JP2011153902A - 過渡運転性能適合試験装置、過渡運転性能適合試験方法及び制御プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン2の制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得部121と、出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け部123と、対応付け部123により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択部126と、を備える。
【選択図】図2
Description
したがって、適合試験では、エンジンの特性を加味して、燃費向上や排気ガスの清浄化といったような要求を満たす性能を最大限に発揮することを目的として行われる。
過渡運転性能適合試験装置1は、図1に示すように、駆動対象となる自動車用エンジン2(以下、エンジンという。)にECU3(エンジンコントロールユニット)と排気ガス計測機4(以下、計測機という。)とを介して接続される。
なお、EGR(排気再循環、Exhaust Gas Recirculation)とは、燃焼後の排気ガスの一部を取り出し、吸気側へ導き再度吸気させることであり、シリンダへの再度の吸気により、シリンダ内の燃焼温度を下げて、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)の排出量を抑制することを目的として行われる。吸気への再吸気の調節は、排気管5に接続され、シリンダに接続される排気流弁(EGRバルブ)の開閉の割合(以下、EGR開度という。)を変化させて行う。本実施形態においては、エンジン2の吸排気制御をEGRバルブの開閉をECU3により制御する。
計測機4は、主に排気ガス等のエミッション要素や燃料消費等を計測可能に構成される。
また、計測機4は、本実施形態においては、エミッション要素のうち、少なくとも、スモークオパシ(以下、単にオパシという。)、一酸化炭素、二酸化炭素、NOx又はHC(炭化水素)を計測可能に構成される。なお、オパシは、計測機4により、排気ガス中の粒子状物質に対する光の透過率(スモーク透過度)として、計測される。
記憶部11は、実験計画データや取得されたデータ等を記憶する。入力操作部14は、ECU3の設定変更等をユーザにより操作可能に構成される。表示部13は、ECU3の設定結果や処理部12での処理結果、初期設定等を表示する。本実施形態における過渡運転性能適合試験装置1は、入出力及び操作可能な演算処理装置であるコンピュータとして構成される。
処理部12は、実験計画法に基づいて算定されたデータ(以下、実験計画データという。)や取得されたデータに基づいて、ECU3の設定を行う。
これに対して定常状態とは、過渡状態に対応する用語であり、試験時間内において、エンジン2の設定値を変化させない状態のことをいう。
また、トレードオフの関係とは、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという二律背反する関係(例えば、エミッション要素のうち、NOxとオパシとの関係)をいう。
走行モードデータd2は、排ガス規制基準の目安となる走行状態を規定したデータである。
定常駆動データd3は、所定の設定の下、定常状態(スロットル開度一定にした状態)でエンジン2を駆動させて実際に計測をした出力値や、計測した出力値(実測値)から予測した出力値(予測値)の設定データである(後述するベースマップデータを含む。)。
過渡駆動データd4は、所定の設定の下、加速状態においてエンジン2を駆動させて、実際に計測をした出力値や、計測した出力値(実測値)から予測した出力値(予測値)の設定データである。本実施形態において、過渡駆動データd4は、所定の回転数及び所定の加速時間において、EGR開度及びVGT開度を変化させた駆動試験において計測されるデータである。
本実施形態においては、対応付け部123は、取得した出力値の計測機4による計測誤差を調整するために、遅れ補正部124と出力値評価部125とを有する。
出力値評価部125は、遅れ補正部124により対応付けられた出力値の評価を行う。出力値の評価とは、計測された出力値の計測上の誤差等の評価である。
また、数学における最適化問題においては、本実施形態において出力値に相当する用語が目的関数であり、設定値に相当する用語が設計変数である。この際、最適化とは、上述した最適解を算出(選択)することであり、多目的最適化とは、複数のトレードオフの関係となる目的関数についての最適解の算出(選択)することをいう。
また、過渡運転性能適合試験装置1は、これら複数の出力値の組み合わせのうちで、他の出力値の組み合わせに優越されることがない出力値の組み合わせを複数選択(算出)することができる。
マップ作成部130は、加速を行わない定常状態で前記所定の時間を所定の設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力値の組み合わせと、最適解に対応する設定値とに基づいて、所定範囲における設定値のマップを作成する。
変更箇所決定部122は、所定の時間内に加速を行わない定常状態で駆動制御した結果の出力値に基づいて、所定の加速時間における設定値の変更箇所を決定する。
差分値算出部133は、算出された加速状態における設定値と定常状態における設定値との差分を算出する。
まず、ECUマップの作成方法の概要について説明する。ECUマップの作成方法は、データ取得工程ST1と、対応付け工程ST2、最適解選択工程ST3と、マップ作成工程ST4と、表示工程ST5とからなる。
対応付け工程ST2は、データ取得工程ST1により取得された出力値と設定値とを対応付ける。
最適解選択工程ST3は、前記対応付け工程により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する。
マップ作成工程ST4は、最適解選択工程ST3で算出された最適解集合の中から1の最適解を抽出し、この最適解に基づいて、過渡状態におけるECUマップを作成する。
表示工程ST5は、マップ作成工程ST4で作成されたECUマップに基づいて、3次元の多層マップ、2次元の等高線状の多層マップ、差分マップを作成し、表示する。
本実施形態におけるエンジン2の駆動試験(以下、単に駆動試験という)は、実験計画法により決定され、所定の回転数(750rpm、1000rpm及び1250rpm)で、所定の時間(2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒及び9秒)エンジン2を加速させる。各時間においてエンジン2を加速させた状態で、所定のポイント(秒数)で設定値(EGR開度及びVGT開度)を変更させた状態で出力(エミッションの内、本実施形態においてはNOx及びオパシ)を計測する。また、所定ポイントでの各設定値は、本実施形態においては25パターンの組み合わせが設定される。
なお、本実施形態において、所定のポイントとは、図5(a)から(c)に示すように、ベースマップに基づいて決定された切り替えポイントP(後に詳述する。)において、EGR開度及びVGT開度の設定値を変更するポイントである。
加速時間の決定方法は、まず、図4(a)に示す走行データでの加速時間の頻度を算出することにより行われる。図4(b)に示すように、各速度の変化から加速箇所を特定する。次に、特定された加速箇所において、図4(c)に示すように、速度変化をスロットル開度の移行時間に変換することにより、加速時間を割り出す。
全加速箇所において、加速時間を割り出すことにより、加速時間の頻度が分かるために、この加速時間の頻度と、駆動試験の実施回数とを考慮して、駆動試験に供する加速時間を決定する。
ベースマップは、例えば、図5(a)において、四角で示すように、定常状態の運転により測定された値(本実施形態においては、オパシ値及びNOx値)を基にして決定された各噴射量での最適な設定値(EGR開度)からなる。すなわち、ベースマップは、予め行なわれた定常適合試験の結果、作成されたECUマップである。
また、本実施形態における駆動試験は、各時間(2秒から9秒)における各回転数(750rpm、1000rpm及び1250rpm)について行なわれる。なお、駆動試験は、上述した時間と回転数に限られずに、任意に決定して条件の下で行なうことができる。
そして、求められた回転数でのEGR開度(VGT開度)から、駆動試験を行っていない回転数での各噴射量におけるEGR開度(VGT開度)を補間して求める。
結果的に、ステップST80及びステップST90において、全回転数の各噴射量におけるEGR開度(VGT開度)が求められる。
122 変更箇所決定部
121 データ取得部
123 対応付け部
126 最適解選択部
130 マップ作成部
ST1 データ取得工程
ST2 対応付け工程
ST3 最適解選択工程
Claims (8)
- エンジンの制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得部と、
出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け部と、
前記対応付け部により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択部と、を備えることを特徴とする過渡運転性能適合試験装置。 - 加速を行わない定常状態で前記所定の時間を所定の設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力値の組み合わせと、前記最適解に対応する設定値とに基づいて、所定範囲における設定値のマップを作成するマップ作成部を備えることを特徴とする請求項1記載の過渡運転性能適合試験装置。
- 前記最適解選択部は、前記データ取得部により取得された設定値を初期値として、多目的遺伝アルゴリズムを利用して算出することを特徴とする請求項1又は2記載の過渡運転性能適合試験装置。
- 所定の時間内に加速を行わない定常状態で駆動制御した結果の出力値に基づいて、前記所定の加速時間における設定値の変更箇所を決定する変更箇所決定部を備えることを特徴とする請求項1から3記載の過渡運転性能適合試験装置。
- 前記エンジンの制御要素は、EGR及びVGTに関する制御要素であることを特徴とする請求項1から4記載の過渡運転性能適合試験装置。
- 前記エンジンの出力要素は、燃料消費といずれかのエミッション要素(一酸化炭素、二酸化炭素、NOx、HC、又はスモーク等)との組み合わせ、又は、エミッション要素(一酸化炭素、二酸化炭素、NOx、HC、又はスモーク等)の組み合わせであることを特徴とする請求項5記載の過渡運転性能適合試験装置。
- エンジンの制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得工程と、
出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け工程と、
前記対応付け工程により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択工程と、を備えることを特徴とする過渡運転性能適合試験方法。 - エンジンの制御要素に係る設定値に従って制御駆動されたことにより出力され、互いにトレードオフの関係となる複数種の出力要素に係る出力値の組み合わせを、所定の時間加速させた状態で設定値を複数変更して取得するデータ取得手段と、
出力値の組み合わせと設定値とを対応付ける対応付け手段と、
前記対応付け手段により対応付けられた複数の出力値の組み合わせに基づいて、他の出力値の組み合わせに優越しない出力値の組み合わせである最適解を選択する最適解選択手段と、を備えることを特徴とする過渡運転性能適合試験装置に実行させる制御プログラム。
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