JP2011153646A - 防振台及び発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】振動エネルギーを効果的に電気エネルギーに変換すると共に、効果的に電気エネルギーに変換することで振動の伝播を低減する。
【解決手段】架台部120に遥動可能に設けられた梁部材150は、固有振動数が架台部120の振動数と一致又は略一致するように設定されることによって、梁部材150が架台部120と共振し、振動の振幅が増幅される。上下方向を振動方向Gとして配置された発電部200によって、梁部材150の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。振動エネルギーが電気エネルギーに変換されたエネルギー分、架台部120の振動が低減し、床スラブ12に伝播される振動が低減される。
【選択図】図1

Description

本発明は、防振台及び発電システムに関する。
近年、建築物等の構造物や地盤に発生する振動の振動エネルギーを電気エネルギーに変換して電力を発生する発電装置が提案されている。建築物等の構造物や地盤に発生する振動の中でも地震動は、振動の振幅が大きいので大きな発電量が得られる。しかし、発生頻度が少なく振動の継続時間が短いために、多くの発電量は期待できない。
そこで、人の歩行により生じる歩行振動、列車や自動車の走行により生じる交通振動、設備機器の稼働による機械振動、電子機器の操作時に生じる振動等の各種振動の振動エネルギーを、電気エネルギーに変換して電力を発生させる発電装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、騒音や振動の伝播路に可動コイルを設置し、特定の周波数で共振させて音や振動のエネルギーを電気エネルギーに変換して出力することで、騒音や振動のエネルギーを効率的に電気エネルギーに変換すると共に、騒音や振動の伝播を低減させる吸音装置が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
また、動力機器や空調機器等の振動の床への伝播を低減させる防振台が知られている(例えば、特許文献3を参照)。
特開平10−66323号公報 特開2005−57820号公報 特開2001−304335号公報
本発明は、振動エネルギーを効果的に電気エネルギーに変換すると共に、効果的に電気エネルギーに変換することで振動の伝播を低減させることが課題である。
請求項1の発明は、被載置部の上に、防振部材を介して設けられ、振動源が載置される架台部と、前記架台部に遥動可能に設けられ、前記架台よりも振幅が増幅されて振動する振動部材と、前記振動部材の振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電部と、を備えている。
請求項1に記載の発明では、被載置部の上に防振部材を介して設けられた架台部に、振動原が載置される。載置された振動源によって架台部が振動する。架台部に遥動可能に設けられた振動部材は、固有振動数が架台部の振動数と一致又は略一致するように設定されることによって、振動部材が架台部と共振し、振動の振幅が増幅される。
そして、発電部によって、振動部材の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
このように、振動部材が架台部と共振することによって、振幅が増幅されるので、架台部の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
別の言い方をすると、振動部材を有しない構成と比較し、架台部の振動の振動エネルギーを電気エネルギーに変換する変換効率が向上するので、振動エネルギーからより多くの電気エネルギーが得られる。
また、振動エネルギーが電気エネルギーに変換されたエネルギー分、架台の振動が低減する。よって、このように架台部の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換されることによって、架台部の振動が効果的に低減する。そして、架台部の振動が低減することで、床などの被載置部に伝播する振動が低減される。つまり、防振台の振動低減効果が向上する。
請求項2の発明は、前記発電部は、錘と、前記振動部材に前記錘を揺動可能に設ける支持部材と、を有する振動増幅構造と、前記錘に固定された第一部材と前記第一部材に対して相対移動可能に設けられた第二部材とを有し、前記第一部材と前記第二部材との相対移動によって電力が発生する発電手段と、を備えている。
請求項2の発明では、振動部材が架台部と共振し振動する。振動部材が振動すると、振動部材に揺動可能に設けられた錘が振動し、錘に固定された第一部材が振動する。第一部材が振動すると、第一部材と第二部材とが相対移動し、電力が発生する。すなわち、架台の振動動する振動部材の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
ここで、振動増幅構造によって、振動部材の振動に対して錘(と第一部材)の振動が増幅される。すなわち、振動部材に揺動可能に設けた錘が、錘の固有振動数が振動部材の振動数と一致又は略一致し共振することで、錘の振幅が増幅される。つまり、振動増幅構造を有しない構成と比較し、錘(と第一部材)の振動の振幅が大きくなる。
また、発電手段が電力を発生させる際、第一部材の振動を抑える抵抗力(例えば、第一部材を永久磁石とし第二部材をコイルとして電磁誘導によりコイルから電力を発生させる場合の、コイルに発生する逆起電力によって永久磁石の振動を抑える抵抗力)が、第二部材から第一部材に作用すると、第一部材の振動が小さくなる。
しかし、錘の重量によって第一部材の慣性力が大きくなる。よって、第二部材から第一部材へ作用する抵抗力による振動抑制効果が低減される。すなわち、振動増幅構造によって振動部材の振幅に対する第一部材の振幅が増幅される増幅倍率の低下が低減される。
このように、振動増幅構造によって第一部材(錘)の振動の振幅が増幅され、且つ抵抗力による増幅倍率の低下が低減されるので、振動部材の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
別の言い方をすると、振動増幅構造を有しない構成と比較し、振動部材に発生する振動エネルギーを電気エネルギーに変換する変換効率が向上するので、振動エネルギーからより多くの電気エネルギーが得られる。
つまり、発電部に振動増幅構造を有しない構成と比較し、効果的に発電する。
したがって、振動部材が架台部と共振することによって振動部材の振動の振幅が増幅され、更に、発電部の振動増幅構造によって、振幅が増幅され、効果的に発電されるので、架台部の振動エネルギーが更に効果的に電気エネルギーに変換される。
また、このように架台部の振動エネルギーが更に効果的に電気エネルギーに変換されるので、架台部の振動が更に低減され、その結果、床などの被載置部に伝達される振動が更に低減される。つまり、振動低減効果が更に向上する。
また、錘によって遥動する部位(錘+第一部材)の質量が大きくなるので、振動低減効果が更に向上する。
請求項3の発明は、前記発電部は、第一部材と、前記振動部材に固定され前記第一部材に対して相対移動する第二部材と、を有し、前記第一部材と前記第二部材との相対移動によって電力が発生する発電手段を備えている。
請求項3の発明では、振動部材が架台部と共振し振動する。振動部材が振動すると、振動部材に固定された第一部材が振動する。第一部材が振動すると、第一部材と第二部材とが相対移動し、電力が発生する。すなわち、架台と共振する振動部材の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
このように、簡単な構造で、架台部の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
請求項4の発明は、前記振動部材が複数備えられ、前記振動部材の少なくとも一つは、他の前記振動部材とは固有振動数が異なるように設定されている。
請求項4の発明では、振動部材の少なくとも一つは、他の振動部材とは固有振動数が異なるように設定されている。つまり、他の振動部材と固有振動が異なる振動部材は、他の振動部材が共振する架台部の振動数とは、異なる振動数で共振する。
よって、架台部の卓越振動数が幅広く分布する場合(振動数が複数のピークを持つ場合)、複数の振動数に振動部材の固有振動数を一致又は略一致させることで、更に効果的に発電される。
また、このように架台部の幅広い振動数で、振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換されるので、床などの被載置部に伝達される振動が更に低減される。つまり、振動低減効果が更に向上する
請求項5の発明は、前記振動部材は、前記架台部に遥動可能に設けられた第一振動部材と、前記第一部材に遥動可能に設けられた一つ又は複数の第二振動部材と、で構成されている。
請求項5の発明で、架台部に遥動可能に設けられた第一振動部材に対して、更に遥動可能に一つ又は複数の第二振動部材が遥動可能に設けられることで、多質点系が構成される。
したがって、振動部材に対して、質点数と同じn次の固有振動数を生じさせることができる。よって、架台部の卓越振動数が幅広く分布する場合、効率よく電力を発生させることができる。
請求項6の発明は、前記振動部材が、弾性部材を介して前記架台部に接合されている。
請求項6の発明では、弾性部材と振動部材を質量としたバネマスの振動系が構成され、振動部材を架台部と共振させることにより、振動部材の振幅が増幅される。したがって、効果的に発電される。
請求項7の発明は、前記架台部は、平面視において枠状に構成された枠部を有し、前記振動部材は、長手方向が水平又は略水平に配置された梁状とされ、一端又は両端が前記枠部に遥動可能に接合されている。
請求項7の発明では、架台部の枠部は、例えば、盤状の架台部よりも大きく振幅する。よって、梁状の振動部材の一端又は両端を枠部に遥動可能に接合することで、振動部材が大きく振幅する。
また、枠部における振動モード形状の腹(振幅の腹)又は腹の近傍に振動部材の端部を遥動可能に接合することで、振動部材が更に大きく振幅する。
請求項8の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の防振台の架台部に振動源を載置して発電する。
請求項8の発明では、振動源の振動エネルギーを効果的に電気エネルギーに変換するこので、大きな電力が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、振動エネルギーを効果的に電気エネルギーに変換することができると共に、架台部から被載置部へ伝播される振動を低減させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、発電部に振動増幅構造を有しない構成と比較し、効果的に発電することができると共に、架台部から被載置部へ伝播される振動を更に低減させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、簡単な構造で、架台部の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換することができる。
請求項4に記載の発明によれば、架台部の幅広い振動数で振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換することがきると共に、架台部から被載置部に伝達される振動を更に低減することができる。
請求項5に記載の発明によれば、架台部の卓越振動数が幅広く分布する場合、効率よく電力を発生させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、振動部材の振幅が増幅されるので、効果的に発電することができる。
請求項7に記載の発明によれば、振動部材を大きく振幅させることができる。
請求項8に記載の発明によれば、振動源の振動エネルギーを効果的に電気エネルギーに変換することで、大きな電力を得ることができる。
本発明の第一実施形態に係る防振台の上に大型エアコン装置の室外機を載せた発電システムを示す斜視図である。 (A)は本発明の第一実施形態に係る防振台を示す斜視図であり、(B)は(A)のA−A線に沿った垂直断面図である。 図2に示す防振台の架台部の辺部が振動した状態を模式的に示す斜視図である。 図2に示す本発明の第一実施形態に係る防振台の架台部の振動測定結果の一例を示すグラフである。 (A)は、図2に示す本発明の第一実施形態に係る防振台の架台部の辺部と梁部材との接合部位を模式的に示す正面図であり、(B)は第一実施形態の第一変形例の接合部位を模式的に示す正面図であり、(C)は第一実施形態の第二変形例の接続部位を模式的に示す正面図である。 図2に示す本発明の第一実施形態に係る防振台の架台部の振動測定結果の一例を示すグラフである。 本発明の第一実施形態の第三変形例の防振台を示す斜視図である。 本発明の第一実施形態の第四変形例の防振台を示す斜視図である。 本発明の第二実施形態に係る防振台を示す斜視図である。 図9に示す本発明の第二実施形態に係る防振台を示す平面図である。 (A)は図10のA−A矢視図であり、(B)は(A)のB−B矢視図である。 本発明の第二実施形態の第一変形例の防振台を示す平面図である。 本発明の第二実施形態の第二変形例の防振台を示す平面図である。 本発明の第三実施形態に係る防振台を示す平面図である。 本発明の第四実施形態に係る防振台を示す斜視図である。 (A)は第一実施形態の防振台に設けられた発電部を模式的に示す振動方向に沿った断面図であり、(B)はガイド機構の一例を示す断面図である。 (a)は図16に示す第一実施形態の防振台に設けられた発電部の第一バリエーションを模式的に示す模式図であり、(b)は第二バリエーションを模式的に示す模式図であり、(c)は第三バリエーションを模式的に示す模式図である。 第二実施形態の防振台の発電部の第一バリエーションを示す一部断面の正面図である。 第二実施形態の防振台の発電部の第二バリエーションを示す一部断面の正面図である。 第二実施形態の防振台の発電部の第三バリエーションを示す一部断面の正面図である。 第二実施形態の防振台の発電部の第四バリエーションを示す一部断面の正面図である。 第二実施形態の防振台の発電部の第五バリエーションを示す一部断面の正面図である。 第二実施形態の防振台の発電部の第六バリエーションを示す一部断面の正面図である。 第二実施形態の防振台の発電部の第七バリエーションを示す正面図である。 (A)は第二実施形態の防振台の発電部の第七バリエーションを示す一部切り欠き断面の斜視図あり、(B)は(A)のB−B矢視図である。 第二実施形態の防振台の発電部の第八バリエーションを示す斜視図ある。 図26のA−A線に沿った垂直断面図である。 第二実施形態の防振台の発電部の第六バリエーションを示す平面図である。
<第一実施形態>
図1〜図5を用いて、被載置部の一例としての屋上などのコンクリート製の床スラブの上に設置され、本発明の第一実施形態に係る防振台の上に振動源の一例としてのビル用の大型エアコン装置(業務用エアコン装置)の室外機を載せ、床スラブに伝達する振動を低減させると共に、室外機の振動エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する発電システムについて説明する。
図1に示すように、本実施形態の発電システム5は、床スラブ12の上に置かれた防振台100と、この防振台100に支持された振動源の室外機10と、を有している。
図1と図2とに示すように、防振台100は、上下に間隔をあけて配置された対をなす平面視四角枠状の台部110と架台部120とを有している。台部110及び架台部120は、略同じ形状とされている。
図2(A)に示すように、台部110は、厚み方向が上下方向に配置された細長い板状の辺部112、114、116、118で構成されている。架台部120は、厚み方向が上下方向に配置された細長い板状の辺部122、124、126、128で構成されている。
そして、台部110及び架台部120の角部が、連結機構部102によって、上下方向に連結されている。
図2(B)に示すように、連結機構部102は、軸部104と、軸部104の端部に接合された円盤状の止部106と、を有している。連結機構部102の軸部104は、台部110の角部の上面に固定されている。また、軸部104は、架台部120の角部に形成された孔121に挿通され、架台部120から突き出た端部に止部106が接合されている。よって、連結機構部102は、下側に配置された台部110に対して、上側に配置された架台部120を、水平方向への移動を規制しつつ、上下方向に移動可能に連結する。
図1と図2(A)とに示すように、台部110と架台部120との間には、防振部材108が挟まれている。本実施形態では、防振部材108は、円柱状の弾性ゴムとされている。しかし、防振部材108は、弾性ゴムに限定されない。例えば、圧縮コイルバネであってもよいし、板バネであってもよい。或いは、空気ばねであってもよい。更に、これら複数種類の防振部材を備えていてもよい。要は架台部から床などの被載置部への振動の伝達を防止又は抑制することが可能な部材であればよい。
図1に示すように、防振台100の台部110を下側にして床スラブ12の上に置き、防振台100の架台部120の上に室外機10が載置されている。
図2(A)に示すように、架台部120における水平方向に対向して配置された長辺の辺部122と辺部126との間には、平面視において細長い矩形状とされた板状の梁部材梁部材150が掛け渡されている。そして、辺部122と辺部124とに梁部材150の端部150A,150Bが接合されている。
なお、本実施形態では、図5(A)に示すように、板状の梁部材150の端部150A(端部150B)が、架台部120の辺部126(辺部122)に形成された係合穴部123に嵌め込まれることによって、架台部120に梁部材150が接合されている。
図5(A)では、架台部120の辺部126と梁部材150の端部150Aとの接合部位が図示されているが、架台部120の辺部122と梁部材150の端部150Bとの接合部位も同様である。
また、板状の梁部材150は、平面視において細長い矩形状とされており、弾性変形する。よって、梁部材150は辺部122、126に対して上下方向に遥動する。
この梁部材150の長手方向中央部の下面には、発電部200が設けられている。
つぎに、この発電部200について説明する。
発電部200は、所定の振動方向に振動すると発電する。よって、発電部200を説明する際は、発電する振動方向を基準に図示及び説明する。
なお、発電部200を説明する際に上下、天井、底等を使用する場合は、便宜上各図における上下方向を基準として説明しているだけであり、この方向に必ず設置することを意味するものでない。なお、本実施形態では、振動方向Gは上下方向とされている。
図16(A)に示すように、発電部200は円筒形の筐体50を有し、この筐体50の天井部50Aに支持部材としてのコイルばね20によって、錘62が振動方向Gに対して揺動可能に設けられている。錘62の下面には第一部材としての磁石38が固定されている。
筐体50の円筒部50Bには、第二部材としてのコイル40が固定され、このコイル40の中を錘62の下面に固定された磁石38が配置されている。つまり、磁石38は、コイル40の中を振動方向Gに移動可能に設けられている。
そして、磁石38がコイル40の中を振動方向G(軸方向)に移動することによって、電磁誘導によって電力が発生する。
電力はコイル40に接続され筐体50外に配線された電線40A,40Bから取り出される。なお、図1では、発電部200から延びる電線40A、40Bの図示が省略されている。
電線40A,40Bの先は、電気で駆動する機器に電源として接続されていてもよいし、或いは、蓄電池(二次電池)接続して蓄電し、蓄電された電気で機器を駆動するようにしてもよい。また、回路を介して、機器や蓄電池に接続されていてもよい。
ここで、図16(A)における下方側が重力方向とした場合、コイルバネ20は錘62と磁石38とを吊り下げた構成なる(この場合、コイルバネ20は引張コイルバネとなる)。しかし、この方向に限定されるものではない。
例えば、図16(A)における上方側が重力方向とした場合(つまり上下逆さま)、コイルバネ20は錘62と磁石38とを載せた構成なる(この場合、コイルバネ20は圧縮コイルバネとなる)。
また、錘62と磁石38とがコイル40の中を、振動方向Gは水平方向であっても、スムーズに移動可能なように、ガイド機構(図示略)を設けてもよい。ガイド機構はどのような機構であってもよい。
例えば、図16(B)に示すガイド機構61のように錘62と磁石38との軸心に貫通孔63をあけ、この貫通孔63に筐体50に固定された軸65が通された機構であってもよい。
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
図1に示す防振台100の架台部120に載置された室外機10が振動する。室外機10の振動によって架台部120が振動する。しかし、防振部材108によって台部110に伝達される振動が低減され、この結果、床スラブ12に伝達される振動が低減する。
なお、架台部120は、台部110に対して、連結機構部102(図2(B)を参照)によって、上下方向に移動可能に連結されている。よって、架台部120は主に上下方向に振動する(図3を参照、図3の詳細は後述する)。
架台部120に遥動可能に設けられた梁部材150は、固有振動数が架台部120の振動数と一致又は略一致するように設定されることによって、梁部材150が架台部120と共振し、振動の振幅が増幅される。なお、共振については後述する。
共振によって梁部材150が主に上下方向に振動する。そして、上下方向を振動方向Gとして配置された発電部200(図16(A)参照)によって、梁部材150の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。つまり、室外機10の振動エネルギーが発電部200によって電気エネルギーに変換され発電する。なお、発電部200での発電については後述する。
このように、梁部材150が架台部120と共振することによって、振幅が増幅されるので、架台部120(室外機10)の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
別の言い方をすると、架台部120や室外機10に直接発電部200を接合した構成と比較し、振動エネルギーを電気エネルギーに変換する変換効率が向上するので、振動エネルギーからより多くの電気エネルギーが得られる。
また、振動エネルギーが電気エネルギーに変換されたエネルギー分、架台部120の振動が低減する(制振効果が発揮される)。よって、このように架台部120の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換されることによって、架台部120の振動が効果的に低減する。そして、架台部120の振動が低減することで、台部110、すなわち床スラブ12に伝播される振動が低減される。つまり、防振台100の振動低減効果が向上する。
ここで、図3に示すように、本実施形態の場合は、辺部122と辺部126の長手方向の中央部が振動モード形状の腹となって振動する。つまり、辺部122、126の長手方向の中央部が最も大きく振幅する。よって、この中央部に梁部材150の端部150A,150Bを遥動可能で接合することで、梁部材150の振幅も大きくなる。なお、図3では辺部122、126の振動(変形)は、判りやすくするため実際よりも大きく図示している。実際の振動(変形)は非常に小さい。
辺部122、126の振幅の腹が中央部以外となる場合もある。この場合は、辺部122、126における中央部以外の振幅の腹となる部位に、梁部材150の端部150A,150Bを接合することが望ましい。
図4は、室外機10を載置した状態における防振台100の架台部120の振動測定結果のグラフである。このグラフは横軸が周波数を示し、縦軸が加速度スペクトルを示している。このグラフを見ると判るように、約48Hzにピーク値P1を示している。よって、梁部材150は、ピーク値P1である約48Hzで共振するように、諸元が設定されている。なお、諸元とは、例えば、梁部材150の厚み、質量、バネ定数などであり、これらが共振するように設定されている。
なお、本実施形態において、約48Hzにピーク値P1を持つ最も主となる要因は、室外機10(図1参照)に設けられている回転体(ファン)の回転数と回転体を構成する羽根の枚数とに起因する室外機10の加振振動数(=48Hz)と考えられる。
つぎに発電部200での発電について説明する。
図16(A)に示すように、発電部200が振動方向Gに振動すると、コイルばね20によって揺動可能に設けられた錘62が振動方向Gに振動する。そして、錘62に固定された磁石38が、錘62と一体となって振動方向Gに振動する。
磁石38が振動すると、磁石38がコイル40に対して振動方向Gに移動し、電磁誘導の原理によって電力が発生する。すなわち、振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
ここで、一般に、電磁誘導による発電量Vは、コイルの巻数をN、微小時間Δtでのコイルを貫く磁束密度の変化量をΔΦ/Δtとすると、式(1)に示すファラデーの電磁誘導の法則により求められる。
式(1)により、発電量Vは、単位時間当たりの磁束密度の変化量ΔΦ/Δtに比例することがわかる。そして、磁束密度の変化量ΔΦ/Δtは、磁石の振動の振幅(磁石とコイルとの相対移動量)が大きいほど大きくなるので、磁石の振動の振幅が大きいほど発電量は大きくなる。
このような原理から、発電部200の磁石38の振幅を大きくすることができれば、大きな電力を発生させることができることが判る。
本実施形態において、錘62と磁石38の固有振動数が、梁部材150の振動数と一致又は略一致し、錘62と磁石38が共振するように、錘62の重量やコイルバネ20の長さやばね定数を設定することで、錘62と磁石38の振幅が増幅される。つまり、錘62と磁石38の振動の振幅が大きくなる。
一方、磁石38がコイル40に対して振動方向G(軸方向)に移動し、電力が発生する際、コイル40に発生する逆起電力によって磁石38の振動を抑える抵抗力が、コイル40から磁石38に作用し、磁石38の振動の振幅が小さくなる。
しかし、錘62の重量によって磁石38の慣性力が大きくなる。よって、コイル40から磁石に作用する抵抗力による振動抑制効果が低減される。すなわち、共振による磁石38の振幅が増幅される増幅倍率の低下が低減される。
このように、磁石38の振動の振幅が増幅され、且つ抵抗力による増幅倍率の低下が低減されるので、コイル40の中を磁石38が移動する移動量(振幅)が増加する。
磁石38が移動する移動量が大きくなると、式(1)を用いて説明したように、発電量が大きくなる。別の言い方をすると、架台部120の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
このように、梁部材150が架台部120と共振することによって振幅が増幅され、更に、発電部200の振動増幅構造部によって振幅が増幅され、効果的に発電されるので、室外機10(架台部120)の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
また、このように架台部120の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換されるので、架台部120の振動が低減され、その結果、床スラブ12に伝達される振動が低減される。つまり、防振台100の振動低減効果が向上する。
<第一実施形態の変形例>
つぎに、第一実施形態の変形例について説明する。
「第一変形例」
図5(B)に示すように、第一変形例では、架台部120における長辺の辺部126及び辺部122(図2(A)参照)と、梁部材150の端部150A及び端部150B(図2参照)とは、ばね変形する金属製の平板152を介して接合されている。
平板152は、架台部120の辺部126(辺部122)に一端152Aが嵌め込まれ、他端152Bが梁部材150の端部150A(150B)に嵌め込まれている。なお、図5(B)では、架台部120の辺部126と梁部材150の端部150Aとの接合部位が図示されているが、架台部120の辺部122と梁部材150の端部150Bとの接合部位も同様である。
第一変形例の作用及び効果について説明する。
このように架台部120の辺部122、126と梁部材150の端部150A,150Bとを平板152を介して遥動可能に接合することで、図5(A)のように直接接合する構成と比較し、梁部材150が遥動(振動)しやすい構造、すなわち、共振しやすい構造となる。よって、梁部材150の振幅が大きくなり、その結果、発電量が大きくなる。
「第二変形例」
図5(C)に示すように、第二変形例では、架台部120における長辺の辺部126及び辺部122(図2(A)参照)と、梁部材150の端部150A及び端部150B(図2参照)とは、平板152を介して接合されている。
平板152は、他端152Bが梁部材150の端部150A(端部150B)に嵌め込まれている。平板152の一端152Aは、架台部120の辺部126(辺部122)に設けられた台座部154にボルト156とナット157によって固定されている。
第二変形例の作用及び効果について説明する。
第二変形例も第一変形例と同様に、架台部120の辺部122、126と梁部材150の端部150A,150Bとを平板152を介して遥動可能に接合することで、図5(A)のように直接接合する構成と比較し、梁部材150が遥動(振動)しやすい構造となる。よって、梁部材150の振幅が大きくなり、その結果、発電量が大きくなる。
更に、架台部120の辺部126(辺部122)に設けられた台座部154にボルト156とナット157によって固定されているので、架台部120と梁部材150との接合が容易である。また、梁部材150の交換も容易である。例えば、振動源の室外機10の種類によってピーク値P1(図4参照)が異なる場合等、ピーク値P1に合った固有振動数を持つ梁部材150に交換する場合に好適とされる。
ここで、架台部120の卓越振動数が幅広く分布する場合、すなわち、振動数が複数のピークを持つが場合ある。そして、複数の振動数のピークそれぞれに、梁部材150の固有振動数を一致又は略一致させることで、更に効果的に発電させることができる。
よって、つぎに変形例として複数の梁部材を備えると共に、夫々の梁部材の固有振動を変え、複数の振動数のピークに共振させる構成を説明する。
なお、以降の変形例では、図6に示すように、架台部120は、約31Hz(ピーク値P2)、約48Hz(ピーク値P1)、約61Hz(ピーク値P3)の三つの周波数でピークを示す例で説明する。
「第三変形例」
第三変形例では、図7に示すように、三つの梁部材150、151、153が架台部120の辺部122と辺部126とに接合され、掛け渡されている。なお、本実施形態では、梁部材150、151、153は平行に並んで配置されている。
梁部材150、151、153の幅(平面視における長手方向と直交する方向の幅)は、それぞれ異なっており、梁部材151、梁部材150、梁部材153の順番で幅広とされている。
そして、梁部材151は固有振動数がピーク値P2となるように幅が設定され、梁部材150は固有振動数がピーク値P1となるように幅が設定され、梁部材153は固有振動数がピーク値P3となるように幅が設定されている。
第一変形例の作用及び効果について説明する。
このように、図6に示す、架台部120の複数のピーク値P1,P2,P3の振動数に対して、夫々梁部材150、151、153を共振させているので、振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
「第四変形例」
第四変形例では、図8に示すように、三つの梁部材160、161、163の一端160A,161A,163Aが架台部120の辺部122に接合されている。また、梁部材160、161、163の他端端160B,161B,163Bの下面に発電部200が設けられている。つまり、梁部材160、161、163は平行に並んで配置された片持ち梁とされている。
梁部材160、161、163の長手方向の長さは、それぞれ異なっており、梁部材161、梁部材160、梁部材163の順番で長くなっている。
そして、梁部材161は固有振動数がピーク値P2となるように長さが設定され、梁部材160は固有振動数がピーク値P1となるように長さが設定され、梁部材163は固有振動数がピーク値P3となるように長さが設定されている。
第一変形例の作用及び効果について説明する。
このように、図6に示す、架台部120の複数のピーク値P1,P2,P3の振動数に対して、夫々梁部材160、161、163を共振させているので、振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
「その他」
なお、前述したように、梁部材の変形例では、梁部材の幅又は長さで固有振動数を調整したが、これに限定されない。どのような方法で固有振動数をあけてもよい。
例えば、梁部材の厚みを変えてもよいし、材質(バネ定数)を変えでもよい。或いは、梁部材に錘を接合するともに、錘の質量や接合位置(長手方向の位置)を変えることによって固有振動数を変えてもよい。
また、第二変形例のように梁部材を容易に交換可能とすることで、載置する振動源の振動数の分布応じて、固有振動数の異なる梁部材に容易に交換することができる。
なお、後述する第二実施形態のように、ゴム部材352(図11(A)参照)を介して、梁部材150の端部150A,150B(図5参照)を架台部120の辺部122、126に接合してもよい。
<発電部のバリエーション>
つぎに、図17を用いて発電部の第一バリエーション〜第三バリエーションについて説明する。
なお、判りやすくするため、図17(a)〜図7(b)では筐体50とコイルバネ20と錘62のみを図示して説明し、図17(c)では、筐体50と錘62とコイル40のみを図示して説明する。
図17(a)に示す第一バリエーションの発電部201では、二つのコイルばね20によって錘62が振動方向Gに遥動可能に設けられている。なお、コイルばね20は三つ以上設けられていてもよい。
図17(b)に示す第二バリエーションの発電部203では、筐体50の天井部50Aと底部50Cとの両方にコイルばね20が設けられ、これらによって錘62が振動方向Gに遥動可能に設けられている。
言い換えると、天井部50Aと錘62との間と、底部50Cと錘62と間に、それぞれコイルばね20が設けられている。
図17(c)に示す第三バリエーションの発電部205では、第一部材がコイル40とされ、第二部材を磁石38とされている。つまり、磁石38を底部50Aに固定し、コイル40を錘62に固定した構成である。そして、コイル40が振動方向Gに移動することで、発電される。
<第二施形態>
つぎに、図9〜図11を用いて、本発明に係る第二実施形態に係る防振台の上に振動源の一例としてのビル用の大型エアコン装置(業務用エアコン装置)の室外機を載せ、床スラブに伝達される振動を低減さると共に、室外機の振動エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する発電システムについて説明する。
なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。また、図示は省略されているが、本実施形態においても、防振台の架台部の上に図1に示す室外機が載置されている。
図9に示すように、防振台300には、後述する発電部202が設けられている。
図9〜図11(A)に示すように、防振台300の架台部120における長辺の辺部122と辺部126との間には、平面視において細長い矩形状とされた板状の梁部材350の端部350A,350Bが板状のゴム部材352を介して接合されている。つまり、辺部122と辺部126とに梁部材250が掛け渡されている。
図11(A)に示すように、ゴム部材352は、一端352Aが架台部120の辺部122、126に嵌め込まれ、他端352Bが梁部材350の端部350A,350Bに嵌め込まれている。
図9〜図11(A)に示すように、梁部材350の上面には、凹部354が複数、長手方向に並んで形成されている。そして、これらの凹部354に錘360が嵌め込まれている。
図9と図11(A)とに示すように、梁部材350の長手方向中央部の下面には、円板状の磁石370が接合されている。
一方、図9〜図11に示すように、防振台300の台部110における長辺の辺部112と辺部116との間には、平面視において細長い矩形状とされた板部材380の端部380A,380Bが接合されている。つまり、辺部122と辺部126とに板部材380が掛け渡されている。
なお、図10に示すように、板部材380は、梁部材350よりも若干幅広とされ、平面視において梁部材350と重なるように配置されている。そして、図9と図11(A)とに示すように、板部材380の上面における磁石370と対向する位置に円盤状のコイル部材382が配置されている。また、図11(B)に示すように、コイル部材382には、渦巻状に巻かれたコイル384(平面渦巻状のコイル384)を有している。
なお、磁石370とコイル部材382(コイル384)とが、発電部202を構成する主要な部材とされている。
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
防振台300の架台部120に載置された室外機10(図1参照)が振動する。室外機10の振動によって架台部120が振動する。しかし、防振部材108によって台部110に伝達される振動が低減し、この結果、床スラブ12に伝達される振動が低減する。
架台部120に遥動可能に設けられた梁部材350は、固有振動数が架台部120の振動数と一致又は略一致するように設定されることによって、梁部材350が架台部120と共振し、振動の振幅が増幅される。
共振によって梁部材350が主に上下方向に振動する。よって、梁部材350の下面に固定された発電部202の磁石370が上下方向(振動方向G)に振動する。つまり、図11(A)に示すように、磁石370がコイル384(コイル部材382)に対して、上下方向に接近と離間を繰り返す(発電部202を構成する磁石370とコイル384とが相対移動する)。
これにより、第一実施形態において、式(1)を用いて説明したように、電磁誘導の原理によってコイル384に電力が発生する。つまり、室外機10の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
また、梁部材350が架台部120と共振することによって、振幅が増幅されるので、架台部120(室外機10)の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
また、振動エネルギーが電気エネルギーに変換されたエネルギー分、架台部120の振動が低減する(制振効果が発揮される)。よって、このように架台部120の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換されることによって、架台部120の振動が効果的に低減する。そして、架台部120の振動が低減することで、台部110、すなわち床スラブ12に伝播される振動が低減される。つまり、防振台300の振動低減効果が向上する。
また、架台部120の辺部122、126と梁部材350の端部350A,350Bとを、ゴム部材352を介して遥動可能に接合することで、梁部材350が遥動(振動)しやすい構造となる。よって、梁部材350の振幅が大きくなり、その結果、発電量が大きくなる。
なお、本実施形態においても、図5(A)に示すように、梁部材350の端部350A,350Bを架台部120の辺部122、126に直接接合してもよいし、図5(B)及び図5(C)に示すように、架台部120の辺部122、126と梁部材350の端部350A,350Bとを、平板152を介して接合してもよい。
なお、前述したように第一実施形態においても、本実施形態のようにゴム部材352を介して、梁部材150の端部150A,150B(図5参照)を架台部120の辺部122、126に接合してもよい。
また、梁部材350の上面に設けられた錘360の質量や数を調整することで、梁部材350の固有振動数を容易に調整することができる。よって、例えば、振動源の室外機10の種類によってピーク値P1(図4参照)が異なる場合等、ピーク値P1に合った固有振動数に調整することができる。
ここで、磁石370がコイル384に対して振動方向G(軸方向)に移動し、電力が発生する際、コイル384に発生する逆起電力によって磁石370の振動を抑える抵抗力が、コイル384ら磁石370に作用し、磁石370、すなわち梁部材350の振動の振幅が小さくなる。
しかし、錘360の重量によって梁部材350の慣性力が大きくなる。よって、コイル384から磁石370(梁部材350)に作用する抵抗力による振動抑制効果が低減される。すなわち、共振による磁石370(梁部材350)の振幅が増幅される増幅倍率の低下が低減される。
なお、実施形態では、梁部材側に磁石が設けられ、板部材側にコイルが設けられていたが、これに限定されない。梁部材側にコイルが設けられ、板部材側に磁石が設けられていてもよい。
<第二実施形態の変形例>
つぎに、第二実施形態の変形例について説明する。
「第一変形例」
第一変形例では、図12に示すように、三つの梁部材350、351、353が架台部120の辺部122と辺部126とに接合され、掛け渡されている。なお、本実施形態では、梁部材350、351、353は平行に並んで配置されている。
梁部材350、351、353に設けられた錘360、361、363の質量は、それぞれ異なっており、錘361(梁部材351)、錘360(梁部材350)、錘363(梁部材353)の順番で重くなっている。
そして、梁部材351は固有振動数がピーク値P2となるように錘361の質量が設定され、梁部材350は固有振動数がピーク値P1となるように錘360の質量が設定され、梁部材353は固有振動数がピーク値P3となるように錘363の質量が設定されている。
第一変形例の作用及び効果について説明する。
このように、図6に示す、架台部120の複数のピーク値P1,P2,P3の振動数に対して、夫々梁部材350、351、353を共振させているので、振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
「第二変形例」
図13に示すように、第二変形例では、架台部120の辺部122と辺部122とに、X方向に間隔をあけて二つの梁部材350が掛け渡されている。更に、これら梁部材350と梁部材350とにY方向に間隔をあけて二つの梁部材355が掛け渡されている。
つまり、架台部120に遥動可能に設けられた第一振動部材としての梁部材350と、梁部材350に遥動可能に設けられた第二振動部材としての梁部材355と、振動部材359が構成されている。
このように、架台部120に遥動可能に設けられた梁部材350に、更に遥動可能に梁部材355が遥動可能に設けられることで、多質点系が構成されている。
第二変形例の作用及び効果について説明する。
架台部120に遥動可能に設けられた梁部材350と、梁部材350に遥動可能に設けられた梁部材355と、で構成されている振動部材359には、質点数と同じn次の固有振動数を生じさせることができる。よって、架台部120の卓越振動数が幅広く分布する場合、効率よく電力を発生させることができる。
<第二実施形態の発電部のバリエーション>
本実施形態では、発電部202は、図9及び図11に示すように、円板状の磁石37と円盤状のコイル部材382(平面渦巻状のコイル384)とが近接と離間とを繰り返す構成であったがこれに限定されない。
つぎに、発電部のバリエーションについて説明する。
「第一バリエーション」
図18に示す第一バリエーションの発電部204は、梁部材350の下面に設けた円柱状の磁石38が、板部材380の上面に設けられた筒状に巻かれたコイル40の中に配置される構成とされていている。
「第二バリエーション」
図19に示すように、第二バリエーションの発電部500は、平面視四角状の角部に配置された四つコイルばね20と一つの錘22とを備える振動増幅構造部14を有している。錘22は、四つのコイルばね20によって、梁部材350の下面に揺動可能に支持されている。なお、図19では、コイルばね20は二つのみ図示されているが、実際には四つ備えられている。
梁部材350の下面には、下方に向かって開口する収容孔24が形成された円柱状の内ガイド部材26が固定されている。錘22の上面には、上方に向かって開口する収容孔28が形成された円柱状の外ガイド部材30が固定されている。内ガイド部材26は、外ガイド部材30の収容孔28に挿入され、この状態で内ガイド部材26に対して外ガイド部材30が上下方向に相対移動できるようになっている。
内ガイド部材26の収容孔24と、外ガイド部材30の収容孔28とによって形成される収容部32には、コイルばね20が配置されている。コイルばね20の下端部は、内ガイド部材26の底部26Aに固定され、コイルばね20の上端部は、外ガイド部材30の天井部30Aに固定されている。
このような、内ガイド部材26及び外ガイド部材30から構成されるガイド機構34により、梁部材350に生じた上下振動が錘22に伝達されて錘22が揺れるときに、錘22が横方向に移動することを規制し、錘22を略鉛直に上下動させることが可能になる。よって、梁部材350の上下振動を錘22の上下振動に効果的に変換することができる。
内ガイド部材26の下端部にはゴム部材36が取り付けられている。錘22の上下動が過大になったときには、外ガイド部材30の床部30Aの下面にゴム部材36が当たって錘22の移動(振動)が規制される共に振動エネルギーが吸収され、ゴム部材36がストッパーとして機能する。
発電機構部16は、板部材380の上面に固定された第二部材としてのコイル40と、錘22の下面に固定されコイル40内を移動する第1部材としての円柱状の磁石38とを備えている。
つぎに本変形例の作用及び効果について説明する。
架台部120と梁部材350が共振し、梁部材350に上下方向の振動が発生する。これに伴って磁石38が上下方向に振動し、磁石38に対してコイル40が相対移動することによって、電力が発生する。すなわち、梁部材350(室外機10)の振動エネルギーが電気エネルギーに変換され電力が発生する。
第一実施形態で説明したように、式(1)により、発電量Vは、単位時間当たりの磁束密度の変化量ΔΦ/Δtに比例することが判る。そして、磁束密度の変化量ΔΦ/Δtは、磁石の振動の振幅(磁石とコイルとの相対移動量)が大きいほど大きくなるので、磁石の振動の振幅が大きいほど発電量は大きくなる。
このような原理から、磁石38の振幅を大きくすることができれば、大きな電力を発生させることができることが判る。
発電部500において、振動増幅構造部14(4つのコイルばね20と1つの錘22)と磁石38とによって構成される振動系Sの固有振動数は、錘22の重量やバネ定数等を調整することによって変更(調整)することができる。よって、本実施形態においては、振動系S1の固有振動数が、梁部材350の振動数のピーク値P1(図4参照)と一致又は略一致し、錘62と磁石38が共振するように、錘62の重量やコイルバネ20の長さやばね定数が設定されているので、錘62と磁石38の振幅が増幅される。つまり、錘62と磁石38の振動の振幅が大きくなる。
一方、磁石38がコイル40に対して振動方向G(軸方向)に移動し、電力が発生する際、コイル40に発生する逆起電力によって磁石38の振動を抑える抵抗力が、コイル40から磁石38に作用し、磁石38の振動の振幅が小さくなる。
しかし、錘62の重量によって磁石38の慣性力が大きくなる。よって、コイル40から磁石に作用する抵抗力による振動抑制効果が低減される。すなわち、共振による磁石38の振幅が増幅される増幅倍率の低下が低減される。
このように、磁石38の振動の振幅が増幅され、且つ抵抗力による増幅倍率の低下が低減されるので、コイル40の中を磁石38が移動する移動量(振幅)が増加する。
磁石38が移動する移動量が大きくなると、式(1)を用いて説明したように、発電量が大きくなる。別の言い方をすると、梁部材350(室外機10)の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
このように、梁部材350が架台部120と共振することによって振幅が増幅され、更に、発電部500の錘22とコイルばね20とを備える振動増幅構造部14によって振幅が増幅され、効果的に発電されるので、架台部120(室外機10)の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
また、このように架台部120の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換されるので、架台部120の振動が低減され、その結果、床スラブ12(図1参照)に伝達される振動が低減される。つまり、防振台の振動低減効果が向上する。
「第三バリエーション」
図20に示すように第三バリエーションの発電部510は、振動増幅構造部56と発電機構部16とを有する。
振動増幅構造部56は、二つの振動増幅ユニット64、66を上下方向に直列に積層した構造となっており、梁部材350の下面に設けられている。
振動増幅ユニット64は、四つのコイルばね20と一つの錘22とを備えており、錘22は、コイルばね20によって床スラブ12の上に揺動可能に支持されている。
また、振動増幅ユニット66は、一つのコイルばね20と一つの錘62とを備えており、錘62は、コイルばね20によって錘22の上に揺動可能に支持されている。
発電機構部16は、板部材380の上面に固定されたコイル40と、振動増幅構造部56の最下層に配置される錘62の上面に固定されコイル40内を移動する円柱状の磁石38とを備えており、磁石38に対するコイル40の相対移動によって電力が発生する。
つぎに、本バリエーションの作用及び効果について説明する。
磁石38に対してコイル40が相対移動すること、電磁誘導の原理によってコイル40から電力が発生する。
また、1層の振動増幅ユニットのみ(例えば、振動増幅ユニット64のみ)によって構成される振動増幅構造部の場合と比べて、梁部材350の振動に対する磁石38の振動の増幅倍率をより大きくすることができ、磁石38をより大きく振動させることができる。
言い換えると、梁部材350の振幅に対する磁石38の振幅の増幅倍率をより大きくすることができる。また、錘62の重量を小さくしても磁石38を十分に振動させることができる。
また、振動増幅ユニット64、66の数と同数の固有振動数を生じさせることができると共に、この固有振動数付近の振動数においても、梁部材350の振動に対する磁石38の振動の増幅倍率を大きくすることができるので、卓越振動数が幅広く分布する梁部材350(室外機10)に対して効率よく電力を発生させることができる。
また、振動増幅ユニット64(4つのコイルばね20と1つの錘22)によって構成される振動系S31の固有振動数と、振動増幅ユニット66(1つのコイルばね20と1つの錘62)と1つの磁石38とによって構成される振動系S32の固有振動数と、それぞれ錘22、62の重量の設定により個別に設定し、これによって発電部510全体の振動系Sの固有振動数を、錘22、62の重量の設定により容易に変更できる。
また、発電部510のように、2層の振動増幅ユニット64、66によって構成される振動増幅構造部56の場合、2層目の錘62の重量と磁石38の重量とを合計した値を1層目の錘22の重量で割ったマス比を小さくすれば、梁部材350の振幅に対する磁石38の振幅の増幅倍率を大きくすることができ、このマス比を大きくすれば、振動増幅構造部56の振動系Sに生じる2つの固有振動数(1次固有振動数と2次固有振動数)の振動数の間隔を広げることができる。
よって、梁部材350(室外機10)の振動特性に応じてこのマス比を適宜設定することにより大きな発電量を得ることができる。
「第四バリエーション」
ここまでは、コイルと磁石とが相対移動することによって、電磁誘導の原理によってコイルから電力を発生させていたが、これに限定されない。
第一部材と第二部材とが相対移動することによって、電力を発生させることができれば、どのような原理や構成であってもよい。よって、第四バリエーション〜第七バリエーションでは、電力を発生させる原理が異なる発電部について説明する。
図21に示す第四バリエーションの発電部520は、前述した第二バリエーションの発電部500の振動増幅構造部14の錘22の下に、発電機構部138を設置したものである。発電機構部138は、圧電素子140と錘142とによって構成されている。圧電素子140は錘22の下面に固定され、この圧電素子140の下に錘142が固定されている。
なお、「圧電素子」とは、圧電体に加えられた力を電圧に変換、又は電圧を力に変換する圧電効果を利用した受動素子とされている。
錘22が振動方向G(図示における上下方向)に振動する。そして、この振動が圧電素子140を介して錘142に伝わり錘142が振動方向G方向に振動する。このとき、圧電素子140には圧縮応力と引張応力とが繰り返し作用し、これによって圧電素子140の上下に設けられた電極144A、144Bに電力が発生する。
なお、本バリエーションは、圧電素子140の下端部が第一部材とされ、錘142が第二部材とされる。
ここで、発電機構部138により電力を発生させるときに、圧電素子140の下端部の振動を抑える抵抗力が錘142から作用する場合、圧電素子140の振動の振幅は小さくなってしまう。
しかし、錘22に固定されているので、錘22の重量により慣性力が大きくなり、これによって抵抗力による振動抑制効果が低減される。
「第五バリエーション」
図22に示す第五バリエーショの発電部530は、第二バリエーションの発電部500の振動増幅構造部14の錘22の下に発電機構部148を設置したものである。発電機構部148は、圧電素子141、錘143、及び支柱145によって構成されている。支柱145は、錘22の下面に固定されて略鉛直に立っており、この支柱145の下端部付近から圧電素子141を介して錘143が左右(水平方向外側)に張り出すように設けられている。
錘22が振動方向G(図における上下方向)に振動する。そして、この振動が支柱145及び圧電素子141を介して錘143に伝わり錘143が振動方向G方向に振動する。このとき、圧電素子141には、せん断応力が繰り返し作用し、これによって圧電素子141の左右に設けられた電極147A、147Bで電力が発生する。
本変形例の場合、支柱145が第一部材とされ、錘143が第二部材とされる。
「第六バリエーション」
第四バリエーションと第五バリエーションでは、圧電素子を利用して発電した。第六バリエーションでは、電荷を半永久的に帯びたエレクトレットを利用し静電誘導によって発電する。
図23に示す第六バリエーショの発電部540は、前述した第二バリエーションの発電部500の振動増幅構造部14の錘22の下に、発電機構部172を設置したものである。
発電機構部172は、二つの平面状の基盤174、176が互いに向かい合った構造となっている。この場合、基盤174が第1部材となり、基盤176が第2部材となる。
基盤174は、錘22の下に上端部が固定され、基盤176は、板部材380の上面に下端部が固定されている。基盤174には、電荷を半永久的に帯びたエレクトレット178が櫛状に配置されている。基盤176には、エレクトレット178に対向する対向電極180が櫛状に配置されている。
すなわち、磁石38が電荷を半永久的に帯びたエレクトレット178が櫛状に設けられた基盤176に置き換えられ、コイル40がエレクトレット178に対向して配置された対向電極180が備える基盤176に置き換えられた構成とされている。
そして、本発電機構部172は、エレクトレット178と対向電極180とが相対移動することによって起電力が生じ、対向電極180から電力が発生する。
ここで、電力を発生させるときに、基部176の振動を抑える抵抗力が対向電極180から作用する場合、基部176の振動の振幅は小さくなってしまう。
しかし、基盤176は錘22に固定されているので、錘22の重量により慣性力が大きくなり、これによって抵抗力による振動抑制効果が低減される。
「第七バリエーション」
図24及び図25には、静電誘導を用いた第七バリーションの発電部550が示されている。発電部5500は振動増幅構造部552と発電機構部554とを備えている。
なお、台部110にY方向に沿って掛け渡されている板部材381は、第二実施形態で説明した板部材380(図9などを参照)よりもX方向に幅広とされている以外は同様の構成である。
振動増幅構造部552は、板部材381(図25参照)に設けられ、梁部材350の上下方向の振動を、水平方向Kへのスライド移動に変換するスライド機構626と、梁部材350及び移動部材124の各々に回転可能に連結されるリンク部材630と、を備えている。
移動部材624は板状で水平又は略水平に配置されている。移動部材624の移動方向Kに沿った端部624Aの上下面には、当該端部624Aに沿ったガイド溝632(図25(B)参照)がそれぞれ形成されている。
移動部材624の両側には支持部材658が設けられている。支持部材658は、板部材381の上面に固定される固定台660と、固定台660に設けられ、移動部材624の端部624Aにスライド可能に取り付けられるボールスライダ662とを備えている。
ボールスライダ662は、断面C形の本体664と、本体664の上下の内壁に取り付けられたベアリングボール666を備えている。本体664内には移動部材6124の端部124Aが挿入され、当該端部624Aのガイド溝632にベアリングボール666が係合されている。
このボールスライダ662によって、移動部材624がガイド溝632に沿って移動方向Kへスライド可能に支持されている。これらのガイド溝632及びボールスライダ662によってスライド機構626が構成されている。なお、スライド機構626に替えて、リニアスライダ等の種々のスライド機構を用いることができる。
図24と図28とに示すように、棒状のリンク部材630は、一端が移動部材624にピン682で回転可能に取り付けられている。一方、他端に設けられた軸受部684が、梁部材350にX方向に突出した回転軸683に回転可能に取り付けられている。リンク部材630は、移動部材624の移動方向Kに対して所定の傾斜角θ(本実施形態では、約60度)に傾斜している。そして、このリンク部材630によって、梁部材350の上下振動Gが、移動部材624の水平方向Kの振動に変換される。
発電機構部554は、移動部材624の下面に取り付けられたエレクトレット678と、板部材381に取り付けられ、エレクトレット678と対向する対向電極680と、を備えている。これらのエレクトレット678と対向電極680とが相対移動することによって起電力が生じ、対向電極680に電力が発生する。即ち、発電機構部554は、静電式(静電誘導)の発電機とされている。なお、発電機構部534に接続される配設等の図示は省略されている。
次に、振動増幅構造部552の作用について説明する。
梁部材350が振動方向Gへ振動すると、スライド機構626によって、移動部材624が水平方向Kへ往復移動する。
より詳しく説明すると、梁部材350が振動方向G下方へ移動すると、梁部材350と移動部材624との間隔が狭くなる。つまり、リンク部材630の他端が下側に移動する。よって、リンク部材630がピン682及び回転軸683を回転軸として傾斜角θが小さくなる方向へ回転する。これにより、移動部材624が図24において移動方向Kの左側へ移動し、移動部材624に設けられたエレクトレット678が板部材381に設けられた対向電極680に対して相対移動する。この結果、対向電極680に電力が発生する。
一方、梁部材350が振動方向G上方へ移動すると、梁部材350と移動部材624との間隔が広くなる。つまり、リンク部材630の他端が上側に移動する。よって、リンク部材630がピン682及び回転軸683を回転軸として傾斜角θが大きくなる方向へ回転する。これにより、移動部材624が図24において移動方向Kの右側へ移動し、移動部材624に設けられたエレクトレット678が板部材381に設けられた対向電極680に対して相対移動する。この結果、対向電極680に電力が発生する。
なお、梁部材350の振動方向Gの振動が、リンク部材130の回転運動に変換され、移動部材624に移動方向Kの変位として出力されるため、梁部材350の振動の振幅が増幅され、移動部材124の変位量が大きくなる。
したがって、対向電極680に対するエレクトレット678の相対移動量が大きくなるため、発電効率が向上する。なお、本実施形態では、リンク部材630の傾斜角θを約60度に設定したが、傾斜角θが45以上であれば、リンク部材630によって梁部材350の振動が増幅される。
更に、移動部材624が移動方向K(水平方向)へ移動するため、即ち、移動部材624が振動発電部の装置高さ方向(振動方向G、Z方向)へ移動しないため、発電部530の高さを小さくすることができる。よって、発電部530の収納スペースが小さくなるため、架台部120と台部110の間隔を大きくすることなく、対向電極680に対するエレクトレット678の相対移動量が大きくすることができる。
「第八バリエーション」
図26及び図27には、第八バリエーションとして、第一実施形態と同様に電磁誘導を用いた発電部560が示されている。発電部560は振動増幅構造部562と発電機構部564とを備えている。なお、第七実施形態と同様に静電誘導を用いても発電可能である。
振動増幅構造部562は、回転体786と、回転体786を回転させる回転機構788とを備えている。回転機構788は、円盤状の回転体786の外周に取り付けられ、当該回転体786を回転可能に支持するボールベアリング790と、梁部材350の下面に鉛直方向下向きに突出すように固定され、回転体886の中央部に形成されたネジ孔792に捻じ込まれるネジ部材794と、を備えている。
ボールベアリング790は、外側リング790Aと、当該外側リング790A内に配置された内側リング790Bとを備えている。外側リング790Aと内側リング790Bの間には複数のベアリングボール796が設けられ、当該ベアリングボール796が回転することにより、外側リング790Aと内側リング790Bとが相対的に回転可能となっている。この外側リング790Aは、板部材381に設けられた支持脚798に固定されている。
ネジ部材794は、軸方向を振動方向Gとして、梁部材350の下面に取り付けられている。このネジ部材794は、梁部材350の上下方向の振動に伴って、回転体786のネジ孔792に対して挿抜される。これにより、ネジ部材794及びネジ孔792のネジ機構によって、ネジ部材794の直線運動が回転体786の回転運動に変換されるように構成されている。なお、ネジ部材794及びネジ孔792のネジ機構に替えて、ボールネジ機構等を用いても良い。
図27に示されるように、回転体786の下には、筒状の支持台701が設けられている。支持台701は板部材381に固定され、その内部にネジ部材794が挿抜可能となっている。支持台701の上端には、第2部材としての渦巻き状のコイル702が設けられている。
一方、回転体786の下面には、第1部材としての磁石704が設けられている。これらのコイル702及び磁石704は、回転体786の回転が所定の回転角になったときに、対向するように配置されている。即ち、回転体786の回転に伴って、コイル702に対して磁石704が相対移動し、コイル702に電磁誘導が発生するように構成されている。なお、コイル702に接続される配線等の図示は省略されている。
次に、振動増幅構造部562の作用について説明する。
梁部材350が振動方向Gへ振動すると、ネジ部材794が回転体786のネジ孔792に対して挿抜される。これにより、回転体786の外周に取り付けられた内側リング790Bが、外側リング790Aに対して相対回転し、回転体786が回転する。この結果、支持台701の上端に設けられたコイル702に対して、回転体786の下面に設けられた磁石704が相対移動し、コイル702に電磁誘導が発生する。即ち、コイル702に電力が発生し、架台部350の振動の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
また、ネジ部材794及びネジ孔792のネジ機構によって、梁部材350の振動方向Gの振動が、回転体786の回転運動に変換される。したがって、梁部材350の振動の振幅が増幅され、コイル702に対する磁石704の相対移動量が大きくなる。よって、発電効率が向上する。
なお、磁石704は、回転体786の外周部近傍の下面に設けることが望ましい。すなわち、磁石704が描く円形の移動軌跡の円周が長くなり、磁石704とコイル702の相対移動量を大きくするためである。この際、コイル702は、回転体786の回転が所定の回転角になったときに、磁石704と対向するように配置すれば良い。
なお、静電誘導の原理を用いて発電する場合は、コイル702と磁石704とのいずれか一方を対向電極とし、いずれか他方をエレクトレットとすればよい。
<第三実施形態>
ここまで説明した実施形態では、梁部材の振動方向は上下方向であったがこれに限定されない。よって、第三実施形態では梁部材の振動方向が水平方向の例について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図14に示すように、本実施形態の防振台740では、台部110(図1参照)と架台部120と間には連結機構部102(図2(B)を参照)を設けずに、防振部材108のみが間に挟まれている。よって、架台部120は、上下方向に加え水平方向にも振動可能となっている。
Y方向に沿って配置された二つの梁部材750、760の一端750A,760A,163Aが架台部120の辺部122に水平方向に遥動可能に接合されている。つまり、梁部材750、760は平行に並んで配置された片持ち梁とされている。なお、梁部材750、760の一端750A,760A,163Aと架台部120の辺部122との接続部位は、図5及び図11の接続構造が適用できる。
梁部材750、760の他端端750B,760Bの近傍における対向する側面750C,760Cには発電部730を構成する磁石752とコイル762とが設けられている。
また、梁部材750、760には、錘754、764が設けられている。
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
防振台740の架台部120に載置された室外機10(図1参照)が振動する。室外機10の振動によって架台部120が振動する。梁部材750、760は水平方向に振動する。よって、梁部材750、760との側面750C,760Cに固定された磁石752とコイル762とが接近と離間を繰り返す(発電部730を構成する磁石752とコイル762とが相対移動する)。
ここで、架台部120に水平方向に遥動可能に設けられた梁部材750、760は、固有振動数が架台部120の振動数と一致又は略一致するように設定されることによって、梁部材750、760が架台部120と共振し、振動の振幅が増幅される。
更に、梁部材750と梁部材760とは、互いに逆方向に移動(振動)するように位相が設定されている。つまり、梁部材750が梁部材760から遠ざかる方向(図における右側)に移動するときは、梁部材760も梁部材750から遠ざかる方向(図における左側)に移動するように設定され、梁部材750が梁部材760に近づく方向(図における左側)に移動するときは、梁部材760も梁部材750に近づく方向(図における右側)に移動するように設定さている。
これにより、第一実施形態において、式(1)を用いて説明したように、電磁誘導の原理によってコイル384に電力が発生する。つまり、室外機10の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
また、梁部材350が架台部120と共振することによって、振幅が増幅されるので、架台部120(室外機10)の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換される。
また、振動エネルギーが電気エネルギーに変換されたエネルギー分、架台部120の振動が低減する(制振効果が発揮される)。よって、このように架台部120の振動エネルギーが効果的に電気エネルギーに変換されることによって、架台部120の振動が効果的に低減する。そして、架台部120の振動が低減することで、台部110、すなわち床スラブ12に伝播される振動が低減される。つまり、防振台100の振動低減効果が向上する。
<第四実施形態>
ここまで説明した実施形態では、架台部は、平面視において、四角枠状とされていたが、これに限定されない。よって、第三実施形態では、架台部が枠状でない構成について説明する。なお、第一実施形態〜第三実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、発電部200は第一実施形態で説明した発電部200と同一の構成であるので、説明を省略する。
図15に示すように、本実施形態の防振台800では、架台部820は、架台部120(図1参照)よりも厚みが厚い板状とされている。そして、上下方向に貫通する平面視四角状の孔部822が四つ形成されている。各孔822には、棒状の補強部材824、826が平面視格子状に配置されている。
架台部820の端部820Aには、振動部材830が固定されている。振動部材830は、一端832Aが架台部820に固定され鉛直方向上向きに配置された円柱状の柱状体832と、柱状体832の他端832Bに設けられY方向(水平方向)に沿って配置された板状の水平部材834と、を有している。よって、X方向に見ると、振動部材830は、柱状体832と水平部材804とでT字形状が構成されている。
振動部材830の水平部材804の両端部には、発電部200が設けられている。なお、発電部200は、前述したように第一実施形態と同様の構造であるので、説明を省略する。
また、図示は省略されているが、架台部820の上に室外機10(図1参照)が載置されている。
つぎに本実施形態の作用及び効果にてについて説明する。
防振台800の架台部820に載置された室外機10(図1参照)が振動する。室外機10の振動によって架台部820が振動する。架台部820が振動することによって、振動部材830が振動する。このてき、振動部材830を構成する柱状体832は、一端832Aを支点に他端832BがY方向に振動する。そして、水平部材834の両端部が矢印S3方向に振動する。よって、振動方向Gは、Z方向とされる。
そして、この振動により発電部200が発電する。すなわち、架台部820の振動の振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
なお、本実施形態においては、柱状体832の長手方向(Z方向)の長さと、水平部材834を長手方向(Y方向)の長さと、を長くすることで振幅が大きくなる。そして、振幅を大きくすることで、発電部200の発電量が大きくなる。
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、被載置部の一例としての屋上などのコンクリート製の床スラブの上に設置され、防振台の上に振動源の一例としてのビル用の大型エアコン装置(業務用エアコン装置)の室外機を載せた例で説明したが、これに限定されない。
例えば、防振台に載せる振動源としては、ポンプ、クーリングタワー、コジェネレーション、チリングユニット、変圧器、キュービクル等の振動する設備機器全般があげられる。
5 発電システム
10 室外機(振動源)
12 床スラブ(被載置部)
14 振動増幅構造部
20 コイルばね(支持部材)
22 錘
38 磁石(第一部材、第二部材)
40 コイル(第一部材、第二部材)
56 振動増幅構造部
62 錘
108 防振部材
100 防振台
120 架台部
141 圧電素子(第二部材)
143 錘(第二部材)
144A 電極(第一部材)
144B 電極(第一部材)
145 支柱(第一部材)
147A 電極(第一部材)
147B 電極(第一部材)
150 梁部材(振動部材)
151 梁部材(振動部材)
152 平板(弾性部材)
153 梁部材(振動部材)
178 エレクトレット(第一部材)
180 対向電極(第二部材)
200 発電部
350 梁部材(振動部材、第一振動部材)
351 梁部材(振動部材)
352 ゴム部材(弾性部材)
353 梁部材(振動部材)
355 梁部材(振動部材、第二振動部材)
552 振動増幅構造部
562 振動増幅構造部
820 架台部
830 振動部材

Claims (8)

  1. 被載置部の上に、防振部材を介して設けられ、振動源が載置される架台部と、
    前記架台部に遥動可能に設けられ、前記架台よりも振幅が増幅されて振動する振動部材と、
    前記振動部材の振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電部と、
    を備える防振台。
  2. 前記発電部は、
    錘と、前記振動部材に前記錘を揺動可能に設ける支持部材と、を有する振動増幅構造と、
    前記錘に固定された第一部材と前記第一部材に対して相対移動可能に設けられた第二部材とを有し、前記第一部材と前記第二部材との相対移動によって電力が発生する発電手段と、
    を備える請求項1に記載の防振台。
  3. 前記発電部は、
    第一部材と、前記振動部材に固定され前記第一部材に対して相対移動する第二部材と、を有し、前記第一部材と前記第二部材との相対移動によって電力が発生する発電手段を備える、
    請求項1に記載の防振台。
  4. 前記振動部材が複数備えられ、
    前記振動部材の少なくとも一つは、他の前記振動部材とは固有振動数が異なるように設定されている、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の防振台。
  5. 前記振動部材は、
    前記架台部に遥動可能に設けられた第一振動部材と、
    前記第一部材に遥動可能に設けられた一つ又は複数の第二振動部材と、
    で構成されている、
    請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の防振台。
  6. 前記振動部材が、弾性部材を介して前記架台部に接合されている、
    請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の防振台。
  7. 前記架台部は、平面視において枠状に構成された枠部を有し、
    前記振動部材は、長手方向が水平又は略水平に配置された梁状とされ、一端又は両端が前記枠部に遥動可能に接合されている、
    請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の防振台。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の防振台の架台部に振動源を載置して発電する発電システム。
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