JP2011163974A - グリース油分率測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】採取される被評価グリースの量が微量でもその油分率を精度よくかつ簡素に測定することができるグリース油分率測定方法を提供すること。
【解決手段】強制的に油分を減少させた劣化グリースを作製し、この劣化グリースの油分減少率を既存の方法で求めるとともに、赤外分光分析法を用いてその吸光度スペクトルを測定し、基油の吸収ピークにおける吸光度と増ちょう剤の吸収ピークにおける吸光度との比である吸光度比を求める。さらに、劣化グリースについて求められた油分減少率と吸光度比との関係を用いて、被評価グリースの油分減少率とその吸光度比との関係を表す検量線を求める。被評価グリースを採取し、被評価グリースの吸光度比を求めた後に、この吸光度比に対応する油分減少率を検量線に基づいて求め、この油分減少率から被評価グリースの油分率を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被評価グリースの油分率を測定する方法に関し、たとえばガス絶縁開閉装置(GIS:Gas Insulated Switchgear)等のガス絶縁電気機器内で用いられるグリースの油分率を測定する方法に関するものである。
ガス絶縁開閉装置は、絶縁性ガスが封入された金属容器内に遮断器、断路器などの機器を収納して構成され、数百〜数千Aの大電流を投入・切断するために摺動接点部や機械摺動部などを備えている。また、ガス絶縁開閉装置では、事故発生時などには迅速に大電流を切断するために、電気接点部およびそれに繋がる機械摺動部が規定速度で動作する必要があり、摺動潤滑性の向上のために摺動面にはグリースが塗布されている。
グリースは経年により油分が蒸発するため、経年とともに潤滑性能が低下し、一般に油分率が50%以下になると潤滑不良になると言われている。そして、油分が減少しグリースが硬化すると、摩擦係数が増大して上記接点部および摺動部が規定速度で動作しなくなり、さらに摺動面の粗化により金属接触が増えることによる固着(焼き付き)が起こると、大電流の切断の失敗に繋がり、地絡などの重大事故の原因になる恐れがある。そこで、特に、高経年機器におけるグリースの油分率を測定して、劣化度を把握することは重要である。
グリースの油分率は、一般に、グリースの基油は溶剤に溶解し、グリースの増ちょう剤は溶剤に溶解しない性質を利用して求められる。具体的には、グリースを溶剤に溶かし、それをろ紙でろ過することで基油と増ちょう剤に分離し、ろ過した溶液から溶剤分を蒸発除去して基油を抽出し、グリースの質量に対する基油の質量比として油分率を求める。この方法では試料の質量は数百g必要である。
しかし、電気接点部では、絶縁物であるグリースは通電の妨げになることから、グリースは数μmと薄く塗布されているため、試料として採取されるグリースの質量は数mgにしかならない。また、機械摺動部の摺動面においても、摺動抵抗となるため、多くとも数百mgのグリースしか塗布されない。そのため、溶剤で基油を抽出する方法を適用できるほどの試料を採取することはできない。
そこで、たとえば非特許文献1では、赤外分光分析によるグリース劣化判定方法が紹介されている。赤外分光分析に必要な試料質量は数mgであるので、機器から採取される試料量でも十分測定が可能である。また、グリースの劣化度評価方法として、吸光度値から求める方法(特許文献1、特許文献2)がある。
特開昭63−263451号公報 特開昭63−53445号公報
電気共同研究、第52巻第1号、p.117−118.
しかしながら、上記非特許文献1の方法では、基油と増ちょう剤の吸光度比の比較だけにとどまり、新品のグリースに比べて油分が減少しているか否かを判定するだけで、定量的に油分率を求めることができず、潤滑不良域に到達しているか否かについてまでは判断することができないという問題点があった。また、上記特許文献1の方法では、定量的な評価を行ってはいるものの、基油に起因する3500cm−1での吸光度のみで評価しているため、測定器に供する被評価グリースの量を一定にする工夫が必要となる。特に、被評価グリースには通常摩耗材が混入していることから、質量を一定にする方法は使えず、被評価グリースの量を一定にするために工夫が必要になるという問題があった。また、上記特許文献2の方法では、基油に起因する吸収ピークの吸光度と増ちょう剤に起因する吸収ピークの吸光度の比を取る方法を採用することで上記問題を解決してはいるものの、特許文献2の装置は被評価グリースの硬さを表すちょう度を測定するものであり、したがって油分率を精度良く測定することは困難であるという問題があった。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、採取される被評価グリースの量が微量でもその油分率を精度よくかつ簡素に測定することができるグリース油分率測定方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るグリース油分率測定方法は、基油および増ちょう剤を含む被評価グリースの油分率を測定するためのグリース油分率測定方法であって、前記被評価グリースと同種のグリースから強制的に油分を減少させた劣化グリースを作製する工程と、この劣化グリースの油分率を測定し、この油分率から油分減少率を算出するとともに、赤外分光分析法を用いて前記劣化グリースの吸光度スペクトルを測定し、この吸光度スペクトルから前記基油の吸収ピークにおける吸光度と前記増ちょう剤の吸収ピークにおける吸光度との比である吸光度比を求める工程と、前記劣化グリースについて求められた前記油分減少率と前記吸光度比との関係を用いて、前記被評価グリースの油分減少率とその吸光度比との関係を表す検量線を求める工程と、前記被評価グリースを採取する工程と、前記赤外分光分析法を用いて前記被評価グリースの吸光度スペクトルを測定し、この吸光度スペクトルから前記基油の吸収ピークにおける吸光度と前記増ちょう剤の吸収ピークにおける吸光度との比である吸光度比を求めた後に、この吸光度比に対応する油分減少率を前記検量線に基づいて求め、この油分減少率から前記被評価グリースの油分率を算出する工程と、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、採取される被評価グリースの量が微量でもその油分率を精度よくかつ簡素に測定することができる、という効果がある。
図1は、実施の形態1における検量線の一例を示す図である。 図2は、実施の形態1における劣化グリースを作製するための装置構成を示す図である。 図3は、実施の形態2における劣化グリースを作製するための装置構成を示す図である。 図4は、実施の形態3における劣化グリースを作製するための装置構成を示す図である。 図5は、油分減少率の経時変化の一例を示す図である。
以下に、本発明に係るグリース油分率測定方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
本実施の形態では、例えばガス絶縁開閉装置(GIS:Gas Insulated Switchgear)等のガス絶縁電気機器内で用いられているグリースを被評価グリースとしてその油分率を測定する方法について説明する。
GISは、遮断器、断路器などの機器が収納されており、数百〜数千Aの大電流を投入・切断するために摺動接点部や機械摺動部があり、そこには潤滑を目的に用途に応じた種類の異なるグリースが用いられている。具体的には、主に、リチウムグリース、ベントングリース、フッ素グリース、ウレアグリースが用いられている。なお、グリースは、一般に、基油(液状潤滑剤)と増ちょう剤とを含む半固体状の潤滑剤である。
また、本実施の形態では、赤外分光分析法を利用する。赤外分光分析は、物質に赤外線を照射すると、物質内の化学結合固有の波長の光が選択的に吸収されることを利用して、一般に定性分析に用いられる。しかし、吸収された光の吸収量は、化学結合の濃度に比例するので、グリースの基油に含まれる化学結合に対応する波長の光の吸収量から、グリース油分率の定量分析も可能である。
そこで、まず、赤外分光分析法を利用した定量分析の原理について説明する。赤外分光分析法では、例えば周知の赤外分光分析装置(FT−IR:Fourier transform infrared spectrophotometer(フーリエ変換型赤外分光計))によりグリースの吸光度を測定する。具体的には、赤外領域400〜4000cm-1に吸収を持たない例えば臭化カリウム(KBr)板にグリースを塗布して装置に供し、赤外線を照射して透過光の強度を測定し赤外分光スペクトルを得る。
例えば、リチウムグリースの赤外分光スペクトルの場合、特徴的なものは、波数1460cm-1における基油特有のCHに由来する吸収ピークと、波数1576cm-1における増ちょう剤のリチウム石けん特有のLiCOO-に由来する吸収ピークである。
ここで、吸光度は、下記の式(1)で表される。
Figure 2011163974
すなわち、吸光度Aは、レファレンスの透過光の強さIとサンプル測定時の透過光の強さIとの比に基づいて得られるとともに、その値は、吸収体の(モル吸光)係数εとモル濃度cと吸収(試料)層の厚さdとの積に等しい。このように、吸光度Aは、モル濃度c、すなわち、試料(サンプル)濃度に比例している。したがって、基油が減少すると、基油に起因する吸収ピーク(1460cm-1)の吸光度が小さくなっていく。しかし、式(1)は吸収(試料)層の厚さdにも依存するため、吸光度を比較する際にはサンプル厚さを一定にして比較する必要がある。そこで、劣化に関与しないピーク、例えば、増ちょう剤に起因する吸収ピーク(1576cm-1)の吸光度を基準として、基油の吸光度Aと増ちょう剤の吸光度Aとの比である吸光度比A/Aを用いることにより、下記の式(2)に示すように、試料層の厚さに関係なく、油分の比較ができる。
Figure 2011163974
次に、本実施の形態に係るグリース油分率測定方法について説明する。まず、ガス絶縁開閉装置の摺動接点部等に使用され、グリース油分率測定の対象となる被評価グリースと同種のグリースから強制的に油分を減少させた劣化グリースを作製する。すなわち、摺動接触部等に使用されるグリースと同種で新品のグリースを用意し、この新品のグリースから強制的に油分を抜くことにより油分率を減少させた劣化グリースを作製する。劣化グリースの具体的な作製方法については後述する。
つづいて、作製された劣化グリースの油分率を測定し、この油分率から油分減少率を算出する。油分率の測定は、例えば劣化グリースを溶剤に溶かし、それをろ紙でろ過することで基油と増ちょう剤に分離し、ろ過した溶液から溶剤分を蒸発除去して基油を抽出し、劣化グリースの質量に対する基油の質量比(重量%)として求めることができる。また、油分減少率の算出方法は次式に従う。
Figure 2011163974
一方、作製された劣化グリースの吸光度スペクトルを、前述の赤外分光分析法を用いて測定し、この吸光度スペクトルから基油の吸収ピークにおける吸光度と増ちょう剤の吸収ピークにおける吸光度との比である吸光度比を求める。なお、吸光度スペクトルから吸光度比を求める手順は前述のとおりであり、基油の吸収ピーク(例えば、波数1460cm-1の吸収ピーク)における吸光度Aと増ちょう剤の吸収ピーク(例えば、波数1576cm-1の吸収ピーク)における吸光度Aとの比である吸光度比A/Aを求める。
次に、劣化グリースについて求められた油分減少率と吸光度比との関係を利用して、被評価グリースの油分減少率とその吸光度比との関係を表す検量線を求める。図1は、本実施の形態における検量線の一例を示す図であり、横軸は油分減少率[重量(wt.)%]であり、縦軸は吸光度比を表す。図1において、Pは油分減少率が0の場合の吸光度比を示すものであり、新品のグリースの吸光度比(使用初期時の吸光度比)を表している。P〜Pは、それぞれ油分減少率の異なる複数の劣化グリースに対して吸光度比を測定した結果を示すものである。また、Pは油分減少率が100%の場合に吸光度比が0になることを示している。また、上記の式(2)が示すように、吸光度比A/Aは基油の濃度に比例しているため、吸光度比A/Aは油分減少率が増加するにつれて一定の傾きで直線的に減少する。そこで、図1に示すように、P〜Pに対して直線を当てはめることにより検量線を求める。また、図1からわかるように、検量線を求めるためには、P,Pを除き少なくとも1点以上の劣化グリースに関するデータが必要となる。
次に、ガス絶縁開閉装置の摺動接点部等から被評価グリースを採取する。つづいて、上記赤外分光分析法を用いて被評価グリースの吸光度スペクトルを測定し、この吸光度スペクトルからその吸光度比を求める。吸光度スペクトルは、採取される被評価グリースが微量であっても測定することができる。吸光度比は、前述のように、基油の吸収ピーク(例えば、波数1460cm-1の吸収ピーク)における吸光度Aと増ちょう剤の吸収ピーク(例えば、波数1576cm-1の吸収ピーク)における吸光度Aとの比(A/A)で与えられる。そして、この吸光度比(A/A)に対応する油分減少率を図1に示す検量線に基づいて求め、求めた油分減少率から被評価グリースの油分率を算出する。このとき、新品のグリースの油分率を通常の溶剤を用いる方法で予め調べておき、この使用初期時の油分率から検量線に基づいて得られた油分減少率を減じることで、被評価グリースの油分率を算出することができる。
ここで、本実施の形態における劣化グリースの作製方法について説明する。図2は、本実施の形態における劣化グリースを作製するための装置構成を示す図である。図2では、被評価グリースと同じ製品のグリース1と、基油を吸収する油吸収シート2とを交互に積み重ね、これらを例えば上からおもり4をのせて加圧している。また、加圧によりはみ出したグリース1を受けるために油吸収シート2の全体を耐熱容器3に入れて、これらを所定温度で加熱するために例えば恒温槽5に入れる。このように、基油を吸収する油吸収シート2間に被評価グリースと同じ製品のグリース1を配置し、グリース1を加圧および加熱することにより、グリース1から離油した基油を油吸収シート2で除去することにより劣化グリースを作製する。
図2では、グリース1を加熱だけではなく同時に加圧することで、グリース1からの基油の離油を促進させ、グリース表面に浮き出てきた基油(油分)を油吸収シート2で吸収することにより、加熱のみよりも短時間に劣化グリースを作製するものである。油吸収シート2は、吸収性のほか耐熱性も必要であるので、ポリプロピレン繊維またはポリエステル繊維などが適している。
グリース1は、加圧により、増ちょう剤によって保持されている基油を摺動面に離油することで摺動面を潤滑するものである。したがって、加熱による蒸発よりも、加圧による離油のほうが容易である性質を利用すれば、油分減少を促進できる。また、加圧の圧力は大きいほど離油する傾向にあり、おもり4の質量を変えることで、圧力の大きさを任意に設定することができる。
加熱の温度は、温度が高いほど離油しやすくなるので、高温ほど効果が得られるが、設定温度はメーカーの推奨する最高使用温度以下とし、また、酸化などの変質が起こらないようにするためにはできるだけ高温にしないほうが望ましい。
図5は、油分減少率の経時変化の一例を示す図である。図5では、メーカーの推奨する最高使用温度150℃で加熱し酸化防止のため恒温槽5内を窒素置換しながら蒸発させた場合(150℃加熱、窒素300cc/min置換)と、温度80℃で加熱し500gの錘を載せた場合(80℃加熱、500g錘で加圧)とに対して、それぞれ油分減少率の経時変化が示されている。これからわかるように、加圧して加熱した場合のほうが、温度は低いにもかかわらず短時間で油分を減少させることができ、劣化グリースの作製期間を短縮できる。
なお、強制的に油分を抜いた劣化グリースと新品のグリースを任意の割合で混ぜ合わせれば、混合に使用された劣化グリースの油分率より大きくかつ新品のグリースの油分率よりも小さい範囲で任意の油分率の劣化グリースを作製できる。例えば、図1において、Pに相当する劣化グリースを図2に示す装置で得た場合に、P、Pにそれぞれ相当する劣化グリースは、Pに相当する劣化グリースと新品のグリースを所定の割合で混合することにより得ることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、採取される被評価グリースの量が微量であっても、その油分率を精度よくかつ簡素に測定することができる。すなわち、採取される被評価グリースの量が微量であっても、赤外分光スペクトルを測定してその吸光度比を求めることができ、この吸光度比と予め作成した検量線から油分率を高精度で得ることができる。
また、検量線作成のための劣化グリースの作製方法において、加熱だけではなく、加圧をおこなうことにより、油分減少速度を加速させ、劣化グリースの作製期間を短縮できる。また、加圧により、比較的温度が低くても短期間で劣化グリースを得ることができる。そのため、蒸発以外の劣化モード、たとえばグリースの酸化を防止できるので、より精度の高い測定ができるという効果がある。
実施の形態2.
本実施の形態では、劣化グリースの作製方法として実施の形態1とは異なる方法について説明する。図3は、本実施の形態における劣化グリースを作製するための装置構成を示す図である。図3では、被評価グリースと同じ製品のグリース1をガラス板6に薄く塗布したものを例えば複数枚用意し、これらのガラス板6をガラス板載置用の段が設けられた支持ケース7内に納め、この支持ケース7を恒温槽5に入れ加熱する。また、恒温槽5は、バルブ8を介して、恒温槽5の外部に設けられた窒素ガスタンク9と接続されている。また、恒温槽5には気体を外部に排出可能な排出口10が設けられている。
図3では、グリース1をガラス板6に薄く塗布して蒸発面積を大きくし、恒温槽5内を所定温度で加熱することにより、グリース1の基油の蒸発を促進している。また、恒温槽5内を所定温度で加熱するとともに、酸化防止および蒸発した基油を除去するため、窒素ガスを窒素ガスタンク9から恒温槽5内に流して、蒸発した基油および窒素ガスを排出口10から排出することにより、恒温槽5内の雰囲気ガスを置換している。
本実施の形態によれば、ガラス板6の上にグリース1を薄く塗布して、サンプル質量に対して蒸発面積を増やすことでグリース油分の蒸発を加速して劣化グリース作製期間を短縮することができる。
また、恒温槽5内を窒素ガスで充填し、恒温槽5内の窒素ガスおよび蒸発した基油を新たな窒素ガスで置換するようにしているので、グリース1の酸化防止および基油の蒸発の促進効果がある。
実施の形態3.
本実施の形態では、劣化グリースの作製方法として実施の形態1,2とは異なる方法について説明する。図4は、本実施の形態における劣化グリースを作製するための装置構成を示す図である。図4では、図3と比較して、恒温槽5には排出口10は設けられておらず、バルブ8を介して窒素ガスタンク9の替わりに真空ポンプ11が取り付けられている。なお、図4のその他の構成は図3と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施の形態では、恒温槽5にバルブ8を介して真空ポンプ11を取り付けて真空引きをする。このように真空引きをすることにより、加熱温度を上げて基油の蒸発量が増加すると、窒素ガスによる置換よりも蒸発した基油の除去効果が大きい。
蒸発したグリース1の基油のガスを、真空ポンプ11で即座に取り去ることで、恒温槽5内の環境を基油の蒸気圧以下に保ち、グリース1の基油の蒸発を促進する。そのため、劣化サンプル作製期間をさらに短縮することができる。
図5では、メーカーの推奨する最高使用温度150℃で加熱し酸化防止のため恒温槽5内を窒素置換しながら蒸発させた場合(150℃加熱、窒素300cc/min置換)と、グリース塗布厚を半分にして真空引きした場合(150℃加熱、薄く塗布、真空引き)とに対して、それぞれ油分減少率の経時変化が示されている。これからわかるように、グリース塗布量を薄くし真空引きした場合のほうが、短期間で油分を減少させることができる。塗布量をさらに薄くすることで、さらに効果が向上する。
本実施の形態によれば、加熱だけではなく、真空引きをして、蒸気環境を常にグリース1の基油の蒸気圧以下に保つことにより、油分蒸発速度を加速させ、劣化グリースの作製時間を短縮することができる。また、真空引きすることにより、劣化グリースの酸化を防止することができるので、より精度の高い測定ができるという効果がある。
本発明は、ガス絶縁電気機器等で用いられるグリースの油分率を測定する方法として有用である。
1 グリース
2 油吸収シート
3 耐熱容器
5 恒温槽
6 ガラス板
7 支持ケース
8 バルブ
9 窒素ガスタンク
10 排出口
11 真空ポンプ

Claims (5)

  1. 基油および増ちょう剤を含む被評価グリースの油分率を測定するためのグリース油分率測定方法であって、
    前記被評価グリースと同種のグリースから強制的に油分を減少させた劣化グリースを作製する工程と、
    この劣化グリースの油分率を測定し、この油分率から油分減少率を算出するとともに、赤外分光分析法を用いて前記劣化グリースの吸光度スペクトルを測定し、この吸光度スペクトルから前記基油の吸収ピークにおける吸光度と前記増ちょう剤の吸収ピークにおける吸光度との比である吸光度比を求める工程と、
    前記劣化グリースについて求められた前記油分減少率と前記吸光度比との関係を用いて、前記被評価グリースの油分減少率とその吸光度比との関係を表す検量線を求める工程と、
    前記被評価グリースを採取する工程と、
    前記赤外分光分析法を用いて前記被評価グリースの吸光度スペクトルを測定し、この吸光度スペクトルから前記基油の吸収ピークにおける吸光度と前記増ちょう剤の吸収ピークにおける吸光度との比である吸光度比を求めた後に、この吸光度比に対応する油分減少率を前記検量線に基づいて求め、この油分減少率から前記被評価グリースの油分率を算出する工程と、
    を含むことを特徴とするグリース油分率測定方法。
  2. 前記劣化グリースを作製する工程では、
    前記基油を吸収する油吸収シート間に前記被評価グリースと同じ製品のグリースを配置し、前記グリースを加圧および加熱することにより、前記グリースから離油した前記基油を前記油吸収シートで除去することにより前記劣化グリースを作製することを特徴とする請求項1に記載のグリース油分率測定方法。
  3. 前記劣化グリースを作製する工程では、
    ガラス板の上に前記被評価グリースと同じ製品のグリースを塗布し、前記グリースを加熱して前記グリースから前記基油を蒸発させることにより、前記劣化グリースを作製することを特徴とする請求項1に記載のグリース油分率測定方法。
  4. 前記ガラス板は恒温槽内に配置され、前記恒温槽内には窒素ガスが充填され、前記恒温槽内の窒素ガスおよび蒸発した前記基油は新たな窒素ガスに置換されることを特徴とする請求項3に記載のグリース油分率測定方法。
  5. 前記ガラス板は恒温槽内に配置され、前記恒温槽内を真空引きして蒸気環境を前記基油の蒸気圧以下に保つことを特徴とする請求項3に記載のグリース油分率測定方法。
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