JP2011154802A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】加湿手段の機能を維持して安定して運転することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】酸化剤ガスおよび燃料ガスが供給されこれらガスの電気化学反応により発電を行う燃料電池と、燃料電池に酸化剤ガス供給流路を経由して酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段12と、燃料電池に燃料ガス供給流路を経由して燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、膜の外側と内側とで水分交換可能な複数の膜体を備え燃料電池から排出された排出酸化剤ガスの水分を酸化剤ガス供給流路20の酸化剤ガスに移す加湿手段とを備え、燃料電池から排出された排出ガスの流路から、酸化剤ガス供給流路20に架け渡されたバイパス流路23と、バイパス流路23に設けられた弁と、弁の開度を制御する制御手段と、燃料電池の温度を一定に調節可能な温調手段とを備え、制御手段は、燃料電池の発電電力が小さいほど弁の開度を大きくする燃料電池システム。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池に供給する空気を加湿手段で加湿するようにした燃料電池システムに係り、特に、加湿手段の機能を維持して燃料電池システムを安定して運転する技術に関する。
燃料電池としては、平板状の膜電極構造体(MEA:Membrane Electrode Assembly)の両側にセパレータが積層された積層体が単位セルとされ、複数の単位セルが例えば数百層積層されて燃料電池スタックとして構成された燃料電池が知られている。膜電極構造体は、正極(空気極、カソード)および負極(燃料極、アノード)を構成する一対の電極の間にイオン交換樹脂等からなる電解質膜が挟まれた三層構造である。このような燃料電池によると、例えば、燃料極側のガス拡散電極に面するガス流路に燃料ガスを流し、空気極側のガス拡散電極に面するガス流路に酸化剤ガスを流すと電気化学反応が起こり、発電が生じる。
ここで、上記のような電気化学反応を安定させて発電効率を高く維持するためには、電解質膜を飽和含水状態に維持して、イオン交換樹脂としての機能を確保する必要がある。たとえば、特許文献1には、ブロアから送り出された空気を加湿手段に流通させ、加湿手段内で燃料電池スタックから排出された使役後の空気(以下、カソードオフガスまたはオフガスと称する場合がある)や、使役後の燃料ガスに含まれる水分を空気に与える、すなわち水分交換するようにした燃料電池システムが開示されている。
また、特許文献2には、そのような加湿手段として、チャンバーに多数の中空糸膜をそれらの両端がチャンバーの外部に露出するように配置し、中空糸膜の内側にガスを流通させるとともに中空糸膜の外側であってチャンバーの内側に湿度の高いガスや水を流通させて水分交換するようにした技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、未使役の空気および燃料ガスを加湿器に通して加湿すると共に、リサイクルループを構成することによって、使役後の空気および燃料ガスをもこの加湿器に戻して、使役後のオフガスに含まれる水分を回収する技術が開示されている。
特開平6−132038号公報 特開平8−273687号公報 特開平5−94832号公報
しかしながら、燃料電池から排出されたオフガスは、燃料電池の運転状況によって湿度が変動する。例えば燃料電池が低負荷運転時の場合は、電気化学反応によって生成する水が少なく、しかも生成水が燃料電池内に留まるのを防ぐためにガス流量を実際に消費される量よりも多くすることから、オフガスの湿度が低くなってしまい、これを特許文献1のように未使役のガスと水分交換しても、オフガスが未使役のガスに与える水分が不十分であった。また、こうした低負荷時以外でも燃料電池スタックから排出されるオフガスの相対湿度が100%を下回る場合でも、同様に未使役のガスへの水分が不足する。さらに、加湿手段が中空糸膜で構成されている場合、この高温低湿のガスに接し続けると、中空糸膜に形成された細孔内の水蒸気が消失させられ、水分の受け渡しが円滑に行われなくなって加湿効率が大幅に低下するようになる(ドライアップ)。一旦このドライアップが生じると、中空糸膜が水分交換機能を取り戻すのに時間がかかり、その間は加湿手段として機能しなくなり、その結果、燃料電池の適正な加湿量での運転ができなくなるという問題があった。
また、特許文献2および3のように積極的に水を流通させて加湿する方法では、燃料電池に対して常に高湿ガスが供給されるため、燃料電池の高負荷運転時においては加湿が過剰となり、燃料電池内で結露して空気や燃料ガスの流通を阻害するという問題があった。
したがって、本発明は、燃料電池の負荷状況に関わらず常にガスの加湿状態を過不足なく維持し、安定して運転することができる燃料電池システムを提供することを目的としている。
本発明の燃料電池システムは、酸化剤ガスおよび燃料ガスが供給されこれらガスの電気化学反応により発電を行う燃料電池と、燃料電池に酸化剤ガス供給流路を経由して酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、燃料電池に燃料ガス供給流路を経由して燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、膜の外側と内側とで水分交換可能な複数の膜体を備え燃料電池から排出された排出酸化剤ガスの水分を酸化剤ガス供給流路の酸化剤ガスに移す加湿手段とを備え、燃料電池から排出された排出ガスの流路から、酸化剤ガス供給流路に架け渡されたバイパス流路と、バイパス流路に設けられた弁と、弁の開度を制御する制御手段と、燃料電池の温度を一定に調節可能な温調手段とを備え、制御手段は、燃料電池の発電電力が小さいほど弁の開度を大きくすることを特徴としている。
また、本発明においては、制御手段は、燃料電池の発電電力が所定の発電電力より小さい場合は弁を開成し、所定の発電電力より大きい場合は閉成することを好ましい態様としている。
上記構成の燃料電池システムによれば、加湿手段によって、未使役の酸化剤ガスに対して水分を多く含んだ排出酸化剤ガスの水分が加湿されるから、相対湿度が上昇した酸化剤ガスが燃料電池に供給され、これにより燃料電池の湿潤状態が良好となる。 また、乾いた酸化剤ガスを燃料電池が消費するよりも多く流すことで排出酸化剤ガスの湿度が低くなる燃料電池の低負荷運転時においては、加湿手段による水分交換に加えて、弁を開いて排出酸化剤ガスを未使役の酸化剤ガスに直接混合することで、上流から高湿な酸化剤ガスを供給するため、加湿量を補うことができる。また、排出酸化剤ガスの湿度が高い燃料電池の高負荷運転時においては、弁を閉じて排出酸化剤ガスの混合を抑制あるいは停止するため、燃料電池に対する過剰な加湿を抑制することができる。
本発明によれば、排出酸化剤ガスの湿度が低い低負荷運転時には加湿手段による水分交換に加えて直接排出ガスを混合して加湿を行い、湿度が高い高低負荷運転時には加湿手段による水分交換のみに加湿を抑制するため、燃料電池の負荷状況に関わらず常に酸化剤ガスの加湿状態を過不足なく維持して安定して燃料電池システムを運転することができるという効果が得られる。
従来の燃料電池システムを示す系統図である。 本発明の一実施形態の燃料電池システムを示す系統図である。 本発明の他の実施形態の燃料電池システムを示す系統図である。 本発明の他の実施形態の燃料電池システムを示す系統図である。 燃料電池電流に対する、バルブ開度、カソードストイキオメトリ、酸素利用率および湿度の関係を示すグラフである。
以下、図2を参照して本発明の実施形態を説明する。図2において符号10は燃料電池スタックであり、燃料電池スタック10は、燃料電池の単位セルを多数積層して構成されている。燃料電池スタック10の酸化剤ガス供給口には、加湿器(加湿手段)11が接続されている。これら燃料電池スタック10と加湿器11は、第1配管(酸化剤ガス供給流路)20により接続され、空気が第1配管20から加湿器11に流入するようになっている。また、燃料電池スタック10と加湿器11とは第2配管(排出酸化剤ガス流路)21によって接続され、燃料電池スタック10から排出されるカソードオフガスを加湿器11に供給するようになっている。
ここで、加湿器11は、チャンバーに、水分交換のための中空糸膜を多数平行に束ねたものを内蔵して構成されている。中空糸膜は中空状の細い糸の膜であって、その膜は、ガスの浸透は阻止するが水分すなわち水分子の浸透は許容するという性質を有する。この場合、水分は水蒸気分圧の高い方向から低い方向に中空糸膜を介して浸透する。したがって、中空糸膜の内側に相対湿度の低いガスを流通させ、外側に相対湿度の高いガスを流通させると、水分は中空糸膜の外側から内部に浸透し、相対湿度の低いガス中に拡散してその湿度を上昇させる。なお、中空糸膜の内側に相対湿度の高いガスを流通させ、外側に相対湿度の低いガスを流通させても同じ作用を得ることができる。
この実施形態では、第1配管20が中空糸膜の内側に接続され、第2配管21が中空糸膜の外側であってチャンバーの内側に接続されている。したがって、中空糸膜の内側には加湿されていない相対湿度の低い空気が供給され、中空糸膜の外側には、燃料電池使役後の、相対湿度が100%またはそれに近いカソードオフガスが供給され、中空糸膜においてカソードオフガスに含まれる水分が燃料電池に供給される空気に水分交換される。
燃料電池スタック10には、図示しない温調手段が設けられている。この温調手段は、燃料電池スタック10を一定の温度に維持するものであり、例えば、燃料電池スタック10の周囲に冷却水や燃料ガス等の配管を設けて流通させることにより、温度調節を行う。
第1配管20において加湿器11の上流側には、エアポンプ(酸化剤ガス供給手段)12が設けられており、このエアポンプ12によって空気が圧縮されて加湿器11に供給される。
燃料電池スタック10の燃料ガス供給口には、図示しない燃料ガス供給手段が、第3配管(燃料ガス流路)22により接続され、水素等の燃料ガスが燃料電池スタック10に供給されるようになっている。
第1配管20の最上流側と、第2配管21の最下流側との間は、第4配管(排出酸化剤ガスバイパス流路)23によって接続され、第4配管23上には、この管の開閉を行うオフガス循環弁13が設けられている。さらに、この弁13は、図示しない制御手段に接続されている。燃料電池スタック10の出力が低い場合には、燃料電池の電気化学反応で生成される水の量が少なく、カソードオフガスの相対湿度が低くなり、逆に出力が高い場合には、生成する水の量が多くなり、加湿が過剰となるため、制御手段は、燃料電池の運転状況をモニターし、その結果によって弁13の開度を制御するにように構成されている。この制御手段としては公知の方法を採用することができる。
例えば、燃料電池の発電電力を常時監視し、発電電力が所定の基準発電電力より低い低負荷運転時には弁13を開いてカソードオフガスを空気に混合させ、所定の基準発電電力より高い高負荷運転時には弁を完全に閉じてカソードオフガスの混合を停止するON−OFF制御とすることができる。または、所定の基準発電電力を設定せずに、発電電力が最小の際に弁13の開度を最大とし、発電電力の増加に伴って弁の開度を連続的に小さくしてカソードオフガスの混合流量を調節することもできる。
図1は、従来の燃料電池システムの系統図を示し、本願発明の第1実施形態と比較すると、第4配管23およびオフガス循環弁13を有さないものである。したがって、水分交換を行うのは加湿器11のみであり、カソードオフガスの湿度が低い燃料電池の低負荷運転時においては、加湿器11による水分交換のみでは交換に供される水分量が不足し、湿度が低い空気が燃料電池に供給されてしまう。しかしながら、本願発明によれば、カソードオフガスの湿度が低い燃料電池の低負荷運転時においては、加湿器11による水分交換に加えて、弁13を開いて排出酸化剤ガスを未使役の酸化剤ガスに直接混合することで、上流から高湿な酸化剤ガスを供給するため、空気の加湿量を補うことができる。
また、カソードオフガスの湿度が高い燃料電池の高負荷運転時においては、弁13を閉じて排出酸化剤ガスの混合を抑制あるいは停止するため、燃料電池に対する過剰な加湿を抑制することができる。
図5は、燃料電池電流に対する、バルブ開度、カソードストイキオメトリ、酸素利用率および湿度の関係を示すグラフである。グラフに示すように、燃料電池電流が破線で示す基準値より低い低負荷領域では弁の開度を上げてカソードオフガスを混合させて空気に追加の加湿を行うことにより、低負荷領域で低下する傾向にある湿度を向上させていることが分かる。なお、ここで、カソードストイキオメトリは、カソードに酸素を供給した場合の「1/酸素利用率(%)」を示すものであり、低負荷領域でカソードストイキオメトリを増加させているのは、酸素の供給が目的ではなく、供給流速による燃料電池スタック内の結露水排除が目的であり、したがって、本発明において酸素の少ないカソードオフガスを混合したガスを流しても、酸素分圧低下による影響は微小である。
本発明の他の実施形態としては、図2における第4配管24およびオフガス循環弁13の設置箇所を変更することができる。例えば図3に示すように、エアポンプ12を第1配管20上において燃料電池スタック10の上流側であってかつ加湿器の下流側に設けるとともに、第4配管24およびオフガス循環弁13を、第1配管20上においてはエアポンプ12の上流側でありかつ加湿器11の下流側と、第2配管21上においては加湿器11の上流側とを接続するように設けることができる。
また、図4に示すように、エアポンプ12を第1配管20上において燃料電池スタック10の上流側であってかつ加湿器の下流側に設けるとともに、第4配管24およびオフガス循環弁13を、第1配管20上においては最上流側と、第2配管21上においては最下流側と接続するように設けることができる。
なお、上記各実施形態では、加湿器として中空糸膜を備えたものを用いたが、特許文献1に記載されたような水蒸気透過膜を有するものなど公知の加湿器を本発明に適用することができる。
本発明では、燃料電池の低負荷運転時には加湿を補い、高負荷運転時には加湿を抑制して燃料電池内の結露を防止し、燃料電池の安定した運転が確保されるので、厳しい信頼性が求められる自動車用の燃料電池システムに適用して極めて有望である。
10 燃料電池スタック、
11 加湿器、
12 エアポンプ(酸化剤ガス供給手段)、
13 オフガス循環弁、
20 第1配管(酸化剤ガス供給流路)、
21 第2配管(排出酸化剤ガス流路)、
22 第3配管(燃料ガス供給流路)、
23 第4配管(バイパス流路)。



Claims (2)

  1. 酸化剤ガスおよび燃料ガスが供給されこれらガスの電気化学反応により発電を行う燃料電池と、
    前記燃料電池に酸化剤ガス供給流路を経由して酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
    前記燃料電池に燃料ガス供給流路を経由して燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
    膜の外側と内側とで水分交換可能な複数の膜体を備え、前記燃料電池から排出された排出酸化剤ガスの水分を前記酸化剤ガス供給流路の酸化剤ガスに移す加湿手段とを備え、
    前記燃料電池から排出された排出ガスの流路から、前記酸化剤ガス供給流路に架け渡されたバイパス流路と、
    前記バイパス流路に設けられた弁と、
    前記弁の開度を制御する制御手段と、
    前記燃料電池の温度を一定に調節可能な温調手段とを備え、
    前記制御手段は、前記燃料電池の発電電力が小さいほど前記弁の開度を大きくすることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記制御手段は、前記燃料電池の発電電力が所定の発電電力より小さい場合は前記弁を開成し、所定の発電電力より大きい場合は閉成することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014192020A (ja) * 2013-03-27 2014-10-06 Osaka Gas Co Ltd 固体高分子型燃料電池の運転方法及び固体高分子型燃料電池
CN113036177A (zh) * 2021-02-04 2021-06-25 深圳市氢蓝时代动力科技有限公司 燃料电池空气路控制系统与燃料电池

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