JP2011139576A - モータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蓄電器の過電圧を防止しモータ駆動装置を安定して運用するとともに、回生エネルギーの有効利用を図るモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】 交流電源1を直流電源に変換する整流器2と、整流器2の直流電力側に接続された平滑コンデンサ3と、平滑コンデンサ3の直流電力を交流電力に変換しモータを駆動するインバータ5と、平滑コンデンサ3と並列に接続されるDC/DCコンバータ7と、DC/DCコンバータ7によって充放電される蓄電器Bと、DC/DCコンバータ7を制御するDC/DCコンバータ制御装置8と、を備えたモータ駆動装置において、DC/DCコンバータ制御装置8は、蓄電器Bの電流を制御する電流制御器806と、電流制御器806の入力信号は、平滑コンデンサ3の直流電圧を制御する電圧制御器803の出力信号、または蓄電器Bの直流電圧を制御する電圧制御器810の出力信号となる手段とを備えたものである。
【選択図】 図1

Description

本発明はモータ駆動装置に係り、特にDC/DCコンバータを介して蓄電器とエネルギーの授受を行うことができるモータ駆動装置に関する。
モータ駆動装置における省エネルギー化を図るために、蓄電器にモータ回生時のエネルギーを蓄え(充電動作)、モータ力行時には蓄えたエネルギーを利用する(放電動作)システムが検討されている。この充放電動作は、モータ駆動装置の直流電源部に接続される平滑コンデンサ(電解コンデンサ)のエネルギー変動が発生するモータの加減速時に行われる(例えば、特許文献1参照)。
またモータ駆動装置と蓄電器との間にDC/DCコンバータ装置を備え、モータ力行・回生時のエネルギーを蓄電器へ充放電動作させるものもある。DC/DCコンバータ装置は、モータ駆動装置と蓄電器との間でエネルギーを双方向に変換でき、PWM(Pulse Width Modulation)制御により蓄電器へのエネルギー量を最適に制御することができる。(例えば、特許文献2参照)。図2は、特許文献2に記載された電気車制御装置の構成の概略図である。
図2において、3は平滑コンデンサであり、直流電源101を架線102、パンタグラフ103、リアクトル104を介して直流電源を安定させる。5はインバータであり、平滑コンデンサ3の直流電源を任意の交流電力に変換しモータ6を駆動する。105はDC/DCコンバータ装置であり平滑コンデンサ3と並列に接続され、リアクトルL1を介して蓄電器B(電気二重層コンデンサ)へ、モータ6の力行・回生運転時のエネルギーを充放電する。201は、DC/DCコンバータ装置105の制御装置であり、充放電制御のためのPWM制御信号を出力する。DC/DCコンバータ制御装置201においては、平滑コンデンサ3の主回路直流電圧Vdcと電圧基準信号VdcRefの偏差に基づき電圧制御器F(s)(203)で構成されるPI制御により、電流基準信号IchRefを出力する。次に、電流基準信号IchRefとリアクトルL1に流れる電流(蓄電器Bに流れる電流)Ichの偏差に基づき電流制御器H(s)(207)によるPI制御により、電圧指令信号VchRefをPWM制御器208に出力する。リミッタ205は、上限リミッタ209および下限リミッタ210から入力する許容変化分に基づき、電流基準信号IchRefに対する上限値および下限値の制限を行う。リミッタ205は、蓄電器B(電気二重層コンデンサ)が電圧絶対定格を超えないようにするための保護機能である。
このように従来の電気車制御装置は、DC/DCコンバータ制御装置において、蓄電器への充放電動作をリミット機能により制限することで蓄電器の過電圧状態を防止するのである。
特開2004−364462号公報 特開2006−87299号公報(17頁、図3)
従来の蓄電器を利用したモータ駆動装置においては図6に示すように、力行時のモータ駆動電力は、交流電源からダイオード整流器(受動動作し制御されていない)を介して供給される交流電源電力Pdと、DC/DCコンバータにより制御されて供給(放電動作)される蓄電器からの放電電力Psとがある。よって、力行時のモータ駆動電力の全てを蓄電器から供給することは不可能であり、DC/DCコンバータの放電電力Psは、回生エネルギーの充電電力Pkと比較して少なくなり不均衡が生じてしまう。すなわち、充放電動作を長時間繰り返すと、蓄電器電力は増加し続け、過電圧状態となってしまう。蓄電器の過電圧状態は、その性能劣化を招く可能性がある一方で、通常のDC/DCコンバータの充放電動作を妨げるという問題もある。DC/DCコンバータが双方向性を特徴とする充放電動作行うためには、モータ駆動装置の主回路直流電圧よりも常に蓄電器の電圧を低く留めておく必要がある。
そこで、蓄電器の過電圧状態を防止するため、DC/DCコンバータ制御装置において、予め蓄電器のリミット値を設定するリミット機能を備えている。このようなリミット機能は、蓄電器の過電圧状態は防止することができるが、充放電動作を制限したに過ぎない。すなわち、モータ回生時のエネルギーを蓄えることができなくなる。そして、モータ駆動装置の主回路直流電圧の過電圧を引き起こし、システム全体の停止を余儀なくされてしまう。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、蓄電器の過電圧を防止しモータ駆動装置を安定して運用するとともに、回生エネルギーの有効利用を図ることができるモータ駆動装置を提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、交流電源を直流電源に変換する整流器と、前記整流器の直流電力側に接続された平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの直流電力を交流電力に変換しモータを駆動するインバータと、前記平滑コンデンサと並列に接続されるDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータによって充放電される蓄電器と、前記DC/DCコンバータを制御するDC/DCコンバータ制御装置と、を備えたモータ駆動装置において、前記DC/DCコンバータ制御装置は、前記蓄電器の電流を制御する電流制御器と、前記電流制御器の入力信号は、前記平滑コンデンサの直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号、または前記蓄電器の直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号となる手段と、を備えたことを特徴とするモータ駆動装置とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記DC/DCコンバータ制御装置は、前記モータが加速運転中に前記蓄電器の放電量を増加させ、かつ定速運転中に前記蓄電器を放電させること、を特徴とする請求項1記載のモータ駆動装置とするものである。また、請求項3に記載の発明は、前記DC/DCコンバータ制御装置は、前記モータが停止中に前記蓄電器の過電圧と主回路直流電圧を検出するとともに、前記モータが加速運転中に、前記電流制御器の入力信号は前記平滑コンデンサの直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号となり、前記平滑コンデンサの直流電圧を制御する電圧制御器の入力信号を、前記蓄電器の放電量が増加するように予め設定された値に変更すること、を特徴とする請求項2記載のモータ駆動装置とするものである。また、請求項4に記載の発明は、前記DC/DCコンバータ制御装置は、前記モータが停止中に前記蓄電器の過電圧を検出するとともに、前記モータが定速運転中に、前記電流制御器の入力信号は前記蓄電器の直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号となり、前記モータが定速運転期間内に前記蓄電器の放電を行うこと、を特徴とする請求項2記載のモータ駆動装置とするものである。また、請求項5に記載の発明は、前記DC/DCコンバータ制御装置は、前記モータが停止中に前記蓄電器の低電圧を検出するとともに、前記モータが定速運転中に、前記電流制御器の入力信号は前記蓄電器の直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号となり、前記モータが定速運転期間内に前記蓄電器の充電を行うこと、を特徴とする請求項1記載のモータ駆動装置とするものである。
請求項1〜4に記載の発明によると、DC/DCコンバータ装置の充放電動作を制限することなく蓄電器の過電圧を防止することができ、モータ駆動装置における蓄電器を安定して使用することができる。請求項5に記載の発明によると、蓄電器から他の設備に電力を供給することができ、システムの拡大を図ることができる。
本発明の第1実施例を示すモータ駆動装置 従来の電気車制御装置 第1実施例の制御モード遷移表 第1実施例の制御モードフローチャート 第1実施例の動作波形タイムチャート 第1実施例の電力フロー 第2実施例を示すモータ駆動装置の概略図
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は、本発明におけるモータ駆動装置の構成を示す概略図である。図1において、2はダイオード整流器であり、交流電源1を直流電力に変換する。3は平滑コンデンサであり、直流電力を平滑して直流電圧をほぼ一定の値に維持する。5はインバータであり、インバータ制御装置4から出力されるPWM制御信号に基づいて直流電力を交流電力に変換しモータ6を制御する。DC/DCコンバータ装置7は、半導体スイッチング素子Q1、Q2、D1、D2を図示のように接続した回路、リアクトルL1、および蓄電器Bから構成される。またDC/DCコンバータ制御装置8から出力されるPWM制御信号に従い、電力の流れの向きを制御する(充放電動作)ことができる。蓄電器への充電動作は、DC/DCコンバータ装置7の降圧動作であり蓄電器電流Ibが図示する方向へ流れる。逆に放電動作は、DC/DCコンバータ装置7の昇圧動作であり蓄電器電流Ibが図示する方向と反対方向へ流れる。DC/DCコンバータ装置7の具体的な動作については以下省略する。蓄電器Bには、バッテリや2次電池、大容量である電気二重層コンデンサを用いることができる。
なお、モータ6からの回生電力が平滑コンデンサ3へ流れると、ダイオード整流器2は交流電源1側へ電流を流すことができないため、主回路直流電圧Vdcが上昇する。平滑コンデンサ3の過電圧およびモータ駆動装置を保護するため、インバータ5とモータ6の間にコンタクタを直列接続する(図示しない)。インバータ制御装置4は主回路直流電圧Vdcの過電圧を検出しコンタクタへ保護信号を出力することにで、インバータ5とモータ6を切り離してモータ駆動装置を保護する。
以下に、図1に示すDC/DCコンバータ制御装置8の各構成要素の動作概要および制御動作フローについて説明する。
スイッチ801(SW1)がa1側である場合は、主回路直流電圧基準Vdcsが選択され、b1側である場合は主回路直流電圧基準Vdcsと主回路放電直流電圧値Vaが加算された値が選択される。減算器802においては、スイッチ801(SW1)で選択された値と主回路直流電圧Vdcとの偏差が取られ、主回路直流電圧目標値Vdc*となり出力される。主回路直流電圧制御量Vdc*は、PI制御により構成されたVdc電圧制御器803に入力され、出力は蓄電器電流目標値I1*となる。一方、減算器809においては、蓄電器過電圧値Vblと蓄電器電圧Vbの偏差が取られ、蓄電器直流電圧目標値Vb*となり出力される。この蓄電器直流電圧制御量Vb*は、PI制御により構成されたVb電圧制御器810に入力され、出力はリミッタ811に入力される。リミッタ811の出力は、反転器812により放電制御となるように出力を反転することで蓄電器電流目標値I2*となる。
スイッチ804(SW2)がa2側である場合は、蓄電器電流目標値I1*が選択され、b2側である場合は蓄電器電流目標値I2*が選択される。減算器805によって、選択された蓄電器電流目標値と蓄電器電流Ibとの偏差が取られ、蓄電器電流制御量I*が出力され、PI制御により構成されたIb電流制御器806に入力される。Ib電流制御器806の出力はリミッタ807を介して、PWM電圧制御量Vc*となりPWM制御器808へ入力される。リミッタ807は、蓄電器B、半導体スイッチング素子Q1、Q2、D1、D2およびリアクトルL1の最大定格電流値を考慮して設定する。PWM制御器808は、PWM電圧制御量Vc*に基づいたPWM波形を作成し、DC/DCコンバータ7へPWM制御信号として出力する。
図3は、図1に示した実施例においてモータ6運転状態とDC/DCコンバータ制御装置8のスイッチ801(SW1)とスイッチ804(SW2)の状態を表した制御モード遷移表である。モータ6運転状態には、停止、加速運転、定速運転、減速運転の4つの状態がある。力行運転とは、モータ6が加速運転および定速運転(モータ速度変化量が0であり、モータ6の回転速度が0でない時)の状態を表す。回生運転とは、モータ6が減速運転している状態を表す。モータ6が運転されていない時(回転速度が0の時)は、停止であり力行運転、回生運転ではない。コンバータ制御装置8にはインバータ制御装置4がインバータ5に指令する回転速度信号と同じ信号が入力され、モータ6の運転状態を把握できる。コンバータ制御装置8は、モータ6の4つの運転状態を区別できるフラグを備えている。
力行運転時にコンバータ制御装置8の制御動作が変化する。加速運転においては、スイッチ801(SW1)とスイッチ804(SW2)の状態(SW1:SW2)は、(a1:a2)が(b1:a2)に変化する場合があり、これを制御モード遷移1とする。また定速運転においては、スイッチ801(SW1)とスイッチ804(SW2)の状態(SW1:SW2)は、(a1:a2)が(b1:b2)に変化する場合があり、これを制御モード遷移2とする。各制御モードの遷移は、制御モード遷移検出フラグfVbhの設定値に基づいて行われる。
図4は、図3に示した制御モード遷移1および制御モード遷移2を含む制御モードの動作状況について、詳細に記したフローチャートである。
まず、モータ6が停止中において、蓄電器電圧Vbと蓄電器過電圧値Vbhとを比較する。蓄電器電圧Vb>蓄電器過電圧値Vbhである場合にのみ、制御モード遷移検出フラグfVbhを1とする。蓄電器電圧Vb≦蓄電器過電圧Vbhである場合は、検出フラグfVbhを0とし、スイッチ801(SW1)はa1側、スイッチ804(SW2)はa2側であり制御モード遷移1への移行は行わないことにする。つまり停止中の蓄電器電圧Vbの状態により、加速運転の制御モード遷移1を発生させるか否かを決定する。次にモータ6の運転状態は加速運転へと移行し、モータ6は加速が完了すると定速運転となる。加速運転中に制御モード遷移1が発生した場合にのみ、定速運転において制御モード遷移2を発生させる。このとき制御モード遷移検出フラグfVbhは1となっているので、スイッチ804(SW2)をb2側へと切り替えることができる。
低速運転が終了するとモータ6は減速運転となる。減速運転においては、制御モード遷移1および制御モード遷移2の状態はリセットする。すなわち、制御モード遷移検出フラグfVbhを0とし、スイッチ801(SW1)はa1側に、スイッチ804(SW2)はa2側とする。
図5に示す動作波形タイムチャートは、図1に示したモータ駆動装置の具体的な動作を表したものである。動作波形の上から順に、モータ6のトルク、モータ6の回転速度、主回路直流電圧Vdc、蓄電器電圧Vbである。モータ6のトルク信号および回転速度信号は、インバータ制御装置4からDC/DCコンバータ制御装置8へアナログ信号または通信手段により入力されている。また、モータ6における運転パターンの設定値(最高回転速度、停止時間、加速運転時間、定速運転時間、減速運転時間)は、DC/DCコンバータ制御装置8のメモリに予めデータとして入力している。以下、図5に示す動作波形タイムチャートの説明によりDC/DCコンバータ制御装置8の制御動作の詳細を説明する。
時間ta〜tb期間および時間ta1〜tb1期間のモータ6運転状態は加速運転中であり、時間tb〜tc期間および時間tb1〜tc1期間のモータ6運転状態は低速運転中であり、時間tc〜td期間および時間tc1〜td1期間のモータ6運転状態は減速運転中であり、時間t0〜ta期間および時間td〜ta1期間のモータ6運転状態は停止中である。時間td1以降は同じ運転パターンを繰り返す。
時間td〜ta1期間(モータ6停止)においては、蓄電器電圧Vb>蓄電器過電圧値Vbhとなり、蓄電器Bが過電圧となるのを避けるために制御モード遷移1に移行する準備を行う(時間t0〜ta期間では、蓄電器電圧Vb≦蓄電器過電圧値Vbhであり制御モード遷移1に移行する準備は行わない)。蓄電器過電圧値Vbhの設定においては、蓄電器の最大絶対定格以下であるとともに、主回路直流電圧Vpn以下にしなければDC/DCコンバータの半導体スイッチング素子D1により平滑コンデンサ3へと電流が流れ、正常な充放電動作が不可能となる。主回路直流電圧基準Vdcsは、モータ6が加速を始める直前の主回路直流電圧Vdcの値とする。主回路直流電圧Vpnは、交流電源1の変動またはモータ駆動装置を設置する場所の電源設備事情により大きく変動するからである。また、モータ6は回生運転した後であるため、主回路直流電圧Vpnは少なからず変動している可能性がある。モータ6が停止中に常に主回路直流電圧基準Vdcsの値を更新することで、最適な充放電電力量を制御することができる。この更新は、モータ6の運転状態フラグ(停止フラグと加速フラグの変化状況)を利用して行うことができる。
時間ta1〜tb1期間(モータ6加速運転)においては、力行運転を開始する。(時間ta〜tb期間では、制御モード遷移1に移行しない)。制御モード遷移1により、主回路直流電圧基準Vdcsと主回路充電直流電圧値Vaが加算された値が減算器802へ入力される。これにより偏差は増加しVdc電圧制御器803に入力される。Vdc電圧制御器803の出力である蓄電器電流目標値I1*は、制御モード遷移1に移行しないときよりも増加する。よって蓄電器電流制御量I*、PWM電圧制御量Vc*も増加し、PWM制御器808のパルス幅は大きく出力されることになり、結果DC/DCコンバータ装置7の放電制御量は増加する。このとき主回路直流電圧Vpnは図5に示すように上昇する。交流電源1からダイオード整流器2へ流れ込む交流電源電力Pdはなくなるため、過電圧となった蓄電器Bの電力を多く使用することができる。蓄電器電圧Vbは、制御モード遷移1に移行しないときと比べ大幅に低下し(蓄電器電圧Vba)、蓄電器Bの電力の有効利用を図ることができる。しかし、蓄電器Bの放電量が大きすぎると、主回路直流電圧Vdcは急激に上昇する。モータ駆動装置のインバータ制御装置4では、主回路直流電圧Vdcの変動分をPWM制御信号により調整することが可能であるが、安定した充放電制御を行うため主回路直流電圧Vdcの急激な電圧上昇は抑え、なおかつ十分に蓄電器電圧Vbを低下させる必要がある。そこで、蓄電器電圧Vbをさらに低下させるため制御モード遷移2の制御を行う。
なお主回路充電直流電圧値Vaは、式(1)に以下の値を代入し求める。但し、式(1)で求められるVaは、主回路直流電圧基準Vdcsの15%を上限とする。Cは平滑コンデンサ3の静電容量、Pmaxは、モータ6における電力の最大値(最大トルクと最大回転数により算出)、tzはモータ6の加速運転時間である。これらはモータ6の運転パターンから既知の値である。
Figure 2011139576
時間tb1〜tc1期間(モータ6定速運転)において、モータ6は加速運転に引き続き力行運転である(時間tb〜tc期間では、制御モード遷移2に移行しない)。制御モード遷移2は、主回路直流電圧Vdcの制御は行わずに(Vdc電圧制御器803は使用しない)、Vb電圧制御器810を使用することで、直接的に蓄電器電圧Vbを低下させる。減算器809において蓄電器低電圧Vblと蓄電器電圧Vbとの偏差を取り、この偏差をVb電圧制御器810によりPI制御することで、蓄電器電圧Vbを蓄電器低電圧Vblへと近づけるように、DC/DCコンバータ装置7では蓄電器Bの放電動作が行われる。定速運転後は減速運転となり蓄電器Bは充電動作に移行する。DC/DCコンバータ装置7の充放電動作の安定を図るために、定速運転中の放電動作はモータ6が減速運転へ移行する前に終了させる。蓄電器Bの放電による蓄電器電圧Vbを、蓄電器電圧Vblに一致させることが目的ではなく、加速運転時と定速運転時において十分に放電させること(蓄電器の電力を利用すること)が目的だからである。よって、定速運転時の最大放電時間は放電時間tyとする。放電時間tyよりも早く、例えば放電時間txにて蓄電器電圧Vb<蓄電器低電圧Vblになった場合は、その時点で放電動作を終了させる。放電時間txにおける、放電動作終了は、蓄電器Vb<蓄電器低電圧Vblであるときに、蓄電器電流目標値I2*を0とする(図1では図示しない)。また、放電時間tyにおける放電動作終了は、DC/DCコンバータ制御装置8の内部タイマを利用し、放電時間tyが定速運転時間と一致したときに、蓄電器電流目標値I2*を0とする(図1では図示しない)。
モータ6のトルクは図5に示すように、加速運転時に最大(最大回転速度において最大)となり定速運転においては減少する。これはモータ6の負荷条件により異なるが、一般的な搬送機器や昇降機においては図5に示すトルク特性を持つ。したがって、モータ6が定速運転であるときは、負荷が小さく使用される電力も少ないため、放電動作を行ってもモータ駆動装置の主回路直流電圧を大きく変動させることはない。また仕事の効率を求めるため、一般的に停止時間は短く、加速時間、減速時間はさらに短い運転パターンが多い。このため、定速運転において充放電動作を行うことは非常に有利である。
時間tc1〜td1期間(モータ6減速運転)において、モータ6は回生運転となる。制御モード遷移検出フラグfVbhによる判定により、制御モード遷移1および制御モード遷移2の動作をリセット(始めの状態に戻す)する(時間tc〜td期間では、リセット動作は行わない)。
以上から、本発明が従来技術と異なる部分は、前記蓄電器の電流を制御する電流制御器と、前記電流制御器の入力信号が、前記平滑コンデンサの直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号、または前記蓄電器の直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号となる手段と、を備えた部分である。
図7は、本発明の第2実施例の構成を示す図である。図1と同じ構成要素は同じ番号で表しており、機能は図1と同じである。以降ではその説明は省略する。
モータ駆動システムにおいて、システムを拡張するために蓄電器Bに負荷Rを取り付ける。負荷Rは、蓄電器低電値Vbl≦蓄電器電圧Vb≦蓄電器過電圧値Vbhの電源電圧範囲で使用できる装置であれば何でも良い。このとき、蓄電器電圧Vbは、負荷Rの電力消費により実施例1とは逆に低電圧へと向かうことになる。そこで、DC/DCコンバータ制御装置8における減算器809の入力に、蓄電器Bが過電圧にならないような蓄電器電圧Vbrを設定することにより、実施例1とは逆に、モータ6が定速運転中に充電動作を行い、負荷Rの電力を補うことができる。すなわち、制御モード遷移1への移行は行わず制御モード2へ移行し(実施例2では、モータ6停止時において蓄電器低電圧Vblを検出する)充電動作を行うことができる。
1 交流電源
2 ダイオード整流器
3 平滑コンデンサ
4 インバータ制御装置
5 インバータ
6 モータ
7、105 DC/DCコンバータ装置
8、201 DC/DCコンバータ制御装置
801、804 スイッチ(SW1)、スイッチ(SW2)
802、805、809、202、206 減算器
803 Vdc電圧制御器
806 Ib電流制御器
808、208 PWM制御器
807、811、205、209、210 リミッタ
810 Vb電圧制御器
101 直流電源
102 架線
103 パンタグラフ
104 直流リアクトル
203 電圧制御器
204、812 反転器
207 電流制御器
L1 リアクトル
B 蓄電器
Q1、Q2、D1、D2 半導体スイッチング素子
VdcRef 電圧基準信号
IchRef 電流基準信号
VchRef 電圧指令信号
Vdc 主回路直流電圧
Ib 蓄電器電流
Vb、Vba 蓄電器電圧
Vdc* 主回路直流電圧制御量
Vb* 蓄電器直流電圧制御量
I1*、I2* 蓄電器電流目標値
I* 蓄電器電流制御量
Vc* PWM電圧制御量
Vbh 蓄電器過電圧値
Vbl 蓄電器低電値
Vdcs 主回路直流電圧基準
Va 主回路充電直流電圧値
fVbh 制御モード遷移検出フラグ
tx、ty 放電時間
Pd 交流電源電力
Ps 放電電力
Pk 充電電力
Pr 負荷電力

Claims (5)

  1. 交流電源を直流電源に変換する整流器と、前記整流器の直流電力側に接続された平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの直流電力を交流電力に変換しモータを駆動するインバータと、前記平滑コンデンサと並列に接続されるDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータによって充放電される蓄電器と、前記DC/DCコンバータを制御するDC/DCコンバータ制御装置と、を備えたモータ駆動装置において、
    前記DC/DCコンバータ制御装置は、前記蓄電器の電流を制御する電流制御器と、前記電流制御器の入力信号は、前記平滑コンデンサの直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号、または前記蓄電器の直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号となる手段と、を備えたことを特徴とするモータ駆動装置。
  2. 前記DC/DCコンバータ制御装置は、前記モータが加速運転中に前記蓄電器の放電量を増加させ、かつ定速運転中に前記蓄電器を放電させること、を特徴とする請求項1記載のモータ駆動装置。
  3. 前記DC/DCコンバータ制御装置は、前記モータが停止中に前記蓄電器の過電圧と主回路直流電圧を検出するとともに、前記モータが加速運転中に、前記電流制御器の入力信号は前記平滑コンデンサの直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号となり、前記平滑コンデンサの直流電圧を制御する電圧制御器の入力信号を、前記蓄電器の放電量が増加するように予め設定された値に変更すること、を特徴とする請求項2記載のモータ駆動装置。
  4. 前記DC/DCコンバータ制御装置は、前記モータが停止中に前記蓄電器の過電圧を検出するとともに、前記モータが定速運転中に、前記電流制御器の入力信号は前記蓄電器の直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号となり、前記モータが定速運転期間内に前記蓄電器の放電を行うこと、を特徴とする請求項2記載のモータ駆動装置。
  5. 前記DC/DCコンバータ制御装置は、前記モータが停止中に前記蓄電器の低電圧を検出するとともに、前記モータが定速運転中に、前記電流制御器の入力信号は前記蓄電器の直流電圧を制御する電圧制御器の出力信号となり、前記モータが定速運転期間内に前記蓄電器の充電を行うこと、を特徴とする請求項1記載のモータ駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106936148A (zh) * 2017-02-16 2017-07-07 湖北文理学院 一种光伏‑储能变流系统及其控制方法
CN111600322A (zh) * 2020-03-01 2020-08-28 青岛能蜂电气有限公司 一种用于抽油机的储能管理方法、系统和电子设备

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