JP2011157275A - GaN結晶基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】GaN結晶基板上に成長させる半導体層のモフォロジーを低下させることなく、基板の結晶方位を識別することができるGaN結晶基板を提供する。
【解決手段】本GaN結晶基板は、マトリックス結晶領域11と、マトリックス結晶領域11の結晶に対して少なくとも1つの結晶軸が異なる結晶を含有する異方位結晶領域13とを含み、異方位結晶領域13の形状は、任意に特定される結晶方位を示すように形成されている。
【選択図】図3
【解決手段】本GaN結晶基板は、マトリックス結晶領域11と、マトリックス結晶領域11の結晶に対して少なくとも1つの結晶軸が異なる結晶を含有する異方位結晶領域13とを含み、異方位結晶領域13の形状は、任意に特定される結晶方位を示すように形成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、半導体デバイスなどに用いられるGaN結晶基板に関し、詳しくは、基板の結晶方位の識別ができるGaN結晶基板に関する。
発光デバイス、電子デバイス、半導体センサなどの各種の半導体デバイスの基板にGaN結晶基板が広く用いられている。ここで、GaN結晶基板の結晶成長させる面(表面ともいう、以下同じ)側に少なくとも1層の半導体層を形成することにより半導体デバイスが形成される。したがって、半導体デバイスを作製するために、GaN結晶基板の表面および裏面(結晶成長させる面の反対側の面をいう、以下同じ)を識別すること、すなわちGaN結晶基板の表裏を識別することが必要であった。
また、GaN結晶基板およびその表面側に形成された少なくとも1層の半導体層を含むウエハを所定の結晶方位に分割することにより各半導体デバイスのチップが得られる。したがって、半導体デバイスを作成するためにGaN結晶基板の結晶方位を識別することが必要であった。
かかるGaN結晶基板の表裏を識別するために、従来は、少なくとも2つのオリエンテーションフラットを形成することが必要であった。また、GaN結晶基板の結晶方位を識別するために、少なくとも1つのオリエンテーションフラットが、基板の特定方向(たとえば、<1−100>方向)に平行になるように形成されていた(たとえば、特許文献1を参照)。
しかし、かかるオリエンテーションフラットが形成されたGaN結晶基板の結晶成長させる面上に半導体層をエピタキシャル成長させると、成長した半導体層の厚さが、基板の中央部と上記のオリエンテーションフラット近傍とで異なるなど、半導体層のモフォロジーが低下する。一方、かかるオリエンテーションフラットが形成されていないGaN結晶基板においては、上記のような成長した半導体層のモフォロジーの低下の問題はないが、基板の表裏および/または結晶方位を識別することができない。
そこで、GaN結晶基板上に成長させる半導体層のモフォロジーを低下させることなく、基板の表裏および/または結晶方位を識別することができるGaN結晶基板の開発が望まれていた。
本発明は、GaN結晶基板上に成長させる半導体層のモフォロジーを低下させることなく、基板の結晶方位を識別することができるGaN結晶基板を提供することを目的のひとつとする。
また、本発明は、GaN結晶基板上に成長させる半導体層のモフォロジーを低下させることなく、さらに基板の表裏を識別することができるGaN結晶基板を提供することをも目的とする。
本発明は、マトリックス結晶領域と、マトリックス結晶領域の結晶に対して少なくとも1つの結晶軸が異なる結晶を含有する異方位結晶領域とを含み、この異方位結晶領域の形状は、任意に特定される結晶方位を示すように形成されているGaN結晶基板である。
本発明にかかるGaN結晶基板は、異方位結晶領域が基板の厚さ方向に貫通しており、基板の結晶成長させる面と裏面とにそれぞれ現われる異方位結晶領域の第1と第2のパターンが、基板の外形に関して互いに異なり得る。ここで、この異方位結晶領域は、マトリックス結晶領域の結晶に対してa軸方向が同じでありc軸方向が反転している結晶で形成されているc軸反転結晶領域とすることができる。また、この異方位結晶領域は、マトリックス結晶領域の結晶に対してa軸方向が異なりc軸方向が同じである結晶を複数含有する多結晶領域とすることができる。
本発明によれば、GaN結晶基板上に成長させる半導体層のモフォロジーを低下させることなく、基板の結晶方位を識別することができるGaN結晶基板を提供できる。また、本発明によれば、さらに基板の表裏を識別することができるGaN結晶基板をも提供できる。
(参考形態1)
図1を参照して、本発明にかかるGaN結晶基板の一参考形態は、結晶成長させる面10cの粗さRa(C)が10nm以下であり、結晶成長させる面10cの反対側の裏面10rの粗さRa(R)が0.5μm以上10μm以下であり、面粗さRa(C)に対する面粗さRa(R)の比Ra(R)/Ra(C)が50以上である。本参考形態のGaN結晶基板10は、その上に成長させる半導体層のモフォロジーを低下させることなく、基板の表裏を目視で容易に識別することができる。
図1を参照して、本発明にかかるGaN結晶基板の一参考形態は、結晶成長させる面10cの粗さRa(C)が10nm以下であり、結晶成長させる面10cの反対側の裏面10rの粗さRa(R)が0.5μm以上10μm以下であり、面粗さRa(C)に対する面粗さRa(R)の比Ra(R)/Ra(C)が50以上である。本参考形態のGaN結晶基板10は、その上に成長させる半導体層のモフォロジーを低下させることなく、基板の表裏を目視で容易に識別することができる。
ここで、面粗さRa(結晶成長させる面10cの粗さRa(C)および裏面10rの粗さRa(R)をいう、以下同じ)とは、粗さ曲面からその平均面の方向に所定の基準面積だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均面から測定曲面までの偏差の絶対値を合計してそれを基準面積で平均した値をいう。面粗さRaは、面粗さの小さい面については光干渉式の測定装置などを用いて、面粗さの大きい面については3D−SEM(3次元走査型電子顕微鏡)などを用いて、測定することができる。
結晶成長させる面10cの粗さRa(C)(以下、面粗さRa(C)ともいう)が、10nmより大きいとその面上に成長させる半導体層のモフォロジーが低下し、また、裏面10rの粗さRa(R)(以下、面粗さRa(R)ともいう)との差が小さくなって基板の表裏を目視で容易に識別することが困難となる。ここで、現在の研磨技術において、面粗さRa(C)は0.1nm程度まで小さくすることができる。
裏面10rの粗さRa(R)が、0.5μmより小さいと結晶成長させる面10cの粗さRa(C)との差が小さくなって基板の表裏を目視で容易に識別することが困難となり、10μmより大きいとGaN結晶基板の結晶成長させる面10c上に半導体層を成長させる際にGaN結晶基板の裏面とサセプタ(GaN結晶基板を配置し加熱するための台をいう、以下同じ)との間の接触が不均一となりサセプタからGaN結晶基板に伝わる熱分布が不均一となって成長させる半導体層のモフォロジーが低下する。
結晶成長させる面10cの粗さRa(C)に対する裏面10rの粗さRa(R)の比Ra(R)/Ra(C)が50より小さいと、Ra(R)とRa(C)との差が小さくなり、目視で容易に基板の表裏を識別することが困難となる。
(参考形態2)
図2を参照して、本発明にかかるGaN結晶基板の他の参考形態は、参考形態1のGaN結晶基板と同様に、結晶成長させる面10cの粗さRa(C)が10nm以下であり、結晶成長させる面10cの反対側の裏面10rの粗さRa(R)が0.5μm以上10μm以下であり、面粗さRa(C)に対する面粗さRa(R)の比Ra(R)/Ra(C)が50以上である。したがって、本参考形態のGaN結晶基板は、目視で容易に基板の表裏を識別することができる。
図2を参照して、本発明にかかるGaN結晶基板の他の参考形態は、参考形態1のGaN結晶基板と同様に、結晶成長させる面10cの粗さRa(C)が10nm以下であり、結晶成長させる面10cの反対側の裏面10rの粗さRa(R)が0.5μm以上10μm以下であり、面粗さRa(C)に対する面粗さRa(R)の比Ra(R)/Ra(C)が50以上である。したがって、本参考形態のGaN結晶基板は、目視で容易に基板の表裏を識別することができる。
さらに、図2を参照して、本参考形態のGaN結晶基板10は、その裏面10rに形成されているレーザマーク12を含み、このレーザマーク12は任意に特定される結晶方位10aを示すように形成されている。このレーザマーク12は、GaN結晶基板10の裏面10rに形成されているため、結晶成長させる面10c上にモフォロジーのよい半導体層を成長させることができる。また、このレーザマーク12は、GaN結晶基板10の任意に特定される結晶方位10aを示すように形成されていることにより、GaN結晶基板10の任意に特定される結晶方位10aを示すことができる。
ここで、図2を参照して、GaN結晶基板10の任意に特定される結晶方位10aを示すようにレーザマーク12を形成する方法には特に制限はなく、GaN結晶基板10の任意に特定される結晶方位10aとして、たとえば、<1−100>方向または<11−20>方向に平行になるように、レーザマーク12をGaN結晶基板10の裏面10rに直線状に形成することにより、それぞれ<1−100>方向または<11−20>方向の結晶方位を示すことができる。
レーザマーク12は、結晶成長させる面10cではなく裏面10rに形成されているため、形状には特に制限はないが、幅Wが30μm以上1000μm以下、深さDが5μm以上30μm以下および長さLが5mm以上20mm以下であることが好ましい。幅Wが30μmより小さいと目視による基板の表裏の判断が難しくなり、1000μmより大きいと基板の結晶成長させる面にエピタキシャル結晶を成長させる際に、基板の裏面10rとサセプタ(基板を保持する台をいい、サセプタ表面は基板の裏面と接触しており、基板を加熱する機能を有する。以下同じ。)との接触が悪くなり、良好なエピタキシャル結晶が得られにくくなる。深さDが5μmより小さいと目視による基板の表裏の判断が難しくなり、30μmより大きいと基板が割れやすくなる。長さLが5mmより小さいと所定の方位に合わる際に合せズレが生じやすくなり、20mmより大きいと基板の結晶成長させる面10c上にエピタキシャル結晶を成長させる際に、基板の裏面10rとサセプタとの接触が悪くなり、良好なエピタキシャル結晶が得られにくくなる。
なお、図2において、レーザマーク12は、任意に特定される結晶方位10aに対して平行になるように直線状に形成されているが、レーザマーク12は、任意に特定される結晶方位10aに対して一定の角度をなして形成することもできる。また、ドット状、記号および/または数字の列状に形成することもできる。
したがって、本参考形態のGaN結晶基板は、目視で容易に基板の表裏を識別することができるとともに、目視で容易に基板の結晶方位も識別することができる。
ここで、図2を参照して、GaN結晶基板10の裏面10rにレーザマーク12を形成する方法には、特に制限はないが、可視光(ピーク波長が約400nm〜800nmの領域にある光をいう)に対して透明なGaN結晶基板10の裏面10rにレーザマーク12を形成する場合には、ピーク波長が400nm以下の光ビームまたはピーク波長が5000nm以上の光ビームを、GaN結晶基板10の裏面10rに照射して、裏面10rに溝上の凹部を形成することにより行なうことができる。
(実施形態1)
図3および図4を参照して、本発明にかかるGaN結晶基板の一実施形態は、マトリックス結晶領域11と、マトリックス結晶領域11の結晶に対して少なくとも1つの結晶軸が異なる結晶を含有する異方位結晶領域13とを含み、この異方位結晶領域13の形状は任意に特定される結晶方位10aを示すように形成されている。
図3および図4を参照して、本発明にかかるGaN結晶基板の一実施形態は、マトリックス結晶領域11と、マトリックス結晶領域11の結晶に対して少なくとも1つの結晶軸が異なる結晶を含有する異方位結晶領域13とを含み、この異方位結晶領域13の形状は任意に特定される結晶方位10aを示すように形成されている。
異方位結晶領域13はマトリックス結晶領域11の結晶に対して少なくとも1つの結晶軸が異なる結晶を含有しているため、異方位結晶領域13はマトリックス結晶領域11と光の吸収量の違いによる明暗差が生じ、異方位結晶領域13とマトリックス結晶領域11とを目視で識別することができる。また、異方位結晶領域13の形状は、GaN結晶基板10の任意に特定される結晶方位10aを示すように形成されていることにより、GaN結晶基板10の任意に特定される結晶方位10aを示すことができる。
ここで、図3および図4を参照して、GaN結晶基板10の任意に特定される結晶方位10aを示すように異方位結晶領域13の形状を形成する方法には特に制限はなく、GaN結晶基板10の任意に特定される結晶方位10aが<1−100>方向または<11−20>方向である場合、たとえば、GaN結晶基板10の結晶成長させる面10cおよび裏面10rに現われる異方位結晶領域13の形状を<1−100>方向または<11−20>方向に平行な直線状または破線状に形成することにより、それぞれ<1−100>方向または<11−20>方向の結晶方位を示すことができる。
なお、図3において、異方位結晶領域13の形状は、任意に特定される結晶方位10aに対して平行になるように直線状に形成されているが、異方位結晶領域13は、任意に特定される結晶方位10aに対して一定の角度をなして形成することもできる。また、ドット状、記号列状に形成することもできる。
本実施形態においては、図3および図4に示すように、異方位結晶領域13はGaN結晶基板10の厚さ方向に貫通している。ここで、図3に示すように、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに同じであってもよい。また、図4に示すように、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに異なっていてもよい。
ここで、具体的には、図3に示す異方位結晶領域13のパターンの例は、以下のとおりである。第1のパターンP1と第2のパターンP2は、基板を厚さ方向に等分する平面10hに対して鏡面対称である。また、第1および第2のパターンP1,P2は、それぞれ基板の結晶成長させる面および裏面においてそれぞれの中心(図示せず)から外れた位置に現われる異方位結晶領域13を含む。ここで、この異方位結晶領域13の長手方向の中心線13kは一直線上にあり任意に特定される結晶方位10aに平行である。
また、図4に示す異方位結晶領域13のパターンの例は、以下のとおりである。第1のパターンP1と第2のパターンP2は、基板を厚さ方向に等分する平面10hに対して鏡面対称である。また、第1および第2のパターンP1,P2は、それぞれ基板の結晶成長させる面および裏面においてそれぞれの中心(図示せず)から外れた位置に現われる2つの異方位結晶領域13を含む。ここで、各異方位結晶領域13の長手方向の長さL1,L3は異なり、各異方位結晶領域13の長手方向の中心線13kは一直線上にあり任意に特定される結晶方位10aに平行である。
ここで、図3および図4を参照して、異方位結晶領域13の幅Wおよび長さLには特に制限はないが、幅Wは10μm以上1000μm以下、長さLは5mm以上20mm以下が好ましい。幅Wが10μmより小さいとGaN結晶成長にともない異方位結晶領域13が消失する場合があり、幅Wが1000μmより大きいとマトリックス結晶領域11が小さくなる。長さLが5mmより小さいと結晶方位がわかりにくく、また、GaN結晶成長にともない異方位結晶領域13が消失する場合がある。長さLが20mmより大きくなるとマトリックス結晶領域11が小さくなる。また、図3および図4においては、1本の直線状または破線状の形状の異方位結晶領域13が形成されているが、GaN結晶の成長に伴う異方位結晶領域13の消失を考慮すると、複数個(たとえば、複数の直線または破線状)の異方位結晶領域13を形成することが好ましい。
さらに、図3および図4を参照して、本実施形態のGaN結晶基板10において、参考形態1のGaN結晶基板と同様に、結晶成長させる面10cの粗さRa(C)が10nm以下であり、結晶成長させる面10cの反対側の裏面10rの粗さRa(R)が0.5μm以上10μm以下であり、面粗さRa(C)に対する面粗さRa(R)の比Ra(R)/Ra(C)が50以上であることが好ましい。比Ra(R)/Ra(C)が50以上であることにより、目視で容易に基板の表裏を識別することができる。
(実施形態2)
図4〜図8を参照して、本発明にかかるGaN結晶基板の他の実施形態は、実施形態1と同様に、マトリックス結晶領域11と、マトリックス結晶領域11の結晶に対して少なくとも1つの結晶軸が異なる結晶を含有する異方位結晶領域13とを含み、この異方位結晶領域13の形状は任意に特定される結晶方位10aを示すように形成されている。さらに、本実施形態のGaN結晶基板10は、異方位結晶領域13が基板の厚さ方向に貫通しており、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が基板の外形に関して互いに異なっている。
図4〜図8を参照して、本発明にかかるGaN結晶基板の他の実施形態は、実施形態1と同様に、マトリックス結晶領域11と、マトリックス結晶領域11の結晶に対して少なくとも1つの結晶軸が異なる結晶を含有する異方位結晶領域13とを含み、この異方位結晶領域13の形状は任意に特定される結晶方位10aを示すように形成されている。さらに、本実施形態のGaN結晶基板10は、異方位結晶領域13が基板の厚さ方向に貫通しており、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が基板の外形に関して互いに異なっている。
本実施形態のGaN結晶基板10は、異方位結晶領域13の形状が任意に特定される結晶方位10aを示すように形成され、かつ、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が基板の外形に関して互いに異なっているため、結晶成長させる面の粗さRa(C)に対する裏面10rの粗さRa(R)との比Ra(R)/Ra(C)の大小に拘らず、たとえば比Ra(R)/Ra(C)が50未満であっても、基板の結晶方位および表裏を識別することができる。
本実施形態のGaN結晶基板10において、結晶成長させる面10cに現われる異方位結晶領域13の第1のパターンP1と裏面10rに現われる異方位結晶領域13の第2のパターンP2が、基板の外形に関して互いに異なっているとは、基板の外形に関する位置関係において第1のパターンP1と第2のパターンP2が異なっていることを意味し、たとえば、以下の例が挙げられる。
図4を参照して、本実施形態における異方位結晶領域13のパターンの一例は、以下のとおりである。第1のパターンP1と第2のパターンP2は、基板を厚さ方向に等分する平面10hに関して鏡面対称である。また、第1および第2のパターンP1,P2は、それぞれ基板の結晶成長させる面および裏面においてそれぞれの中心(図示せず)から外れた位置に現われる2つの異方位結晶領域13を含む。ここで、各異方位結晶領域13の長手方向の長さL1,L3は異なり、各異方位結晶領域13の長手方向の中心線13kは一直線上にあり任意に特定される結晶方位10aに平行である。
図5を参照して、本実施形態における異方位結晶領域13のパターンの他の例は、以下のとおりである。第1のパターンP1と第2のパターンP2は基板を厚さ方向に等分する平面10hに関して鏡面対称である。また、第1および第2のパターンP1,P2は、それぞれ基板の結晶成長させる面および裏面においてそれぞれの中心(図示せず)から外れた位置に現われる面形状が三角形状の異方位結晶領域13を含む。ここで、この異方位結晶領域13の長手方向の中心線13kは任意に特定される結晶方位10aに平行である。
図6を参照して、本実施形態における異方位結晶領域13のパターンのさらに他の例は、以下のとおりである。第1のパターンP1と第2のパターンP2は基板を厚さ方向に等分する平面10hに関して鏡面対称である。また、第1および第2のパターンP1,P2は、それぞれ基板の結晶成長させる面および裏面においてそれぞれの中心(図示せず)から外れた位置に現われる面形状が四角形状の異方位結晶領域13を含む。ここで、この面形状が四角形状の異方位結晶領域13は一方の端部のみが基板の外周に接触し、この異方位結晶領域13の長手方向の中心線13kは任意に特定される結晶方位10aに平行である。
図7を参照して、本実施形態における異方位結晶領域13のパターンのさらに他の例は、以下のとおりである。第1のパターンP1と第2のパターンP2は基板を厚さ方向に等分する平面10hに関して鏡面対称である。また、第1および第2のパターンP1,P2は、それぞれ基板の結晶成長させる面および裏面においてそれぞれの中心(図示せず)から外れた位置に現われる面形状が多角形状の2つの異方位結晶領域13を含む。ここで、各異方位結晶領域13の幅W1,W2は互いに異なり、各異方位結晶領域13の中心を通る中心線13kは任意に特定される結晶方位10aに平行である。
図8を参照して、本実施形態における異方位結晶領域13のパターンのさらに他の例は、以下のとおりである。第1のパターンP1と第2のパターンP2が基板を厚さ方向に等分する平面10hに関して鏡面対称である。また、第1および第2のパターンP1,P2は、それぞれ基板の結晶成長させる面および裏面においてそれぞれの中心(図示せず)から外れた位置に現われる面形状が円形状の2つの異方位結晶領域13を含む。ここで、各異方位結晶領域13の直径W1,W2は互いに異なり、各異方位結晶領域13の中心を通る中心線13kが任意に特定される結晶方位10aに平行である。なお、円形状とは、円状および楕円状を含む。ここで、楕円状領域の直径とは、楕円の短直径または長直径を意味するものとする。
(実施形態3)
図3〜図8および図9(a)を参照して、実施形態1または実施形態2のGaN結晶基板10において、異方位結晶領域13は、マトリックス結晶領域11の結晶に対してa軸方向が同じでありc軸方向が反転している結晶で形成されているc軸反転結晶領域13tであることが好ましい。
図3〜図8および図9(a)を参照して、実施形態1または実施形態2のGaN結晶基板10において、異方位結晶領域13は、マトリックス結晶領域11の結晶に対してa軸方向が同じでありc軸方向が反転している結晶で形成されているc軸反転結晶領域13tであることが好ましい。
ここで、a軸方向が同じとは、c軸反転結晶領域13tに含まれる1つ以上の結晶のa軸とマトリックス結晶領域11に含まれる結晶のa軸とが、実質的に同じ向きの方向ベクトルを有し、両者のa軸のずれ角が30°未満であることをいう。ここで、軸のずれ角とは、2つの結晶において注目する結晶軸(たとえばa軸、c軸など)どうしがなす立体角をいい、XRD(X-ray diffraction)法、EBSP(Electron Back Scattering Pattern)法により測定することができる。
また、c軸方向が反転しているとは、c軸反転結晶領域13tに含まれる1つ以上の結晶のc軸がマトリックス結晶領域11に含まれる結晶のc軸に対して、その方向ベクトルが実質的に反対になっていることをいう。ここで、c軸の方向ベクトルが実質的に反対とは、c軸反転結晶領域13tに含まれる1つ以上の結晶のc軸とマトリックス結晶領域11に含まれる結晶のc軸とのずれ角が30°未満であり、その方向ベクトルの向きが反対であることをいう。
GaN結晶基板10のマトリックス結晶領域11およびc軸反転結晶領域13tは、蛍光顕微鏡により観察ができる。また、各結晶領域の結晶軸はXRD法により決定することができる。またc軸反転結晶領域13tとマトリックス結晶領域11との識別は、上記の蛍光顕微鏡観察の他、収束電子回折法による極性の違い、主面(結晶成長させる面10cおよび裏面10rをいう、以下同じ)の処理速度(研磨速度およびエッチング速度をいう、以下同じ)の違いなどにより容易に行なえる。
異方位結晶領域13がc軸反転結晶領域13tである場合、図9(a)を参照して、GaN結晶基板10の結晶成長させる面10cには、マトリックス結晶領域結晶11のGa原子面11gとc軸反転結晶領域13tのN原子面13nが現われ、GaN結晶基板10の裏面10rには、マトリックス結晶領域11のN原子面11nとc軸反転結晶領域13tのGa原子面13gが現われる。
ここで、GaN結晶において、N原子面はGa原子面に比べて処理速度が大きいため、GaN結晶基板10の主面(結晶成長させる面10cおよび裏面10r)を研磨またはエッチングなどにより処理すると、図9(a)に示すように、結晶成長させる面10c側ではc軸反転結晶領域13tのN原子面13nはマトリックス結晶領域結晶11のGa原子面11gに対して凹部を形成し、裏面10r側ではc軸反転結晶領域13tのGa原子面13gはマトリックス結晶領域11のN原子面11nに対して凸部を形成する。
このように、主面が研磨などにより処理されたGaN結晶基板10の主面においては、c軸反転結晶領域13tとマトリックス結晶領域11との境界部に段差が生じるため、c軸反転結晶領域13tの位置および形状の目視による識別が容易になる。かかる段差は、主面の処理条件により差があるが、概ね0.1μm〜2μm程度である。
また、図10を参照して、異方位結晶領域としてのc軸反転結晶領域13tを一部に含むGaN結晶基板10の製造方法は、特に制限はないが、たとえば以下のようにして行なうことができる。まず、下地基板1上に所定の形状(たとえば、幅W、長さLの直線状)にパターン化されたマスク層2を形成する。ここで、下地基板1は、GaN結晶をエピタキシャル成長させることができる基板であれば、特に制限はなく、サファイア基板、GaAs基板、SiC基板などが好ましく用いられる。また、マスク層2は、GaN結晶の成長を抑制するものであれば特に制限はなく、たとえば、アモルファスのSiO2層、アモルファスのSi3N4層などの絶縁層、Ti層、Ni層、W層などの金属層などが好ましく用いられる。かかるマスク層2は、スパッタ法、CVD(化学気相堆積)法などにより形成される。また、マスク層2のパターン化は、フォトリソグラフィー法などにより行なわれる。
次に、所定の形状(たとえば、幅W、長さLの直線状)にパターン化されたマスク層2が形成された下地基板1上に、GaN結晶5を成長させる。下地基板1上にはマトリックス結晶領域11が形成され、マスク層2上には所定の形状(たとえば、幅W、長さLの直線状)にパターン化されたc軸反転結晶領域13tが形成される。ここで、GaN結晶を成長させる方法は、エピタキシャル成長ができる成長方法であれば、特に制限はなく、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法などが好ましく用いられる。ここで、GaN結晶の成長速度が高い観点から、HVPE法が好ましく用いられる。
次に、上記のようにして得られたGaN結晶5を、下地基板1の主面に平行な面10u,10dでスライスし、その主面を研磨および/またはエッチングにより処理して、GaN結晶基板10が得られる。
(実施形態4)
図3〜図8および図9(b)を参照して、実施形態1または実施形態2のGaN結晶基板10において、異方位結晶領域13は、マトリックス結晶領域11の結晶に対してa軸方向が異なりc軸方向が同じである結晶を複数含有する多結晶領域13mであることが好ましい。
図3〜図8および図9(b)を参照して、実施形態1または実施形態2のGaN結晶基板10において、異方位結晶領域13は、マトリックス結晶領域11の結晶に対してa軸方向が異なりc軸方向が同じである結晶を複数含有する多結晶領域13mであることが好ましい。
ここで、a軸方向が異なるとは、多結晶領域13mに含まれる複数の結晶のa軸とマトリックス結晶領域11に含まれる結晶のa軸とが、実質的に異なる向きの方向ベクトルを有し、60°以下のずれ角を有することをいう。ここで、多結晶領域13mに含まれる複数の結晶のa軸方向は、マトリックス結晶領域11に含まれる結晶のa軸方向に対して、60°以下のずれ角の範囲内でランダムに分布している。
また、多結晶領域13mにおける結晶が、マトリックス結晶領域11の結晶に対して、c軸方向が同じとは、多結晶領域13mに含まれる複数の結晶のc軸がマトリックス結晶領域11に含まれる結晶のc軸とが、実質的に同じ向きの方向ベクトルを有し、両者のc軸のずれ角が30°未満であることをいう。
GaN結晶基板10のマトリックス結晶領域11および多結晶領域13mは、蛍光顕微鏡により観察ができる。また、各結晶領域の結晶軸はXRD(X線回折)法により決定することができる。また多結晶領域13mとマトリックス結晶領域11との識別は、上記の蛍光顕微鏡観察の他、XRD法、主面の処理速度の違いなどにより容易に行なえる。
異方位結晶領域13が多結晶領域13mである場合、図9(b)を参照して、多結晶領域13mは単結晶であるマトリックス結晶領域11に比べて主面(結晶成長させる面10cおよび裏面10r)の処理速度(研磨速度およびエッチング速度)が大きいため、GaN結晶基板10の主面を研磨などにより処理すると、図9(b)に示すように、結晶成長させる面10c側では多結晶領域13mのGa原子面13gはマトリックス結晶領域結晶11のGa原子面11gに対して凹部を形成し、裏面10r側でも多結晶領域13mのN原子面13nはマトリックス結晶領域11のN原子面11nに対して凹部を形成する。
このように、主面が研磨またはエッチングなどにより処理されたGaN結晶基板10の主面においては、多結晶領域13mとマトリックス結晶領域11との境界部に段差が生じるため、多結晶領域13mの位置および形状の目視による識別が容易になる。かかる段差は、主面の処理条件により差があるが、概ね0.1μm〜2μm程度である。
また、図11を参照して、異方位結晶領域としての多結晶領域13mを一部に含むGaN結晶基板10の製造方法は、特に制限はないが、たとえば以下のようにして行なうことができる。まず、下地基板1上に所定の形状(たとえば、幅W、長さLの直線状)にパターン化されたマスク層2を形成する。ここで、下地基板1は、GaN結晶をエピタキシャル成長させることができる基板であれば、特に制限はなく、サファイア基板、GaAs基板、SiC基板などが好ましく用いられる。また、マスク層2は、GaN結晶5の成長を抑制するとともにコア結晶3のa軸方向がマトリックス結晶領域の結晶のa軸方向と異なるようにコア結晶3がマスク層2上に形成される特性を有するものであれば特に制限はなく、アモルファスのSiO2層、アモルファスのSi3N4層などが好ましく用いられる。かかるマスク層2は、スパッタ法、CVD(化学気相堆積)法などにより形成される。また、マスク層2のパターン形成は、フォトリソグラフィー法などにより行なわれる。
次に、所定の形状(たとえば、幅W、長さLの直線状)にパターン化されたマスク層2が形成された下地基板1上に、GaN結晶5を成長させる。このとき、GaN結晶の成長条件を、GaNガスが過飽和となる条件(たとえば、HVPE法を用いてGaN結晶を成長させる場合においては、GaN結晶の成長開始から少なくとも3分間は、Ga原料ガスの分圧が2.5kPaよりも大きく、N原料ガスの分圧が30kPaよりも大きい条件)とすると、マスク層2上にGaNのコア結晶3が複数形成され、各々のコア結晶3からマトリックス結晶領域の結晶のa軸方向と方向が異なるa軸を有する結晶が成長して多結晶領域13mが形成される。
次に、上記のようにして得られたGaN結晶5を、下地基板の主面に平行な面10u,10dでスライスし、その結晶成長させる面および/または裏面を研磨および/またはエッチングにより処理して、GaN結晶基板10が得られる。
なお、本発明における面粗さ測定は、面粗さの小さい面については光干渉式の測定装置を用いて、面粗さの大きい面については3D-SEMを用いて、いずれも基準面積として100μm×100μmの正方形の範囲で測定を行なった。
(参考例1)
HVPE法により、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が15kPaの条件で、下地基板である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶を成長させた。このGaN結晶を下地基板の主面に平行にスライスして、図1に示す直径50mmで厚さ400μmのGaN結晶基板10を作製した。
HVPE法により、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が15kPaの条件で、下地基板である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶を成長させた。このGaN結晶を下地基板の主面に平行にスライスして、図1に示す直径50mmで厚さ400μmのGaN結晶基板10を作製した。
得られたGaN結晶基板10の裏面10rおよび結晶成長させる面10cを以下のようにして処理した。裏面の処理としては、粒径40μmのSiC砥粒をボンドで固定した固定砥粒を用いて研削した(研削工程)。結晶成長させる面の処理としては、粒径40μmのSiC砥粒をボンドで固定した固定砥粒を用いて研削し(研削工程)、粒径6μmのSiC砥粒を用いて研磨し(粗研磨工程)、続いて粒径2μmのSiC砥粒を用いて研磨した(微研磨工程)。
上記のようにして、結晶成長させる面の粗さRa(C)が7nm、裏面の粗さRa(R)が3μm、Ra(R)/Ra(C)が約430であるGaN結晶基板が得られた。このGaN結晶基板は、結晶成長させる面と裏面との光沢が異なり、目視で容易に表裏の識別ができた。
(参考例2)
図2を参照して、参考例1で得られたGaN結晶基板10の裏面10rに、CO2レーザを用いて、任意に特定される結晶方位10aとして<11−20>方向に平行に幅Wが100μmで深さDが25μmで長さLが10mmの直線状の溝であるレーザマーク12を形成した。本実施例のGaN結晶基板においては、目視による表裏の識別とともに、レーザマーク12により、目視によるGaN結晶基板10の結晶方位の識別が可能となった。
図2を参照して、参考例1で得られたGaN結晶基板10の裏面10rに、CO2レーザを用いて、任意に特定される結晶方位10aとして<11−20>方向に平行に幅Wが100μmで深さDが25μmで長さLが10mmの直線状の溝であるレーザマーク12を形成した。本実施例のGaN結晶基板においては、目視による表裏の識別とともに、レーザマーク12により、目視によるGaN結晶基板10の結晶方位の識別が可能となった。
(実施例3)
図3および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図3(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、幅Wが100μmで長さLが10mmの四角形状のアモルファスSiO2層を形成した。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、HVPE法により、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が15kPaの条件で、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
図3および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図3(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、幅Wが100μmで長さLが10mmの四角形状のアモルファスSiO2層を形成した。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、HVPE法により、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が15kPaの条件で、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
このGaN結晶5においては、サファイア基板(下地基板1)上にマトリックス結晶領域11が成長し、アモルファスSiO2層(マスク層2)上には異方位結晶領域13として図3および図10に示すような結晶表面に現われる形状が幅Wが95μmで長さLが10mmの四角形状のc軸反転結晶領域13tが成長した。
得られたGaN結晶5を、参考例1と同様にして、下地基板1の主面に平行にスライスして、直径50mmで厚さ400μmのGaN結晶基板10を作製した。得られたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13はGaN結晶基板10の厚さ方向に貫通しており、結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに同じであった。
ここで、一般に、異方位結晶領域13(本実施例においては、c軸反転結晶領域13t)の結晶成長速度はマトリックス結晶領域11に比べて小さいため、GaN結晶の成長厚さが大きくなるにつれて結晶表面に現われる異方位結晶領域13の幅Wは徐々に小さくなる傾向がある。しかし、厚さが400μm程度のGaN結晶基板10においては、結晶成長させる面10cに現われる異方位結晶領域13の幅と裏面10rに現われる異方位結晶領域13の幅はほぼ同じとなる。かかる点については、他の実施例についても同様である。
得られたGaN結晶基板の裏面および結晶成長させる面について参考例1と同様の処理を行なうことにより、結晶成長させる面10cの面粗さRa(C)が7nm、裏面の面粗さRa(R)が3μm、Ra(R)/Ra(C)が約430であるGaN結晶基板が得られた。このGaN結晶基板は、結晶成長させる面10cと裏面10rとの光沢が異なり、目視で容易に表裏の識別ができた。
また、本実施例のGaN結晶基板においては、目視による表裏の識別とともに、異方位結晶領域13(c軸反転結晶領域13t)の形状により、目視によるGaN結晶基板10の結晶方位の識別が可能となった。
(実施例4)
図4および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図4(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、幅Wが100μmで長さL1が4mmの四角形状のアモルファスSiO2層と、幅Wが100μmで長さL3が9mmの四角形状のアモルファスSiO2層を形成した。ここで、上記2つのアモルファスSiO2層は、それらの長手方向に長さL2が2mmの間隔を有するようにした。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、HVPE法により、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が15kPaの条件で、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
図4および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図4(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、幅Wが100μmで長さL1が4mmの四角形状のアモルファスSiO2層と、幅Wが100μmで長さL3が9mmの四角形状のアモルファスSiO2層を形成した。ここで、上記2つのアモルファスSiO2層は、それらの長手方向に長さL2が2mmの間隔を有するようにした。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、HVPE法により、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が15kPaの条件で、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
このGaN結晶5においては、サファイア基板(下地基板1)上にマトリックス結晶領域11が成長し、アモルファスSiO2層(マスク層2)上には異方位結晶領域13として図4および図10に示すような結晶表面に現われる形状が幅Wが95μmで長さL1が4mmの四角形状および幅Wが95μmで長さL3が9mmの四角形状のc軸反転結晶領域13tが成長した。ここで、上記2つの異方位結晶領域13(c軸反転結晶領域13t)は、それらの長手方向に長さL2が2mmの間隔を有していた。
得られたGaN結晶5を、参考例1と同様にして、下地基板の主面に平行にスライスして、直径50mmで厚さ400μmのGaN結晶基板10を作製した。得られたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13(c軸反転結晶領域13t)はGaN結晶基板10の厚さ方向に貫通しており、GaN結晶基板10の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに異なっていた。
得られたGaN結晶基板10の裏面10rおよび結晶成長させる面10cについて参考例1と同様の処理を行なうことにより、結晶成長させる面の粗さRa(C)が1.5nm、裏面の粗さRa(R)が3μm、Ra(R)/Ra(C)が2000であるGaN結晶基板が得られた。このGaN結晶基板は、結晶成長させる面と裏面との光沢が異なり、目視で容易に表裏の識別ができた。
また、本実施例のGaN結晶基板においては、目視による表裏の識別とともに、異方位結晶領域13(c軸反転結晶領域13t)の形状により、目視によるGaN結晶基板10の結晶方位の識別が可能となった。また、本実施例においては、GaN結晶基板10の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに異なっているため、面粗さRa(結晶成長させる面10cの粗さRa(C)および裏面10rの粗さRa(R))によっては基板の表裏の識別ができない場合であっても、基板の表裏および結晶方位の識別が可能となる。
(実施例5)
サファイア基板上に形成したマスク層をNi層とし、HVPE法によりGaN結晶を成長させる際の条件を、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が25kPaの条件としたこと以外は、実施例3と同様にして直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
サファイア基板上に形成したマスク層をNi層とし、HVPE法によりGaN結晶を成長させる際の条件を、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が25kPaの条件としたこと以外は、実施例3と同様にして直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
このGaN結晶5においては、サファイア基板(下地基板1)上にマトリックス結晶領域11が成長し、アモルファスSiO2層(マスク層2)上には異方位結晶領域13として図3および図11に示すような結晶表面に現われる形状が幅Wが95μmで長さLが10mmの四角形状の多結晶領域13mが成長した。
得られたGaN結晶5から、実施例3と同様にして、直径50mmで厚さ400μmのGaN結晶基板10を作製した。ここで、得られたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13(多結晶領域13m)はGaN結晶基板10の厚さ方向に貫通しており、結晶成長させる面10cおよび裏面10rにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに同じであった。
ここで、一般に、異方位結晶領域13(本実施例においては、多結晶領域13m)の結晶成長速度はマトリックス結晶領域11に比べて小さいため、GaN結晶の成長厚さが大きくなるにつれて結晶表面に現われる異方位結晶領域13の幅Wは徐々に小さくなる傾向がある。しかし、厚さが400μm程度のGaN結晶基板10においては、結晶成長させる面10cに現われる異方位結晶領域13の幅と裏面10rに現われる異方位結晶領域13の幅はほぼ同じとなる。かかる点については、他の実施例についても同様である。
得られたGaN結晶基板においては、目視による表裏の識別とともに、異方位結晶領域13(多結晶領域13m)の形状により、目視によるGaN結晶基板10の結晶方位の識別が可能となった。
(実施例6)
HVPE法によりGaN結晶を成長させる際の条件を、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が25kPaの条件としたこと以外は、実施例4と同様にして直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
HVPE法によりGaN結晶を成長させる際の条件を、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が25kPaの条件としたこと以外は、実施例4と同様にして直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
このGaN結晶5においては、サファイア基板(下地基板1)上にマトリックス結晶領域11が形成され、アモルファスSiO2層(マスク層2)上には異方位結晶領域13として図4および図11に示すような結晶表面に現われる形状が幅Wが95μmで長さL1が4mmの四角形状および幅Wが95μmで長さL3が9mmの四角形状の多結晶領域13mが成長した。ここで、上記2つの異方位結晶領域13(多結晶領域13m)は、それらの長手方向に長さL2が2mmの間隔を有していた。
得られたGaN結晶5から、実施例4と同様にして、直径50mmで厚さ400μmのGaN結晶基板10を作製した。ここで、得られたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13(多結晶領域13m)はGaN結晶基板10の厚さ方向に貫通しており、結晶成長させる面10cおよび裏面10rにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに異なっていた。
得られたGaN結晶基板においては、目視による表裏の識別とともに、異方位結晶領域13(多結晶領域13m)の形状により、目視によるGaN結晶基板10の結晶方位の識別が可能となった。また、本実施例においては、GaN結晶基板10の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに異なっているため、面粗さRa(結晶成長させる面10cの粗さRa(C)および裏面10rの粗さRa(R))によっては基板の表裏の識別ができない場合であっても、基板の表裏および結晶方位の識別が可能となる。
なお、面粗さRa(結晶成長させる面10cの粗さRa(C)および裏面10rの粗さRa(R))によっては基板の表裏の識別ができないGaN結晶基板10において、異方位結晶領域13がGaN結晶基板10の厚さ方向に貫通しており、GaN結晶基板10の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに異なっていれば、基板の表裏および結晶方位の識別が可能となることについて、以下の実施例に基づいて説明する。
また、裏面が窒素面である場合、上記した研削などの方法以外にも、窒素面がガリウム面と比較してエッチングされやすいことを利用して、面に凸凹を形成することができる。ここで、エッチング剤として、NaOH、KOHなどを用いることにより、上記と同様の効果が得られることを確認した。
(実施例7)
図3、図10および図11を参照して、実施例3または実施例5と同様にして成長されたGaN結晶5から下地基板1の主面に平行な面10u,10dでスライスされたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13が基板の厚さ方向に貫通しており、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに同じである。このGaN結晶基板10の結晶成長させる面10cおよび裏面10rの処理を、粒径40μmのSiC砥粒をボンドで固定した固定砥粒を用いて研削し(研削工程)、粒径5μmのSiC砥粒を用いて研磨し(粗研磨工程)、粒径1μmのAl2O3砥粒を用いて研磨した(微研磨工程)。
図3、図10および図11を参照して、実施例3または実施例5と同様にして成長されたGaN結晶5から下地基板1の主面に平行な面10u,10dでスライスされたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13が基板の厚さ方向に貫通しており、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに同じである。このGaN結晶基板10の結晶成長させる面10cおよび裏面10rの処理を、粒径40μmのSiC砥粒をボンドで固定した固定砥粒を用いて研削し(研削工程)、粒径5μmのSiC砥粒を用いて研磨し(粗研磨工程)、粒径1μmのAl2O3砥粒を用いて研磨した(微研磨工程)。
上記の結晶成長させる面10cおよび裏面10rの処理により得られたGaN結晶基板10の結晶成長させる面10cの粗さRa(C)は1.5nm、裏面10rの粗さRa(R)は1.5nmであり、面粗さRaによっては、基板の表裏の識別ができなかった。また、このGaN結晶基板10においては、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに同じであるため、異方位結晶領域13の形状により基板の結晶方位を識別できたが、基板の表裏を識別することはできなかった。
(実施例8)
図4、図10および図11を参照して、実施例4または実施例6と同様にして成長されたGaN結晶5から下地基板1の主面に平行な面10u,10dでスライスされたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13が基板の厚さ方向に貫通しており、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに異なっている。このGaN結晶基板10の結晶成長させる面10cおよび裏面10rの処理を、実施例7と同様に行なった。
図4、図10および図11を参照して、実施例4または実施例6と同様にして成長されたGaN結晶5から下地基板1の主面に平行な面10u,10dでスライスされたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13が基板の厚さ方向に貫通しており、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに異なっている。このGaN結晶基板10の結晶成長させる面10cおよび裏面10rの処理を、実施例7と同様に行なった。
この処理後のGaN結晶基板10の結晶成長させる面10cの粗さRa(C)は1.5nm、裏面10rの粗さRa(R)は1.5nmであり、面粗さRaによっては、基板の表裏の識別ができなかった。しかし、このGaN結晶基板10においては、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに異なっているため、異方位結晶領域13の形状により基板の結晶方位を識別できたとともに、基板の表裏を識別することができた。
(実施例9)
図5および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図5(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、底辺幅Wが40μmで高さLが10mmの二等辺三角形状のアモルファスSiO2層を形成した。ここで、この二等辺三角形の長手方向の中心線13kが、任意に特定される結晶方位10aとして成長させるGaN結晶の<11−20>方向に平行になるように、アモルファスSiO2層が形成された。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、HVPE法により、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が15kPaの条件で、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
図5および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図5(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、底辺幅Wが40μmで高さLが10mmの二等辺三角形状のアモルファスSiO2層を形成した。ここで、この二等辺三角形の長手方向の中心線13kが、任意に特定される結晶方位10aとして成長させるGaN結晶の<11−20>方向に平行になるように、アモルファスSiO2層が形成された。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、HVPE法により、Ga原料ガスであるGaClガスの分圧が2.5kPa、N原料ガスであるNH3ガスの分圧が15kPaの条件で、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
このGaN結晶5においては、サファイア基板(下地基板1)上にマトリックス結晶領域11が成長し、アモルファスSiO2層(マスク層2)上には異方位結晶領域13として図5および図10に示すような結晶表面に現われる形状が底面幅Wが35μmで高さLが10mmの二等辺三角形状のc軸反転結晶領域13tが成長した。この異方位結晶領域13(c軸反転結晶領域13t)の長手方向の中心線13kは、<11−20>方向と平行であった。
得られたGaN結晶5を、参考例1と同様にして、下地基板1の主面に平行にスライスして、直径50mmで厚さ400μmのGaN結晶基板10を作製した。得られたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13はGaN結晶基板10の厚さ方向に貫通しており、結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに異なっていた。
ここで、一般に、異方位結晶領域13(本実施例においては、c軸反転結晶領域13t)の結晶成長速度はマトリックス結晶領域11に比べて小さいため、GaN結晶の成長厚さが大きくなるにつれて結晶表面に現われる異方位結晶領域13の幅Wは徐々に小さくなる傾向がある。しかし、厚さが400μm程度のGaN結晶基板10においては、結晶成長させる面10cに現われる異方位結晶領域13の幅と裏面10rに現われる異方位結晶領域13の幅はほぼ同じとなる。かかる点については、他の実施例についても同様である。
得られたGaN結晶基板の裏面および結晶成長させる面について実施例7と同様の処理を行なった。かかる処理後のGaN結晶基板においては、結晶成長させる面10cの粗さRa(C)が1.7nm、裏面の粗さRa(R)が1.8nmであり、面粗さRaによっては、基板の表裏の識別ができなかった。しかし、このGaN結晶基板10においては、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに異なっているため、異方位結晶領域13の形状により基板の結晶方位を識別できたとともに、基板の表裏を識別することができた。
(実施例10)
図6および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図6(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、幅Wが30μmで長さLが5mmの四角形状のアモルファスSiO2層を形成した。ここで、この四角形の長手方向の中心線13kが、任意に特定される結晶方位10aとして成長させるGaN結晶の<1−100>方向に平行になるように、アモルファスSiO2層が形成された。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、実施例9と同様にして、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
図6および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図6(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、幅Wが30μmで長さLが5mmの四角形状のアモルファスSiO2層を形成した。ここで、この四角形の長手方向の中心線13kが、任意に特定される結晶方位10aとして成長させるGaN結晶の<1−100>方向に平行になるように、アモルファスSiO2層が形成された。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、実施例9と同様にして、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
このGaN結晶5においては、サファイア基板(下地基板1)上にマトリックス結晶領域11が成長し、アモルファスSiO2層(マスク層2)上には異方位結晶領域13として図6および図10に示すような結晶表面に現われる形状が幅Wが25μmで長さLが5mmの四角形状のc軸反転結晶領域13tが成長した。この異方位結晶領域13(c軸反転結晶領域13t)の長手方向の中心線13kは、<1−100>方向と平行であった。
得られたGaN結晶5を、参考例1と同様にして、下地基板1の主面に平行にスライスして、直径50mmで厚さ400μmのGaN結晶基板10を作製した。得られたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13はGaN結晶基板10の厚さ方向に貫通しており、結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに異なっていた。
得られたGaN結晶基板の裏面および結晶成長させる面について実施例7と同様の処理を行なった。かかる処理後のGaN結晶基板においては、結晶成長させる面10cの粗さRa(C)が1.7nm、裏面の粗さRa(R)が1.8nmであり、面粗さRaによっては、基板の表裏の識別ができなかった。しかし、このGaN結晶基板10においては、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに異なっているため、異方位結晶領域13の形状により基板の結晶方位を識別できたとともに、基板の表裏を識別することができた。
(実施例11)
図7および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図7(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、幅W1が20μmの正方形状および幅W2が40μmの正方形状のアモルファスSiO2層を形成した。ここで、この2つのアモルファスSiO2層の中心間の距離Lは10mmであり、この2つのアモルファスSiO2層の中心を通る中心線中心線13kが、任意に特定される結晶方位10aとして成長させるGaN結晶の<1−100>方向に平行になるように、アモルファスSiO2層が形成された。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、実施例9と同様にして、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
図7および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図7(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、幅W1が20μmの正方形状および幅W2が40μmの正方形状のアモルファスSiO2層を形成した。ここで、この2つのアモルファスSiO2層の中心間の距離Lは10mmであり、この2つのアモルファスSiO2層の中心を通る中心線中心線13kが、任意に特定される結晶方位10aとして成長させるGaN結晶の<1−100>方向に平行になるように、アモルファスSiO2層が形成された。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、実施例9と同様にして、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
このGaN結晶5においては、サファイア基板(下地基板1)上にマトリックス結晶領域11が成長し、アモルファスSiO2層(マスク層2)上には異方位結晶領域13として図7および図10に示すような結晶表面に現われる形状が幅W1が15μmの正方形状および幅W2が35μmの正方形状のc軸反転結晶領域13tが成長した。ここで、この2つの異方位結晶領域13(c軸反転結晶領域13t)の中心間の距離Lは10mmであり、この2つの異方位結晶領域13の中心を通る中心線13kは、GaN結晶の<1−100>方向と平行であった。
得られたGaN結晶5を、参考例1と同様にして、下地基板1の主面に平行にスライスして、直径50mmで厚さ400μmのGaN結晶基板10を作製した。得られたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13はGaN結晶基板10の厚さ方向に貫通しており、結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに異なっていた。
得られたGaN結晶基板の裏面および結晶成長させる面について実施例7と同様の処理を行なった。かかる処理後のGaN結晶基板においては、結晶成長させる面10cの粗さRa(C)が1.7nm、裏面の粗さRa(R)が1.8nmであり、面粗さRaによっては、基板の表裏の識別ができなかった。しかし、このGaN結晶基板10においては、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに異なっているため、異方位結晶領域13の形状により基板の結晶方位を識別できたとともに、基板の表裏を識別することができた。
(実施例12)
図8および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図8(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、直径W1が20μmの円状および直径W2が50μmの円状のアモルファスSiO2層を形成した。ここで、この2つのアモルファスSiO2層の中心間の距離Lは10mmであり、この2つのアモルファスSiO2層の中心を通る中心線13kが、任意に特定される結晶方位10aとして成長させるGaN結晶の<11−20>方向に平行になるように、アモルファスSiO2層が形成された。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、実施例9と同様にして、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
図8および図10を参照して、下地基板1である直径50.8mmで厚さ350μmのサファイア基板上に、スパッタ法およびフォトリソグラフィー法により、図8(a)と同様の形状にパターン化されたマスク層2として、直径W1が20μmの円状および直径W2が50μmの円状のアモルファスSiO2層を形成した。ここで、この2つのアモルファスSiO2層の中心間の距離Lは10mmであり、この2つのアモルファスSiO2層の中心を通る中心線13kが、任意に特定される結晶方位10aとして成長させるGaN結晶の<11−20>方向に平行になるように、アモルファスSiO2層が形成された。次に、上記の形状にパターン化されたアモルファスSiO2層(マスク層2)が形成されたサファイア基板(下地基板1)上に、実施例9と同様にして、直径50.8mmで厚さ3mmのGaN結晶5を成長させた。
このGaN結晶5においては、サファイア基板(下地基板1)上にマトリックス結晶領域11が成長し、アモルファスSiO2層(マスク層2)上には異方位結晶領域13として図8および図10に示すような結晶表面に現われる形状が直径W1が15μmの円状および直径W2が45μmの円状のc軸反転結晶領域13tが成長した。ここで、この2つの異方位結晶領域13(c軸反転結晶領域13t)の中心間の距離Lは10mmであり、この2つの異方位結晶領域13の中心を通る中心線13kは、GaN結晶の<11−20>方向と平行であった。
得られたGaN結晶5を、参考例1と同様にして、下地基板1の主面に平行にスライスして、直径50mmで厚さ400μmのGaN結晶基板10を作製した。得られたGaN結晶基板10においては、異方位結晶領域13はGaN結晶基板10の厚さ方向に貫通しており、結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、GaN結晶基板10の外形に関して互いに異なっていた。
得られたGaN結晶基板の裏面および結晶成長させる面について実施例7と同様の処理を行なった。かかる処理後のGaN結晶基板においては、結晶成長させる面10cの粗さRa(C)が1.7nm、裏面の粗さRa(R)が1.8nmであり、面粗さRaによっては、基板の表裏の識別ができなかった。しかし、このGaN結晶基板10においては、基板の結晶成長させる面10cと裏面10rとにそれぞれ現われる異方位結晶領域13の第1と第2のパターンP1,P2が、基板の外形に関して互いに異なっているため、異方位結晶領域13の形状により基板の結晶方位を識別できたとともに、基板の表裏を識別することができた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
1 下地基板、2 マスク層、3 コア結晶、5 GaN結晶、10 GaN結晶基板、10a 任意に特定される結晶方位、10c 結晶成長させる面、10d,10u 下地基板の主面に平行な面、10h 基板を厚さ方向に等分する平面、10r 裏面、11 マトリックス結晶領域、11g,13g Ga原子面、11n,13n N原子面、12 レーザマーク、13 異方位結晶領域、13k 中心線、13m 多結晶領域、13t c軸反転結晶領域。
Claims (4)
- マトリックス結晶領域と、前記マトリックス結晶領域の結晶に対して少なくとも1つの結晶軸が異なる結晶を含有する異方位結晶領域とを含み、
前記異方位結晶領域の形状は、任意に特定される結晶方位を示すように形成されているGaN結晶基板。 - 前記異方位結晶領域は前記基板の厚さ方向に貫通しており、
前記基板の結晶成長させる面と裏面とにそれぞれ現われる前記異方位結晶領域の第1と第2のパターンが、
前記基板の外形に関して互いに異なっている請求項1に記載のGaN結晶基板。 - 前記異方位結晶領域は、前記マトリックス結晶領域の結晶に対してa軸方向が同じでありc軸方向が反転している結晶で形成されているc軸反転結晶領域である請求項1に記載のGaN結晶基板。
- 前記異方位結晶領域は、前記マトリックス結晶領域の結晶に対してa軸方向が異なりc軸方向が同じである結晶を複数含有する多結晶領域である請求項1に記載のGaN結晶基板。
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