JP2011149874A - 波長検波型ファイバセンサシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ファブリペローエタロンを構成する互いに近接配置された一対のファイバブラッググレーティングFBGからなる測定用センサ素子2Aと、この測定用センサ素子2Aの反射帯域中にある1本の透過線スペクトルの中心波長を含む波長帯域を反射波長として有する帯域反射フィルタ2Bとを備えて構成した。一対の測定用センサ素子2Aがファブリペローエタロンを構成することになるため測定用センサ素子から透過される光の透過スペクトルの半値全幅を従来の反射スペクトルの半値全幅より狭くできる。半値全幅を従来のFBGよりも狭くすることによって、測定分解能を向上させることができる。
【選択図】図2
Description
その中でも、ファイバブラッググレーティング(FBG)を利用した波長検波型光ファイバセンサ(FBGセンサ)は、耐電磁ノイズ性に優れ、電気システムのように火花を発生することがないので引火、爆発の危険性が少なく化学プラント、石油プラントなどの計装に適しているという光ファイバセンサに共通する特徴を有し、更に、波長多重伝送(WDM)技術により1本の光ファイバ内に複数の光ファイバセンサを配置することにより空間的な分布計測システムを実現できるという優れた特徴を有する。
従来例1は、光ファイバにFBGを描画しセンサが構成されている。このFBGに光源から光を入射させ、所定の波長で反射した反射光長が検波手段で測定される。検波手段では、FBGの反射スペクトルを検出し、この検出波長に基づいて測定値が求められる。
そして、FBGセンサの反射スペクトルの半値全幅が狭くても100pm程度であるため、歪みの測定分解能は130nstrain/Hz程度である。つまり、測定分解能は1回のサンプリングあたり、5pmであり、1秒間には約1000回サンプリングを行うことができるので、1秒間の測定分解能としては、5pm/10001/2=0.16pmとなる。一方、ひずみと波長との関係は約1.2pm/μstrainなので、1秒間のひずみ測定分解能は、(0.16pm/1.2pm)=0.133μstrain/Hz=130nstrain/Hzとなる。そこで、高分解能な計測をする場合、半値全幅の小さなスペクトラムを有するセンサ素子を用いることが望ましい。
しかも、本発明では、帯域反射フィルタの反射波長領域を、ファブリペローエタロンからなる測定用センサ素子の1本の線の透過スペクトルを含むように構成してあるため、前記帯域反射フィルタの反射スペクトルはファブリペローエタロンからなる測定用センサ素子の1本の線透過スペクトルのみとなる。これにより使用する波長領域の利用効率を向上させることができる。
この構成の本発明では、フィルタのコストを抑えることができ、かつ、帯域反射フィルタの反射帯域を動的に変動させることができるようになるために、物理量の測定レンジを拡大できる。
この構成の本発明では、1本の透過線スペクトルのみが生じるので、波長演算時の測定エラーを回避することができる。
この構成の本発明では、FBG対からなるセンサ素子の物理量測定レンジを広くすることができる。
この構成の本発明では、物理量測定レンジを拡大し、温度等の外乱因子によって帯域反射フィルタの中心波長とファブリペローエタロンの透過線スペクトルの値がずれてしまうことによる測定レンジの低下を防ぐことができる。
この構成の本発明では、温度が変化して一対の測定用センサ素子の透過スペクトルが短波長側あるいは長波長側にシフトしても、このシフトした透過スペクトルに帯域反射フィルタの反射スペクトルが同じ量だけシフトするので、透過スペクトルを完全に分離することができる。そのため、被測定部の温度が変化しても、測定精度を向上させることができる。
この構成の本発明では、被測定部の歪みが変化して一対の測定用センサ素子の透過スペクトルが短波長側あるいは長波長側にシフトしても、このシフトした透過スペクトルに帯域反射フィルタの反射スペクトルが同じ量だけシフトするので、透過スペクトルを完全に分離することができる。そのため、被測定部の歪みが変化しても、測定精度を向上させることができる。
この構成の本発明では、測定用センサ素子と帯域反射フィルタとが近接配置された状態でベースに接着固定されるので、温度変化や歪変化の環境変化があっても、この環境変化を簡易な構造によって対応することができる。
この構成の本発明では、物理量測定レンジの拡大を図ることができる。
この構成の本発明では、測定用センサ素子と帯域反射フィルタとの重要な部分を管で覆うことができるから、外部から力が加わっても、これらのフィルタ等の破損を防止することができる。
この構成の本発明では、被測定部の異なる位置での物理量変化を正確に測定することができる。
この構成の本発明では、複数のセンサ素子から出力される信号に基づいて、演算回路で正確に演算することで、正確な測定を実施することができる。
この構成の本発明では、予め記憶された信号パターンから検波波長を認識するので、容易に測定を行うことができる。
この構成の本発明では、サーキュレータにより信号を一方向にのみ送るようにしたので、システムの誤動作防止を図ることができる。
この構成の本発明では、複数のサーキュレータを用いることで、測定レンジの拡大を図ることができる。
この構成の本発明では、センサの量産化を図ることができる。
図1から図8には本発明の第1実施形態が示されている。
図1は第1実施形態にかかる波長検波型ファイバセンサシステムの概略構成図である。
図1において、波長検波型ファイバセンサシステムは、温度、歪、加速度、振動等の物理量の測定を行うものであり、広帯域光源10と、この広帯域光源10から入射された光が通過する光ファイバFと、光ファイバFに設けられた波長検波型光センサ2と、この波長検波型光センサ2から出力された出力光を検出する光検波手段3とを備えた構成である。
広帯域光源10は従来例と同様の構造であり、所定の波長領域に渡って光ファイバFに光を入射させる。
ここで、複数のセンサ素子21〜2nのうち、センサ素子21が広帯域光源10側に配置され、このセンサ素子21から光検波手段3側に向けてセンサ素子22、センサ素子23、センサ素子24……センサ素子2n-1、センサ素子2nが配置されている。これらのセンサ素子21〜2nは、検出する中心波長λ1〜λnの波長変動領域がそれぞれ異なるものである。
図2において、センサ素子21〜2nは、それぞれ、第一、第二のブラッググレーティングからなる測定用センサ素子2Aと、この測定用センサ素子2Aの透過線スペクトルを含み第一、第二のブラッググレーティングの反射波長帯域よりも狭い波長帯域を反射波長領域として有する第三の帯域反射フィルタ2Bと、これらの測定用センサ素子2A及び帯域反射フィルタ2Bを平面上に配置するベース2Cと、このベース2Cと測定用センサ素子2A及び帯域反射フィルタ2Bとを接着して形成される接着層2Dとから構成されるセンサヘッドを備える。ベース2Cは図示しない被設置物に固定されている。
両側にそれぞれ形成されるファイバブラッググレーティングFBGは、その反射波長帯域においてミラーの役割を有し、該FBGの格子間隔は例えば反射中心波長が1550nm、ファイバのコアの実効屈折率が1.451の場合は534.1144nmである。
帯域反射フィルタ2Bは光ファイバFに形成されたファイバブラッググレーティングFBGであって、このFBGは測定用センサ素子2Aの距離dが形成された中心部に近接されている。なお、光ファイバFへの該FBGの形成方法は従来と同じである。
すなわち、後述する数式(4−4)で示されるファブリペローエタロンを構成するFBGの帯域幅BWと、数式(6−5)で示されるファブリペローエタロンのフリースペクトルレンジFSRとの関係が数式(7)となり、かつ、数式(4−3)で示されるFBGの反射中心波長と、数式(6−4)で示されるファブリペローエタロンのピーク波長を等しくするために、数式(8−1)、すなわち(8−2)が成り立つように設計諸元を設定すれば、ファブリペローエタロンの透過帯域の中央に1本の線スペクトルだけが現れることになる。
数式(6−4)で示されるファブリペローエタロンの中心波長の温度Tあるいは歪εが変化した場合、それにより生ずる中心波長の変化Δλeは数式(9)から求められ、同様に、ファブリペローエタロンを構成するFBGの中心波長の変化Δλbeは数式(10−1)から求められ、ここで、数式(8−1)を考慮すれば、数式(10−2)を得ることができる。これは温度あるいは歪が変化しても常にエタロンの透過帯域の中心に線スペクトルが位置することを意味している。
同様に帯域反射フィルタ2Bを光ファイバブラッググレーティングとしてこれについても数式(7)、数式(8−2)を満たすようにすれば、ファイバブラッググレーティングFBGから反射される光のスペクトルは温度変化、歪変化に関係なく常に1本の線スペクトルであって、かつ、その波長はファイバファブリペローエタロンの透過波長に一致する。
アレイ導波路格子31は、分波される出力光の波長に対応して複数のチャンネルCH1〜CHnを備えている。
演算処理部32Cは、プリアンプ3A1〜3Anから出力されたアナログ信号を受信するアナログデジタル変換回路3B1〜3Bnと、これらのアナログデジタル変換回路3B1〜3Bnから出力されるデジタル信号を入力信号とする比演算部3C1〜3Cmと、これらの比演算部3C1〜3Cmからの信号に基づいて演算するCPU30とを備えて構成されている。
比演算部3C1はアナログデジタル変換回路3B1とアナログデジタル変換回路3B2との信号が入力されるものであり、比演算部3C2はアナログデジタル変換回路3B3とアナログデジタル変換回路3B4との信号が入力されるものであり、比演算部3Cmはアナログデジタル変換回路3Bn-1とアナログデジタル変換回路3Bnとの信号が入力されるものである。
ここで、センサ素子21〜2nの各々に対して実施される比演算は実際には比の対数をとった値を数式(1)で示されるWによって表される。なお、センサ素子の出力Wの算出方法については特許第3760649号公報に開示されている。
そして、センサからの光の波長が所定の範囲内であれば、照射光の波長ごとに、log(I1/I2)がほぼ一定になり、そのときの光波長は数式(2)で示される。
センサ素子21〜2nに対し、それぞれ重複しないように出力光波長範囲を割り当てておき(一例として、センサ素子21には1500〜1503nm、センサ素子22には1512〜1515nm、センサ素子23には1524〜1527nm、……等)、これらのセンサ素子21〜2nからの出力光をAWG31に入力することにより、これら複数のセンサ素子の中心波長はセンサごとにAWGの複数のチャンネルに分離・出力される。
AWG31の互いに隣接する2つのチャンネルからの光を、フォトダイオード3F1〜3Fnを入射させることにより、上述の各センサの波長測定範囲について前述した数式(1)及び数式(2)で示される数式を適用し、各センサの波長が高分解能で測定される。
図7(A)において、広帯域光源10から光が出射されると、この光がセンサ素子21の測定用センサ素子2Aを透過する。この透過した光のスペクトルが図7(B)に示される。測定用センサ素子2Aを透過した光はサーキュレータ6の第一ポート61に入射される。その後、サーキュレータ6の第三ポート63から帯域反射フィルタ2Bに送られ、この帯域反射フィルタ2Bで反射した光は再度、第三ポート63に戻り、その後、第二ポート62から光検波手段3のAWG31に送られる。図7(C)は第二ポート62から出射された光のスペクトルである。
以上の工程がセンサ素子21、センサ素子22、センサ素子23、……、センサ素子2n-1、及びセンサ素子2nについて行われ、これらのセンサ素子21〜2nのセンサとしての信号の線スペクトルは図1に示されるアドフィルタ7で加算され、AWG31に入射される。AWG31に入射される光が図7(F)に示される。
例えば、FBGの長さLbを2.08000mm、FBGの屈折率変化量Δnを0.0006、格子ピッチΛを537nm、FBG間の格子の描画されていない部分の実際の長さLgを90.000μm、FBGの実効屈折率neを1.4493とすると、ファブリペロー構成されたセンサ素子の反射波長帯域は850pmであり、その帯域内の透過スペクトルの半値全幅は10pm、その中心波長は1556.476nmである。
数式(4−4)で示されるファブリペローエタロンを構成するFBGの帯域幅BWと数式(6−5)で示されるファブリペローエタロンのフリースペクトルレンジFSRとの関係を数式(7)で示す。数式(4−3)で示されるFBGの反射中心波長λBと、数式(6−4)で示されるファブリペローエタロンのピーク波長Lgのいずれか1つが等しくなるように、すなわち数式(8−2)が成り立つようにする。
この理由を数式を使って次に説明する。数式(6−4)で示されるファブリペローエタロンの中心波長の温度Tあるいは歪εが変化した場合、それにより生ずる中心波長の変化Δλeは数式(9)で求められる。
ここで、数式(8−1)を考慮すれば、数式(10−2)を得ることができる。
(1)波長検波型光センサ2は、ファブリペローエタロンを構成する互いに近接配置された一対のファイバブラッググレーティングFBGからなる測定用センサ素子2Aと、この測定用センサ素子2Aの反射帯域中にある1本の透過線スペクトルの中心波長を含む波長帯域を反射波長として有する帯域反射フィルタ2Bとを備えて構成した。一対の測定用センサ素子2Aがファブリペローエタロンを構成することになるため測定用センサ素子から透過される光の透過スペクトルの半値全幅を従来の反射スペクトルの半値全幅より狭くできる。半値全幅を従来のFBGよりも狭くすることによって、測定分解能を向上させることができる。実際に製作した本実施形態の測定用センサ素子の半値全幅は数pmであり従来のFBGの10倍以上狭く、そのため、例えば、一定の歪みの下で、所定時間ごとに複数回中心波長を測定し、その中心波長のデータを記録したところ、従来のセンサ素子と比較して、感度すなわち測定分解能を5倍程度高めることは容易に可能となった。図8はセンサ素子2Aの透過スペクトルの実測例である。図8に示される通り、1546nmあたりの波長がその前後の波長領域に比べて透過率が高く、その結果、センサ素子の感度が高いことがわかる。
しかも、帯域反射フィルタ2Bは、測定用センサ素子2Aの反射帯域中にある透過線スペクトルの中心波長を含む波長帯域を反射波長として有する構成であるため、温度や歪による、一対の測定用センサ素子2Aの透過スペクトルのシフト量と帯域反射フィルタ2Bの反射スペクトルのシフト量が同一になることにより、1本の透過線スペクトルを分離検出することができる。そのため、温度変化や歪変化等にかかわらず波長測定精度を維持できる。
(6)光検波手段3は、センサ素子21〜2nからの出力光を各チャンネルの波長領域毎に分波するアレイ導波路格子であるAWG31と、このAWG31で分波された信号に基づいて各センサ素子21〜2nで検出される波長を演算する演算回路32とを備えており、AWG31のチャンネル毎に分波される波長範囲は狭帯域化が可能であるため、多くのチャンネル数を確保でき、これにより多数のセンサの物理量を計測することができる。
第2実施形態は第1実施形態とは光検波手段の構成が異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。
第2実施形態の1つの構成要素は掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41である。論文「Alan D.kersy, Mihael A. Davis, Heather j. Patric, Michel LeBlanc, K. P. Koo, C. G.Askins, M. A. Putnam, and E. Joseph Friebele, “Fiber Bragg Sensors,”Journal of Lightwave Technology, Vol. 15, No.8 1997」にはファブリペロー干渉フィルタを用いてFBGセンサからの波長検波を行う方法が示されているが、本実施形態の特徴である「ファブリペローエタロンを構成するFBG対からなるセンサに対して掃引型ファブリペロー干渉フィルタを用いてセンサ素子の中心波長を求める方法」は前述の論文には何ら記載されていない。
第2実施形態は第1実施形態とは波長検波手段の構成が異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。
図9は第2実施形態にかかる波長検波型ファイバセンサシステムの概略構成図である。
図9において、波長検波型ファイバセンサシステムは、広帯域光源10と、この広帯域光源10から出射された光が通過する光ファイバFと、光ファイバFに設けられた波長検波型光センサ2と、この波長検波型光センサ2から出力された出力光を検波する光検波手段4とを備えた構成である。
光スペクトルパターン認識回路42は発信器44からのパルス信号と、2値化回路4Bからの2値信号を受信する。2値信号は時系列信号であってそのタイミングは発信器44からのパルス信号で規定される。
図10(A)に示される光のスペクトルが広帯域光源10から入射されると、この光がセンサ素子21、センサ素子22、センサ素子23、……、センサ素子2n-1、センサ素子2nを透過した後、掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41に入射される。掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41に入射される光はセンサ素子21〜2nから出射される光であり、図10(F)に示される通り、図7(F)と同様なスペクトルとなる。
なお、同図において(B)はセンサ素子21の測定用センサ2Aを通過した光のスペクトル、(C)はセンサ素子21の測定用センサ2Aを通過した光がサーキュレータ6を経て帯域反射フィルタ2BのFBGで反射されサーキュレータ6を経てアドフィルタ7に入射する光のスペクトル、(D)はセンサ素子22の測定用センサ2Aを通過した光がサーキュレータ6を経て帯域反射フィルタ2BのFBGで反射されサーキュレータ6を経てアドフィルタ7に入射する光のスペクトル、(E)はセンサ素子22の測定用センサ2Aを通過した光がサーキュレータ6を経て帯域反射フィルタ2BのFBGで反射されサーキュレータ6を経てアドフィルタ7に入射する光のスペクトルである。
図11は発信器44の出力パルス信号を(A)に示し同パルス信号を計数する計数カウンタ43により駆動されるデジタルアナログ変換器45の鋸波状出力電圧(B)、2値信号波形(D)、それに該鋸波状出力電圧により駆動される掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の該鋸波状出力電圧に対応した波長ごとの透過率スペクトル(C1),(C2)、・・・・・(CN)を模式的に時系列に示したものである。例えば、掃引型ファブリペロー干渉フィルタの中心波長を0.1pmずつのステップで短波長から長波長側に掃引した場合、掃引開始波長を1550.0000nmとすると、(C1)は1550.0000nm、(C2)は1550.0001nm、(C3)は1550.0002nmとなる。
例えば、掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の中心波長が短波長から長波長に変化した際、前記2値信号波形が「0,0,0・・・・0,1,0,0,0,0」となる信号波形パターンにより「1」となった波長を図11(B)で示される鋸波出力電圧から判定する。この判定された波長がセンサ素子21〜2nの中心波長である。
これに対して、例えば「0,・・・・0,0,0,1,1,1,1,0,0,0」となるような信号波形パターンは、センサ素子21〜2nの中心波長ではないと判定する。即ち、「1」が所定の回数以下の場合がセンサ素子21〜2nからの信号スペクトルと判定し、「1」を与える波長をセンサ素子21〜2nの中心波長と判定する。この所定の回数が1回の場合は波長が具体的に決定されるが、この所定の回数Nが2以上、例えば3の場合はこれら3個の波長の平均値を測定波長とする。
なお、光スペクトルパターン認識回路42は1の両脇に0がいくつか存在するパターンを抽出し、その1に相当する波長を、前記鋸波出力電圧をベースに決定するものであるが、一般に使用されているマイクロコンピュータを用いればこれを実現できる。さらに、計数カウンタ45の計数値がそのカウンタの最高計数値の場合は、ピエゾ素子PZTにより掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の透過帯域は最も長波長側(短波長側)に設定され、次のカウンタ45への入力パルス信号で計数カウンタはイニシャル状態になりピエゾ素子PZTにより掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の透過帯域は最も短波長側(長波長側)に設定されるようになっている。
(7)光波長検波手段4は、センサ素子21〜2nから透過された光を入力する掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41と、この掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41の出力チャンネルCHに対向して配置されたフォトダイオード4Fと、このフォトダイオード4Fに接続されたプリアンプ4Aと、プリアンプ4Aから出力された2値化回路4Bと、この2値化回路4Bから出力される2値信号を受信する光スペクトルパターン認識回路42と、掃引型ファブリペロー干渉フィルタ41駆動のためのピエゾ素子PZTと、発信器44からのパルス数を計数する計数カウンタ43と同カウンタの出力を受けてピエゾ素子PZTを駆動するための鋸波電圧発生用デジタルアナログ変換器45とを備えて構成されている。そして光スペクトルパターン認識回路42は発信器44の出力パルス信号と前記2値信号を受信し、予め記憶された信号パターンから各センサ素子21〜2nからの中心波長を認識する構成である。各センサ素子21〜2nのスペクトルの中心波長は「0,0,0,・・・0,0,1,0,0,0,・・・」というような信号のデータ処理により抽出されるので、AWG31により測定範囲が決まる第1実施形態に比べ、測定範囲は格段に広くなるという効果を奏することができる。ただし第一実施形態は掃引がないから掃引時間が不要なため第2実施形態よりもシステムは高速応答性を有する特徴がある。
第3実施形態は第1実施形態とは光源及び光検出手段の構成が異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。
図12は、第3実施形態にかかる波長検波型ファイバセンサシステムの概略構成図である。
同図において、波長検波型ファイバセンサシステムは、光源としての可変波長レーザ11と、この可変波長レーザ11から入射された光が通過する光ファイバFと、光ファイバFに設けられた波長検波型光センサ2と、この波長検波型光センサ2から出力された出力光を検出する光検波手段5とを備えた構成である。
可変波長レーザ11は、内部に図示しない計数カウンタを有し、入力されたパルス数に対応したレーザ光を出射するようになっており、計数カウンタがそのカウンタの最高計数値のときに該レーザの発振波長が可変範囲で最も長波長になるように設定され、次のパルスが入力されるとカウンタ計数値はゼロに戻りは出射される波長はその可変範囲で最も短波長になる。可変波長レーザ11は、さらにパルスが入力されると1パルスずつ長波長側に発振波長が移っていく。光スペクトルパターン認識回路52の内部にも可変波長レーザの場合と同様に図示しない計数カウンタが内蔵されており、その計数値はレーザ発振波長に対応している。これによりレーザ発振波長に対応した2値信号が光スペクトルパターン認識回路52で処理され各センサ素子の波長が確定される。
すなわち、光スペクトルパターン認識回路52は発信器54からのパルス信号と、2値化回路5Bからの信号を受信することにより、予め記録された信号パターンから各センサ素子21〜2nからの検波波長を確定する。
これに対して、例えば「0,・・・・0,1,1,1,1,1,1,1,1,1,0,0,0,0, ・・・・」となるようなデータパターンは、センサ素子21〜2nの中心波長ではないと判定する。即ち、「1」が一定回数以下の場合がセンサ素子21〜2nからの信号スペクトルと判定する。この所定の回数が1回の場合は波長が具体的に決定されるが、この所定の回数Nが2以上、例えば5の場合は、これら5個の波長の平均値を測定波長とする。光スペクトルパターン認識回路52は一般に使用されているマイクロコンピュータを用いればこれを実現できる。なお、アナログ信号をデジタル信号に変化するために、第2実施形態及び第3実施形態では2値化回路を用いているが、この2値化回路の代わりに多ビットのアナログデジタル変換器を用いればさらに高精度なスペクトルパターンの認識ができる。
(8)光検波手段5は、センサ素子21〜2nから透過された光を入力するフォトダイオード5Fと、このフォトダイオード5Fに接続されたプリアンプ5Aと、プリアンプ5Aから出力されたアナログ信号を2値化する2値化回路5Bと、この2値化回路5Bから出力されるデジタル信号を受信する光スペクトルパターン認識回路52と、この内部に直列パルス入力/並列出力の計数カウンタを内蔵しこの計数値に対応したレーザ発振波長算出部を備えた光スペクトルパターン認識回路52と、内部に直列パルス入力や並列出力の計数カウンタを内蔵しこの計数値に対応した波長の光を出力する可変波長レーザ11とにパルス信号を送る発信器54とを備え、光スペクトルパターン認識回路52は発信器54からのパルス信号と、2値化回路5Bからの信号と受信し、予め記録された信号パターンから各センサ素子21〜2nからの検波信号を認識する構成としたから、第2実施形態と同様に、各センサ素子21〜2nのスペクトルの中心波長は「0,・・・・0,0,0,1,0,0,0,0, ・・・・」のデータ系列を信号処理することにより抽出されるので、測定範囲が広くなるという効果を奏することができる。
例えば、前記実施形態では、一対の測定用センサ素子2A及び帯域反射フィルタ2BをFBGセンサから構成したが、本発明では、図14に示される通り、測定用センサ素子2Aと帯域反射フィルタ2Bとを、光導波路にファイバブラッググレーティングを描画したWBGセンサから構成するものであってもよい。
図14は図2に対応する図であり、(A)は平面を示す概略図、(B)はセンサ素子21〜2nの側面を示す概略図である。
サブストレート20Cは、シリコン等から板状に形成されるものであり、その裏面は図示しない被測定部に固定される。サブストレート20Cはアンダークラッド20WUCと、オーバクラッド20WOCとを備え、これらは二酸化ケイ素(SiO2)を成膜して形成される。
測定用センサ素子20Aは、アンダークラッド20WUCと、オーバクラッド20WOCに挟まれて設けられたコア20WCOからなる光導波路に一対のウェイブガイドブラッググレーティングWBGを、例えば紫外線で描画されて構成されたWBGセンサである。コア20WCOは前述のようにSiO2から形成されているアンダークラッド20WUCと、オーバクラッド20WOCと比較しゲルマニウムをドープしたSiO2から形成されており屈折率が両クラッドより高めに製作される。そしてこの光導波路は光ファイバFの端部に接着部20Dを介して接続されている。
帯域反射フィルタ20Bは光導波路20Wにウェイブガイド・ブラッグ・グレーティングWBGが形成されたWBGセンサであり、前記実施形態と同様に、測定用センサ素子20Aの透過スペクトルのピークを含む波長帯域を反射波長として有する。この光導波路を使用した実施形態は接着剤を用いずにセンサ素子を構成できることが特徴である。いわゆるスパッタリング、エッチングなどの技術をベースとした光平面回路技術から構成されるものである。接着材を使用した場合、長期信頼性などに課題が残る。しかし、この方式では前述のアレイ導波路格子等、光通信分野のデバイスで安定性など実績のある素子製作技術として知られている。すなわち、歪、あるいは温度変化を感じるウエーブガイドブラッググレーティングは接着剤を用いないでシリコンサブストレート上に光平面回路技術により構成されているため安定性に優れたセンサ素子を実現できる特徴がある。なお、図14におけるファイバFとの接続に接着剤を用いるが、この部分は多少不安定さが残っても光導路と光ファイバの接続損失に影響を与える可能性はあるが直接ウェイブガイド・ブラッグ・グレーティングWBGのフィルタリング特性に影響を与えないためセンサ素子20Aの安定性にこの接着剤が悪影響をあたえることはない。
この測定用センサ素子は、例えば温度センサに用いる場合はウェイブガイドブラッググレーティングWBGの温度が変われば該WBGの反射波長が変化するため温度センサとして用いることができることは自明である。もちろんケーシングして感温部としてのケースの温度をWBGに適宜伝える構造を付加してもよいことは明らかである。同様に歪についてもWBGが歪めばWBGの反射波長が変化するため歪センサとして用いることができる。
なお、センサ素子2nにおいてアドフィルタ7を省略し、サーキュレータ6からの出力信号を光ファイバFに直接戻す構成としてもよい。また上述ではセンサ素子の中心波長を求めるための実施形態を述べた。しかし、例えば、掃引型ファブリペロー干渉フィルタの中心波長あるいは可変波長レーザの出射スペクトルの中心波長が時間とともに変化することからフォトダイオード4Fあるいは5Fの受光量がピークを示す波長を測定すべき波長として検出する方法であってもよい。
また、いずれの実施形態においても、センサ素子2nにおいて、アドフィルタ7を省略し、サーキュレータ6からの出力信号を光ファイバFに直接戻す構成としてもよい。
Claims (16)
- 光源と、この光源から出射される光が入射するとともに被測定部に設置される波長検波型光センサと、この波長検波型光センサから出力される出力光を検出する光検波手段とを備えた波長検波型ファイバセンサシステムであって、
前記波長変化型光センサは、ファブリペローエタロンを構成するとともに互いに近接配置された帯域反射フィルタ対の測定用センサ素子と、この測定用センサ素子の透過スペクトル帯域中の1本の線スペクトルを含む波長帯域よりも狭い反射波長帯域を有する帯域反射フィルタとを備える
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項1に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記帯域反射フィルタ対及び帯域反射フィルタは、それぞれファイバブラッググレーティングから構成される
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項2に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記ファブリペローエタロンは、前記反射波長帯域中に1本の透過線スペクトルのみが生じるようにするために、反射波長帯域BWはフリースペクトルレンジFSRの倍より狭くなるようにする
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項3に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記帯域反射フィルタ対を構成するファイバブラッググレーティング対は、同一波長スペクトル特性であり、物理的長さが同一であり、かつ、実効長Leとファイバブラッググレーティング対の格子ピッチΛとの関係がLg=mΛ−2Le(mは自然数、Lgはファイバブラッググレーティング対間のグレーティングが描画されていない部分の長さ)を満たすようにファイバブラッググレーティングの反射中心波長に透過線スペクトルの波長を一致させる
ことを特徴とする波長検波型光ファイバセンサシステム。 - 請求項4に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記帯域反射フィルタを構成するファイバブラッググレーティングの反射中心波長と前記ファブリペローエタロンの透過線スペクトルの波長とを一致させ、かつ、前記ファイバブラッググレーティングの反射帯域を前記ファブリペローエタロンの透過線スペクトルを含み、かつ、フリースペクトルレンジよりも狭くした
ことを特徴とする波長検波型光ファイバセンサシステム。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記測定用センサ素子と前記帯域反射フィルタとは同一温度の条件下となるように互いに近接配置される
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記測定用センサ素子と前記帯域反射フィルタとは同一応力が加わるようにベースに固定される
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項7に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記測定用センサ素子及び帯域反射フィルタが前記ベースに接着剤で接着固定される
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項8に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記測定用センサ素子のファイバブラッググレーティング以外の部分と前記帯域反射フィルタ以外の部分とが前記ベースに接着剤で接着固定された
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項6から請求項9いずれかに記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記測定用センサ素子及び前記帯域反射フィルタを挿通する管を備え、この管の両端と前記測定用センサ素子及び前記帯域反射フィルタとを接着剤で接着固定する
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項1から請求項10のいずれかに記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記センサ素子は、それぞれ中心波長が異なる複数の対が直列に接続されている
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項11に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記センサ素子からの出力光を入力するとともに多チャンネル分波デバイスとしてのアレイ導波路格子と、このアレイ導波路格子で分波された信号に基づいて各センサ素子で検出される物理量に対応した波長を演算する演算回路とを有する光検波手段を備えた
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項12に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記光検波手段は、前記センサ素子から透過された光に基づく信号を受信するとともに予め記憶された信号パターンから前記センサ素子からの検波波長を認識する光スペクトルパターン認識回路を備えた
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項12又は請求項13に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記測定用センサ素子からの出射光が入射する第一のポートと、この第一のポートから入射された光を前記帯域反射フィルタに出射するとともに前記帯域反射フィルタで反射された反射光を入射する第三のポートと、この第三のポートに入射された光を前記光検波手段に出射する第二のポートとを有するサーキュレータを備えた
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項14に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記サーキュレータは、複数が前記測定用センサ素子及び前記帯域反射フィルタを経由して直列に接続されており、上流側のサーキュレータの第三のポートは下流側のサーキュレータの第一のポートに前記帯域反射フィルタ及び前記測定用センサ素子を経由して連結され、最も下流側のサーキュレータの第二のポートは前記光検波手段に連結されている
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。 - 請求項14又は請求項15に記載された波長検波型ファイバセンサシステムにおいて、
前記ファブリペローエタロンは、シリコンサブストレート上にそれぞれ二酸化ケイ素からなるアンダークラッドとオーバクラッドとにそれぞれ囲まれ、これらのアンダークラッドとオーバクラッドより高屈折率にするための不純物がドープされた二酸化ケイ素を材料とした第一のコアから形成される第一の光導波路に、近接して描画された同一の反射波長帯域をもつ第一の光導波路ブラッググレーティングと第二の光導波路ブラッググレーティングとから構成され、
前記帯域反射フィルタは前記シリコンサブストレート上にそれぞれ二酸化ケイ素からなるアンダークラッドとオーバクラッドにそれぞれ囲まれ、これらのアンダークラッドとオーバクラッドより高屈折率にするための不純物がドープされた二酸化ケイ素を材料とした第二のコアから形成される第二の光導波路に光導波路ブラッググレーティングから構成されている
ことを特徴とする波長検波型ファイバセンサシステム。
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