JP2011145185A - 流路構造、マイクロチップ及び送流方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出用マイクロ流路の中心部のみにサンプル液流を形成することができる流路構造、マイクロチップ及び送流方法を提供する。
【解決手段】流路幅及び深さが1mm以下のマイクロ流路構造において、測定対象の試料が通流するサンプル液導入流路10に、送液方向Y及び流路深さ方向Zにおける位置を変えて、2対のシース液導入流路11,12を合流させる。その際、上流側で合流する第1のシース液導入流路11は、サンプル液導入流路10よりも流路深さを深くし、その底面がサンプル液導入流路10の底面と同一平面上に位置するようにする。また、下流側で合流する第2のシース液導入流路12は、その上面がサンプル液導入流路10の底面と同一平面上に位置するようにする。
【選択図】図3

Description

本発明は、流路構造、この流路構造を備えたマイクロチップ及び送流方法に関する。より詳しくは、化学的及び生物学的分析が行われるマイクロチップ内において、サンプル液の周囲をシース液で取り囲んだ状態で送液するための技術に関する。
一般に、細胞、微生物及びリポソームなどの生体関連微小粒子を識別する場合は、フローサイトメトリー(フローサイトメーター)を用いた光学的測定方法が利用されている(例えば、非特許文献1参照。)。フローサイトメトリーは、流路内を1列になって通流する微小粒子に特定波長のレーザ光を照射し、各微小粒子から発せられた蛍光や散乱光を検出することで、複数の微小粒子を1個ずつ識別する方法である。
図8は従来のフローサイトメーターの構成を模式的に示す図である。例えば、図8に示すマイクロチップ型FACS(Fluorescence Activated Cell Sorting)システムの場合、マイクロチップ100に形成された流路101内に、試料111,112を含むサンプル液とシース液とを規定圧力(流速)で注入することで、試料111,112が一列となる流れを形成する(例えば、特許文献1参照)。
このシステムでは、光源105から出射された励起光113が、コリメータレンズ106、ダイクロックミラー107、対物レンズ108を介して、試料111,112に照射される。これにより各試料111,112から発せられた蛍光や散乱光などの戻り光114は、ダイクロックミラー107で分離された後、回折格子109で分光され、検出器110で検出される。
そして、検出器110で検出した光を電気的信号に変換して数値化し、統計解析を行うことにより、個々の試料111,112について、種類、大きさ及び構造などを判定する。また、解析結果に基づいて、試料111,112を分離し、回収する。その分取機構としては、圧電素子を使用するものや電磁バルブを使用するものなどがある。
例えば、図8に示すアクチュエータなどの可動デバイスを使用した分取機構104の場合、採取対象試料111であると判定されると、蛍光スペクトル、試料111の大きさ及び通流速度などに基づいて最適なタイミングが算出され、分取機構104に駆動信号が送信される。これにより、分取機構104が動作して、流路101の流れを変えて、試料111を回収液貯留部102に流入させる。また、採取対象外試料112であると判定された場合は、分取機構104は動作させずに、試料112を排液貯留部103に流入させる。
一方、特許文献1などに記載されている従来の流路構造は、サンプル液流を左右からシース液流で挟み込んで層流を形成しているが、従来、サンプル液流を四方から挟み込む流路構造も提案されている(特許文献2参照)。この特許文献2に記載の流路構造では、流路の中心部にサンプル液流を通流させることができるため、高精度での分析が可能となる。また、従来、流路内を通流する液体の流速を、流路断面内で均一にするため、流路中央部分に流速制御手段を設けたマイクロチップも提案されている(特許文献3参照)。
特開2003−107099号公報 特開2009−276119号公報 特開2006−322822号公報
中内啓光監修,「細胞工学別冊 実験プロトコルシリーズ フローサイトメトリー自由自在」,第2版,株式会社秀潤社,2006年8月31日発行
図9(a)は理想的なサンプル液通流状態を示す図であり、図9(b)はマイクロ流路内を通流する液の速度分布を示す図である。なお、図9(b)は図9(a)に示すB−B線による断面図に相当する。図8に示す分析チップ100のように、測定領域と分取領域(分取機構104)とが離れた位置に設けられている場合、分取領域において試料111,112の位置を特定するためには、これらがマイクロ流路101内を一定速度で通流していることが望ましい。
一方、図9(b)に示すように、マイクロ流路101内を通流する液は、ハーゲン・ポアズイユの原理により、壁面で遅く中心部で速い速度分布をもつ。このため、図9(a)に示すように、マイクロ流路101内に所望の速度でシース液を流し、その中心部にのみサンプル液を流すことにより、壁面からのダメージを受けずに、試料111,1112を一定速度で通流させることができる。
しかしながら、実際には、図9(a)に示すような流路101の中心部のみを通過するサンプル液流を形成することは難しい。図10(a)は従来の送流方法を模式的に示す平面図であり、図10(b)はそのC−C線による断面図である。また、図11は図10に示す送流方法においてシース液の流量を多くしたときのサンプル液の状態を示す図である。図10(a)及び(b)に示すサンプル液120をシース液121で挟み込む従来の送流方法では、分析速度を上げるためにシース液121の流量を増やすと、図11に示すように、シース液121によってサンプル液120の中央部分が押しつぶされてしまう。
このように、サンプル液流の形状が歪になるとハーゲン・ポアズイユの原理により、サンプル流中心部と最端部とでは流速に違いが生じ、微小粒子などの試料を同じ速度で流すことが困難になる。このため、特に検出部よりも下流側で試料(微小粒子など)の分取を行う場合には、分取精度が低下するという問題点が生じる。また、検出部のビームスポットも、焦点から離れた位置になるほどビーム強度が低下するため、検出信号の感度低下や検出精度のばらつきが発生して、分析精度が低下するという問題点がある。
一方、特許文献3に記載のマイクロチップは、流路内に流速制御手段を設けて、液の通流速度の均一化を図っているが、流路中心部に制御板を設けているため、その近傍において微小な乱流(撹拌作用)が生じ、サンプル液流が拡散するという問題点がある。また、このように流路中心に制御板を設けると、測定対象の試料(微小粒子など)が流路壁面と接触し、ダメージを受けるという問題点もある。更に、フローサイトメーターのように高速で分析を行う装置においては、サンプル液流及びシース液流を高速で送液する必要があるため、制御板近傍における乱流が顕著になり、送液安定性が低下するという問題点もある。
一方、光検出エリアにおいては、流路壁面散乱による迷光の影響を抑えるため、壁面を遠ざける必要がある。このため、特許文献3に記載のマイクロチップには、光検出エリア近傍に制御板を設置することができないという問題点もある。また、特許文献3に記載のマイクロチップにおいて、流路内の流速が均一に近い状態になるのは、液が制御板を通過した直後のみであり、制御板が設けられていないエリアでは、液体の粘性により生じる剪断力の影響で、初期の速度分布に戻ってしまう。
そして、この初期状態に戻る距離は、液体の流速が速くなるほど短くなるため、サンプル液及びシース液を高速で送液するフローサイトメーターなどの高速の分析用途の場合、特許文献3に記載されているような流路構成は不向きである。更に、この特許文献3に記載のマイクロチップをフローサイトメーターに適用しても、サンプル液流をマイクロ流路の中心部に集め、試料(微小粒子など)を高精度で検出することは困難である。
そこで、本発明は、検出用マイクロ流路の中心部のみにサンプル液流を形成することができる流路構造、マイクロチップ及び送流方法を提供することを主目的とする。
本発明に係る流路構造は、試料を含むサンプル液が通流するサンプル液導入流路と、該サンプル液導入流路にその両側から合流して、前記サンプル液の周囲にシース液を導入する2対のシース液導入流路と、を有し、各流路の幅及び深さが1mm以下であり、かつ、各シース液導入流路対は、前記サンプル液導入流路に合流する位置が、送液方向及び流路深さ方向において相互に異なるものである。
本発明においては、送液方向及び流路深さ方向を変えて、2段階でシース液を導入しているため、シース液の流速が遅い流路中心部分にサンプル液を通流させることができる。これにより、サンプル液の通流位置及び速度が安定する。
この流路構造では、上流側で合流する第1のシース液導入流路対は、前記サンプル液導入流路よりも流路深さが深く、かつその底面がサンプル液導入流路の底面と同一平面上に形成されていてもよく、その場合サンプル液流の側方及び上方にシース液を導入することができる。
また、下流側で合流する第2のシース液導入流路対は、その上面が前記サンプル液導入流路の底面と同一平面上に形成されていてもよく、その場合、サンプル液流の下方にもシース液を導入することができる。
更に、前記第2のシース液導入流路対の合流部よりも下流側に、流路径が段階的に小さくなる絞込部が設けられていてもよい。
本発明に係るマイクロチップは、前述した流路構造を備えたものである。
本発明においては、合流位置が送液方向及び流路深さ方向において相互に異なる2対のシース液導入流路を備えているため、サンプル液の通流位置及び速度が安定している。このため、高精度で安定した分析及び分取を行うことができる。
このマイクロチップは、例えば、射出成形された2枚の基板を積層することにより形成することができる。
本発明に係る送流方法は、サンプル液流の上方及び側方にシース液流を形成した後、サンプル液流の下方にシース液流を形成する。
本発明においては、シース液の通流速度が遅い谷間の部分にサンプル液が通流することとなるため、サンプル液の通流位置及び速度が安定し、流路の中心部に良好な形状のサンプル液流が形成される。
本発明によれば、送液方向における位置及び流路深さ方向における位置を変えて、2段階でシース液を導入しているため、検出用マイクロ流路の中心部のみにサンプル液流を形成することができる。
(a)は本発明の第1の実施形態に係る送流方法を模式的に示す平面図であり、(b)は(a)に示すA−A線による断面図であり、(c)は(a)に示すB−B線による断面図である。 図1に示す送流方法におけるサンプル液の状態を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る流路構造を模式的に示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係るマイクロチップの製造方法をその工程順に示す図である。 (a)及び(b)は本発明の実施例における流体解析モデルを示す図である。 流体解析における境界条件及び流体解析結果を示す図である。 図6に示す流路を先端部の矢印方向から見た拡大図である。 従来のフローサイトメーターの構成を模式的に示す図である。 (a)は理想的なサンプル液通流状態を示す図であり、(b)はマイクロ流路内を通流する液の速度分布を示す図である。 (a)は従来の送流方法を模式的に示す平面図であり、(b)は(a)に示すC−C線による断面図である。 図10に示す送流方法においてシース液の流量を多くしたときのサンプル液の状態を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す各実施形態に限定されるものではない。また、説明は、以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態 (送流方法の例)
2.第2の実施の形態 (流路構造の例)
3.第3の実施の形態 (マイクロチップの例)
<1.第1の実施の形態>
[送流方法の概要]
先ず、本発明の第1の実施形態に係る送流方法について説明する。図1(a)は本実施形態の送流方法を模式的に示す平面図であり、図1(b)は図1(a)に示すA−A線による断面図、図1(c)はB−B線による断面図である。また、図2は図1に示す送流方法におけるサンプル液の通流状態を示す図である。図1(a)に示すように、本実施形態の送流方法では、サンプル液1をシース液2a,2bで挟み込んで層流を形成する際に、シース液を2回に分けて合流させる。
[第1の合流]
具体的には、先ず、所定速度で通流するサンプル液1の両側から、シース液2aを、その通流上面がサンプル液1の通流上面よりも高くなるようにして合流させる。これにより、図1(b)に示すように、サンプル液1の側方及び上方にシース液2が通流するようになる。なお、この第1の合流におけるサンプル液1及びシース液2aの流速(流量)などは特に限定されるものではないが、乱流を生じない程度、具体的にはレイノルズ数が1000以下となるような範囲にすることが望ましい。これにより、マイクロ流路内部において乱流の影響を低減し、安定した流れ(層流)を維持することができる。
なお、レイノルズ数Reとは、乱流及び層流の判断の指標となる値であり、下記数式1により求められる。下記数式1において、Uは液体の流速、Lは流路の断面長さ、νは液体の動粘弾性係数である。
[第2の合流]
次に、シース液2bを、その通流上面がサンプル液1の通流下面と同じ高さになるようにして合流させる。これにより、図1(c)に示すように、サンプル液1の下方にシース液2bが通流するようになるため、サンプル液1は、その周囲をシース液2a,2bで取り囲まれ、流路の中心部を安定して通流するようになる。
また、本実施形態の送流方法を、フローサイトメーターのように流路の中心部にのみサンプル液を通流させたい装置に適用する場合は、シース液2bにおける流速(流量)などの条件は、先に合流したシース液2aと同じにすることが望ましい。一方、意図的に流路の中心部を避けてサンプル液を通流させたい装置に適用する場合は、シース液2aとシース液2bとで流速(流量)などの条件を変えることにより、サンプル液1の通流位置を制御することが可能となる。
このように本実施形態の送流方法では、サンプル液流の上方及び側方にシース液流を形成した後、サンプル液流の下方にシース液流を形成しているため、図2に示すように、シース液2a,2bの通流速度が遅い谷間の部分にサンプル液1が通流することとなる。これにより、サンプル液1を挟み込むシース液2a,2bの慣性力の影響を軽減することができるため、サンプル液流の形状に歪みが生じることを抑制できる。
同様に、シース液2a,2b及びサンプル液の流速を変化させた場合においても、サンプル液流の形状に歪みが生じることを抑制できるため、フローサイトメーターのような高速で分析を行う機器においても有効な手段となる。即ち、本実施形態の送流方法を適用することにより、検出用マイクロ流路の中心部のみに、サンプル液流を形成することが可能となるため、通流位置及び速度が安定し、高精度な分析を実現することができる。
<2.第2の実施の形態>
[流路構造の概要]
次に、本発明の第2の実施形態に係る流路構造について説明する。図3は本実施形態の流路構造を模式的に示す斜視図である。図3に示すように、本実施形態の流路構造は、前述した第1の実施形態の送流方法を実現するものであり、一方向に伸びるサンプル液導入流路10と、このサンプル液導入流路10に両側から合流する2対のシース液導入流路11,12とを備えている。そして、2対のシース液導入流路11,12がサンプル液導入流路10に合流する位置は、送液方向Y及び流路深さ方向Zにおいて相互に異なっている。
[サンプル液導入流路10]
サンプル液導入流路10は、測定対象の試料を含有するサンプル液を導入するためのものであり、例えば、送液方向Yに垂直な断面が矩形状で、幅が1mm以下、深さが1mm以下とすることができる。このようなマイクロ空間においては、液体の粘性効果が生じやすいため、ハーゲン・ポアズイユの原理が支配的となり、安定した層流が形成される。
[第1のシース液導入流路11]
第1のシース液導入流路11は、サンプル液導入流路10に合流して、サンプル液の周囲にシース液を導入するものであり、サンプル液導入流路10の両側に1本ずつ設けられている。これらシース液導入流路11は、サンプル液導入流路10を軸として線対称となっており、その底面はサンプル液導入流路10の底面と同一平面上に、上面はサンプル液導入流路10よりも上方に形成されている。
即ち、第1のシース液導入流路11は、サンプル液導入流路10よりも、流路深さが深くなっており、これにより、サンプル液流の上方及び側方にシース液流を形成することができる。また、これら第1のシース液導入流路11は、サンプル液導入流路10との合流部よりも上流側の部分について、例えば、シース液通流方向に垂直な断面を矩形状とし、その幅を1mm以下、深さを1mm以下とすることが望ましい。
[第2のシース液導入流路12]
第2のシース液導入流路12は、サンプル液導入流路10と第1のシース液導入粒度11とが合流した後の合流流路13に合流して、サンプル液の周囲、特にサンプル液の下方にシース液を導入するものである。これら第2のシース液導入流路12は、合流流路13の両側に1本ずつ設けられており、合流流路13を軸として線対称なっている。
また、各シース液導入流路12は、その上面が合流流路(サンプル液導入流路10,第1のシース液導入流路11)の底面と同一平面上にあり、下側から合流流路13に合流するようになっている。これにより、サンプル液流の下方にもシース液流が形成され、サンプル液流の周囲全てがシース液流で囲まれ、サンプル液が流路の中心を通流するようになる。
更に、第2のシース液導入流路12は、前述した第1のシース液導入流路11と同様に、合流流路13との合流部よりも上流側の部分について、例えば、シース液通流方向に垂直な断面を矩形状とし、その幅を1mm以下、深さを1mm以下とすることが望ましい。
[絞込部14]
本実施形態の流路構造においては、合流流路13と第2のシース液導入流路12とが合流する位置、又はそれよりも下流側に、下流側になるに従い流路幅が小さくなる絞込部14を設けてもよい。このように、合流後に流路幅を絞り込む構成にすると、サンプル液導入流路10の幅を大きく設計することができるため、試料が微小粒子であった場合でも目詰まり発生を防止することができる。更に、このような絞込部14を設けることで、サンプル液及びシース液が層流を形成している状態で、その通流幅を任意の大きさに調節することが可能となるため、測定光の照射精度を向上させることもできる。
[サンプル液の通流状態について]
本実施形態の流路構造では、サンプル液導入流路10から所定の流速(流量)でサンプル液を導入すると共に、シース液導入流路11,12から所定の流速(流量)でシース液を導入する。そうすると、先ず、サンプル液導入流路10を通流するサンプル液が、第1のシース液導入流路11を通流するシース液によって、流路幅方向Xに挟み込まれる。これにより、サンプル液導入流路10と第1のシース液導入流路11との合流部において、サンプル液流の側方及び上方にシース液流が形成される。
次に、合流流路13を通流するサンプル液が、第2のシース液導入流路12を通流するシース液により、流路幅方向Xに挟み込まれる。これにより、合流流路13と第2のシース液導入流路との合流部において、サンプル液流の下方にもシース液流が形成され、サンプル液は流路中央部を安定して通流するようになる。
以上詳述したように、本実施形態の流路構造では、合流位置が、送液方向Y及び流路深さ方向Zにおいて相互に異なる2対のシース液導入流路を設けているため、サンプル液流の上方及び側方にシース液流を形成した後、サンプル液流の下方にシース液流を形成することができる。これにより、図2に示すように、シース液2a,2bの通流速度が遅い谷間の部分にサンプル液1が通流することとなり、サンプル液1の通流位置及び速度が安定する。その結果、流路の中心部に歪みのない良好な形状のサンプル液流を形成することができる。
また、本実施形態の流路構造は、例えば、フローサイトメトリーなどで使用されるマイクロチップ、DNAの分析装置に使用される分析チップ、微小空間で化学合成などを行うマイクロリアクターチップなどに適用することができる。例えば、フローサイトメーターに適用する場合、流路中心部にのみサンプル液流を形成することができれば、サンプル液流の流速を均一にすることができるだけでなく、光検出部の焦点位置にピンポイントで測定対象の試料(微小粒子など)を流し込むことが可能となる。
<3.第3の実施の形態>
[マイクロチップの構成]
次に、本発明の第3の実施形態に係るマイクロチップについて説明する。本実施形態のマイクロチップは、内部に前述した第2の実施形態の流路構造が形成されており、例えばマイクロチップ型FACSシステムなどに使用される。その材質としては、例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン、PDMS(polydimethylsiloxane)、ガラス及びシリコン等が挙げられる。その中でも、加工性に優れ、成形装置を使用して安価に複製することができることから、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン等のプラスチック材料で形成することが好ましい。
[マイクロチップの製造方法]
このマイクロチップは、例えば、図3に示す合流流路13、サンプル液導入流路10、第1のシース液導入流路11の底面を貼り合わせ面15とすることで、片面金型による射出成形及び基板貼り合わせプロセスにより、容易に製造することができる。以下、本実施形態のマイクロチップの製造方法について、片面金型を用いて、プラスチック製のマイクロチップを製造する場合を例にして説明する。
図4は本実施形態のマイクロチップの製造方法をその工程順に示す図である。図4に示すように、本実施形態のマイクロチップを製造する際は、先ず、図4(a−1)示す上面用金型20a,20bと、図4(b−1)に示す下面用金型21a,21bとを使用して、プラスチック材料22を射出成形する。このとき、一方の金型20a,21bの表面に、微細流路及びスルーホール形状を形成可能な凸部を設け、プラスチック材料22にこれらの形状を転写させる。
これにより、図4(a−2),(b−2)に示すように、微細流路及びスルーホールを備えた1対の射出成形基板23,24が得られる。そして、図4(c)に示すように、これら基板23,24を、例えば、熱や接着剤などによって貼り合わせる。これにより、図4(d)に示すように、合流位置が、送液方向Y及び流路深さ方向Zにおいて相互に異なる2対のシース液導入流路を備えたマイクロチップ25を製造することができる。
このように、本実施形態のマイクロチップは、片面金型による射出成形及び基板貼り合わせプロセスにより製造することが可能であるため、流路幅及び流路深さが1mm以下であっても、低コストで大量生産することができる。また、本実施形態のマイクロチップは、検出光の焦点位置に、測定対象の試料(微小粒子など)を、正確かつ安定した速度で通過させることができるため、高感度でかつ高精度の分析が可能であり、安定した分取作業を実現することができる。
なお、本実施形態のマイクロチップにおける上記以外の構成及び効果は、前述した第1及び第2の実施形態と同様である。また、本実施形態においては、プラスチック材料を使用して射出成形する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、低融点ガラスを用いた射出成形や紫外線硬化樹脂を用いたナノインプリント技術を適用することもできる。
更に、本実施形態のマイクロチップは、図8に示すようなFACS装置に限らず、例えばDNA解析装置、質量分析装置、リアルタイムでの細胞観察装置など、測定(観察)対象の試料の位置及び速度を制御する必要がある装置全般に適用することができる。
次に、本発明の実施例として、図3に示す流路構造に、サンプル液及びシース液を流したときの各液の通流状態について、コンピュータシミュレーションによる流体解析を行った。図5(a)及び(b)はその流体解析モデルを示す図である。また、図6は流体解析における境界条件及び流体解析結果を示す図であり、図7は図6に示す流路を先端部の矢印方向から見た拡大図である。なお、図6,7には微細流路内をサンプル液流が流れる様子(Stream Line)を示しており、その色はサンプル液流の流速を表しており、流速が遅い程青く、速くなるに従い赤くしている。
流体解析は、図5(a)及び(b)に示すモデルを使用し、米国ANSYS社製ANSYS−CFXにより行った。なお、計算の離散化に用いた要素数は30万程度とした。また、図6に示すように、サンプル液の導入流量は1ml/時間、シース液の導入流量はそれぞれ12ml/時間とし、排出部の圧力は1atm(0.1MPa)とした。
図6,7に示すように、本実施例の流体解析の結果、流路構造を、図3に示す構成にすることにより、サンプル流の形状及び通流位置が、図9(a)に示す理想的な状態になることが確認された。
1、120 サンプル液
2a、2b、121 シース液
10 サンプル液導入流路
11、12 シース液導入流路
13 合流流路
14 絞込部
15 貼り合わせ面
20a、20b、21a、21b 金型
22 プラスチック材料
23、24 基板
25、100 マイクロチップ
101 流路
102 回収液貯留部
103 排液貯留部
104 分取機構
105 光源
106 コリメータレンズ
107 ダイクロックミラー
108 対物レンズ
109 回折格子
110 検出器
111 採取対象試料
112 採取対象外試料

Claims (7)

  1. 試料を含むサンプル液が通流するサンプル液導入流路と、
    該サンプル液導入流路にその両側から合流して、前記サンプル液の周囲にシース液を導入する2対のシース液導入流路と、を有し、
    各流路の幅及び深さが1mm以下であり、
    かつ、各シース液導入流路対は、前記サンプル液導入流路に合流する位置が、送液方向及び流路深さ方向において相互に異なる流路構造。
  2. 上流側で合流する第1のシース液導入流路対は、前記サンプル液導入流路よりも流路深さが深く、かつその底面がサンプル液導入流路の底面と同一平面上に形成されており、サンプル液流の側方及び上方にシース液を導入する請求項1に記載の流路構造。
  3. 下流側で合流する第2のシース液導入流路対は、その上面が前記サンプル液導入流路の底面と同一平面上に形成されており、サンプル液流の下方にシース液を導入する請求項1又は2に記載の流路構造。
  4. 前記第2のシース液導入流路対の合流部よりも下流側に、流路径が段階的に小さくなる絞込部が設けられている請求項3に記載の流路構造。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の流路構造を備えたマイクロチップ。
  6. 射出成形された2枚の基板を積層して形成された請求項5に記載のマイクロチップ。
  7. サンプル液流の上方及び側方にシース液流を形成した後、サンプル液流の下方にシース液流を形成する送流方法。
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