JP2011157643A - ナノファイバ製造装置および製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノファイバを均等な膜厚となるように堆積させる。
【解決手段】複数の流出孔216から原料液300を空間に放射方向に流出させる流出体211と、環状の環状電極121であって、当該環状電極121が囲む空間を流出体211に対向するように配置される環状電極121と、流出体211と環状電極121との間に所定の電圧を印加して原料液300やナノファイバ301を誘引する電界を環状電極121に発生させる誘引電源122とを備え、流出体211から流出した原料液300やナノファイバ301を誘引する誘引手段120と、誘引手段120よりも流出体211側に配置され、製造されるナノファイバ301を堆積させる被堆積部材101とを備える。
【選択図】図5

Description

本願発明は、静電延伸現象によりサブミクロンオーダーやナノオーダーの細さである繊維(ナノファイバ)を製造するナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法に関する。
樹脂などから成り、サブミクロンスケールやナノスケールの直径を有する糸状(繊維状)物質を製造する方法として、静電延伸現象(エレクトロスピニング)を用いた方法が知られている。
この静電延伸現象とは、溶媒中に樹脂などの溶質を分散または溶解させた原料液を空間中にノズルなどにより流出(噴射)させるとともに、原料液に電荷を付与して帯電させ、空間を飛行中の原料液を電気的に延伸させることにより、ナノファイバを得る方法である。
より具体的に静電延伸現象を説明すると次のようになる。すなわち、帯電され空間中に流出された原料液は、空間を飛行中に徐々に溶媒が蒸発していく。これにより、飛行中の原料液の体積は、徐々に減少していくが、原料液に付与された電荷は、原料液に留まる。この結果として、空間を飛行中の原料液は、電荷密度が徐々に上昇することとなる。そして、溶媒は、継続して蒸発し続けるため、原料液の電荷密度がさらに高まり、原料液の中に発生する反発方向のクーロン力が原料液の表面張力より勝った時点で原料液が爆発的に線状に延伸される現象が生じる。これが静電延伸現象である。この静電延伸現象が、空間において次々と幾何級数的に発生することで、直径がサブミクロンオーダーやナノオーダーの樹脂から成るナノファイバが製造される。
以上のような静電延伸現象を用いてナノファイバを効率よく製造しようとする場合、ナノファイバが製造される密度を向上させて多量にナノファイバを収集する必要がある。例えば、特許文献1や特許文献2に記載のナノファイバ製造装置は、円筒形状の流出体の周壁に放射方向に流出孔を多数設け、当該流出体を回転させることにより、遠心力で多量の原料液を空間中に流出させる構成を採用している。その際に、原料液は帯電された状態で流出される。例えば、特許文献2では、流出体の周囲に設けた円環状の帯電電極により原料液が帯電される。そして、これらに記載のナノファイバ製造装置は、放射方向に流出した原料液から製造されたナノファイバを収集するために電界や気体流を用いて原料液やナノファイバを流出体の回転軸の方向に離間して一箇所に配置した収集手段に誘引している。
このような構成のナノファイバ製造装置を採用すれば、空間中に流出する原料液の密度を高めて、ナノファイバを効率よく製造することが可能となる。
特開2008−150769号公報 特開2009−41128号公報
ところが、特許文献1や特許文献2に記載されるナノファイバ製造装置は、放射方向に流出させた原料液の飛翔経路を電界や風によって変更し、原料液やナノファイバを同じ方向(収集手段の方向)に向けて飛翔させて、収集手段に設けた被堆積部材に堆積させるものとなっている。その際、被体積部材の裏側に平板状の電極を設けて電界によりナノファイバを被堆積部材に向けて誘引させるものとなっている。従って、製造されたナノファイバは、流出体の円筒形状(特許文献1)や環状の帯電電極(特許文献2)に対向した位置に円環状に堆積することとなり、堆積したナノファイバで不織布などを製造する場合、均一な膜厚の不織布を製造することは困難であった。
本願発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、放射方向に原料液を流出させてナノファイバを大量に生産することのできるナノファイバ製造装置および製造方法であって、ナノファイバを堆積させて製造する不織布の膜厚を均一にできるナノファイバ製造装置および製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本願発明にかかるナノファイバ製造装置は、原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造装置であって、複数の流出孔から原料液を空間に放射方向に流出させる流出体と、環状の環状電極であって、当該環状電極が囲む空間を前記流出体に対向するように配置される環状電極と、原料液やナノファイバを誘引する電界を前記環状電極に発生させる誘引電源とを備え前記流出体から流出した原料液やナノファイバを誘引する誘引手段と、前記誘引手段よりも流出体側に配置され、製造されるナノファイバを堆積させる被堆積部材とを備えることを特徴とする。
これによれば、誘引手段として環状電極を採用することで、ナノファイバを誘引するための電気力線が環状電極に集中して発生するものと考えられる。また、環状電極に集中する電気力線が通過する被堆積部材が帯電し、その帯電状況は、電気力線が通過する位置が最も強く、環状電極の中心側に向けて次第に弱く帯電した状況となる。このような電気力線の状態、被堆積部材の帯電状況となることで、製造されたナノファイバは、環状電極の形状に沿って堆積すると共に、環状電極で囲まれる部分の中心に向かってひろがるように堆積する。つまり、ナノファイバを面状に堆積させることができ、ナノファイバを堆積させて得られる不織布の膜厚を均一にすることが可能となる。また、環状電極の大きさや形状を調整することで、原料液やナノファイバの飛翔経路を容易に調整することができ、堆積するナノファイバの広がり状態を容易に調整することが可能となる。
前記誘引手段はさらに、前記環状電極の前記流出体側に架橋状に配置される棒状の第一棒状電極と、前記環状電極の前記流出体側に架橋状に配置され、前記第一棒状電極と平行に配置される第二棒状電極とを備えてもよい。
これによれば、環状電極から内方に向かって広く分布して堆積するナノファイバを、更に第一棒状電極と第二棒状電極とに沿わせて分布させることができる。従って、環状電極から内方に向かってより均等にナノファイバを堆積させることが可能となり、環状の堆積領域を工業的に用いやすい矩形形状の堆積領域に変形させることができる。また、第一棒状電極と第二棒状電極との距離や第一棒状電極や第二棒状電極の長さなどを変化させることで、ナノファイバの分布を容易に調整することが可能となる。
前記誘引手段はさらに、前記第一棒状電極と前記第二棒状電極とに架橋状に配置される棒状の第三棒状電極と、前記第一棒状電極と前記第二棒状電極とに架橋状に配置され、前記第三棒状電極と平行に配置される第四棒状電極とを備えてもよい。
これによれば、更に第三棒状電極と第四棒状電極とに沿わせてナノファイバを環状電極の中心方向に分布させることができる。従って、環状電極から内方に向かってより均等にナノファイバを堆積させることが可能となり、第一棒状電極と第二棒状電極の働きをより強くすることができる。つまり、より矩形形状の堆積領域に変形させることができる。
また、前記被堆積部材は、前記第一棒状電極と前記第二棒状電極との並び方向に長い長尺のシート状の部材であり、当該ナノファイバ製造装置はさらに、前記第一棒状電極と前記第二棒状電極との並び方向に前記被堆積部材を移送する移送手段を備えてもよい。
これによれば、膜厚が均等で長尺のナノファイバからなる不織布を製造することが可能となる。
前記誘引手段はさらに、前記環状電極が囲む空間を覆う板状の板体を備えてもよい。
これによれば、環状電極に集中する電気力線をある程度維持しつつ、板体にもナノファイバを誘引するための電気力線を発生させることが可能となる。これにより、被堆積部材の帯電状況について、環状電極に接触する位置から環状電極の中心側に向かって帯電が弱まる傾きが緩やかになる。従って、環状電極から内方に向かってより均等にナノファイバを堆積させることが可能となる。
前記板体は、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が備えられてもよい。
これによれば貫通孔を利用して流出体側から反対側に向けて板体を通過する気体流により、当該気体流を用いて板体の方向にナノファイバを誘引することも可能となる。
特に、前記板体が、導体である場合、前記板体は、前記環状電極の前記流出体側の端部よりも前記流出体から遠い位置に配置されることが好ましい。
これによれば、板体が導体であっても、環状電極と流出体との間に発生する電気力線を強い状態で維持しつつ、板体にも電気力線を分布させることができるため、環状電極から中心に向かって均一にナノファイバを堆積させることが可能となる。
また、前記環状電極の前記流出体側の端部は、前記流出体に向かって徐々に厚さが薄くなるものでもよい。
これによれば、環状電極の流出体側の端部に電気力線を集中させることができる。
上記目的を達成するために、本願発明にかかるナノファイバ製造方法は、原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造方法であって、複数の流出孔を備える流出体から帯電した原料液を空間に放射方向に流出させ、誘引電源を用いた電界により原料液やナノファイバを誘引する電界を環状の環状電極に発生させ、前記流出体から流出した原料液やナノファイバを誘引することを特徴とする。
これによれば、環状電極にナノファイバを誘引するための電界を発生させるため、環状電極に電気力線が集中して発生するものと考えられる。また、環状電極に集中する電気力線が通過する被堆積部材が帯電し、その帯電状況は、電気力線が通過する位置が最も強く、環状電極の中心側に向けて次第に弱く帯電した状況となる。このような電気力線の状態、被堆積部材の帯電状況となることで、製造されたナノファイバは、環状電極の形状に沿って堆積すると共に、環状電極で囲まれる部分の中心に向かってひろがるように堆積する。つまり、ナノファイバを面状に堆積させることができ、ナノファイバを堆積させて得られる不織布の膜厚を均一にすることが可能となる。
本願発明によれば、ナノファイバの生産効率を高く維持しつつ、ナノファイバを堆積させて均等な膜厚の不織布を製造することが可能となる。
ナノファイバ製造装置を、模式的に一部を切り欠いて正面から示す平面図である。 ナノファイバ製造装置を、模式的に一部を切り欠いて側面から示す平面図である。 流出体とその近傍を切り欠いて示す正面から示す平面図である。 流出体とその近傍を示す斜視図である。 誘引手段を示す斜視図である。 環状電極の断面を、一部を省略して示す平面図である。
次に、本願発明に係るナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、ナノファイバ製造装置を、模式的に一部を切り欠いて正面から示す平面図である。
図2は、ナノファイバ製造装置を、模式的に一部を切り欠いて側面から示す平面図である。
これらの図に示すように、ナノファイバ製造装置100は、流出体211と、誘引手段120と、被堆積部材101とを備えている。本実施の形態の場合、ナノファイバ製造装置100は更に、本願発明に必須の構成では無いが、調整電極221と、調整電源222と、移送手段104と、保持手段215と、駆動源213と、加圧手段130とを備えている。
ここで、ナノファイバを製造するための原料液については、原料液300と記し、製造されたナノファイバについてはナノファイバ301と記すが、製造に際しては原料液300が電気的に延伸しながらナノファイバ301に変化していくため、原料液300とナノファイバ301との境界は曖昧であり、明確に区別できるものではない。
図3は、流出体とその近傍を切り欠いて示す正面から示す平面図である。
図4は、流出体とその近傍を示す斜視図である。
流出体211は、内方に原料液300が流通し放射状に配置される複数の流出孔216から原料液300を空間に流出させるための部材である。
また、流出体211は、流出する原料液300に電荷を供給する電極としても機能しており、原料液300と接触する部分の少なくとも一部は導電性を備えた部材で形成される。本実施の形態の場合、流出体211全体が金属で形成されている。なお、金属の種類は導電性を備えておれば、特に限定されるものではなく、黄銅やステンレス鋼など任意の材料を選定しうる。
流出体211は、原料液300に電荷を付与する必要があるため、電源やアースと電気的に接続されている。本実施の形態の場合、流出体211は、接地手段223を用いて接地されており、接地電位を維持することができるものとなっている。
接地手段223は、流出体211と電気的に接続され、流出体211を接地電位に維持することができる部材である。接地手段223の一端は、流出体211が回転状態であっても電気的な接続状態を維持することができるようにブラシとして機能するものであり、他端はアースと接続されている。
また、本実施の形態の場合、流出体211は、回転によって原料液300を流出させるものとなっており、筒部231と、フランジ部232とを備えている。
筒部231は、内方に原料液300が流通する筒形状の部材であり、流出体211の胴体となる部分である。また、流出体211は、回転による遠心力により原料液300を流出させるものであり、筒部231は、流出体211の回転軸体としても機能している。また、筒部231は、内方に原料液300を貯留する貯留空間を備えており、一端部は圧力を調整するための比較的細い孔である供給孔236が設けられ、他方はピストン235で閉塞されている。筒部231は、内方の貯留空間に貯留された原料液300がピストン235によって圧縮されることで、フランジ部232側に供給孔236を通して原料液300を吐出できるものとなっている。
フランジ部232は、筒部231を通過する原料液300を空間中に流出させる流出孔216が放射方向に設けられる部材であり、流出孔216の先端である開口部が円周上に並んで配置される外周部116と、外周部116から中央方向に向かって相互の間隔が徐々に広がるように配置され、外周部116から流出孔216を挟むように延設される二つの側面部117とを備える。
本実施の形態の場合、フランジ部232は、外に向かって厚みが徐々に薄くなる断面三角形状の円板である。具体的には、フランジ部232の直径は、10mm以上、300mm以下の範囲から採用されることが好適である。あまり大きすぎると、流出体211の回転軸が偏心するなど、重量バランスが少しでも偏ると大きな振動が発生してしまい、当該振動を抑制するために流出体211を強固に支持する構造が必要となるからである。一方、小さすぎると遠心力により原料液300を流出させるための回転を高めなければならず、駆動源の負荷や振動など問題が発生するためである。また、ナノファイバ製造装置100の大きさや流出させる原料液300の密度などを考慮すると、フランジ部232の直径は、50mm以上、85mm以下の範囲から選定することが好ましい。
流出孔216の孔長や孔径は、特に限定されるものではなく、原料液300の粘度などにより適した形状を選定すれば良い。具体的には、孔長は、0.1mm以上、5mm以下の範囲から選定されるのが好ましい。孔径は、0.1mm以上、2mm以下の範囲から選定されるのが好ましい。また、流出孔216の形状は、円筒形状に限定されるわけではなく、任意の形状を選定しうる。特に開口部の形状は、円形に限定されるわけではなく、三角形や四角形などの多角形、星形など内側に突出する部分のある形状などでもかまわない。
なお、本願発明に係る流出体211に置いて、筒部231やフランジ部232は必須の構成ではないが、フランジ部232の形状が示すように複数の流出孔216が滑らかな面で囲まれ電気的に特異な部分が存在することをできる限り抑制しているため、イオン風の発生を抑制し、安定した状態でナノファイバ301を製造することが可能となる。また、側面部117は外周部116に向かって徐々に細くなるように配置されているため、外周部116に電荷を集中させやすく、原料液300に効率的に電荷を供給することができる。
保持手段215は、流出体211を回転可能に保持する部材である。本実施の形態の場合、保持手段215は、ベアリングなどの軸受である。
駆動源213は、開口部から遠心力により原料液300を流出させる回転力を流出体211に付与する装置である。
本実施の形態の場合、流出体211は、図3に示すように、筒部231が保持手段215で回転可能に固定されており、駆動源213によって軸を中心に回転するものとなっている。一方、流出体211は、加圧手段130により筒部231の内部に配置されるピストン235に力が与えられ、筒部231の内部に貯留される原料液300がフランジ部232の内方に供給することができるものとなっている。
以上により流出体211は、回転による遠心力と加圧手段130による圧力により原料液300を流出させることができるものとなっている。なお、ここで説明する原料液300の流出方法は、単に一例を示したに過ぎない。さらに、当該記載は、本願発明を特定するための必須の事項ではなく、当業者が選択しうるあらゆる流出方法を採用することができる。例えば、回転による遠心力のみで原料液300を流出させてもよく、加圧手段130のみで原料液300を流出させてもよい。
加圧手段130は、筒部231の内方に配置されるピストン235に力を付与する装置である。本実施の形態の場合、気体の圧力でピストン235に力を付与するものとなっている。なお、加圧手段130は、流出体211の回転を維持したままピストン235に力を加えることができるものであれば、ステムなどを利用して機械的に力をピストン235に付与するものでもよい。また、加圧手段130は、筒部231の内部に原料液300を圧送するポンプなどでもよい。この場合、ポンプにより原料液300に対して与えられる供給圧力が原料液300を流出させる圧力となる。
図5は、誘引手段を示す斜視図である。
誘引手段120は、流出体211から流出した原料液300やナノファイバ301を誘引する装置である。同図に示すように、誘引手段120は、環状電極121と誘引電源122とを備えている。本実施の形態の場合、誘引手段120はさらに、第一棒状電極141と、第二棒状電極142と、第三棒状電極143と、第四棒状電極144と、板体123とを備えている。
環状電極121は、導電性を有する環状の部材であって、環状電極121が囲む空間を流出体211に対向するように配置されている(図1参照)。環状電極121は、誘引電源122と協働することにより流出体211と環状電極121との間に電界を発生させ、流出体211から流出した原料液300やナノファイバ301を環状電極121が配置される場所に誘引する機能を有している。本実施の形態の場合、環状電極121は円環形状となっており、流出体211の軸(回転軸)と環状電極121の軸とが一致するように配置されている。これにより、流出体211の各部分と環状電極121の各部分との距離が均一となり、均等な電界が発生し易い状態が創出されるものとなる。また、誘引手段として環状電極121を採用することで、環状電極121の流出体211側の端部の全周に電気力線が集中して発生するものと考えられる。また、環状電極121と直接、または、間接的に接続される被堆積部材101が帯電し、その帯電状況は、環状電極121に集中する電気力線が通過する位置が最も強く環状電極121の中心側に向けて次第に弱く帯電した状況となる。このような電気力線の状態、被堆積部材101の帯電状況となることで、製造されたナノファイバは、環状電極121の形状に沿って堆積すると共に、環状電極121で囲まれる部分の中心に向かってひろがるように堆積する。つまり、ナノファイバ301を面状に堆積させることができ、ナノファイバ301を堆積させて得られる不織布の膜厚を均一にすることが可能となる。また、環状電極121の大きさや形状を調整することで、原料液300やナノファイバ301の飛翔経路を容易に調整することができ、堆積するナノファイバ301の広がり状態を容易に調整することが可能となる。
また、環状電極121の径を、流出体211の径(開口部までの径)より十分大きくすることにより、原料液300やナノファイバ301の飛散領域を大きくすることができ、飛翔経路を長くすることができる。
また、環状電極121上の被体積部材101(絶縁体)上の帯電状況は、環状電極121に接続される位置が最も強く帯電し、環状電極121の中心側に向かうにつれて次第に帯電が弱くなっている。一方、流出孔216の位置と被堆積部材101との距離を考えると、図1に示すように、流出孔216の直下の被堆積部材101上の位置が流出孔216の位置に近く、環状電極121に接続される被堆積部材101上の位置は、流出孔216の位置から遠い。原料液300やナノファイバ301に作用する誘引手段120からの誘引力は、電荷が強く帯電している箇所(環状電極121に接続される位置)からのものが強くなり、一方、距離が近い箇所(流出孔216の直下の被堆積部材101上の位置)からのものが強くなる。つまり、帯電の強さおよび距離の近さの両方を総合的に見ると、やはり、環状電極に接続される位置が最も誘引力が強く、内側が少し弱くなるが全体的に均一な状況となる。これにより、均一な厚さでナノファイバ301を堆積することが可能となる。
なお、本願発明において環状電極121の形状は、円環形状に限定されるわけではなく、矩形を含む多角形の環形状であってもかまわない。
図6は、環状電極の断面を、一部を省略して示す平面図である。
本実施の形態の場合、環状電極121は、流出体211側(同図上側)の端部に流出体211に向かって徐々に厚さが薄くなる尖端部126を備えている。これにより、流出体211と環状電極121の尖端部126との間に集中して電界が発生することが可能となる。つまり、環状電極121の尖端部126に電気力線を集中させることが可能となる。また、環状電極121は、板体123(後述)を載置するための肩部124を備えている。板体123が載置された場合においても、板体123が環状電極121の流出体211側の端部である尖端部126よりも流出体211から遠い位置に配置されるように肩部124の位置が設定されている。
第一棒状電極141は、環状電極121の流出体211側に架橋状に配置される棒形状の導電性を有する部材である。本実施の形態の場合、第一棒状電極141は、環状電極121に直接接触して載置され、環状電極121と電気的に導通するものとなっている。
第二棒状電極142は、環状電極121の流出体211側に架橋状に配置され、第一棒状電極141と平行に配置される棒形状の導電性を有する部材である。本実施の形態の場合、第二棒状電極142は、第一棒状電極141と同様に環状電極121と接触状態で載置されている。
第一棒状電極141と第二棒状電極142とは、環状電極121と流出体211との間に形成される電界を環状電極121の内方に広げる機能を備えている。また、第一棒状電極141と第二棒状電極142とを平行に配置することで、電界を均等に広げている。これにより、電界に引き寄せられるようにして飛翔する原料液300やナノファイバ301が環状電極121の近傍から環状電極121の内方に至るまで均等に飛翔し、ナノファイバ301をより均等な厚さで堆積させることが可能となる。また、環状電極121から内方に向かってより均等にナノファイバ301を堆積させることが可能となり、円形状の堆積領域を工業的に用いやすい矩形形状の堆積領域に変形させることができる。また、第一棒状電極141と第二棒状電極142との距離や第一棒状電極141や第二棒状電極142の長さなどを変化させることで、ナノファイバ301の分布を容易に調整することが可能となる。
第一棒状電極141および第二棒状電極142の長さは、環状電極121の直径よりも長いことが好ましい。これにより、堆積させるナノファイバ301の厚みをより均等にすることが可能となる。
第三棒状電極143は、第一棒状電極141と第二棒状電極142とに架橋状に配置される棒形状の導電性を有する部材である。本実施の形態の場合、第三棒状電極143の一端は、第一棒状電極141の周面に突き合わされた状態で第一棒状電極141と固定されており、他端は第二棒状電極142の周面に突き合わされた状態で第二棒状電極142と固定されている。
第四棒状電極144は、第一棒状電極141と第二棒状電極142とに架橋状に配置され、第三棒状電極143と平行に配置される棒形状の導電性を有する部材である。本実施の形態の場合、第四棒状電極144も第三棒状電極143と同様に第一棒状電極141と第二棒状電極142とのそれぞれに突き合わされた状態で固定されている。
第三棒状電極143と第四棒状電極144とは、第一棒状電極141と第二棒状電極142との距離を固定する機能を備え、第一棒状電極141と第二棒状電極142とにより均等に広げられた電界を更に環状電極121の内方に広げる機能を備えている。従って、環状電極121から内方に向かってより均等にナノファイバ3091を堆積させることが可能となり、第一棒状電極141と第二棒状電極142の働きをより強くすることができる。つまり、より矩形形状の堆積領域に変形させることができる。
板体123は、環状電極121が囲む空間を覆う板状の部材である。板体123は、環状電極121に集中する電気力線をある程度維持しつつ、電気力線を環状電極121の内方に広げる機能を担う部材である。本実施の形態の場合、板体123は、導電性を備えており、環状電極121の肩部124に載置されることで電気的に接続された状態となっている。この場合においては、環状電極121と流出体211との間に生じる電界を維持するため、板体123は、流出体211から環状電極121の尖端部126よりも遠い位置に配置されている。
これにより、被堆積部材101の帯電状況について、環状電極121に集中する電気力線が通過する位置から環状電極121の中心側に向かって帯電が弱まる傾きが緩やかになる。従って、板体123を備えることにより、環状電極121から中心に向かってより均一にナノファイバ301を堆積させることが可能となる。
なお、板体123は、絶縁性の部材で構成されていてもよい。この場合、板体123の表面が帯電することで、電界を環状電極121の内方に広げることが可能となる。またこの場合、板体123の位置は特に限定されるものではなく、環状電極121の流出体211側に配置されていてもよい。また、板体123は、環状電極121の全体を覆うものでもかまわない。
また、板体123は、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔125が備えられている。貫通孔125は、後述の吸引手段102により発生する気体流を通過させるための孔であり、板体123を通過する気体流により、ナノファイバ301を誘引するための孔である。
誘引電源122は、流出体211と環状電極121との間に所定の電圧を印加して原料液300やナノファイバ301を誘引する電界を環状電極121に発生させる電源である。本実施の形態の場合、誘引電源122は、環状電極121を所定の電圧に維持することができる直流電源であり、一方が環状電極121に接続され、他方が接地されている(誘引電源122は、接地されている流出体211とアースを介して接続されている)。これにより、環状電極121に0V(接地状態)から200KV以下の範囲で設定された電圧を印加することができるものとなっている。
調整電極221は、環状電極121により誘引される原料液300やナノファイバ301の飛翔経路を調整する電界を発生させる導電性を有する部材である。本実施の形態の場合、調整電極221は、流出体211の筒部231の周囲を取り囲むように配置される円環状の部材である。
調整電源222は、流出体211と調整電極221との間に所定の電圧を印加して原料液300やナノファイバ301との飛翔経路を調整する電界を調整電極221に発生させる電源である。本実施の形態の場合、調整電源222は、調整電極221を所定の電圧に維持することができる直流電源であり、一方が調整電極221に接続され、他方が接地されている(調整電源222は、接地されている流出体211とアースを介して接続されている)。これにより、調整電極221に0V(接地状態)から200KV以下の範囲で設定された電圧を印加することができるものとなっている。
なお、原料液300やナノファイバ301の飛翔経路を調整する必要が無い場合、調整電極221と調整電源222とをナノファイバ製造装置100に設ける必要はない。
被堆積部材101は、静電延伸現象により製造され飛来するナノファイバ301を堆積させる部材である。本実施の形態の場合、被堆積部材101は、堆積したナノファイバ301と容易に分離可能な材質で構成された薄く柔軟性のある長尺のシート状の部材である。
本実施の形態の場合、被堆積部材101は、第一棒状電極141と第二棒状電極142との並び方向に延びた状態で流出体211側に配置されており、移送手段104により第二棒状電極142から第一棒状電極141に向けて移送されるものとなっている。
移送手段104は、被堆積部材101を移送することができる装置である。本実施の形態の場合、長尺の被堆積部材101を巻き取りながら供給手段111から引き出し、堆積するナノファイバ301と共に被堆積部材101を搬送するものとなっている。移送手段104は、不織布状に堆積しているナノファイバ301を被堆積部材101とともに巻き取ることができるものとなっている。
本実施の形態の場合、誘引手段120は、気体流を吸引する方式と電界で誘引する方式とを選択的に、または、同時に実施することができる装置となっており、吸引手段102をさらに備えている。
吸引手段102は、被堆積部材101および板体123の貫通孔125を通過する気体流を強制的に発生させる装置である。本実施の形態では、吸引手段102は、漏斗状のフード103と送風機105とを備え、環状電極121に対し流出体211と反対側に配置されて流出体211と環状電極121との間にある空気を吸引するものとなっている。
送風機105は、シロッコファンや軸流ファンなどの送風機であって、被堆積部材101から送風機105に向かう気体流を発生させることができる装置である。
また、吸引手段102は、原料液300から蒸発した溶媒が混ざったほとんどの気体流を吸引し、吸引手段102に接続される溶剤回収装置106まで前記気体流を搬送することができるものとなっている。
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて実現される別の実施の形態を本願発明の一例としてもよい。
例えば、誘引手段120が備える電極は、環状電極121のみで構成されていてもよい。更に、環状電極121と板体123との組合せでもよく、また、環状電極121と第一棒状電極141と第二棒状電極142との組合せでもよく、また、環状電極121と第一棒状電極141と第二棒状電極142と板体123との組合せなどでもよい。つまり、特許請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で任意に組み合わせることができる。
また、「平行」などの文言は、本願発明の趣旨を逸脱しない程度の誤差を許容する意味で使用している。
次に、上記構成のナノファイバ製造装置100を用いたナノファイバ301の製造方法を説明する。
本ナノファイバ製造方法に用いるナノファイバ製造装置100は以下の通りである。流出体211のフランジ部232は外径がΦ60mmである。流出孔216は、フランジ部232の周方向等間隔に24個設けられており、流出孔216の孔径は0.3mmである。流出孔216と調整電極221との距離は、流出孔216と環状電極121との距離よりも長くなるようにそれぞれを配置した。誘引電源122により環状電極121と流出体211との間に印加する電圧は、−30KV以上、−50KVの範囲から選定される電圧とした。調整電源222により調整電極221と流出体211との間に印加する電圧は、−20KV以上、−35KVの範囲から選定し、かつ、環状電極121と流出体211との間に印加される電圧よりも小さくした。流出体211は、2000rpmで回転させた。
ここで、ナノファイバ301を構成する樹脂であって、原料液300に溶解、または、分散する溶質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等およびこれらの共重合体等の高分子物質を例示できる。また、上記より選ばれる一種でもよく、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は、上記樹脂に限定されるものではない。
原料液300に使用される溶媒としては、揮発性のある有機溶剤などを例示することができる。具体的に例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水等を挙示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明に用いられる原料液300は上記溶媒を採用することに限定されるものではない。
さらに、原料液300に無機質固体材料を添加してもよい。当該無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、製造されるナノファイバ301の耐熱性、加工性などの観点から酸化物を用いることが好ましい。当該酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、CoO、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明の原料液300に添加される物質は、上記添加剤に限定されるものではない。
原料液300における溶媒と溶質との混合比率は、選定される溶媒の種類と溶質の種類とにより異なるが、溶媒量は、約60重量%から98重量%の間が望ましい。好適には溶質が5〜30重量%となる。
本実施の形態の場合、ナノファイバ301の材質はPVA(ポリビニルアルコール)を選定し、原料液300は、溶媒を水とし、水にPVAを10重量%で溶解したものを用いた。
次に、流出体211に加圧手段130からエアーを供給しピストン235を介して内部に貯留される原料液300に圧力を加える。同時に、流出体211を駆動源213により回転させる。圧力と遠心力により原料液300は、放射状に配置される複数の開口部から流出する(流出工程)。
前記流出工程に加え、流出体211と環状電極121との間に誘引電源122を用いて前記電圧を印加し、原料液300やナノファイバ301を誘引する電界を発生させて流出体211から流出した原料液300やナノファイバ301を環状電極121に誘引する(誘引工程)。
さらに、調整電極221と流出体211との間に調整電源222を用いて前記電圧を印加し、原料液300やナノファイバ301の飛翔経路を調整する電界を発生させて環状電極121により誘引される原料液300やナノファイバ301の飛翔経路を調整する(調整工程)。
ここで、流出体211に対し、環状電極121および調整電極221は同極性で高電圧(負)となっているため、電荷(正)が流出体211を介して原料液300に転移し、原料液300が帯電する(帯電工程)。なお、本実施の形態のように、開口部が尖った部分の先端に配置されると、先端部分に電荷が集中し、高い電荷密度で原料液300を帯電させる事ができるため、原料液300は強い帯電状態(高い電荷密度)で空間中に流出することとなる。
流出体211の径方向に流出された原料液300やナノファイバ301は、環状電極121から発生する電界に誘引されながら、調整電極221から発生する電界により飛翔経路が調整され、放射方向にも所定距離分飛翔する。
原料液300は、長く調整された飛翔経路の間で静電延伸現象によりナノファイバ301に変化しつつ(ナノファイバ製造工程)飛翔する。ここで、原料液300は、強い帯電状態(高い電荷密度)で流出しているため、静電延伸現象が容易に発生し、流出した原料液300のほとんどがナノファイバ301に変化していく。また、原料液300は、強い帯電状態(高い電荷密度)で流出しているため、静電延伸現象が何次にもわたって発生し、繊維径の細いナノファイバ301が大量に製造される。
以上により、環状電極121の流出体211側に配置された被堆積部材101上にナノファイバ301が堆積していく(堆積工程)。被堆積部材101は、移送手段104によりゆっくり移送されているため、ナノファイバ301も移送方向に延びた長尺の帯状部材として回収される。
以上のような構成のナノファイバ製造装置100を用い、ナノファイバ製造方法を実施することにより、ナノファイバ301を均等な膜厚で堆積させることが可能となる。特に、第一棒状電極141や第二棒状電極142の軸方向に均等な膜厚で堆積させることができ、かつ、長尺の被堆積部材101を移送手段により第一棒状電極141や第二棒状電極142の軸と垂直に移送することができるため、幅方向に膜厚が均一で、かつ、長さ方向にも均一なナノファイバ301の堆積物である不織布を製造することが可能となる。
また、同様の構成のナノファイバ製造装置100を用いれば、導電性を有する樹脂をナノファイバとして製造し、堆積させることができるため、イオン交換不織布などを製造することも可能となる。
また、図面には環状電極と流出体とを上下方向に記載しているが、これは単なる本願発明を実現しうる好ましい態様の一つを例示したに過ぎず、環状電極や流出体などをいかなる方向に配置するものでもかまわない。
また、ナノファイバ製造装置100は、径の小さい環状電極121を内側に追加して備えることにより、径の異なる環状電極121を複数個備えてもかまわない。この場合、複数の環状電極121の軸が一致するように配置することが好ましい。これにより、環状電極121の中心側に向けて分布する帯電を強く維持することができ、ナノファイバ301をより均等に堆積することが可能となる。
また、特許文献1、特許文献2に記載の装置に、誘引手段120を適用しても構わない。つまり、ナノファイバ301を誘引するために環状電極121に発生させる電界は、流出体211との間に発生させる電界ばかりでなく、流出体211以外で電極として機能する部材と環状電極121との間で発生する電界によりナノファイバ301を誘引するものでもかまわない。
本願発明は、ナノファイバを用いた糸や不織布の製造に利用可能である。特に、膜厚の均一性が要求される導電性を備えた不織布の製造に利用可能である。
100 ナノファイバ製造装置
101 被堆積部材
102 吸引手段
103 フード
104 移送手段
105 送風機
106 溶剤回収装置
111 供給手段
116 外周部
117 側面部
120 誘引手段
121 環状電極
122 誘引電源
123 板体
124 肩部
125 貫通孔
126 尖端部
130 加圧手段
141 第一棒状電極
142 第二棒状電極
143 第三棒状電極
144 第四棒状電極
211 流出体
213 駆動源
215 保持手段
216 流出孔
221 調整電極
222 調整電源
223 接地手段
231 筒部
232 フランジ部
235 ピストン
236 供給孔
300 原料液
301 ナノファイバ

Claims (9)

  1. 原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造装置であって、
    複数の流出孔から原料液を空間に放射方向に流出させる流出体と、
    環状の環状電極であって、当該環状電極が囲む空間を前記流出体に対向するように配置される環状電極と、原料液やナノファイバを誘引する電界を前記環状電極に発生させる誘引電源とを備え、前記流出体から流出した原料液やナノファイバを誘引する誘引手段と、
    前記誘引手段よりも流出体側に配置され、製造されるナノファイバを堆積させる被堆積部材と
    を備えるナノファイバ製造装置。
  2. 前記誘引手段はさらに、
    前記環状電極の前記流出体側に架橋状に配置される棒状の第一棒状電極と、
    前記環状電極の前記流出体側に架橋状に配置され、前記第一棒状電極と平行に配置される第二棒状電極とを備える
    請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
  3. 前記誘引手段はさらに、
    前記第一棒状電極と前記第二棒状電極とに架橋状に配置される棒状の第三棒状電極と、
    前記第一棒状電極と前記第二棒状電極とに架橋状に配置され、前記第三棒状電極と平行に配置される第四棒状電極とを備える
    請求項2に記載のナノファイバ製造装置。
  4. 前記被堆積部材は、前記第一棒状電極と前記第二棒状電極との並び方向に長い長尺のシート状の部材であり、
    当該ナノファイバ製造装置はさらに、
    前記第一棒状電極と前記第二棒状電極との並び方向に前記被堆積部材を移送する移送手段
    を備える請求項2に記載のナノファイバ製造装置。
  5. 前記誘引手段はさらに、
    前記環状電極が囲む空間を覆う板状の板体を備える
    請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のナノファイバ製造装置。
  6. 前記板体は、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔が備えられる
    請求項5に記載のナノファイバ製造装置。
  7. 前記板体は、導体であって、前記環状電極の前記流出体側の端部よりも前記流出体から遠い位置に配置される
    請求項5に記載のナノファイバ製造装置。
  8. 前記環状電極の前記流出体側の端部は、前記流出体に向かって徐々に厚さが薄くなる請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
  9. 原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造方法であって、
    複数の流出孔を備える流出体から帯電した原料液を空間に放射方向に流出させ、
    誘引電源を用いた電界により原料液やナノファイバを誘引する電界を環状の環状電極に発生させ、前記流出体から流出した原料液やナノファイバを誘引する
    ナノファイバ製造方法。
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