JP2011139641A - 反応基板製造方法及び反応基板製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、短時間で安定した測定を行わせる。
【解決手段】本発明は、ウェル10を有する反応基板1を凝固温度以下に冷却し、該反応基板1のウェル10に試薬を含む液を試薬注入部25により吐出し、試薬が固着した反応基板1を製造するようにしたことにより、試薬を含む液が氷結した状態でウェル10に固着させることができるので、ノイズの原因となる不純物が混在することなく、また試薬を乾燥させることなく安定した状態で固定させておくことができ、さらに予め試薬をウェル10に固着させているので検体溶液を注入させるだけで測定を開始させることができ、かくして短時間で安定した測定を行わせることができる。
【選択図】図5
【解決手段】本発明は、ウェル10を有する反応基板1を凝固温度以下に冷却し、該反応基板1のウェル10に試薬を含む液を試薬注入部25により吐出し、試薬が固着した反応基板1を製造するようにしたことにより、試薬を含む液が氷結した状態でウェル10に固着させることができるので、ノイズの原因となる不純物が混在することなく、また試薬を乾燥させることなく安定した状態で固定させておくことができ、さらに予め試薬をウェル10に固着させているので検体溶液を注入させるだけで測定を開始させることができ、かくして短時間で安定した測定を行わせることができる。
【選択図】図5
Description
本発明は反応基板製造方法及び反応基板製造装置に関し、例えば核酸を増幅する際に用いる反応基板を製造する場合に適用して好適なものである。
従来、核酸における特定の塩基配列領域を増幅する方法として、PCR(Polymerase Chain Reaction)や等温遺伝子増幅法であるICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法やSMAP(Smart Amplification Process)法などがある。これらの増幅反応を行う装置では、増幅反応を行わせる場として複数の微小容器を有する反応基板が用いられる。
この反応基板は、マイクロマシン/MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて、プラスチック等の樹脂材やガラスからなる基板にエッチングやレーザ光などによって、複数の微小容器及び該微小容器を繋ぎ検体溶液及び試薬液を流す流路が形成される。
現行の反応基板は、検体溶液及び試薬液を別々に微小容器に注入する構造となっているものが殆どである。
これに対して反応基板における微小容器に試薬をパラフィンで密閉して固定しておき、反応させる際に熱を加えてパラフィンを溶かして検体と試薬を反応させるようになされたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
また特許文献1には、試薬が添加されたゲル状のゼラチンを微小容器に固定しておき、反応させる際に熱を加えてゼラチンをゾル化させてから検体と試薬を反応させるようになされたものも提案されている。
ところで上述した反応基板では、検体と試薬を反応させる際に、パラフィン又はゼラチンが微小容器内に溶けて存在しているため、反応に影響を与えたり、測定時のバックグラウンドノイズとなる可能性があり、安定した測定を行わせることができなくなるといった問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、短時間で安定した測定を行わせ得る反応基板製造方法及び反応基板製造装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、反応基板製造方法であって、試薬が混ぜられた液が固体になる温度以下に反応基板を冷やす冷却工程と、液を反応基板における反応場に液滴として吐出する吐出工程とを有する。
また本発明においては、反応基板製造装置であって、試薬が混ぜられた液が固体になる温度以下に反応基板を冷やす冷却部と、液を反応基板における反応場に液滴として吐出する資料注入部とを有する。
これにより、試薬を含む液が氷結した状態で試薬を反応場に固着させることができるので、ノイズの原因となる不純物が混在することなく、また試薬を乾燥させることなく安定した状態で固定させておくことができると共に、予め試薬を反応場に固着させているので検体溶液を注入させるだけで測定を開始させることができる。
以上のように本発明によれば、試薬を含む液が氷結した状態で試薬を反応場に固着させることができるので、ノイズの原因となる不純物が混在することなく、また試薬を乾燥させることなく安定した状態で固定させておくことができると共に、予め試薬を反応場に固着させているので検体溶液を注入させるだけで測定を開始させることができ、かくして短時間で安定した測定を行わせることができる。
以下、発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序とする。
<1.実施の形態>
[1−1.反応基板製造]
[1−2.SMAP法による測定]
<2.他の実施の形態>
<1.実施の形態>
[1−1.反応基板製造]
[1−2.SMAP法による測定]
<2.他の実施の形態>
<1.実施の形態>
[1−1.反応基板製造]
[1−1−1.反応基板製造工程]
図1において反応基板製造工程の手順を示す。第1工程SP1では、図2(A)及び(B)に示すように、プラスチック等の樹脂材やガラスからなる反応基板1に、反応場とされる複数の容器(以下、これをウェルとも呼ぶ)10、流路11、流入口12、通気孔13及び疎水領域14A、14Bが形成される。
[1−1.反応基板製造]
[1−1−1.反応基板製造工程]
図1において反応基板製造工程の手順を示す。第1工程SP1では、図2(A)及び(B)に示すように、プラスチック等の樹脂材やガラスからなる反応基板1に、反応場とされる複数の容器(以下、これをウェルとも呼ぶ)10、流路11、流入口12、通気孔13及び疎水領域14A、14Bが形成される。
これらウェル10、流路11、流入口12、通気孔13及び疎水領域14A、14Bは、マイクロマシンによるエッチングやレーザ光照射などにより、反応基板1から不要部分が除去されて形成される。なお、説明の便宜上、ウェル10、流路11、流入口12、通気孔13及び疎水領域14A、14Bをまとめて溝とも呼ぶ。
流路11は、検体溶液が注入される流入口12から複数のウェル10までの入口側流路11Aと、該複数のウェル10から通気孔13までの出口側流路11Bとからなる。
入口側流路11Aのウェル10側には、該入口側流路11Aの溝を狭くして検体溶液を流れ難くする疎水領域14Aが設けられ、また出口側流路11Bのウェル10側にも該出口側流路11Bの溝を狭くして検体溶液を流れ難くする疎水領域14Bが設けられる。
これにより、ウェル10内の検体溶液及び試薬が入口側流路11A及び出口側流路11Bを辿って他のウェル10に流入することを防止することができる。
なお、疎水領域14A及び14Bは、検体溶液を流れ難くする構造又はウェル10に検体溶液が流入した後に該ウェル10から検体溶液が流れなくなる構造であれば、溝を狭くする構成以外でもよい。
第2工程(試薬配置工程)SP2では、後述するように、試薬配置装置20(図4)によって試薬配置工程の手順(図5)に従って複数のウェル10に試薬がそれぞれ配置される。
第3工程SP3では、図3に示すように、反応基板1の溝が形成された面側に、該反応基板1の流入口12及び通気孔13に対向する位置に穴が開けられたシリコンコート31及び蓋32が接着され、マイクロチップ30としてパッケージ化される。
[1−1−2.試薬配置装置の構成]
試薬配置装置20は、図4に示すように、制御部21が全体を統括制御するようになされており、基板搬送機構22、冷却部23、試薬導入・洗浄機構24及び試薬注入部25が適宜制御される。
試薬配置装置20は、図4に示すように、制御部21が全体を統括制御するようになされており、基板搬送機構22、冷却部23、試薬導入・洗浄機構24及び試薬注入部25が適宜制御される。
制御部21はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むコンピュータ構成でなり、主に駆動部21A及び温度調整部21Bとして機能する。
基板搬送機構22は、第1工程SP1で溝が形成された反応基板1を冷却部23の上面に搬入する。また基板搬送機構22は、冷却部23の上面に載置された反応基板1を外部に搬出する。
冷却部23は、反応基板1が載置される台と該台の上面に配される例えばペルチェ素子などの冷却素子とを含む構成とされ、温度調整部21Bの制御に基づいて冷却素子により反応基板1を冷却する。
試薬導入・洗浄機構24は、試薬が混合された液(以下、これを試薬液とも呼ぶ)を導入する位置(以下、これを導入位置とも呼ぶ)に試薬注入部25を移動させて、該試薬注入部25に試薬液を導入する。また試薬導入・洗浄機構24は、試薬注入部25を洗浄する位置(以下、これを洗浄位置とも呼ぶ)に移動させて、該試薬注入部25を洗浄する。なお本実施の形態においては、試薬が混合される液が純水である場合について説明するが、例えば生理食塩水などの他の液が適応されていてもよい。
試薬注入部25は、試薬液を液滴にして吐出する管状の供給口25Aが反応基板1における複数のウェル10の数及び配置と一致するように複数設けられる。また試薬注入部25は、試薬導入・洗浄機構24により導入された試薬液を貯めておく保持部(図示せず)が設けられており、保持部に保持された試薬液を駆動部21Aの制御に基づいて供給口25Aを介して数pLの液滴にしてウェル10に吐出する。
試薬配置装置20は、図5に示すように、第2工程SP2の搬入工程SP11において、第1工程SP1で溝が形成された反応基板1を基板搬送機構22により搬入して冷却部23の上面に載置する。
試薬配置装置20は次の冷却工程SP12において、温度調整部21Bの制御に基づいて冷却部23の冷却素子により、試薬液が固体となる温度(以下、これを凝固温度とも呼ぶ)である0℃以下の例えば−20℃程度に反応基板1を冷却する。
試薬配置装置20は次の試薬液導入工程SP13において、試薬導入・洗浄機構24により試薬注入部25を導入位置に移動し、該試薬注入部25の保持部に試薬液を導入する。そして試薬配置装置20は、試薬導入・洗浄機構24により試薬液が導入された試薬注入部25を反応基板1上に移動させる。
試薬配置装置20は次の吐出工程SP14において、図6に示すように、駆動部21Aの制御に基づいて試薬注入部25の保持部に貯められた試薬液を供給口25Aを介して液滴にして反応基板1のウェル10に吐出する。
供給口25Aから吐出された液滴は、数pLであり反応基板1に対して熱容量が十分小さいため、該反応基板1のウェル10に接触するとすぐに氷結して該ウェル10に固着する。
試薬配置装置20は次の判断工程SP15において、すべての試薬がウェル10に入れられたか否かを制御部21により判断する。試薬配置装置20は、他の試薬をウェル10に入れる場合には次の洗浄工程SP16において、試薬導入・洗浄機構24により試薬注入部25を洗浄位置に移動させ、該試薬注入部25を洗浄する。
そして試薬配置装置20は、試薬液導入工程SP13に戻って次の試薬液を試薬注入部25に導入し、吐出工程SP14で該試薬液をウェル10に液滴にして吐出する。このときウェル10では、先に入れられた試薬液は氷結しているため、後に入れられた試薬液とは混合することなく、別々に氷結されて固着した状態となる。
試薬配置装置20は判断工程SP15ですべての試薬がウェル10に入れられたと判断した場合には次の搬出工程SP17において、基板搬送機構22により反応基板1をマイクロチップ組立装置(図示せず)に搬出する。このとき試薬配置装置20は、凝固温度以下に反応基板1を維持したままマイクロチップ組立装置に搬出する。
マイクロチップ組立装置は、凝固温度以下に反応基板1を維持したまま、第3工程SP3においてマイクロチップ30を製造する。
このようにして製造されたマイクロチップ30は所定の保管容器内で凝固温度以下に維持されたまま保管される。
[1−1−3.反応基板製造例(1)]
ここで後述するSMAP法による測定に用いられる反応基板1を含むマイクロチップ30の製造例について説明する。
ここで後述するSMAP法による測定に用いられる反応基板1を含むマイクロチップ30の製造例について説明する。
ところでSMAP法では、5種類のプライマー、酵素、dNTP及び蛍光色素などが試薬として用いられる。SMAP法では、図7に示すように、4種類のプライマー51を用いてDNA50における増幅対象とされる領域(以下、これを増幅対象領域とも呼ぶ)50Aを鋳型として中間体が生成され、該中間体が複製されていくことにより増幅対象領域50Aが増幅される。
SMAP法では、増幅対象領域50Aが存在しない状態でも導入されたプライマー部分が増幅されることをネガティブコントロールとして用いることから、増幅対象領域50Aの有無を判断するまでに余分な時間がかかってしまうことになる。
例えばウィルスゲノムを増幅対象とする場合、一般にウィルスゲノムは十分に長い。そこで、図8に示すように、ウィルスゲノム60に対して例えば2箇所の増幅対象領域60A及び60Bをそれぞれ鋳型として増幅させる2種類の異なるプライマー群(5種類のプライマーの組を2組)が固着された反応基板1を製造する。
試薬配置装置20は、冷却部23によって凝固温度以下に冷却された反応基板1に1組目のプライマー、酵素、dNTP及び蛍光色素を含む試薬液を試薬注入部25から吐出してウェル10に氷結固着させる。
次に試薬配置装置20は、試薬注入部25を試薬導入・洗浄機構24により洗浄した後、1組目のプライマーを含む試薬液がウェル10に氷結固着している状態で、2組目のプライマーを含む試薬液を試薬注入部25から吐出して該ウェル10に氷結固着させる。
このようにして2組のプライマーがそれぞれ含まれる試薬液がウェル10に別々に氷結固着している状態の反応基板1にシリコンコート31及び蓋32が接着されてマイクロチップ30が製造される。なお、説明の便宜上、このマイクロチップ30を2組プライマーマイクロチップ100とも呼ぶ。
[1−1−4.反応基板製造例(2)]
SMAP法による測定に用いられるマイクロチップ30の製造の別例について説明する。ところでSMAP法では、一般的には60℃で増幅反応を行わせるため、2本鎖DNAが1本鎖DNAに乖離する温度としては低く、2本鎖DNAが乖離する確率が低い。従って1本鎖DNAにプライマーが結合する確率も低く、増幅開始までに時間がかかることになる。
SMAP法による測定に用いられるマイクロチップ30の製造の別例について説明する。ところでSMAP法では、一般的には60℃で増幅反応を行わせるため、2本鎖DNAが1本鎖DNAに乖離する温度としては低く、2本鎖DNAが乖離する確率が低い。従って1本鎖DNAにプライマーが結合する確率も低く、増幅開始までに時間がかかることになる。
そこで、図9に示すように、2本鎖DNA70における増幅対象領域70A以外の塩基配列を認識して切断する制限酵素71を、増幅対象領域70Aを増幅するためのプライマー72と共に固着された反応基板1を製造する。
この場合、試薬配置装置20は、冷却部23によって凝固温度以下に冷却された反応基板1にプライマー、酵素、dNTP及び蛍光色素を含む試薬液を試薬注入部25から吐出してウェル10に氷結固着させる。
次に試薬配置装置20は、試薬注入部25を試薬導入・洗浄機構24により洗浄した後、プライマーを含む試薬液がウェル10に氷結固着している状態で、増幅対象領域以外の塩基配列を認識して切断する制限酵素を含む試薬液を試薬注入部25から吐出して該ウェル10に氷結固着させる。
このようにしてプライマー及び制限酵素がそれぞれ含まれる試薬液がウェル10に別々に氷結固着している状態の反応基板1にシリコンコート31及び蓋32が接着されてマイクロチップ30が製造される。なお、説明の便宜上、このマイクロチップ30を制限酵素入マイクロチップ200とも呼ぶ。
[1−2.SMAP法による測定]
[1−2−1.測定装置]
図10に示すように測定装置80は、マイクロチップ格納部81、温度制御部82、励起光照射部83、蛍光受光部84及び増幅曲線描画部85により構成される。
[1−2−1.測定装置]
図10に示すように測定装置80は、マイクロチップ格納部81、温度制御部82、励起光照射部83、蛍光受光部84及び増幅曲線描画部85により構成される。
マイクロチップ格納部81は、マイクロチップ30が格納される空間を有し、マイクロチップ30における各ウェル10を加熱する過熱素子(図示せず)及び該ウェル10の温度を測定する感温素子(図示せず)が設けられる。
マイクロチップ格納部81には、上述した反応基板製造方法により製造された反応基板1を含むマイクロチップ30に検体溶液が注入された後、該マイクロチップ30が挿入される。
温度制御部82は、感温素子を用いて所定間隔ごとにウェル10の温度をセンシングし、該感温素子においてセンシングされる温度と、目標温度(60℃)との差を求め、該差に応じて加熱素子に与えるべき電流又は電圧を可変する。これによりウェル10の温度を目標温度に維持し得る。
励起光照射部83は、レーザを含む構成とされ、図11に示すように、ウェル10に対してレーザ光を照射する。蛍光受光部84は、受光素子を含む構成とされ、ウェル10から発せられる蛍光を所定時間間隔ごとに受光し、受光した蛍光強度を増幅曲線描画部85に送出する。
増幅曲線描画部85は、蛍光受光部84から所定間隔ごとに供給される蛍光強度に応じた増幅対象領域の増幅量を算出すると共に、時間に対する蛍光強度を示す増幅曲線を描画し、増幅対象領域の有無を判定する。
[1−2−2.2組プライマーマイクロチップを用いた増幅測定]
次に2組プライマーマイクロチップ100を用いた増幅測定について説明する。具体的には、所定の保存容器で凝固温度以下に維持された2組プライマーマイクロチップ100が測定開始直前に保存容器から取り出される。このとき2組プライマーマイクロチップ100は常温の雰囲気に晒されるため、ウェル10に氷結固着された試薬液が溶けて液体になる。
次に2組プライマーマイクロチップ100を用いた増幅測定について説明する。具体的には、所定の保存容器で凝固温度以下に維持された2組プライマーマイクロチップ100が測定開始直前に保存容器から取り出される。このとき2組プライマーマイクロチップ100は常温の雰囲気に晒されるため、ウェル10に氷結固着された試薬液が溶けて液体になる。
そして2組プライマーマイクロチップ100には、注入口13から検体溶液がすべてのウェル10に行き渡るように注入される。因みに、注入口13から注入された検体溶液が通気孔14から出てきたのを確認することにより全てのウェル10に検体溶液が注入したことを確認することができる。
測定装置80は、ウェル10に検体溶液が注入された2組プライマーマイクロチップ100がマイクロチップ格納部81に挿入された後、所定の開始命令を受けると、温度制御部82により各ウェル10が60℃になるように加熱されてその温度を維持する。
測定装置80は、励起光照射部83から所定間隔ごとにウェル10に対して励起光を照射し、該励起光によって励起されて発せられた蛍光を蛍光受光部84で受光して蛍光強度を増幅曲線描画部85に送出する。
増幅曲線描画部85は、時間に対する蛍光強度を示す増幅曲線を描画する。ここで2組プライマーマイクロチップ100を用いて測定された増幅曲線及びネガティブコントロールと、1組のプライマーだけを用いて増幅対象領域が増幅された場合の増幅曲線及びネガティブコントロールとを図12に示す。
図12からも明らかなように、増幅対象領域の数を増加させることにより、増幅対象領域及びネガティブコントロールが共に増加する。しかしながら増幅対象領域の数を増加させることにより、ネガティブコントロールの増幅勾配に比べて増幅対象領域の増幅勾配が急になるので、結果として増幅対象領域の有無の判断を速めることができる。
[1−2−3.2組プライマーマイクロチップを用いた増幅測定]
次に制限酵素入マイクロチップ200を用いた増幅測定について説明する。具体的には、所定の保存容器で凝固温度以下に維持された制限酵素入マイクロチップ200が測定開始直前に保存容器から取り出される。このとき制限酵素入マイクロチップ200は常温の雰囲気に晒されるため、ウェル10に氷結固着された試薬液が溶けて液体になる。
次に制限酵素入マイクロチップ200を用いた増幅測定について説明する。具体的には、所定の保存容器で凝固温度以下に維持された制限酵素入マイクロチップ200が測定開始直前に保存容器から取り出される。このとき制限酵素入マイクロチップ200は常温の雰囲気に晒されるため、ウェル10に氷結固着された試薬液が溶けて液体になる。
そして制限酵素入マイクロチップ200には、流入口13から検体溶液がすべてのウェル10に行き渡るように注入される。
測定装置80は、ウェル10に検体溶液が注入された制限酵素入マイクロチップ200がマイクロチップ格納部81に挿入された後、所定の開始命令を受けると、温度制御部82により各ウェル10が60℃になるように加熱してその温度を維持する。
このとき増幅対象領域以外の塩基配列が制限酵素により切断され、増幅対象領域を含む塩基配列が短くなるので、この領域の2本鎖DNAが乖離する確率が高くなる。従って増幅対象領域の1本鎖DNAにプライマーが結合する確率も高くなり、増幅開始までの時間が短縮される。
測定装置80は、励起光照射部83から所定間隔ごとにウェル10に対して励起光を照射し、該励起光によって励起されて発せられた蛍光を蛍光受光部84で受光して蛍光強度を増幅曲線描画部85に送出する。増幅曲線描画部85は、時間に対する増幅対象領域の増幅を示す増幅曲線を描画する。
従って測定装置80は、増幅開始までの時間が短縮されていることにより、増幅対象領域の有無を短時間で判定することができる。
[1−3.動作及び効果]
以上の構成において、ウェル10を有する反応基板1を凝固温度以下に冷却する冷却工程と、該反応基板1のウェル10に試薬を含む液を試薬注入部25により液滴にして吐出する吐出工程とにより、試薬が固着した反応基板1を製造するようにした。
以上の構成において、ウェル10を有する反応基板1を凝固温度以下に冷却する冷却工程と、該反応基板1のウェル10に試薬を含む液を試薬注入部25により液滴にして吐出する吐出工程とにより、試薬が固着した反応基板1を製造するようにした。
この反応基板1では、試薬を含む液滴が凝固温度以下に冷却された反応基板1に接触すると氷結するので、試薬を乾燥させることなく安定した状態で固定させておくことができる。これによりこの反応基板1を用いて例えば核酸増幅反応を行わせる際、試薬を劣化させることなく、またウェル10にノイズの原因となる不純物が存在することなく、安定した測定を行わせることができる。
また反応基板1には測定に必要とされる試薬が予め固着されているため、検体溶液を注入させるだけで測定を開始させることができる。従って試薬配置装置20により製造された反応基板1を含むマイクロチップ30を用いて測定する場合、検体溶液をマイクロチップ30に注入させるだけでよく、試薬液を別途注入させる場合と比して短時間で測定させることができる。
また複数種類の試薬液をウェル10に固着させたい場合、それぞれの試薬液を別々にウェル10に吐出することにより、該複数種類の試薬液が混合することなく別々に氷結されて固着する。
したがって反応基板1では、複数種類の試薬液が混合することにより試薬同士が反応してしまうことを未然に防止することができると共に、複数種類の試薬液をそれぞれ別々にウェル10に導入する場合に比して短時間で測定を開始させることができる。
また、増幅対象領域における異なる複数の領域をそれぞれ増幅するプライマー群を含む試薬液を別々にウェル10に吐出して氷結固着させた反応基板1を製造するようにした。
この反応基板1を用いて増幅対象領域の有無を判定する場合、ネガティブコントロールの増幅勾配に比べて増幅対象領域の増幅勾配が急になるので、結果として検出速度を速めることができる。従って測定装置80は、この反応基板1を用いた場合、増幅対象領域の有無を短時間で判定することができる。
さらに、増幅対象領域を増幅するためのプライマーを含む試薬液と、2本鎖DNAにおける増幅対象領域以外の塩基配列を認識して切断する制限酵素を含む試薬液とを別々にウェル10に吐出して氷結固着させた反応基板1を製造するようにした。
この反応基板1を用いてSMAP法による増幅対象領域の有無を判定する場合、増幅対象領域以外の塩基配列が制限酵素により切断され、増幅対象領域を含む塩基配列が短くなるので、この領域の2本鎖DNAが乖離する確率が高くなる。従って増幅対象領域の1本鎖DNAにプライマーが結合する確率も高くなり、増幅開始までの時間が短縮されるので、測定装置80は、この反応基板1を用いた場合、増幅対象領域の有無を短時間で判定することができる。
以上の構成によれば、ウェル10を有する反応基板1を凝固温度以下に冷却し、該反応基板1のウェル10に試薬を含む液を試薬注入部25により吐出し、試薬が固着した反応基板1を製造するようにした。
これにより、試薬を含む液が氷結した状態でウェル10に固着させることができるので、ノイズの原因となる不純物が混在することなく、また試薬を乾燥させることなく安定した状態で固定させておくことができる。また、予め試薬をウェル10に固着させているので検体溶液を注入させるだけで測定を開始させることができる。かくして、短時間で安定した測定を行わせることができる。
<2.他の実施の形態>
上述の実施の形態では、増幅対象領域のDNA断片を増幅させる試薬との反応場として複数のウェル10が反応基板1に形成される場合について述べた。しかしながら反応場の用途は、増幅対象領域のDNA断片を増幅させる試薬との反応に限定されるものではない。
上述の実施の形態では、増幅対象領域のDNA断片を増幅させる試薬との反応場として複数のウェル10が反応基板1に形成される場合について述べた。しかしながら反応場の用途は、増幅対象領域のDNA断片を増幅させる試薬との反応に限定されるものではない。
例えば、検出対象のDNA断片を選択的に結合する性質をもつ試薬との反応、あるいは、検出対象の抗体等のタンパク質を選択的に結合する性質をもつ試薬との反応、または、検出対象の糖鎖を選択的に結合する性質をもつ試薬との反応に用いることができる。
上述した実施の形態においては、複数のウェル10が反応基板1に形成されるような場合について述べた。本発明はこれに限らず、エッペンドルフチューブのように1つの反応場を有する容器に試薬液を固定するような場合においても基板製造工程における第2工程(試薬配置工程)SP2が適応できる。
上述の実施の形態では、ウェル10、流路11、流入口12、通気孔13及び疎水領域14A、14Bが反応基板1にマイクロマシンによって形成されるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、シート状のフィルムを複数枚張り合わせて、ウェル10、流路11、流入口12、通気孔13及び疎水領域14A、14Bが設けられた反応基板を製造するようにしてもよい。
上述した実施の形態においては、ウィルスゲノムの有無を判定するために、2箇所に増幅対象領域を設定し、該2箇所の増幅対象領域を増幅するための試薬液が固着された反応基板1を含む2組プライマーマイクロチップ100を製造するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、所定のDNAの有無を判定するために、該DNAにおける複数箇所に増幅対象領域を設定し、該複数箇所の増幅対象領域を増幅するための試薬液が固着された反応基板1を含むマイクロチップ30を製造するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、核酸増幅装置として、いわゆるSMAP法による測定装置80が適用されたが、リアルタイムPCR装置が適用されてもよく、また、増幅量を定量せずに増幅反応を行うPCR装置が適用されてもよい。また、例えばLAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法又はICAN法などように等温で核酸増幅する方法を適用し、リアルタイム増幅量を検出するようにしてもよい。
上述した実施の形態においては、冷却部として冷却部23、試薬注入部として試薬注入部25によって本発明の反応基板製造装置としての反応基板製造装置80を構成するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる冷却部、試薬注入部によって反応基板製造装置を構成するようにしても良い。
本発明は、生物実験、医薬の創製又は患者の経過観察などのバイオ産業上において利用可能である。
1……反応基板、10……ウェル、11……流路、12……流入口、13……通気孔、14A、14B……疎水領域、20……試薬配置装置、21……制御部、21A……駆動部、21B……温度調整部、22……基板搬送機構、23……冷却部、24……試薬導入・洗浄機構、25……試薬注入部、30……マイクロチップ、31……シリコンコート、32……蓋、80……測定装置、81……マイクロチップ格納部、82……温度制御部、83……励起光照射部、84……蛍光受光部、85……増幅曲線描画部。
Claims (5)
- 試薬が混ぜられた液が固体になる温度以下に反応基板を冷やす冷却工程と、
上記液を上記反応基板における反応場に吐出する吐出工程と
を有する反応基板製造方法。 - 吐出工程では、
吐出された液が上記反応場で凝固した後、他の試薬が混ぜられた液を上記反応場に吐出する
請求項1に記載の反応基板製造方法。 - 吐出工程では、
上記反応基板の熱容量より十分小さい液滴を吐出する
請求項1に記載の反応基板製造方法。 - 吐出工程では、
2本鎖DNAにおける増幅対象とされる領域をSMAP(Smart Amplification Process)法により増幅するための試薬が混ぜられた液、及び該領域以外の2本鎖DNAを切断する制限酵素が混ぜられた液を別々に吐出する
請求項1に記載の反応基板製造方法。 - 試薬が混ぜられた液が固体になる温度以下に反応基板を冷やす冷却部と、
上記液を上記反応基板における反応場に吐出する試薬注入部と
を有する反応基板製造装置。
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---|---|---|---|
JP2010000761A JP2011139641A (ja) | 2010-01-05 | 2010-01-05 | 反応基板製造方法及び反応基板製造装置 |
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