JP2011153902A - 過渡運転性能適合試験装置、過渡運転性能適合試験方法及び制御プログラム - Google Patents

過渡運転性能適合試験装置、過渡運転性能適合試験方法及び制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】加速状態において所定の基準を満たしながら、トレードオフの関係となる最適なエンジンの出力を発揮することができるエンジンの設定値を選択することを目的とする。
【解決手段】エンジン2の制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得部121と、出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け部123と、対応付け部123により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択部126と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、加速状態におけるECUの最適な設定値を決定する過渡運転性能適合試験装置、過渡運転性能適合試験方法及び制御プログラムに関する。
従来より、自動車用エンジンの開発においては、エンジン本体の開発に加えて、エンジン本体の作製後に、エンジンを制御するECU(Engine Control Unit、エンジンコントロールユニット)の開発(設定値の決定)が行われる。ECUの開発は、エンジン本体の開発にも増して重要であり、ECUの設定次第では、エンジン本体の性能を十分に発揮することができない。
ECUの開発は、製作されたエンジンを所定の設定の下で、実際に制御駆動させることにより行われる。そして、エンジンを制御駆動させた結果を計測し、この計測データに基づいて、再度、ECUの設定にフィードバックする、いわゆる、適合試験により行われる。
また、ECUの開発においては、パワーやトルク等の走行性能の特性の他に、燃料消費の特性やエミッション(排気ガス)の特性等において、車両を購入するユーザや環境への負荷等の様々な要求を満たすように開発を行わなければならない。
したがって、適合試験では、エンジンの特性を加味して、燃費向上や排気ガスの清浄化といったような要求を満たす性能を最大限に発揮することを目的として行われる。
このように多岐にわたる要求を満たさなければならない適合試験では、上述したようにECUの設定を決定するために、エンジンを実際に駆動させて設定に必要なデータの収集を行う(駆動試験)が、設定可能範囲のすべてにおいて、データの収集を行おうとすると膨大な時間や費用がってしまう。そこで、適合試験では、所定の設定でのみ駆動試験を行い、それ以外の設定に関しては、駆動試験のデータに基づいて、それ以外を想定して、設定値を決定する。最終的にECUの設定は、適合試験において、駆動試験から収集されたデータ(実測値)と、実測値から想定される値からとにより決定される。
上述した適合試験で計測される様々なエンジンの特性は、それぞれ関係していることも多く、例えば、NOxやオパシのように、一方の特性を向上させると他方の特性が低下するような、いわゆる、トレードオフの関係にあるものがある。このような特性の場合には、いずれか一方の特性を優先して設定値を決定するわけにはいかず、他の値との関係からそれぞれが劣ることのない最適な値を求める必要がある。
トレードオフの関係にある複数の特性の組み合わせについて最適な組み合わせを導き出すためには、例えば、数学的手法である組み合わせ最適化により最適解群を導き出すことにより、複数のどの値にも優越しない特性の組み合わせを導き出すことが行われる。
また、適合試験のエンジンの駆動状況については、どのような状態で行うかも重要であり、一般的にはエンジンの制御を一定にした状態で試験を行う定常状態下で、目的とする設定のみを変更して行う。近年、適合試験においては、ECUによるエンジンの制御がより複雑に行えるようになったこともあり、より実際の走行状態に近い状態となる過渡状態下においても適合試験を行う必要がある。例えば、排気ガス等の特性については、過渡状態においての基準が設けられ、この基準を満たさなければ、車両の登録を行わない等の措置もとられる。このため、過渡状態において、この基準に適合するように最適な特性を発揮するECUの設定を行うための適合試験の手法が求められている。
特許文献1には、過渡状態におけるエンジンの特性を計測し、その出力値に基づいて、エンジンの設定を変更するものが記載されている。この特許文献1に記載されるエンジンの特性の計測は、回転とトルクを変動させた過渡状態の変化に合わせてエンジンの制御も変動させることにより、より最適なエンジンの性能を発揮させた状態で適合試験を行うものである。
特開2005−195542号公報
しかし、特許文献1に記載される過渡状態におけるエンジンの制御は、例えば、制御を行う者の経験則や勘等の独自の観点で決定されて、計測試験に供される。つまり、このように決定された制御の下で計測された結果は、果たして最適なものであるか定かではない。また、エンジンの制御を行う者により結果が異なる上に、他のエンジンとの客観的な評価を行うことができないという問題があった。
本発明は、過渡状態のうちの加速状態において所定の基準を満たしながら、トレードオフの関係となる最適なエンジンの出力を発揮することができるエンジンの設定値を選択することができることを目的とする。
本発明に係る過渡運転性能適合試験装置は、上記課題を解決するために、エンジンの制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得部と、出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け部と、前記対応付け部により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択部と、を備えることを特徴とする。
上記過渡運転性能適合試験装置は、加速を行わない定常状態で前記所定の時間を所定の設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力値の組み合わせと、前記最適解に対応する設定値とに基づいて、所定範囲における設定値のマップを作成するマップ作成部を備えることを特徴とすることが好ましい。
上記最適解選択部は、前記データ取得部により取得された出力値を初期値として、多目的遺伝アルゴリズムを利用して算出することを特徴とすることが好ましい。
上記過渡運転性能適合試験装置は、所定の時間内に加速を行わない定常状態で駆動制御した結果の出力値に基づいて、前記所定の加速時間における設定値の変更箇所を決定する変更箇所決定部を備えることを特徴とすることが好ましい。
上記エンジンの制御要素は、EGR及びVGTに関連する制御要素であることを特徴とすることが好ましい。
上記エンジンの出力要素は、燃料消費といずれかのエミッション要素(一酸化炭素、二酸化炭素、NOx、HC、又はスモーク)との組み合わせ、又は、エミッション要素(一酸化炭素、二酸化炭素、NOx、HC、又はスモーク)の組み合わせであることを特徴とすることが好ましい。
本発明に係る過渡運転性能適合試験方法は、上記課題を解決するために、エンジンの制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得工程と、出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け工程と、前記対応付け工程により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る制御プログラムは、上記課題を解決するために、エンジンの制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得手段と、出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け手段と、前記対応付け手段により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、加速状態において所定の基準を満たしながら、トレードオフの関係となる最適なエンジンの出力を発揮することができるエンジンの設定値を選択することができる。
本発明の過渡運転性能適合試験の概要を示す図である。 本発明における過渡運転性能適合試験装置の機能を示す機能ブロック図である。 本発明における過渡運転性能適合試験方法を示すフロー図である。 加速時間の決定の一例を示す図で、(a)は走行モード(JE05)を示す図、(b)は走行モード(JE05)の一部拡大図、(c)は所定の箇所を取り出して加速時間を算出する図である。 所定の加速条件下におけるEGR開度の設定値の推移を示す図で、(a)は750rpmを示す図、(b)は1000rpmを示す図、(c)は1250rpmを示す図である。 エンジンの駆動試験を示す図で、(a)は設定値を示す図であり、(b)は計測機での計測結果を示す図である。 出力値の評価を行うための図で、(a)はあてはめに対する実測を示す散布図、(b)はあてはめに対する残差を示す散布図、(c)は計測順番に対する残差を示す散布図、(d)は残差に対する正規確率を示す散布図である。 多目的遺伝アルゴリズムにおける多点探索を示す模式図で、(a)は初期化工程を示す模式図、(b)は淘汰工程を示す模式図、(c)は交叉及び突然変異工程を示す模式図、(d)は最適解選択工程を示す模式図である。 本実施形態における最適解を示す図で、(a)は出力値から算出した最適解集合から1の最適解の抽出を示す図、(b)は図9(a)で抽出された最適解に基づいて、各噴射量の値を補間により導き出した図である。 多層グラフを示す図で、(a)はベースマップを3次元表示した図、(b)は加速状態における最適解マップを3次元表示した図、(c)は差分マップを3次元表示した図、(d)はベースマップを2次元等高線グラフ表示した図、(e)は加速状態における最適解マップを2次元等高線グラフ表示した図、(f)は差分マップを2次元等高線グラフ表示した図である。
以下、本発明の実施の形態について、図1から10を用いて説明する。
過渡運転性能適合試験装置1は、図1に示すように、駆動対象となる自動車用エンジン2(以下、エンジンという。)にECU3(エンジンコントロールユニット)と排気ガス計測機4(以下、計測機という。)とを介して接続される。
エンジン2には、ECU3(エンジンコントロールユニット)が接続される。このECU3は、ECU3内の記憶部(図示せず)に記憶されたエンジン2の制御要素の設定値(ECUマップ)に基づいて、エンジン2を制御駆動可能に構成される。また、ECU3は、エンジン2を直接制御する制御要素(燃料噴射タイミング、燃料噴射量等の内燃機関に関する制御要素)に加えて、エンジン2に間接的に影響を与える制御要素(吸排気機関等に関する制御要素)を制御可能に構成される。本実施形態においてECU3は、少なくとも、回転数、トルク、燃料噴射量、後述するEGR開度、又は、後述するVGT開度等のエンジン2の駆動に関する制御が可能に構成される。
また、エンジン2の吸排気管5には、EGRユニット6と、VGTユニット7とが接続される。
なお、EGR(排気再循環、Exhaust Gas Recirculation)とは、燃焼後の排気ガスの一部を取り出し、吸気側へ導き再度吸気させることであり、シリンダへの再度の吸気により、シリンダ内の燃焼温度を下げて、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)の排出量を抑制することを目的として行われる。吸気への再吸気の調節は、排気管5に接続され、シリンダに接続される排気流弁(EGRバルブ)の開閉の割合(以下、EGR開度という。)を変化させて行う。本実施形態においては、エンジン2の吸排気制御をEGRバルブの開閉をECU3により制御する。
また、VGT(可変容量ターボ、Variable Geometry Turbocharger)とは、排気ガスを利用して、過給機のタービンを回して、圧縮した空気をシリンダ内に送り込むことであり、自然吸気による吸気超える混合気をシリンダ内に送り込むことができるため高い出力を得る目的として行われる。シリンダへの送風の調節は、吸気側に設けられるVGTバルブの開閉の割合(以下、VGT開度という。)を変化させることをいう。本実施形態においては、エンジン2の吸排気制御をVGTバルブの角度をECU3により制御する。
さらに、エンジン本体2及びエンジン2の排気管5には、計測機4が接続される。
計測機4は、主に排気ガス等のエミッション要素や燃料消費等を計測可能に構成される。
また、計測機4は、本実施形態においては、エミッション要素のうち、少なくとも、スモークオパシ(以下、単にオパシという。)、一酸化炭素、二酸化炭素、NOx又はHC(炭化水素)を計測可能に構成される。なお、オパシは、計測機4により、排気ガス中の粒子状物質に対する光の透過率(スモーク透過度)として、計測される。
過渡運転性能適合試験装置1は、図2に示すように、記憶部11と、処理部12と、表示部13と、入力操作部14と、を備える。
記憶部11は、実験計画データや取得されたデータ等を記憶する。入力操作部14は、ECU3の設定変更等をユーザにより操作可能に構成される。表示部13は、ECU3の設定結果や処理部12での処理結果、初期設定等を表示する。本実施形態における過渡運転性能適合試験装置1は、入出力及び操作可能な演算処理装置であるコンピュータとして構成される。
処理部12は、実験計画法に基づいて算定されたデータ(以下、実験計画データという。)や取得されたデータに基づいて、ECU3の設定を行う。
このように構成される過渡運転性能適合試験装置1により、実験計画データに基づいて、ECU3が設定される。そして、このECU3の設定に基づいて、エンジン2を制御駆動させた結果を計測機4で計測する。過渡運転性能適合試験装置1は、計測機4により計測したエンジン2の駆動結果に基づいて、エンジン2の開発基準に則って再度、ECU3の設定を行うエンジン開発における運転性能適合試験に供することができる。
以上のように構成される本実施形態の過渡運転性能適合試験装置1は、過渡状態のうちの加速状態において所定の基準を満たしながら、トレードオフの関係となる最適なエンジン2の出力を発揮することができるエンジン2の設定値を選択する機能を有する。
なお、過渡状態とは、試験時間内において、エンジン2の制御値を変化させ続けた状態(例えば、所定の時間内にスロットルを開き続けた状態)のことをいい、加速状態及び減速状態を含むものである。本実施形態においては、過渡状態の中でも、加速状態における過渡運転性能適合試験装置1に適用される。また、本実施形態において、加速状態とは、所定時間において、スロットル開度を0%から100%まで上げた状態をいう。
これに対して定常状態とは、過渡状態に対応する用語であり、試験時間内において、エンジン2の設定値を変化させない状態のことをいう。
また、所定の基準とは、例えば、燃料消費基準や排気ガス基準であり、本実施形態においては、排気ガス基準のうち、排気ガス基準(走行モード(JE05)に従った駆動試験下における排気ガスの基準)を満たすことを前提とする。
また、トレードオフの関係とは、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという二律背反する関係(例えば、エミッション要素のうち、NOxとオパシとの関係)をいう。
過渡運転性能適合試験装置1は、さらに、データ取得部121と、対応付け部123と、最適解選択部126とを備える。
データ取得部121は、エンジン2の制御要素(例えば、EGRとVGTに関する制御要素)に係る設定値(例えば、EGR開度とVGT開度)に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素(例えば、NOxとオパシ)に係る出力値(例えば、NOx値とオパシ値)の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得する。
データ取得部121は、エンジン2を所定の加速時間(例えば、2秒)内で設定値(EGR開度やVGT開度)を変更することより制御駆動した結果の出力値(NOx値とオパシ値)を取得する。
また、データ取得部121は、本実施形態においては、さらに、車両諸元データd1、走行モードデータd2、定常駆動データd3及び過渡駆動データd4を取得する。
車両諸元データd1は、例えば、シリンダ径等のエンジン2の形状等の車両の情報のデータである。
走行モードデータd2は、排ガス規制基準の目安となる走行状態を規定したデータである。
定常駆動データd3は、所定の設定の下、定常状態(スロットル開度一定にした状態)でエンジン2を駆動させて実際に計測をした出力値や、計測した出力値(実測値)から予測した出力値(予測値)の設定データである(後述するベースマップデータを含む。)。
過渡駆動データd4は、所定の設定の下、加速状態においてエンジン2を駆動させて、実際に計測をした出力値や、計測した出力値(実測値)から予測した出力値(予測値)の設定データである。本実施形態において、過渡駆動データd4は、所定の回転数及び所定の加速時間において、EGR開度及びVGT開度を変化させた駆動試験において計測されるデータである。
対応付け部123は、出力値(NOx値とオパシ値)の組み合わせと設定値(EGR開度とVGT開度)とを対応付ける。
本実施形態においては、対応付け部123は、取得した出力値の計測機4による計測誤差を調整するために、遅れ補正部124と出力値評価部125とを有する。
遅れ補正部124は、本実施形態においてはエミッション要素を測定するために、計測時間と設定制御時間とのずれが生じるために設定値と出力値との対応付けを行う。
出力値評価部125は、遅れ補正部124により対応付けられた出力値の評価を行う。出力値の評価とは、計測された出力値の計測上の誤差等の評価である。
最適解選択部126は、対応付け部123により対応付けられた複数の出力値の組み合わせ(NOx値とオパシ値との組み合わせ)に基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解(NOx値とオパシ値との組み合わせ)を選択する。最適解か求められることにより、出力値と設定値とが対応付けられているために、NOx値とオパシ値との組み合わせに対応するEGR開度とVGT開度を知ることができる。
なお、最適解(パレート解)とは、複数の出力値(NOx値とオパシ値)の組み合わせの中で、所定の出力値の組み合わせにおいて、所定の組み合わせを構成する一方の出力値(NOx値)が他の組み合わせの出力値(NOx値)よりも優れており、他方の出力値(オパシ値)が他の組み合わせの他方の出力値(オパシ値)よりも劣っていない出力値の組み合わせのことをいう。つまり、最適解(パレート解)は、ある目的関数の値を改善するためには、少なくとも他の1の目的関数の値を改悪せざるを得ないような数学における最適化問題の解と定義される。
また、数学における最適化問題においては、本実施形態において出力値に相当する用語が目的関数であり、設定値に相当する用語が設計変数である。この際、最適化とは、上述した最適解を算出(選択)することであり、多目的最適化とは、複数のトレードオフの関係となる目的関数についての最適解の算出(選択)することをいう。
最適解選択部126は、データ取得部121により取得された出力値(NOx値とオパシ値)に基づいて、最適解が選択される。本実施形態においては、最適解選択部126は、取得する出力値の組み合わせにより、1の最適解又は複数の最適解(最適解集合)を選択(算出)する。
このように構成される過渡運転性能適合試験装置1は、例えば、実際の使用頻度の高い加速時間内でエンジン2の制御要素の設定値を変更して制御駆動した場合のトレードオフの関係にある複数の出力要素の出力値の組み合わせ(NOx値とオパシ値の組み合わせ)を外部装置等からデータ取得部121により取得する。
そして、過渡運転性能適合試験装置1は、データ取得部121により取得した出力値の組み合わせに基づいて、複数の出力値の組み合わせを選択(算出)することができる。
また、過渡運転性能適合試験装置1は、これら複数の出力値の組み合わせのうちで、他の出力値の組み合わせに優越されることがない出力値の組み合わせを複数選択(算出)することができる。
このように算出される他の出力値の組み合わせが優越しない出力値の組み合わせは、トレードオフの関係にある出力値の組み合わせの中では、最適な組み合わせであるために、ユーザは、ユーザのニーズに合った出力値の組み合わせを選択することができる。
また、過渡運転性能適合試験装置1は、所定の加速時間内において、設定値を変更して制御駆動した出力値を取得して、この出力値から最適な値を求めるために、自動車は実際の運転状態は非加速状態よりも加速状態の方が多いために、より実際の走行に近い状態での最適な設定値を求めることができる。したがって、ユーザは、この設定値をECUマップ等に反映させることにより、最適な測定値の組み合わせを出力するECU3の開発をすることができる。
また、過渡運転性能適合試験装置1は、さらに、マップ作成部130を備える。
マップ作成部130は、加速を行わない定常状態で前記所定の時間を所定の設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力値の組み合わせと、最適解に対応する設定値とに基づいて、所定範囲における設定値のマップを作成する。
マップ作成部130は、噴射量補間部131と、回転数補間部132とを有する。噴射量補間部131は、後述する最適解抽出部129やユーザにより抽出された最適解から、設定値の状態に基づいて、所定の噴射量の範囲内の出力値(予想される出力値)を補間することにより導き出すように構成される。回転数補間部132は、噴射量補間部131により導き出された所定の噴射量の範囲内の出力値から、所定の回転数の出力値を補間により導き出すように構成される。
このように構成される過渡運転性能適合試験装置1は、最適解抽出部129により、例えば、所定の基準を満たしたエンジン2の出力を発揮し、さらに、NOxの排出量が少ない等の最適解を抽出することにより、この趣旨に沿ったエンジン2の設定(所定範囲における設定値のマップ)を算出することができるために、ECUマップを作成することができる。また、このエンジン2の設定をグラフ化(3次元の多層マップや2次元等高線状の多層マップ)して表示することにより、ユーザが視覚的に判断しやすくなる環境を提供することができる。
なお、最適解の抽出は、本実施形態においては、ユーザにより操作入力部を介して行われる。また、過渡運転性能適合試験装置1は、ユーザによる最適解の抽出を行わずに、さらに、最適解抽出部129により最適解を抽出するように構成しても良い。最適解抽出部129は、所定の設定(例えば、排気ガス基準をクリアした上で、最もNOx値が低い最適解を抽出する設定や、排気ガス基準をクリアした上で、バランスの良い最適解を抽出する設定等)に基づいて、最適解を抽出する。
このように過渡運転性能適合試験装置1を構成することにより、データ取得部121により、所定のデータを取得するだけで、ECUマップの作成までを自動的に行うことができる。
また、最適解選択部126は、データ取得部121により取得された出力値を初期値として、多目的遺伝アルゴリズムを利用して選択(算出)する。
また、最適解選択部126は、初期値抽出部127と、最適解探索部128とを有する。初期値抽出部127は、後述する多目的遺伝アルゴリズムの初期化工程を行うための初期値を出力値から抽出する。最適解探索部128は、初期値抽出部127により抽出された初期値から最適解を探索する。
多目的遺伝アルゴリズムとは、多目的最適化問題の解を導き出す手法の一種であり、多目的最適化問題を多点検索という機能を利用して解を導き出すことができる。本実施形態においては、この多目的遺伝アルゴリズムを用いて、トレードオフの関係となる目的関数の組み合わせのうち、他の目的関数の組み合わせに優越するような組み合わせとなる最適解集合を(選択)算出する。
また、多目的遺伝アルゴリズムとは、概念的には、解の候補を複数算出し、これらを生物(遺伝子)と考える。この解は、最適化に適した遺伝子は自らのコピーを作ることができ、適さない解は死滅すると捉えて消去(淘汰)される。また、この解は、コピーを作る際に突然変異及び交叉が起きて新たな解が次々と生成される。このようにして、多目的遺伝アルゴリズムは、複数の解から淘汰、交叉、又は突然変異を繰り返すことによって、最適解へ向けて複数の解が収束し、最終的に最適解の集合を導き出すことができる。
したがって、過渡運転性能適合試験装置1においては、多目的遺伝アルゴリズムの多点探索を利用して複数の最適解(最適解集合)を算出するために、例えば、スカラ手法等に比して、1度の探索で最適解集合を効率的に算出することができ、エンジン開発に係る時間を短縮することができる。
また、過渡運転性能適合試験装置1は、変更箇所決定部122を備える。
変更箇所決定部122は、所定の時間内に加速を行わない定常状態で駆動制御した結果の出力値に基づいて、所定の加速時間における設定値の変更箇所を決定する。
このように構成される過渡運転性能適合試験装置1は、定常状態による結果(例えば、駆動時間による出力の変化)を利用して、設定値の変更箇所を決定するために、不要な試験回数を減らすことができ、エンジン開発に係る時間を短縮できると共に、エンジン2の特性に応じた効率的な試験を行うことができる。
また、過渡運転性能適合試験装置1は、EGR及びVGTをエンジン2の制御要素として用いることができる。EGRとVGTの個別の制御要素についても、1の駆動試験を行ってECU3の設定を決定することができるために、ECU開発にかかる時間と費用を削減することができる。
また、過渡運転性能適合試験装置1は、燃料消費といずれかのエミッション要素(一酸化炭素、二酸化炭素、NOx、HC、又はスモーク)との組み合わせ、又は、エミッション要素(一酸化炭素、二酸化炭素、NOx、HC、又はスモーク)の組み合わせをエンジン2の出力要素として用いることができる。
したがって、走行モード(JE05)等の排ガス基準に適合した上で、さらに、最適なエンジン2の出力を発揮するエンジン2の開発を行うことができる。
以上のように構成される過渡運転性能適合試験装置1は、さらに、差分値算出部133とを備える。
差分値算出部133は、算出された加速状態における設定値と定常状態における設定値との差分を算出する。
次に、加速状態でのECUマップの作成方法について、図3を用いて説明する。
まず、ECUマップの作成方法の概要について説明する。ECUマップの作成方法は、データ取得工程ST1と、対応付け工程ST2、最適解選択工程ST3と、マップ作成工程ST4と、表示工程ST5とからなる。
データ取得工程ST1は、外部装置等によりエンジン2の制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得する。
対応付け工程ST2は、データ取得工程ST1により取得された出力値と設定値とを対応付ける。
最適解選択工程ST3は、前記対応付け工程により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する。
マップ作成工程ST4は、最適解選択工程ST3で算出された最適解集合の中から1の最適解を抽出し、この最適解に基づいて、過渡状態におけるECUマップを作成する。
表示工程ST5は、マップ作成工程ST4で作成されたECUマップに基づいて、3次元の多層マップ、2次元の等高線状の多層マップ、差分マップを作成し、表示する。
なお、過渡運転性能適合試験方法は、データ取得工程ST1と、対応付け工程ST2と、最適解選択工程ST3により、構成しても良い。このように構成することにより過渡運転性能適合試験方法は、所定の加速時間内において、設定値を変更して制御駆動した出力値を取得して、この出力値から最適な値を求めるために、自動車は実際の運転状態は非加速状態よりも加速状態の方が多いために、より実際の走行に近い状態での最適な設定値を求めることができる。したがって、ユーザは、この設定値をECUマップ等に反映させることにより、最適な測定値の組み合わせを出力するエンジン開発を行うことができる。
次に、ECUマップ作成方法の詳細について、図3を用いて説明する。
本実施形態におけるエンジン2の駆動試験(以下、単に駆動試験という)は、実験計画法により決定され、所定の回転数(750rpm、1000rpm及び1250rpm)で、所定の時間(2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒及び9秒)エンジン2を加速させる。各時間においてエンジン2を加速させた状態で、所定のポイント(秒数)で設定値(EGR開度及びVGT開度)を変更させた状態で出力(エミッションの内、本実施形態においてはNOx及びオパシ)を計測する。また、所定ポイントでの各設定値は、本実施形態においては25パターンの組み合わせが設定される。
なお、本実施形態において、所定のポイントとは、図5(a)から(c)に示すように、ベースマップに基づいて決定された切り替えポイントP(後に詳述する。)において、EGR開度及びVGT開度の設定値を変更するポイントである。
したがって、駆動試験は、25パターンの設定値を変更させたものを、回転数毎に行い、さらに、加速時間(秒数)を変更して行う。そして、実測の精度を高めるために同設定において3反復(3回)の駆動試験を行う。
具体的には、本実施形態において、出力値は、エンジン2装置から取得される出力値は所定の回転数においてエンジン2を駆動させ、所定の時間内でスロットル開度を0%から100%(閉状態から全開状態)まで調整した状態(加速状態)でEGR開度とVGT開度を変更して得たエミッション(NOx値とオパシ値)の積算値を用いる。
したがって、最適解の選択(算出)及びECUマップの作成は、所定加速時間及び所定の回転数の条件下で、25パターンの設定値の設定状態でのデータに基づいて行われる。したがって、25パターンで3反復の計75回の駆動試験が行われる。この駆動試験が、所定の回転数(本実施形態においては、3回転数)について行われ、最終的には、これらについて、所定の加速時間(本実施形態においては、8段階の時間)で行われる。
なお、上述した加速時間は、図4(a)に示す走行データ(本実施形態においては、走行モード(JE05)下における排気ガス基準)に基づいて決定される。
加速時間の決定方法は、まず、図4(a)に示す走行データでの加速時間の頻度を算出することにより行われる。図4(b)に示すように、各速度の変化から加速箇所を特定する。次に、特定された加速箇所において、図4(c)に示すように、速度変化をスロットル開度の移行時間に変換することにより、加速時間を割り出す。
全加速箇所において、加速時間を割り出すことにより、加速時間の頻度が分かるために、この加速時間の頻度と、駆動試験の実施回数とを考慮して、駆動試験に供する加速時間を決定する。
また、駆動試験を行う前に、加速状態で最適な設定を行うために、加速時間内で設定値の変更を行う。このため、加速時間内でどのタイミングで、設定値の変更回数及び変更値の決定をする。変更箇所の決定方法について図5を用いて説明する。なお、図5中において、四角はベースマップでの所定の噴射量におけるEGR開度の設定値を示し、三角及び丸は切り替えポイントPに基づいて、任意に決定された所定の噴射量におけるEGR開度の設定値を示す。また、図5中において、P1及びP2は切り替えポイントであり、BP1は安定した運転ができる限界最小点(最小ベースポイント)であり、BP2は安定した運転ができる限界最大点(最大ベースポイント)である。
設定値の変更箇所は、変更箇所決定部122により、データ取得部121で取得された定常状態での設定値のデータ(ベースマップ)に基づいて、決定される。
ベースマップは、例えば、図5(a)において、四角で示すように、定常状態の運転により測定された値(本実施形態においては、オパシ値及びNOx値)を基にして決定された各噴射量での最適な設定値(EGR開度)からなる。すなわち、ベースマップは、予め行なわれた定常適合試験の結果、作成されたECUマップである。
変更箇所決定部122は、設定値の変更回数を決定する。本実施形態においては、駆動試験の精度と時間を考慮して設定値の変更回数を2回(切り替えポイントP1及び切り替えポイントP2)とされる。なお、本実施形態において、切り替えポイントの数(設定値の変更回数)は、駆動試験の精度と駆動試験の時間を考慮して2回としたが、これに限られない。切り替えポイントの数は、例えば、さらに精度を高めたい場合には回数を多く設定し、駆動試験の試験時間を短くしたければ回数を少なくする等の指標等に基づいて、任意に決定することができる。また、切り替えポイントの設定箇所は、任意の箇所に設けても良く、本実施形態においては、例えば、ベースマップにおいてEGR開度の変化率が大きいポイント(変曲点)とする(750rpmの場合にあっては、図5(a)に示すように、噴射量30を切り替えポイントP1とし、噴射量60を切り替えポイントP2とする)。
変更箇所決定部122は、各切り替えポイントP1、P2におけるベースマップの値に基づいて、切り替えポイントP1、P2の設定値を決定する。本実施形態においては、ベースマップの値に対して、任意の高い値と低い値を設定値として決定する、つまり、各切り替えポイントP1、P2において3つの設定値のパターン(3基準)により駆動試験が行なわれる。なお、本実施形態においては、各切り替えポイントP1、P2でのEGR開度の値は、ベースマップの値を中心にして、3つ(3基準)設けたがこれに限られず、例えば、駆動試験の精度や駆動試験の時間等を考慮して決定される。
したがって、EGR開度は、駆動試験の開始時、ベースポイントBP1、切り替えポイントP1、切り替えポイントP2及びベースポイントP2での設定値により値が推移する。具体的には、例えば、750rpmの場合には、図5(a)に示すように、まず、駆動試験の開始からベースポイントP1まで、安定した運転を行なうために一定の値で推移する。次に、切り替えポイントP1で所望の設定値になるように調整されるため値が変動する。次に、切り替えポイントP1から切り替えポイントP2で所望の設定値となるように調節されるため値が変動する。次に、切り替えポイントP2からベースポイントBP2で所望の設定値になるように調節されるため値が変動し、ベースポイントP2以降は安定した運転を行なうために一定の値で推移する。また、1000rpm及び1250rpmの場合にあっても、同様の設定(切り替えポイントP等)で行なわれ、EGR開度が推移する(図5(b)及び図5(c)参照)。
以上のように、EGR開度の設定により駆動試験が行なわれる。また、本実施形態においては、EGR開度の設定変更と同様(切り替えポイントP1、P2)にVGT開度についても任意に決定した設定値での変更を行なう。なお、本実施形態においてVGT開度の設定についても、EGR開度と同様に、VGR開度のベースマップから変更箇所を設定して、3基準で設定値を変更して行なう。
したがって、駆動試験においては、所定の時間での所定の回転数(例えば、2秒加速時間での750rpm)について、切り替えポイントP1、P2のEGR開度の設定を3基準において行ない(9パターンの組み合わせ)、さらに、VGT開度の設定を同様に行なう(全81パターンの組み合わせ)。本実施形態においては、実験計画法により、実際には全81パターンの組み合わせのうち、25パターンの組み合わせが選定される。そして、この25パターンの組み合わせにより駆動試験を行なう。なお、本実施形態においては、試験精度を高めるために各パターンについて3反復の駆動試験を行なう。このため、駆動試験の回数は、75回となる。
また、本実施形態における駆動試験は、各時間(2秒から9秒)における各回転数(750rpm、1000rpm及び1250rpm)について行なわれる。なお、駆動試験は、上述した時間と回転数に限られずに、任意に決定して条件の下で行なうことができる。
ステップST10においては、データ取得部121は、計測機4から駆動試験により計測した出力値の取得を行う。駆動試験は、図6(a)に示すように、所定時間においてスロットル開度を0%から100%まで変化させて行う。図6(a)において、スロットル開度の変化に伴って、スロットルに対応する鎖線で示す燃料噴射量も変化する。また、上述した変更箇所決定部122により決定された設定値の変更箇所(切り替えポイントP1、切り替えポイントP2)を起点に、図6(a)において実線で示したEGR開度及び図6(a)において二点鎖線で示したVGT開度を所定の値に変化させる。
なお、図6(a)において、一点鎖線は、トルクを示す。また、BP1は安定した運転ができる限界最小点(最小ベースポイント)であり、BP2は安定した運転ができる限界最大点(最大ベースポイント)である。
上述したようにエンジン2を制御駆動することにより、計測機4において、図6(b)に示すような出力値(NOx値及びオパシ値)が計測される。なお、図6(b)において、実線はスロットル開度であり、一点鎖線はNOx値であり、二点鎖線はオパシ値である。
ステップST20において、遅れ補正部124は、ステップST10により取得された出力値の遅れ補正を行う。本実施形態においては、出力値は、エミッションに関する要素(NOx、オパシ)であるため、図6(b)に示すように、エンジン2の制御時からは遅れて、出力値(NOx値、オパシ値)が取得される。したがって、本工程20において、エンジン2の駆動制御に出力を対応付ける処理を行う。
なお、本実施形態で用いるエミッション要素(NOx、オパシ)は、回転速度と加速時間に関わらず、制御に対して一定の時間経過後に制御に対応する値が計測される。遅れ時間は、実験の結果により、回転速度と加速時間に影響を受けないために、一定となる。したがって、遅れ補正部124は、データ取得部121により取得した車両諸元データd1のシリンダ径の大きさから予め算出した遅れ時間により、設定値と出力値との対応付けを行う。
ステップST30において、出力値評価部125は、出力値の評価を行う。出力値評価部125は、ステップST20で対応付けを行った出力値に対して、あてはめ値に対するブレ(図7(a)を参照)、あてはめ値の残差(図7(b)を参照)、計測順番からの残差(図7(c)を参照)、残差に対する正規確率(図7(d)を参照)を総合的に判定して、出力値の数値の精度を評価する。本工程ST30において、出力値が異常であると判定された場合(N)には、ステップST10において、再度駆動試験を行い、出力値を取得する。また、本工程ST30において、出力値が正常であると判定された場合(Y)には、ステップST40に進む。
ステップST40において、初期値抽出部127は、初期値の抽出を行う。本工程ST40では、多目的遺伝アルゴリズムにおける初期化工程に用いられる初期値の抽出が行われる。初期化工程を視覚的に示すと、図8(a)に示すように、NOx値とオパシ値を軸とするグラフ上に出力値を点在させた状態である。S1は点在した出力値を示し、S2はS1との関係ではS1に優越した関係となる。
ステップST50において、最適解探索部128は、淘汰、交叉及び突然変異を行う。本工程ST50では、多目的遺伝アルゴリズムにおける淘汰工程、交叉工程及び突然変異工程が行われる。淘汰工程、交叉工程及び突然変異工程を視覚的に示す(図8(b)、(c)を参照)。図8(b)のS3は淘汰した出力値を示し、図8(c)のS4は交叉及び突然変異により生成された出力値を示す。
ステップST60において、最適解選択部126は、最適解の選択(算出)を行う。最適解選択部126は、ステップST50において、淘汰工程、交叉工程及び突然変異工程が繰り返される中で、他の解に優越しない解を算出する(図8(d)を参照)。図8(d)のS5は、他の解に優越しない解(最適解)である。
ステップST70において、最適解抽出部129又はユーザは、最適解の抽出を行う。最適解抽出部129は、図9(a)に示すように、ステップST60において算出された最適解集合の中から1の最適解を抽出する。1の最適解の抽出は、例えば、NOx値を優先させる最適解を選定したり、NOx値とオパシ値がどちらも高くならないような最適解を選定したりして、エンジン2開発の方針に基づいて、決定され、最適解が抽出される。また、1の最適解は、操作入力手段により、ユーザが直接選定しても良い。なお、図9(a)において、白抜きの三角は計測された出力値を示し、黒塗りの三角はベースマップの出力値を示し、白抜きの四角は選択された最適解を示し、黒塗りの四角は抽出された最適解を示す。
ステップST80において、噴射量補間部131は、所定噴射量領域のEGR開度(VGT開度)の算出を行う。噴射量補間部131は、ステップST70において抽出された最適解から、本計測時のベースポイントBP1、BP2を基にして、所定の噴射量での値を直線補間により導き出す。
本工程ST80において導き出される値は、例えば、750rpmの場合、図10(e)に示すようなY軸方向の一列Lを構成する値である。本工程ST80は、計測されたすべての回転数において行われる。
ステップST90において、回転数補間部132は、所定回転数領域のEGR開度(VGT開度)の算出を行う。回転数補間部132は、ステップST80において導き出された所定噴射量での値から、所定回転数の値を線形補間により導き出す。したがって、本工程ST90を経ることにより、図10(b)、(d)に示す領域すべての値(加速状態におけるマップ)を導き出すことができる。なお、本実施形態においては、線形補間により、他の回転数の値を導き出したが、これに限られず、例えば、三角メッシュ補間、Akima補間及び格子補間等の補間手法を用いることができる。
つまり、ステップST80及びステップST90では、図9(b)に示すように、まず、抽出した最適解(図9(b)において、抽出した最適解はハッチング領域で示す。)から、ベースポイントBP1、BP2に基づいて、各噴射量でのEGR開度(VGT開度)を補間して求める。これにより、実測した回転数における各噴射量でのEGR開度(VGT開度)を求められる。
そして、求められた回転数でのEGR開度(VGT開度)から、駆動試験を行っていない回転数での各噴射量におけるEGR開度(VGT開度)を補間して求める。
結果的に、ステップST80及びステップST90において、全回転数の各噴射量におけるEGR開度(VGT開度)が求められる。
ステップST100において、差分値算出部133は、差分値の算出を行う。差分値算出部133は、EGRのベースマップ(VGTのベースマップ)と、ステップST90において作成された加速状態におけるEGRマップ(VGTマップ)との差分値を算出し、最終的に差分マップを作成する。ユーザは、差分マップにより、ベースマップとの差異を知ることができ、ECU3の設定の決定に役立てることができる。
ステップST110において、処理部12は、多層マップを作成する。処理部12は、ステップST90及びステップST100において作成された加速状態におけるマップ及び差分マップのテーブル値から、3次元の多層マップ(図10(b)、(c)を参照)及び2次元の等高線状の多層マップ(図10(e)から(f)を参照)を作成する。
ステップST120において、表示部13は、多層マップを表示する。表示部13は、ステップST110において作成された3次元の多層マップ及び2次元等高線状の多層マップを表示する。ユーザは、表示された多層マップ及び2次元等高線状のマップを視覚的に判断して、ECU3の開発に供することができる。
したがって、過渡運転性能適合試験装置1は、過渡状態のうちの加速状態において所定の基準を満たしながら、トレードオフの関係となる最適なエンジン2の出力を発揮することができるエンジン2の設定値を選択することができる。
以上、本発明に係る過渡運転性能適合試験装置1の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る過渡運転性能適合試験装置1は、上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
なお、本実施形態においては、EGR開度及びVGT開度を設計変数としたが、これに限られない。設計変数は、例えば、ブースト圧や噴射タイミング等の過渡中に運転性能(主にエミッション、燃費、又は燃焼音)に影響を与えるエンジン2の制御要素であれば良い。
また、本実施形態においては、EGR開度及びVGT開度を設計変数とし、この設計変数に対応する目的変数をNOx及びオパシとしたが、これに限られない。目的変数は、例えば、燃費やエミッション(CO(一酸化炭素、)、CO2(二酸化炭素)、HC(炭化水素))等においてトレードオフの関係にあるものであれば良い。
また、本実施形態において、加速状態とは、所定時間において、スロットル開度を0%から100%まで上げた状態としているが、スロットル開度の制御は、スロットルの直接制御(定開度制御(AθR))により行っても良いが、スロットルの間接制御(例えば、定速度制御(ASR)、定トルク制御(ATR)、定吸気圧制御(ABR)等)により行っても良い。
また、本実施形態において、加速時間は、走行モード(JE05)の走行データに基づいて決定したがこれに限られない。加速時間は、例えば、ユーザにより任意の時間に決定しても良く、走行モード(JE05)以外の走行モード(例えば、10・15モード、JC08等)の走行データに基づいて決定しても良い。
また、本実施形態においては、多目的遺伝アルゴリズムの多点探索機能を利用して、出力値から最適解を算出したが、これに限られない。最適化問題の解として最適な目的変数の値を導き出すことが可能なものであれば良く、例えば、スカラ手法により導き出しても良い。
また、本実施形態においては、出力値から選択(算出)された最適解集合に基づいて、加速状態におけるECUマップ(EGRマップ及びVGTマップ)を作成する過渡運転性能適合試験装置1を説明したが、これに限られない。出力値から最適解集合を算出する過渡運転性能最適化装置として構成しても良い。
また、本実施形態においては、ハードウエアとなる過渡運転性能適合試験装置1として構成したが、これに限られず、コンピュータにより実行されるソフトウエアとなる制御プログラムとして構成しても良い。
1 過渡運転性能適合試験装置
122 変更箇所決定部
121 データ取得部
123 対応付け部
126 最適解選択部
130 マップ作成部
ST1 データ取得工程
ST2 対応付け工程
ST3 最適解選択工程

Claims (8)

  1. エンジンの制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得部と、
    出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け部と、
    前記対応付け部により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択部と、を備えることを特徴とする過渡運転性能適合試験装置。
  2. 加速を行わない定常状態で前記所定の時間を所定の設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力値の組み合わせと、前記最適解に対応する設定値とに基づいて、所定範囲における設定値のマップを作成するマップ作成部を備えることを特徴とする請求項1記載の過渡運転性能適合試験装置。
  3. 前記最適解選択部は、前記データ取得部により取得された設定値を初期値として、多目的遺伝アルゴリズムを利用して算出することを特徴とする請求項1又は2記載の過渡運転性能適合試験装置。
  4. 所定の時間内に加速を行わない定常状態で駆動制御した結果の出力値に基づいて、前記所定の加速時間における設定値の変更箇所を決定する変更箇所決定部を備えることを特徴とする請求項1から3記載の過渡運転性能適合試験装置。
  5. 前記エンジンの制御要素は、EGR及びVGTに関する制御要素であることを特徴とする請求項1から4記載の過渡運転性能適合試験装置。
  6. 前記エンジンの出力要素は、燃料消費といずれかのエミッション要素(一酸化炭素、二酸化炭素、NOx、HC、又はスモーク等)との組み合わせ、又は、エミッション要素(一酸化炭素、二酸化炭素、NOx、HC、又はスモーク等)の組み合わせであることを特徴とする請求項5記載の過渡運転性能適合試験装置。
  7. エンジンの制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得工程と、
    出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け工程と、
    前記対応付け工程により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択工程と、を備えることを特徴とする過渡運転性能適合試験方法。
  8. エンジンの制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得手段と、
    出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け手段と、
    前記対応付け手段により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択手段と、を備えることを特徴とする過渡運転性能適合試験装置に実行させる制御プログラム。
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