JP2011158665A - メタマテリアル部材の製造方法及びメタマテリアル部材 - Google Patents

メタマテリアル部材の製造方法及びメタマテリアル部材 Download PDF

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Abstract

【課題】様々な用途の撮像装置に適用可能な例えばレンズ等の光学素子を、より低コストで且つ容易に製造する。
【解決手段】本発明のメタマテリアル部材10の製造方法では、まず、所定形状の共振器1を有する複数の共振素子12を作製する(ステップS1)。次いで、内部に一つの共振器1を含む球状の複数のマイクロカプセル20を作製する(ステップS2)。次いで、複数のマイクロカプセル20を所定の液状誘電体材料15とともに所定形状の型枠33に充填する(ステップS4)。そして、液状誘電体材料15を硬化させてメタマテリアル部材10を成形する(ステップS6)。
【選択図】図4

Description

本発明は、メタマテリアル部材の製造方法及びメタマテリアル部材に関する。
従来、赤外線を検出する画素を備えた赤外線センサ等を用いて撮像対象の物体を撮像し、該物体の温度を測定する赤外線撮像装置(例えばサーモグラフィ等)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このような赤外線撮像装置は、一般に、レンズ系と、撮像素子とを備えるが、これらはともに非常に高価である。
赤外線撮像装置で用いられるレンズ系は、赤外線波長領域において良好な透過率を有する、例えばGe(ゲルマニュウム)、ZnS(硫化亜鉛)、Si(シリコン)等の高価な材料で形成されたレンズを複数枚用いて構成する。
例えば、Geレンズに使用されるGe(ゲルマニュウム)は希少金属であるので、市場での流動量が非常に少なく、現在、材料単価が5〜18万円/kgであり、非常に高価である。そのため、Geレンズは一枚当たり1〜5万円程度の価格になる。そして、赤外線撮像装置のレンズ系では、Geレンズを2〜5枚で1組にして用いる。それゆえ、装置の必要解像度にもよるが、レンズ系だけで2万円〜25万円程度の価格になってします。
Geの代替材料として浮上した材料がZnS(硫化亜鉛)である。ZnSの材料単価はGeに比べて安価であるが、その加工生産性が悪い。それゆえ、現状では、ZnSレンズの価格は、Geレンズとほぼ同じ価格になってしまう。また、Siレンズは、Geレンズよりは廉価であるものの、遠赤外領域(8〜14μm)での透過率が落ちるため、サーモグラフィには不向きである。
一方、赤外線撮像装置で用いられる撮像素子は、一般に、VOx(酸化バナジウム)からなる画素を個別に空中で支持する中空構造、いわゆるマイクロボロメータ構造と呼ばれる構造を有する。なお、撮像素子を中空構造とする理由は、次の通りである。VOxからなる画素を中空構造にせずに熱型の赤外線センサに用いると、回路系の自己発熱等のノイズによりS/Nが悪くなる。そのため、回路系との熱絶縁を図るためにVOxからなる画素を中空構造にしている。
また、赤外線撮像装置で用いられる撮像素子では、VOxが希少金属であり、さらにその中空構造を形成するためのプロセス工程数も多くなるので、製造コストが増大する。それゆえ、マイクロボロメータ構造の撮像素子の生産性は非常に悪く、非常に高価なデバイスとなってしまう。
特開昭62−30208号公報
上述のように、サーモグラフィ等の赤外線撮像装置は、高コスト構造であり、例えば、低画素品の装置で60万円、高画素品の装置で900万円程度の価格になる。また、遠赤外線サーモグラフィ等以外のテラヘルツ波を用いる撮像装置(以下、テラヘルツ波撮像装置という)も同様に、非常に高価な装置になっている。
そのため、今のところ、このような赤外線撮像装置は、業務用の市場向けに生産されているのみであり、民生用として市場を拡大するまでには至っていない。例えば、遠赤外線サーモグラフィの用途としては、産業用の設備温度管理、防衛/保安上の物体温度検出、高級車用の夜間人体検出用ナイトビジョン、医療用の体温検出程度に限られており、その年間出荷量は、全世界で1万台〜2万台程度にとどまっている。また、遠赤外線サーモグラフィ等以外のテラヘルツ波撮像装置に至っては、殆ど生産されていないのが実情である。
また、上述した赤外線撮像装置に用いるレンズの形成材料に関する様々な問題から、希少金属を使わずに、低コストで且つ透過率の低下を抑制できる赤外線撮像装置用のレンズの開発は実現していない。すなわち、今のところ、遠赤外線サーモグラフィを代表としたテラヘルツ波撮像装置全般に渡って、安価なレンズの構成及び製造方法についての提案はなされていない。
本発明は、上記状況を鑑みなされたものであり、本発明の目的は、例えば赤外線撮像装置やテラヘルツ波撮像装置等に限らず、様々な用途の撮像装置に適用可能な例えばレンズ等の光学素子を、より低コストで且つ容易に製造することである。
上記課題を解決するために、本発明のメタマテリアル部材の製造方法は、次の手順で行う。まず、所定形状の共振器を有する複数の共振素子を作製する。次いで、内部に共振器を含む球状の複数のマイクロカプセルを作製する。次いで、複数のマイクロカプセルを所定の液状誘電体材料とともに所定形状の型枠に充填する。そして、液状誘電体材料を硬化してメタマテリアル部材を成形する。
上述のように、本発明のメタマテリアル部材の製造方法では、内部に共振器を含む球状のマイクロカプセルを複数作製し、その複数のマイクロカプセルを液状誘電体材料とともに、所定形状の型枠に充填してメタマテリアル部材を成形する。この手法では、より容易に且つ低コストで所望の光学特性等を有するメタマテリアル部材を製造することができる。
また、本発明のメタマテリアル部材は、誘電体材料からなる基材と、基材中に分散して配置された複数の共振器と、共振器の配向を制御するために、複数の共振器にそれぞれ設けられた複数の配向制御素子とを備える構成とする。
上述のように、本発明のメタマテリアル部材の製造方法では、より容易に且つ低コストで所望の光学特性等を有するメタマテリアル部材を製造することができる。それゆえ、本発明によれば、例えば赤外線撮像装置、テラヘルツ波撮像装置等に限らず、様々な用途の撮像装置に適用可能な例えばレンズ等の光学素子を、より低コストで且つ容易に製造することができる。
本発明の一実施形態に係るメタマテリアルレンズの概略構成図である。 本発明の一実施形態に係るメタマテリアルレンズで用いる共振素子の概略構成図である。 メタマテリアルレンズの動作例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るメタマテリアルレンズの製造方法の手順を示すフローチャートである。 共振素子入りのマイクロカプセルの概略構成図である。 図4中のステップS3のマイクロカプセルの選別工程の様子を示す図である。 図4中のステップS4のマイクロカプセルの型枠への充填工程の様子を示す図である。 図4中のステップS5の主共振器の配向制御工程の様子を示す図である。 図4中のステップS6の液状媒質の硬化工程を示す図である。 メタマテリアルレンズの成形部材の概略構成図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子の作製工程(図4中のステップS1)を説明するための図である。 共振素子入りのマイクロカプセルの作製工程(図4中のステップS2)を説明するための図である。 共振素子入りのマイクロカプセルの作製工程(図4中のステップS2)を説明するための図である。 共振素子入りのマイクロカプセルの作製工程(図4中のステップS2)を説明するための図である。 共振素子入りのマイクロカプセルの作製工程(図4中のステップS2)を説明するための図である。 共振素子入りのマイクロカプセルの作製工程(図4中のステップS2)を説明するための図である。 変形例1−1のマイクロカプセルの概略構成図である。 変形例1−1のマイクロカプセルを用いたメタマテリアルレンズの概略上面図である。 変形例1−2のマイクロカプセルの概略構成図である。 変形例1−3のマイクロカプセルの概略構成図である。 変形例1−4のマイクロカプセルの概略構成図である。 変形例2のメタマテリアルレンズの概略断面図である。 変形例3−1のメタマテリアルレンズの概略構成図である。 変形例3−1のメタマテリアルレンズを成形する際に用いる型枠の概略断面図である。 変形例3−2のメタマテリアルレンズの概略断面図である。
以下に、本発明の実施形態に係るメタマテリアル部材及びその製造方法の一構成例を、図面を参照しながら下記の順で説明する。なお、以下の説明では、メタマテリアル部材がレンズ(以下、メタマテリアルレンズという)である例を説明するが、本発明はこれに限定されない。
1.メタマテリアルレンズの基本構成例
2.各種変形例
<1.メタマテリアルレンズの基本構成例>
本発明では、例えばレンズ等の光学部材を、メタマテリアルと呼ばれる人工物質を用いて作製する。メタマテリアルとは、例えば光等の電磁波に対して、自然界の物質にはない振る舞いをする人工物質である。
メタマテリアルからなる光学部材は、例えば、電磁波の波長より十分小さなサイズを有し且つ内部に共振器を有する単位格子を誘電体中に配列して構成される。なお、メタマテリアルの単位格子(共振器)の間隔は、用いる電磁波の波長の約1/10程度あるいはそれ以下、または、約1/5程度あるいはそれ以下に設定される。このような構成にすることにより、光学部材の誘電率ε及び/または透磁率μを人工的に制御することが可能になり、光学部材の屈折率n(=±[ε・μ]1/2)を人工的に制御することができる。特に、メタマテリアル部材では、共振器の例えば形状、寸法等を適宜調整することにより、所望の波長の電磁波に対して、屈折率を負の値にすることもできる。
ところで、メタマテリアルの研究は、1999年ぐらいから盛んに行われているが、現段階では、まだ研究の域を脱していない。また、メタマテリアルの製造方法の開発においては、更に障壁は高く、メタマテリアルを安価に製造することのできる技術は今のところ発表されていない。
メタマテリアル部材を偏光方向が一定でない一般撮像系レンズに適用する場合には、共振器の形状を立体(3次元)構造にする、または、平面(2次元)構造の共振器を複数用意し、それらを90度回転させて連続的に積層する必要がある。
3次元構造体の製法としては、従来、例えば特開2007−253354号公報等に、レーザー走査技術を用いた手法が提案されている。しかしながら、この手法を用いてメタマテリアル部材内の共振器を作製した場合、レンズ一個当たりに数億個以上の共振器を形成する必要があるので、その製造時間が膨大となり、実用的ではない。
また、2次元構造の共振器の層を複数用いる手法としては、例えばICパターンの作製時に用いるフォトリソグラフィ技術で共振器の層を必要な層数だけ重ねて作製する手法が従来多く提案されている。しかしながら、この手法では、入射光の全ての偏光方向に対応するために、層毎に共振器の配置を変化させる必要があり、マスクやプロセスの数が増大し、コストがさらに増大する。
そこで、本実施形態では、上述のような問題を解消し、安価で且つ容易に作製することにできるメタマテリアルレンズ及びその製造方法の一例を説明する。
[メタマテリアルレンズの構成]
図1(a)及び(b)に、本発明の一実施形態に係るメタマテリアルレンズの概略構成を示す。図1(a)は、メタマテリアルレンズの光入射側から見た概略上面図であり、図1(b)は、図1(a)中のA−A断面図である。なお、本実施形態では、メタマテリアルレンズに入射される光を例えば単波長光やカラーフィルタ等を通過した後の光等の波長領域の非常に狭い光とし、その波長領域において屈折率が負の値に調整されているメタマテリアルレンズの例について説明する。
メタマテリアルレンズ10は、基材11と、基材11の内部に略等間隔で3次元状に配列された複数の共振素子12とを備える。本実施形態では、図1(a)及び(b)に示すように、メタマテリアルレンズ10の光入射面10aと平行な同一面に略等間隔で配置された複数の共振素子12からなる素子群を、基材11を介してメタマテリアルレンズ10の厚さ方向に積層した構成となる。
また、本実施形態では、後述するように、略同じ径の共振素子12入りのマイクロカプセルを3次元に配列して共振素子12を配置する。それゆえ、本実施形態では、図1(b)に示すように、厚さ方向に隣り合う素子群間では、共振素子12が互いに1/2ピッチずれした状態で配置される。なお、本発明はこれに限定されず、厚さ方向に隣り合う素子群間において、厚さ方向に共振素子12が重なる(ピッチずれ=0)ように配置してもよい。
基材11は、その光入射面10a及び光出射面10bが円形であり、厚さが一定の光学部材である。また、基材11は、用いる電磁波(光)の波長において透過率の高い誘電体材料で形成される。例えば光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、二液性硬化樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂材料で形成される。
より具体的には、メタマテリアルレンズ10に入射する光が可視光であれば、基材11は、例えば、アクリル系、ポリカーボネート系、ウレタン系等の誘電体材料(樹脂材料)で形成される。また、入射光が遠赤外線領域の光であれば、基材11は、例えば、高密度ポリエチレン、フッ素系樹脂、フッ化バリウム、Si等の材料で形成される。
なお、基材11の形成材料としては、例えばアモルファスフッ素樹脂等のように常温で特殊フッ素系溶媒に溶解可能な材料、または、常温で液体である材料を用いることが特に好ましい。その理由は、次の通りである。後述するように、本実施形態では、共振素子12を内部に含む樹脂製マイクロカプセルを作製し、そのマイクロカプセルが基材11の一部を構成する。そして、共振素子12入りのマイクロカプセルを作製する際、マイクロカプセルの液状物質を乳化分散溶液中で分散させてカプセル化する。しかしながら、マイクロカプセルを例えば熱可塑性樹脂等で形成すると、過熱しながら熱可塑性樹脂の液状物質をカプセル化する必要がある。それに対して、上述のような常温で液体状態にできる材料でマイクロカプセルを形成すると、マイクロカプセル作製時の温度調整が不要となり、製造方法がより一層容易になる。
共振素子12は、メタマテリアルレンズ10の屈折率n(=±[ε・μ]1/2)を人工的に制御するために基材11内に埋め込まれる。なお、共振素子12の間隔は、上述のように、メタマテリアルレンズ10に入射される光100の波長の約1/10以下または約1/5以下程度に設定される。例えば、入射光100が遠赤外線領域(波長=8〜14μm程度)の波長を有する場合には、共振素子12の間隔は約1μm程度となる。なお、基材11の内部に埋め込まれる共振素子12の数は、例えば、必要とする屈折率n、入射光100の波長、メタマテリアルレンズ10のサイズ等を考慮して適宜設定される。
ここで、共振素子12の構成を、図2(a)及び(b)を参照しながらより詳細に説明する。なお、図2(a)は、共振素子12の上面図であり、図2(b)は、側面図である。本実施形態では、共振素子12を、主共振器1(共振器)と、副共振器2(配向制御素子)とで構成する。
主共振器1は、所定方向に延在した直方体状(ワイヤー型)の導電性部材で構成される。主共振器1は、入射される電磁波(入射光100)に対して磁気応答や誘電応答し、電磁波に対するメタマテリアルレンズ10の光学特性(例えば誘電率、透磁率、屈折率等)を変化させる。
主共振器1は、例えば、銀、金、銅、アルミニウム等の導電性材料で形成される。なお、本実施形態では、主共振器1の寸法(例えば幅、厚さ、長さ等)は、入射光100の波長領域において、メタマテリアルレンズ10の屈折率が負の値になるように調整される。
ただし、本発明はこれに限定されず、主共振器1の寸法は、例えば入射光100の波長、必要とする光学特性等に応じて適宜設定される。より具体的に説明すると、入射光100の波長における屈折率や透過率等に影響を与えるパラメータは、例えば、主共振器1の形状、大きさ、厚さ、幅、材質等や、主共振器1の周囲の誘電体である基材11の誘電率、透磁率等である。特に、主共振器1の形状には、透磁率を効果的に制御できる形状(例えばSRR(Split Ring Resonator)型等)や誘電率を効果的に制御できる形状(例えばワイヤー型等)が存在する。それゆえ、対象となる入射光100の波長に合わせて、上述した種々のパラメータの組み合わせを適宜設定することにより、入射光100の波長において所望の例えば屈折率、透過率等の光学特性を得ることができる。
副共振器2は、円盤状の第1副共振器2a及び第2副共振器2bで構成される。第1副共振器2a及び第2副共振器2bは、ともに、主共振器1の一方の短辺側付近に形成され、主共振器1の厚さ方向において、主共振器1を挟み込むように対向して配置される。また、本実施形態では、第1副共振器2a及び第2副共振器2bの径を、主共振器1の幅より若干広くする。このように構成することにより、第1副共振器2a及び第2副共振器2bの作製工程において、第1副共振器2a及び第2副共振器2bの外周端部の一部が主共振器1の側部に付着し、第1副共振器2a及び第2副共振器2bが主共振器1から剥がれ難くなる。
副共振器2は、後述するメタマテリアルレンズ10の製造工程において、主共振器1の延在方向を所定方向に向けるための部材、すなわち、主共振器1の配向を制御するための部材である。本実施形態では、後述するように、磁界を印加して、複数の主共振器1の配向を制御するので、第1副共振器2a及び第2副共振器2bは、ともに例えば鉄等の磁性材料で形成する。
なお、主共振器1の配向制御は、後述するように電界を用いて行うことも可能である。その場合には、副共振器2を設けず、主共振器1またはその周囲の誘電体材料(後述するマイクロカプセルのカプセル本体)を帯電させることにより配向制御を行う。また、別の手法としては、副共振器2を強誘電体材料で形成することにより、主共振器1の配向を電界制御することもできる。
また、本実施形態では、副共振器2を第1副共振器2a及び第2副共振器2bで構成する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、第1副共振器2a及び第2副共振器2bの少なくとも一方を備える構成にしてもよい。また、本実施形態では、副共振器2を主共振器1の一部に設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されず、主共振器1の全体に渡って副共振器2を設けてもよい。
なお、本実施形態では、共振素子12を基材11中に略等間隔に配列する際、図1(a)及び(b)に示すように、主共振器1の延在方向が光100の入射方向と一致するように、配向制御を行う。なお、本発明はこれに限定されず、主共振器1の配向は、例えば、入射光100の偏光方向、必要とする光学特性等に応じて適宜設定される。また、全ての主共振器1の配向を一方向に揃えなくてもよい。例えば、光入射面10aと平行な同一面に配置された複数の共振素子12からなる素子群毎に配向を変えてもよい。この場合、ランダムな偏光方向の入射光に対しても対応することができる。
ここで、図3に、上述した構成のメタマテリアルレンズ10の動作例を示す。上述のようにして予め配向制御された複数の主共振器1により所定の負の屈折率nに調整されたメタマテリアルレンズ10に光100が入射されると、光100はメタマテリアルレンズ10の光入射面10a及び光出射面10bで屈折し、所定の焦点距離で集光される。
[メタマテリアルレンズの作製方法]
次に、図1(a)及び(b)に示すメタマテリアルレンズ10の作製手法について説明する。ここでは、メタマテリアルレンズ10の作製手順の全体的な流れを、図4を参照しながら説明する。なお、図4は、メタマテリアルレンズ10の作製手順の全体的な流れを示すフローチャートである。
まず、本実施形態では、図2(a)及び(b)に示す共振素子12を複数作製する(ステップS1)。なお、共振素子12は、例えば半導体デバイス等で適用されているフォトリソグラフィ技術を用いて作製することができる。ステップS1における共振素子12の作製手法の一例は、後で図面を参照しながら詳細に説明する。なお、共振素子12の作製手法は、フォトリソグラフィ技術に限定されず、例えばナノ粒子製造プロセス等を用いて共振素子12を作製することもできる。
次いで、ステップS1で作製した共振素子12を、誘電体材料からなる球状のカプセル本体に封入したマイクロカプセル(共振素子12入りのマイクロカプセル)を作製する(ステップS2)。ただし、この際、各マイクロカプセルには1つの共振素子12を封入する。
図5に、ステップS2で作製されるマイクロカプセルの構成例を示す。ステップS2で作製されるマイクロカプセル20は、上記基材11を構成する誘電体材料からなるカプセル本体21と、その内部の中心に封入された共振素子12とで構成される。なお、図5に示す共振素子12が封入されたマイクロカプセル20の作製手法の一例は、後で図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本実施形態では、ステップS2において、共振素子12の周囲の誘電体材料が固化した状態のマイクロカプセル20を作製する例を説明する。
次いで、ステップS2で作製した複数のマイクロカプセル20のサイズ(外径)が不均一である場合には、ステップS2で作製した複数のマイクロカプセル20から、所定サイズのマイクロカプセル20を選別する(ステップS3)。
ステップS3において、所定サイズのマイクロカプセル20を選別する理由は次の通りである。上述のように、本実施形態のメタマテリアルレンズ10では、所定の屈折率nを得るために、共振素子12(主共振器1)を略等間隔で配置する。これを実現するために、本実施形態では、後述するように、共振素子12入りの複数のマイクロカプセル20を3次元に密に接して並べることにより、共振素子12を略等間隔で配置する。それゆえ、マイクロカプセル20のサイズが揃っていないと、共振素子12を略等間隔に配置することが困難になる。それゆえ、本実施形態では、ステップS3において、複数のマイクロカプセル20から、所定サイズのマイクロカプセル20を選別する。なお、ステップS2において、ある程度サイズの揃った複数のマイクロカプセル20が作製できる場合には、上記ステップS3を省略してもよい。
ここで、図6に、マイクロカプセル20の選別工程の様子を示す。本実施形態では、互いに径の異なる複数のマイクロ流路26〜28が形成された選別装置25を用いる。なお、図6には、マイクロカプセル20の選別の様子をより明確にするため、選別装置25の下半分の部分のみを示すが、実際には、選別装置25内には、円筒状の複数のマイクロ流路26〜28が形成されている。
図6に示す選別装置25では、所望の径を有するマイクロ流路26だけでなく、それより径の大きなマイクロ流路27及び径の小さなマイクロ流路28を装置内部に形成する。このような選別装置25では、マイクロ流路の一方の開口部が形成された側の表面から、ステップS2で作製された複数のマイクロカプセル20を流し込むことにより所望の径のマイクロカプセル20を容易に且つ効率よく選別することができる。
次いで、ステップS3で選別された所定の径を有するマイクロカプセル20を、レンズ成形装置のレンズ成形用の型枠に充填する(ステップS4)。
図7に、ステップS4におけるマイクロカプセル20の充填工程の様子を示す。本実施形態では、基台31と、基台31上に設けられた複数のスプリング32と、スプリング32上に設けられたレンズ成形用の型枠33とを備えるレンズ成形装置30を用いる。また、図7には示さないが、レンズ成形装置30は、さらに、主共振器1の配向制御を行うための磁界発生器及び加振機と、型枠33内に充填する液状媒質15を硬化するための光源を備える。なお、型枠33の開口部はメタマテリアルレンズ10の光入射面10aの形状と同じ形状(円形)及び寸法を有する。
ステップS4では、所定の径を有する複数のマイクロカプセル20を型枠33に充填する。この際、マイクロカプセル20と一緒に、カプセル本体21の形成材料と同じ材料、または、入射光に対して誘電率ε及び透磁率μがカプセル本体21の形成材料と略同一の材料からなる液状媒質15(液状誘電体材料)を型枠33に充填する。
次いで、型枠33を、加振機(不図示)とスプリング32により、上下左右に振動させながらマイクロカプセル20を型枠33に充填する。また、この際、磁界発生器により所定方向に磁界を印加して、型枠33内の全ての主共振器1の配向を所定方向に揃える(ステップS5)。
図8に、ステップS5における主共振器1の配向制御工程の様子を示す。型枠33を、上下左右に振動させることにより、隣り合うマイクロカプセル20同士が互いに接するように型枠33に密に充填され、マイクロカプセル20内の共振素子12を略等間隔に配列することができる。この際、マイクロカプセル20間の空間には液状媒質15が満たされる。また、この際、図8に示す例では、型枠33の底部から開口部に向かって磁界35を印加することにより、副共振器2が型枠33の底部に引き付けられる。この結果、型枠33内の全ての主共振器1の配向を型枠33の厚さ方向(磁界35の印加方向)に精度良く揃えることができる。
なお、本実施形態では、共振素子12に磁界を印加して、主共振器1の配向を制御する方式を用いるが、本発明はこれに限定されない。例えば、主共振器1の配向制御を、電界を用いて行うことも可能である。この場合には、主共振器1またはその周囲の誘電体材料(カプセル本体21)を帯電させた状態で電界を所定方向に印加し、主共振器1の配向を制御する。なお、主共振器1を帯電させる際には、その一部または全体に渡って電荷を持たせ、カプセル本体21を帯電させる際には、その一部または全体に渡って電荷を持たせる。また、主共振器1の配向制御を、電界を用いて行う場合、上記手法とは異なる手法として、副共振器2を強誘電体で形成する手法を用いてもよい。
電界により主共振器1の配向を制御する手法では、荷電コロイド粒子の表面電荷をコントロールすることにより、主共振器1間のピッチを精度良く配置することもできる。それゆえ、この手法を用いる場合には、外径が所望のサイズのマイクロカプセル20だけでなく、それより小さなサイズのマイクロカプセル20も用いることができるので、マイクロカプセル20の製造歩留まりを大幅に改善することができる。
次いで、型枠33内の全ての主共振器1の配向が揃った状態で、硬化用の光源を用いて型枠33内の液状媒質15を硬化する(ステップS6)。すなわち、このステップS6で、液状媒質15を硬化し、メタマテリアルレンズ10の成形部材を作製する。
図9に、ステップS6における液状の硬化工程の様子を示す。型枠33の開口部上に配置された光源36から型枠33に光を照射し、型枠33内の液状媒質15を硬化する。なお、この際、液状媒質15がUV樹脂からなる場合には、光源36から紫外線を照射し、液状媒質15が光硬化樹脂からなる場合には、光源36から可視光を照射する。
また、本実施形態では、光照射により液状媒質15を硬化させる例を説明したが、本発明はこれに限定されず、用いる誘電体材料に応じて、硬化手法を変えることができる。例えば、液状媒質15が熱硬化樹脂からなる場合には、加熱手段を用いて液状媒質15を加熱すればよい。さらに、液状媒質15が2液性硬化樹脂からなる場合には、硬化剤の滴下手段を用いて、型枠33内に硬化剤を滴下すればよい。
そして、型枠33内の液状媒質15を硬化させた後、その成形部材を型枠33から取り外す。図10(a)及び(b)に、型枠33から取り外した成形部材40の概略構成を示す。なお、図10(a)は、成形部材40の上面図であり、図10(b)は、図10(a)中のB−B断面図である。成形部材40は、複数の球状のマイクロカプセル20が誘電体材16を介して密に3次元状に配列された構成となる。
この後、カプセル本体21の誘電率ε及び透磁率μと、その周囲の誘電体材16のそれらとが若干異なる場合には、マイクロカプセル20とその周囲の誘電体材16とを馴染ませて、マイクロカプセル20の表面反射による透過率低下を抑制する(ステップS7)。例えば、主共振器1の配向制御用の磁界または電界を印加した状態で加熱処理等して、マイクロカプセル20の界面付近の誘電体の均一性を促進して馴染ませる。
なお、カプセル本体21の形成材料と、その周囲の誘電体材16とが同じ材料で有る場合には、ステップS7の処理を省略してもよい。ただし、そのような場合であっても、例えばアニール処理等で成形部材40内の誘電体(基材11)の均一性をさらに向上させてもよい。
本実施形態では、上述のようにして、図1(a)及び(b)に示すようなメタマテリアルレンズ10を作製する。なお、本実施形態では、外径が略同一のマイクロカプセルを充填する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、用途、必要とする光学特性等に応じて、外径の異なる複数種のマイクロカプセルを混ぜて成形し、所望の光学特性を得るようにしてもよい。
[共振素子の作製手法]
次に、共振素子12の作製手法の一例を、図11(a)及び(b)〜図24(a)及び(b)を参照しながら説明する。なお、各図(a)は、各工程(ステップS1−1〜S1−14)後の形成部材の上面図であり、各図(b)は各図(a)中のC−C断面図である。ただし、共振素子12の作製手法は以下に説明する手法に限定されない。
まず、図11(a)及び(b)に示すように、板状の基盤50を用意する(ステップS1−1)。なお、本実施形態では、基盤50上に、共振素子12を作製する。基盤50としては、例えば半導体のフォトリソプロセス等で用いる基盤であれば任意の材料を用いることができる。例えば、基盤50を例えばSiで形成することができる。
次いで、図12(a)及び(b)に示すように、基盤50上に、犠牲層51を形成する(ステップS1−2)。なお、犠牲層51は、例えばSiO、ポリイミド等のエッチング除去できる材料で形成し、その厚さは、第1副共振器2aの厚さ以上とする。また、犠牲層51の成膜手法としては、例えばスパッタ法、蒸着法、気相成長法等を用いることができ、犠牲層51の形成材料に応じて好適な成膜手法を適宜選択する。
次いで、第1副共振器2aの形成領域に対応する犠牲層51の領域をエッチングして除去する(ステップS1−3)。なお、この工程におけるエッチング処理は、基盤50の表面が露出するまで行う。本実施形態では、図2(a)及び(b)に示すように、第1副共振器2aの表面を円形とする。それゆえ、ステップS1−3では、図13(a)及び(b)に示すように、犠牲層51の所定位置に円形状の開口領域51aを形成し、その開口領域51aには、基盤50の表面が露出した状態となる。
次いで、図14(a)及び(b)に示すように、犠牲層51上に、例えばスパッタ法、蒸着法等の手法により、第1副共振器2aの形成材料(磁性材料)からなる磁性膜52を形成する(ステップS1−4)。この際、犠牲層51の開口領域51aには基盤50上に直接、磁性膜52が形成され、これにより、基盤50上に第1副共振器2aが形成される。
次いで、犠牲層51をエッチングし、犠牲層51とともに犠牲層51上に形成された磁性膜52を除去する(ステップS1−5)。なお、エッチング手法としては、例えばリフトオフ法等の手法を用いることができる。このステップS1−5により、基盤50上には、図15(a)及び(b)に示すように、第1副共振器2aのみが残される。
次いで、図16(a)及び(b)に示すように、基盤50及び第1副共振器2a上に、例えばスパッタ法、蒸着法、気相成長法等の手法により、犠牲層53を形成する(ステップS1−6)。この際、犠牲層53の厚さは、第1副共振器2aの厚さと主共振器1の厚さとを総和した厚さ以上とする。
次いで、主共振器1の形成領域に対応する犠牲層53の領域をエッチングして除去する(ステップS1−7)。本実施形態では、図2(a)及び(b)に示すように、主共振器1の表面を略矩形とする。それゆえ、ステップS1−6では、図17(a)及び(b)に示すように、犠牲層53の所定位置に略矩形状の開口領域53aを形成する。なお、この際、略矩形状の開口領域53aの一方の短辺側の領域が、第1副共振器2aの形成領域と重なるように開口領域53aを形成する。また、この工程におけるエッチング処理は、第1副共振器2aの表面が露出するまで行う。
次いで、図18(a)及び(b)に示すように、犠牲層53上に、例えばスパッタ法、蒸着法等の手法により、主共振器1の形成材料からなる金属膜54を形成する(ステップS1−8)。この際、犠牲層53の開口領域53aでは、第1副共振器2a上に直接、金属膜54が形成され、これにより、主共振器1が形成される。
次いで、例えばリフトオフ法等のエッチング手法により、犠牲層53をエッチングし、犠牲層53とともに、開口領域53a領域以外に形成された金属膜54を除去する(ステップS1−9)。これにより、基盤50上には、図19(a)及び(b)に示すように、第1副共振器2aと、第1副共振器2a上に形成された主共振器1とが残される。
次いで、図20(a)及び(b)に示すように、主共振器1上に、例えばスパッタ法、蒸着法、気相成長法等の手法により、犠牲層55を形成する(ステップS1−10)。この際、主共振器1上の領域の犠牲層55の厚さが第2副共振器2bの厚さ以上となるように、犠牲層55を形成する。
次いで、第2副共振器2bの形成領域に対応する犠牲層55の領域をエッチングして除去する(ステップS1−11)。本実施形態では、図2(a)及び(b)に示すように、第2副共振器2bの表面を円形であり、第2副共振器2bを、主共振器1を挟んで第1副共振器2aと対向する位置に配置する。それゆえ、ステップS1−11では、図21(a)及び(b)に示すように、主共振器1を挟んで、第1副共振器2aと対向する犠牲層55の領域に円形状の開口領域55aを形成する。また、この工程におけるエッチング処理は、主共振器1の表面が露出するまで行う。
次いで、図22(a)及び(b)に示すように、犠牲層55上に、例えばスパッタ法、蒸着法等の手法により、第2副共振器2bの形成材料(磁性材料)からなる磁性膜56を形成する(ステップS1−12)。この際、犠牲層55の開口領域55aには、主共振器1上に直接、磁性膜56が形成され、これにより、第2副共振器2bが形成される。
次いで、例えばリフトオフ法等のエッチング手法により、犠牲層55をエッチングし、犠牲層55とともに、開口領域55a領域以外に形成された磁性膜56を除去する(ステップS1−13)。これにより、基盤50上には、図23(a)及び(b)に示すように、第1副共振器2a、第1副共振器2a上に形成されて主共振器1、及び、主共振器1上に形成された第2副共振器2b、すなわち、共振素子12が残される。
そして、最後に、例えばエッチング等の手法により、共振素子12を基盤50から剥離する(ステップS1−14)。この結果、図24(a)及び(b)に示すように、本実施形態の共振素子12が得られる。
なお、本実施形態では、基盤50上に直接、共振素子12を形成する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、共振素子12と基盤50との間に、例えばレジスト等からなる剥離層を設けてもよい。この場合には、ステップS1−14において、より容易に共振素子12を基盤50から剥離することができる。
本実施形態では、上述のようにして、共振素子12を作製する。なお、共振素子12の上記作製例では、説明を簡略化するため、一つの共振素子12を作製する例を説明したが、実際には、一枚のウエハー(基板)上に、複数の共振素子12を同時に作製する。例えば、直径が300mmのウエハーを用いた場合には、一回のプロセスで約1兆個程度の共振素子12を同時に作製することができる。すなわち、本実施形態の共振素子12の作製手法では、上述した例えば特開2007−253354号公報等で提案されているレーザー走査技術を用いた3次元金属微細構造体の作製手法に比べて、より容易に所望の構成の共振素子12を量産することができる。それゆえ、上述した本実施形態の共振素子12の作製手法では、コストをより一層低減することができる。
[マイクロカプセルの作製手法]
次に、内部に共振素子12を含むマイクロカプセル20の作製手法の一例を、図25〜27を参照しながら説明する。なお、図25〜27は、マイクロカプセル20の各工程(ステップS2−1〜S2−3)時の様子を示す図である。ただし、マイクロカプセル20の作製手法は以下に説明する手法に限定されない。
まず、乳化安定性を有する分散媒61(分散液)の入った容器60を用意する。また、マイクロカプセル20のカプセル本体21の形成材料を液状化し、その液状材料に共振素子12を拡散混合した液状物質63を用意する。
そして、図25に示すように、攪拌棒62で分散媒61を攪拌しながら、液状物質63を分散媒61に滴状で分散させる(ステップS2−1)。
その後、分散媒61に滴下された液状物質63は、図26に示すように、徐々に、共振素子12を核として粒状物質63aに変化する(ステップS2−2)。さらに時間が経過すると、図27に示すように、共振素子12を核とする粒状物質63aの数が増え、分散媒61中により多くの粒状物質63aが分散した状態になる(ステップS2−3)。なお、上記ステップS2−2及びS2−3は、攪拌棒62で分散媒61を攪拌しながら行う。
なお、粒状物質63a(マイクロカプセル20)の外径は、例えば攪拌制御や荷電コロイド粒子の表面電荷のコントロールを行うことにより、調整することができる。また、粒状物質63aの外径は、粒状物質63aの形成材料と、分散媒61の材料との組み合わせを変えることによっても調整可能である。なお、粒状物質63aを硬化してマイクロカプセル20を作製する際、その外径は収縮するので、粒状物質63aの外径はその収縮度を考慮して適宜選定される。
次いで、分散媒61中に複数の粒状物質63aが分散した状態で粒状物質63aを固化する。粒状物質63aの固化処理は、粒状物質63aの形成材料により異なる。例えば、粒状物質63aがUV樹脂からなる場合には紫外線を粒状物質63aに照射して硬化し、粒状物質63aが光硬化樹脂からなる場合には可視光を粒状物質63aに照射して硬化する。また、粒状物質63aが熱硬化性樹脂からなる場合には容器60を加熱して、粒状物質63aを硬化させ、粒状物質63aが熱可塑性樹脂からなる場合には容器60を冷却して粒状物質63aを硬化させる。
上述のようにして、粒状物質63aを固化させた後、粒状物質63aを容器60から取り出す。本実施形態では、このようにして共振素子12を内部に含有したマイクロカプセル20を作製する。なお、この例では、マイクロカプセル20の略中心に共振素子12が配置される。
また、マイクロカプセル20の作製手法は上述した本実施形態の例に限定されない。例えば、粒状物質63aの表面に皮膜(以下、カプセル膜という)を形成して粒状物質63aをカプセル化してもよい。その場合、上記ステップS2−3の後、さらに分散媒61を攪拌しながら、例えば下記(1)〜(3)の手法等を用いて、図28に示すように粒状物質63aの表面にカプセル膜63bを形成する(ステップS2−4)。
(1)分散媒61中で生成された膜物質を粒状物質63aの表面に吸着させることによりカプセル膜63bを形成する。
(2)分散媒61及び粒状物質63aの両方に予め所定の添加剤を含有させておき、その添加剤を分散媒61及び粒状物質63aの界面で化学反応させてカプセル膜63bを形成する。
(3)粒状物質63a内で生成された膜物質を粒状物質63aの表面に集合させることによりカプセル膜63bを形成する。
ただし、粒状物質63a自身が、時間経過や加熱等により表面が固化してカプセル膜63bが形成される場合には、上記カプセル膜の形成工程を行う必要はない。
次いで、図29に示すように、別途用意した、硬化剤64を分散媒61に加えて、カプセル膜63bを安定化させる(ステップS2−5)。なお、カプセル膜63bを安定化させる液体として、例えば反応剤等を用いてもよい。
上述のようにして、カプセル膜63bを安定化させた後、分散媒61中で複数の粒状物質63aを上述した処理等で固化し、固化した粒状物質63aを容器60から取り出す。なお、粒状物質63aとカプセル膜63bとが異なる光学特性(誘電率、透磁率が異なる)を有する場合には、カプセル化された粒状物質63aを容器60から取り出した後、カプセル膜63bを所定の溶媒で除去する。
なお、後述する変形例2のように、メタマテリアルレンズ内において、内部が液状のマイクロカプセルを用いる場合には、粒状物質63aを固化せずに容器60から取り出してもよい。
以上説明したように、本実施形態では、粉体を扱う要領で、基材11内に複数の主共振器1を精度よく略等間隔で配置し、且つ、その配向を制御することができる。それゆえ、本実施形態の主共振器1の配列制御のプロセスでは、従来のようにフォトリソプロセスを複数回繰り返して行う必要が無くなり、コストの増大を抑制することができる。
また、本実施形態では、主共振器1の配向を、レンズの厚さ方向または面内方向に限らず、あらゆる方向に自在にコントロールすることができる。
なお、メタマテリアルレンズ10では、制御すべき波長に応じて主共振器1のピッチを適宜制御する必要がある(例えば波長の約1/10等)。しかしながら、本実施形態では、マイクロカプセル20の外径選別及び/またはカプセル化時の攪拌制御によるマイクロカプセル20の外径制御、または、荷電コロイド粒子の表面電荷のコントロール等により主共振器1間のピッチを調整することができる。それゆえ、本実施形態のメタマテリアルレンズ10の製造手法では、様々な波長の光(電磁波)に対して、大幅にその製造工程を変更することなく対応することができる。
本実施形態では、上述のように、所望の光学特性を有するメタマテリアルレンズ10を容易に精度よく作製することができる。それゆえ、本実施形態によれば、種々の撮像装置において、例えばレンズ等の光学素子を、より低コストで且つ容易に製造することができる。
特に、本実施形態のメタマテリアルレンズ10の製造手法では、上述した従来非常に高価であった赤外線撮像装置(サーモグラフィ等)やテラヘルツ波撮像装置等で用いるレンズのコストを劇的に下げることができる。それゆえ、本実施形態によれば、それらの撮像装置の使用用途を、現状の限定的な研究及び産業から民生用の様々なアプリケーションに普及させることができる。すなわち、本実施形態のメタマテリアルレンズ10及びその製造手法を用いることにより、民生用途において、従来にない新たなアプリケーションを提案することが可能になる。
<2.各種変形例>
本発明のメタマテリアルレンズは、上記実施形態の構成に限定されず、例えば用途、必要とする光学特性等に応じて、様々な形態に変更することができる。以下では、上記実施形態の種々の変形例について説明する。
[変形例1]
上記実施形態では、ワイヤー型の主共振器1を備える共振素子12を説明したが、本発明はこれに限定されない。主共振器の形状は、例えば用途、必要とする光学特性等に応じて、適宜設定される。変形例1では、主共振器の種々の形状例について説明する。
(1)変形例1−1
図30に、変形例1−1の共振素子の概略構成を示す。なお、図30には、この例の共振素子72を内部に含むマイクロカプセルの概略構成を示す。この例のマイクロカプセル70は、誘電体材料からなるカプセル本体71と、その内部に封入された共振素子72とで構成される。
この例では、共振素子72を、略十字状の主共振器72aと、主共振器72aの一つの端部付近の設けられた副共振器72bとで構成する。なお、カプセル本体71、主共振器72a及び副共振器72bは、それぞれ上記実施形態(図5)のカプセル本体21、主共振器1及び副共振器2と同様の形成材料で形成することができる。
図31に、この例のマイクロカプセル70を上記実施形態で用いたレンズ成形装置30(図7)の型枠33に充填して作製したメタマテリアルレンズの成形部材73の上面図を示す。この例のマイクロカプセル70を用いてメタマテリアルレンズを作製する際には、主共振器72aの十字状の表面が光入射面と平行になるように、主共振器72aの配向方向を制御する。さらに、この際、主共振器72aに対する副共振器72bの相対位置が全てのマイクロカプセル70で同じ位置になるように磁界の印加方向を調整する。
主共振器72aの配向を上述のように制御したメタマテリアルレンズでは、入射光側からみて、延在方向が互いに直交する2つのワイヤー型の共振器を重ねて配置した構成と同等の構成になる。それゆえ、この例のメタマテリアルレンズでは、ランダムな偏光方向を有する入射光(電磁波)に対しても適用することができる。
(2)変形例1−2
図32に、変形例1−2の共振素子の概略構成を示す。なお、図32には、この例の共振素子を内部に含むマイクロカプセルの概略構成を示す。この例のマイクロカプセル75は、誘電体材料からなるカプセル本体76と、その内部に封入された共振器77とで構成される。なお、カプセル本体76及び共振器77は、それぞれ上記実施形態(図5)のカプセル本体21及び主共振器1と同様の形成材料で形成することができる。
この例では、共振器77に分割リング共振器(SRR)と呼ばれる共振器を用いる。この例では、共振素子を共振器77のみで構成し、副共振器は設けない。なお、本発明はこれに限定されず、上記実施形態と同様に、共振器77の配向を制御するための副共振器を共振器77の一部に設けてもよい。
上述のように、この例では、副共振器は設けないので、共振器77の配向を制御する際には電界を用いる。ただし、この際、メタマテリアル部材(光学素子)に入射される電磁波の電界成分の方向と、共振器のリング状表面の面内方向とが平行になるように、共振器77の配向を制御する。
(3)変形例1−3
図33に、変形例1−3の共振素子の概略構成を示す。なお、図33には、この例の共振素子を内部に含むマイクロカプセルの概略構成を示す。この例のマイクロカプセル80は、誘電体材料からなるカプセル本体81と、その内部に封入された共振器82とで構成される。なお、カプセル本体81及び共振器82は、それぞれ上記実施形態(図5)のカプセル本体21及び主共振器1と同様の形成材料で形成することができる。
この例では、共振器82に円盤状の共振器を用いる。また、この例では、変形例1−2と同様に、共振素子を共振器82のみで構成し、副共振器は設けない。なお、本発明はこれに限定されず、共振器82の配向を制御するための副共振器を共振器82の一部に設けてもよい。
上述のように、この例においても、副共振器は設けないので、共振器82の配向を制御する際には電界を用いる。ただし、この際、メタマテリアル部材(光学素子)に入射される電磁波の伝播方向が、共振器82の円形表面に対して垂直方向となるように、共振器82の配向を制御する。この場合、ランダムな偏光方向を有する入射光(電磁波)に対しても適用することができる。
(4)変形例1−4
図34に、変形例1−4の共振素子の概略構成を示す。なお、図34には、この例の共振素子を内部に含むマイクロカプセルの概略構成を示す。この例のマイクロカプセル85は、誘電体材料からなるカプセル本体86と、その内部に封入された共振器87とで構成される。なお、カプセル本体86及び共振器87は、それぞれ上記実施形態(図5)のカプセル本体21及び主共振器1と同様の形成材料で形成することができる。
この例では、共振器87に球状の共振器を用いる。なお、この例の共振器は球状であるのでその配向を制御する必要がない。それゆえ、この例では、副共振器を設ける必要がなく、メタマテリアル部材の製造方法がより簡易になる。また、この例の共振器87は球状であるので、変形例1−3と同様に、ランダムな偏光方向を有する入射光(電磁波)に対して適用することができとともに、電磁波の波数ベクトル方向(進行方向)における変化にも対応することができる。
[変形例2]
上記実施形態では、マイクロカプセル20内部を固化した状態のメタマテリアルレンズ10を説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、マイクロカプセル20の内部が液状状態であってもよい。その一例(変形例2)を、図35に示す。なお、図35は、変形例2のメタマテリアルレンズの概略構成図である。
図35に示す例では、マイクロカプセル91の周囲の誘電体材92は固化した状態であるが、マイクロカプセル91の内部は液状状態である。それゆえ、マイクロカプセル91内の主共振器93の配向方向はランダムになる。
このような構成のメタマテリアルレンズ90では、マイクロカプセル91内部の誘電体材料を例えばオイル等の液体で構成することができる。また、このようなマイクロカプセル91は、例えば、図28及び29で説明したマイクロカプセルの作製手法等により作製することができる。ただし、この例では、マイクロカプセル91の表面での反射をできる限り抑制するために、マイクロカプセル91の皮膜材料及び内部の液状の誘電体材料の屈折率と周囲の誘電体材92の屈折率とをできる限り近づけることが望ましい。
この例の構成のメタマテリアルレンズ90では、様々な用途やユーザの要望等に対応することができる。例えば、この例の構成では、出荷先のユーザが、ユーザ自身にとって都合のよい所望の方向に主共振器93を配向制御することができる。また、光学装置内に、この例のメタマテリアルレンズ90とともに主共振器93の配向制御用の磁界発生器や電界発生器を設けてもよい。この場合には、電磁波の入射方向が変化しても、その変化に応じて適宜磁界または電界の印加方向を変えることにより、主共振器93の配向方向を最適な方向に調整することができる。
[変形例3]
上記実施形態では、メタマテリアルレンズ10の屈折率が負の値を有する例について説明した。しかしながら、上記実施形態のメタマテリアルレンズ10に比較的広い波長領域の成分を含む光を入射すると、負の屈折率となる波長領域は非常に狭いので、それ以外の波長領域の光成分に対しては屈折率が正の値となる。この場合、入射光を集光することが困難になる。
このような場合には、共振素子の構成(例えば形状、寸法、形成材料等)を適宜変更して、入射光の広い波長領域に渡って屈折率が略一定であり且つ正の値となるようなメタマテリアルレンズを構成する。変形例3では、広い波長領域を有する入射光に対応可能なメタマテリアルレンズの構成について説明する。
(1)変形例3−1
図36(a)及び(b)に、変形例3−1のメタマテリアルレンズの概略構成を示す。なお、図36(a)は、メタマテリアルレンズ内の屈折率分布図であり、図36(b)は、メタマテリアルレンズの概略断面図である。
この例のメタマテリアルレンズ110は、基材111と、基材111の内部に略等間隔で3次元状に配列された複数の共振素子112とを備える。この例では、メタマテリアルレンズ110の厚さを、上記実施形態と同様に、一定とし、複数の共振素子112の配列構成も上記実施形態(図1(b))と同様とする。また、共振素子112も、上記実施形態と同様に、主共振器と副共振器とで構成する。
この例のメタマテリアルレンズ110では、メタマテリアルレンズ110の光軸AXからの位置(半径)に応じて、共振素子112の構成を適宜変更し、図36(a)に示すように、レンズ面内に所定の屈折率分布を生成する。すなわち、この例では、メタマテリアルレンズ110を、屈折率分布レンズ(GRIN(Gradient Index)レンズ)で構成する。
具体的には、この例では、光軸AXの領域で最も屈折率が高くなり、光軸AXからの位置が遠くなるほど屈折率が小さくなるような屈折率分布をレンズ面内に形成する。なお、この例では、入射光200の全波長領域に渡って屈折率が略一定で且つ正の値となるように、共振素子112(主共振器)の構成(例えば寸法、形成材料等)が設定される。
上記構成のメタマテリアルレンズ110では、光入射面110a及び光出射面110bにおおける光の屈折動作は従来のGRINレンズと同様である。それゆえ、この例のメタマテリアルレンズ110では、広い波長領域の成分を有する光200が入射されても、図36(b)に示すように、入射光200を所望の焦点距離で集光することができる。
上述のような構成のメタマテリアルレンズ110は、例えば、共振素子112の主共振器の例えばサイズ、形状、形成材料等を、レンズ面内方向における光軸AXからの距離に応じて変えることにより作製することができる。
ここで、一例として、共振素子112の主共振器のサイズを変えることにより、レンズ面内に図36(a)に示すような屈折率分布を形成する手法を簡単に説明する。なお、主共振器のサイズの変える場合には、主共振器のサイズが大きくなるほど屈折率は大きくなる。
まず、主共振器のサイズが互いに異なる共振素子112を含むマイクロカプセルを複数種作製する。次いで、レンズ成形装置の型枠の中心から主共振器のサイズの大きい順にマイクロカプセルを充填して成形する。この際に用いる型枠の一例を図37に示す。
図37は、この例のメタマテリアルレンズ110を成形する際に用いるレンズ成形装置の型枠120の概略断面図である。型枠120は、型枠本体121と、その内部設けられた複数の仕切り枠122a、122b…とで構成される。複数の仕切り枠122a、122b…は、型枠本体121に対して着脱可能に取り付けられる。また、複数の仕切り枠122a、122b…は、互いに径が異なり、型枠本体121の中心軸(図37中の一点鎖線)に対して同軸状に配置される。
図37に示す型枠120を用いてメタマテリアルレンズ110を成形する場合、まず、最内の仕切り枠122a内に最もサイズの大きな主共振器を含むマイクロカプセルを充填して固化する。次いで、最内の仕切り枠122aを取り外す。次に、最内に位置する仕切り枠122bの内に2番目にサイズの大きな主共振器を含むマイクロカプセルを充填して固化する。次いで、仕切り枠122bを取り外す。その後、上記工程を、主共振器のサイズの大きい順に繰り返す。
上述のようにして、メタマテリアルレンズ110を成形することにより、光軸AXの領域で最も屈折率が高くなり、光軸AXから離れるに従って屈折率が小さくなるような屈折率分布を有するメタマテリアルレンズ110を作製することができる。なお、図36(b)に示す例では、メタマテリアルレンズ110内の屈折率を3段階(大、中、小)で分布させているが、本発明はこれに限定されず、屈折率の段数をより多くして、屈折率分布をできる限り連続的に変化させることが好ましい。
なお、共振素子112の主共振器の形成材料を変える場合も、上記作製例と同様にして、図36(a)に示すような屈折率分布を有するメタマテリアルレンズ110を作製することができる。具体的には、図37に示す型枠120を用いて、その中心から屈折率を大きくする主共振器の形成材料の順に、上述したマイクロカプセルの充填及び固化の工程を繰り返せばよい。
(2)変形例3−2
図38に、変形例3−2のメタマテリアルレンズの概略構成を示す。なお、図38は、この例のメタマテリアルレンズの概略断面図である。
この例のメタマテリアルレンズ130は、基材131と、基材131の内部に略等間隔で3次元状に配列された複数の共振素子132とを備える。この例では、共振素子132の構成(例えば寸法、形成材料等)を全て同じとし、レンズ面内の屈折率分布は一定とする。また、この例では、入射光200の全波長領域に渡って屈折率が略一定で且つ正の値となるように、共振素子132(主共振器)の構成(例えば寸法、形成材料等)が設定される。
そして、この例では、図38に示すように、メタマテリアルレンズ130の光入射面130a及び光出射面130bの形状を、凸状の曲面とする。すなわち、この例では、メタマテリアルレンズ130の光入射面130a及び光出射面130bの形状を凸レンズ形状とする。なお、本発明は、これに限定されず、光入射面130a及び光出射面130bの少なくとも一方が平坦面であってもよいし、光入射面130a及び光出射面130bの両方を凹状の曲面で構成してもよい。さらに、光入射面130a及び光出射面130bの少なくとも一方を平坦面で構成し、他方を凹状の曲面で構成してもよい。
上記構成のメタマテリアルレンズ130の光入射面130a及び光出射面130bにおける光の屈折動作は従来の例えばガラスレンズ等の動作と同様になる。それゆえ、この例のメタマテリアルレンズ130においても、広い波長領域の成分を有する光200が入射されても、図38に示すように、入射光200を所望の焦点距離で集光することができる。
また、メタマテリアルレンズ130では、共振素子132の構成を適宜調整することにより、屈折率を高くすることができる。それゆえ、この例のメタマテリアルレンズ130では、光入射面130a及び光出射面130bの曲率をより緩やかにする(曲率半径を大きくする)ことができ、且つ、レンズ厚さをより薄くすることができる。
なお、この例のメタマテリアルレンズ130は、レンズ形状に対応する型枠を用意することにより成形することができる。また、上記実施形態と同様に、厚さ一定のメタマテリアルレンズを成形し、その成形部材から、所定形状のメタマテリアルレンズを削りだしてもよい。
[応用例]
上記本実施形態及び各種変形例では、メタマテリアル部材としてレンズを例に挙げ説明したが、本発明はこれに限定されず、電磁波が入射される様々な素子(光学部材)に本発明は適用可能である。例えばアンテナ等を、メタマテリアルを用いて作製する場合にも、上述した本発明のメタマテリアル部材の製造方法を適用することができ、同様の効果が得られる。なお、上記本実施形態及び各種変形例で説明したメタマテリアル部材をアンテナとして用いた場合には、電磁波の放射時及び受信時の指向性を調整することができる。
また、上述した本発明のメタマテリアルレンズは、あらゆる波長の撮像装置に適用可能である。例えば、本発明のメタマテリアルレンズは、ミリ波撮像カメラ(波長約10mm以下)、テラヘルツ波撮像カメラ、サーモグラフィカメラ、ガス検知カメラ、可視光カメラ及びX線カメラ等の撮像装置に適用可能である。それゆえ、本発明のメタマテリアルレンズを用いた撮像装置は、例えば、ユーザインターフェース入力装置、夜間走行視野補助装置(ナイトビジョン)、セキュリティ装置、健康管理装置、温度差暗号伝送装置等の様々な装置に応用することができる。
1…主共振器、2…副共振器、10…メタマテリアルレンズ、11…基材、12…共振素子、15…液状媒質、16…誘電体材、20…マイクロカプセル、21…カプセル本体

Claims (14)

  1. 所定形状の共振器を有する複数の共振素子を作製するステップと、
    内部に一つの前記共振器を含む球状の複数のマイクロカプセルを作製するステップと、
    前記複数のマイクロカプセルを所定の液状誘電体材料とともに所定形状の型枠に充填するステップと、
    前記液状誘電体材料を硬化させてメタマテリアル部材を成形するステップと
    を含むメタマテリアル部材の製造方法。
  2. 前記液状誘電体材料を硬化させてメタマテリアル部材を成形するステップが、
    前記型枠を振動させながら前記共振器の配向を調整するステップを含む
    請求項1に記載のメタマテリアル部材の製造方法。
  3. 前記共振素子を作製するステップが、
    前記共振器に、その配向を制御するための磁性材料からなる配向制御素子を設けるステップを含み、
    前記共振器に対して所定方向に磁界を印加することにより、前記共振器の配向を調整する
    請求項2に記載のメタマテリアル部材の製造方法。
  4. 前記共振器に対して所定方向に電界を印加することにより、前記共振器の配向を調整する
    請求項2に記載のメタマテリアル部材の製造方法。
  5. 前記共振素子を作製するステップが、
    前記共振器に、その配向を制御するための強誘電体材料からなる配向制御素子を設けるステップを含む
    請求項4に記載のメタマテリアル部材の製造方法。
  6. 前記マイクロカプセルを作製するステップが、
    前記マイクロカプセルの形成材料を液状化した液状物質に、前記複数の共振素子を拡散混合するステップと、
    前記複数の共振素子を含む前記液状物質を所定の分散液中に投入して、前記共振素子を核とする粒状物質を生成するステップと、
    前記粒状物質を硬化するステップとを含む
    請求項1に記載のメタマテリアル部材の製造方法。
  7. 誘電体材料からなる基材と、
    前記基材中に分散して配置された複数の共振器と、
    前記共振器の配向を制御するために、前記複数の共振器にそれぞれ設けられた複数の配向制御素子と
    を備えるメタマテリアル部材。
  8. 前記複数の共振器が等間隔で前記基材中に配置されている
    請求項7に記載のメタマテリアル部材。
  9. 前記配向制御素子が、磁性材料で形成されている
    請求項7に記載のメタマテリアル部材。
  10. 前記配向制御素子が、強誘電体材料で形成されている
    請求項7に記載のメタマテリアル部材。
  11. 前記複数の共振器のそれぞれが、誘電体材料からなるマイクロカプセルに封入された状態で、前記基材中に配置され、前記マイクロカプセル内部が液状状態である
    請求項7に記載のメタマテリアル部材。
  12. 入射される電磁波の波長領域において、屈折率が負の値になるように前記共振器が構成されている
    請求項7に記載のメタマテリアル部材。
  13. 前記基材の一つの表面内において、その中心位置の屈折率が最も高く、該中心位置から遠ざかるほど、屈折率が小さくなる
    請求項7に記載のメタマテリアル部材。
  14. 前記基材の対向する一対の表面のうち、少なくとも一方が曲面である
    請求項7に記載のメタマテリアル部材。
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