JP2011152947A - 包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】水切り機能を有する包装袋であって、食品を出し入れする際に、開口部に取り付けた面ファスナー部に食品が入り込むことが少なく、かつ水切り機能を充分に有しており、さらに電子レンジ加熱を行っても面ファスナー部からの蒸気の放出が充分可能な包装袋を提供する。
【解決手段】合成樹脂シートからなる包装袋の開口部に沿って2枚のキノコ型面ファスナーが互いに係合するように取り付けられた包装袋において、該2枚の面ファスナーがともに開口部の一端から他端に伸びる2列以上のキノコ型係合素子列を有しており、各キノコ型係合素子がステム部(S)とその上部に広がる傘部(M)からなり、かつ係合素子列方向に直交する方向(Q方向)に傘部(M)はステム部(S)からはみ出して拡がっているが、係合素子列方向(P方向)には傘部(M)は拡がりを有しておらずにステム部(S)から傘部先端部までほぼ同一の幅を有していることを特徴とする包装袋。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子レンジ加熱食品や水切りを要する食品の包装に適した包装袋に関する。より詳しくは、包装袋の開口部に面ファスナーが取り付けられており、面ファスナーを構成する係合素子の間から、水や蒸気等を抜くことが可能な包装袋に関する。
従来から、水切り機能を有する包装袋は公知であり、例えば特開2005−324827号公報には、袋本体の開口部に一対の雄型面状ファスナーを取り付けたものが記載されている。しかしながら、この公開特許公報には、開口部に取り付ける雄型面状ファスナーに関して具体的には記載されていない。
本発明者が、従来の一般的な雄型面状ファスナーを取り付けた包装袋を試作し、その使い易さを検証したところ、一般的な雄型面ファスナーである、フック面ファスナーやキノコ型の膨頭部を有する織製雄型面ファスナーを開口部に取り付けた場合には、袋内に充填した含水食品を同袋から取り出す際に、面ファスナー内に同食品が入り込み、それが係合素子間に留まり、係合能が低下するとともに衛生上も好ましくないことが判明した。また、端面よりの係合素子脱落現象及び繰り返し開閉による係合素子脱落も認められ、衛生上好ましくないことも判明した。
逆に、包装袋に含水食品を出し入れする際に食品や汁が面ファスナー内に入り込み難いような面ファスナーは、一般的に水切り機能が低く、水切りするのに長い時間を要することが分った。
さらに、包装袋として、開口部に完全密閉型のジッパーを取り付けたものも公知であるが、このものは水切り機能を有しておらず、電子レンジ加熱を行った場合には、加熱により発生した蒸気が袋内から逃げ出すことができないため、包装袋が内気圧の上昇により膨張破裂することとなる。完全密閉型ジッパーに代えて、隙間を有するジッパーを用いた場合には、電子レンジ加熱により破裂することを防ぐことができるが、水切り袋として使用できるほど隙間が開いていないことから、水切り袋として使用することは殆ど不可能である。
特開2005−324827号公報
本発明は、水切り機能を有する包装袋であって、食品を出し入れする際に、開口部に取り付けた面ファスナー部に食品が入り込むことが少なく、かつ水切り機能を充分に有しており、さらに電子レンジ加熱を行っても面ファスナー部からの蒸気の放出が充分可能な包装袋を提供することにある。
すなわち、本発明は、合成樹脂シートからなる包装袋の開口部に沿って2枚のキノコ型面ファスナーが互いに係合するように取り付けられた包装袋において、該2枚の面ファスナーがともに開口部の一端から他端に伸びる2列以上のキノコ型係合素子列を有しており、各キノコ型係合素子がステム部(S)とその上部に広がる傘部(M)からなり、かつ係合素子列方向に直交する方向(Q方向)に傘部(M)はステム部(S)からはみ出して拡がっているが、係合素子列方向(P方向)には傘部(M)は拡がりを有しておらずにステム部(S)から傘部先端部までほぼ同一の幅を有していることを特徴とする包装袋である。
また、好ましくは、本発明は、上記包装袋において、開口部に存在している2枚のキノコ型面ファスナーが、片面に存在している係合素子列間に他の面に存在している係合素子列が嵌入するように位置に取り付けられている場合であり、また、係合素子の傘部の広がり部の長さ(X)が、隣り合う係合素子列のステム部間の間隔(Y)より狭く、隣り合う係合素子列の傘部間の間隔(Z)より広い場合であり、また係合素子列方向と直交する方向のステム幅(T)が、隣り合う係合素子列の傘部間の間隔(Z)の1/2〜1/1の範囲である。さらに、本発明において、好ましくは、2枚のキノコ型面ファスナーを構成するキノコ型係合素子列の列数が、ともに3〜6列である場合である。
本発明の包装袋によれば、含水食品を出し入れする際に、開口部に取り付けた面ファスナー部に食品や汁等が入り込むことが少なく、かつ水切り機能を充分に有しており、さらに面ファスナーで袋を閉じた状態で電子レンジ加熱を行っても面ファスナー部からの蒸気の放出が充分可能となる。
本発明の包装袋全体の好適な一例の正面図。 本発明の包装袋を構成するキノコ型面ファスナーの好適な一例の斜視図。 本発明の包装袋を構成するキノコ型面ファスナーを製造するのに使用する押出用ノズルの好適な一例の正面図。
以下、図1〜図3を用いて、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1は、本発明の包装袋の一例の正面図である。図1において、1が袋の胴体を構成する合成樹脂シートである。そして、2が、この合成樹脂シート2枚(表面側シートと裏面側シート)を熱融着させてシールした部分で、袋の両サイド部がシールされている。もちろん、袋が筒状のシートで構成されている場合には両サイド部の熱融着部が不要な場合もある。さらに、熱融着ではなく接着剤により貼り合わされていてもよい。そして、袋胴体の上端の8の部分が開口部である。
そして、袋の下部の4の部分には、含水食品等を袋内に充填した場合に袋が自立できるように、袋の胴体をなすシート(1)の間に底部となるシートが点線9で折り返して存在しており、従って、食品を充填していない状態では、4の部分には、底部となる折り畳まれたシートと、胴体部となるシート2枚(表面側と裏面側)が重なった4重構造となっている。
そして、5の斜線部で、胴体となる表面側シートと折り畳まれた底部用シートの手前側の面が熱融着され、また胴体となる裏面側シート1枚と底部用シートの向こう側の面が熱融着されて、底部からは充填物が漏れないようになっている。従って6の熱融着部は、上から胴体となる表面側シートと底部となるシートの手前側の面が熱融着された融着部(a)と、そして胴体となる裏面側シートと底部となるシートの向こう側の面が熱融着された融着部(b)の2枚が重ね合わされた状態となっている。さらに、熱融着部6に存在する7の部分は、上記融着部(a)と上記融着部(b)が全て熱融着部され一体化した部分であり、このような構造とすることにより、包装袋は食品等を袋内に充填した場合に、底部が広がり、かつ両サイドに存在する熱融着部により支えられて安定に自立することとなる。
そして、このような包装袋が安定的に自立でき、電子レンジ等での加熱の際に使い易いことから、食品を充填しない状態で袋の底辺の長さと高さ(底辺から面ファスナーまでの高さ)の比率が1:0.4〜1:2.0の範囲でかつ袋底部から9の底部折り返し部の高さが袋底辺長さの0.15倍〜0.35倍、特に0.2〜0.3倍が好ましい。また、袋の大きさとしては、高さが5〜30cm、底辺長さが10〜30cmの範囲、特に高さが10〜20cm、底辺長さが15〜25cmの範囲が使い易さの点で好ましい。
本発明の包装袋を構成する合成樹脂シートを形成する合成樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンで代表されるポリオレフィン類、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等が代表例として挙げられ、さらにセロハン等も挙げられる。これらは積層されていてもよい。更には、アルミ等が蒸着されたシート等でも良い。
なかでもポリオレフィン系樹脂からなるシートが熱融着性の点で好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂シートにナイロン系やポリエステル系のシートがラミネートされたものでも、あるいはポリオレフィン系シートにエチレン−ビニルアルコール系樹脂シートがラミネートされたものやサンドイッチされたものでもよい。包装袋を構成する合成樹脂シートの厚さとしては、20〜200μm、特に50〜150μmが好ましい。
そして、包装袋の上部には面ファスナー3が開口部に沿って開口部の端から端まで存在している。もちろん、面ファスナーは底面に平行である必要はなく、例えば開口部が底面に対して斜めに存在している場合には、同様に面ファスナーも斜めに存在させてもよいし、また開口部の傾きと面ファスナーの傾きを同一にする必要もない。要は、袋の中に充填した食料品等を袋内に封鎖できるように、開口部近辺に取り付けられてあればよい。
本発明の包装袋の開口部を封鎖する面ファスナーの好適例として、図2に示すような雄型面ファスナーが挙げられる。図2の雄型面ファスナーでは、基板の上に係合素子が列をなして立設されている。図2では4列の係合素子列が基板長さ方向(P方向)に平行に存在している。そして、このような係合素子列が、開口部の端から端まで存在しており、具体的には、図1に示す開閉自在袋の開口部8に平行な3の位置に、袋の表面と裏面の両シートの内側に、表面用胴体シートに取り付けた面ファスナーと裏面用胴体シートに取り付けた面ファスナーが係合し合うような位置に取り付けられている。
本発明を構成する面ファスナーは、熱可塑性樹脂からなる基板とその上に存在する同樹脂からなる多数の係合素子から構成される。基板の厚さとしては、概ね0.1〜0.5mm、特に0.2〜0.4mmが好まく、幅としては3〜15mm、特に4〜8mmが好ましい。尚、基板の厚さは幅方向に凹凸があっても良い。ステムの直立性を向上するために、ステム部域の基板厚さ(表面に係合素子列が存在している基板部分の厚さ)は、ステム列が存在していない基板部分、すなわち隣り合うステム列の間の部分やステム列の外側に存在する耳部の基板厚さより、やや厚くする方が好ましい。
係合素子は、いずれも、基板からほぼ垂直に基板上に列をなして立設されており、各係合素子は、根元部(基板)から延びたステム部(S)とその上記に係合素子列方向(P方向)から見た場合に上部が傘のように両翼に広がっている傘部(M)からなる。
本発明において、各キノコ型係合素子は、ステム部(S)とその上部に広がる傘部(M)からなり、かつ係合素子列方向に直交する方向(Q方向)に傘部(M)はステム部(S)からはみ出して拡がっているが、係合素子列方向(P方向)には傘部(M)は拡がりを有しておらずにステム部(S)から傘部先端部に至るまでほぼ同一の幅(W)を有している。このような係合素子形状を有していることにより、袋内に食品を出し入れする際に、面ファスナー部に食品が入り込むことを防ぎ、係合能が低下することを防ぐことができるとともに、水切り能や蒸気の抜けが良くなる。
そして、本発明において、表面シートの内側に取り付ける面ファスナーと裏面シートの内側に取り付ける面ファスナーは同一形状のものが使用でき、かつ一方の面ファスナーの係合素子列が、他方の面ファスナーの隣り合う係合素子列の間に嵌入するように、係合素子列の間隔(隣り合う係合素子列との距離)の半分の距離を上下方向にずらして、両面ファスナーをシート内側に取り付ける。
面ファスナーをシートに取り付ける方法としては、熱融着、すなわち面ファスナーをシート表面に載せ、シート面から熱を加えて圧着する方法が一般的であるが、接着剤や粘着剤を用いて面ファスナーをシート面に取り付ける方法でもよい。
係合素子の高さ(H)としては、0.5〜2.0mm、特に1.0〜1.5mmの範囲が本発明効果をより発現できる点で好ましく、また各係合素子の傘部の広がり部の長さ(X)としては0.4〜1.4mm、特に0.7〜1.0mmの範囲が係合力の点で好ましく、ステム幅(W)としては、0.3〜0.7mm、特に0.4〜0.6mmの範囲が好ましい。また、ステム部間の間隔、すなわち隣り合う係合素子列との間隔(Y)としては、0.8〜1.8mm、特に1.0〜1.6mmの範囲が好ましく、係合素子列方向に隣り合う係合素子の間隔(L)としては、0.2〜0.6mm、特に0.3〜0.5mmの範囲が好ましい。また、係合素子列方向と直交する方向のステム幅(T)としては、0.2〜0.5mm、特に0.3〜0.4mmの範囲が好ましく、隣り合う係合素子列間の傘部での間隔(Z)としては、0.3〜1.2mm、特に0.6〜0.9mmの範囲が好ましい。更に、係合素子の高さ(H)の20〜50%、特に30〜40%が傘部であるのが好ましい。
これらの大きさや範囲を満足していることが係合力および係合し易さ、さらに充填物の面ファスナーへの入り込みを防ぐ上で好ましい。
さらに、本発明において、傘部広がり部の広がり幅(X)が、隣り合う係合素子列のステム部間の間隔(Y)より狭く、隣り合う係合素子列の傘部間の間隔(Z)より広いのが係合力および係合し易さの点で好ましい。また、ステム部幅(T)に関しても、隣り合う係合素子列の傘部間の間隔(Z)の1/2〜1/1、特に2/3〜3/4の範囲内であるのが同様の理由で好ましい。そして、係合素子列方向のステム幅(W)と係合素子列方向に隣り合う係合素子の間隔(L)との比は、1:0.9〜1:0.7の範囲が係合力と水抜きのし易さの点で好ましい。
さらに、本発明において、各係合素子の列方向端面と、隣り合う列に存在している最も近い係合素子の端面が同一面上に存在しているのが、袋に食品等を出し入れする際に、面ファスナー内に食品が入り込むことを防ぐことができ、かつ優れた水切り能が得られる上で好ましい。係合素子端面を同一面とするためには、後述する製造方法において、係合素子用列条長さ方向を横切るように係合素子用列条に刃を入れて切れ目を入れる際に、隣り合う係合素子用列条も同一面の切れ目となるように、すなわち複数の係合素子用列条が同一面で切れ目が入るように切ることにより達成される。
なお、本発明において、係合素子は後述する方法により製造されるが、ステムの根元付近は、ステムの中間部分と比べて係合素子列方向の太さが太くなりがちである。そのような場合には、本発明で言う寸法は、ステム部の高さの中間部での長さを意味する。
さらに、本発明において、キノコ型面ファスナーを構成するキノコ型係合素子列の列数が複数存在することが必須であるが、なかでも2〜6列、特に3〜5列存在することが、係合力および開封のし易さの点で好ましい。図2に示すキノコ型面ファスナーでは、係合素子列が4列存在しており、この列数が最も好ましい。
なお、上記した係合素子の寸法や間隔は、任意に選んだ係合素子または係合素子間等10個の値の平均値である。
さらに本発明を構成する面ファスナーにおいて、好ましくは、基板上に基板1cm当たり30〜200個の密度で係合素子が存在している場合であり、30個より少ない場合には係合力が低下し、逆に200個より多い場合には、隣り合う係合素子同士が係合を妨げ、充分な係合力が得られないこととなる。より好ましくは、密度が50〜150個/cmの範囲の場合である。
また、本発明の面ファスナーにおいて、係合素子のステム部高さの中間部分における基板と平行方向における個々のステム部の断面積が0.1〜0.3mmであるのが好ましい。断面積が0.1mm未満の場合には、係合素子が曲がり易く、係合力が低下する。一方、0.3mmを越える場合には、面ファスナーが硬くなり、好ましくない。より好ましくは0.15〜0.25mmの範囲である。ここでいう断面とは、係合素子のステム部の基板に対して平行な面での断面である。
次に、本発明を構成する面ファスナーの製造方法について説明する。
まず、図3に示すようなスリットを有するノズル(10)から熱可塑性樹脂を溶融押出し、基板の表面に、基板に対して直立し、かつ長さ方向に連続している複数のキノコ状断面を有する複数の列条を有するテープを成形する。
図3に示す11が基板を形成することとなる線状スリットであり、そして12がキノコ型係合素子を形成することとなるスリットである。図3のスリットを用いた場合には基板表面に直立するキノコ状列条が4本等間隔で存在しているテープが得られる。列条の本数としては、上記したように、2〜6本が適当であり、好ましくは3〜5本である。テープ幅としては、延伸前で5〜15mmが好ましい。尚、より広幅の多条列ノズルを用い、適切な列条にスリットして製品テープを製造することも可能である。
面ファスナーに使用される熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられ、特に、延伸性や溶融押出し安定性、さらに袋との融着性の点や係合素子強度の点でポリプロピレンで代表されるポリオレフィン系樹脂が好適例として挙げられる。より効率的に熱融着させるために融点の異なる樹脂を混合することも好ましい。また、係合素子の柔軟性および係合−剥離の繰り返しにより、係合素子の傘部が切断されないように、エラストマー系の樹脂をブレンドするのが好ましい。例えば、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対してオレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーを5〜50重量部ブレンドし、成形することにより柔軟でかつ傘部が切断され難い係合素子とすることができる。
次に得られたテープの表面に存在する列条に、列条長さ方向を横切る方向、好ましくは直交する方向に、小間隔で付け根付近まで切れ目を入れる。切れ目の間隔としては3〜8mmが適切である。次いで、テープを長さ方向に延伸する。延伸倍率としては、延伸後のテープ長さが元のテープ長さの1.5〜3.5倍となる程度が好ましい。この延伸により、列条に入れられた切れ目が広がり、列条が、独立した多数の係合素子の列となる。
なお、本発明に用いる面ファスナーにおいて、袋本体シートとの接着強度を高めるために、基板裏面に凹凸を設けてもよく、例えば、上記テープ状の押し出し物を製造する際に、裏面側に凸条や凹条を設けても良い。
また、本発明の包装袋の面ファスナーの上、すなわち、面ファスナーと開口部との間に、充填した食品が長期保存可能なように、熱シール部が設けられていても良い。もちろん、面ファスナーより上の部分は開口部に至るまで全て熱シールされていても良い、
すなわち、殺菌された状態で熱シールされていることに長期保存や運搬が可能であり、また袋を横にした状態や逆にした状態で運搬や保存ができ、そして、使用する際(例えば食する際)に熱シール部を取り除き、面ファスナーにより袋が閉じられた状態とし、この状態で電子レンジ等で加熱することにより袋が破裂することなく加熱でき、また袋内に充填されている食品等が使用するに際して水切りする必要のあるものである場合には、上記状態で袋を傾けることにより面ファスナー隙間から水を難なく除去できることとなる。
本発明の食品包装袋は、浅漬けやこんにゃく等の水分を含んでいる食品の保存、そして取り出して食する際に水切りが必要な食品の包装袋として、さらに、電子レンジで加熱して食する食品、特に液状の食品の包装袋として適しており、袋に充填したままで電子レンジ加熱しても、発生する蒸気が面ファスナー間から抜け出ることから、従来のように、他の容器に移し替えて、電子レンジに投入する必要がない。
本発明の食品包装袋は、例えば、コンビニや食料品売り場で、食品が充填された本発明食品包装袋を陳列しておく際には、本発明の食品包装袋の面ファスナーの上側に存在する熱融着部を熱シールしており、滅菌され、保存の利く状態で並べられており、客が商品を購入した時点で店頭であるいは客が持ち帰ってから家庭で該熱融着部を取り除き、面ファスナーで封鎖された状態で、電子レンジで加熱する等の使用形態に適している。
そして、本発明の包装袋は、充填されている食品等を取り出した後は、面ファスナー部に取り残されている食品等が少なく、かつ、水で洗うことにより簡単に除去できることから、再使用可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
実施例1
ポリプロピレンシート及びナイロンシートからなる厚さ90μmの積層シートを袋胴体および袋底部として用い、図1に示す袋と同様の袋であって、その開口部の下2.5cmの部分にキノコ型面ファスナーが向かい合うように袋内側に取り付けた袋を作製した。袋の幅(底辺長さ)は20cmで、その両外側には8mm幅の熱融着部が存在している。袋の高さは13.5cmであり、そして、底から5.5cmの高さのところに図1で示す9の底部をなすシートの折り返し部分が存在している。そして、図1に示す底部シートと胴体シートを融着している円弧状のラインは半径約12.5cmのラインであり、そのラインより下部が融着されている。また、図1に示す7の熱融着部は底辺から16mm上の両側端部を中心とする直径15mmの半円である。
また、キノコ型面ファスナーとしては、ポリプロピレン及びポリエチレンエラストマーが重量比90:10で混合された樹脂を用い、図3に示すようなノズルから同樹脂の溶融物を押し出して係合素子用列条を4列有するテープを作製し、同テープの4本の係合素子用列条の頂部から根元までテープ長さ方向に垂直な方向に同一切断面となるように5mm間隔で切れ目を入れ、そして、それをテープ長さ方向に2.0倍延伸して、キノコ型面ファスナーを得た。このキノコ型面ファスナーにおいて、各係合素子の列方向端面と隣り合う列に存在している最も近い係合素子の端面が同一面上に存在していた。
得られたキノコ型面ファスナーは、係合素子列が4列であり、基板の厚さは概ね0.2mm(係合素子列部分は0.35mm、係合素子列の間の部分および耳部は0.15mmの厚さ)、係合素子高さ(H)が1.3mm、係合素子列方向に隣り合う係合素子の間隔(L)が0.4mm、係合素子列方向ステム幅(W)が0.5mm、係合素子列方向と直交する方向のステム幅(T)が0.4mm、隣り合う係合素子列のステム部間の間隔(Y)が1.3mm、係合素子の傘部の広がり部の長さ(X)が0.8mm、隣り合う係合素子列の傘部間の間隔(Z)が0.7mm、係合素子密度が74個/cmであった。
胴体の表面シートに取り付けた面ファスナーと裏面シートに取り付けた面ファスナーは取り付ける位置をずらすことにより、一方のシート面に存在している係合素子列間に他のシート面に存在している係合素子列が嵌入するように熱融着により胴体シートに取り付けられている。なお、袋の内面に面ファスナーを取り付ける際に面ファスナーを袋幅に合うように切断したが、その際に係合素子の脱落はなく、結果として袋にした後に係合素子の脱落が生じるということは全くなかった。
この袋に、野菜の煮物を充填し、面ファスナー部を閉じて、電子レンジを用いて加熱したところ、面ファスナーの係合部から蒸気が抜け出し、袋が破裂することはなかった。そして、この袋を傾けて袋から野菜の煮物を取り出したところ、面ファスナーに挟まる煮汁や野菜片の量は極めて少なく、不潔感を与えなかった。同様に、この袋に糸こんにゃくの煮物を充填し、面ファスナー部を閉じて、水切りを行ったところ、面ファスナーの隙間から煮汁だけを容易に袋内から除去することができ、さらに面ファスナーに糸こんにゃくが絡まることも殆どなく、不潔感を与えるものでなかった。
更に、この袋に食酢に漬けたらっきょうを食酢と共に充填し、面ファスナー部を閉じて水切りを行ったところ、面ファスナーの隙間から食酢だけを容易に袋内から除去することができた。
比較例1
上記実施例1において、キノコ型面ファスナーに代えて、一般に市販されているフック素子およびループ素子を同一面に存在させた織ファスナー(フック素子は、高さ1.8mmで440dtexのポリエステル製モノフィラメントから形成されており、ループ素子は、高さ2.2mmで235dtex/10フィラメントのポリエステルマルチフィラメントからなる)を上記キノコ型面ファスナーと同一サイズに切断し、熱融着により胴体シートとなるシートの実施例1と同一の位置に取り付けた。
なお、袋の内面に面ファスナーを取り付ける際に、面ファスナーを袋幅に合うように切断したが、その際に係合素子のモノフィラメントやマルチフィラメントの一部が切断され、袋にした後にこれら繊維の脱落が生じた。
この面ファスナー付きの包装袋に上記実施例1と同様に野菜の煮物を充填し、面ファスナー部を閉じて、電子レンジを用いて加熱したところ、面ファスナーの係合部から蒸気が抜け出し、袋が破裂することはなかった。しかし、この袋を傾けて袋から野菜の煮物を取り出したところ、面ファスナーには、煮汁や野菜片が多く挟まり、不潔感を与え、さらにこのような状態で面ファスナーを閉じても係合力が弱かった。
更に、この袋に糸こんにゃくの煮物を充填し、面ファスナー部を閉じて、水切りを行ったところ、面ファスナーの隙間から煮汁だけを容易に袋内から除去することができたが、同様に面ファスナーに糸こんにゃくが絡まり、そして入り込み、不潔感を与えるものであり、さらに係合力も不充分であった。
比較例2
上記実施例1において、キノコ型面ファスナーとして、直径200μmのステム上にステムの周囲360°の広がりを有する直径600μmの傘部を有する高さ1.3mmの係合素子が60個/cmの密度で存在している幅6mmの成形ファスナーを用いて実施例1と同様に袋を作製したところ、水切り能においては実施例1のものと変わりはなかったが、係合素子間に野菜片が絡まり、不潔感を与えるとともに、それにより充分な係合力が得られなかった。
1・・・袋胴体
2・・・袋胴体のシール部
3・・・キノコ型面ファスナー
4・・・袋胴体をなすシートと底部となすシートが重なって存在している部分
5・・・袋胴体をなすシートと底部をなすシートが重なり、熱融着されている部分
6・・・袋胴体をなすシートと底部をなすシートが重なり、熱融着されている部分が2枚重なっている部分
7・・・6の重なっている部分をさらに熱融着して全てを一体化した部分
8・・・袋の開口部
9・・・底部をなすシートの折り返し部分
10・・・押し出し用ノズル
11・・・基板を形成することとなる線状スリット
12・・・キノコ型係合素子を形成することとなるスリット
H・・・係合素子高さ
L・・・係合素子列方向に隣り合う係合素子の間隔
W・・・係合素子列方向ステム幅
S・・・係合素子のステム部
M・・・係合素子の傘部
T・・・係合素子列方向と直交する方向のステム幅
Y・・・隣り合う係合素子列のステム部間の間隔
X・・・係合素子の傘部の広がり部の長さ
Z・・・隣り合う係合素子列の傘部間の間隔

Claims (5)

  1. 合成樹脂シートからなる包装袋の開口部に沿って2枚のキノコ型面ファスナーが互いに係合するように取り付けられた包装袋において、該2枚の面ファスナーがともに開口部の一端から他端に伸びる2列以上のキノコ型係合素子列を有しており、各キノコ型係合素子がステム部(S)とその上部に広がる傘部(M)からなり、かつ係合素子列方向に直交する方向(Q方向)に傘部(M)はステム部(S)からはみ出して拡がっているが、係合素子列方向(P方向)には傘部(M)は拡がりを有しておらずにステム部(S)から傘部先端部までほぼ同一の幅を有していることを特徴とする包装袋。
  2. 開口部に取り付けられた2枚のキノコ型面ファスナーが、一方のシート面に存在している係合素子列間に他のシート面に存在している係合素子列が嵌入するように位置に取り付けられている請求項1記載の包装袋。
  3. 係合素子の傘部の広がり部の長さ(X)が、隣り合う係合素子列のステム部間の間隔(Y)より狭く、隣り合う係合素子列の傘部間の間隔(Z)より広い請求項1または2に記載の包装袋。
  4. 係合素子列方向と直交する方向のステム幅(T)が、隣り合う係合素子列の傘部間の間隔(Z)の1/2〜1/1の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋。
  5. 2枚のキノコ型面ファスナーを構成するキノコ型係合素子列の列数が、ともに3〜6列である請求項1〜4のいずれかに記載の包装袋。
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