JP2011158273A - 色収差測定方法、色収差測定装置及び色収差測定プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、効率よく色収差を測定しうる。
【解決手段】本発明は、対物レンズ12の焦点を光軸方向に移動させながら、蛍光サンプルSPEと撮像素子30との相対位置を、当該焦点の移動方向と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させ、その間、撮像素子30を露光させて蛍光サンプル像を取得することにより、蛍光サンプル像には各波長の光の像が色収差の違いに応じた傾きで写るので、顕微鏡装置1は、この傾きに基づいて色収差を測定することができるので、従来と比して蛍光サンプル像の枚数を低減でき、撮像時間を短縮できるので、効率よく色収差を測定しうる。
【選択図】図10
【解決手段】本発明は、対物レンズ12の焦点を光軸方向に移動させながら、蛍光サンプルSPEと撮像素子30との相対位置を、当該焦点の移動方向と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させ、その間、撮像素子30を露光させて蛍光サンプル像を取得することにより、蛍光サンプル像には各波長の光の像が色収差の違いに応じた傾きで写るので、顕微鏡装置1は、この傾きに基づいて色収差を測定することができるので、従来と比して蛍光サンプル像の枚数を低減でき、撮像時間を短縮できるので、効率よく色収差を測定しうる。
【選択図】図10
Description
本発明は色収差測定方法、色収差測定装置及び色収差測定プログラムに関し、例えば光学系を介してサンプルを観察する分野に適用して好適なものである。
近年、特定の蛋白質又は遺伝子間の距離により薬剤や阻害剤などの効果が大きく異なってしまう場合があることが発見されており、該蛋白質又は遺伝子間の距離を正確に測定することが求められている。
そこで、ターゲットとなる蛋白質又は遺伝子が蛍光マーカにより標識された生体サンプルがレンズにより拡大された画像を取得し、該画像をもとに該蛍光マーカ間の距離を測定することにより、該蛋白質又は遺伝子間の距離を測定する方法が考えられる。この方法において、異なる蛋白質又は遺伝子に対して異なる波長の光(色)を発する蛍光マーカを用いる際には、レンズ(光学系)の色収差を加味する必要がある。
このような実情等に鑑み、光学系の色収差を測定する装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この装置は、複数の色の点光源をサンプルとし、測定対象となる光学系の光軸方向に所定間隔ごとに焦点を移動させ、これら焦点でのサンプル像のそれぞれを画像データとして取得する。そしてこの装置は、取得した画像全体の中から各色の最大輝度の画素がある画像に対応した位置に基づいて光学系の色収差を測定するようになっている。
ところで上述した装置では、光学系の色収差を測定する際に、所定間隔ごとに焦点を移動させて膨大な枚数のサンプル像を撮像しなければならないため、撮像時間が長くなってしまう。このため、光学系の色収差を測定する際の撮像時間を短縮することが望まれている。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、効率よく色収差を測定しうる色収差測定方法、色収差測定装置及び色収差測定プログラムを提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の色収差測定方法においては、対物レンズを含む光学系の光軸と直交する面に配された複数の波長の光を発するサンプルが含まれる範囲を当該光軸方向に当該対物レンズの焦点を移動させながら、当該サンプルの像であるサンプル像が当該光学系を介して結像される撮像素子と当該サンプルとの相対位置を、当該光軸と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させる移動制御ステップと、当該移動制御ステップで移動させる間、当該撮像素子を露光させることにより当該サンプル像を取得するサンプル像取得ステップと、当該サンプル像に基づいて当該光学系における当該複数の波長の光の色収差を測定する色収差測定ステップとを設けるようにした。
また本発明の色収差測定装置においては、対物レンズを含む光学系と、当該光学系の光軸と直交する面に配された複数の波長の光を発するサンプルの像であるサンプル像が当該光学系を介して結像される撮像素子と、当該サンプルが含まれる範囲を当該光軸方向に当該対物レンズの焦点を移動させながら、当該撮像素子と当該サンプルとの相対位置を、当該光軸と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させる移動制御部と、当該移動制御部が移動させる間、当該撮像素子を露光させることにより当該サンプル像を取得するサンプル像取得部と、当該サンプル像に基づいて当該光学系における当該複数の波長の光の色収差を測定する色収差測定部とを設けるようにした。
さらに本発明の色収差測定プログラムにおいては、コンピュータに対して、対物レンズを含む光学系の光軸と直交する面に配された複数の波長の光を発するサンプルが含まれる範囲を当該光軸方向に当該対物レンズの焦点を移動させながら、当該サンプルの像であるサンプル像が当該光学系を介して結像される撮像素子と当該サンプルとの相対位置を、当該光軸と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させる移動制御ステップと、当該移動制御ステップで移動させる間、当該撮像素子を露光させることにより当該サンプル像を取得するサンプル像取得ステップと、当該サンプル像に基づいて当該光学系における当該複数の波長の光の色収差を測定する色収差測定ステップとを実行させるようにした。
このように本発明においては、サンプル像を撮像する際、焦点を移動させながら、サンプルと撮像素子との相対位置を、焦点の移動方向と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させるようにしたことにより、サンプル像には各波長の光の像が色収差に応じた傾きで写るので、この傾きに基づいて色収差を測定することができる。ゆえにこのサンプル像をもとに色収差を測定することができるので、従来と比してサンプル像の枚数を低減することができ、色収差を測定する際の撮像時間を短縮することができる。
以上のように本発明によれば、サンプル像を撮像する際、焦点を移動させながら、サンプルと撮像素子との相対位置を、焦点の移動方向と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させるようにしたことにより、サンプル像には各波長の光の像が色収差に応じた傾きで写るので、この傾きに基づいて色収差を測定することができる。ゆえにこのサンプル像をもとに色収差を測定することができるので、従来と比してサンプル像の枚数を低減することができ、色収差を測定する際の撮像時間を短縮することができる。かくして効率よく色収差を測定し得る色収差測定方法、色収差測定装置及び色収差測定プログラムを実現できる。
以下、発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序とする。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.他の実施の形態
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.他の実施の形態
<1.実施の形態>
[1−1.顕微鏡装置の構成]
図1において、本一実施の形態による顕微鏡装置1を示す。この顕微鏡装置1は、例えば、組織切片、細胞又は染色体等の生体高分子でなる生体サンプルSPL等を配置可能な面をもち、その面に対して平行方向及び直交方向(XYZ軸方向)に移動可能なステージ(以下、これを可動ステージとも呼ぶ)11を有する。
[1−1.顕微鏡装置の構成]
図1において、本一実施の形態による顕微鏡装置1を示す。この顕微鏡装置1は、例えば、組織切片、細胞又は染色体等の生体高分子でなる生体サンプルSPL等を配置可能な面をもち、その面に対して平行方向及び直交方向(XYZ軸方向)に移動可能なステージ(以下、これを可動ステージとも呼ぶ)11を有する。
生体サンプルSPLは、図2に示すように、厚さ(深部)方向に約4〜8[μm]の厚さを有し、スライドガラスSG及びカバーガラスCGに挟まれるようにして所定の固定手法により固定され、必要に応じて染色が施される。この染色には、HE(ヘマトキシリン・エオジン)染色、ギムザ染色又はパパニコロウ染色等に代表される一般染色のみならず、FISH(Fluorescence In-Situ Hybridization)や酵素抗体法等の蛍光染色が含まれる。
可動ステージ11の一方の面側には光学系12が配され、該可動ステージ11の他方の面側には照明灯13が配される。照明灯13の光は、サンプルステージ11に対して穿設される開口から、該可動ステージ11の一方の面に配される生体サンプルSPLに対する照明光として到達する。
顕微鏡装置1は、この照明光で得られる生体サンプルSPLにおける一部の像を、光学系12の対物レンズ12A及び結像レンズ12Bによって所定の倍率に拡大する。そして顕微鏡装置1は、これら対物レンズ12A及び結像レンズ12Bにより拡大される像を、撮像素子30の撮像面に結像するようになされている。顕微鏡装置1は、ダイクロイックミラー16、エミッションフィルタ17を光路からはずせば一般の明視野画像の顕微鏡としても使用が可能である。
一方、この顕微鏡装置1の所定位置には、光源14及び励起フィルタ15が設けられる。顕微鏡装置1は、光源14から光が照射された場合、該光のうちの蛍光染色に対する励起波長のみを励起フィルタ15で透過させた励起光を、対物レンズ12A及び結像レンズ12B間に設けられるダイクロイックミラー16で反射させて対物レンズ12Aに導く。そして顕微鏡10は、この励起光を、対物レンズ12Aによって可動ステージ11に配される生体サンプルSPLに集光する。
スライドガラスSGに固定される生体サンプルSPLに対して蛍光染色が施されていた場合、励起光により蛍光色素が発光する。この発光によって得られる光(以下、これを発色光とも呼ぶ)は対物レンズ12Aを介してダイクロイックミラー16を透過する。そしてこの発色光は、ダイクロイックミラー16及び結像レンズ12B間に設けられるエミッションフィルタ17を介して、該結像レンズ12Bに到達する。
顕微鏡装置1は、発色光の像を対物レンズ12Aによって拡大し、該発色光以外の光(励起フィルタ15を透過した光、および顕微鏡の外部より入射する光などの光、以下、これを外光とも呼ぶ)をエミッションフィルタ17によって吸収する。そして顕微鏡装置1は、外光が喪失された発色光の像を、結像レンズ12Bによって拡大し、撮像素子30の撮像面に結像するようになされている。
一方データ処理部20は、カラーフィルタが配された撮像素子30を用いて、生体サンプルSPL全体の像(以下、これを生体サンプル像とも呼ぶ)を生成し、これを所定形式のデータ(以下、これをサンプルデータとも呼ぶ)として保存するようになされている。
このようにこの顕微鏡装置1は、スライドガラスSGに配される生体サンプルSPLを、鏡検状態の画像として保存することができるようになされている。したがってこの顕微鏡装置1は、スライドガラスSG自体を保存する場合に比して、固定や染色等の状態を劣化させることなく長期にわたって生体サンプルSPLを保存することが可能となる。
[1−2.データ処理部の構成]
次に、データ処理部20の構成について説明する。このデータ処理部20は、図3に示すように、制御を司るCPU(Central Processing Unit)21に対して各種ハードウェアを接続することにより構成される。
次に、データ処理部20の構成について説明する。このデータ処理部20は、図3に示すように、制御を司るCPU(Central Processing Unit)21に対して各種ハードウェアを接続することにより構成される。
具体的にはROM(Read Only Memory)22、CPU21のワークメモリとなるRAM(Random Access Memory)23、ユーザの操作に応じた命令を入力する操作入力部24、インターフェイス25、表示部26及び記憶部27がバス28を介して接続される。
ROM22には、各種の処理を実行するためのプログラムが格納される。インターフェイス25には、可動ステージ11、光源14及び撮像素子30(図1)がそれぞれ接続される。
表示部26には、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ又はプラズマディスプレイ等が適用される。また記憶部27には、HD(Hard Disc)に代表される磁気ディスクもしくは半導体メモリ又は光ディスク等が適用される。
CPU21は、ROM22に格納される複数のプログラムのうち、操作入力部24から与えられる命令に対応するプログラムをRAM23に展開し、該展開したプログラムにしたがって、表示部26及び記憶部27を適宜制御する。
またCPU21は、展開したプログラムにしたがって、インターフェイス25を介して可動ステージ11、光源14及び撮像素子30を適宜制御するようになされている。
[1−3.色収差測定処理]
ところで顕微鏡装置1では、可動ステージ11に配されたサンプルの像が光学系12を介して撮像素子30に結像される際に、波長によって焦点位置が違うことにより発生する結像位置のずれ、すなわち色収差が発生してしまう場合がある。そこで、この顕微鏡装置1では、光学系12における色収差を測定する色収差測定処理を実行するようになっている。
ところで顕微鏡装置1では、可動ステージ11に配されたサンプルの像が光学系12を介して撮像素子30に結像される際に、波長によって焦点位置が違うことにより発生する結像位置のずれ、すなわち色収差が発生してしまう場合がある。そこで、この顕微鏡装置1では、光学系12における色収差を測定する色収差測定処理を実行するようになっている。
この色収差測定処理では、色収差を測定すべき波長の光(色)を発する複数の蛍光ビーズが同一平面上に配置されたサンプル(これを蛍光サンプルとも呼ぶ)を用いる。この蛍光サンプルが可動ステージ11に配置されることにより、これら複数の色の蛍光ビーズはZ軸方向(光軸方向)の位置が同一となるように配置される。
この蛍光サンプルSPEは、図4に示すように、例えば、発色光が赤色(波長約625[μm])である赤色蛍光ビーズEBr、発色光が緑色(波長約530[μm])である緑色蛍光ビーズEBg、発色光が青色(波長約460[μm])である青色蛍光ビーズEBbが配置されたものであるとする。蛍光サンプルSPEは、スライドガラスSG及びカバーガラスCGに挟まれるようにして所定の固定手法により固定される。因みに、赤色蛍光ビーズEBrと緑色蛍光ビーズEBgと青色蛍光ビーズEBbとを特に区別せずに説明する場合、単に蛍光ビーズEBとも呼ぶ。
CPU21は、色収差測定処理の実行命令を操作入力部24から受けると、該命令に対応するプログラムに従って、図5に示すように、光源制御部41、ステージ移動制御部42、蛍光サンプル像取得部43、色収差測定部44、データ記録部45として機能する。
光源制御部41は、光源14を駆動させて、光源14から光を照射させる。
ステージ移動制御部42は、可動ステージ11を対物レンズ12Aから遠ざかるようにZ軸方向に等速で移動させる。
またステージ移動制御部42は、可動ステージ11がZ軸方向に移動される間にXY平面において等速で円弧を描くように、可動ステージ11をX軸方向及びY軸方向に移動させる。例えば、ステージ移動制御部42は、可動ステージ11の位置を、Z軸方向に次式
Z=Z0+(DZ/ZT)T……(1)
となるように移動させながら、XY平面上を次式
X=X0+L0sin(ωT),Y=Y0+L0cos(ωT)……(2)
となるように移動させる。式(1)において、ZはZ軸方向における可動ステージ11の位置を示し、Z0はZ軸方向の可動ステージ11の初期位置を示し、DZは可動ステージ11の総移動距離を示し、ZTは可動ステージ11の総移動時間を示し、Tは時刻を示す。すなわち、(DZ/ZT)は、Z軸方向における単位時間あたりの移動速度を示す。
また、式(2)において、XはX軸方向における可動ステージ11の位置、YはY軸方向における可動ステージ11の位置を示し、L0は円運動における半径を示し、ωは角速度を示し、X0は円運動の中心のX座標、Y0は円運動の中心のY座標を示す。
尚、初期位置Z0、総移動距離DZ、総移動時間ZT、中心座標(X0,Y0)、半径L0、角速度ωは、適宜設定される。例えば、半径L0は、蛍光ビーズEBのビーズ径よりも十分に大きく設定される。
このとき対物レンズ12Aの焦点面FPは、図6に示すように、蛍光サンプルSPEのスライドガラスSG側からカバーガラスCG側へZ軸方向に等速で移動されると同時に、XY平面で円弧を描くように移動される。
蛍光サンプル像取得部43は、このように可動ステージ11が移動されている間、撮像素子30を露光させて、蛍光ビーズEBが配された蛍光サンプルSPEを撮像素子30に撮像させ、蛍光サンプルSPEの像(以下、蛍光サンプル像とも呼ぶ)を取得する。
具体的に、ステージ移動制御部42により可動ステージ11が移動されている間、各蛍光ビーズEBに対して対物レンズ12Aの焦点が合っていない状態から徐々に合い、その後また焦点が合わなくなる。
従って図7に示すように、蛍光サンプル像において、各蛍光ビーズEBから発光される発色光の像(以下、これを蛍光ビーズ像とも呼ぶ)EPは、ぼやけた大きな状態から、はっきりとした小さな状態に変化していき、その後またぼやけた大きな状態に変化する。これと共に蛍光ビーズ像EPは、可動ステージ11のXY平面における円運動に応じた円弧を描く。
蛍光サンプル像の一例を、図8(参考図1)に示す。この図8に示すように、各色の蛍光ビーズ像EP(赤色蛍光ビーズ像EPr、緑色蛍光ビーズ像EPg、青色蛍光ビーズ像EPb)は、略円弧状の輝点群として写る。
そしてこの蛍光サンプル像において所定閾値以上の輝度値である複数の画素のまとまりを抽出すると、図9(A)乃至(C)に示すように、各色の蛍光ビーズ像EPがさらに円弧に近い像として抽出される。なお、図9に示した画像は、図8に示した画像に対して、輝度値が高い画素ほど黒くなるよう所定の画像処理が施されたものである。
蛍光ビーズEBに対して対物レンズ12Aの焦点が合っているとき、蛍光サンプル像には蛍光ビーズ像EPの輝度値が最も高く写る。従って、蛍光ビーズ像EPにおいて所定閾値以上の輝度値である画素のまとまりが形成する円弧の傾きは、蛍光ビーズEBに対してほぼ焦点が合っていたときの、可動ステージ11のXY平面の円運動における移動方向を示している。
また可動ステージ11は、XY平面において等速で円運動すると共にZ軸方向に等速で移動しているため、当該円運動における移動方向の変化は、可動ステージ11のZ軸方向の移動距離、すなわち焦点面FPの移動距離を示している。
ゆえに、各色における円弧の傾きの違いは、各色の蛍光ビーズEBに対して焦点が合ったときにおける可動ステージ11の位置の違い、すなわち各色の焦点位置の違いを示し、各色の色収差量を示している。
そこで色収差測定部44は、各色の蛍光ビーズ像EPごとに、所定閾値以上の輝度値である複数の画素のまとまりを輝点群として抽出する。
色収差測定部44は、抽出した輝点群の形状を円弧とみなし、円弧の中点Oaと円弧の両端を結ぶ直線の中点Obとを結ぶ直線(すなわち円弧の中心と円弧の中点Oaとを通る直線)L1を算出する。色収差測定部44は、算出した直線L1とX軸とのなす角(これを円弧傾き角とも呼ぶ)を各色の蛍光ビーズ像EPごとに算出する。
そして色収差測定部44は、赤色蛍光ビーズ像EPr及び緑色蛍光ビーズEPgの円弧傾き角の角度差を算出する。
可動ステージ11がXY平面上において角速度ωで移動すると共に、Z軸方向に移動速度(DZ/ZT)で移動している場合、単位角度あたりの焦点面FPの移動距離は(DZ/ZT)/ωとなる。
そこで色収差測定部44は、算出した角度差と(DZ/ZT)/ωとを乗算することにより、赤色蛍光ビーズEBr及び緑色蛍光ビーズEBgに対する焦点位置の違い、すなわち、赤色の光を基準とした緑色の光の色収差量を算出する。
同様に色収差測定部44は、赤色蛍光ビーズ像EPr及び青色蛍光ビーズ像EPbの円弧傾き角の角度差を算出する。
そして色収差測定部44は、算出した角度差と(DZ/ZT)/ωとを乗算することにより、赤色蛍光ビーズEBr及び青色蛍光ビーズEBbに対する焦点位置の違い、赤色の光を基準とした青色の光の色収差量を算出する。
ここで具体例として、可動ステージ11を、対物レンズ12から遠ざかるようにZ軸方向に0.23[μm/s]で移動させながら、XY軸平面に半径8[μm]、36秒で1周する速度(毎秒10[deg]の角速度)で円運動させた場合について説明する。この場合、単位角度あたりの焦点面FPの移動距離は、0.023[μm/deg]である。また、各蛍光ビーズEBのビーズ径は0.3[μm]であり、撮像素子30の露光時間は30[s]であるとする。
この具体例において、色収差測定部44は、例えば、赤色蛍光ビーズEBrの円弧傾き角が3.90[deg]、緑色蛍光ビーズEBgの円弧傾き角が0.858[deg]、青色蛍光ビーズEBrの円弧傾き角が30.38[deg]であると算出する。
すると色収差測定部44は、赤色蛍光ビーズEBr及び緑色蛍光ビーズEBgの円弧傾き角の角度差が−3.042[deg]であると算出する。
色収差測定部44は、算出した角度差−3.042[deg]に単位角度あたりの焦点面FPの移動距離0.023[μm/deg]を乗算することにより、赤色の光を基準とした緑色の光の色収差量を−0.07[μm]であると算出する。
これは、赤色の光の焦点位置を基準とすると緑色の光の焦点位置は、対物レンズ12から0.07[μm]遠いことを示す。すなわち赤色蛍光ビーズEBr及び緑色蛍光ビーズEBgがZ軸方向に同一の位置にあるにもかかわらず、赤色蛍光ビーズEBr及び緑色蛍光ビーズEBgは0.07[μm]異なった位置に見えるという色収差が発生していることを示す。
また色収差測定部44は、赤色蛍光ビーズEBr及び青色蛍光ビーズEBgの円弧傾き角の角度差が+26.48[deg]であると算出する。
色収差測定部44は、算出した角度差+26.48[deg]に単位角度あたりの焦点面FPの移動距離0.023[μm/deg]を乗算することにより、赤色の光を基準とした青色の光の色収差量を0.609[μm]であると算出する。
これは、赤色の光の焦点位置を基準とすると青色の光の焦点位置は、対物レンズ12から0.609[μm]近いことを示す。すなわち赤色蛍光ビーズEBr及び青色蛍光ビーズEBbがZ軸方向に同一の位置にあるにもかかわらず、赤色蛍光ビーズEBr及び緑色蛍光ビーズEBgは0.609[μm]異なった位置に見えるという色収差が発生していることを示す。
このようにして色収差測定部44は、蛍光サンプル像取得部43により取得された蛍光サンプル像に基づいて、光学系12における色収差を測定する。
そしてデータ記録部45は、色収差測定部44による測定結果を、色収差測定データとして記憶部27に記録する。
[1−4.色収差測定処理手順]
次に上述した色収差測定処理の手順について図10に示すフローチャートを用いて説明する。
次に上述した色収差測定処理の手順について図10に示すフローチャートを用いて説明する。
CPU21は、ルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1に移る。ステップSP1においてCPU21は、例えば、操作入力部24の入力をもとに、可動ステージ11の移動条件(角速度ω、移動速度(DZ/ZT)など)を設定する。
そしてCPU21は、設定した移動条件をもとに、単位角度あたりの焦点面FPの移動距離を算出して記憶部27に記録し、次のステップSP2に移る。
ステップSP2においてCPU21は、光源14から光を照射させ、設定した移動条件に従って、可動ステージ11をZ軸方向に等速で移動させると共にXY平面において等速で円弧を描くように移動させる。CPU21は、可動ステージ11が移動している間、撮像素子30を露光させて蛍光サンプル像を取得し、次のステップSP3に移る。
ステップSP3においてCPU21は、蛍光サンプル像において、蛍光ビーズ像EPごとに所定閾値以上の輝度値である画素群を抽出して、次のステップSP4に移る。
ステップSP4においてCPU21は、抽出した輝点群の形状を円弧とみなし、各色の蛍光ビーズ像EPごとに円弧傾き角を算出して、次のステップSP5に移る。
ステップSP5においてCPU21は、赤色蛍光ビーズ像EPr及び緑色蛍光ビーズ像EPgの円弧傾き角の角度差と、赤色蛍光ビーズ像EPr及び緑色蛍光ビーズ像EPgの円弧傾き角の角度差とを算出して、次のステップSP6に移る。
ステップSP6においてCPU21は、単位角度あたりの焦点面FPの移動距離を記憶部27から読み出し、これとステップSP5において算出した角度差とを乗算することにより、赤色の光を基準とした緑色及び青色の光の色収差量を算出する。そしてCPU21は、ステップSP7に移る。
ステップSP7においてCPU21は、算出した色収差量を色収差測定データとして記憶部27に記録させ、次のステップに移って、この色収差測定処理を終了する。
[1−5.蛍光マーカ間距離測定処理]
また顕微鏡装置1では、蛍光染色された生体サンプルSPLの像を取得して当該生体サンプルSPLにおける蛍光マーカ間の距離を測定する蛍光マーカ間距離測定処理を実行するようになっている。この蛍光マーカ間距離測定処理では、上述した色収差測定処理において測定した色収差を用いて、蛍光マーカ間の距離を補正するようになされている。
また顕微鏡装置1では、蛍光染色された生体サンプルSPLの像を取得して当該生体サンプルSPLにおける蛍光マーカ間の距離を測定する蛍光マーカ間距離測定処理を実行するようになっている。この蛍光マーカ間距離測定処理では、上述した色収差測定処理において測定した色収差を用いて、蛍光マーカ間の距離を補正するようになされている。
ここでは生体サンプルSPLにおいて、例えば、発色光が赤色である赤色蛍光マーカEMr(図13)と、発色光が青色である青色蛍光マーカEMb(図13)とが、それぞれ特定の蛋白質又は遺伝子に結合した状態であるとする。また、蛍光マーカ間距離測定処理を実行する前に、当該生体サンプルSPLが可動ステージ11に配置される。因みに、赤色蛍光マーカEMrと青色蛍光マーカEMbを特に区別せずに説明する場合、単に蛍光マーカEMとも呼ぶ。
CPU21は、蛍光マーカ間距離測定処理の実行命令を操作入力部24から受けると、該命令に対応するプログラムに従って、図11に示すように、光源制御部51、ステージ移動制御部52、生体サンプル像取得部53、データ記録部54、距離測定部55、色収差補正部56として機能する。
光源制御部51は、光源14を駆動させて、光源14から光を照射させる。
ステージ移動制御部52は、生体サンプルSPLの対象とすべき部位(以下、これをサンプル部位とも呼ぶ)が撮像範囲ARに位置するように、可動ステージ11を順次移動させる。ステージ移動制御部52は、例えば図12に示すように、該撮像範囲ARに対して生体サンプルSPLを割り当てる。この図12では、撮像範囲ARに割り当てるべき生体サンプルSPLの領域が重ならない態様となっているが、隣接する領域の一部が重なる態様であってもよい。
そしてステージ移動制御部52は、対象とすべきサンプル部位が撮像範囲ARに移動されるごとに、可動ステージ11をZ軸方向に等速で移動させると共にXY平面において等速で円弧を描くように移動させる。
このとき対物レンズ12Aの焦点面FPは、図13に示すように、生体サンプルSPLのカバーガラスCG側からスライドガラスSG側へZ軸方向に等速で移動されると同時に、XY平面で円弧を描くように移動される。
また生体サンプル像取得部53は、ステージ移動制御部52により可動ステージ11が移動されている間、撮像素子30を露光させ、対象とすべきサンプル部位を撮像素子30に撮像させ、この結果得られる各サンプル部位の像を取得する。生体サンプル像取得部53は、各撮像範囲ARに割り当てられる各サンプル部位の像を順次取得して連結することによって生体サンプル像を生成する。
データ記録部54は、生体サンプル像が生成されると、該生体サンプル像の全部又は生体サンプル像の復元可能な一部を示す画素情報を含むサンプルデータを生成する。
そしてデータ記録部54は、このサンプルデータに対して、生体サンプル像に関する識別情報を示すデータを付加し、該データが付加されたサンプルデータを記憶部27に記録する。
この識別情報は、例えば、生体サンプルSPLの採取者名、採取者性別、採取者年齢及び採取日付等といった情報である。データ記録部54は、この識別情報を入力すべきことを、生体サンプルSPLのデータ保存命令が与えられたタイミングや、スライドガラスSGをセットすべきタイミング等といった所定のタイミングで通知するようになされている。
因みにデータ記録部54は、サンプルデータが生成されたときに識別情報が得られていない場合には、該識別情報を入力すべきことを警告するようになされている。ちなみに、識別情報を入力すべきことの通知又は警告は、例えば音声や、GUI(Graphical User Interface)画面等により実行される。
また距離測定部55は、生体サンプル像取得部53により生成された生体サンプル像をもとに、生体サンプルSPLにおける蛍光マーカEM間の距離を測定する。
具体的に、生体サンプル像には、各蛍光マーカEMから発光される発色光の像(以下、これを蛍光マーカ像とも呼ぶ)が、図7に示した蛍光ビーズ像EPと同様に、可動ステージ11のXY平面における円運動に応じた略円弧状の輝点群として写る。
蛍光マーカEMに対して対物レンズ12Aの焦点が合っているとき、生体サンプル像には蛍光マーカ像の輝度値が最も高く写る。従って、蛍光マーカ像において所定閾値以上の輝度値である画素のまとまりが形成する円弧の傾きは、蛍光マーカEMに対してほぼ焦点が合っていたときの、可動ステージ11のXY平面の円運動における移動方向を示している。
また可動ステージ11は、XY平面において等速で円運動すると共にZ軸方向に等速で移動しているため、当該円運動における移動方向の変化は、可動ステージ11のZ軸方向の移動距離、すなわち焦点面FPの移動距離を示している。
ゆえに、蛍光マーカEM間での当該円弧の傾きの違いは、各蛍光マーカEMに対して焦点が合ったときにおける可動ステージ11の位置の違い、すなわち、蛍光マーカEM間のZ軸方向の距離を示していると考えられる。
そこで距離測定部55は、生体サンプル像から、各蛍光マーカEMの色ごとに所定閾値以上の輝度値である画素群を抽出して抽出した輝点群の形状を円弧とみなし、上述した色収差測定処理と同様にして円弧傾き角を蛍光マーカEMごとに算出する。
そして距離測定部55は、距離を測定する対象となる蛍光マーカEM同士(例えば赤色蛍光マーカEMr及び青色蛍光マーカEMb)の円弧傾き角の角度差を算出する。
距離測定部55は、算出した角度差と単位角度あたりの焦点面FPの移動距離とを乗算することにより、赤色蛍光マーカEMr及び青色蛍光マーカEMb間のZ軸方向の距離を算出する。
しかしながら上述した色収差測定処理で測定したように、光学系12において、赤色及び青色の光では、色収差が発生していた。例えば、赤色蛍光マーカEMrと青色蛍光マーカEMbとがZ軸方向において同一の位置にある場合にも、赤色蛍光ビーズEBr及び青色蛍光ビーズEBbの位置が0.609[μm]異なった位置に見えるという色収差が発生していた。
そこで色収差補正部56は、距離測定部55により算出した赤色蛍光マーカEMr及び青色蛍光マーカEMb間のZ軸方向の距離から、色収差測定処理で測定した赤色の光を基準とした青色の光の色収差量を減算する。これにより色収差補正部56は、赤色蛍光マーカEMr及び青色蛍光マーカEMb間のZ軸方向の距離から色収差の影響を取り除くように、当該距離を補正する。
そしてデータ記録部54は、この補正された赤色蛍光マーカEMr及び青色蛍光マーカEMb間のZ軸方向の距離を、距離測定データとして記憶部27に記録する。
[1−6.蛍光マーカ間距離測定処理手順]
次に上述した蛍光マーカ間距離測定処理の手順について図14に示すフローチャートを用いて説明する。
次に上述した蛍光マーカ間距離測定処理の手順について図14に示すフローチャートを用いて説明する。
CPU21は、ルーチンRT2の開始ステップから入って次のステップSP11に移る。ステップSP11においてCPU21は、例えば、操作入力部24の入力をもとに、可動ステージ11の移動条件を設定する。
そしてCPU21は、設定した移動条件をもとに、単位角度あたりの焦点面FPの移動距離を算出して記憶部27に記録し、次のステップSP12に移る。
ステップSP12においてCPU21は、光源14から光を照射させ、設定した移動条件に従って、可動ステージ11をZ軸方向に等速で移動させると共にXY平面において等速で円弧を描くように移動させる。CPU21は、可動ステージ11が移動している間、撮像素子30を露光させて各サンプル部位の像を取得し、取得した各サンプル部位の像を連結して生体サンプル像を生成し、次のステップSP13に移る。
ステップSP13においてCPU21は、生体サンプル像から蛍光マーカEMの色ごとに所定閾値以上の輝度値である画素群を抽出して、次のステップSP14に移る。
ステップSP14においてCPU21は、抽出した輝点群の形状を円弧とみなし、各色の蛍光マーカEMごとに円弧傾き角を算出して、次のステップSP15に移る。
ステップSP15においてCPU21は、距離を測定する対象となる赤色蛍光マーカEMr及び青色蛍光マーカEMbの円弧傾き角の角度差を算出して、次のステップSP16に移る。
ステップSP16においてCPU21は、単位角度あたりの焦点面FPの移動距離を記憶部27から読み出し、これとステップSP15において算出した角度差とを乗算する。これによりCPU21は、赤色蛍光マーカEMr及び青色蛍光マーカEMb間のZ軸方向の距離を算出して、次のステップSP17に移る。
ステップSP17においてCPU21は、記憶部27から色収差測定データを読み出し、当該データをもとに、赤色蛍光マーカEMr及び青色蛍光マーカEMb間のZ軸方向の距離から色収差の影響を取り除いた値を算出し、次のステップSP18に移る。
ステップSP18においてCPU21は、算出した値を距離測定データとして記憶部27に記録させ、次のステップに移って、この蛍光マーカ間距離測定処理を終了する。
[1−7.動作及び効果]
以上の構成において顕微鏡装置1は、複数の色の蛍光ビーズEBが配された蛍光サンプルSPEが含まれる範囲をZ軸方向(光軸方向)に対物レンズ12Aの焦点面FPを移動させながら、XY平面(光軸と直交する面)において円運動させる。
以上の構成において顕微鏡装置1は、複数の色の蛍光ビーズEBが配された蛍光サンプルSPEが含まれる範囲をZ軸方向(光軸方向)に対物レンズ12Aの焦点面FPを移動させながら、XY平面(光軸と直交する面)において円運動させる。
顕微鏡装置1は、このように焦点面FPを移動させている間、撮像素子30を露光させて蛍光サンプル像を取得する。この結果、顕微鏡装置1は、各色の蛍光ビーズ(各波長の光)の像が円弧状に写ると共に、当該蛍光ビーズの像における円弧が各色の色収差に応じた傾きで写った蛍光サンプル像を取得する。
顕微鏡装置1は、この蛍光サンプル像における各波長の光の像の傾き(円弧傾き角)に基づいて光学系12における色収差を測定する。
このように顕微鏡装置1は、1枚の蛍光サンプル像をもとに色収差を測定することにより、所定間隔ごとに焦点を移動させて取得した蛍光サンプル像に基づいて色収差を測定する従来の方法と比べて、蛍光サンプル像の枚数を大幅に低減することができる。ゆえに顕微鏡装置1は、色収差を測定する際の撮像時間を短縮することができるので、効率よく色収差を測定することができる。
また顕微鏡装置1は、このように従来の方法と比べて蛍光サンプル像の枚数を大幅に低減できるので、蛍光サンプル像を一時記憶しておくためのワークメモリの容量や蛍光サンプル像に対する画像処理等の処理負荷も減らすことができる。
ここで、本発明と異なり、所定間隔ごとに焦点を移動させて蛍光サンプル像を取得して、各色において最大輝度の画素がある蛍光サンプル像が取得されたときの可動ステージの位置をもとに、各色の焦点位置の違い、すなわち色収差を測定する方法について考える。
実際上、図15に示すように、波長(色)によって、焦点位置Fが異なるだけでなく、焦点深度(焦点位置を中心とする焦点が合う範囲の長さ)Dも異なっている。ゆえにこの方法において蛍光サンプル像を取得した位置や焦点の移動間隔によっては、最大輝度の画素がある蛍光サンプル像が必ずしも焦点位置に対応していない場合がある。この場合、各焦点位置の違いを正確に検出できず、色収差を精度よく測定できないことがある。
これに対して本発明の顕微鏡装置1は、蛍光サンプルSPEが含まれる範囲をZ軸方向に焦点面FPを移動させながら、XY平面において円運動させ、その間、撮像素子30を露光させて蛍光サンプル像を取得する。この結果、当該蛍光サンプル像には、各色の蛍光ビーズ像EPが焦点位置に応じた傾きで写るので、顕微鏡装置1は、この傾きに基づいて色収差を精度よく測定することができる。
また顕微鏡装置1は、異なる蛋白質又は遺伝子がそれぞれ異なる波長の光を発する蛍光マーカEMにより標識された生体サンプルSPEを撮像する際、焦点面FPをZ軸方向に移動させながら、XY平面において円運動させる。
顕微鏡装置1は、このように焦点面FPを移動させている間、撮像素子30を露光させて生体サンプル像を取得する。この結果、顕微鏡装置1は、各蛍光マーカEMの像がZ軸方向の位置に応じた傾きで写った生体サンプル像を取得する。
顕微鏡装置1は、この生体サンプル像における各蛍光マーカEMの像の傾き(円弧傾き角)の違いに基づいて各蛍光マーカEM間の距離を測定する。
そして顕微鏡装置1は、予め測定された色収差に基づいて、測定した各蛍光マーカEM間の距離を、色収差の影響を取り除くように補正する。
これにより顕微鏡装置1は、色が異なる蛍光マーカEM同士であっても当該蛍光マーカEM間の距離を精度よく測定することができる。
ここで、本発明とは異なり、所定間隔ごとに焦点を移動させて生体サンプル像を取得し、取得した生体サンプル像における各色の蛍光マーカ像のぼけ具合を比較し、各色の蛍光マーカのZ軸方向の位置を検出し、蛍光マーカ間の距離を測定する方法について考える。尚、以下説明する図16では、説明の便宜上、光学系の色収差は補正されているものとする。
この方法では、例えば、図16(A)に示すように、赤色蛍光マーカEMr、緑色蛍光マーカEMg、青色蛍光マーカEMbの全てに対して焦点が合った生体サンプル像が取得された場合、これら蛍光マーカEMのZ軸方向の位置が同一であると検出する。
しかしながら、上述したように波長によって焦点深度Dが異なるため、例えば図16(B)に示すように、赤色蛍光マーカEMr、緑色蛍光マーカEMg、青色蛍光マーカEMbの全てに対して焦点が合った生体サンプル像が取得されても、各蛍光マーカEMのZ軸方向の位置が異なる場合がある。この場合、この方法では、各蛍光マーカのZ軸方向の位置が同一であると誤検出してしまう。
また波長によって焦点深度Dが異なるために、図16(C)に示すように、赤色蛍光マーカEMr、緑色蛍光マーカEMg、青色蛍光マーカEMbのZ軸方向の位置が同一であっても、赤色蛍光マーカEMr、緑色蛍光マーカEMgにのみ焦点が合い、青色蛍光マーカEMbからは焦点が外れた生体サンプル像が取得される場合がある。この場合、この方法では、赤色蛍光マーカEMr及び緑色蛍光マーカEMgと、青色蛍光マーカEMbとのZ軸方向の位置が異なると誤検出してしまう。
このようにこの方法では、蛍光マーカEM間のZ軸方向の距離を精度よく測定することができない場合がある。
これに対して本願発明の顕微鏡装置1は、焦点面FPをZ軸方向に移動させながら、XY平面において円運動させ、その間に撮像素子30を露光させ、生体サンプル像を取得する。この結果、当該生体サンプル像には、各色の蛍光マーカ像がZ軸方向の位置に応じた傾きで写るので、顕微鏡装置1は、この傾きに基づいて各蛍光マーカEM間の距離を精度よく測定することができる。
以上の構成によれば顕微鏡装置1は、蛍光サンプルSPEが含まれる範囲を光軸方向に焦点を移動させながら、蛍光サンプルSPEと撮像素子30との相対位置を、当該焦点の移動方向と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させるようにした。これにより、蛍光サンプル像には各波長の光の像が色収差に応じた傾きで写るので、顕微鏡装置1は、この傾きに基づいて色収差を測定することができる。ゆえに顕微鏡装置1は、この蛍光サンプル像をもとに色収差を測定することができるので、従来の方法と比較して蛍光サンプル像の枚数を低減することができ、色収差を測定する際の撮像時間を短縮することができ、かくして効率よく色収差を測定することができる。
<2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と異なり、色収差測定処理において、蛍光サンプル像を2回撮影するようになっている。なお、蛍光マーカ間距離測定処理及び顕微鏡装置1の構成については、第1の実施の形態と同様であるためその説明を省略する。
第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と異なり、色収差測定処理において、蛍光サンプル像を2回撮影するようになっている。なお、蛍光マーカ間距離測定処理及び顕微鏡装置1の構成については、第1の実施の形態と同様であるためその説明を省略する。
[2−1.色収差測定処理]
第2の実施の形態における色収差測定処理では、第1の実施の形態と同様に、図4に示したような色収差を測定すべき波長の光を発する複数の蛍光ビーズEBを同一平面上に配置した蛍光サンプルSPEを可動ステージ11に配置しておく。
第2の実施の形態における色収差測定処理では、第1の実施の形態と同様に、図4に示したような色収差を測定すべき波長の光を発する複数の蛍光ビーズEBを同一平面上に配置した蛍光サンプルSPEを可動ステージ11に配置しておく。
CPU21は、第1の実施の形態と同様に、色収差測定処理の実行命令を操作入力部24から受けた場合、光源制御部41、ステージ移動制御部42、蛍光サンプル像取得部43、色収差測定部44、データ記録部45として機能する。
光源制御部41は、光源14を駆動させて、光源14から光を照射させる。
ステージ移動制御部42は、1回目の撮影において、可動ステージ11をZ軸方向にだけ等速で移動させる。例えば、ステージ移動制御部42は、可動ステージ11の位置を、Z軸方向に次式
Z=Z1+αT……(3)
となるように移動させる。因みに、Z1は可動ステージ11のZ軸方向の初期位置を示し、αは可動ステージ11の移動速度を示す。
このときステージ移動制御部42は、可動ステージ11をXY平面上では移動させない。例えば、ステージ移動制御部42は、可動ステージ11をZ軸方向に移動させている間、可動ステージ11のXY平面上の位置を次式
X=X1,Y=Y1……(4)
となるように固定させる。因みに、X1はX軸上の位置、Y1はY軸上の位置を示す。
したがってこのとき対物レンズ12Aの焦点面FPは、図17(A)に示すように、XY平面上では固定されたまま、蛍光サンプルSPEのスライドガラスSG側からカバーガラスCG側へZ軸方向に等速で移動される。
蛍光サンプル像取得部43は、このように可動ステージ11が移動されている間、撮像素子30を露光させて、蛍光サンプルSPEを撮像素子30に撮像させ、蛍光サンプル像IM1(図18)を取得する。
この蛍光サンプル像IM1において、蛍光ビーズ像EPは、図17(B)に示すように、ぼやけた大きな状態から、はっきりとした小さな状態に変化していき、その後またぼやけた大きな状態に変化する。そのため、蛍光サンプル像において、所定閾値以上の輝度値である画素を抽出すると、図17(C)に示すように、当該画素のまとまりは略円形を形成する。
またステージ移動制御部42は、2回目の撮影において、第1の実施の形態と同様に、可動ステージ11をZ軸方向に移動させながら、XY平面において等速で円弧を描くように移動させる。このときステージ移動制御部42は、可動ステージ11を、1回目の撮影における可動ステージ11のXY平面の位置(式(4))を基準位置とし、当該基準位置を中心として円運動させる。
すなわち、ステージ移動制御部42は、可動ステージ11の位置を、Z軸方向に次式
Z=Z1+βT……(5)
となるように移動させながら、XY平面上を次式
X=X1+L0sin(ωT),Y=Y1+L0cos(ωT)……(6)
となるように移動させる。式(5)において、βは、Z軸方向における単位時間あたりの移動速度を示す。また1回目の撮影時の移動速度α、2回目の撮影時の移動速度β、基準位置座標(X1,Y1)なども、適宜設定される。例えば、移動速度α及び移動速度βを同一の値とすると、1回目の撮影時(Z軸方向にのみ移動させた撮影)に取得した蛍光サンプル像において蛍光ビーズ像が明るくなりすぎ、後述する円弧の中心位置を正確に検出できない場合がある。従ってこの場合には、移動速度αを移動速度βよりも早くするなど、1回目及び2回目の両方において適切な蛍光サンプル像が取得されるように移動速度α及び移動速度βの値が設定される。
蛍光サンプル像取得部43は、このように可動ステージ11が移動している間、撮像素子30を露光させて、蛍光サンプルSPEを撮像素子30に撮像させ、蛍光サンプル像IM2(図18)を取得する。
この蛍光サンプル像IM2には、図8に示したように各色の蛍光ビーズ像EP(赤色蛍光ビーズ像EPr、緑色蛍光ビーズ像EPg、青色蛍光ビーズ像EPb)が、略円弧状の輝点群として写る。
ここで、図18に一例として示す蛍光サンプル像IM1及びIM2では、それぞれ色ごとに所定閾値以上の輝度値である複数の画素のまとまりが抽出されており、蛍光ビーズ像EP1は略円形状の像、蛍光ビーズ像EP2は略円弧状の像として写っている。この蛍光ビーズ像EP1と蛍光ビーズ像EP2とは、同一の蛍光ビーズEBの像である。
上述したように蛍光ビーズEBに対して対物レンズ12Aの焦点が合っているとき、蛍光サンプル像には蛍光ビーズ像EPの輝度値が最も高く写る。従って、蛍光ビーズ像EP2において各色における円弧の傾きの違いは、各色の色収差量を示していると考えられる。
また蛍光サンプル像IM2を取得する際、可動ステージ11が蛍光サンプル像IM1を取得した際のXY平面の位置を中心としてXY平面を円運動する。ゆえに、蛍光サンプル像IM2における蛍光ビーズ像EP2の中心(円弧の中心)は、蛍光ビーズ像EP1の中心(すなわち最も輝度値の高い位置)と同一位置となっている。
そこで色収差測定部44は、蛍光サンプル像IM1において、蛍光ビーズ像EP1の最も輝度値の高い位置(蛍光サンプル像IM1における座標)を算出する。そして色収差測定部44は、蛍光サンプル像IM1において算出した位置に対応する蛍光サンプル像IM2の位置(同一座標)を、蛍光ビーズ像EP2の円弧の中心Opとして設定する。
色収差測定部44は、蛍光ビーズ像EP2の輝度値が最も高い位置(座標)Bpを算出し、当該位置Bpと設定した円弧の中心Opとを結ぶ直線L2とX軸とのなす角を、円弧傾き角として各色の蛍光ビーズ像EP2ごとに算出する。
そして色収差測定部44は、上述した第1の実施の形態と同様に、赤色蛍光ビーズ像EPr及び緑色蛍光ビーズEPgの円弧傾き角の角度差を算出して、当該角度差に基づいて赤色の光を基準とした緑色の光の色収差量を算出する。また色収差測定部44は、赤色蛍光ビーズ像EPr及び青色蛍光ビーズEPbの円弧傾き角の角度差を算出して、当該角度差に基づいて赤色の光を基準とした青色の光の色収差量を算出する。
このように第2の実施の形態における顕微鏡装置1は、蛍光サンプル像IM1及びIM2に基づいて、光学系12における色収差を測定するようになっている。
[2−2.色収差測定処理手順]
次に上述した色収差測定処理の手順について図19に示すフローチャートを用いて説明する。
次に上述した色収差測定処理の手順について図19に示すフローチャートを用いて説明する。
CPU21は、ルーチンRT3の開始ステップから入って次のステップSP21に移る。ステップSP21においてCPU21は、例えば、操作入力部24の入力をもとに、1回目及び2回目の撮影における可動ステージ11の移動条件を設定する。
CPU21は、設定した移動条件をもとに、2回目の撮影時における単位角度あたりの焦点面FPの移動距離を算出して記憶部27に記録し、次のステップSP22に移る。
ステップSP22においてCPU21は、設定した移動条件に従って、可動ステージ11をZ軸方向にのみ等速で移動させる。CPU21は、可動ステージ11が移動している間、撮像素子30を露光させて蛍光サンプル像IM1を取得し、次のステップSP23に移る。
ステップSP23においてCPU21は、各色の蛍光ビーズ像EP1ごとに、最も輝度値の高い位置を検出し、例えばRAM23に一時記憶させ、次のステップSP24に移る。
ステップSP24においてCPU21は、設定した移動条件に従って、可動ステージ11をZ軸方向に等速で移動させると共にXY平面において等速で円弧を描くように移動させる。CPU21は、可動ステージ11が移動している間、撮像素子30を露光させて蛍光サンプル像IM2を取得し、次のステップSP25に移る。
ステップSP25においてCPU21は、各色の蛍光ビーズ像EP2ごとに、最も輝度値の高い位置を算出して、次のステップSP26に移る。
ステップSP26においてCPU21は、蛍光ビーズ像EP1の輝度値が最も高い位置に対応する蛍光サンプル像IM2の位置(円弧の中心)Opと蛍光ビーズ像EP1の輝度値が最も高い位置Bpとを結ぶ直線L2を算出する。そしてCPU21は、当該直線L2とX軸とのなす角を、円弧傾き角として各色の蛍光ビーズ像EP2ごとに算出して、次のステップSP27に移る。
ステップSP27においてCPU21は、赤色蛍光ビーズ像EPr及び緑色蛍光ビーズ像EPgの円弧傾き角の角度差と、赤色蛍光ビーズ像EPr及び緑色蛍光ビーズ像EPgの円弧傾き角の角度差とを算出して、次のステップSP28に移る。
ステップSP28においてCPU21は、単位角度あたりの焦点面FPの移動距離を記憶部27から読み出し、これとステップSP27において算出した角度差とを乗算することにより、赤色の光を基準とした緑色及び青色の光の色収差量を算出する。そしてCPU21は、ステップSP29に移る。
ステップSP29においてCPU21は、算出した色収差量を色収差測定データとして記憶部27に記録させ、次のステップに移って、この色収差測定処理を終了する。
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において顕微鏡装置1は、蛍光サンプルSPEの1回目の撮影の際、蛍光サンプルSPEが含まれる範囲をZ軸方向(光軸方向)にのみ対物レンズ12Aの焦点面FPを移動させながら、撮像素子30を露光させて蛍光サンプル像IM1を取得する。
以上の構成において顕微鏡装置1は、蛍光サンプルSPEの1回目の撮影の際、蛍光サンプルSPEが含まれる範囲をZ軸方向(光軸方向)にのみ対物レンズ12Aの焦点面FPを移動させながら、撮像素子30を露光させて蛍光サンプル像IM1を取得する。
そして顕微鏡装置1は、蛍光サンプルSPEの2回目の撮影の際、蛍光サンプルSPEが含まれる範囲をZ軸方向(光軸方向)に焦点面FPを移動させながら、XY平面(光軸と直交する面)において1回目の撮影における位置を中心として円運動させる。顕微鏡装置1は、このように焦点面FPを移動させている間、撮像素子30を露光させて蛍光サンプル像IM2を取得する。
この結果、蛍光サンプル像IM2には、各色の蛍光ビーズ(各波長の光)の像が円弧状で各色の色収差に応じた傾きで写ると共に、蛍光サンプル像IM1には、蛍光サンプル像IM2における各波長の光の像(円弧)の中心が写る。
ゆえに顕微鏡装置1は、蛍光サンプル像IM1に基づいて蛍光サンプル像IM2において各波長の光の像における円弧の中心位置を検出し、当該中心位置に基づいて各波長の光の像の傾き(円弧傾き角)を算出する。
そして顕微鏡装置1は、この蛍光サンプル像における各波長の光の像の傾き(円弧傾き角)に基づいて光学系12における色収差を測定する。
このように顕微鏡装置1は、蛍光サンプル像IM1及びIM2(2枚の蛍光サンプル像)をもとに色収差を測定することにより、所定間隔ごとに焦点を移動させて蛍光サンプル像を取得して色収差を測定する方法と比べて蛍光サンプル像の枚数を大幅に低減できる。ゆえに顕微鏡装置1は、色収差を測定する際の撮像時間を短縮することができるので、効率よく色収差を測定することができる。
また顕微鏡装置1は、焦点面FPをZ軸方向にのみ移動させながら撮像された蛍光サンプル像IM1をもとに、蛍光ビーズ像EP2の円弧の中心位置を検出し、当該中心位置をもとに各波長の光の像の傾き(円弧傾き角)を算出するようにした。
これにより顕微鏡装置1は、焦点面FPをZ軸方向にのみ移動させながら撮像された蛍光サンプル像IM1を用いない場合と比して、より正確に円弧傾き角を算出できるので、より精度よく色収差を測定することができる。
<3.他の実施の形態>
なお上述した第1及び第2の実施の形態においては、色収差測定処理において赤色蛍光ビーズEBr、緑色蛍光ビーズEBg、青色蛍光ビーズEBbが配された蛍光サンプルSPEを用いるようにした。本発明はこれに限らず、この他種々の波長の光を発光する蛍光ビーズEBが配された蛍光サンプルSPEを用いるようにしてもよい。
なお上述した第1及び第2の実施の形態においては、色収差測定処理において赤色蛍光ビーズEBr、緑色蛍光ビーズEBg、青色蛍光ビーズEBbが配された蛍光サンプルSPEを用いるようにした。本発明はこれに限らず、この他種々の波長の光を発光する蛍光ビーズEBが配された蛍光サンプルSPEを用いるようにしてもよい。
また、色収差を測定すべき色数に対応した数の蛍光ビーズEBが配された蛍光サンプルSPEに限らず、複数波長もしくはワイドバンドの光(例えば白色光)を発する1つの蛍光ビーズEBが配された蛍光サンプルSPEを用いるようにしてもよい。
この場合、図20に示すように、例えば白色光を発する白色蛍光ビーズEBwが配された蛍光サンプルSPExが可動ステージ11に配される。CPU21は、上述と同様に、可動ステージ11をZ軸方向に移動させると共にXY平面において円運動させながら撮像素子30を露光させることにより、当該白色蛍光ビーズEBwが配された蛍光サンプルSPExの蛍光サンプル像を取得する。
光学系12に色収差がある場合、各波長の光(色)の像が形成する円弧の傾きが色収差に応じて異なるため、蛍光サンプル像には、白色蛍光ビーズEBwが形成する円弧の像が波長(色)ごとに分かれて写る。
CPU21は、この蛍光サンプル像に対して色分解処理を行うことにより、各色の円弧の像を抽出し、上述した第1の実施の形態と同様に各色の円弧傾き角を算出して当該円弧傾き角に基づいて色収差を測定する。
複数の蛍光ビーズEBを用いて精度良く色収差を測定するには、各蛍光ビーズEBのZ軸方向の位置を同一にするために、蛍光ビーズEBが配されるスライドガラスSGが平坦であることが求められる。これに対してここまで述べたように1つの蛍光ビーズEBを用いて色収差を測定する場合、蛍光ビーズEBを配するスライドガラスSGの平面性が優れていない場合であっても、精度よく色収差を測定することができる。
また本発明は、蛍光ビーズに限らず、例えばピンホールを背面から照明することにより所定の波長の光を発するようにしたサンプルなど、色収差を測定すべき波長の光を発するサンプルであれば、この他種々のサンプルを用いるようにしてもよい。
また上述した第1及び第2の実施の形態においては、Z軸方向に可動ステージ11を動かすことによって焦点面FPを蛍光サンプルSPE及び生体サンプルSPLに対してZ軸方向に移動させるようにした。本発明はこれに限らず、例えば対物レンズ12AをZ軸方向に可動させ得る移動機構を設け、該対物レンズ12AをZ軸方向に移動させることによって焦点面FPを蛍光サンプルSPE又は生体サンプルSPLに対してZ軸方向に移動させるようにしてもよい。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、XY平面における面方向に可動ステージ11を動かすことによって焦点面FPを面方向に動かすようにした。本発明はこれに限らず、例えば撮像素子30をXY平面の面方向に可動させ得るステージを設け、該ステージを介して撮像素子30を面方向に移動させることによって蛍光サンプルSPE又は生体サンプルSPLと撮像素子30との相対位置を面方向に移動させるようにしてもよい。
さらに上述した第1の実施の形態においては、赤色蛍光ビーズEBr、緑色蛍光ビーズEBg、青色蛍光ビーズEBbが配された蛍光サンプルSPEの像に基づいて、赤色を基準とした緑色及び青色の色収差量を測定するようにしたが、本発明はこれに限らない。
例えば、赤色蛍光ビーズEBr、緑色蛍光ビーズEBg、青色蛍光ビーズEBbを用いて赤色、緑色、青色の色収差量を測定するだけでなく、例えば、オレンジ色や紫色などこの他の色(波長)の色収差量を測定してもよい。この場合CPU21は、例えば、測定した赤色、緑色、青色の色収差量に基づいて、波長と色収差量の関係を示す式を作成し、当該式を用いて種々の波長の色収差量を算出する。
さらに上述した第1の実施の形態においては、蛍光サンプルSPEを撮像する際、焦点面FPをZ軸方向に移動させると共にXY平面において円運動させるようにした。本発明はこれに限らず、蛍光サンプルSPEを撮像する際、焦点面FPをZ軸方向に移動させる間にXY平面において移動方向を変化させるようにすればよく、例えば焦点面FPをXY平面においてサインカーブを描くように移動させてもよい。この場合CPU21は、例えば、蛍光ビーズ像EPの傾きの違いと色収差量とが対応付けられたテーブルを記憶部27に保持し、該テーブルを参照することにより、色収差量を求めるようにすればよい。
さらに上述した第2の実施の形態においては、1回目の撮影として焦点面FPをZ軸方向にのみ移動させながら蛍光サンプル像IM1を撮像した。そして2回目の撮影として焦点面FPをZ軸方向に移動させると共にXY平面で円運動させながら蛍光サンプル像IM2を撮像した。本発明はこれに限らず、先に焦点面FPをZ軸方向に移動させると共にXY平面で円運動させながら蛍光サンプル像IM2を撮像し、後に焦点面FPをZ軸方向にのみ移動させながら蛍光サンプル像IM1を撮像するようにしてもよい。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、蛍光ビーズ像EPが形成する円弧の傾き(円弧傾き角)を算出し、各色の円弧傾き角の角度差に基づいて光学系12における色収差を測定するようにした。本願発明は、これに限らない。
例えば、蛍光サンプル像において所定の閾値よりも高い輝度値の画素を抽出すると、各色の蛍光ビーズ像EPが、色収差の違いに応じた傾きの略楕円形を形成する場合がある。この場合、CPU21は、例えば各色の蛍光ビーズ像EPが形成する楕円の長軸とX軸とのなす角を算出し、当該なす角の角度差に基づいて光学系12における色収差を測定するようにしてもよい。
さらに上述した第1の実施の形態においては、蛍光マーカ間距離測定処理において、焦点面FPをZ軸方向に移動させると共にXY平面において円運動させながら撮像素子30を露光させて生体サンプル像を取得するようにした。そして当該生体サンプル像に写った各蛍光マーカ像の円弧傾き角の角度差に基づいて、各蛍光マーカEM間の距離を測定するようにした。本発明はこれに限らない。
例えば、蛍光マーカ間距離測定処理において、CPU21は、可動ステージ11をZ軸方向にのみ移動させながら撮像素子30を露光させて生体サンプル像を取得する。次にCPU21は、可動ステージ11をZ軸方向に移動させると共にXY平面において等速で円弧を描くように移動させながら撮像素子30を露光させて生体サンプル像を取得する。このときCPU21は、可動ステージ11をZ軸方向にのみ移動させた際の可動ステージ11のXY平面の位置を基準位置とし、当該基準位置を中心として可動ステージ11を円運動させるようにする。
これにより、可動ステージ11を円運動させた際の生体サンプル像における蛍光マーカ像の中心(円弧の中心)位置は、可動ステージ11をZ軸方向にのみ移動させた際の生体サンプル像における蛍光マーカ像の位置と同一位置となる。
そこでCPU21は、可動ステージ11をZ軸方向にのみ移動させた際の蛍光マーカ像の位置を、可動ステージ11を円運動させた際の蛍光マーカ像の円弧の中心位置として設定する。CPU21は、この円弧の中心位置及び当該円弧における最も輝度値が高い位置を結ぶ直線とX軸とのなす角を円弧傾き角として蛍光マーカごとに算出し、上述と同様に各蛍光マーカの円弧傾き角の角度差に基づいて各蛍光マーカ間の距離を算出する。
さらに上述した第1の実施の形態においては、色収差測定処理により測定した色収差に基づいて、異なる色の蛍光マーカ間の距離から色収差の影響を取り除くようにした。本発明はこれに限らず、例えば、任意の蛍光マーカにおいて、所定の基準位置からのZ軸方向の位置を検出する際に、色収差測定処理により測定した色収差に基づいて当該位置を補正するようにしてもよい。
この場合、例えば赤色蛍光マーカEMrにおいて予め円弧傾き角とZ軸方向の位置とが対応づけられたテーブルを記憶部27に保持しておく。そしてCPU21は、例えば青色蛍光マーカEMbのZ軸方向の位置を検出する際、青色蛍光マーカEMbの円弧傾き角から当該テーブルを参照して位置を算出したのち、赤色及び青色の色収差を用いて算出した位置を補正する。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、対物レンズ12A、結像レンズ12Bが設けられている場合について述べた。本発明はこれに限らず、対物レンズが1つであってもよい。また対物レンズ12A、結像レンズ12Bをレボルバー等を適用して他の対物レンズおよび他の結像レンズと交換を可能とし倍率が可変できるようにしてもよい。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、色収差測定処理及び蛍光マーカ間距離測定処理により得られた測定データは記憶部27に保存された。記憶部27は、データ処理部20内に設ける場合に限定されるものではなく、該データ処理部20の外部としてもよい。また記憶部27に対するデータの通信媒体はバス28に限定されるものではなく、例えば、ローカルエリアネットワークやインターネット、ディジタル衛星放送等の有線又は無線の通信媒体としてもよい。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、色収差測定装置としての顕微鏡装置1に、対物レンズとして対物レンズ12A、光学系として光学系12、撮像素子として撮像素子30が設けられるようにした。また顕微鏡装置1に、移動制御部としてステージ移動制御部42、サンプル像取得部として蛍光サンプル像取得部43、色収差測定部としての色収差測定部44が設けられるようにした場合について述べた。しかしながら本発明は、その他種々の構成でなる対物レンズ、撮像素子、移動制御部、サンプル像取得部及び色収差測定部を設けるようにしても良い。また本発明は、顕微鏡以外の光学系の色収差を測定する場合も適用することができる。
本発明は、遺伝子実験、医薬の創製又は患者の経過観察などのバイオ産業上において利用することができる。
1……顕微鏡装置、11……可動ステージ、12……光学系、12A……対物レンズ、12B……結像レンズ、13……照明灯、14……光源、15……励起フィルタ、16……ダイクロイックミラー、17……エミッションフィルタ、20……データ処理部、21……CPU、22……ROM、23……RAM、24……操作入力部、25……インターフェイス、26……表示部、27……記憶部、30……撮像素子、41、51……光源制御部、42、52……ステージ移動制御部、43……蛍光サンプル像取得部、44……色収差測定部、45、54……データ記録部、53……生体サンプル像取得部、55……距離測定部、56……色収差補正部、CG……カバーガラス、SG……スライドガラス、SPE……蛍光サンプル、SPL……生体サンプル、EB……蛍光ビーズ、EM……蛍光マーカ。
Claims (7)
- 対物レンズを含む光学系の光軸と直交する面に配された複数の波長の光を発するサンプルが含まれる範囲を当該光軸方向に当該対物レンズの焦点を移動させながら、当該サンプルの像であるサンプル像が当該光学系を介して結像される撮像素子と当該サンプルとの相対位置を、当該光軸と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させる移動制御ステップと、
上記移動制御ステップで移動させる間、上記撮像素子を露光させることにより上記サンプル像を取得するサンプル像取得ステップと、
上記サンプル像に基づいて上記光学系における上記複数の波長の光の色収差を測定する色収差測定ステップと
を有する色収差測定方法。 - 上記移動制御ステップでは、
上記光軸方向に上記対物レンズの焦点を移動させる間に、上記撮像素子と上記サンプルとの相対位置を上記光軸と直交する面方向に円運動させる
請求項1に記載の色収差測定方法。 - 上記光軸方向にだけ上記対物レンズの焦点を移動させる焦点移動制御ステップと、
上記焦点移動制御ステップで移動させる間、上記撮像素子を露光させることにより上記サンプル像を取得する焦点移動サンプル像取得ステップと、
をさらに有し、
上記移動制御ステップでは、
上記光軸方向に上記対物レンズの焦点を移動させる間に、上記撮像素子と上記サンプルとの相対位置を、上記光軸と直交する面方向に、上記焦点移動制御ステップにより移動させた際の位置を中心として円運動させ、
上記色収差測定ステップでは、
上記焦点移動サンプル像取得ステップにより取得したサンプル像と、上記サンプル像取得ステップにより取得したサンプル像とに基づいて、当該サンプル像における各波長の光の像の傾きを算出し、当該傾きに基づいて上記色収差を測定する
請求項2に記載の色収差測定方法。 - 上記色収差測定ステップでは、
上記サンプル像における各波長の光の像の傾きを算出し、当該傾きに基づいて上記色収差を測定する
請求項1に記載の色収差測定方法。 - 上記光軸と直交する面に配され、ターゲットに標識される蛍光マーカが染色された生体サンプルに対して、当該蛍光マーカを励起する光を光源により照射する照射ステップと、
上記光軸方向に上記対物レンズの焦点を移動させながら、上記撮像素子と上記生体サンプルとの相対位置を、上記光軸と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させる生体サンプル移動制御ステップと、
上記生体サンプル移動制御ステップで移動させる間、上記撮像素子を露光させることにより上記生体サンプルの像である生体サンプル像を取得する生体サンプル像取得ステップと、
上記生体サンプル像における、上記蛍光マーカが発する蛍光の像の傾きに基づいて上記蛍光マーカ間の距離を測定する距離測定ステップと、
上記距離測定ステップにより測定した上記蛍光マーカ間の距離を、上記色収差測定ステップにより測定した色収差に基づいて補正する色収差補正ステップと
をさらに有する請求項1に記載の色収差測定方法。 - 対物レンズを含む光学系と、
上記光学系の光軸と直交する面に配された複数の波長の光を発するサンプルの像であるサンプル像が上記光学系を介して結像される撮像素子と、
上記サンプルが含まれる範囲を上記光軸方向に上記対物レンズの焦点を移動させながら、上記撮像素子と上記サンプルとの相対位置を、上記光軸と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させる移動制御部と、
上記移動制御部が移動させる間、上記撮像素子を露光させることにより上記サンプル像を取得するサンプル像取得部と、
上記サンプル像に基づいて上記光学系における上記複数の波長の光の色収差を測定する色収差測定部と
を具える色収差測定装置。 - コンピュータに対して、
対物レンズを含む光学系の光軸と直交する面に配された複数の波長の光を発するサンプルが含まれる範囲を当該光軸方向に当該対物レンズの焦点を移動させながら、当該サンプルの像であるサンプル像が当該光学系を介して結像される撮像素子と当該サンプルとの相対位置を、当該光軸と直交する面方向に移動方向が変化するように移動させる移動制御ステップと、
上記移動制御ステップで移動させる間、上記撮像素子を露光させることにより上記サンプル像を取得するサンプル像取得ステップと、
上記サンプル像に基づいて上記光学系における上記複数の波長の光の色収差を測定する色収差測定ステップと
を実行させる色収差測定プログラム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010018002A JP2011158273A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 色収差測定方法、色収差測定装置及び色収差測定プログラム |
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JP2010018002A JP2011158273A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 色収差測定方法、色収差測定装置及び色収差測定プログラム |
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JP2011158273A true JP2011158273A (ja) | 2011-08-18 |
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JP2010018002A Pending JP2011158273A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 色収差測定方法、色収差測定装置及び色収差測定プログラム |
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JP (1) | JP2011158273A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013105177A (ja) * | 2011-11-11 | 2013-05-30 | Leica Microsystems Cms Gmbh | 試料における点状対象の三次元位置決め用の顕微鏡装置および方法 |
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2010
- 2010-01-29 JP JP2010018002A patent/JP2011158273A/ja active Pending
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