JP2011162691A - 樹脂組成物と接着剤組成物 - Google Patents

樹脂組成物と接着剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】レンズ、プリズム、ガラス部品の固定用途に最適な紫外線で硬化する一剤型の樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂からなる群のうちの1種以上からなるエポキシ樹脂、(2)ポリエン、(3)ポリチオール、(4)光重合開始剤を含有する樹脂組成物。(3)ポリチオールは、ペンタエルスリトールテトラキス(3メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリスβ−メルカプトプロピオネート、トリグリコールジメルカプタンからなる群のうちの1種以上が良い。(5)重合禁止剤は(5−1)N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩と(5−2)フェノール誘導体を含有することが良い。(6)シランカップリング剤を混合しても良い。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線で硬化する樹脂組成物と接着剤に関する。例えば、レンズ、プリズム、ガラス部品の固定用途に最適な紫外線で硬化する一剤型の樹脂組成物と接着剤に関する。
レンズ、プリズム、ガラス部品の固定用硬化性樹脂組成物としてエポキシ系接着剤、紫外線硬化型接着剤等が使用されている。
エポキシ系接着剤は、二剤を混合して使用するが、混合後10分位から粘度が上昇し、硬化時間が長く、作業性が悪いという欠点があった。一剤型エポキシ系接着剤は硬化速度が遅く、硬直であり可とう性に欠けていた。その結果、剥離強度等が低下し、レンズ、プリズムの固定用の接着剤としては使用範囲が狭くなることが多かった。
紫外線硬化型接着剤としては、ポリエン・ポリチオール系接着剤やアクリル系硬化型接着剤等が挙げられる。
ポリエン・ポリチオール系樹脂は、より高い接着強さが必要とされていた。ポリエン・ポリチオール系樹脂は、耐湿後のヘーズ変化が小さいことが必要とされていた。アクリル系硬化型接着剤は、硬化収縮率が小さいことが必要とされていた。アクリル系硬化型接着剤は、嫌気性のために、空気中での硬化、表面の硬化に配慮が必要である等、改善が要望されていた(特許文献1、2参照)。
特開2001−139687号公報 特開平2−32157号公報
本発明は、上記課題を解決したものである。
本発明は、(1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂からなる群のうちの1種以上からなるエポキシ樹脂、(2)ポリエン、(3)ポリチオール、(4)光重合開始剤を含有する樹脂組成物であり、(3)ポリチオールが、ペンタエルスリトールテトラキス(3メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリスβ−メルカプトプロピオネート、トリグリコールジメルカプタンからなる群のうちの1種以上からなる該樹脂組成物であり、(5)重合禁止剤を含有する該樹脂組成物であり、(5)重合禁止剤が(5−1)N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩と(5−2)フェノール誘導体を含有してなる該樹脂組成物であり、(6)シランカップリング剤を混合する該樹脂組成物であり、(1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールとを予め混合、反応させた後、(2)ポリエンを混合し、次いで(4)光重合開始剤と(5)重合禁止剤を混合してなる樹脂組成物の製造方法であり、(1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールとを予め混合、反応させた後、(2)ポリエンを混合し、次いで(5−1)N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩を混合し、その後(4)光重合開始剤と(5−2)フェノール誘導体を混合してなる樹脂組成物の製造方法であり、(4)光重合開始剤を混合した後、(6)シランカップリング剤を混合してなる該樹脂組成物の製造方法であり、該製造方法により得られる樹脂組成物を含有してなる接着剤組成物であり、該接着剤組成物を使用して接着してなる、紫外線を透過する被着体であり、該接着剤組成物を使用して接着してなる光学素子である。
本発明により、耐湿後のヘーズ変化が少なく、透明性の大きい硬化物が得られる。
本発明は、(1)エポキシ樹脂を用いる。(1)エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂からなる群のうちの1種以上からなる。これらのエポキシ樹脂は、硬化速度が速く、耐熱性・摩耗性に優れる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、大日本インキ化学工業(株)製エピクロン1050、ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート828、旭化成エポキシ(株)製GY−250等が挙げられる。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、東都化成(株)製ST−3000、大日本インキ化学工業(株)製EXA―7015等が挙げられる。グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、日本化薬(株)製 GOT、日産化学工業(株)社製TEPIC−PAS B265等が挙げられる。
本発明に用いる(2)ポリエンとは、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有する多官能性の化合物をいう。
(2)ポリエンとしては、アリルアルコール誘導体、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル類、ウレタン(メタ)アクリレート、ジビニールベンゼン誘導体等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、アリルアルコール誘導体としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルアジペート、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、テトラアリルピロメリテート、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル及びソルビトールジアリルエーテル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル類の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等が挙げられる。
ポリエンの中では、トリアリルイソシアネートが好ましい。
本発明に用いる(3)ポリチオールとは、1分子中に2個以上のチオール基を有する多官能性の化合物をいう。
ポリチオールとしては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル、脂肪族ポリチオール及び芳香族ポリチオール等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
メルカプトカルボン酸としては、チオグリコール酸、α−メルカプトプロピオン酸及びβ−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等が挙げられる。
脂肪族ポリチオール及び芳香族ポリチオールとしては、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール及びキシレンジチオール等が挙げられる。
これらのポリチオールの中では、臭気の少ない点で、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステルが好ましい。
これらの中では、ペンタエルスリトールテトラキス(3メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリスβ−メルカプトプロピオネート、トリグリコールジメルカプタンからなる群のうちの1種以上がより好ましい。
本発明に用いる(4)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、オルソベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンゾフェノン系紫外線開始剤、アセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系紫外線重合開始剤、ベンゾインメチルエ−テル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系紫外線重合開始剤、イソプロピルチオキサントンやジエチルチオキサントン等のチオキサントンアシルホスフィンオキサイド、ベンジル、カンファーキノン、アントラキノン並びにミヒラーテトン等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、表面硬化性の点で、ベンゾフェノン系紫外線開始剤が好ましく、ベンゾインエチルエーテル及び/又はベンジルジメチルケタールがより好ましい。
(4)光重合開始剤の使用量については、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエン、(3)ポリチオールとの合計100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。
(5)重合禁止剤としては、N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩、フェノール誘導体、ヒドロキノン誘導体等が挙げられる。N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩としては、N−ニトロソフェニル・ヒドロキシルアミンのアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム、アルミニウム塩、銅塩、亜鉛塩、セリウム塩、鉄塩、ニッケル塩、コバルト塩等が挙げられる。これらの中では、N−ニトロソフェニル・ヒドロキシルアミンアンモニウム塩が好ましい。フェノール誘導体としては、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリー―ブチルフェノール)等が挙げられる。これらの中では、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリー―ブチルフェノール)が好ましい。ヒドロキノン誘導体としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチールエーテル等が挙げられる。これらの中では、これらの中では、少ない使用量で大きな効果が挙げられる点で、N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩とフェノール誘導体を併用することが好ましい。
(5)重合禁止剤の使用量は、反応速度制御の点で、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエン、(3)ポリチオールとの合計100質量部に対して、0.00001〜1.0質量部が好ましく、0.0005〜0.1質量部がより好ましい。
(5−1)N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩の使用量は、反応速度制御の点で、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエン、(3)ポリチオールとの合計100質量部に対して、0.00001〜0.1質量部が好ましく、0.00005〜0.01質量部がより好ましい。
(5−2)フェノール誘導体の使用量は、反応速度制御の点で、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエン、(3)ポリチオールとの合計100質量部に対して、0.02〜1.0質量部が好ましく、0.1〜0.7質量部がより好ましい。
(6)シランカップリング剤としては、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ガンマメタクロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中では、接着強度向上の点で、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
(6)シランカップリング剤の使用量は、接着性の点で、(1)エポキシ樹脂、(2)ポリエン、(3)ポリチオールとの合計100質量部に対して、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物、接着剤には、必要に応じて、有機リン化合物、有機珪素化合物等の接着性改良剤、充填剤、着色剤、チクソトロピー剤、硬化促進剤、可塑剤及び界面活性剤等の通常用いられる各種の配合剤を添加してもよい。
本発明に於いて、(1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールとを予め反応させた後、(2)ポリエンを混合し、反応させてプレポリマーとし、これを配合することが好ましい。この操作により、最終用途に応じて好ましい粘度を有する樹脂組成物、接着剤を容易に提供でき、作業性を向上できる。
予め反応させてプレポリマーを製造する方法としては、(1)エポキシ樹脂、(3)ポリチオールの混合物を単に加熱する方法等が挙げられる。これらの中では、反応速度の制御の点で、(1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールとを予め混合し、窒素雰囲気中で加熱する方法が好ましい。反応温度としては、反応速度の制御の点で、10〜150℃が好ましく、100〜130℃がより好ましい。
本発明は、(1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールとを予め混合、反応させた後、(2)ポリエンを混合し、次いで(5)重合禁止剤と(4)光重合開始剤を混合して樹脂組成物を製造することが好ましく、(1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールとを予め混合、反応させた後、(2)ポリエンを混合し、次いで(5−1)N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩を混合し、その後(5−2)フェノール誘導体と(4)光重合開始剤を混合してなる樹脂組成物を製造することがより好ましい。(5−1)N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩を混合することにより、プレポリマーを製造する反応を停止させる。次いで(5−2)フェノール誘導体と(4)光重合開始剤を混合して樹脂組成物を製造する。(5−2)フェノール誘導体と(4)光重合開始剤を混合する際、混合温度は、10〜150℃が好ましく、30〜80℃がより好ましい。
本発明は、(4)光重合開始剤を混合した後、(6)シランカップリング剤を混合する。
本発明の接着剤組成物は、一剤型であることが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、紫外線の照射により、(1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールとのオリゴマーと、(2)ポリエンとが反応して、数秒から数分の短時間で硬化させることができる。紫外線源としては、例えば、超高圧、高圧、低圧の水銀灯及びメタルハライドランプによる紫外線を使用する。
加えて、本発明の樹脂組成物、接着剤は粘度について、例えば25℃で100cps〜3万mPa・sの範囲まで調整することができる。
(1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールとの混合比率は、(1)エポキシ樹脂中のエポキシ当量と(3)ポリチオール中のチオール基とのモル比が、(0.03〜0.50)/1であることが好ましく、(0.10〜0.25)/1であることがより好ましい。
(2)ポリエンの使用量は、(1)ポリエン中の二重結合と、プレポリマー中のチオール基とが、モル比で、5:1〜1:5の範囲であることが好ましく、1:1の範囲であることがより好ましい。プレポリマーとは、(1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールから製造したプレポリマーをいう。
以下樹脂組成物を調製した。特記しない限り、23℃×50%RH(%RHは相対湿度)で行った。
(実施例1〜4)
(実施例1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂「GY−250」とペンタエルスリトールテトラキス(3メルカプトブチレート)を、エポキシ樹脂中のエポキシ当量とポリチオール中のチオール基とのモル比が0.17/1となるように混合した。窒素雰囲気中に於いて、110℃にて攪拌しながら反応させて、粘度が最高値(mPa・s)になった時点で、反応終点とした。このオリゴマーのSH価を測定し、(ポリエンのモル)/(ポリチオールのモル)=1/1になるように、トリアリルイソシアネートを混合した。この混合物100質量部(エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部)に対して、N−ニトロソフエニル・ヒドロキシアミンアンモニウム塩0.004質量部を添加した。反応停止確認後、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、2,2―メチレンービス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)0.4質量部、ベンゾインエチルエーテル0.5質量部を添加して、60℃にて1時間溶解した。溶解確認後、冷却(30℃以下)し、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を添加して、溶解させ、樹脂組成物を得た。
(実施例2)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂「GY−250」とトリメチロールプロパントリスβ−メルカプトプロピオネートを、エポキシ樹脂中のエポキシ当量とポリチオール中のチオール基とのモル比が0.17/1となるように混合した。窒素雰囲気中に於いて、110℃にて攪拌しながら反応させて、粘度が最高値(mPa/s)になった時点で、反応終点とした。このオリゴマーのSH価を測定し、(ポリエンのモル)/(ポリチオールのモル)=1/1になるように、トリアリルイソシアネートを混合した。この混合物100質量部(エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部)に対して、N−ニトロソフエニル・ヒドロキシアミンアンモニウム塩0.004質量部を添加した。反応停止確認後、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、2,2―メチレンービス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)0.4質量部、ベンゾインエチルエーテル0.5質量部を添加して、60℃にて1時間溶解した。溶解確認後、冷却(30℃以下)し、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を添加して、溶解させ、樹脂組成物を得た。
(実施例3)
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EXA−7015」とトリメチロールプロパントリスβ−メルカプトプロピオネートを、エポキシ樹脂中のエポキシ当量とポリチオール中のチオール基とのモル比が0.17/1となるように混合した。窒素雰囲気中に於いて、110℃にて攪拌しながら反応させて、粘度が最高値(mPa・s)になった時点で、反応終点とした。このオリゴマーのSH価を測定し、(ポリエンのモル)/(ポリチオールのモル)=1/1になるように、トリアリルイソシアネートを混合した。この混合物100質量部(エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部)に対して、N−ニトロソフエニル・ヒドロキシアミンアンモニウム塩0.004質量部を添加した。反応停止確認後、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、2,2―メチレンービス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)0.4質量部、ベンゾインエチルエーテル0.5質量部を添加して、60℃にて1時間溶解した。溶解確認後、冷却(30℃以下)し、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を添加して、溶解させ、樹脂組成物を得た。
(実施例4)
グリシジルアミン型エポキシ樹脂「TEPIC−B−26」とトリグリコールジメルカプタンを、エポキシ樹脂中のエポキシ当量とポリチオール中のチオール基とのモル比が0.30/1となるように混合した。窒素雰囲気中に於いて、110℃にて攪拌しながら反応させて、粘度が最高値(mPa/s)になった時点で、反応終点とした。このオリゴマーのSH価を測定し、(ポリエンのモル)/(ポリチオールのモル)=1/1になるように、トリアリルイソシアネートを混合した。この混合物100質量部(エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部)に対して、N−ニトロソフエニル・ヒドロキシアミンアンモニウム塩0.004質量部を添加した。反応停止確認後、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、2,2―メチレンービス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)0.4質量部、ベンゾインエチルエーテル0.5質量部を添加して、60℃にて1時間溶解した。溶解確認後、冷却(30℃以下)し、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を添加して、溶解させ、樹脂組成物を得た。
(比較例1)
ビスフェノールAエポキシ樹脂「GY−250」とペンタエルスリトールテトラキス(3メルカプトブチレート)を、エポキシ樹脂中のエポキシ当量とポリチオール中のチオール基とのモル比が0.17/1となるように混合した。常温(23℃)で撹拌して、粘度が最高値(mPa/s)になった時点で、反応終点とした。このオリゴマーのSH価を測定し、(ポリエンのモル)/(ポリチオールのモル)=1/1になるように、トリアリルイソシアネートを混合した。この混合物100質量部(エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部)に対して、N−ニトロソフエニル・ヒドロキシアミンアンモニウム塩0.004質量部を添加した。反応停止確認後、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、2,2―メチレンービス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)0.4質量部、溶解ベンゾインエチルエーテル0.5質量部を添加して、60℃にて1時間溶解した。確認後、冷却(30℃以下)し、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を添加して、溶解させ、樹脂組成物を得た。
(比較例2)
トリアルルイソシアネート「TAIC」とトリメチロールプロパントリスβ―メルカプトプロピオネート「TMTP」を、モル比が1/1になるように、40℃で撹拌し、混合した。指定粘度に達したら、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、N−ニトロソフエニル・ヒドロキシアミンアンモニウム塩0.004質量部を添加して、反応を停止させた。反応停止確認後、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、2,2―メチレンービス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)0.4質量部、ベンゾインエチルエーテル0.5質量部を添加して、60℃にて1時間溶解した。溶解確認後、冷却(30℃以下)し、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を添加して、溶解させ、樹脂組成物を得た。
(比較例3)
グリシジルアミン型エポキシ樹脂「TEPIC−B−26」とトリグリコールジメルカプタンを、エポキシ樹脂中のエポキシ当量とポリチオール中のチオール基とのモル比が0.31/1となるように混合した。常温(23℃)で撹拌して、粘度(mPa/s)が一定値になった時点で終点とした。この樹脂のSH価を測定し、(ポリエンのモル)/(ポリチオールのモル)=1/1になるように、トリアリルイソシアネートを混合した。この混合物100質量部(エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部)に対して、N−ニトロソフエニル・ヒドロキシアミンアンモニウム塩0.004質量部を添加した。反応停止確認後、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、2,2―メチレンービス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)0.4質量部、ベンゾインエチルエーテル0.5質量部を添加して、60℃にて1時間溶解した。溶解確認後、冷却(30℃以下)し、エポキシ樹脂、ポリエン、ポリチオールの合計100質量部に対して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を添加して、溶解させ、樹脂組成物を得た。
(比較例4)
トリアルルイソシアネート「TAIC」10.3質量部、マレイン酸ジアリ「DAM」19.1質量部、トリメチロールプロパントリスβ―メルカプトプロピオネート「TMTP」54.0質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート「FM−513M」16.6質量部を、40℃で撹拌し、混合した。トリアルルイソシアネート、マレイン酸ジアリル、トリメチロールプロパントリスβ―メルカプトプロピオネート、ジシクロペンタニルメタクリレートの合計100部に対して、2,2―メチレンービス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)0.8質量部、N−ニトロソフエニル・ヒドロキシアミンアンモニウム塩0.002質量部、ベンゾインエチルエーテル0.7質量部を混合して、60℃にて1時間溶解した。溶解確認後、冷却(30℃以下)し、トリアルルイソシアネート、マレイン酸ジアリル、トリメチロールプロパントリスβ―メルカプトプロピオネート、ジシクロペンタニルメタクリレートの合計100部に対して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を添加して、溶解させ、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物からなる接着剤について、以下の評価を行った。ガラスとしては、「テンパックス」を使用した。特記しない限り、23℃×50%RHで行った。
<評価1;表面硬化性>
白板ガラス試験片上に接着剤を1滴滴下し、下記条件で紫外線を照射して硬化させて、樹脂表面の状態を観察した。但し、硬化は酸素雰囲気中で行った。
・紫外線照射量 :3000mJ/cm
・紫外線照射装置:BL−100(スタンレー社製)
樹脂表面の状態の観察は、指先で行い、次の評価結果とした。
良好:空気接触面の硬化良好(タックなし)
不良:空気接触面の硬化不良(樹脂表面は濡れている)
<評価2;固着時間>
ミクロスライドガラス2枚を使用して、一方に接着剤を数滴添加し、他方を重ねた。紫外線ランプ(BL−100:スタンレー社製)を用い、下記条件で紫外線を照射させながらガラスを手で動かした。紫外線を照射してから手で動かなくなるまでの時間を測定した。
・一般的紫外線照射強度:5mW/cm
<評価3;硬化収縮率>
液比重と硬化物比重から、下記条件により、次式を用いて小数点以下1桁まで求めた。
硬化収縮率=((硬化物比重−液比重)/硬化物比重)×100(%)
・液比重:JIS K 6833に準拠した。比重瓶法で小数点以下3桁まで求めた。
・硬化物比重:JIS K 7112に準拠した。紫外線照射装置を用いて、片面より紫外線(5mW/cm×2時間)を照射して硬化物を作成した。硬化物の空気中の質量と水中の質量を測定し、次式を用いて硬化物比重を、小数点以下3桁まで求めた。
硬化物比重={(A×0.9959)/A−(B−C)}+0.0012
A:空気中で測定した硬化物の質量(g)
B:水中で測定した硬化物の質量(g)
C:硬化物を吊るした金属線の質量(g)
<評価4;粘度>
E(M)型粘度計を使用して、下記条件により、粘度を測定した(測定温度:25℃)。
・循環恒温槽は25℃にセット
・恒温槽の温度精度範囲:±0.05℃
但し、温度計は標準温度計又は標準温度計で補正した物を使用した。
<評価5;常態接着強度(引張剪断接着強さ 初期)>
23℃×50%RH雰囲気中に於いて、ガラス試験片(2枚)を各試料にて貼り合わせた。下記条件により、紫外線を照射させて硬化し、引張剪断接着強さを測定した。硬化は酸素雰囲気中で行った。
・紫外線照射量 :3000mJ/cm
・紫外線照射装置:BL−100(スタンレー社製)
<評価6;耐湿性(引張剪断接着強さ 60℃×90%RH×60日)>
評価3の方法にて、試料を作製した。評価5の方法にて、各試料にて貼り合わせた。60℃×90%RH雰囲気中に所定時間放置後、引張剪断接着強さを測定した。
<評価7:ヘーズ(ヘーズ ブランク)(ヘーズ 70℃×90%RH×168時間)>
ガラス板上にPETを敷き、シリコン型枠(40mm×40mm×2mmt)を密着させ、接着剤を流し込んだ。その上にPETを被せ、ガラス板を載せた。下記条件により、紫外線を照射させて硬化して、試験片を作製した。ヘーズメーターを使用して、樹脂の端部(右・左)と中心3個所のヘーズを測定した。
紫外線照射量:2000mJ/cm。表裏より、各1回照射する。
・紫外線照射装置:フュージョンUVシステムズ
・型式:F−450−20
・測定条件:光学系、シングルビーム、[JIS K−7105A 光源:C光]
・測定機器:スガ試験機株式会社製
・ヘーズメーター型式:HZ−2A
実施例と比較例の結果を表1〜2に示した。
Figure 2011162691
Figure 2011162691
表から以下のことが分かる。
本発明は、好ましい粘度を調整でき、表面硬化性が良好で、硬化収縮率が小さく、接着性が大きく、耐湿性が大きく、ヘーズが小さいことが分かる。ヘーズが小さい程、樹脂組成物が曇らないことを意味する。ヘーズが小さい場合、樹脂組成物の透明性が大きい。
実施例4は、(1)エポキシ樹脂中のエポキシ当量と(3)ポリチオール中のチオール基とのモル比が、0.30と大きいので、他の実施例より、粘度が小さく、硬化収縮率が大きく、初期の接着性が小さいことが分かる。
比較例は、本願発明の効果を有さない。比較例1と比較例3は23℃と低い温度で攪拌したので、プレポリマーが十分に生成せず、粘度が小さく、硬化収縮率が大きく、接着性が小さく、耐湿性が小さく、ヘーズが大きいことが分かる。
本発明は、表面硬化性が良好で、接着強さが高い、紫外線で硬化する樹脂組成物、特にレンズ、プリズム、ガラス部品の固定用途に最適な樹脂組成物、接着剤を提供する。
本発明は、レンズ、プリズム、ガラス部品固定用に好適な程に作業時間を十分に取ることができ、被着体に対して高い接着力を有し、ヘーズ変化も少なく、しかも、紫外線硬化性樹脂組成物と異なって酸素の影響を受けにくく、紫外線の照射により数秒から数分の短時間で硬化して表面硬化性が良いという特徴を有する。
本発明の樹脂組成物は、酸素の影響を受けること無く硬化する。従って、表面硬化性が良く、又、接着力が高く、硬化収縮率が低い。しかも、耐湿後のヘーズ変化が少なく、透明性の大きい硬化物を得る。例えば、レンズ、プリズム、ガラス部品等に好適な接着剤を提供できる。当該樹脂組成物はプレポリマーとすることができるので、容易に粘度調整ができ、接着剤等の用途に適用する場合に、作業性を高めることができる。

Claims (11)

  1. (1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂からなる群のうちの1種以上からなるエポキシ樹脂、(2)ポリエン、(3)ポリチオール、(4)光重合開始剤を含有する樹脂組成物。
  2. (3)ポリチオールが、ペンタエルスリトールテトラキス(3メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリスβ−メルカプトプロピオネート、トリグリコールジメルカプタンからなる群のうちの1種以上からなる請求項1記載の樹脂組成物。
  3. (5)重合禁止剤を含有する請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. (5)重合禁止剤が(5−1)N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩と(5−2)フェノール誘導体を含有してなる請求項1〜3のうちの1項記載の樹脂組成物。
  5. (6)シランカップリング剤を混合する請求項1〜4のうちの1項記載の樹脂組成物。
  6. (1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールとを予め混合、反応させた後、(2)ポリエンを混合し、次いで(4)光重合開始剤と(5)重合禁止剤を混合してなる樹脂組成物の製造方法。
  7. (1)エポキシ樹脂と(3)ポリチオールとを予め混合、反応させた後、(2)ポリエンを混合し、次いで(5−1)N−ニトロソアリールヒドロキシルアミン塩を混合し、その後(4)光重合開始剤と(5−2)フェノール誘導体を混合してなる樹脂組成物の製造方法。
  8. (4)光重合開始剤を混合した後、(6)シランカップリング剤を混合してなる請求項6又は7記載の樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項6〜8のうちの1項記載の製造方法により得られる樹脂組成物を含有してなる接着剤組成物。
  10. 請求項9記載の接着剤組成物を使用して接着してなる、紫外線を透過する被着体。
  11. 請求項9記載の接着剤組成物を使用して接着してなる光学素子。
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