JP2011164077A - 原子炉のプール水の排水設備、並びに、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜き方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用済み燃料プールの冷却を維持しつつ、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜きに要する時間を大幅に削減可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる原子炉のプール水の排水設備100は、原子炉ウェル102内の水を抜く原子炉ウェル水抜きライン102aと、ドライヤセパレータプール106内の水を抜くDSP水抜きライン106aと、これらが合流する合流ライン116と、燃料プール冷却浄化系統110と、燃料プール冷却浄化系統110に接続する手前側で合流ライン116から分岐し、残留熱除去系統112のSFP冷却モードライン112dに接続する分岐ライン128とを有し、原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106内の水を、合流ライン116からSFP冷却モードライン112dを経てサプレッションプール114へと水抜きすることを特徴とする。
【選択図】図4
【解決手段】本発明にかかる原子炉のプール水の排水設備100は、原子炉ウェル102内の水を抜く原子炉ウェル水抜きライン102aと、ドライヤセパレータプール106内の水を抜くDSP水抜きライン106aと、これらが合流する合流ライン116と、燃料プール冷却浄化系統110と、燃料プール冷却浄化系統110に接続する手前側で合流ライン116から分岐し、残留熱除去系統112のSFP冷却モードライン112dに接続する分岐ライン128とを有し、原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106内の水を、合流ライン116からSFP冷却モードライン112dを経てサプレッションプール114へと水抜きすることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、原子炉のプール水の排水設備、並びに、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜き方法に関するものである。
沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)や改良型沸騰水型原子炉(ABWR:Advanced Boiling Water Reactor)では、炉心が原子炉圧力容器に収容され、原子炉圧力容器は原子炉格納容器に収容される。原子炉圧力容器には冷却水(軽水)が注水され、炉心から生じる熱によって高温高圧の蒸気を生じさせて、タービンを回転させる動力に利用する。
上記のような原子炉(原子力発電プラント)では、安全に運用を行うために、所定の期間ごとに定期点検が義務付けられている。かかる定期点検の際には、常時水が張られている使用済み燃料プール(SFP:Spent Fuel Pool)に加え、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプール(DSP:Dryer Separator Pool)にも水が張られる。そして、点検が終了して原子炉を復旧する際に、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水は、サプレッションプール(S/P:Suppression/Pool)や低電導度廃液処理系統(LCW:Low Conductivity Waste Subsystem)へと水抜きされる。
従来、この水抜きは、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールに充分な水量が存在する場合、燃料プール冷却浄化系統(FPC:Fuel Pool Cooling and Filtering System)のポンプを使用してサプレッションプールへと水抜きするとともに、原子炉圧力容器の下部の配管から低電導度廃液処理系統へと水抜きしていた。そして、原子炉ウェルやドライヤセパレータプールの水量が少なくなる(底面から約1m程度になる)と、燃料プール冷却浄化系統のポンプの有効吸込ヘッド(NPSH:Net Positive Suction Head)が不足するので、原子炉圧力容器の下部の配管のみから低電導度廃液処理系統へと水抜きしていた。
しかし、燃料プール冷却浄化系統のポンプを使用してサプレッションプールへと水抜きする場合には、使用済み燃料プールが無冷却状態となる。すると使用済み燃料プールに収容された燃料の発熱量によっては、使用済み燃料プールの温度が上昇してしまうおそれがある。これより、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールに充分な水量が存在する場合であっても、原子炉圧力容器の下部の配管のみから低電導度廃液処理系統へと水抜きすることもあった。
しかし、原子炉圧力容器の下部の配管から低電導度廃液処理系統へと水抜きする場合には、低電導度廃液処理系統へと排水された放射性廃液の処理を行うラドウエストの処理容量の制限から1時間当たり30m3程度しか抜くことができない問題があった。そのため、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールに張られた全ての水を、原子炉圧力容器の下部の配管から低電導度廃液処理系統へと水抜きする場合には、おおむね36時間程度もの時間が必要であった。なお、原子炉ウェルやドライヤセパレータプールの水量が少なくなって(底面から約1m程度になって)から、原子炉圧力容器の下部の配管のみで低電導度廃液処理系統へ水抜きする上記手法であっても、概して8時間程度の時間が必要であった。
特許文献1には、ドライヤセパレータプールから燃料プール冷却浄化系統のポンプの吸込側につながる排水配管と、この排水配管を分岐してサプレッションプール浄化系統(SPCU:Suppression Pool water Clean Up system)のポンプの吸込側につながるドレン配管とを設ける技術が開示されている。これにより、燃料プール冷却浄化系統のポンプとサプレッションプール浄化系統のポンプを利用して、ドライヤセパレータプールの水を速やかに排出することができるとされている。
しかしながら、特許文献1の技術では、2つのポンプに排水を頼ることとなるので、有効吸込ヘッドを考慮しなければならない点については変わらない。そして、当然ながらこれらのポンプの吸込容量を併せた範囲内でしか水抜きを行うことはできない。よって、水抜きにかかる時間を大幅に削減することは困難である。
また、特許文献1の技術では、そもそも使用済み燃料プールが無冷却状態となる課題を解決することができない。特許文献1の構成において使用済み燃料プールの温度が上昇した場合にサプレッションプール浄化系統のみから排出することは可能と考えられるが、それでは排水に時間がかかってしまう。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、使用済み燃料プールの冷却を維持しつつ、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜きに要する時間を大幅に削減可能な技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明にかかる原子炉のプール水の排水設備の代表的な構成は、原子炉ウェル内の水を抜き出す原子炉ウェル水抜きラインと、ドライヤセパレータプール内の水を抜き出すDSP水抜きラインと、原子炉ウェル水抜きラインおよびDSP水抜きラインが合流する合流ラインと、使用済み燃料プール内の水を循環させて冷却および浄化する燃料プール冷却浄化系統と、合流ラインが燃料プール冷却浄化系統に接続する手前側でこの合流ラインから分岐し、残留熱除去系統の使用済み燃料プール冷却モードのラインに接続する分岐ラインとを有し、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプール内の水を、合流ラインから残留熱除去系統の使用済み燃料プール冷却モードのラインを経てサプレッションプールへと水抜きすることを特徴とする。
かかる構成によれば、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜きを、ポンプ等の動力源を必要とせずサプレッションプールとの水位差(落差)により極めて迅速に行うことができる。当然ながら、ポンプの有効吸込ヘッドを考慮する必要がないので、最後まで一気に(1段階で)水を抜くことが可能である。
また、燃料プール冷却浄化系統を回避し、他の系統(残留熱除去系統)を経由してサプレッションプールへと水抜きを行うことから、燃料プール冷却浄化系統によって使用済み燃料プールの冷却を維持することが可能である。
上記分岐ラインの配管は、合流ラインの配管から上側に分岐しているとよい。これにより、原子炉ウェルやドライヤセパレータプールの底部、あるいは各ラインの配管に堆積しているスラッジ等を、重量差によって分岐ラインに流入させにくくすることができる。
当該原子炉のプール水の排水設備は、上記合流ラインと、残留熱除去系統の使用済み燃料プール冷却モードのラインとが同一のポンプ室内を通過し、このポンプ室内で分岐ラインによって連結しているとよい。これにより、好適にラインをつなぐことが可能である。すなわち、ポンプ室は縦、横ともにせいぜい3〜5mくらいなので、短い分岐ライン(配管)を設けるのみで(原子炉の構造変更を殆ど要せず)上述した効果を奏することが可能である。
上記課題を解決するために本発明にかかる原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜き方法の代表的な構成は、原子炉ウェルと使用済み燃料プールとの間にSFPゲートを挿入し、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの下方から排出した水を合流し、合流した水を残留熱除去系統の使用済み燃料プール冷却モードのラインからサプレッションプールに、燃料プール冷却浄化系統を回避して排出することを特徴とする。
かかる構成によれば、使用済み燃料プールの冷却を維持しつつ、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜きに要する時間を大幅に削減することができる。これにより、原子炉復旧までの時間が短縮されることから、延いては原子炉の設備利用率の向上にもつながる。なお、上述した原子炉のプール水の排水設備における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜き方法にも適用される。
本発明によれば、使用済み燃料プールの冷却を維持しつつ、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜きに要する時間を大幅に削減可能な技術を提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態にかかる原子炉のプール水の排水設備100の概略図である。図1に例示するように、原子炉復旧前において、定期点検時の燃料交換作業や炉内作業に伴う放射線被爆防止のため原子炉ウェル102には一時的に水が張られている。同様に、定期点検時において、炉内構造物等が仮置きされるドライヤセパレータプール106も一時的に水が張られている。
使用済み燃料プール104は、炉内から取り出した燃料等を貯蔵するため、常時水が張られている。使用済み燃料プール104には、スキマサージタンク108が隣接して設けられる。スキマサージタンク108は、使用済み燃料プール104からオーバーフローした水を受けて、燃料プール冷却浄化系統110(FPC系統)へと送出する。
使用済み燃料プール104に張られた水は、適切な温度以下に保たれるように、燃料プール冷却浄化系統110または残留熱除去系統112(RHR系統)、あるいはその両方にて冷却される。
燃料プール冷却浄化系統110は、FPCポンプ110a、ろ過脱塩装置110b(FPCフィルターデミ)およびFPC熱交換器110cを有し、スキマサージタンク108より送出された水を浄化、冷却し、再び使用済み燃料プール104へと戻す。すなわち、燃料プール冷却浄化系統110は、使用済み燃料プール104の水を所定の基準(温度等)内に保つ役割を担っている。
残留熱除去系統112は、原子炉停止後の崩壊熱を除去する停止時冷却、原子炉隔離時(復水・給水停止状態)の崩壊熱と残留熱の除去、および原子炉冷却材喪失時の炉心冷却等を行う系統である。詳細には、残留熱除去系統112は、RHR(A)系統とRHR(B)系統のほぼ相互対象な2系統で構成され、それぞれにRHRポンプ112aおよびRHR熱交換器112bが備えられている。残留熱除去系統112は様々な機能を有する系統であり、使用済み燃料プール104の冷却もその1つである。
サプレッションプール114は、事故時に原子炉格納容器内の内圧上昇を抑制するために、発生した蒸気を凝縮して圧力を下げるための貯留槽である。
原子炉再循環系統122(PLR系統:Primary Loop Recirculation System)は、原子炉圧力容器120から冷却水を取り出し、PLRポンプ122aで昇圧して原子炉内に戻す強制循環経路である。PLRポンプ122aの回転数を変化させることで、原子炉出力が調節される。なお、原子炉再循環系統122は、原子炉圧力容器120を挟んで対に形成されている。
原子炉冷却材浄化系統124(CUW系統:Clean Up Water System)は、原子炉内の冷却水に含まれる不純物を除去し、水質を維持するための系統である。原子炉冷却材浄化系統124は、原子炉の起動、停止時および点検中において余剰水を排出して、原子炉の水位を制御する役割も担っている。本実施形態では、原子炉冷却材浄化系統124のCUWポンプ124aを使用して、原子炉圧力容器120内の水を低電導度廃液処理系統へと排出する。
低電導度廃液処理系統は、原子炉建屋内の機器からの排水や漏洩水、試料採取ラインの廃液等で、水質的に清浄な水を処理する系統である。低電導度廃液処理系統に排出された水は、最終的に不図示のラドウエストへと送られ処理される。
原子炉ウェル102の下部には、原子炉ウェル水抜きライン102aが接続されている。同様に、ドライヤセパレータプール106の下部には、DSP水抜きライン106aが接続されている。原子炉ウェル水抜きライン102aおよびDSP水抜きライン106aは、合流ライン116にて合流する。合流ライン116は、燃料プール冷却浄化系統110に接続している。
ここで、本実施形態においては合流ライン116には、燃料プール冷却浄化系統110に接続する手前側より分岐し、残留熱除去系統112の使用済み燃料プール冷却モードのライン(以下、SFP冷却モードライン112dと称する)に接続する分岐ライン128を新設する。そして、本実施形態ではかかる分岐ライン128から、燃料プール冷却浄化系統110を介さずにSFP冷却モードライン112dへと流入させる経路で、原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106に張られた水を抜く。
図2は、燃料プール冷却浄化系統110の各ライン(配管経路)の詳細について例示する図である。図2に例示するように、一般的な原子炉(原子力発電プラント)では、合流ライン116とSFP冷却モードライン112dとが、同一のポンプ室126内を通過している。
本実施形態の特徴たる分岐ライン128は、このポンプ室126内で合流ライン116とSFP冷却モードライン112dとを連結する。ポンプ室126は縦、横ともにせいぜい3〜5mくらいなので、分岐ライン128の新設に当たっては短い配管を敷設するのみでよい。すなわち、原子炉の構造変更を殆ど要さないため、分岐ライン128の新設によって弊害が生じるおそれも皆無である。
仮に原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106からサプレッションプール114へ排水したいと考えた場合に、これらを直接的に接続する配管を設けることを構想する可能性もある。しかし、原子炉周辺は複数の階層(床)が形成されており、原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106からサプレッションプール114までは5層ほどものフロアを貫通させなければならない。また、原子炉の周辺には、既に非常に多くの配管が張り巡らされている。このため、そのような配管は新設の原子炉であっても大幅な設計変更を要し、また既設の原子炉では原子炉の周辺に上下方向に貫通する配管を設けることは事実上不可能である。
しかし、上記のようにポンプ室126内で合流ライン116とSFP冷却モードライン112dとを連結することにより、既設配管を利用して、原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106からサプレッションプール114へ連通する経路を形成することができる。すなわち、フロアや壁を貫通させることなく、極めて短い配管(3〜5m程度)を追加するだけでよいため、大規模な工事や配管スペースを要することがなく、容易に実現が可能である。
なお、分岐ライン128の配管は、合流ライン116の配管から上側に分岐するように形成する。これにより、原子炉ウェル102やドライヤセパレータプール106の底部、あるいは各ラインの配管に堆積しているスラッジ等を、重量差によって分岐ライン128に流入させ難くすることができる。
以下、原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106の水を排出して、原子炉を復旧させる過程について説明する。
図3は、原子炉のプール水の排水設備100にSFPゲート104aを挿入した図である。図3に例示するように、まず原子炉ウェル102と使用済み燃料プール104とを隔てるSFPゲート104aを挿入する。これにより、原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106の水抜きを実施しても、独立して使用済み燃料プール104の水量が維持される。そして本実施形態では燃料プール冷却浄化系統110の経路を排水に利用しないため、燃料プール冷却浄化系統110による使用済み燃料プール104の冷却を継続することができる。
図4は原子炉のプール水の排水設備100の第1の水抜き経路を説明する図である。図5は原子炉のプール水の排水設備100の第2の水抜き経路を説明する図である。なお、以下の水抜き経路(流入経路)は、それぞれのラインに備えられた弁の開閉を調節することにより選択される。
図4および図5に例示するように、DSP水抜きライン106aおよび原子炉ウェル水抜きライン102aから流出した水は分岐ライン128に流入し、残留熱除去系統112のSFP冷却モードライン112dを通じてサプレッションプール114へと水抜きされる。詳細には、図4に例示する第1の水抜き経路は、原子炉ウェル水抜きライン102aから直接サプレッションプール114へと至る経路である。図5に例示する第2の水抜き経路は、原子炉ウェル水抜きライン102aから、RHRポンプ112aを介して、サプレッションプール114に至る経路である。また、第1および第2の水抜き経路を両方併用することもできる。
本実施形態において水抜きは、原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106とサプレッションプール114の水位差(落差)を利用して、重力で水抜きを行う。したがって、ポンプの有効吸込ヘッド(NPSH)の問題が生じず、水抜きの開始から終了まで経路を変更する必要がない。なお図5に例示する第2の水抜き経路では、RHRポンプ112aを水圧によって空転させることで、支障なく水を通過させることができる。
なお、図4および図5では、残留熱除去系統112のRHR(A)系統およびRHR(B)系統の両方を用いて、サプレッションプール114へと水抜きするように図示しているが、RHR(A)系統のみを用いてサプレッションプール114へと水抜きをしてもよい。また、RHR(B)系統のみを用いて、サプレッションプール114へと水抜きしてもよい。
また、図4および図5に例示するように、上記のサプレッションプール114への水抜きと併せて、さらに低電導度廃液処理系統への水抜きを実施するとよい。ここでは、CUWポンプ124aを使用して、原子炉圧力容器120の下部に接続された原子炉再循環系統122および原子炉冷却材浄化系統124の配管を通じて、低電導度廃液処理系統へと水抜きを実施する。これにより、さらに迅速に原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106に張られた水を抜くことができる。
図6は、原子炉のプール水の排水設備100の水抜き完了後の状態を例示する図である。本実施形態によれば、図6に例示する状態まで燃料プール冷却浄化系統110による使用済み燃料プール104の冷却を継続することができる。このように、水抜きの開始前から完了後まで、継続して使用済み燃料プール104の冷却を行うことができるため、使用済み燃料プール104の温度上昇を招くおそれが全くない。
表1は、新設する分岐ライン128およびSFP冷却モードライン112dの配管口径、管内流速、水抜き時間の関係を示している。表1に示すように、本実施形態では、配管口径300mmで4.5m/sの条件下では、わずか2時間程度で水抜きを完了することが可能である。また、配管口径が200mm、管内流速3m/sの条件下でも6.5時間程度で水抜きを完了することが可能である。したがって、上述したように従来は8時間から36時間を要していたところ、大幅な時間短縮を図れることが理解される。
図7および図8は、比較例としての原子炉のプール水の排水設備10の水抜き経路を説明する図である。また、図9は、比較例としての原子炉のプール水の排水設備10の他の水抜き経路を説明する図である。以下、図7および図8、並びに図9と比較しながら、本実施形態にかかる原子炉のプール水の排水設備100が奏する効果について対比して説明する。
図7および図8は、従来の原子炉のプール水の排水設備10の水抜き経路を例示している。図7に例示するように、原子炉ウェル12およびドライヤセパレータプール16に張られた水は、まずサプレッションプール24および低電導度廃液処理系統の両方に排出される。
サプレッションプール24への水抜きは、FPCポンプ21aを使用して実施される。詳細には、原子炉ウェル水抜きライン12aおよびDSP水抜きライン16aから、燃料プール冷却浄化系統21(FPCポンプ21a)および残留熱除去系統22を経由して、サプレッションプール24へと排出される。一方、低電導度廃液処理系統への水抜きは、原子炉圧力容器20の下部に接続する配管から実施される。
そして、図8に例示するように、原子炉ウェル12やドライヤセパレータプール16の水量が少なくなり(底面から約1m程度になる)、FPCポンプ21aの有効吸込ヘッド(NPSH)が不足しそうになったら、低電導度廃液処理系統へのみ水抜きを実施する。
しかし、上述した構成では、サプレッションプール24へと水抜きを実施している間、使用済み燃料プール14の冷却を維持することができない。サプレッションプール24の冷却が停止されると4〜5時間で65℃を超えると評価されている。そのため、途中で低電導度廃液処理系統への水抜きのみに切り替えることも想定される。
また、燃料プール冷却浄化系統21を流れる流量は、最大でも300m3/h程度に制限されるため、迅速に水抜きを実施できるとは言い難い。その上、最初はサプレッションプール24および低電導度廃液処理系統の両方に水を排出し、原子炉ウェル12やドライヤセパレータプール16の水量が少なくなったら低電導度廃液処理系統のみに水を排出するという2段階のステップが必要であるので手間もかかる。
図9は、従来の原子炉のプール水の排水設備10の他の水抜き経路を例示している。図9に例示するように、何らかの理由でサプレッションプール24へと水抜きできない場合には、最初から低電導度廃液処理系統のみに水抜きする手法も採用されている。しかし、低電導度廃液処理系統へは、1時間当たり30m3程度しか抜くことができない。一方、原子炉ウェル12とドライヤセパレータプール16には、概して合計約2000m3の水が張られる。そのため、低電導度廃液処理系統のみで水抜きを実施する場合には、膨大な時間がかかってしまう。
上記の従来技術に対して、図1〜図2を参照して説明した原子炉のプール水の排水設備100では、原子炉ウェル102およびドライヤセパレータプール106の水抜きをポンプ等の動力源を必要とせず、サプレッションプールとの水位差(落差)により極めて迅速に行うことができる。当然ながら、ポンプの有効吸込ヘッド(NPSH)を考慮する必要がないので、最後まで一気に(1段階で)水を抜くことが可能である。
また、燃料プール冷却浄化系統110を回避し、他の系統(残留熱除去系統112)を経由してサプレッションプール114へと水抜きを行うことから、燃料プール冷却浄化系統110によって使用済み燃料プール104の冷却を維持することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、原子炉のプール水の排水設備、並びに、原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜き方法として利用することができる。
100…原子炉のプール水の排水設備、102…原子炉ウェル、102a…原子炉ウェル水抜きライン104…使用済み燃料プール、104a…SFPゲート、106…ドライヤセパレータプール、106a…DSP水抜きライン、108…スキマサージタンク、110…燃料プール冷却浄化系統、110a…FPCポンプ、110b…ろ過脱塩装置、110c…FPC熱交換器、112…残留熱除去系統、112a…RHRポンプ、112b…RHR熱交換器、112c…原子炉ウェル接続ライン、112d…SFP冷却モードライン、114…サプレッションプール、116…合流ライン、120…原子炉圧力容器、122…原子炉再循環系統、122a…PLRポンプ、124…原子炉冷却材浄化系統、124a…CUWポンプ、126…ポンプ室、128…分岐ライン
Claims (4)
- 原子炉ウェル内の水を抜き出す原子炉ウェル水抜きラインと、
ドライヤセパレータプール内の水を抜き出すDSP水抜きラインと、
前記原子炉ウェル水抜きラインおよびDSP水抜きラインが合流する合流ラインと、
使用済み燃料プール内の水を循環させて冷却および浄化する燃料プール冷却浄化系統と、
前記合流ラインが前記燃料プール冷却浄化系統に接続する手前側で該合流ラインから分岐し、残留熱除去系統の使用済み燃料プール冷却モードのラインに接続する分岐ラインと、
を有し、
前記原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプール内の水を、前記合流ラインから前記残留熱除去系統の使用済み燃料プール冷却モードのラインを経てサプレッションプールへと水抜きすることを特徴とする原子炉のプール水の排水設備。 - 前記分岐ラインの配管は、前記合流ラインの配管から上側に分岐していることを特徴とする請求項1に記載の原子炉のプール水の排水設備。
- 前記合流ラインと、前記残留熱除去系統の使用済み燃料プール冷却モードのラインとが同一のポンプ室内を通過し、該ポンプ室内で前記分岐ラインによって連結していることを特徴とする請求項1に記載の原子炉のプール水の排水設備。
- 原子炉ウェルと使用済み燃料プールとの間にSFPゲートを挿入し、
前記原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの下方から排出した水を合流し、
合流した水を前記残留熱除去系統の使用済み燃料プール冷却モードのラインからサプレッションプールに、燃料プール冷却浄化系統を回避して排出することを特徴とする原子炉ウェルおよびドライヤセパレータプールの水抜き方法。
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2010
- 2010-02-15 JP JP2010030594A patent/JP2011164077A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018084590A (ja) * | 2018-01-30 | 2018-05-31 | 株式会社荏原製作所 | 原子力発電使用済み燃料プール水の浄化法及び装置並びに使用済み燃料プール水の処理方法及び装置 |
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