となる(但し、誤差などを無視)。コイル21に電流を流しておらず可動子の振動が停止している時、Z軸方向における可動子の中心はX軸上に位置し、zQ=(zQU+zQL)/2となる。従って、X軸は、可動子の振動中心線又は振動中心と呼べる。
Z座標値zQがzQUとなる可動子の位置を上方ストローク端と呼び、Z座標値zQがzQLとなる可動子の位置を下方ストローク端と呼ぶ。上方ストローク端及び/又は下方ストローク端を、単にストローク端と呼ぶこともある。
上述してきた振動発生器1の構造を基本構造と呼ぶ。基本構造においては、本実施形態の特徴部である磁気抵抗部が設けられていない。磁気抵抗部は、対向ヨーク部50(図9(a)参照)に設けられ、可動子がストローク端近辺の或る範囲に位置しているときにおいて、中央ヨーク25を通ってコイル21を鎖交する、永久磁石30による磁束の量を抑制するように作用する。以下、基本構造に磁気抵抗部を設けた構造の例を、第1〜第6特殊構造として説明する。各特殊構造の説明において、特に述べられない事項に関しては、矛盾無き限り上述の基本構造の説明が各特殊構造に適用され、この適用の際、共通の名称を有する複数の部材間の符号の相違は適宜無視される。例えば、基本構造のバックヨークに対する記載を第1特殊構造に適用する際、基本構造のバックヨークの符号である“26”と第1特殊構造のバックヨークの符号である“26A”との相違は、無視される。基本構造の説明と各特殊構造の説明との間に矛盾が生じる場合、各特殊構造の説明が優先される。
[第1特殊構造]
第1特殊構造を説明する。図11(a)及び(b)は、第1特殊構造に係る固定子ヨーク20AのZ断面図である。但し、図11(b)には、XZ座標面の第1象限内における、固定子ヨーク20AのZ断面のみが示されている。第1特殊構造では、固定子ヨーク20A、バックヨーク26A、対向ヨーク部50A及び対向面51Aが、それぞれ固定子ヨーク20、バックヨーク26、対向ヨーク部50及び対向面51として機能し、溝60Aが磁気抵抗部として機能する。
固定子ヨーク20Aは、中央ヨーク25とバックヨーク26Aから形成され、バックヨーク26Aは対向面51Aを有する対向ヨーク部50Aを備える。基本構造におけるバックヨーク26及び対向ヨーク部50に溝60Aを設けることで、バックヨーク26A及び対向ヨーク部50Aが形成される。溝60Aの存否を除き、第1特殊構造と基本構造は同じである。
基本構造と同様、固定子ヨーク20AはZ軸を回転軸とする回転体であって、XZ座標面において、固定子ヨーク20AはZ軸及びX軸の夫々に対して線対称の構造を有している(後述の固定子ヨーク20B、20C及び20Dにおいても同様)。
図11(b)を参照して、XZ座標面上における、第1象限内の溝60Aの形状を説明する。溝60Aは、対向ヨーク部50Aの外周面側に設けられる。XZ座標面の第1象限内において、溝60Aは、点(xA,zA1)、点(x3,zA1)、点(x3,zA2)及び点(xA,zA2)を4頂点とする長方形を描く。ここで、少なくとも不等式「x2<xA<x3」及び「z1<zA1<zA2<z3」が成立する。zA1及びzA2とz2との大小関係は任意である。即ち、図11(b)に示す例では、z2<zA1<zA2となっているが、zA1<z2<zA2であっても良いし、zA1<zA2<z2であっても良い。また、zA1=z2、又は、zA2=z2であっても良い。
可動子の振動過程において永久磁石30の上端位置が溝60AのZ座標値部分を横切るような位置に溝60Aが設けられる。即ち、溝60Aは「zQL<zA1<zA2<zQU」となるように設けられる(図10(a)及び(b)も参照)。また、望ましくは、可動子の中心が振動中心に位置するとき(即ち、永久磁石30の上端のZ座標値zQが(zQL+zQU)/2であるとき)において、永久磁石30の上端位置が溝60Aの下端位置(zA1)よりも下方側に位置するように振動発生器1を形成すると良い。即ち、「(zQL+zQU)/2<zA1」となるように溝60Aを設けることが望ましい。磁気抵抗部としての溝60Aの働きについては後述することとし、先に、磁気抵抗部の他の例を説明する。
[第2特殊構造]
第2特殊構造を説明する。図12(a)及び(b)は、第2特殊構造に係る固定子ヨーク20BのZ断面図である。但し、図12(b)には、XZ座標面の第1象限内における、固定子ヨーク20BのZ断面のみが示されている。第2特殊構造では、固定子ヨーク20B、バックヨーク26B、対向ヨーク部50B及び対向面51Bが、それぞれ固定子ヨーク20、バックヨーク26、対向ヨーク部50及び対向面51として機能し、溝60Bが磁気抵抗部として機能する。
固定子ヨーク20Bは、中央ヨーク25とバックヨーク26Bから形成され、バックヨーク26Bは対向面51Bを有する対向ヨーク部50Bを備える。基本構造におけるバックヨーク26及び対向ヨーク部50に溝60Bを設けることで、バックヨーク26B及び対向ヨーク部50Bが形成される。溝60Bの存否を除き、第2特殊構造と基本構造は同じであり、第1特殊構造に係るバックヨーク26Aの溝60Aを溝60Bに置き換えることでバックヨーク26Bが形成される。
図12(b)を参照して、XZ座標面上における、第1象限内の溝60Bの形状を説明する。溝60Bは、対向ヨーク部50Bの外周面側に設けられる。XZ座標面の第1象限内において、溝60Bは、点(xB,zB2)、点(x3,zB1)及び点(x3,zB3)を3頂点とする三角形を描く。ここで、少なくとも不等式「x2<xB<x3」及び「z1<zB1<zB2<zB3<z3」が成立する(但し、zB1=zB2又はzB2=zB3であっても構わない)。zB1〜zB3とz2との大小関係は任意である。即ち、図12(b)に示す例では、zB1<z2<zB2<zB3となっているが、zB1≧z2であっても良いし、zB2≦z2であっても良いし、zB3≦z2であっても良い。
可動子の振動過程において永久磁石30の上端位置が溝60BのZ座標値部分を横切るような位置に溝60Bが設けられる。即ち、溝60Bは「zQL<zB1<zB2<zB3<zQU」となるように設けられる。また、望ましくは、可動子の中心が振動中心に位置するとき(即ち、永久磁石30の上端のZ座標値zQが(zQL+zQU)/2であるとき)、永久磁石30の上端位置が溝60Bの下端位置(zB1)よりも下方側に位置するように振動発生器1を形成すると良い。即ち、「(zQL+zQU)/2<zB1」となるように溝60Bを設けることが望ましい。
[第3特殊構造]
第3特殊構造を説明する。図13(a)及び(b)は、第3特殊構造に係る固定子ヨーク20CのZ断面図である。但し、図13(b)には、XZ座標面の第1象限内における、固定子ヨーク20CのZ断面のみが示されている。第3特殊構造では、固定子ヨーク20C、バックヨーク26C、対向ヨーク部50C及び対向面51Cが、それぞれ固定子ヨーク20、バックヨーク26、対向ヨーク部50及び対向面51として機能し、溝60Cが磁気抵抗部として機能する。
固定子ヨーク20Cは、中央ヨーク25とバックヨーク26Cから形成され、バックヨーク26Cは対向面51Cを有する対向ヨーク部50Cを備える。基本構造におけるバックヨーク26及び対向ヨーク部50に溝60Cを設けることで、バックヨーク26C及び対向ヨーク部50Cが形成される。溝60Cの存否を除き、第3特殊構造と基本構造は同じであり、第1特殊構造に係るバックヨーク26Aの溝60Aを溝60Cに置き換えることでバックヨーク26Cが形成される。
図13(b)を参照して、XZ座標面上における、第1象限内の溝60Cの形状を説明する。溝60Cは、対向ヨーク部50Cの内周面側に設けられる。従って、対向面51Cは基本構造における対向面51と同じである。XZ座標面の第1象限内において、溝60Cは、点(x2,zC1)、点(xC,zC1)、点(xC,zC2)及び点(x2,zC2)を4頂点とする長方形を描く。ここで、少なくとも不等式「x2<xC<x3」及び「z1<zC1<zC2≦z2」が成立する。図13(b)に示す例では、zC2<z2となっているが、zC2=z2であっても良い。
可動子の振動過程において永久磁石30の上端位置が溝60CのZ座標値部分を横切るような位置に溝60Cが設けられる。即ち、溝60Cは「zQL<zC1<zC2<zQU」となるように設けられる。また、望ましくは、可動子の中心が振動中心に位置するとき(即ち、永久磁石30の上端のZ座標値zQが(zQL+zQU)/2であるとき)、永久磁石30の上端位置が溝60Cの下端位置(zC1)よりも下方側に位置するように振動発生器1を形成すると良い。即ち、「(zQL+zQU)/2<zC1」となるように溝60Cを設けることが望ましい。
[第4特殊構造]
第4特殊構造を説明する。図14(a)及び(b)は、第4特殊構造に係る固定子ヨーク20DのZ断面図である。但し、図14(b)には、XZ座標面の第1象限内における、固定子ヨーク20DのZ断面のみが示されている。第4特殊構造では、固定子ヨーク20D、バックヨーク26D、対向ヨーク部50D及び対向面51Dが、それぞれ固定子ヨーク20、バックヨーク26、対向ヨーク部50及び対向面51として機能し、溝60Dが磁気抵抗部として機能する。
固定子ヨーク20Dは、中央ヨーク25とバックヨーク26Dから形成され、バックヨーク26Dは対向面51Dを有する対向ヨーク部50Dを備える。基本構造におけるバックヨーク26及び対向ヨーク部50に溝60Dを設けることで、バックヨーク26D及び対向ヨーク部50Dが形成される。溝60Dの存否を除き、第4特殊構造と基本構造は同じであり、第1特殊構造に係るバックヨーク26Aの溝60Aを溝60Dに置き換えることでバックヨーク26Dが形成される。
図14(b)を参照して、XZ座標面上における、第1象限内の溝60Dの形状を説明する。溝60Dは、対向ヨーク部50Dの内周面側に設けられる。従って、対向面51Dは基本構造における対向面51と同じである。XZ座標面の第1象限内において、溝60Dは、点(x2,zD1)、点(xD,zD2)及び点(x2,zD3)を3頂点とする三角形を描く。ここで、少なくとも不等式「x2<xD<x3」及び「z1<zD1<zD2<zD3≦z2」が成立する(但し、zD1=zD2又はzD2=zD3であっても構わない)。図14(b)に示す例では、zD3<z2となっているが、zD3=z2であっても良い。
可動子の振動過程において永久磁石30の上端位置が溝60DのZ座標値部分を横切るような位置に溝60Dが設けられる。即ち、溝60Dは「zQL<zD1<zD2<zD3<zQU」となるように設けられる。また、望ましくは、可動子の中心が振動中心に位置するとき(即ち、永久磁石30の上端のZ座標値zQが(zQL+zQU)/2であるとき)、永久磁石30の上端位置が溝60Dの下端位置(zD1)よりも下方側に位置するように振動発生器1を形成すると良い。即ち、「(zQL+zQU)/2<zD1」となるように溝60Dを設けることが望ましい。
[第5特殊構造]
第5特殊構造を説明する。図15(a)〜(d)を参照する。第5特殊構造に係る固定子ヨーク20Eには複数の穴70Eが設けられている。図15(a)は、固定子ヨーク20EのZ断面図であり、図15(b)は、Z軸に直交する方向から見た固定子ヨーク20Eの側面図であり、図15(c)は、第5特殊構造に係るバックヨーク26EのQ−Q’断面図であり、図15(d)は、XZ座標面の第1象限内における固定子ヨーク20EのZ断面図である。但し、図15(a)、(c)及び(d)の断面図における断面は、穴70Eを横切る断面であるとする。Q−Q’断面図とは、X軸に平行な、図15(b)のQ−Q’線に沿った断面図である。尚、図15(b)ではコイル21の図示を省略し、図面の煩雑化防止のため、図15(b)及び(c)では、バックヨーク26Eに設けられる全ての穴70Eの内、一部の穴に対してのみ符号70Eを付している
第5特殊構造では、固定子ヨーク20E、バックヨーク26E、対向ヨーク部50E及び対向面51Eが、それぞれ固定子ヨーク20、バックヨーク26、対向ヨーク部50及び対向面51として機能し、穴70Eが磁気抵抗部として機能する。
固定子ヨーク20Eは、中央ヨーク25とバックヨーク26Eから形成され、バックヨーク26Eは対向面51Eを有する対向ヨーク部50Eを備える。基本構造におけるバックヨーク26及び対向ヨーク部50に複数の穴70Eを設けることで、バックヨーク26E及び対向ヨーク部50Eが形成される。穴70Eの存否を除き、第5特殊構造と基本構造は同じである。
XZ座標面において、固定子ヨーク20EはZ軸及びX軸の夫々に対して線対称の構造を有している。また、穴70Eの存在を無視すれば、固定子ヨーク20EはZ軸を回転軸とする回転体である。各々の穴70Eは、X軸に平行な中心軸を有する円筒形状の穴である。例えば、図15(c)に示す如く、Q−Q’断面図上で、Z軸を中心として22.5°間隔で計16個の穴70Eが対向ヨーク部50Eに設けられる。
図15(d)を参照して、XZ座標面上における、第1象限内の穴70Eの形状を説明する。穴70Eは、対向ヨーク部50Eの内周面と外周面を貫通する穴である。XZ座標面の第1象限内において、穴70Eは、点(x2,zE1)、点(x3,zE1)、点(x3,zE2)及び点(x2,zE2)を4頂点とする長方形を描く。ここで、「z1<zE1<zE2≦z2」である。但し、「zE1≦z2<zE2<z3」又は「z2≦zE1<zE2<z3」であっても良い。「zE1≦z2<zE2<z3」又は「z2≦zE1<zE2<z3」である場合、穴70Eは、対向ヨーク部50Eの内周面と外周面を貫通する穴ではなくなる。
可動子の振動過程において永久磁石30の上端位置が穴70EのZ座標値部分を横切るような位置に穴70Eが設けられる。即ち、穴70Eは「zQL<zE1<zE2<zQU」となるように設けられる。また、望ましくは、可動子の中心が振動中心に位置するとき(即ち、永久磁石30の上端のZ座標値zQが(zQL+zQU)/2であるとき)、永久磁石30の上端位置が穴70Eの下端位置(zE1)よりも下方側に位置するように振動発生器1を形成すると良い。即ち、「(zQL+zQU)/2<zE1」となるように穴70Eを設けることが望ましい。
[第6特殊構造]
第6特殊構造を説明する。第6特殊構造では、上述の第1〜第5特殊構造に対して適用可能な変形技術などを説明する。
上述の第1〜第4特殊構造では、対向ヨーク部の外周面又は内周面にZ断面形状が四角形又は三角形の溝が設けられているが、溝のZ断面形状は四角形及び三角形以外であっても良く、例えば、溝のZ断面形状に曲線が含まれていても良い。
上述の第5特殊構造において、Z軸に平行な断面に沿った、穴70Eの断面形状は円になっているが、その断面形状は円以外の形状(例えば、四角形や三角形)であっても良い。
第5特殊構造において、穴70Eは対向ヨーク部50Eの内周面及び外周面間を貫通しているが、この貫通は必須ではない。対向ヨーク部50Eの内周面及び外周面間を貫通しない穴70Eは、例えば、XZ座標面上のX軸方向に沿って、対向ヨーク部50Eの内周面から外周面に向かう深さ(x3−x2)未満の穴、又は、対向ヨーク部50Eの外周面から内周面に向かう深さ(x3−x2)未満の穴であり、これらの穴も、対向ヨーク部50Eの内周面及び外周面間に設けられた穴の一種である。
第1特殊構造に係る溝60Aには対向ヨーク部50Aを形成する磁性体は存在せず、溝60Aの内部には空気が配置される(溝60B、60C及び60Dについても同様)。但し、対向ヨーク部50Aを形成する磁性体よりも比透磁率の小さい部材(非磁性体)を溝60Aの内部に配置するようにしても良い(溝60B、60C及び60Dについても同様)。
第5特殊構造に係る穴70Eには対向ヨーク部50Eを形成する磁性体は存在せず、穴70Eの内部には空気が配置される。但し、対向ヨーク部50Eを形成する磁性体よりも比透磁率の小さい部材(非磁性体)を穴70Eの内部に配置するようにしても良い。
[基本構造と特殊構造との機能対比]
次に、基本構造と各特殊構造との機能上の差異を説明する。説明の具体化のため、第1特殊構造に注目し、第1特殊構造を基本構造と比較する。図16(a)〜(d)の夫々は、基本構造に係る固定子ヨーク20と永久磁石30のZ断面図であり、図17(a)〜(d)の夫々は、第1特殊構造に係る固定子ヨーク20Aと永久磁石30のZ断面図である。可動子の中心がX軸上に位置している状態を基準とする、可動子のZ軸方向への移動量を変位量zCCと呼ぶ。変位量zCCがゼロである状態は、可動子の中心が振動中心に位置している状態であり、その状態を起点として可動子が上方向に移動すれば変位量zCCがゼロから増加し、その状態を起点として可動子が下方向に移動すれば変位量zCCがゼロから減少するものとする。
図16(a)、(b)、(c)、(d)は、夫々、zCC=0、zCC=Δz1、zCC=Δz2、zCC=Δz3の状態における固定子ヨーク20及び永久磁石30のZ断面図であり、図17(a)、(b)、(c)、(d)は、夫々、zCC=0、zCC=Δz1、zCC=Δz2、zCC=Δz3の状態における固定子ヨーク20A及び永久磁石30のZ断面図である。但し、図16(a)〜(d)及び図17(a)〜(d)では、永久磁石30の内、X軸の正側に位置する部分だけが示されており、また、重量体31の図示は省略されている。
ここで、0<Δz1<Δz2<Δz3であり、Δz3は、可動子の振動振幅の半分であるとする。即ち、Δz3=(zQL+zQU)/2であり、図16(d)及び図17(d)に対応するzCC=Δz3の状態では、永久磁石30の上端位置のZ座標値zQは上限値zQUと一致している。
図16(a)等を参照し、可動子が振動中心を起点として上方向に移動する過程における、コイル21の鎖交磁束の挙動を説明する。永久磁石30によるコイル21の鎖交磁束をφにて表す。φは、永久磁石30が発生した磁束の内、コイル21を鎖交する磁束の量を表している(従って、以下の説明文中における鎖交磁束φを鎖交磁束量φと読み替えてもよい)。Z軸の正側からZ軸の負側に向かう向きの磁束を正の磁束であると考える。
まず、基本構造における鎖交磁束の挙動について説明する。図16(a)に示す如く可動子が振動中心に位置している状態(即ちzCC=0の状態)では、X軸を基準にして永久磁石30及び固定子ヨーク20は対称の構造を持つため、鎖交磁束φは、ゼロである或いは無視できる程度に小さい。可動子が振動中心を起点として上方向にΔz1、Δz2、Δz3だけ移動すると、夫々、図16(b)、(c)、(d)に示す如く、磁路301、302、303を経由して永久磁石30の発生磁束がコイル21を鎖交する。ここでは、XZ座標面上における第1及び第4象限にのみ注目し、磁路301〜303の夫々は、第1及び第4象限内の磁路であるとする(後述の磁路311〜313についても同様)。
磁路301〜303の夫々は(図9(a)も参照)、永久磁石30のN極面と、第1象限内の空隙52、対向面51及び対向ヨーク部50とを経由して中央ヨーク部25に至り、その中央ヨーク部25から更に、第4象限内の対向ヨーク部50、対向面51及び空隙52を経由して永久磁石30に戻る磁路である。
図18の破線330は、基本構造における鎖交磁束φと変位量zCCとの関係を表している。変位量zCCがゼロを起点として増大してゆくと、X軸を基準とした永久磁石30の対称性が崩れて鎖交磁束φが増加してゆく。しかしながら、変位量zCCの増大に伴って鎖交磁束φが或る程度増加してくると、固定子ヨーク20内部において所々で磁気飽和が発生し始めて変位量zCCの増大に対する鎖交磁束φの増加量が減少してゆき、最終的には、変位量zCCが増加しても鎖交磁束φはあまり変化しなくなる(或いは、殆ど変化しなくなる)。破線330の例では、Δz1<zCC≦Δz2の範囲内におけるdφ/dzCCが0<zCC≦Δz1の範囲内におけるdφ/dzCCよりも小さく、且つ、Δz2<zCC≦Δz3の範囲内におけるdφ/dzCCがΔz1<zCC≦Δz2の範囲内におけるdφ/dzCCよりも小さくなっている。dφ/dzCCは、zCCが単位量だけ変化した時のφの変化量を表す。
次に、第1特殊構造における鎖交磁束の挙動について説明する。図17(a)に示す如く可動子が振動中心に位置している状態(即ちzCC=0の状態)では、X軸を基準にして永久磁石30及び固定子ヨーク20Aは対称の構造を持つため、鎖交磁束φは、ゼロである或いは無視できる程度に小さい。可動子が振動中心を起点として上方向にΔz1、Δz2、Δz3だけ移動すると、夫々、図17(b)、(c)、(d)に示す如く、磁路311、312、313を経由して永久磁石30の発生磁束がコイル21を鎖交する。
磁路311〜313の夫々は(図9(a)及び図11(b)も参照)、永久磁石30のN極面と、第1象限内の空隙52、対向面51A及び対向ヨーク部50Aとを経由して中央ヨーク部25に至り、その中央ヨーク部25から更に、第4象限内の対向ヨーク部50A、対向面51A及び空隙52を経由して永久磁石30に戻る磁路である。図17(d)の磁路313aについては後述する。
図18の実線331は、第1特殊構造における鎖交磁束φと変位量zCCとの関係を表している。上方ストローク端における(即ち、zCC=Δz3における)鎖交磁束φは、基本構造及び第1特殊構造間において略同じとなる。第1特殊構造においても、基本構造と同様、変位量zCCの増大に伴って鎖交磁束φが或る程度増加してくると固定子ヨーク20内部において所々で磁気飽和が発生し始め、変位量zCCの増大に対する鎖交磁束φの増加量が減少してゆく傾向がある。
しかしながら、第1特殊構造では、溝60Aが鎖交磁束φの増加を妨げる磁気抵抗として機能するため、可動子が振動中心の近くに位置しているときにおけるdφ/dzCCが基本構造よりも小さくなる。即ち、図18に示す例では、第1特殊構造における0<zCC≦Δz1の範囲内のdφ/dzCCは基本構造のそれよりも小さく、第1特殊構造におけるφ[Δz1]も基本構造のそれよりも小さい。φ[Δz1]は、zCC=Δz1の時における鎖交磁束φを表す。
基本構造では、Δz1<zCC≦Δz2の範囲内で固定子ヨーク20の磁気飽和が発生し始めΔz2<zCC≦Δz3の範囲内ではdφ/dzCCがゼロに近くなっているが、第1特殊構造では、溝60Aの存在により、可動子が振動中心の近くに位置しているときにおけるdφ/dzCCが比較的低く抑えられるため、zCCがΔz3に至る近辺まで、或る程度の大きさのdφ/dzCCを確保することが可能である。つまり、第1特殊構造におけるΔz2<zCC≦Δz3の範囲内のdφ/dzCCは、基本構造のそれよりも大きくなっている。
図17(b)に示す如く第1象限において、永久磁石30の上端位置が溝60Aの下方側に位置しているとき、永久磁石30のN極面からの磁束は主として溝60Aの下方側のヨーク部分を通過する。その後、図17(c)に示すように第1象限において、永久磁石30の上端位置が溝60AのZ座標値部分に至った状態においても、溝60Aの有する高い磁気抵抗が障壁となって永久磁石30のN極面からの磁束は主として溝60Aの下方側のヨーク部分を通過する。しかし、図17(d)に示すように、第1象限において、永久磁石30の上端位置が溝60Aよりも上方に位置するようになると溝60Aの上方のヨーク部分を経由する磁路313aが形成されるため(換言すれば、溝60Aの上方のヨーク部分を経由する磁路313aが磁路313に含まれるようになるため)、溝60Aによる磁気抵抗の影響が小さくなり、比較的大きなdφ/dzCCを得ることが可能となる。これらの結果として、図18の実線331のような特性が得られる。
上述のような作用を得るべく、溝60Aの位置が決定されている。即ち、第1特殊構造において述べたように、第1象限内の溝60Aに関して不等式「zQL<zA1<zA2<zQU」が満たされる(図11(b)参照)。これにより、第1象限において、永久磁石30の上端位置(zQ)が上方ストローク端に対応する上限値zQUに至る前に、図17(d)のような磁路が形成されて上述のような作用が得られるようになる。第1象限に注目して溝の配置位置や溝周辺の磁路等を説明したが、第4象限のそれらも同様であり、また、第2及び第3象限のそれらも同様である。溝60Aの配置位置を以下のように表現することができる。溝60Aは、可動子の振動方向において、可動子及び永久磁石30の振動範囲の両端位置(即ち上方ストローク端及び下方ストローク端)よりも可動子の振動中心側に配置されている。
図19において、破線350は基本構造における変位量zCC及び推力定数KP間の関係を示し、実線351は第1特殊構造における変位量zCC及び推力定数KP間の関係を示している。推力定数KPの単位は[N/A]である。[N/A]において、“N”はニュートンであり“A”はアンペアである。推力定数KPはdφ/dzCCに比例することが知られている。即ち、dφ/dzCCの絶対値が増大するに従って推力定数KPは増大する。
尚、図19及び後述の図20は、第1特殊構造に対するシミュレーション結果に基づいて作成されたものであるのに対し、図18は、該シミュレーション結果に基づくことなく溝60Aの影響説明用に擬似的に作成されたものである。従って、図19の破線350及び実線351は、図18の破線330及び実線331から導かれたものではないことに留意すべきである(図20の破線370及び実線371についても同様)。
図19の破線350及び実線351から分かるように、また、図18の破線330及び実線331からも分かるように、可動子が振動中心又は振動中心付近に位置しているとき(即ち、zCC=0又はzCC≒0のとき)における推力定数KPは、基本構造よりも第1特殊構造の方が小さくなる。第1特殊構造における溝60Aが、zCCの変化に対するφの変化を妨げるように作用するからである。一方、可動子がストローク端近辺に位置しているとき(例えば、zCC=Δz3のとき)における推力定数KPは、基本構造よりも第1特殊構造の方が大きくなる。これは、可動子が振動中心に近くに位置しているときにおいて溝60Aにより鎖交磁束φの変化が抑制されている分、第1特殊構造では磁束飽和の発生まで余裕があること、及び、可動子の端部が溝60Aの位置を越えたことで磁路313aがdφ/dzCCに影響を与えたことに起因する。
磁気推力は、推力定数KPとコイル21に流れる電流の値との積であるため、推力定数KPが増大すると磁気推力も増大する。従って、振動中心付近における磁気推力は第1特殊構造よりも基本構造の方が大きい一方でストローク端付近における磁気推力は第1特殊構造の方が基本構造よりも大きいことが、図19の破線350及び実線351より理解される。
また、固定子ヨークの磁気飽和の影響により、可動子の位置が振動中心からストローク端に向かうほど推力定数KPは減少する傾向があるが、この傾向は基本構造の方が第1特殊構造よりも強い。可動子が振動中心付近に位置しているときの推力定数KPから見た、可動子がストローク端付近に位置しているときの推力定数KPの減少度合いを、便宜上、推力定数KPの減少度合いαと呼ぶ。上述の説明及び図19から理解されるように、第1特殊構造における推力定数KPの減少度合いαは、基本構造におけるそれよりも小さい。この結果、第1特殊構造では、図20に示すような振動加速度特性が得られる。
図20は、コイル21に供給する交流電流の周波数(以下、単に電流周波数という)と可動子の振動における加速度(以下、単に振動加速度という)との関係を表しており、破線370は基本構造における該関係を示し、実線371は第1特殊構造における該関係を示している。VTHは、所望の振動量を得るために定められた必要最小限の振動加速度である。
振動発生器1の可動子は、バネ材41及び42の共振を利用して振動し、振動発生器1の機構特性(バネ材41及び42の特性や重量体31の重さ等を含む)から、その共振における周波数(以下、共振周波数という)は定まる。共振周波数は、例えば、人体が感知しやすい周波数(150Hz程度)に設定されている。電流周波数が共振周波数に一致するときに最大の振動加速度が得られ、電流周波数が共振周波数からずれるに従って得られる振動加速度は低下してゆく。これは、基本構造にも第1特殊構造にも当てはまる。
但し、電流周波数が共振周波数からずれたときの振動加速度の低下度合いは、基本構造よりも第1特殊構造の方が小さく、結果、VTH以上の振動加速度を得ることのできる周波数帯域は基本構造よりも第1特殊構造の方が大きくなる。これは、第1特殊構造における推力定数KPの減少度合いαが、基本構造におけるそれよりも小さいことに起因する。この理由について、補足説明を加える。コイル21に供給される交流電流を励磁電流とも呼ぶ。励磁電流は通常正弦波とされる。
振動発生器1の機構特性から定まる共振周波数の設計値をfOで表す。そうすると、fOの電流周波数の励磁電流がコイル21に供給され(今、説明の簡略化上、電流周波数の設計値からの誤差は無視する)、且つ、図21(a)に示す如く変位量zCCがゼロとなる時点において励磁電流の絶対値が最大となるように励磁電流の位相が設定される。図21(a)及び後述の図21(b)は、変位量zCCとの関係における励磁電流波形のイメージ図である。図21(a)には、1周期分の励磁電流波形の半分しか示されていないが、残りの半分の波形も同様である(但し、前者と後者の間で、発生する磁気推力の方向が逆となる)。
磁気推力は推力定数KPと励磁電流との積であるため、共振周波数の実際値もfOであるならば、変位量zCCがゼロとなる時点において磁気推力が最大となる。つまり、共振周波数における実際値及び設計値間のずれがゼロであるならば、変位量zCCがゼロとなる時点で発生する磁気推力を主動力源として用いて可動子の振動が成されることになる(勿論、機械推力も利用される)。
しかし、共振周波数における実際値及び設計値間のずれがゼロでないと、図21(b)に示す如く励磁電流の絶対値が最大となるタイミングにおいて変位量zCCがゼロではなくなり、この場合には、変位量zCCがゼロでない時点で発生する磁気推力を主動力源として用いて可動子の振動が成されることになる(勿論、機械推力も利用される)。共振周波数のばらつき具合によってはストローク端付近で励磁電流の絶対値が最大になる場合もあり、この場合には、ストローク端付近で発生する磁気推力に頼って必要な振動加速度VTHを得る必要がある。
基本構造では、推力定数KPの減少度合いαが大きいため、ストローク端付近で励磁電流の絶対値が最大になるような共振周波数のずれ(設計値fOからのずれ)が発生すると、得られる磁気推力が小さくなって必要な振動加速度VTHを得がたくなる。一方、第1特殊構造では推力定数KPの減少度合いαが小さく、ストローク端付近における推力定数KPが比較的大きいため、共振周波数のずれによりストローク端付近で励磁電流の絶対値が最大になったとしても必要な振動加速度VTHを得やすくなる。
振動発生器1の機構特性から定まる共振周波数が設計値fOよりずれた場合の挙動について説明したが、励磁電流の電流周波数が設定値からずれた場合や、励磁電流の位相が設計値からずれた場合にも同様のことが言える。
このように、第1特殊構造によれば、ストローク端付近で比較的大きな磁気推力を発生させることができため、必要な振動加速度VTHが得られる周波数帯域を広げることが可能となる。この結果、基本構造との比較において第1特殊構造では、VTH以上の振動加速度を得るという機能の達成が、製造ばらつきに影響されにくくなる。大量生産される振動発生器1の歩留まりが該機能の達成の如何に依存する場合、第1特殊構造を用いれば、振動発生器1の歩留まりが向上する。上記の製造ばらつきには、振動発生器1の機構上の部材のばらつきや、励磁電流の周波数及び位相のばらつきが含まれる。
説明の具体化のため、第1〜第6特殊構造の中から第1特殊構造のみを代表して抽出し、基本構造との対比において第1特殊構造の作用及び効果を説明したが、第2〜第6特殊構造を用いた場合でも第1特殊構造を用いた場合と同様の作用及び効果が得られる。第2〜第6特殊構造においても、第1特殊構造と同様、対向ヨーク部上の適切な位置に磁気抵抗部が設けられているからである。
第1〜第6特殊構造における磁気抵抗部は、可動子の振動方向に直交する平面Pに沿った、対向ヨーク部の磁性体の断面積Sを部分的に小さくすることによって形成されており、何れも鎖交磁束φを抑制するように作用する。
第1特殊構造において(図11(a)及び(b)参照)、対向ヨーク部50Aの磁性体の断面積Sは、平面Pが溝60Aを通るときに比較的小さくなり、平面Pが溝60Aを通らないときに比較的大きくなる。従って、対向ヨーク部50Aの磁性体の断面積Sは部分的に小さい、と言える。
同様に、第2〜第4特殊構造において(図12(a)及び(b)、図13(a)及び(b)並びに図14(a)及び(b)参照)、対向ヨーク部50B、50C及び50Dの磁性体の断面積Sは、夫々、平面Pが溝60B、60C及び60Dを通るときに比較的小さくなり、平面Pが溝60B、60C及び60Dを通らないときに比較的大きくなる。従って、対向ヨーク部50B、50C及び50Dの磁性体の断面積Sは部分的に小さい、と言える。
第5特殊構造において(図15(a)〜(d)参照)、対向ヨーク部50Eの磁性体の断面積Sは、平面Pが穴70Eを通るときに(即ち、平面Pが断面Q−Q’であるときに)比較的小さくなり、平面Pが穴70Eを通らないときに比較的大きくなる。従って、対向ヨーク部50Eの磁性体の断面積Sは部分的に小さい、と言える。
第1〜第6特殊構造では、溝又は穴を対向ヨーク部に設けることで磁気抵抗部を形成している。そして、第1特殊構造について既に述べたのと同様、第2〜第6特殊構造の磁気抵抗部としての溝又は穴も、可動子の振動方向において、可動子及び永久磁石30の振動範囲の両端位置(即ち上方ストローク端及び下方ストローク端)よりも可動子の振動中心側に配置されている。このため、第2〜第6特殊構造によっても、第1特殊構造と同等の作用及び効果が得られる。
<<変形等>>
上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈5を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
各特殊構造におけるバックヨークには折れ曲がり部分が存在する。折れ曲がり部分とは、図9(a)の第2四角形と第3四角形が接合する部分の内、振動中心に近い部分を指す。この折れ曲がり部分のなるだけ近くに、磁気抵抗部としての溝又は穴を設けると良い。折れ曲がり部分のなるだけ近くに磁気抵抗部を設けることで、上述したような作用及び効果が顕著に現れるからである。逆に例えば、図11(b)の溝60Aをバックヨーク26Aの上面ぎりぎりに設けると、図17(d)に示される磁路313aの影響が殆ど生じなくなる。このことからも、折れ曲がり部分のなるだけ近くに磁気抵抗部を設けることの意義が理解される。
[注釈2]
基本構造及び各特殊構造において、永久磁石30の内周面に円筒形状の磁性体(可動子ヨーク)を接合するようにしても良い。この場合、対向面(51及び51A〜51Eの何れか)は、空隙52と該磁性体(可動子ヨーク)を介して、永久磁石30の一方の磁極面に対向することとなる。
[注釈3]
上述の実施形態では、別々に形成された中央ヨーク25とバックヨーク(26及び26A〜26Eの何れか)を接合することで固定子ヨーク(20及び20A〜20Eの何れか)を形成するようにしている。即ち、上述の説明では、中央ヨーク25とバックヨーク(26及び26A〜26Eの何れか)が別々の部材となっているが、それらを1つの部材にて構成するようにしても良い。即ち、固定子ヨーク(20及び20A〜20Eの何れか)を1つの部材で形成するようにしても良い。何れにせよ、固定子ヨーク(20及び20A〜20Eの何れか)は、中央ヨーク25と、中央ヨーク25の両端に位置するバークヨーク(26及び26A〜26Eの何れか)と、を含んで形成される。
[注釈4]
上述の実施形態では、ラジアル着磁にて得られた永久磁石30、即ち発生磁束の方向が径方向と一致する永久磁石30を可動子の永久磁石として用いている。しかしながら、可動子の永久磁石の構成はこれに限定されない。即ち例えば、図22(a)及び(b)に示すような、X断面形状がC字型形状となる永久磁石30aを2つ組み合わせることで得た永久磁石30’を、永久磁石30の代わりに可動子の永久磁石として用いるようにしても良い。図22(a)は、1つの永久磁石30aのX断面図であり、図22(b)は、X断面上における永久磁石30’の分解図である。振動発生器1内における永久磁石30’の配置位置は、永久磁石30のそれと同様である。
永久磁石30aはパラレル着磁にて得た永久磁石であり、図22(a)及び(b)において、永久磁石30aの内部に示された矢印は、永久磁石30a内における磁束の向きを示している。X断面における永久磁石30aの形状は、第1の半円から第2の半円を除いて得たC字型形状である(図22(c)参照)。ここで、第1の半円における半径は第2の半円における半径よりも大きく、且つ、第1及び第2の半円の中心は互いに一致しているものとする。図22(c)において、実線で示された半円が第1の半円であり、破線で示された半円が第2の半円である(図22(c)では、図示の便宜上、それらの中心を若干ずらして示している)。
永久磁石30’を形成する第1の永久磁石30aがX軸の負側に配置され且つ永久磁石30’を形成する第2の永久磁石30aがX軸の正側に配置されるように、可動子内における第1及び第2の永久磁石30aの位置を決定することで永久磁石30’が構成される(図3も参照)。第1及び第2の永久磁石30a内の任意の部位において、第1及び第2の永久磁石30a内の磁束の方向はX軸と平行である。第1の永久磁石30a内の磁束の向きはX軸の負側から正側へ向かう向きであり、第2の永久磁石30a内の磁束の向きはX軸の正側から負側へ向かう向きである。
第1の永久磁石30aにおける第1の半円の弦と第2の永久磁石30aにおける第1の半円の弦とが互いに接触するように第1及び第2の永久磁石30aの位置を決定することができる。その場合、永久磁石30’の外形は、永久磁石30と同じくZ軸を中心軸として持つ円筒形状となり、永久磁石30’の内周側及び外周側に夫々N極及びS極が現れる。即ち、全体として、永久磁石30’の内周面がN極面として機能し、永久磁石30’の外周面がS極面として機能する。但し、それらの弦の間に、若干の隙間を設けるようにしても良い。また、永久磁石30’の内周側及び外周側に夫々S極及びN極が現れるように、各永久磁石30a内の磁束の向きを、上述したものの逆にするようにしても良い。
[注釈5]
上述の説明文中に表れる“円筒”を“筒”に読み替えても良い。即ち例えば、上述の実施形態では、対向ヨーク部(50及び50A〜50Eの何れか)が円筒形状の磁性体となっているが、対向ヨーク部(50及び50A〜50Eの何れか)を形成する磁性体の形状は円筒形状に限定されず、対向ヨーク部(50及び50A〜50Eの何れか)の内周面及び外周面の少なくとも一方に平面が含まれていても良い。この場合、対向ヨーク部を形成する磁性体の形状は、円筒形状に分類されない筒形状となる(当然であるが、円筒形状は筒形状の一種である)。可動子を形成する永久磁石(30又は30')や重量体31についても同様であり、それらの形状を円筒形状に分類されない筒形状とすることもできる。
1 振動発生器
10 ケース
11、12 ケース部材
20、20A〜20E 固定子ヨーク
21 コイル
25 中央ヨーク
26、26A〜26E バックヨーク
30、30' 永久磁石
31 重量体
41、42 バネ材
50、50A〜50E 対向ヨーク部
51、51A〜51E 対向面
52 空隙

Claims (6)

  1. 永久磁石を有する可動子と、
    前記可動子を振動させるための磁界を発生するコイル、前記コイルが巻かれた磁性体から成る第1ヨーク部、及び、前記第1ヨーク部の両端に位置する磁性体から成る第2ヨーク部を有する固定子と、
    前記可動子が振動可能なように前記固定子と前記可動子を連結する弾性体と、を備えた振動発生器において、
    前記第2ヨーク部は、前記永久磁石の一方の磁極面に対向する対向面を持つ対向ヨーク部を有し、
    前記永久磁石による前記コイルの鎖交磁束を抑制するための磁気抵抗部を前記対向ヨーク部に設けた
    ことを特徴とする振動発生器。
  2. 前記磁気抵抗部は、前記可動子の振動方向における前記可動子の振動範囲の両端位置よりも前記可動子の振動中心側に設けられる
    ことを特徴とする請求項1に記載の振動発生器。
  3. 前記可動子の振動方向に直交する平面に沿った、前記対向ヨーク部の磁性体の断面積を、部分的に小さくすることで前記磁気抵抗部が形成される
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の振動発生器。
  4. 前記対向ヨーク部の磁性体に溝又は穴が設けられ、
    空気、又は、前記対向ヨーク部の磁性体よりも比透磁率の小さい部材が、前記溝又は前記穴に配置されることで前記磁気抵抗部が形成される
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の振動発生器。
  5. 永久磁石を有する可動子と、
    前記可動子を振動させるための磁界を発生するコイル、前記コイルが巻かれた磁性体から成る第1ヨーク部、及び、前記第1ヨーク部の両端に位置する磁性体から成る第2ヨーク部を有する固定子と、
    前記可動子が振動可能なように前記固定子と前記可動子を連結する弾性体と、を備えた振動発生器において、
    前記第2ヨーク部は、前記永久磁石の一方の磁極面に対向する対向面を持つ対向ヨーク部を有し、
    前記対向ヨーク部の磁性体に溝又は穴が設けられ、
    前記溝又は前記穴は、前記可動子の振動方向において前記可動子の振動範囲の両端位置よりも前記可動子の振動中心側に設けられる
    ことを特徴とする振動発生器。
  6. 前記対向ヨーク部は、前記コイルの外周側に位置する筒形状の磁性体であり、
    前記対向面は、前記永久磁石よりも前記コイル側に位置するとともに前記筒形状の磁性体の外周面であり、
    前記永久磁石からの磁束は、前記対向面及び前記対向ヨーク部を経由して前記第1ヨーク部を通ることで前記コイルを鎖交し、
    前記筒形状の磁性体の内周面若しくは外周面に前記溝が設けられる、又は、前記内周面及び前記外周面間に前記穴が設けられる
    ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の振動発生器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101914530B1 (ko) 2016-08-25 2018-11-02 (주)파트론 진동 발생 장치
JP2019150743A (ja) * 2018-02-28 2019-09-12 ミツミ電機株式会社 振動アクチュエータ

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