JP2011161301A - 排ガス中の揮発性有機溶剤の回収装置とその回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】排ガス中に含まれる揮発性有機溶剤の回収装置及び回収方法にあって、吸着剤による吸着能を最大限に発揮して溶剤の吸着効率を向上させる。
【解決手段】粒状の吸着剤( 活性炭10) に対して吸着操作と脱着操作とを交互に繰り返し、排ガス中の揮発性有機溶剤を回収する溶剤回収装置(20)である。層状に配された吸着剤を複数に区画する仕切り(5) を介して分割する。各区画ごとの吸着剤層(11)による吸着後の排ガス中の揮発性有機溶剤含有濃度を検出する濃度検出手段(6) を各区画ごとに配している。更に各区画領域ごとの濃度検出手段(6) により検出される破過濃度に達するまでのそれぞれの破過時間を測定する計時手段(7) が配される。
【選択図】図1
【解決手段】粒状の吸着剤( 活性炭10) に対して吸着操作と脱着操作とを交互に繰り返し、排ガス中の揮発性有機溶剤を回収する溶剤回収装置(20)である。層状に配された吸着剤を複数に区画する仕切り(5) を介して分割する。各区画ごとの吸着剤層(11)による吸着後の排ガス中の揮発性有機溶剤含有濃度を検出する濃度検出手段(6) を各区画ごとに配している。更に各区画領域ごとの濃度検出手段(6) により検出される破過濃度に達するまでのそれぞれの破過時間を測定する計時手段(7) が配される。
【選択図】図1
Description
本発明は、特に小粒径の活性炭を用いて排ガス中の揮発性有機溶剤を、吸着・脱着を繰り返して回収する装置及びその回収方法に関する。
化学、機械、電子、食品などの各種産業分野で揮発性有機溶剤が溶剤として広く使われている。例えば、アセテート繊維の製造にはアセトンや塩化メチレンメタノールなどの有機溶剤が使われ、食品添加物であるポリサッカライド(固形多糖類)の製造には低級アルコールが、また磁気記録材料、合成皮革などの樹脂材料やコーティング材の製造にはメチルエチルケトンやイソブチルメチルケトンなどの有機溶剤が、電子材料の製造時における金属洗浄にはフロン系溶剤が使われる。
これらの有機溶剤はいずれも揮発性であり、地球環境保全の面から種々の法令などにより排出ガス濃度が規制されており、無害化処理等が必要である。一方、これらの溶剤は概して高価でもあるため可能なかぎり回収することが求められる。有機溶剤の含有が比較的高濃度である排ガスの場合には冷却、液化により回収して再生されるが、低濃度である排ガスの場合には、通常、粒状活性炭等の吸着剤を使用して、回収、再生を行う。
図1は、従来の一般的な排ガス中の揮発性有機溶剤を大量に吸着、回収する横置型の排ガス処理装置とその吸着・脱着原理を模式的に示している。この装置は、同図に示すように、粒状活性炭10が吸着・脱着槽1の上下中央部に配された上下フィルター2a,2b内に層状に充填され、活性炭層11を形成している。吸着・脱着槽1と上下フィルター2a,2bとの間には、それぞれに上下部ガス流路3a,3bが形成され、同上下部ガス流路3a,3bには前記活性炭層11を上下に通過する吸着前後の排ガスと脱着前後の水蒸気とが交互に流通する。ここで、フィルターとして金網、多孔板などがよく用いられる。
例えば、未処理の排ガスを上部ガス流路3aへと導入し、前記活性炭層11を介して上方から下部ガス流路3bへと流し、排ガス中の有機溶剤を活性炭10に吸着させたのち、下部ガス流路3bから外部へと排出する。この外部へと排出される吸着後のガス中に含まれる有機溶剤の濃度が所定の値(破過濃度)を越えると、処理前の排ガスの供給を中止して吸着処理を終了させ、代わって下部ガス流路3bに水蒸気を導入し、活性炭層11を介して活性炭10に吸着された有機溶剤を水蒸気とともに上部ガス流路3aへと下から上に逆に流して脱着がなされたのち、冷却凝縮されて、活性炭10の再生と有機溶剤の回収がなされる。この吸着・脱着は、未処理の排ガスと水蒸気との導入位置を前述とは逆にすることもできる。すなわち、未処理の排ガスを下部ガス流路3bに導入して、活性炭層11を下方から上向きに流して吸着を行い、水蒸気を上部ガス流路3aに導入して、活性炭層11を上方から下向きに流して脱着を行ってもよい。
この溶剤の吸着・脱着処理の一例が、例えば特開昭51−134383号公報(特許文献1)により開示されている。同文献1によれば、活性炭により排ガス中の有機溶剤を吸着、回収する公知の方法において、活性炭として特に10〜30メッシュの小粒状活性炭を使用し、かつこれを耐熱、耐食性かつ電気的に絶縁性の材料からなる布で包むかまたは該布製の袋に収納した活性炭層を用いるものであり、吸着・脱着処理槽内に活性炭層の数に応じた傾斜仕切板を設け、これによって仕切られた場所に上記構成をもつ活性炭層を横置きとして、風量に応じて活性炭層内のガス流れ方向の活性炭層の増減を行い、かつ各活性炭層内を未処理の排ガスと水蒸気とが交互に反対方向に流れ得るようにしている。
一方、既述した一般的な活性炭からなる吸着層内に仕切板を設けた従来の吸着装置が、例えば「別冊化学工業 15−3 工場操作シリーズ Vol.7『吸着』、『4.吸着装置』、編集兼発行人 原徹、株式会社化学工業社、昭和48年5月1日発行、296−304頁」(非特許文献1)に記載されている。活性炭層の下方から上方へガスが流れる吸着装置では、層厚さや充填密度の不均一などからガスの吹き抜けが起こりやすいが、活性炭層内に仕切板を設けることにより、活性炭の充填層の均一性が保たれる。
別冊化学工業 15−3 工場操作シリーズ Vol.7「吸着」、「4.吸着装置」、編集兼発行人 原徹、株式会社化学工業社、昭和48年5月1日発行、296−304頁
しかしながら、上記特許文献1のように活性炭を複数の袋内に詰めてこれを処理層内に一段あるいは他段に並置し、若しくは上記非特許文献1のように活性炭層に仕切りを設けることで、活性炭の充填層を均一に保つことができるとしているが、例えば図1に示す横置型の排ガス処理装置にあっては、同図に示すように、上部ガス流路3aへと導入されて水平に流れる排ガスは、活性炭層を介して下方の下部ガス流路3bへ向けて流れるが、入り口付近から奥部に向けて流量が変化したり、一部のガスは活性炭層表面を横方向に流れたりするため、均一に充填されたはずの活性炭層の層高が様々に変化し、活性炭による溶剤の吸着量に大きなバラツキが発生する。
一方、通常は下部ガス流路3bの処理済排ガスの排出口付近に排ガス中に含まれる溶剤の濃度を検出する排ガス濃度検出器が配されており、この排ガス濃度検出器によって検出される溶剤濃度がある濃度に達したとき(破過時)、それ以上の溶剤を排出してはならないため吸着操作を停止させる。この停止基準は破過時であるが、前述のとおり活性炭による溶剤の吸着量はある程度の斑が生じることから、例えば未処理の排ガス入口奥部付近で活性炭を通過するガス量が多い場合は、排ガス入口中央や入口付近の活性炭と比較して早期に破過に達し、この排ガス入口領域における溶剤濃度変化が吸着停止時期を左右しかねない。すなわち、活性炭の充填層を袋や仕切板によって均一に分割したとしても、未処理の排ガスの風量に斑がある場合、各充填層ごとの活性炭の破過時間(吸着開始から活性炭層通過後の処理後の排ガス濃度が破過濃度に達するまでの時間)にも斑が生じ、揮発性有機溶剤含有排ガス処理装置の効率的な吸着運転ができていなかった。
本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、具体的には処理前の排ガス中の揮発性有機溶剤の回収装置及び回収方法にあって、溶剤の吸着効率を向上させることを目的としている。
前述の目的を達成するため、本発明は導入ガス中の有機溶剤を吸着槽内に配された吸着剤への吸着と脱着とを交互に繰り返し行って有機溶剤を回収する、有機溶剤の回収装置であって、吸着剤を仕切りにより複数の区画に分割し、吸着剤を通過した直後の有機溶剤を含むガス中の有機溶剤濃度を検出する濃度検出器を、各区画ごとに配するとともに、吸着剤の使用開始直後から、排出されるガスに許容される予め決められた有機溶剤濃度に達するまでに要する時間を各濃度検出器ごとに測定する計時手段を有してなる、有機溶剤の回収装置を基本構成としている。
好ましい態様によれば、前記吸着槽が横型であって、前記複数の仕切りが前記吸着槽内の吸着剤中を上下方向に流れる有機溶剤を含むガスの流れ方向に平行に配されてなり、或いは前記仕切りが上から見たときに格子状に配されている。
更に本発明に係る排ガス中の揮発性有機溶剤を回収する方法は、上記構成を備えた回収装置を使い、分割された各区画ごとの吸着剤の充填量を以下の手順(1)〜(5)で調節するものである。
すなわち、
(1)仕切りにより仕切られた全区画内に、吸着剤を充填すること、
(2) 前記回収装置の運転を開始すること、
(3) 各濃度検出器により、吸着剤を通過した直後の有機溶剤を含むガス中の有機溶剤濃度を検出すること、
(4)計時手段により、吸着剤の使用開始直後から、排出されるガスに許容される予め決められた有機溶剤濃度に達するまでに要する時間(以下、破過時間という。)を測定すること、及び
(5) 前記回収装置の運転を停止し、吸着剤の使用開始直後から、排出されるガスに許容される予め決められた有機溶剤濃度に達するまでに要する時間が均一になるように区画内の吸着剤を増減させること。
すなわち、
(1)仕切りにより仕切られた全区画内に、吸着剤を充填すること、
(2) 前記回収装置の運転を開始すること、
(3) 各濃度検出器により、吸着剤を通過した直後の有機溶剤を含むガス中の有機溶剤濃度を検出すること、
(4)計時手段により、吸着剤の使用開始直後から、排出されるガスに許容される予め決められた有機溶剤濃度に達するまでに要する時間(以下、破過時間という。)を測定すること、及び
(5) 前記回収装置の運転を停止し、吸着剤の使用開始直後から、排出されるガスに許容される予め決められた有機溶剤濃度に達するまでに要する時間が均一になるように区画内の吸着剤を増減させること。
ここで、前記吸着剤は粒状活性炭であることが好ましく、揮発性有機溶剤を含有する排ガスが乾式紡糸工程における揮発性有機溶剤であるアセトン含有の排ガスに対して好適である。また、上記吸着槽は横型であることが望ましい。
仕切りによって分割された各区画領域ごとに排出される溶剤吸着済みの排ガスの溶剤濃度を、各区画ごとに配された濃度検出器により検出し、それぞれの破過時間を計時手段により計時し、区画領域による吸着剤層を通過する風量のバラツキに基づく破過時間のバラツキをなくし、各区画領域における破過時間を揃えるように各区画領域内に充填される吸着剤の量を調整する。すなわち、破過時間の短い区画領域では吸着層を通過する風量が破過時間の長い区画領域と比較して相対的に大きいことになり、その通過風量を調整すべく、各区画領域内に充填する吸着剤の量を増減させて、各区画における破過時間を揃える。その結果、吸着装置の吸着効率を一挙に向上させることができる。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。
図5は、未処理の排ガス中の揮発性有機溶剤回収装置の代表的な例であるアセトン回収装置を備えた一般的なジアセテート繊維の製造工程を模式的に示している。
図5は、未処理の排ガス中の揮発性有機溶剤回収装置の代表的な例であるアセトン回収装置を備えた一般的なジアセテート繊維の製造工程を模式的に示している。
ジアセテート繊維は乾式紡糸により製造される。その製造方法の概略は、同図に示すように、原料ポリマーである二酢酸セルロースのフレーク15を、数パーセントの水を含むアセトンからなる溶剤中に投入して溶解し、フィルタープレス16などによって微細な不純物のろ過除去を行い、紡糸溶液中の気泡を脱泡してから紡糸機17へ送液する。紡糸機17では、溶剤を蒸発乾燥するため加熱空気を用い繊維状に成形する。蒸発した溶剤は回収して再利用するため溶剤回収装置20に送られる。アセトンは可燃性溶剤であるため、紡糸機17で使われる加熱空気の流量をアセトンの爆発下限以下のガス濃度が保たれるように設定する。
本実施形態の溶剤回収装置20は、例えば図1に示すような横型の固定層式の吸着・脱着槽1が使われ、同吸着・脱着槽1内に配される溶剤の吸着剤として横径が4〜6mm、高さが6〜8mmの粒状活性炭が使われる。本実施形態による吸着・脱着槽1は、側面視で長さ11〜12m、高さ2.5〜3.0m、奥行き2.5〜3mの矩形箱型を呈し、槽内の中央部には上下フィルター2a,2bを介してその全幅及び全長にわたり、高さ0.8〜1.1mの粒状活性炭が充填された活性炭層11が形成されている。吸着・脱着槽1と前記上下フィルター2a,2bとの間には上下部ガス流路3a,3bを有し、それぞれの上下部ガス流路3a,3bの一端にはガス導入/導出口4a,4bが形成されている。ここで、ガス導入口4aは、吸着時にはアセトンを含む紡糸機から排出される排ガスの導入口となり、脱着時には脱着後のアセトンと水からなる蒸気の導出口であるアセトン回収口となる。またガス導出口4bは、吸着時の水と空気からなる排出ガスの排出口となり、脱着時には脱着用の水蒸気導入口となる。水蒸気の供給方法は、活性炭層11にできるだけ均等に与えることが活性炭の脱着効率を高められるため、活性炭層直下に蒸気吹き出し口を設置することが好ましい。
本実施形態にあっては、図1に示すように、前記活性炭層11に複数の仕切り5が設けられ、活性炭層11を複数の区画領域に分割している。その仕切り数や仕切り方は任意であるが、仕切り5を活性炭層11の長さ方向に所要の間隔をおいて複数平行に配置するのが好ましい。このとき、更に活性炭層11の奥行き方向に、同じく所要の間隔をおいて仕切り5を複数平行に配置して、図2に示すように、仕切り5を格子状に設けるとよい。更に本実施形態にあっては、吸着操作時における吸着済の排ガス(水分を含む空気)が排気される側のフィルター(図1における下フィルター2b)近傍の各区画領域ごとに、吸着済の排ガス中の溶剤濃度を検出する濃度検出器6が配されている。この濃度検出器6を各区画領域ごとに配している点は本発明の特徴部の一部を構成する。ここで、前記濃度検出器6の配置は吸着・脱着槽1の直下に複数の濃度検出器6を配置して、フィルター近傍における各区画領域ごとに排出される溶剤吸着済の排ガス中の溶剤濃度を各濃度検出器6ごとに検出するとよい。
更に本実施形態では、吸着操作の開始時から前記溶剤濃度検出器6により検出される各溶剤濃度が予め設定された濃度(破過濃度)に達するまでの時間(破過時間)を各区画ごとに測定している。この破過時間の測定も本発明における特徴部の一部を構成している。すなわち、本実施形態にあっても、各濃度検出器6に加えて各濃度検出器6ごとの破過時間を計測する計時手段7を備えている。この計時手段は、例えばタイマーが使われ、単一のタイマーをもって各濃度検出器6ごとの破過時間を計測する。また本実施形態にあっては、吸着時に上部ガス流路3aのガス導入口4aから未処理の排ガスを導入し、前記上部ガス流路3aを通して排ガスを水平に流し、その流れが仕切り5により仕切られた活性炭層11の各区画領域を上から下へと流れて排ガス中の揮発性溶剤であるアセトンが活性炭10に吸着される。この吸着を終えた水と空気とからなる吸着済みの排ガスは下部ガス流路3bを通って、同下部ガス流路3bの一端に設けられたガス導出口4bからガス排出管を介して機外へと排出される。
かかる構成を備えた本実施形態における吸着・脱着槽1による吸着・脱着操作は、乾式紡糸機において蒸発する有機溶剤であるアセトンと僅かな水との混合蒸気からなる排ガスを捕集冷却して、そのアセトン含有の排ガスを吸着・脱着槽1の上部ガス導入口から導入し、上部ガス流路3aを一方向(図1の右から左)に流し、その流れの全てを上フィルター2aを通して活性炭層11を上部ガス流路3aに直交する垂直下方へと流す。アセトン含有の排ガスが活性炭層11を横切って上から下へと流れる間に、排ガス中に含まれるアセトンは活性炭10に吸着され、アセトンを含まないガス(水分及び空気)が下フィルター2bを通って下部ガス流路3bへと流れ、下部ガス流路3bを図1の左から右へと流れ、下部ガス導出口4bから図示せぬガス排出管を通って機外へと排出される。
この吸着操作の間、仕切り5が設けられていない従来の吸着・脱着槽1によれば、図4(a)に示すように、アセトンと僅かな水との混合蒸気からなる排ガスは上部ガス導入口から導入され、金網8の上面に沿って一方向に流れ、活性炭層11を横切って流れる。このとき横切って流れる排ガスの風量はそのガスの吹き抜けなどにより、同図に示すように、吸着・脱着槽1の上部ガス流路方向に沿って斑が発生し、活性炭層11の層高をA〜Dのごとく変化させる。この層厚及び通過風量の違いにより、図4(b)に示すように、上部ガス流路3aに沿って破過時間も異なってくる。また、従来では吸着済の排ガス中に含まれる溶剤濃度を検出する濃度検出器6が吸着・脱着槽1の下部ガス導出口4bの近傍に設けられている。そのため、例えば非特許文献1に記載されているように、仕切り5により仕切られた各区画領域ごとの排ガス中に含まれる溶剤の量は活性炭層の層高変化が原因で異なるにも関わらず、実際に溶剤濃度検出器6により下部ガス導出口の近傍にて検出される溶剤濃度は下部ガス流路を流れる全排ガス中の平均化された濃度となる。その結果、このときの実際に検出される溶剤濃度は、仕切り5により仕切られた区画領域中で最も遅く破過点に達する区画領域における排ガス中の溶剤濃度よりも相対的に高い値となる。このことは、本来であれば溶剤吸着操作から脱着操作へと切り換えるはずの破過時間を短縮させてしまうことになり、吸着効率を著しく低下させることにつながりかねない。
これに対して本発明にあっては、上記区画領域ごとに排出される排ガス中の溶剤濃度をそれぞれ専用の濃度検出器6により検出すると同時に、同じく区画領域ごとに排出される排ガス中の溶剤濃度が破過点に到るまでに要する破過時間を計時手段7により計測し、各区画領域を流れる溶剤を含む排ガスの風量に違いがあっても、区画領域の全体にわたって均等で且つ的確な破過点にて吸着操作から脱着操作へと切り換えることを可能として、吸着操作全体の効率化を図るものである。
すなわち本発明にあっては、例えば吸着・脱着の本運転に入る前に予め試運転を行い、その試運転により全区画領域における風量の差を把握する。そのために、まず各区画領域に均等に活性炭を充填したのち、本運転と同じ条件にて予め決められた時間をかけて試運転を行う。この試運転時に、活性炭層11の全領域には、図3(a)に示すように、特に吸着・脱着槽1の上部ガス流路の上流側から下流側にかけて上から下へと活性炭層を横切って流れる排ガスの風量にA〜Dで示すような大きな差が生じている。仕切り5がない場合には、上述のように、活性炭層11の活性炭10もその風量の影響を受けて上部ガス流路3aの上流側から下流側に向けて移動して、活性炭層11の層高に斑を発生させる。本発明にあっては活性炭層を仕切り5により複数の区画領域に分割しているため、既述したとおり、上部ガス流路3aへと導入されて水平に流れる排ガスは、入り口付近から奥部に向けて流量が変化したり、一部のガスは活性炭層表面を横方向に流れたりするため、均一に充填されたはずの活性炭層の層高が様々に変化し、活性炭による溶剤の吸着量に大きなバラツキが発生する。仕切り5を設けない場合と比べると、各区画領域間における層厚に大きな差を生じることはないが、各区画領域間の上から下へと向かう風量には相当の差が生じる。
その結果、各区画領域間で破過時間にも、図3(b)に示すとおり斑が発生する。こうした破過時間に斑が生じている状態で、吸着操作から脱着操作へと切り換えるための時間を、各区画領域間の破過時間の斑を無視して、各区画領域のうち最も破過時間が少ない、すなわち最も早く破過点に達する区画領域の破過時間に予め設定した場合には、他の区画領域における活性炭層11は吸着能を残した状態で吸着操作が終了させられることになり、極めて非効率な運転となる。そこで本発明にあっては、上述のように仕切り5を設けて活性炭層11を複数の区画領域に分割することに加えて、各区画領域ごとに溶剤濃度検出器6と計時手段7を設け、運転開始時から破過点に達するまでの各区画領域ごとの時間を計測する。この各区画領域ごとの破過時間の計測によって、各区画領域ごとに流れる風量の斑を客観的に把握することができる。
本発明にあっては、更にこの把握された風量の差に基づいて、各区画領域における破過時間を均等化して、各区画領域間に生じた風量の斑にも関わらず、各区画領域における活性炭10の吸着能を均等に且つ有効に消費するため、試運転を終了した時点で各区画領域における活性炭の充填量を調整する。本実施形態にあっては、例えば図3(c)に示すように、破過時間の差に応じて他の区画領域内に充填する活性炭の充填量を増加させて、全区画領域の破過時間の均等化を図っている。このように、本実施形態では吸着操作の本運転前に試運転を行って、各区画領域内における活性炭10の充填量を調整し、全区画領域における破過時間を均等化しているが、本発明にあってはかかる実施形態に限らず、例えば通常の吸着・脱着工程における定期的な点検時に、同様の調整操作を行うようにしてもよい。
こうして破過時間の差に応じて他の区画領域内に充填する活性炭10の充填量を増減させ、図3(c)に示すように、全区画領域の破過時間の均等化を図る。このように全ての区画領域における破過時間が均等化されると、図3(d)に示すように、各区画領域ごとの活性炭10の吸着能を存分に発揮させることができ、しかも機外に排出する排ガス中に含まれる溶剤の量を最低の規定量にて適正に制御できる効率的な吸着工程が実現される。また、このときの破過時間も、吸着剤10の増減を調節する前と較べると、各ガス排出口付近の破過時間はほぼ一致し、同時にその破過時間も延びる。
この吸着操作が終了すると、吸着・脱着層1における吸着時の外部からの排ガス導入口4aをアセトン回収口に切り換えると同時に、吸着時の機外への排出ガス(水と空気)の排ガス導出口4bを脱着用水蒸気の導入口に切り換えて、脱着工程へと移行する。この脱着工程における脱着操作は、図7に示す一般的な操作と変わるところがなく、同図に示すように脱着用水蒸気の導入口4bから水蒸気を導入して、吸着時に吸着された活性炭層11のアセトンを水蒸気と混合させて脱着し、活性炭の吸着能を再生させる。水蒸気とアセトンとの混合蒸気は蒸気回収口からコンデンサー及びアフタークーラーへと送られて冷却凝縮されアセトン水溶液となって精留塔にて貯留され、溶剤槽に回収される。
以上は、ジアセテート繊維の製造設備における溶剤(アセトン)回収装置を例示した実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えば合成繊維の製造時におけるアセトン以外の各種揮発性溶剤(酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、塩化メチレンなど)、合成樹脂やゴム工業、写真フィルム工業、磁気テープ工業、塗装工業、印刷工業などの多分野にて使われる各種の揮発性溶剤(トルエン、キシレン、エタノール、酢酸エチルなど)の回収装置にも適用が可能である。また、吸着剤も活性炭に限らず、例えばハイシリカゼオライトやモレキュラーシービングカーボンが対象となる。
1 吸着・脱着槽
2a,2b 上下フィルター
3a,3b 上下部ガス流路
4a ガス導入口(吸着時の排ガス導入口、脱着時の溶剤回収口)
4b ガス導出口(吸着時の吸着済排ガス排出口,脱着時の水蒸気導入口)
5 仕切り
6 (溶剤)濃度検出器
7 計時手段
8 金網
10 (粒状)活性炭
11 活性炭層
15 二酢酸セルロース(ジアセテート)のフレーク
16 フィルタープレス
17 紡糸機
20 溶剤(アセトン)回収装置
2a,2b 上下フィルター
3a,3b 上下部ガス流路
4a ガス導入口(吸着時の排ガス導入口、脱着時の溶剤回収口)
4b ガス導出口(吸着時の吸着済排ガス排出口,脱着時の水蒸気導入口)
5 仕切り
6 (溶剤)濃度検出器
7 計時手段
8 金網
10 (粒状)活性炭
11 活性炭層
15 二酢酸セルロース(ジアセテート)のフレーク
16 フィルタープレス
17 紡糸機
20 溶剤(アセトン)回収装置
Claims (6)
- 導入ガス中の有機溶剤を吸着槽内に配された吸着剤への吸着と脱着とを交互に繰り返し行って有機溶剤を回収する、有機溶剤の回収装置であって、
吸着剤を仕切りにより複数の区画に分割し、吸着剤を通過した直後の有機溶剤を含むガス中の有機溶剤濃度を検出する濃度検出器を、各区画ごとに配するとともに、
吸着剤の使用開始直後から、排出されるガスに許容される予め決められた有機溶剤濃度に達するまでに要する時間を各濃度検出器ごとに測定する計時手段を有してなる、有機溶剤の回収装置。 - 前記吸着槽が横型であって、前記複数の仕切りが前記吸着槽内の吸着剤中を上下方向に流れる有機溶剤を含むガスの流れ方向に平行に配されてなる請求項1記載の回収装置。
- 前記吸着槽が横型であって、前記仕切りが上から見たときに格子状に配されてなる請求項1記載の回収装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の回収装置を使ってガス中の有機溶剤を回収する方法であって、分割された各区画ごとの吸着剤の充填量を以下の手順(1)〜(5)で調節する有機溶剤の回収方法。
(1)仕切りにより仕切られた全区画内に、吸着剤を充填すること、
(2) 前記回収装置の運転を開始すること、
(3) 各濃度検出器により、吸着剤を通過した直後の有機溶剤を含むガス中の有機溶剤濃度を検出すること、
(4)計時手段により、吸着剤の使用開始直後から、排出されるガスに許容される予め決められた有機溶剤濃度に達するまでに要する時間を測定すること、及び
(5) 前記回収装置の運転を停止し、吸着剤の使用開始直後から、排出されるガスに許容される予め決められた有機溶剤濃度に達するまでに要する時間が均一になるように区画内の吸着剤を増減させること。 - 前記吸着剤が粒状活性炭である請求項4に記載の有機溶剤の回収方法。
- 導入ガスが乾式紡糸工程における有機溶剤含有の排ガスである請求項4又は5に記載の揮発性有機溶剤の回収方法。
Priority Applications (1)
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JP2010022992A JP2011161301A (ja) | 2010-02-04 | 2010-02-04 | 排ガス中の揮発性有機溶剤の回収装置とその回収方法 |
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CN109094178A (zh) * | 2018-08-27 | 2018-12-28 | 青岛成盛林环保设备有限公司 | 一种凹版印刷机减风增浓排风系统 |
CN114917719A (zh) * | 2022-06-16 | 2022-08-19 | 安徽新聚碳纤维有限公司 | 一种vocs废气治理技术用的vocs脱除装置 |
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2010
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