JP2011169706A - 光沢評価装置及び光沢評価方法 - Google Patents

光沢評価装置及び光沢評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トナー量が異なる領域が混在している画像の全体にたいして「光沢感」が一致していることを表現することができる光沢評価装置及び光沢評価方法を提案する。
【解決手段】記録媒体上に形成したトナー像の光沢感を評価する光沢評価装置40において、前記光沢評価装置40は、複数のトナー付着量に相当する特性値(以下、付着量特性値と略す。)に対する光沢に関係する特性値(以下、光沢特性値と略す)との関係から、2つの直線で予め定める理想関係と、計測することにより得られる実測データとの差異にもとづいて光沢感を評価する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、トナー量が異なる領域が混在している画像の全体に対する光沢感を表す光沢評価装置及び光沢評価方法に関する。
電子写真プロセスを利用したフルカラー複写機やフルカラープリンタでは、記録媒体(用紙)上に複数色(通常は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色)のトナー像を重ねて配置し、このトナー像を、定着装置において加熱・加圧することで、記録媒体上に固定している。
定着装置の1例としては、加熱ローラ、加圧ローラと呼ばれるローラ対から構成されたものが提案されている。この加熱ローラ内部にはハロゲンランプなどの加熱源が配置されている。そして、この一対の定着ローラ間に、トナー像を形成した用紙を通過させることで、カラートナーを熱溶融させて記録媒体上に定着する。
この他の定着装置の構成としては、シリコンゴムなど弾性層の表面にフッ素樹脂などの離型層が形成された定着ベルトを複数の張架ロールに掛け渡し、この定着ベルトを挟んで一対の張架ロールと加圧ロールとを対向配置するとともに、張架ロールの内部にハロゲンランプなどの加熱源を内蔵させる。この定着ベルトと加圧ローラ間にトナー像を形成した記録媒体(用紙)を通過させることで、カラートナーを熱溶融させて用紙上に定着する。この定着ベルト方式では、ベルト構成にすることにより、定着ニップを自在に設定できることから、低温定着(省エネルギー化)、分離性向上、といった利点を有している。
また、カラートナーはポリエステル樹脂、スチレン/アクリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体などの熱可塑性の樹脂を主成分として、着色剤を分散させてなる1〜10μmの粒子にたいして、平均粒径5〜100nm程度の微粒子、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子を外添して構成されている。
トナーの着色剤としては、Y(イエロー)としては、ベンジジンイエロ、キノリンイエロ、バンザイイエロなど、M(マゼンタ)としては、ローダミンB、ローズベンガル、ピグメントレッドなど、C(シアン)としては、フタロシアニンブルー、アニリンブルー、ピグメントブルーなど、K(ブラック)としては、カーボンブラック、アニリンブラックなどである。
また、トナー中にWAXを内包させることで、定着時の加熱ローラへのオイル塗布を無くした、いわゆるオイルレストナーなども広く使用いられている。
また、近年になって、従来から多く用いられている普通紙などの表面の凹凸が大きく、光沢度が小さい記録媒体の他に、アート紙、コート紙、微コート紙といった表面の凹凸が小さく、光沢度の大きい記録媒体などにも適用して高画質な画像の出力をおこないたいといった要望が多くなってきている。アート紙やコート紙などは、用紙の表面に樹脂などのコート層を塗工して製造されるため、普通紙よりいわゆる光沢度が大きいことが一般的ではある。しかし、近年では、紙文書に高級感を持たせることを目的として、普通紙並に光沢度が小さいコート紙(マットコート紙)も用いられるようになってきている。このため、多種多様な記録媒体にたいして高品質な画像を安定して出力することが求められている。
このような背景により、記録媒体上に形成したトナー像の「光沢感(面質)」といった画質をさらに向上させることが要求されてきている。そしてこれに付随して、トナー像の「光沢感」を評価する評価装置や評価手法が必要になってきている。
「光沢感」を評価することを目的とした従来技術としては、特許文献1では、正反射光のほか拡散反射光の情報を用いて、光沢情報およびテクスチャ情報を付与した画像データを出力するといった技術が開示されている。この技術では、拡散反射光を受光して生成した画像信号と、所定の方法によって生成した光沢情報と、これとは別にやはり所定の方法によって生成したテクスチャ情報とを、それぞれ生成する手段を備え、前記画像信号に基づき被撮像物を表す画像データを生成する画像データ生成手段と、この画像データ生成手段が生成した画像データにたいして、前記光沢情報と前記テクスチャ情報とを付与して出力する出力手段と、を備えることを特徴としている。ここでは、被撮像物の凹凸に関する情報を読み取るすべが存在せず、このために従来技術では質感に関する情報を十分に読み取り、これを再現することを可能とする仕組みを提供することができなかったことから、上述した構成とすることにより、被撮像物からの質感に関する情報を良好に読み取り、これを再現することができることが開示されている。
また、特許文献2では、変角反射光角度分布に基づいた光沢感の評価値を導出することで、主観的な光沢感と相関の高い光沢感評価値をもとめることができるといった技術が開示されている。っこでは、物体表面の光沢に関する評価値を生成する光沢感評価装置であって、変角反射光分布特性取得手段と、取得した変角反射光分布特性から評価パラメータを抽出する評価パラメータ抽出手段と、抽出した評価パラメータに基づき光沢感評価値を算出する光沢感評価値算出手段とを有することを、特徴としている。この技術によれは、従来の光沢度計、ヘイズメータ、写像性測定器から得られる測定値は、人間の目視評価と対応しないといった問題があり、光沢感の評価に十分な物理要素の測定が行われていないが、上述の構成とすることにより、主観的な光沢感との相関の高い光沢感評価値を求めることができる光沢感評価装置を提供することができることが開示されている。
さらに、特許文献3では、反射光の波長を切り替えて検知することで、正反射光の検知制度を向上させて、画像の光沢を正確に検知するといった内容の技術が開示されている。
この技術では、正反射光量を検知する反射光検出装置において、正反射光と同一方向に伝播する拡散反射光の光量が最も少ない波長の正反射光を受光手段が受光するよう構成している。従来の構成では、正反射方向の光を受光する受光手段が、正反射光のほかに正反射方向に拡散した拡散反射光も検知してしまう。この結果、受光手段が受光した受光量から正反射光を正確に検知ることができず、検知対象の光沢を正確に検知することができないが、上述した反射光検出装置の構成とすることで、正反射光を正確に検知することができるため、検知対象の光沢を正確に検知することができるようになるとしている。
すでに説明したように、近年では、光沢度の小さい用紙から光沢度の大きい多種多様な用紙に対して、最適な画像形成を行なうことが求められている。つまり、用紙部と画像部とを含むすべての画像領域において「光沢感」を一致させた状態で画像出力をおこなうことが強く求められている。一方で、出力する画像では、用紙上に配置するトナー量を切り替えることで様々な色を表現する。つまり、出力した画像の中には、配置されたトナー量が異なる領域が混在して存在していることになる。このため、画像全体として「光沢感」に均一感をもたせるためには、用紙部と画像部との「光沢感」を一致させるのみならず、さまざまなトナー量が配置された画像領域のすべてにおいて「光沢感」を一致させる必要がある。
また、画像光沢の評価・定量化には、いわゆる「光沢度(60度光沢度:G60)」が従来から一般的に用いられている。また従来では、光沢に関しては用紙の光沢度と画像部の光沢度との値を一致するように設定することができれば、好ましい光沢を実現した画像を得ることができると考えられていた。しかしながら発明者の行なった検討によると、用紙と画像部と光沢度を一致させても、必ずしも「光沢感」が一致するとは限らず、用紙と画像部と光沢度を一致させても、かえって光沢感についての違和感が生じる場合があることが明らかになった。
このように、光沢度を一致させても必ずしも「光沢感」が一致しないといった現象が生じる理由については次の理由を挙げることができる。用紙とトナー像とでは、表面を構成する物質に違いがあり、その物質の物理的な違いとして、屈折率が異なるが挙げられる。このため、表面での反射光束(表面で反射される全光束)が異なっている。反射率と屈折率との関係はいわゆるフレネルの式に従うため、屈折率が大きくなるにしたがった、表面での反射光束も大きくなる。
用紙の屈折率およびトナーの屈折率はそれぞれ、1.4(用紙)、1.6(トナー)程度と予想されるため、対象が鏡面であると仮定してフレネルの式を適用した場合には、反射率はそれぞれ0.028(用紙)、0.053(トナー)となり、用紙とトナーの表面での反射光束は大きくことなる。
また、用紙の表面は多くの場合にはコート紙であってもポーラス(小さな穴)が開いているような構造となっている。一方で、トナー像の表面にはこのようなポーラスがなく、密に詰まった構造となっている。つまり、用紙とトナー像とでは根本的に表面構造が異なっている。このようなポーラス構造の違いによっても、表面での反射光束が異なるため、前述した現象の原因となり得ると予想している。このように、用紙とトナー像とでは、反射光束特性が大きく異なると考えられる。
また、いわゆる「光沢度」(60度光沢度:G60)の測定値は、JIS Z8741に規定されているように、60度正反射位置付近において、規定された領域(受光開き角で4.4度以内)における光束から算出される。
つまり、この受光開き角に収まる光束が同じであれば光沢度の測定値は同じとなる。このため、光沢度が同じ値であっても、表面反射の特性までもが一致しているとは言い切れない。このような測定原理の光沢度(G60)を、上記の用紙とトナー像といった、反射光束が異なる測定対象に適用した場合には、単純に光沢度を一致させても、「光沢感」は一致しないと考えられる。
こうした単純に光沢度を一致させても「光沢感」は一致するとは限らない、といった問題は、60度光沢度(G60)以外の光沢特性値においても発生してしまうと考えられる。この理由は、光沢特性値の測定原理が、60度光沢度の測定原理と非常に類似した測定原理を有するためである。より具体的には、20度鏡面光沢、45度鏡面光沢、75度鏡面光沢、85度鏡面光沢、などの光沢度は、測定原理が60度光沢度と近いため、同様の問題が発生する可能が大きい。このため、たとえ光沢特性値として60度光沢度以外のものを使用したとしても、上述した問題の解決には結びつかない。
このような理由により、単純に光沢特性値(G60など)を一致させても「光沢感」は一致するとは限らない、といった問題は、用紙とトナー像との表面反射特性の差異に起因する問題である、と考えることができる。この問題は、用紙上にさまざまなトナー量が配置された画像全体の「光沢感」を評価しようとした場合に、特に大きな問題となる。これは、光沢特性値を基準に考え、この光沢特性値を画像全体で一致させたとしても、「光沢感」が一致するとは限らないためである。
画像の「光沢感」を向上させることを目的としている引用文献1ないし3では、それぞれ以下のような問題があり、さらなる課題解決が必要な状況である。
特許文献1では、正反射光のほか拡散反射光の情報を用いて、光沢情報およびテクスチャ情報を付与した画像データを出力するといった構成になっている。しかしながら、目的が光沢情報(テクスチャ情報)を付与した画像データの生成であるため、画像領域のそれぞれの領域での光沢情報を算出する方法についての記載があるものの、画像全体として「光沢感」が一致しているか否かを評価するような技術の開示はなされていない。
特許文献2では、光沢感評価装置が変角反射光角度分布に基づいた光沢感の評価値を導出することで、主観的な光沢感と相関の高い光沢感評価値をもとめることができるとしている。しかしながら1つの画像パターン(1つのパッチ)の光沢感を特定はできるものの、やはり画像全体として「光沢感」が一致しているか否かを評価するような技術の開示はなされていない。
特許文献3では、変角反射光角度分布を用いて光沢感の評価値を導出している点において、「光沢度を一致させても、用紙とトナー像部との光沢感が一致しない」といった問題点を掲げている。しかしながら、実際の評価値算出に関しては、概念的な説明に終止しており具体的な説明がほとんどなされていない。このため、この方法によって、用紙とトナー像部の違いあっても評価値が同じである場合には「光沢感」が同じとなるのかは全く不明である。
この他、変角反射光角度分布の測定は光沢度(G60)の測定と比較して複雑な測定となるため、1つの画像パターンについて評価値を導出する場合はともかく、画像全体の「光沢感」に着目して多くの画像パターンについて測定を行ったうえで評価値を導出するような場合には、この測定の複雑さがネックになると考えられる。このためより簡易的な方法で「光沢感」を評価する方法が望ましく、測定の複雑さの点において、引用文献1ないし3では、課題が残ると考えている。例えば、特許文献1の反射光検出装置も、1つの画像パターン(1つのパッチ)の光沢を特定する目的には貢献する技術であると考えられるが、やはり画像全体として「光沢感」が一致しているか否かを評価するような技術の開示はなされていない。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、トナー量が異なる領域が混在している画像の全体にたいして「光沢感」が一致していることを表現することができる光沢評価装置及び光沢評価方法を提案することである。そのほかの課題として、特別な測定・計測機器を必要とせず光沢度(G60)などの汎用的な計測機器と同じ測定により「光沢感」が一致していることを表現することができる光沢評価装置及び光沢評価方法を提案することである。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の光沢評価装置は、記録媒体上に形成したトナー像の光沢感を評価する光沢評価装置において、複数のトナー付着量に相当する特性値(以下、付着量特性値と略す。)に対する光沢に関係する特性値(以下、光沢特性値と略す)との関係から、2つの直線で予め定める理想関係と、計測することにより得られる実測データとの差異にもとづいて光沢感を評価することを特徴とする光沢評価装置。
また、本発明の光沢評価装置は、さらに、前記2つの直線で予め定める理想関係は、次の3つのトナー付着状態に相当する箇所により決定されることを特徴とする。
(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所
(B)2次色ベタ箇所
(C)最高濃度箇所
また、本発明の光沢評価装置は、さらに、前記3つのトナー付着状態のうち、「(B)2次色ベタ箇所」、「(C)最高濃度箇所」における光沢特性値の値が同一であることを特徴とする。
また、本発明の光沢評価装置は、さらに、実測データと理想関係との差異を、付着量特性値の同じ値にたいする光沢特性値の差とし、これをΔGi(添え字iは複数の実測データを表す)とし、このΔGiの添え字iにたいする、最大値をΔGmax、最小値をΔGminとしたときに、光沢評価値Eを、下記式によって評価することを特徴とする。
ΔGmaxとΔGminが異符号の場合には、E=|ΔGmax| + |ΔGmin|
ΔGmaxとΔGminが同符号の場合には、E=max(|ΔGmax|,|ΔGmin|)
また、本発明の光沢評価装置は、さらに、前記付着量特性値を「明度:L」(CIELAB色空間における明度L)とし、前記光沢特性値を「60度光沢度:G60」(JISZ8741に規定されている60度鏡面光沢度)としたとを特徴とする。
また、本発明の光沢評価装置は、さらに、理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する前記3つのトナー付着状態のうち、「(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGpとし、「(B)2次色ベタ箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGrとしたときに、Gr=0.6×Gp+21関係が成り立つことを特徴とする。
また、本発明の光沢評価装置は、さらに、理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する前記3つのトナー付着状態のうち、「(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGpとし、「(C)最高濃度箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGdとしたときに、Gd=0.6×Gp+21の関係が成り立つことを特徴とする。
本発明の光沢評価方法は、記録媒体上に形成したトナー像の光沢感を評価する光沢評価方法において、複数のトナー付着量に相当する特性値(以下、付着量特性値と略す。)に対する光沢に関係する特性値(以下、光沢特性値と略す)との関係から、2つの直線で予め定める理想関係と、計測することにより得られる実測データとの差異にもとづいて光沢感を評価することを特徴とする。
また、本発明の光沢評価方法は、さらに、前記2つの直線で予め定める理想関係は、次の3つのトナー付着状態に相当する箇所により決定されることを特徴とする。
(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所
(B)2次色ベタ箇所
(C)最高濃度箇所
また、本発明の光沢評価方法は、さらに、前記3つのトナー付着状態のうち、「(B)2次色ベタ箇所」、「(C)最高濃度箇所」における光沢特性値の値が同一であることを特徴とする。
また、本発明の光沢評価方法は、さらに、実測データと理想関係との差異を、付着量特性値の同じ値にたいする光沢特性値の差とし、これをΔGi(添え字iは複数の実測データを表す)とし、このΔGiの添え字iにたいする、最大値をΔGmax、最小値をΔGminとしたときに、光沢評価値Eを、下記式によって評価することを特徴とする。
ΔGmaxとΔGminが異符号の場合には、E=|ΔGmax| + |ΔGmin|
ΔGmaxとΔGminが同符号の場合には、E=max(|ΔGmax|,|ΔGmin|)
また、本発明の光沢評価方法は、さらに、前記付着量特性値を「明度:L」(CIELAB色空間における明度L)とし、前記光沢特性値を「60度光沢度:G60」(JISZ8741に規定されている60度鏡面光沢度)としたことを特徴とする。
また、本発明の光沢評価方法は、さらに、理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する前記3つのトナー付着状態のうち、「(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGpとし、「(B)2次色ベタ箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGrとしたときに、Gr=0.6×Gp+21の関係が成り立つことを特徴とする。
また、本発明の光沢評価方法は、さらに、理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する前記3つのトナー付着状態のうち、「(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGpとし、「(C)最高濃度箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGdとしたときに、Gd=0.6×Gp+21の関係が成り立つことを特徴とする。
本発明のプログラムは、上記いずれかに記載の光沢評価方法をコンピュータで実行させることを特徴とする。
本発明の記憶媒体は、上記プログラムをメモリ上に記憶させたことを特徴とする。
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の光沢評価装置では、付着量特性値に対する光沢特性値の関係として、2つの直線によって定まる関数を理想関係として規定し、この理想関係と実際の評価対象を計測することにより得られる実測データとの差異にもとづいて、評価対象の光沢感の評価値を評価する光沢評価装置を提供することができる。
また、本発明の光沢評価方法では、付着量特性値に対する光沢特性値の関係として、2つの直線によって定まる関数を理想関係として規定し、この理想関係と実際の評価対象を計測することにより得られる実測データとの差異にもとづいて、評価対象の光沢感の評価値を提供することができる。
また、本発明のプログラムでは、光沢評価方法をコンピュータで実行させて、「光沢感」の均一性を評価することができるプログラムを提供することができる。
また、本発明の記録媒体は、プログラムをメモリ上に記憶させた記憶媒体で、この記憶媒体に記憶させたプログラムを、コンピュータで実行させることで、「光沢感」の均一性を評価することができる記録媒体を提供することができる。
本発明の光沢評価装置の構成を示す図である。 本発明による評価で、付着量特性値と光沢特性値との理想関係を説明するための図である。 本発明で評価する測定対象の画像のパッチを示す図である。 本発明による評価を説明するための図である。 作像条件による明度Lの測定値およびG60の測定値の関係を示す図である。 作像条件による明度Lの測定値およびG60の測定値の関係を示す図である。 作像条件による明度Lの測定値およびG60の測定値の関係を示す図である。 作像条件による明度Lの測定値およびG60の測定値の関係を示す図である。 作像条件による明度Lの測定値およびG60の測定値の関係を示す図である。 本発明で評価する他の例の測定対象の画像のパッチを示す図である。 本発明による評価を説明するための図である。 本発明の光沢評価方法を説明するブロック図である。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
図1は、本発明の光沢評価装置の構成を示す図である。
本発明の光沢評価装置40で、測定対象の画像の異なる複数のパッチを計測して、トナー付着量特性値である明度Lの値を採取する明度測定装置20と、光沢特性値である60度光沢度(G60)の値を採取するG60測定装置30と、明度LとG60とのそれぞれの値から画像全体の「光沢感」に関する評価値を生成する光沢評価装置40とによって構成される。
明度測定装置20は、対象パッチを計測してCIELAB色空間における明度Lを計測する。この明度測定装置20における測色方法および明度Lの値の算出方法については、JISZ8722、JISZ8701、JISZ8729において規定された方法によって実現する。また、これらの規格に準拠した測定装置が、測色機器メーカーにて製造されているため、こうした測定機器を明度測定装置20として利用することができる。
G60測定装置30は、対象パッチを計測して60度光沢度(G60)を計測する。このG60測定装置30における測色方法およびG60の値の算出方法については、JISZ8741、において規定された方法によって実現する。明度測定装置20と同様に、こうした規格に準拠した光沢度測定装置が、光沢度計メーカーにて製造されているため、こうした光沢度測定機器を明度測定装置20として利用することができる。
本発明では、用紙とトナー像部とで表面反射特性が異なることに起因して、用紙とトナー像とでは、同じG60の値を示す場合でも「光沢感」が同じになっているとは限らない。
また、評価対象となる画像の方は、用紙上に配置するトナー量を切り替えることで様々な色を表現している。このとき用紙上に配置されたトナーの状態を、画像の表面状態の視点で見ると、大別すると次の2つ状態に分類できると考えている。
(1) 画像の表面は、用紙部とトナー像部とが混在している状態でトナー量が増減する状態。
(2) 画像の表面は、完全にトナーに被覆された状態でトナー量が増減する状態。
(1)の状態の例としては、中間レベル(濃度)の1次色、中間レベルの2次色、中間レベルの3次色、などを挙げることができる。
また、(2)の状態の例としては、1色目のベタ上に2色目が重なった色、2次色ベタ上に3色目が重なった色、などを挙げることができる。
用紙と画像部とでそれぞれに異なる値の光沢測定値(G60)に設定することが望ましい。このため状態(1)(用紙部とトナー像部とが混在している状態でトナー量が増減する状態)の場合には、用紙上での用紙部とトナー像部との比率に対応させた形で変化する光沢測定値(G60)に設定することで、状態(1)であっても望ましい「光沢感」を反映した光沢特性値(G60)とすることができる。
また、状態(2)(画像の表面は、完全にトナーに被覆された状態でトナー量が増減する状態)の場合には、トナー量が増減しても画像の表面はすべてトナーに覆われているため、画像表面の反射特性は変わらないため、「光沢感」を同じにするためには同一の光沢特性値(G60)に設定しておけばよい。
ただし、G60などの光沢特性値には、画像表面からの反射光のほかに用紙内部からの反射光が含まれるため、この用紙内部からの反射光の影響を取り除くために、トナー量の増減に応じて変化する光沢特性値(G60)を設定するようにしてもよい。
図2は、本発明による評価で、付着量特性値と光沢特性値との理想関係を説明するためのである。この図は、横軸が付着量特性値(明度L)、縦軸が光沢特性値(G60)である。
図2の(1)で示した領域が、状態(1)に相当し、用紙部とトナー像部とが混在している状態でトナー量が増減する状態を示している。
図中の(2)で示した領域が、状態(2)に相当し、完全にトナーに被覆された状態でトナー量が増減する状態、を示している。
図2の線で表した関係が、「光沢感」が同じとなるような光沢特性値(G60)をあらわしている。(これを、本願では「理想関係」と呼んでいる。)
領域(1)では用紙部とトナー像部とが混在している状態であり、用紙((A)で示した箇所)および画像部(ベタ画像、(B)で示した箇所)とで「光沢感」が同じとなる光沢特性値の値を、それぞれA、Bで示している。領域(1)の区間は、上述したように用紙部とトナー像部との比率に応じて、「光沢感」が同じとなる光沢特性値の値が変化するため、(A)と(B)の間を結ぶ直線でこれを表している。
一方で、領域(2)では用紙がトナーに被覆された状態でトナー量が増減する状態であり、画像部(ベタ画像、(B)で示した箇所)および最高濃度部((C)で示した箇所)とで「光沢感」が同じとなる光沢特性値の値を、それぞれB、Cで示している。領域(2)では、表面はすべてトナーに覆われているため「光沢感」を同じにするためには同一の光沢特性値に設定しておけばよい。このため、(B)と(C)との間は光沢特性値の値が同じになっている。
したがって、理想関係は、図2のように、領域(1)と領域(2)とを表す2本の直線によって、付着量特性値にたいする光沢特性値の関係として表現される。このことは上述したように、すべての付着量特性値にたいして「光沢感」が同じとなる光沢特性値を表現できることにつながる。
さらに、2つの直線によって定める理想関係と実際の評価対象を計測することにより得られる実測データとの差異にもとづいて評価対象の光沢感に関する評価値を評価することができる。
本発明では、さまざまな色が含まれる画像全体として「光沢感」が一致しているか否かを評価する。1つの画像パターンの光沢感を特定することを目的としている従来技術とはこの点において異なっている。
この際に、用紙と画像部とでは光沢特性値(G60)を同じにしても「光沢感」が一致しないといった問題が生じることが大きな障害になっていた。そこで、理想関係と実測データとの差異に注目することで、画像を構成する様々な色に対しても「光沢感」が一致しているか不一致となっているか、を評価できるようになる。つまり、理想関係と実測データとの差異に注目することで、「光沢感」との対応のよい評価指標を得ることができる。
これを利用することで、異なる色(異なるトナー付着量によって実現される画像パターン)にたいしても、「光沢感」を評価することを可能となる。
こうした個々の色の「光沢感」の一致および不一致を分析することで、画像全体として「光沢感」の均一および不均一を評価することも可能となる。
また、2つの直線によって定める理想関係と実際の評価対象を計測することにより得られる実測データとの差異に注目することで、評価対象の「光沢感」に関する評価が可能となることにより、画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することを可能とする光沢評価装置40、光沢評価方法を実現することができる。
この他に、光沢特性値として光沢度(G60、60度光沢度)などの従来から一般的に特性値を採用することができるため、特別な測定・計測機器を必要としないといった長所を有している。
本発明で評価する測定対象の画像の各パッチについて、明度測定装置20およびG60測定装置30によって測定をおこなう。
図3は、本発明で評価する測定対象の画像のパッチを示す図である。本発明の光沢評価装置40、光沢評価方法で評価する測定対象となる画像は、図3のような付着状態が異なる11のパッチから構成した画像である。
この対象画像は、図中に記載した面積率の値で規定されたCMYKカラーデータ(ただしCの使用箇所はないカラーデータ)に対応しており、このCMYKカラーデータを画像出力機器によって出力したものを対象画像とした。
図3から分かるように、評価対象の画像は、「記録媒体(以下、単に「用紙」と記す。)部分」(番号0)→「2次色レッド」(番号5)→「2次色レッド+K箇所」(番号10)をつなぐ色のパッチによって、構成されている。
「用紙部分」→「2次色レッド」の間は領域では、トナー像の表面状態が、用紙の表面が露出している部分とトナーによって被覆されている部分とが混在した状態になっている。
「2次色レッド」→「2次色レッド+K」の間は領域では、トナー像の表面状態が、用紙の表面がトナーによって完全に被覆された状態になっている。つまり、ここでの評価対象画像は、画像の表面状態が用紙とトナー部分とが混在した状態で用紙上のトナー量が変化している領域と、画像の表面状態がトナーによって完全に被覆されてトナー量が変化している領域、とによって構成されている。
画像出力機器によって出力される様々な画像(画像を構成する様々な色)は、用紙上に配置するトナーの付着量を変化させることで再現する。こうした様々な画像に対応した用紙上のトナー付着状態は、用紙をトナーが被覆しているか否かといった観点から見ると、上述したような、画像の表面状態が用紙とトナー部分とが混在した状態で用紙上のトナー量が変化している領域と、画像の表面状態がトナーによって完全に被覆されてトナー量が変化している領域、との二つの領域に大別することができる。
このため、ここでの評価対象画像は、この二つの領域を含むことになる。
本発明の光沢評価装置40、光沢評価方法は、画像全体の「光沢感」を評価することであるが、様々トナー付着状態によって実現される色のすべてを評価することは、例えば、すべての色を評価しようとすると、1千万色以上の評価が必要となるため、現実的ではない。
しかしながら、こうした様々なトナー付着量状態によって実現される色は、前述したように、用紙をトナーが被覆しているか否かといった観点から、2つの領域に大別される。したがって、この2つの領域をそれぞれ評価することで、画像全体の「光沢感」を、少ない対象パッチから評価することができると考えられる。また、本発明の評価対象画像は、この2つの領域を含むように構成してあるため、評価対象画像を使用することによって、画像全体の「光沢感」を反映した評価をおこなうことができる。
なお、ここでの評価画像にはシアン色の使用がないため、シアンに関しての光沢特性が全く反映されない。しかしながら、多くの画像形成機器では、シアン、マゼンタ、イエローの3色については、トナーの特性が色毎に異なるように設定されるほとんどなく、色(分光反射率)以外の特性については非常に近い特性となっていることが多い。このため、評価画像に、シアン色の使用がないものの、シアンとマゼンタ・イエローとは、光沢に関しては類似の特性(類似の表面反射特性)となることが多いため、画像全体の「光沢感」を評価することができる。
ここでは、評価対象画像中の11のパッチのそれぞれについて、明度測定装置20、G60測定装置30によって明度LとG60とを測定する。11のパッチにたいする測定結果は、図1に示した光沢評価装置40に送られる。
光沢評価装置40では、これらの測定結果からはじめに、理想関係とする2つの直線によって定まる関数を規定する。この理想関係は、次にあげる3つの箇所によって決定されるので、この3箇所
(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所
(B)2次色ベタ箇所
(C)最高濃度箇所
の明度LとG60の値を決定する。
また、用紙と画像部とではG60などの光沢特性値を一致させただけでは「光沢感」が同じならないといった現象に起因する課題を解決し、様々な色の組み合わせによって実現される画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することができる、といった効果を有する。
この他に、光沢特性値として光沢度(G60、60度光沢度)などの従来から一般的に特性値を採用することができるため、特別な測定・計測機器を必要としない。
さらに、理想関係として規定した関数が3つのトナー付着状態に相当する箇所によって決定される、としている点がもっとも特徴的な構成となっている。この3箇所のうち、(A)用紙箇所、(C)最高濃度箇所、の2つの箇所については、用紙上に配置されるトナー量の下限と上限にそれぞれ対応する。このため、(A)用紙箇所、(C)最高濃度箇所、用いることで、用紙上の付着状態のすべての状態はこの2箇所の間に入るため、本願発明のように画像全体としての「光沢感」の均一性を評価する目的には最も適している。つまり、用紙上のトナー付着状態がどのような状態であっても、理想関係として規定した関数として規定されていることになるため、「光沢感」が一致しているか、あるいはずれているかの評価が行なえる。
また、上記3箇所の残り1箇所が、(B)2次色ベタ箇所、となるようにしている。(B)2次色ベタ箇所は、光沢の評価として従来から比較的頻繁に測定対象とされてきたパッチ(色)であるため、過去の光沢の評価結果との比較などが容易であるといった利点を挙げることができる。2次色が光沢の評価として主流となった背景には、1次色であるC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)などに比べて、2次色であるR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の方が、通常の画像を形成する場合において使用頻度が大きい色ためであると予想している。(出力機器の色空間がCMYKであるのに対して、デジカメ、ディスプレイなどの色空間がRGBであり、RGB系の色空間を介することが多いため。) また特にR(レッド)は、注目を集めたい画像(企業のロゴなど)などにおいて多用されるため、重要視されている。こうした理由により、上記のように(B)2次色ベタ箇所を取りあげることにより、利用頻度の高い色に注目した評価を行なうことができるため、画像全体としての「光沢感」の均一性の反映が容易な評価装置を実現することができる。
このように、用紙上に配置されるトナー量の下限と上限を規定しているため、用紙上のトナー付着状態がとのような状態であっても「光沢感」の評価が行なえるといった効果が得られる。また、使用頻度の高い色である2次色を基準とした評価となっているため、画像全体としての「光沢感」の均一性を反映することが容易な評価をおこなうことができる。
また、本発明では、理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する、3つのトナー付着状態のうち、「(B)2次色ベタ箇所」、「(C)最高濃度箇所」における光沢特性値の値が同一である。用紙と画像部とではG60などの光沢特性値を一致させただけでは「光沢感」が同じならないといったことに対して、本発明では、様々な色の組み合わせによって実現される画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することができる。
これは、理想関係として規定した関数を決定する3つのトナー付着状態のうち、「(B)2次色ベタ箇所」、「(C)最高濃度箇所」における光沢特性値の値が同一である、としている点がもっとも特徴的な点である。
例えば、「(B)2次色ベタ箇所」と「(C)最高濃度箇所」との間では、用紙の表面はトナーによって完全に覆われた状態で、用紙上のトナーが変化している状態である。したがって、この範囲内ではどの箇所でも、用紙の表面がトナーによって完全に覆われているため、画像表面からの反射光束の特性はどの箇所でも同じであると考えられる。
このため、画像表面からの反射光束に着目した場合には、「(B)2次色ベタ箇所」と「(C)最高濃度箇所」とでは、用紙と画像との場合とは異なり、「光沢感」が同じ場合には、反射特性も同じになっていると考えられ、同時に光沢測定値(G60)も同じ値になると考えられる。こうした理由によって、「(B)2次色ベタ箇所」と「(C)最高濃度箇所」とでは、「光沢感」が同じとなる光沢特性値の値は同じであると考えることができる。
その一方で、理想関係として規定した関数を決定する3つのトナー付着状態のうち、実質的には2つの状態を決定すればよい((B)2次色ベタ箇所と(C)最高濃度箇所とはどちらか一方から自動的に算出される)ことになるため、理想関係を決定するために必要な作業が簡素化されるといった効果が得られる。つまり、理想関係を決定するという作業を簡素化することができるといった効果をえることができる。
パッチ番号0は用紙部分に相当するため、パッチ番号0のLの測定値およびG60の値がそのまま、上述の理想関係の「(A)用紙箇所」の値となる。
次に「(B)2次色ベタ箇所」のG60の値(ここではGrとする)を、次の手順により決定する。
「(A)用紙箇所」のG60の値は、パッチ番号0のG60測定結果であるが、これをGpとする。このGpの値を用いて、Gr=0.6×Gp+21の関係により、Grの値を決定する。
また、「(B)2次色ベタ箇所」の明度Lの値は、パッチ番号5のから読みとった明度Lの値とする。
つまり、「(B)2次色ベタ箇所」の明度Lの値とパッチ番号5の実測データの明度Lの値とは同じものである。
次ぎに、「(C)最高濃度箇所」のG60の値は、「(B)2次色ベタ箇所」のG60の値と同じにする。
したがって、「(C)最高濃度箇所」の明度Lの値は、パッチ番号10から読み取った明度Lの値とする。
以上により、上述した3つの箇所の明度LとG60の値が決定されるため、目的となる理想関係が決定される。
この理想関係を使用して、対象画像の評価値を生成する。以下でその手順を説明する。
図4は、本発明による評価を説明するための図である。
図4に示すように、付着量特性値と光沢特性値との理想関係を、評価対象の画像パッチから読み取った実測データとの関係の一例となっている。
評価対象画像の11のパッチそれぞれから読み取った明度Lの値をLiとする。(添え字iはパッチ番号を表し、0〜10の値をもつ。)
また、G60の値をGiとする。(添え字iは同じくパッチ番号を表し、0〜10の値をもつ。)
上述したように、決定した理想関係を表す関数をF(L)と表現する。
そして、各測定パッチについて、G60の値であるGiと、測定パッチのLの値であるLiに対する理想関係から定まるG60の値であるF(Li)との、差であるΔGiをすべてのパッチについて算出していく。
ΔGi=Gi−F(Li)(添え字iはパッチ番号を表し、0〜11の値をもつ。)
なお、このΔGiは正負どちらの値もとることができる。
次に、このΔGiについて最大値および最小値を特定する。
最大値および最小値をそれぞれ、最大値:ΔGmax、最小値:ΔGminとする。このΔGmaxとΔGminを例示したものが図4である。
ここでは、実際のトナー像を測定することにより得られる実測データと理想関係との差異を、付着量特性値の同じ値に対する光沢特性値の差と考え、これをΔGi(添え字iは複数の実測データを表す)とし、このΔGiの添え字iにたいする最大値をΔGmax、最小値をΔGmin、としたときに、光沢評価値Eを下記式により生成する、
ΔGmaxとΔGminが異符号の場合には光沢評価値E=|ΔGmax|+|ΔGmin|、ΔGmaxとΔGminが同符号の場合には光沢評価値E=max(|ΔGmax|,|ΔGmin|)と表される。ここで、|a|は、aの絶対値を表し、max(a,b)は、aとbとのの値が大きい一方を表す。
これによって、光沢評価装置40で、用紙上におけるトナー画像の光沢感を評価値として数値で評価することができる。
これによって、用紙と画像部とではG60などの光沢特性値を一致させただけでは「光沢感」が同じならないといった現象に起因する課題を解決し、様々な色の組み合わせによって実現される画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することができる。
さらに、実際のトナー像を測定することにより得られる実測データと理想関係との差異を上記の計算式によって、ひとつの数値である光沢評価値Eとして算出している。このように、実際のトナー像の複数個所(トナーの付着状態が異なる複数個所)の情報を光沢評価値Eというひとつの数値に集約することができる。光沢評価値Eというひとつの数値に集約することで、光沢均一性といった観点でのトナー像同士の比較が可能となり、画像全体を比較することができる。こうした比較は、画像全体の特性をひとつの数値に集約させないと困難である。このように、トナー像の画像全体としての光沢均一性の評価を実現するといった効果を有する。
また、実際に出力される画像は使用者が所望する画像であるため、さまざまな画像が想定される。実際に、光沢均一性が気になる画像もあれば、あまり気にならない画像も存在する。光沢均一性が気になる画像としては、用紙部とトナー像部が隣接していて境界が明確な画像、網点部分とトナー像部とが隣接していて境界が明確な画像、などをあげることができる。このように、光沢均一性が気になりやすい画像とは、トナーの付着状態が大きく異なるために、「光沢感」に差異が生じやすい画像であり、実際に「光沢感」に差異が生じた場合に光沢の不均一性を知覚するようになると考えている。このときどのようトナー付着状態が隣接すのかということは、使用者や所望する画像がどのようなものであるかによって異なるため、あらかじめ特定することはできない。
このため、「光沢感」がほぼ同じと考えている理想関係から、もっとも上側にずれた箇所ともっとも下側にずれた箇所とを使用して、「光沢感」の均一性を表現することが可能となる。つまり、理想関係から上下それぞれにもっともずれた実測データを用いて、「光沢感」の均一性の評価をおこなっている。これらの理想関係から上下それぞれにもっともずれた箇所であっても、出力する画像によっては隣接して配置される場合が十分考えられるためである。このように、光沢感の差異が大きい箇所が隣接して配置されたときのことを考慮した「光沢感」の均一性に関する評価装置となっている。つまり、もっとも「光沢感」の均一性に差異が生じている箇所の情報から、画像全体の「光沢感」の均一性に関する評価値を算出することができる。
したがって、様々な色の組み合わせによって実現される画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することができる、光沢評価装置40を実現している。
本発明は、付着量特性値を「明度L」、光沢度特性値を「60度光沢度(G60)」としている。
これで、用紙と画像部とではG60などの光沢特性値を一致させただけでは「光沢感」が同じならないといった現象に起因する課題を解決し、様々な色の組み合わせによって実現される画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することができる。
さらに、付着量特性値として「明度L」をもちいている。「明度L」は画像の反射率から算出される評価値の1であり、画像の特性を表す指標としてはもっとも一般的なものである。画像上のトナー付着量はこの「明度L」と相関があるため、付着量特性値を「明度L」としている。「明度L」は、上述したような一般的な評価指標であるため、測定速度も速く、計測も比較的小型で安価な機器によって行なうことができる。このように、「明度L」といった一般的な評価指標を用いて、光沢の評価をすることができる。
また、光沢特性値として「60度光沢度(G60)」をもちいている。G60も光沢を表現する指標としてはかなり一般的なものである。従来、G60では用紙とトナーとでの「光沢感」の違いを表すことができないといった問題がある。しかしながら、本発明のように、理想関係を規定してこの理想関係とのずれに注目することでG60を使用しても「光沢感」の一致および不一致を表すことができるようになる。
G60も、明度Lと同じく一般的な評価指標であるため、測定速度も速く、計測も比較的小型で安価な機器によって行なうことができる。さらに、従来において光沢感を評価するために使用されてきた変角光度測定と比較すると、計測は比較にならないほど簡便である。このように、本発明では、G60といった一般的な光沢特性値を用いて評価することができる。
また、本発明では、理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する3つのトナー付着状態のうち、「(A)用紙箇所」でのG60の値をGp、「(B)2次色ベタ箇所」でのG60の値をGr、としたときに、このGpとGrとの間に、式としてGr=0.6×Gp+21で表される関係が成り立っている。
これによって、用紙と画像部とではG60などの光沢特性値を一致させただけでは「光沢感」が同じならないといった現象に起因する課題を解決し、様々な色の組み合わせによって実現される画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することができる。
さらに、理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する、3つのトナー付着状態のうち、「(A)用紙箇所」でのG60の値をGp、「(B)2次色ベタ箇所」でのG60の値をGr、としたときに、このGpとGrとの間に上述の関係が成り立つ。
この関係式は、用紙のG60の値とトナー像パッチのG60の値との、「光沢感」が同じとなる関係を特性したものである。このため、この関係式を使用することで用紙のG60を測定するだけで、「光沢感」が一致するベタパッチのG60の値を特定することができる。つまり、用紙のG60を測定するだけで、前述の理想関係における2次色パッチ箇所のG60の値を決定することができるようになる。このことは、理想関係を決定する作業にとって、用紙のG60を測定するだけで、2次色パッチ箇所のG60の値を決定できることになるため、作業の軽減させることができる。
また、本発明では、理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する、3つのトナー付着状態のうち、「(A)用紙箇所」でのG60の値をGp、「(C)最高濃度箇所」でのG60の値をGd、としたときに、このGpとGdとの間に、式でGd=0.6×Gp+21で定める関係が成り立つ。
これによって、用紙と画像部とではG60などの光沢特性値を一致させただけでは「光沢感」が同じならないといった現象に起因する課題を解決し、様々な色の組み合わせによって実現される画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することができる。
さらに、理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する、3つのトナー付着状態のうち、「(A)用紙箇所」でのG60の値をGp、「(C)最高濃度箇所」でのG60の値をGd、としたときに、このGpとGdとの間に上述の関係が成り立つ。
この関係式は、先のGrの関係式で、GrをGdで置き換えた形になっている。つまり、GrとGdとが等しい値となっている。このことは、理想関係を決定する3つのトナー付着状態のうち、「(B)2次色ベタ」と「(C)最高濃度箇所」とでは、用紙表面をトナーがすべて被覆しているという点において、この2つの状態は同じである。このためこの2つのトナー付着状態の比較においては、「光沢感」が同じであれば光沢特性値であるG60の値も同じであると考えられる。このため、「(B)2次色ベタ」でのG60の値であるGrと「(C)最奥濃度箇所」でのG60の値であるGdとを同じに値に設定しておくことで、「(B)2次色ベタ」と「(C)最奥濃度箇所」との間の領域で、「光沢感」が同じとなる菅関係を特定することができる。
これによって、様々な色の組み合わせによって実現される画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することができる。そして、「(A)用紙箇所」のG60の値が決定されれば、「(B)2次色ベタ箇所」、「(C)最高濃度箇所」、がそれぞれ前述した関係式によって、一義的に決定される。つまり、本発明におけるポイントの1つである理想関係を、「(A)用紙箇所」のG60を求めるだけで、簡便に求めることができ、理想関係を特定する作業を軽減できるといった効果をもつ。
<評価法の有効性検証実験>
(実施例1)
次に、本発明による実際の出力画像を評価した結果を以下に示す。
図5〜9は、作像条件による明度Lの測定値およびG60の測定値の関係を示す図である。
この評価実験では、トナーや定着条件などが異なる5つの条件で画像出力をおこない、本発明の光沢評価装置40で、5つの作像条件での各パッチの明度Lの測定値およびG60の測定値を測定し、評価値を算出した。光沢評価値を算出するために、図3に示したパッチの画像を、5つの画像形成にて出力した。その後、本発明の光沢評価装置40で、光沢評価値の導出を行なった。
一方で、画像形成条件を同じにして別途出力した主管評価画像を目視で評価し、この結果を前述の評価値と比較することで、本発明による評価方法の有効性を確認した。主管評価用途には、「光沢感」にたいして厳しいことが確認されている2種類の画像を利用した。これらの画像には、高濃度部(トナー付着量が多い)とハイライト〜中濃度部(トナー付着量が小〜中)が隣接している箇所が含まれており、特にこの部分において「光沢感」の不一致を感じる画像である。
一例として、人物画の髪の毛と肌色との境界部分などが、こうした画像に相当する。目視確認用途には、こうした箇所が含まれる画像を使用した。
ここでは、図5〜9における作像条件、トナー特性等は問題にせず、光沢の評価値が目視の評価結果と対応がとれていればよく、評価値の有効性を検証できてる。
主管評価用画像に対する「光沢感」の目視評価の結果と、実施例1による光沢評価値の数値を一覧にしたものが、表1である。

表1に示すように、「光沢感」の目視評価かが比較的良好であったものを表の上段に、反対に「光沢感」の目視評価が比較的良くなかったものを表の下段に、配置されるように並べ順を決めている。
表1からは、目標評価が悪化するに従って光沢評価値は大きくなることから、この目視評価の順に、実施例1の評価値が順に対応していることを読み取ることができる。
このことから、実施例1として提示した光沢評価値が、画像全体の「光沢感」を精度よく表現することができる。
なお、評価結果として提示した実験は、用紙1種類(王子製紙製 PODグロスコート紙 G60=約27%)についてのものであるが、これ以外についても用紙自体のG60がG60=5〜40%の範囲にある用紙についても同様の実験を行なっており、実施例1の評価方法の有効性の確認をおこなっている。
(関係式の導出方法)
「(A)用紙箇所」のG60の値Gpと、「(B)2次色ベタ」箇所のG60の値Gpとの関係式として、Gr=0.6×Gp+21の関係式を使用している。この関係式は、下記のような取り組みから導出したものであり、用紙のG60の値とトナー像パッチのG60の値との、「光沢感」が同じとなる関係を特定したものである。
印刷用のコート紙を中心に選定した12種の用紙の上に、電子写真方式で様々な色のベタパッチを形成し、定着および光沢付与条件を変更して、約300サンプルの、光沢感・用紙・色の異なるサンプルパッチを準備した。
その上で、評価者に、用紙部分とベタパッチ部分との光沢感が一致しているか不一致となっているかを、5段階のランクで評価していただいた。5段階の評価のうちで、上位2段階(光沢が一定指定側の2段階)に属するサンプル(約40サンプル)を使用して、用紙部分のG60の値とベタパッチ部分のG60との関係を、重み付けした最小2乗法で直線近似することで導出された関係式が、上記の関係式である。
このように、上記関係式は、G60における用紙とさまざまな色のベタパッチとの「光沢感」とが一致している値を対応させたものであるので、この関係式を使用することで用紙のG60を測定するだけで、「光沢感」が一致するベタパッチのG60の値を特定することができる。
(実施例2)
また、本発明の光沢評価装置40では、評価実験が、トナーや定着条件の他、トナーの数を増やして画像出力をおこない、本発明の光沢評価装置40で評価値を算出することができる。これによって、さらに、本発明による評価方法の有効性を確認した。
ここでは、実施例1と、評価画像として使用する画像が異なる。
図10は、本発明で評価する他の例の測定対象の画像のパッチを示す図である。
実施例1では、図3で説明したように、評価画像は、用紙箇所〜レッド色箇所(2次色ベタ)〜最高濃度箇所(レッド+ブラック)、といった箇所によって構成されていた。
これに対して、実施例2の評価画像は、図10に示すような、用紙箇所〜ブラックベタ箇所(1次色ベタ)〜最高濃度箇所(4Cブラック)、といった箇所によって構成されている。
実施例2の評価画像においても、画像の表面状態が用紙とトナー部分とが混在した状態で用紙上のトナー量が変化している領域(用紙箇所〜ブラックベタ箇所の領域)と、画像の表面状態がトナーによって完全に被覆されてトナー量が変化している領域(ブラックベタ箇所〜最高濃度箇所)、との二つの領域に大別することができる点では、実施例1の評価画像と共通している。このため、この2つの領域をそれぞれ評価することで、画像全体の「光沢感」を、実施例1の場合と同じように、少ない対象パッチから評価することができると考えられる。つまり、実施例2の評価対象画像を使用することによっても、画像全体の「光沢感」を反映した評価をおこなうことができる。
したがって、実施例1に示すように、用紙箇所〜2次色ベタ(レッドの他、グリーン、ブルーでも良い)〜最高濃度箇所といった評価画像を行うことができる。さらに、ここに示すように、例えば、用紙箇所〜1次色ベタ(シアン、マゼンタ、イエロー)〜最高濃度箇所、といった評価画像を使用しても、本発明の光沢評価装置、光沢評価方法を行なうことができる。
さらに、評価画像としては、11のパッチから構成される評価画像を使用することに、なんら限定されるものではなく、それ以外の個数のパッチを含む評価画像を行うことができる。ただし、評価パッチの数が少なすぎると、理想関係からのずれが大きくなる領域に評価パッチが配置されないといった問題が生じ、逆に評価パッチの数が多すぎると評価に手間がかかるといった問題が生じるので、適当な数を選択することが好ましい。特に、11くらいの数が妥当である。
(実施例3)
ここでは、付着量特性として反射濃度(いわゆるID)、光沢特性値としてG20(20度光沢度)を用いている。
実施例3では、実施例1とは異なる付着量特性値および光沢特性値を使用している。しかし、本発明の光沢評価装置40、光沢評価方法では、用紙とトナー像部とで表面反射特性が異なることに起因して、用紙とトナー像とでは、同じ光沢特性値の値を示す場合でも「光沢感」が同じになっているとは限らないといった点に注目している。
そして、画像の表面状態が用紙とトナー部分とが混在した状態で用紙上のトナー量が変化している領域と、画像の表面状態がトナーによって完全に被覆されてトナー量が変化している領域との二つの領域に分類することで、「光沢感」が同じになっていることを評価することができることを示している。そして、本発明の光沢評価装置40、光沢評価方法では、付着量特性値としては明度Lに、光沢特性値としてG60に、それぞれ限定されるものではなく、他のものであっても、適用することが可能である。
したがって、実施例3に示すように、実施例1の場合と同様に、用紙とトナー像部とで表面反射特性が異なることを捉え、画像全体の「光沢感」を反映した評価をおこなうことができる。
実施例3では、上記の点で実施例1と異なっているものの、その他の、評価対象の画像、理想関数の決定方法、光沢評価値の生成方法は、実施例1の場合と同じである。
なお、付着量特性値としては、上述したものの他、他の評価値を用いることも可能である。例えば、トナー付着量をそのまま計測して「用紙上のトナー重量」などを用いることも可能である、このほか、「トナー層の厚み」、「色空間における色度値」、なども使用することができると考えている。
また、光沢特性値としても、この他に、45度光沢度(G45)、75度光沢度(G75)、85度光沢度(G85)などを用いることも可能である。さらに、従来技術のように反射光の角度分布に関連する評価値なども使用することができる。
(実施例4)
ここでは、理想関係と各実測データとの差異であるΔGi(符号つきで正負の値をとる。)のデータ個数分すべてを使用して、下記式:E=ave(|ΔGi|)(ここで、|a|は、aの絶対値を表し、ave(ci)は、ciを添え字iについての平均値を表す。)により、光沢評価値Eを評価する。
実施例1では、理想関数と実測データとのずれを、図4にも図示しているように、ΔGmax(最大ずれ量)およびΔGmin(最小ずれ量)の2つ値を使用して、光沢評価値Eの評価をおこなっている。
しかし、ここでは、光沢評価値Eでも、理想関係と実測データとのずれを評価することができるため、画像全体の「光沢感」の均一性を評価することができる。
また、この実施例4では、光沢評価値の生成方法として上記式を用いるが、その他の、評価対象画像、理想関数の決定方法、は実施例1の場合と同じであるので、説明を省略する。
なお、実施例4と類似の評価方法として、例えば、|ΔGi|の加算値、残差の2乗和などを使用しても、本願発明の光沢評価を行なうことができる。
(実施例5)
実施例1では、図4で図示しているように、(B)2次色ベタ箇所での光沢特性値と、(C)最高濃度箇所での光沢特性値とが、同じ値になっている。これは、(B)2次色ベタ箇所と(C)最高濃度箇所とでは、用紙表面をトナー完全に被覆しているといった点において同じであるため、表面反射光特性は同じであると考えられためである。
しかしながら、(B)2次色ベタ箇所と(C)最高濃度箇所とでは、表面反射光特性は同じであっても、(B)2次色ベタ箇所と(C)最高濃度箇所とは、明度が異なるため内部反射光が異なる。内部反射光とは、入射された光のうちトナー層に侵入して用紙で反射された成分のことを指している。内部反射光は、入射時と反射時それぞれにおいて、トナー層を通過するためトナー層の透過率によって、この内部反射光成分の大きさが異なる。つまり、明度の大きい(明るい色)の場合には、この内部反射光が大きい状態になっており、逆に明度の小さい(暗い色)の場合には、この内部反射光が小さな状態になっている。
60度光沢度(G60)は、対象パッチにたいして光を照射して、その反射光を読み取ることで、G60の値の算出を行なっているが、このときすべての入射光が対象パッチの表面のみで反射されるわけではなく、一部の光はトナー層の内部にまで侵入して、上述した内部反射光となる。したがって、G60の計測値には、表面反射光のほかに、この内部反射光が混入した状態となっている。G60の計測値にどれだけの内部反射光が混入しているかということは、パッチの色や用紙の反射率に依存する問題であるが、レッドパッチであればG60の計測値に対して、2〜3ポイント(光沢度の次元が%である、その差異と2〜3%ポイント)である。
このように、G60の計測値に占める内部反射光の寄与は、それほど大きなものではないため、測定の簡易さを追及する場合には、この内部反射光の影響を無視することも一案である。しかしながら、より高いレベルで、(B)2次色ベタ箇所と(C)最高濃度箇所との「光沢感」を一致させるためには、この内部反射の影響を考慮した方が望ましい。
図11は、本発明による評価を説明するための図である。
実施例5では、内部反射の影響を考慮するために、実施例1とは異なる理想関係を使用している。図11が実施例6の理想関係を表したものであるが、(B)2次色ベタ箇所と(C)最高濃度箇所との間に、G60の値において2〜3ポイントの差を持たせて設定している。この理由は、前述したように、(B)2次色ベタ箇所(レッドパッチ)には、(C)最高濃度箇所にくらべて、内部反射光が混入した状態になっているため、図11のような差異を設けて理想関係を設定することで、(B)2次色ベタ箇所と(C)最高濃度箇所との「光沢感」をより高い精度で一致させることができる。
実施例5では、こうした理想関係を使用することで、実施例1に比べてより高い精度で、画像全体の「光沢感」の均一性の評価を行なうことができる。
実施例5では、(B)2次色ベタ箇所としてレッドパッチの場合を例に挙げて、内部反射光の影響を打ち消して高い精度で光沢評価値を生成する光沢評価装置40を説明した。当然のことであるが、(B)2次色ベタ箇所としてレッド以外の色を設定する場合には、実施例6とは異なる値を、(B)2次色ベタ箇所と(C)最高濃度箇所とに適用して理想関係を設定しなければならない。また、(B)の箇所を2次色ではなく1次色ベタとして評価する場合でも、同様である。
図12は、本発明の光沢評価方法を説明するブロック図である。
図12では、光沢評価方法(光沢評価プログラム)の概略をあらわしたものであり、本発明の光沢評価方法は、評価対象の画像の各パッチの計測を行なう役割を担う明度測定装置20およびG60測定装置30と、評価値の生成を行なう光沢評価装置40とが、完全に独立した構成になっている。明度Lの値およびG60の値は、既存の計測器などを用いて測定し、その測定値のみをデータとして受け取り光沢評価値を生成する構成になっている。
多くの明度測定装置20やG60測定装置30は、PC(コンピュータ)などとのインターフェースを有しており、すでに計測データをPCへと取り込みをおこなうことができる構成になっている。また汎用性の高い形式でハードディスクなどの記憶領域に計測データの保存を行なうことができる。そして、こうして保存された計測データは、ネットワークをはじめとする様々な移送手段によって、別のPCなどに送信することができる。図9は、こうした別環境下で計測された計測データを受け取り、光沢評価装置40で処理し、光沢評価値の評価をおこなう構成になっている。
ここでは、計測データの取り込みを既存の計測器を行なうことができるため、光沢評価値の生成にあたって必要となるのは、計測データを処理する部分のみである。このデータ処理部分は、ソフトウェアなどで構成することができるため、安価な構成で光沢評価値を評価することができる。
また、本発明のプログラムは、光沢評価方法をコンピュータで実行させるプログラムで、例えば、別の計測器などで、付着量特性値および光沢特性値を測定し、このプログラムによって処理を行なうことで、従来の課題を解決して、様々な色の組み合わせによって実現される画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することができる。
さらに、本発明の記録媒体は、光沢評価方法のプログラムをメモリ上に記憶させた記憶媒体で、この記憶媒体に記憶させたプログラムを、コンピュータで実行させるとで、やはり、様々な色の組み合わせによって実現される画像全体としての「光沢感」の均一性を評価することができる。
20 明度測定装置
30 G60測定装置
40 光沢評価装置
特開2006−261820号公報 特開2007−278919号公報 特開2009−68891号公報

Claims (16)

  1. 記録媒体上に形成したトナー像の光沢感を評価する光沢評価装置において、
    前記光沢評価装置は、
    複数のトナー付着量に相当する特性値(以下、付着量特性値と略す。)に対する光沢に関係する特性値(以下、光沢特性値と略す)との関係から、
    2つの直線で予め定める理想関係と、
    計測することにより得られる実測データとの差異にもとづいて光沢感を評価する
    ことを特徴とする光沢評価装置。
  2. 請求項1に記載の光沢評価装置において、
    前記2つの直線で予め定める理想関係は、次の3つのトナー付着状態に相当する箇所により決定される
    (A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所
    (B)2次色ベタ箇所
    (C)最高濃度箇所
    ことを特徴とする光沢評価装置。
  3. 請求項2に記載の光沢評価装置において、
    前記3つのトナー付着状態のうち、「(B)2次色ベタ箇所」、「(C)最高濃度箇所」における光沢特性値の値が同一である
    ことを特徴とする光沢評価装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光沢評価装置において、
    実測データと理想関係との差異を、付着量特性値の同じ値にたいする光沢特性値の差とし、これをΔGi(添え字iは複数の実測データを表す)とし、
    このΔGiの添え字iにたいする、最大値をΔGmax、最小値をΔGminとしたときに、
    光沢評価値Eを、下記式によって評価する
    ΔGmaxとΔGminが異符号の場合には、E=|ΔGmax| + |ΔGmin|
    ΔGmaxとΔGminが同符号の場合には、E=max(|ΔGmax|,|ΔGmin|)
    ことを特徴とする光沢評価装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光沢評価装置において、
    前記付着量特性値を「明度:L」(CIELAB色空間における明度L)とし、前記光沢特性値を「60度光沢度:G60」(JISZ8741に規定されている60度鏡面光沢度)とした
    ことを特徴とする光沢評価装置。
  6. 請求項5に記載の光沢評価装置において、
    理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する前記3つのトナー付着状態のうち、
    「(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGpとし、
    「(B)2次色ベタ箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGrとしたときに、
    Gr=0.6×Gp+21
    の関係が成り立つ
    ことを特徴とする光沢評価装置。
  7. 請求項6の光沢評価装置において、
    理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する前記3つのトナー付着状態のうち、
    「(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGpとし、
    「(C)最高濃度箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGdとしたときに、
    Gd=0.6×Gp+21
    の関係が成り立つ
    ことを特徴とする光沢評価装置。
  8. 記録媒体上に形成したトナー像の光沢感を評価する光沢評価方法において、
    前記光沢評価方法は、
    複数のトナー付着量に相当する特性値(以下、付着量特性値と略す。)に対する光沢に関係する特性値(以下、光沢特性値と略す)との関係から、
    2つの直線で予め定める理想関係と、
    計測することにより得られる実測データとの差異にもとづいて光沢感を評価する
    ことを特徴とする光沢評価方法。
  9. 請求項8に記載の光沢評価方法において、
    前記2つの直線で予め定める理想関係は、次の3つのトナー付着状態に相当する箇所により決定される
    (A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所
    (B)2次色ベタ箇所
    (C)最高濃度箇所
    ことを特徴とする光沢評価方法。
  10. 請求項9に記載の光沢評価方法において、
    前記3つのトナー付着状態のうち、「(B)2次色ベタ箇所」、「(C)最高濃度箇所」における光沢特性値の値が同一である
    ことを特徴とする光沢評価方法。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の光沢評価方法において、
    実測データと理想関係との差異を、付着量特性値の同じ値にたいする光沢特性値の差とし、これをΔGi(添え字iは複数の実測データを表す)とし、
    このΔGiの添え字iにたいする、最大値をΔGmax、最小値をΔGminとしたときに、
    光沢評価値Eを、下記式によって評価する
    ΔGmaxとΔGminが異符号の場合には、E=|ΔGmax| + |ΔGmin|
    ΔGmaxとΔGminが同符号の場合には、E=max(|ΔGmax|,|ΔGmin|)
    ことを特徴とする光沢評価方法。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載の光沢評価方法において、
    前記付着量特性値を「明度:L」(CIELAB色空間における明度L)とし、前記光沢特性値を「60度光沢度:G60」(JISZ8741に規定されている60度鏡面光沢度)とした
    ことを特徴とする光沢評価方法。
  13. 請求項12に記載の光沢評価方法において、
    理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する前記3つのトナー付着状態のうち、
    「(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGpとし、
    「(B)2次色ベタ箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGrとしたときに、
    Gr=0.6×Gp+21
    の関係が成り立つ
    ことを特徴とする光沢評価方法。
  14. 請求項13の光沢評価方法において、
    理想関係として規定した2つの直線によって定まる関数を決定する前記3つのトナー付着状態のうち、
    「(A)用紙(トナーが付着していない状態)箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGpとし、
    「(C)最高濃度箇所」での光沢特性値(光沢度G60)の値をGdとしたときに、
    Gd=0.6×Gp+21
    の関係が成り立つ
    ことを特徴とする光沢評価方法。
  15. 請求項8〜14のいずれかに記載の光沢評価方法をコンピュータで実行させる
    ことを特徴とするプログラム。
  16. 請求項15に記載のプログラムをメモリ上に記憶させた、
    ことを特徴とする記憶媒体。
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