JP2011139357A - 無線通信端末、無線通信端末の制御方法、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

無線通信端末、無線通信端末の制御方法、プログラムおよび記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】ユーザにとって満足できる通信品質が得られている場合、不必要なスキャンおよびハンドオーバの実行を防ぐ。
【解決手段】無線通信端末1は、アクセスポイントと無線通信を行う通信部60と、無線通信における通信品質を測定するWLAN状態測定部21と、WLAN状態測定部21が測定した通信品質がHO閾値を下回った場合に、自端末と接続可能な他のアクセスポイントを探すスキャンを通信部60に実行させ、WLAN状態測定部21が測定した通信品質がHO閾値以上の場合に、通信部60にスキャンを実行させないWLANスキャン制御部23とを備えるとともに、HO閾値調整測定期間中にWLAN状態測定部21の測定した通信品質がHO閾値を含む、HO閾値調整実行範囲内であれば、HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値設部27を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハンドオーバを行う無線通信端末、無線通信端末の制御方法、プログラムおよび記録媒体に関するものである。
従来、携帯電話機やPHS(Personal Handy-phone System)等の無線通信端末は、基地局となるアクセスポイント(AP:Access Point)を介してインターネットに接続し、他の無線通信端末とデータ通信やVoIP(Voice Over Internet Protocol)通話等を行う。また、無線通信端末は、APとの通信状態の程度を示す通信品質を測定して、APとの通信品質が所定のレベルより悪くなると、自端末と接続可能な他のアクセスポイントを探すスキャンを行う。そして、無線通信端末は、スキャンを行った結果、より通信品質の高いAPが見つかると、当該APに接続を切り替えるハンドオーバを行う。一般に、無線通信端末は、APから離れたり、APとの間に遮蔽物などがあったりすると、APとの通信品質は悪くなる。無線通信端末は、ユーザが移動しながら使用することが考えられるため、各APとの通信品質に応じて最適なAPとの接続を行うことは有効である。
しかし、スキャンおよびハンドオーバが行われることにより、無線通信端末は電力を消費する。また、無線通信端末の移動などにより、APとの通信品質が頻繁に変化する場合、通信品質の変化に対応してスキャンおよびハンドオーバも頻繁に行われ、無線通信端末で消費される電力が増大する。
一方で、上述のように、無線通信端末を有するユーザが移動することを想定しているため、ACアダプターなどの電力供給源に常に接続することが困難であり、無線通信端末に供給可能な電力量には制限がある。さらに、無線通信端末は、小型化・薄型化が求められるため、無線通信端末に搭載されるバッテリはサイズが制限され、無線通信端末に供給可能な電力量には厳しい制約がある。
そのため、スキャンおよびハンドオーバによる消費電力の増大を防ぐ技術が開発されている。例えば、特許文献1には、APと自端末との間における通信品質が第1の閾値未満となった場合に、第1のスキャン間隔毎にスキャンを行い、通信品質が第1の閾値より低い第2の閾値未満となった場合に、第1のスキャン間隔より短い第2のスキャン間隔毎にスキャンを行う無線通信端末が開示されている。
特許文献1に記載の技術を適用することにより、APと自端末との間における通信品質に応じて、スキャンを行う頻度を調整することができる。よって不要なスキャンを抑制することができ、スキャンおよびハンドオーバに関して電力を無駄に消費することを抑制することができる。
特開2008−131587号公報(2008年6月5日公開)
しかしながら、上述のような従来技術を適用したとしても、不要なスキャンおよびハンドオーバを抑制できない場合がある。通常、スキャンの実行を判断する基準である、通信品質の閾値は、接続するAPごとに標準的な使用状況や外部環境等に合わせて予め定められている。ところが、データ通信や通話における十分な通信品質の程度は、無線通信端末の使用状況や外部環境等により変動する。そのため、予め定めた閾値を下回ってはいるが、ユーザにとって満足できる通信品質が得られている場合がある。
この場合、ユーザからすればスキャンをする必要はないが、従来技術ではスキャンを実行することとなる。一般的に、無線通信端末がスキャンを実行している間はデータ通信ができないため、無線通信中にスキャンが実行されると、データ通信において遅延が発生する可能性がある。また、VoIP通話中であれば、音途切れが発生する可能性がある。そのため、従来技術では、不要なスキャンを実行することによって、消費電力が増大するだけではなく、データ通信や通話を正常に実行できない状況が発生する可能性がある。
特に、通信品質が閾値近傍で変動する場合、通信品質が閾値を下回る度にスキャンを実行することになり、さらに消費電力の増大を招くと共に、データ通信や通話を正常に実行できない状況がより頻繁に発生する。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、不必要なスキャンおよびハンドオーバの実行を防ぐことができる無線通信端末、無線通信端末の制御方法、プログラムおよび記録媒体を実現することにある。
本発明に係る無線通信端末は、上記課題を解決するために、アクセスポイントと無線通信を行う通信部と、上記無線通信における通信品質を測定する通信品質測定手段と、上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値を下回った場合に、上記通信部に接続可能な他のアクセスポイントを探すスキャンを実行させる一方、上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値以上の場合に、上記通信部に上記スキャンを実行させないスキャン制御手段と、を備える無線通信端末であって、特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、上記HO閾値を含む、所定のHO閾値調整実行範囲内であれば、上記HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値調整を行うHO閾値設定手段を備えることを特徴としている。
本発明に係る無線通信端末の制御方法は、上記課題を解決するために、アクセスポイントと無線通信を行う通信部と、上記無線通信における通信品質を測定する通信品質測定手段と、上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値を下回った場合に、上記通信部に接続可能な他のアクセスポイントを探すスキャンを実行させる一方、上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値以上の場合に、上記通信部に上記スキャンを実行させないスキャン制御手段と、を備える無線通信端末の制御方法であって、特定の期間中に上記無線通信における通信品質を測定する通信品質測定ステップと、上記通信品質測定ステップにおいて上記特定の期間中に測定された通信品質が、上記HO閾値を含む、所定のHO閾値調整実行範囲内であれば、上記HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値調整を行うHO閾値設定ステップと、を含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、上記HO閾値を含む、所定のHO閾値調整実行範囲内であれば、上記HO閾値設定手段が上記HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値調整を行う。そのため、上記通信品質測定手段の測定した通信品質が元のHO閾値を下回ったとしても、該通信品質が新たに設定されたHO閾値以上であれば、上記スキャン制御手段は通信部にスキャンを実行させない。
上記HO閾値設定手段が上記HO閾値調整を行う前の状態であれば、上記通信品質測定手段の測定した通信品質が元のHO閾値を下回ると、現在の通信品質が低下してきていると判断して、上記スキャン制御手段は通信部にスキャンを実行させる。しかしながら、上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、元のHO閾値を下回っている場合であっても、上記通信部がアクセスポイントと問題なく無線通信を行っている場合がある。この場合、スキャン制御手段は通信部にスキャンを実行させる必要はない。スキャンの必要のないときにスキャン制御手段が通信部にスキャンを実行させると、スキャン制御手段および通信部において無駄に電力を消費するだけではなく、通信部がスキャンを実行しているため、通信部とアクセスポイントとの無線通信に支障が出てくる。
よって、HO閾値設定手段がHO閾値調整を行うことにより、上述のように通信部がスキャンを行う必要の無い場合に、通信部がスキャンを行うことを防ぐことができる。従って、無線通信端末の電力が無駄に消費されること、および、アクセスポイントとの無線通信に支障が出ることを防ぐことができるという効果を奏する。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記HO閾値調整実行範囲の下限値が所定の通信問題発生境界値であって、上記HO閾値調整実行範囲は、所定の通信問題発生境界値以上、上記HO閾値以下の範囲を少なくとも含むものであることが好ましい。
上記の構成によれば、上記HO閾値調整実行範囲は、所定の通信問題発生境界値以上、上記HO閾値以下の範囲を含む。すなわち、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、所定の通信問題発生境界値以上、上記HO閾値以下の範囲内であれば、上記HO閾値設定手段が上記HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値調整を行う。このとき、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、所定の通信問題発生境界値以上のため、上記通信部がアクセスポイントと問題なく無線通信を行っていると考えられる。つまり、このとき、スキャン制御手段は通信部にスキャンを実行させる必要がない。
よって、HO閾値設定手段がHO閾値調整を行うことにより、通信部がスキャンを行う必要の無い場合に、通信部がスキャンを行うことを防ぐことができる。従って、無線通信端末の電力が無駄に消費されること、および、アクセスポイントとの無線通信に支障が出ることを防ぐことができる。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記HO閾値調整実行範囲の下限値が所定の通信問題発生境界値であって、上記HO閾値調整実行範囲は、所定の通信問題発生境界値以上、所定の静止変動幅上限値以下の範囲を少なくとも含むものであることが好ましい。
上記の構成によれば、上記HO閾値調整実行範囲は、所定の通信問題発生境界値以上、所定の静止変動幅上限値以下の範囲を含む。すなわち、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、所定の通信問題発生境界値以上、所定の静止変動幅上限値以下の範囲内であれば、上記HO閾値設定手段が上記HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値調整を行う。
このとき、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、所定の通信問題発生境界値以上のため、上記通信部がアクセスポイントと問題なく無線通信を行っていると考えられる。つまり、このとき、スキャン制御手段は通信部にスキャンを実行させる必要がない。
それに加えて、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、上記HO閾値以上、所定の静止変動幅上限値以下の場合、無線通信端末が静止状態であっても、無線通信端末とアクセスポイントとの間に障害物が入ってくる等の使用環境の変化によって、上記通信品質測定手段の測定する通信品質が上記HO閾値を下回ることが考えられる。つまり、この場合、上記特定の期間中は、HO閾値を上回っているため、上記スキャン制御手段は通信部にスキャンを実行させないが、その後、使用環境の変化によりHO閾値を下回ることが考えられるため、上記スキャン制御手段が通信部にスキャンを実行させる可能性がある。
よって、HO閾値設定手段がHO閾値調整を行うことにより、通信部がスキャンを行う必要の無い場合に、通信部がスキャンを行うことを防ぐことができる。従って、無線通信端末の電力が無駄に消費されること、および、アクセスポイントとの無線通信に支障が出ることを防ぐことができる。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記HO閾値調整実行範囲の下限値が所定の通信問題発生境界値であって、上記HO閾値調整実行範囲の上限値が無限大であることが好ましい。
上記の構成によれば、上記HO閾値調整実行範囲の下限値が所定の通信問題発生境界値であって、上記HO閾値調整実行範囲の上限値が無限大である。すなわち、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、所定の通信問題発生境界値以上であれば、上記HO閾値設定手段が上記HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値調整を行う。
このとき、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、所定の通信問題発生境界値以上のため、上記通信部がアクセスポイントと問題なく無線通信を行っていると考えられる。つまり、このとき、スキャン制御手段は通信部にスキャンを実行させる必要がない。
それに加えて、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、所定の静止変動幅上限値以上の場合、通信品質が非常に良い状態であると考えられる。この場合、ハンドオーバを行う必要がないため、HO閾値設定手段がHO閾値調整を行うことによって、通信部がスキャンを行うことを防ぐことができる。従って、無線通信端末の電力が無駄に消費されること、および、アクセスポイントとの無線通信に支障が出ることを防ぐことができる。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記HO閾値は、1つまたは複数のアクセスポイント毎に対応付けられて記憶部に格納されており、上記スキャン制御手段は、上記記憶部に格納されている、上記通信部が接続しているアクセスポイントに対応するHO閾値を参照するものであり、上記HO閾値設定手段は、上記HO閾値調整後のHO閾値を、上記特定の期間中に上記通信部が接続していたアクセスポイントに対応付けて上記記憶部に格納するものであり、上記通信部が上記アクセスポイントと接続している接続時間を、該アクセスポイントに対応付けて上記記憶部に格納する接続制御手段をさらに備え、上記HO閾値設定手段は、上記HO閾値調整後のHO閾値が対応付けられている上記アクセスポイントに対応する接続時間が所定の接続時間判定値より小さい場合、上記HO閾値調整後のHO閾値を上記HO閾値調整前のHO閾値に近づけるように修正して、該アクセスポイントに対応付けて上記記憶部に格納するものであることが好ましい。
上記の構成によれば、上記HO閾値設定手段は、上記HO閾値調整後のHO閾値を、上記特定の期間中に上記通信部と接続していたアクセスポイント毎に対応付けて上記記憶部に格納し、上記接続制御手段は、上記通信部が上記アクセスポイントと接続している接続時間を、該アクセスポイントに対応付けて上記記憶部に格納する。そして、上記HO閾値設定手段は、上記HO閾値調整後のHO閾値が対応付けられている上記アクセスポイントに対応する接続時間が所定の接続時間判定値より小さい場合、上記HO閾値調整後のHO閾値を上記HO閾値調整前のHO閾値に近づけるように修正して、該アクセスポイントに対応付けて上記記憶部に格納する。上記通信部が接続していたアクセスポイントとの接続時間が短い場合、該アクセスポイントは、通常、上記通信部が頻繁に接続するアクセスポイントではない可能性が高い。例えば、通常時に上記通信部が接続するアクセスポイントではないアクセスポイントとは、臨時的に上記通信部が接続するアクセスポイントなどである。
そのため、上記通信部が接続時間の短いアクセスポイントと接続している場合、通常時に接続する他のアクセスポイントを探すことが望ましい。つまり、この場合、上記通信部が行うスキャンを抑制することは望ましくない。上記スキャン制御手段は、記憶部に格納されている、上記通信部が接続しているアクセスポイントに対応するHO閾値を参照するため、接続時間の短いアクセスポイントに対応するHO閾値は、上記HO閾値調整によってHO閾値が下がった場合、上記HO閾値調整前のHO閾値に戻すことが望ましい。
よって、上記HO閾値調整後のHO閾値が対応付けられている上記アクセスポイントに対応する接続時間が接続時間判定値より小さい場合、上記HO閾値設定手段が、上記HO閾値調整後のHO閾値を上記HO閾値調整前のHO閾値に近づけるように修正して、該アクセスポイントに対応付けて上記記憶部に格納することにより、上記通信部が行うスキャンを不要に抑制することを防ぐことができる。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記通信部は、上記アクセスポイントに対してテストデータを送信し、上記通信品質測定手段は、上記通信部が上記アクセスポイントに対して送信したテストデータに対する、該テストデータのうち該アクセスポイントからACK応答を受け取れなかったテストデータの割合を示すテストデータ送信エラー率を測定するものであり、上記HO閾値設定手段は、上記通信品質測定手段の測定したテストデータ送信エラー率が所定の不具合判定値より大きい場合、上記HO閾値調整を行わないことが好ましい。
上記の構成によれば、上記通信部が上記アクセスポイントに対してテストデータを送信し、上記通信品質測定手段がテストデータ送信エラー率を測定し、上記HO閾値設定手段は、上記通信品質測定手段の測定したテストデータ送信エラー率が所定の不具合判定値より大きい場合、上記HO閾値調整を行わない。例えば、所定の不具合判定値として、上記通信部と上記アクセスポイントとの無線通信に問題がないと推定される送信エラー率の最大値を設定すると、上記通信品質測定手段の測定したテストデータ送信エラー率が不具合判定値以下の場合は、上記通信部と上記アクセスポイントとの無線通信に問題がないと推定される。一方、上記通信品質測定手段の測定したテストデータ送信エラー率が不具合判定値より大きい場合は、上記通信部と上記アクセスポイントとの無線通信に問題がある可能性が高い。すなわち、上記HO閾値設定手段は、上記通信部と上記アクセスポイントとの無線通信に問題がある可能性が高い場合、HO閾値調整を行わない。また、上記HO閾値設定手段は、上記通信部と上記アクセスポイントとの無線通信に問題がないと推定される場合に、HO閾値調整を行う。
ここで、上記通信部と上記アクセスポイントとの無線通信に問題がある場合、上記通信部がスキャンを行って接続可能な他のアクセスポイントを探す必要がある。そのため、上記HO閾値設定手段が、上記通信部と上記アクセスポイントとの無線通信に問題がある可能性が高い場合に、HO閾値調整を行わないことにより、上記通信部が行うスキャンを不要に抑制することを防ぐことができる。
また、本発明に係る無線通信端末は、ユーザからのHO閾値設定指示が入力される入力部をさらに備え、上記HO閾値設定手段は、上記入力部からHO閾値設定指示が入力されると、上記特定の期間を開始することが好ましい。
上記の構成によれば、ユーザが上記アクセスポイントとの通信状態に問題がないと判断していることを示すHO閾値設定指示が入力されることによって、上記HO閾値設定手段は、上記特定の期間を開始する。すなわち、ユーザのHO閾値設定指示によって開始した特定の期間中に、上記通信品質測定手段の測定した通信品質に基づいて、HO閾値設定手段はHO閾値調整を行う。ユーザが上記アクセスポイントとの通信状態に問題がないと判断していることを示す、ユーザの指示によって上記特定の期間を開始することにより、上記特定の期間に測定された通信品質は、ユーザにとって問題のない通信品質であると判断することができる。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記HO閾値設定手段は、上記通信部が上記アクセスポイントと無線通信によってデータの送受信を開始すると、上記特定の期間を開始し、上記通信部が上記アクセスポイントとデータの送受信を終了した後に、上記HO閾値調整を行うことが好ましい。
上記の構成によれば、上記HO閾値設定手段は、上記通信部が上記アクセスポイントと無線通信によってデータの送受信を開始すると、上記特定の期間を開始し、上記通信部が上記アクセスポイントとデータの送受信を終了した後に、上記HO閾値調整を行う。そのため、上記通信部が上記アクセスポイントと無線通信によってデータの送受信を開始する度に、上記HO閾値設定手段は、上記通信部と上記アクセスポイントとの無線通信によるデータの送受信の開始によって開始した特定の期間中に、上記通信品質測定手段の測定した通信品質に基づいて、上記通信部が上記アクセスポイントとデータの送受信を終了した後に、上記HO閾値調整を行う。よって、ユーザが意識することなく、上記通信部と上記アクセスポイントとの無線通信における通信品質に応じて自動的にHO閾値が調整されるため、ユーザの利便性が高まる。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記特定の期間中に、上記通信部が他のアクセスポイントに接続を切り替えた場合、上記HO閾値設定手段は、上記HO閾値調整を行わないことが好ましい。
上記の構成によれば、上記特定の期間中に、上記通信部が他のアクセスポイントに接続を切り替えた場合、上記HO閾値設定手段は、上記HO閾値調整を行わない。上記特定の期間中に、上記通信部が他のアクセスポイントに接続を切り替えた場合、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段が測定した通信品質は、単一のアクセスポイントとの無線通信における通信品質ではなく、複数のアクセスポイントとの無線通信における通信品質が混在している。そのため、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質は、上記特定の期間中に上記通信部が接続している上記アクセスポイントとの通信状態を正確に反映するものではない場合がある。この場合、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質に基づいて、上記HO閾値設定手段が上記HO閾値調整を行うと、上記通信部が行うスキャンを不要に抑制してしまう虞がある。
よって、上記通信部が他のアクセスポイントに接続を切り替えた場合、上記HO閾値設定手段が上記HO閾値調整を行わないことにより、上記通信部が行うスキャンを不要に抑制することを防ぐことができる。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記通信品質測定手段は、上記特定の期間中に、上記通信部が受信する電波の強度であるRSSIを測定し、上記HO閾値設定手段は、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定したRSSIの最大値と最小値との差が所定の静止状態判定値より大きい場合、上記HO閾値調整を行わないことが好ましい。
上記の構成によれば、上記通信品質測定手段は、上記特定の期間中に、上記通信部が受信する電波の強度であるRSSIを測定し、上記HO閾値設定手段は、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定したRSSIの最大値と最小値との差が所定の静止状態判定値より大きい場合、上記HO閾値調整を行わない。例えば、所定の静止状態判定値として、無線通信端末の静止状態におけるRSSIの値の変動幅の最大値を設定すると、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定したRSSIの最大値と最小値との差が静止状態判定値より大きい場合、上記特定の期間中、無線通信端末が移動している可能性が高い。一方、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定したRSSIの最大値と最小値との差が所定の静止状態判定値以下の場合、上記特定の期間中、無線通信端末が静止状態である可能性が高い。
無線通信端末が静止状態ではない場合、様々な要因で上記アクセスポイントとの無線通信における通信品質が変動する。そのため、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質は、上記通信部が上記特定の期間中に接続している上記アクセスポイントとの通信状態を正確に反映するものではない場合がある。この場合、上記特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質に基づいて、上記HO閾値設定手段が上記HO閾値調整を行うと、上記通信部が行うスキャンを不要に抑制してしまう虞がある。よって、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定したRSSIの最大値と最小値との差が所定の静止状態判定値より大きい場合に、上記HO閾値設定手段が上記HO閾値調整を行わないことによって、上記通信部が行うスキャンを不要に抑制することを防ぐことができる。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記通信品質測定手段は、上記特定の期間中に、上記通信部が上記アクセスポイントに対して送信したデータに対する、該データのうち該アクセスポイントからのACK応答を受け取れなかったデータの割合を示す送信エラー率を測定し、上記HO閾値設定手段は、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定した送信エラー率の最大値と最小値との差が所定の安定判定値より大きい場合、HO閾値調整を行わないことが好ましい。
上記の構成によれば、上記通信品質測定手段は、上記特定の期間中に、送信エラー率を測定し、上記HO閾値設定手段は、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定した送信エラー率の最大値と最小値との差が所定の安定判定値より大きい場合、HO閾値調整を行わない。例えば、所定の安定判定値として、上記通信部と上記アクセスポイントとの通信状態が安定している場合における送信エラー率の変動幅の最大値を設定すると、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定した送信エラー率の最大値と最小値との差が所定の安定判定値より大きい場合、上記特定の期間中、上記通信部と上記アクセスポイントとの通信状態は不安定である可能性が高い。一方、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定した送信エラー率の最大値と最小値との差が所定の安定判定値以下の場合、上記特定の期間中、上記通信部と上記アクセスポイントとの通信状態は安定している可能性が高い。
上記通信部と上記アクセスポイントとの通信状態が不安定の場合、現在接続している上記アクセスポイントより通信状態が安定している、接続可能な他のアクセスポイントを探すことが望ましい。つまり、この場合、上記通信部が行うスキャンを抑制することは望ましくない。よって、上記特定期間中に、上記通信品質測定手段が測定した送信エラー率の最大値と最小値との差が所定の安定判定値より大きい場合に、上記HO閾値設定手段が上記HO閾値調整を行わないことによって、上記通信部が行うスキャンを不要に抑制することを防ぐことができる。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記通信品質測定手段が測定する通信品質は、上記通信部が受信する電波の強度であるRSSIであることが好ましい。
上記の構成によれば、上記通信品質測定手段は、通信品質を示す指標としてRSSIを使用することができる。
また、本発明に係る無線通信端末は、上記通信品質測定手段が測定する通信品質は、上記通信部が上記アクセスポイントに対して送信したデータに対する、該データのうち該アクセスポイントからのACK応答を受け取れなかったデータの割合を示す送信エラー率、もしくは、上記通信部が上記アクセスポイントから受信したデータに対する、該データのうち誤りが検出されたデータの割合を示す受信エラー率の少なくともどちらか一方であることが好ましい。
上記の構成によれば、上記通信品質測定手段は、通信品質を示す指標として送信エラー率、もしくは、受信エラー率の少なくともどちらか一方を使用することができる。
なお、上記無線通信端末は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記無線通信端末の各手段として動作させることにより、上記無線通信端末をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
以上のように、本発明に係る無線通信端末は、アクセスポイントと無線通信を行う通信部と、上記無線通信における通信品質を測定する通信品質測定手段と、上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値を下回った場合に、自端末と接続可能な他のアクセスポイントを探すスキャンを上記通信部に実行させ、上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値以上の場合に、上記通信部にスキャンを実行させないスキャン制御手段と、を備える無線通信端末であって、上記通信品質測定手段の測定した通信品質が上記HO閾値の近傍であれば、上記HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値調整を行うHO閾値設定手段を備えることを特徴としている。
また、本発明に係る無線通信端末の制御方法は、上記課題を解決するために、アクセスポイントと無線通信を行う通信部と、上記無線通信における通信品質を測定する通信品質測定手段と、上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値を下回った場合に、自端末と接続可能な他のアクセスポイントを探すスキャンを上記通信部に実行させ、上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値以上の場合に、上記通信部にスキャンを実行させないスキャン制御手段と、を備える無線通信端末の制御方法であって、上記通信品質測定手段の測定した通信品質が上記HO閾値の近傍であれば、上記HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値調整を行うHO閾値設定ステップを含むことを特徴としている。
従って、無線通信端末の電力が無駄に消費されること、および、アクセスポイントとの無線通信に支障が出ることを防ぐことができるという効果を奏する。
本発明の実施形態を示すものであり、無線通信端末のソフトウェア構成の一例を示す機能ブロック図である。 家庭内における無線通信システムを模式的に示す図である。 無線通信端末における時間に対するRSSIの変化を示す図である。 無線通信端末における時間に対するRSSIの変化を示す図である。 HO閾値調整後の無線通信端末における時間に対するRSSIの変化を示す図である。 図4に示す無線通信端末の状況における、WLANモジュールおよびCPUの動作を示すシーケンス図である。 無線通信端末における時間に対するRSSIの変化を示す図である。 無線通信端末における時間に対するRSSIの変化を示す図である。 無線通信システムの全体構成、および、無線通信端末のハードウェア構成を示す模式図である。 無線通信端末の外観の一例を示す図である。 (a)は、WLAN設定時に使用するデータの一例を示す図であり、(b)は、接続履歴情報の一例を示す図である。 無線通信端末がハンドオーバを行う際の制御部の処理の流れを示すフローチャートである。 通信品質を示す指標としてRSSIを用いた場合のHO閾値設定処理例の流れを示すフローチャートである。 HO閾値設定処理の各処理において表示部に表示される画像例を示す図である。 通信品質を示す指標として送受信エラー率を用いた場合のHO閾値設定処理例の流れを示すフローチャートである。 テストデータを用いて、通信品質を示す指標としてRSSIを用いた場合のHO閾値設定処理例の流れを示すフローチャートである。 通信品質を示す指標としてRSSIを用いた場合の自動的に行うHO閾値設定処理例の流れを示すフローチャートである。 HO閾値再調整処理例の流れを示すフローチャートである。 図19(a)は、HO閾値調整を行う条件である、特定の期間中に測定した通信品質の値の範囲を示す図である。図19(b)は、領域V〜Zにおける無線通信端末の通信状態、並びに、無線通信端末のスキャン処理およびHO閾値調整処理の実行の有無を示す図である。 デジタル放送のシステム構成を示す模式図である。
本発明の一実施形態について図1から図10に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本願発明の無線通信端末は、アクセスポイント(AP)または基地局を介して他の装置・端末と無線通信を行う機能を有するものであれば良い。無線通信端末は、例えば、携帯電話機やPHS等である。また、以下では、無線通信端末が無線LANの機能を搭載しており、無線通信としてWLAN(Wireless Local Area Network:無線LAN)である場合を例にして説明する。これは、無線通信としてWLANに限定するものではなく、例えば、携帯電話の通信規格やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信であってもよい。
<本願発明の概要>
本願発明の概要について、図2〜図8に基づいて実際の利用シーンを例にして説明する。図2は、家庭内における無線通信システムを模式的に示す図である。図2に示すように、無線通信端末Aは1階のリビングで使用されており、無線通信端末Bは2階の自室で使用されているとする。また、無線通信端末を通信ネットワークに接続する際の接続先基地局であるAPが1階のリビング(図2に示すAP<L>)およびダイニング(図2に示すAP<D>)にそれぞれ設置されている。
このとき、無線通信端末Aは、AP<L>と接続しており、AP<L>との接続の通信品質を示す指標であるRSSI(Received Signal Strength Identifier)の値が−45dBmであるとする。また、無線通信端末Bは、AP<L>と接続しており、AP<L>に対するRSSIの値が−60dBmであるとする。ここで、RSSIは、無線通信端末がAPから無線通信で受信する電波の強度(受信信号強度)を示すものである。無線通信端末Aおよび無線通信端末Bがハンドオーバを実行する条件であるRSSIの閾値は、それぞれ−60dBmとしてデフォルト設定されている。このハンドオーバを実行する条件である閾値を以下ではHO(Hand Over)閾値と称する。具体的には、無線通信端末は、APとの通信品質がHO閾値を下回ると、ハンドオーバすべき自端末と接続可能な他のAPを探すためにスキャンを行う。無線通信端末BにおけるRSSIの値がHO閾値と同値であるが、無線通信端末BのAP<L>との通信品質は、データ通信や通話において十分な品質であるとする。
まず、無線通信端末Aがリビングからダイニング(図2に示す無線通信端末A’の位置)に移動し、接続先がAP<L>からAP<D>に切り替わる際の通常のハンドオーバ処理について図3に基づいて説明する。図3は、無線通信端末Aにおける時間に対するRSSIの変化を示す図である。図3では、横軸が時間を示し、縦軸がRSSIの値を示す。図3に示すように、当初、無線通信端末Aがリビングにある間は、RSSIの値が−45dBmで安定している。無線通信端末Aがダイニングへ向かって移動するにつれて、AP<L>から離れることにより、AP<L>に対するRSSIが低下する。時刻T0には、RSSIの値がHO閾値である−60dBmを下回ることにより、無線通信端末Aがスキャンを開始する。そして、時刻T1には、無線通信端末Aは、現在接続しているAP<L>より接続条件の良い(例えば、通信品質の高い)AP<D>に接続を切り替えるハンドオーバを行う。
次に、従来技術では解決できなかった問題を、無線通信端末Bにおける3つの状況を例にして図4〜図8に基づいて説明する。現在、無線通信端末Bは、自室に静止状態にあり、RSSIの値は−60dBmで安定しており、後に別室へ移動するとする。RSSIの値は、常に一定の値ではなく、APとの間に障害物等が入ってくることにより、変動することがある。例えば、図2に示す家庭内の例では、無線通信端末がある部屋への人の出入りやドアの開閉等によって、RSSIの値が変動することがある。無線通信端末Bが静止状態であるが、無線通信端末BのAP<L>に対するRSSIの値が−60dBm近傍で変動する場合である第1の状況例を図4に示す。
図4は、無線通信端末Bにおける時間に対するRSSIの変化を示す図である。図4では、図3と同様に、横軸が時間を示し、縦軸がRSSIの値を示す。図4に示すように、無線通信端末BのRSSIの値が、HO閾値の−60dBm近傍で、HO閾値を跨ぐように変動している。そのため、無線通信端末Bは、RSSIの値がHO閾値を下回る度にスキャンを開始し、HO閾値を上回るとスキャンを停止する。具体的には、図示のように、時刻T0、T2、T4、T6でスキャンを開始し、時刻T1、T3、T5でスキャンを停止している。時刻T6では、無線通信端末Bが寝室へ移動しているため、HO閾値を大幅に下回り、他のAPへのハンドオーバが行われる。
上述のように、無線通信端末Bは、RSSIの値が−60dBm近傍であれば、データ通信および通話には十分であるため、時刻T0〜T5の間に頻繁に行われたスキャンは不要な動作であり、無駄に電力を消費している。つまり、必要な動作は、時刻T6におけるスキャンだけである。そこで本願発明では、必要な動作のみを行うように、RSSIの値がHO閾値近傍であるが、データ通信等には十分な値の場合、HO閾値を下げるように調整して、新たなHO閾値の設定を行う。以下では、HO閾値を下げるように調整して、新たなHO閾値の設定を行うことをHO閾値調整処理と称する。
図4に示す第1の状況例においてHO閾値を調整した場合の無線通信端末Bの状況を図5に基づいて説明する。図5は、HO閾値調整後の無線通信端末Bにおける時間に対するRSSIの変化を示す図である。図5では、図3、4と同様に、横軸が時間を示し、縦軸がRSSIの値を示す。図5に示すように、HO閾値を新たに−65dBmに設定したことにより、無線通信端末Bが静止状態においてRSSIの値がわずかに変動した場合であっても、HO閾値を下回ることが無く、不要なスキャンを防ぐことができる。そして、無線通信端末Bが寝室に移動するとHO閾値である−65dBmを下回ることにより、時刻T7でスキャンを開始し、その後、スキャンを継続して他のAPへハンドオーバを行う。このように、HO閾値を調整することによって、不要なスキャンを防ぐと共に、必要なスキャンを正常に行うことができる。よって、不要なスキャンに伴う無駄な電力消費を抑制することができる。
また、無線通信端末がスキャンを実行する場合には、実際にスキャンを実行するWLANモジュールに加えて、WLANモジュールにスキャンの実行を命令するCPU(Central Processing Unit)も動作する。そのため、不要なスキャンに伴って、WLANモジュールだけではなく、CPUにおいても電力が消費される。このことを説明する例として、図4に示す無線通信端末Bの状況における、WLANモジュールおよびCPUの動作を図6に基づいて説明する。なお、WLANモジュールおよびCPUの機能の詳細については後述する。
図6は、図4に示す無線通信端末Bの状況における、WLANモジュールおよびCPUの動作を示すシーケンス図である。図6では、WLANモジュールおよびCPUの動作期間を太線で示す。図示のように、スキャンの実行に伴い、WLANモジュールおよびCPUが動作する。
具体的には、開始から時刻T0までにおいて、WLANモジュールがAPから送信された電波を受信し、その電波の強度を示すRSSI情報をCPUに送信し、CPUは、受信したRSSI情報から平均化などの計算等を行ってRSSIの値を測定する。時刻T0において、RSSIの値がHO閾値である−60dBmを下回ると、CPUは測定したRSSIの値がHO閾値以下であると判定し、WLANモジュールに対してスキャンを実行するように要求する。そして、WLANモジュールは、CPUからのスキャン要求を受けて、スキャンを実行する。CPUは、WLANモジュールのスキャンした結果を受けて、他のAPへのハンドオーバを実行するか否かを判定する。ここでは、他のAPへの接続切替の条件を満たしていないため、CPUは、ハンドオーバは不要であると判定し、動作を終了する。続いて、時刻T0〜時刻T1において、WLANモジュールが受信した電波の強度を示すRSSI情報に基づいてCPUが再度RSSIの値を測定する。時刻T1において、RSSIの値がHO閾値を上回ると、CPUは、測定したRSSIの値がHO閾値より大きいと判定し、動作を終了する。
時刻T2以降も同様に、HO閾値を下回る、または、上回る度に、WLANモジュールおよびCPUが動作する。このように、RSSIの値がHO閾値を跨いで変動することにより、実際のスキャン処理を行うWLANモジュールだけではなく、WLANモジュールへの制御を行うCPUもアクティブモードで動作する。よって、スキャン実行時には、無線通信端末全体で電力を消費する。
なお、WLANモジュールおよびCPUが動作していない期間(図6の太線が示す動作期間以外の期間)では、WLANモジュールおよびCPUは、それぞれスリープモードに入っており、電力を消費しない。そのため、無線通信端末全体の待ち受け時の消費電力を非常に低く抑えることができる。
次に、従来技術では解決できなかった問題の第2の状況例を図7に基づいて説明する。第2の状況例は、無線通信端末Bが自室に静止状態で置かれており、無線通信端末BのAP<L>に対するRSSIの値がHO閾値近傍であり、かつ、HO閾値を少し上回っている状況であるとする。また、この状況において、無線通信端末Bは、データ通信や通話等が十分に行えるものであるとする。ただし、この状況から無線通信端末BとAP<L>との間に障害物等が入ると(例えば、無線通信端末B付近に人が立つなどすると)、RSSIの値が一時的にHO閾値を下回り、スキャンが開始される状況であるとする。
このときの無線通信端末Bにおける時間に対するRSSIの変化の状況を図7に示す。図7では、図3と同様に、横軸が時間を示し、縦軸がRSSIの値を示す。図示のように、RSSIの値は、HO閾値を少し上回っている状態で変動している。時刻T8に、障害物等によりRSSIが一時的に低下し、無線通信端末Bにおいてスキャンが開始される。このとき、RSSIが一時的に低下するが、データ通信等に支障が無い場合、時刻T8において実行されたスキャンは不要な動作であり、無駄に電力を消費していることとなる。そこで、HO閾値を調整して、HO閾値を下げることにより、データ通信等に支障が無い範囲でRSSIが一時的に低下した場合であっても、不要なスキャンの実行を抑制することができる。
従来技術では解決できなかった問題の第3の状況例を図8に基づいて説明する。第3の状況例は、無線通信端末Bが自室に静止状態で置かれており、無線通信端末BのAP<L>に対するRSSIの値がHO近傍であり、かつ、HO閾値を少し下回っている状況であるとする。HO閾値を下回っているため、一定間隔毎にスキャンが実行されている。また、この状況において、無線通信端末Bは、データ通信や通話等が十分に行えるものであるとする。
このときの無線通信端末Bにおける時間に対するRSSIの変化の状況を図8に示す。図8では、図3と同様に、横軸が時間を示し、縦軸がRSSIの値を示す。図示のように、RSSIの値は、HO閾値を少し下回っている状態で変動している。HO閾値を下回っているため、時刻T9および時刻T10にスキャンが実行される。このとき、無線通信端末Bは、データ通信等に支障が無いため、時刻T9およびT10において実行されたスキャンは不要な動作であり、無駄に電力を消費していることとなる。このように、RSSIの値がHO閾値を下回っている間は、一定間隔毎にスキャンが実行され続ける。そこで、HO閾値を調整して、HO閾値を下げることにより、RSSIの値がHO閾値を上回るようになり、不要なスキャンの実行を抑制することができる。
<無線通信システムの概要>
次に、本願発明の無線通信システムの概要について図9に基づいて説明する。図9は、無線通信システム4の全体構成、および、無線通信端末1のハードウェア構成を示す模式図である。図9に示すように、無線通信システム4は、無線通信端末1、アクセスポイント(AP)2a、2b、および通信ネットワーク3を含む。以下では、AP2aおよび2bを区別する必要がない場合、AP2と総称する。
AP2は、無線通信端末1を通信ネットワーク3に接続する際の接続先としての基地局である。すなわち、AP2は、WLANの基地局として、無線通信端末1と通信を行い、通信ネットワークを介し、無線通信端末1のインターネットへの接続を実現するものである。また、以下では、図1に示すAP2aが無線通信端末1と現在接続しているAPであり、AP2bは、ハンドオーバした後に無線通信端末1と接続するAPであるとする。
通信ネットワーク3は、接続した各端末間の相互通信を実現したり、さらにインターネット通信網を介した通信を実現する。
無線通信端末1は、WLANによってAP2と接続し、通信ネットワーク3とデータの送受信を行う無線通信端末である。
AP2は、定期的にビーコン情報などの制御信号を送信しており、無線通信端末1は、その制御信号を含む電波を受信することによって、AP2との通信品質を測定したり、当該制御信号に基づいて接続可能なAP2であるかどうかを判断したりする。
1つのAP2がカバーできる範囲には限りがあり、また壁などの障害物によっても電波状況は悪化する。広い範囲で無線通信端末1を使用する場合、または、別々の部屋で使用する場合には、使用する範囲内に複数のAP2を設置して、その間を無線通信端末1がハンドオーバ(ローミング)することで、無線通信端末1は、電波状況のよいAPと接続することができる。
<無線通信端末1のハードウェア構成>
次に、図9および図10に基づいて、無線通信端末1が備えるハードウェアの構成について説明する。図10は、無線通信端末1の外観の一例を示す図である。図9および図10に示すように、無線通信端末1は、CPU10、通信部(WLANモジュール)60、音声出力部12、音声入力部13、表示部14、入力部15、メモリ16および記憶部(フラッシュROM(read only memory))70を備える。
CPU10は、無線通信端末1で行われる各種処理を統括して制御する。CPU10は、メモリ16または記憶部70からプログラムまたはデータなどを読み出して、所定の処理を実行する。CPU10が実行する処理については、後に詳しく説明する。
通信部60は、AP2と無線通信を行うものであり、無線LANの接続およびデータ送受信をおこなう。通信部60は、CPU10からの命令に従って、スキャン処理、APとの接続、および、データ通信等を行う。通信部60は、例えば、無線LANチップおよびアンテナ等から構成される。
具体的には、通信部60は、AP2から電波を受信し、CPU10の指示を受けてAP2とデータを送受信するものである。また、通信部60は、CPU10の指示を受けてスキャンを実行し、AP2から定期的に送信されるビーコン情報を受信したり、Probe Requestパケットを送信して、応答したAP2からProbe Requestパケットに対するProbe Responseパケットを受信したりする。さらに、通信部60は、CPU10の指示を受けて、AP2と接続したり、他のAP2に接続を切り替えたりするものである。
音声出力部12は、WLANを使用したVoIP通話時および携帯電話網との通話時に音声を外部に出力するものである。音声出力部12は、例えば、レシーバ等で構成される。
音声入力部13は、WLANを使用したVoIP通話時および携帯電話網との通話時にユーザの音声を無線通信端末1に入力するものである。音声入力部13は、例えば、マイク等で構成される。
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等の画像を表示するものであり、ユーザに無線通信端末1の動作状態または処理内容を報知するものである。
入力部15は、ユーザが無線通信端末1に操作入力を行うためのものである。入力部15は、例えば、十字キー、テンキー、ファンクションキー等で構成される。
メモリ16は、CPU10が処理を行うためにプログラムまたはデータを一時保存する記録媒体である。
記憶部70は、CPU10が処理に用いるプログラムおよびデータなどを格納する領域である。記憶部70は、例えば、フラッシュROMなどから構成される。記憶部70は、WLAN設定領域71およびプログラム保存領域72を備える。WLAN設定領域71は、WLANに関わる各種設定(SSID(Service Set Identifier)情報、BSSID(Basic Service Set Identifier)情報、認証情報、ハンドオーバ閾値など)を格納する領域である。無線通信端末1は、WLAN設定領域71に格納されているWLAN設定時に使用するデータに基づいて、AP2との接続やハンドオーバ処理を行う。WLAN設定領域71に格納されているデータの詳細は、後述する。プログラム保存領域72は、CPU10上で動作させるプログラムを格納する領域である。
<無線通信端末1のソフトウェア構成>
次に、無線通信端末1のソフトウェア構成について図1に基づいて説明する。図1は、無線通信端末1のソフトウェア構成の一例を示す機能ブロック図である。図示のように、無線通信端末1は、制御部20、通信部60および記憶部70を備える。
制御部20は、上述のCPU10およびメモリ16に相当するものであり、WLAN状態測定部(通信品質測定手段)21、WLANデータ通信部22、WLANスキャン制御部(スキャン制御手段)23、WLAN接続制御部(接続制御手段)24、判定部25、接続時間算出部26およびHO閾値設定部(HO閾値設定手段)27を含む。
WLAN状態測定部21は、AP2aとの無線通信における接続状態の程度を示す通信品質を測定するものである。WLAN状態測定部21は、測定した通信品質を示す情報を後述の判定部25の各部に送信する。なお、WLAN状態測定部21は、定期的に通信品質を測定しても良い。図1に示すように、WLAN状態測定部21は、RSSI測定部(通信品質測定手段)31および送受信エラー率測定部(通信品質測定手段)32を含む。なお、RSSI測定部31および送受信エラー率測定部32は、制御部20ではなく、通信部60が備えていても良い。この場合、WLAN状態測定部21は、AP2aとの接続状態の程度を示す通信品質を測定するように、通信部60のRSSI測定部31および送受信エラー率測定部32に指示し、RSSI測定部31および送受信エラー率測定部32が測定した通信品質を取得する。
RSSI測定部31は、通信部60が受信している信号の強度(RSSI)を測定するものである。具体的には、RSSI測定部31は、通信部60から信号の強度を示すRSSI情報を取得し、RSSI情報に対して平均化などの計算等を行ってRSSIの値を測定する。
送受信エラー率測定部32は、WLANデータ通信部22が通信部60を介して送受信するデータを参照して、送信エラー率および受信エラー率を測定するものである。送信エラー率は、APに対して802.11フレームを送信し、送信した全802.11フレームに対するAPからのACK応答フレームを受け取れなかった802.11フレームの割合を示す。なお、ACK応答フレームを受け取れなかったとは、802.11フレーム送信後のACK応答フレーム待ち時間がタイムアウトした場合を指す。受信エラー率は、APから受信した全受信フレームに対する誤りが検出された受信フレームの割合を示す。以下では、送信エラー率および受信エラー率を総称して送受信エラー率と称する。本実施形態では、送受信エラー率は、送信エラー率および受信エラー率の少なくともどちらか一方である。
WLANデータ通信部22は、通信部60を介して、APとデータの送受信を行うものである。具体的には、WLANデータ通信部22は、音声入力部13から入力された音声データをAPに送信し、APから受信した音声データを音声出力部12に送信する。また、WLANデータ通信部22は、記憶部70に格納されている、テキストデータ、音声データ、画像・動画データ、HTML(Hyper Text Mark-up Language)データ等の各種データをAPに送信し、APから当該各種データを受信し、記憶部70に格納するものである。
WLANスキャン制御部23は、後述のHO閾値判定部41の判定結果に基づいて、通信部60に一定間隔でスキャンを実行するように指示する、もしくは、通信部60が実行しているスキャンを停止するように指示するものである。なお、WLANスキャン制御部23は、スキャンを実行する間隔を任意に設定することができる。また、WLANスキャン制御部23は、通信部60がスキャンによって受信した、各APから定期的に送出されるビーコン情報、および、Probe Requestパケットに対するProbe Responseパケット等に含まれる、各APと接続する際に用いるSSIDおよびBSSIDを受信する。WLANスキャン制御部23は、通信部60から受信したSSIDおよびBSSIDを記憶部70に格納すると共に、後述の接続条件判定部42に送信する。なお、上記ではスキャン間隔については、一定間隔としているが、スキャンを開始してから時間が経過するにつれて、だんだん間隔が広くなるというように必ずしも一定間隔でなくてもよい。スキャンを行ったが、他のAPが見つからない場合、その後すぐにスキャンを行っても他のAPが見つからない可能性が高い。そのため、スキャンを開始してから時間が経過するにつれて、スキャン間隔を徐々に長くすることによって、無線通信端末の消費電力を抑えることができる。
WLAN接続制御部24は、所定のAP2への接続要求、および、ハンドオーバ実施要求を通信部60に対して行うものである。また、WLAN接続制御部24は、通信部60が現在接続しているAP2があるかどうか確認する。また、WLAN接続制御部24は、通信部60が接続しているAP2との接続時間をAP2ごとに記憶部70に格納する。例えば、WLAN接続制御部24は、接続履歴情報として通信部60がAP2と接続を開始した時間および接続を終了した時間をそれぞれAP2の識別子に対応付けて記憶部70に格納する。接続履歴情報の詳細は、後述する。
判定部25は、必要に応じて記憶部70に格納されているデータを参照して、WLAN状態測定部21、WLANスキャン制御部23、接続時間算出部26、通信部60から送られてきたデータが、所定の条件を満たしているかどうかを判定するものである。図1に示すように、判定部25は、HO閾値判定部41、接続条件判定部42、HO閾値近傍判定部43、通信状態判定部44、変動判定部45、接続切替判定部46、HO閾値調整判定部47および接続時間判定部48を含む。
HO閾値判定部41は、WLAN状態測定部21が測定した通信品質を示す情報(例えば、RSSIまたはエラー率)の値が、WLAN設定領域71に格納されている、当該情報と対応するHO閾値以下であるかどうかを判定するものである。HO閾値判定部41が通信品質を示す情報の値がHO閾値以下であると判定した場合、HO閾値判定部41は、WLANスキャン制御部23にスキャンを実行するように指示する。一方、HO閾値判定部41が通信品質を示す情報の値がHO閾値以下ではないと判定した場合、通信部60がスキャンを実行中でなければ、WLANスキャン制御部23は通信部60にスキャンの指示を与えず、現状を維持し、通信部60がスキャンを実行していれば、HO閾値判定部41は、WLANスキャン制御部23にスキャンを停止するように指示する。
すなわち、通信品質を示す情報がHO閾値以下である場合、無線通信端末1と現在接続しているAP2aとの接続状態に問題があることを示し、無線通信端末1は、ハンドオーバを試みるためにスキャンを実行する。一方、通信品質を示す情報がHO閾値以下ではない場合、無線通信端末1とAP2aとの接続状態に問題がないため、無線通信端末1は、スキャンを行わず、AP2aとの接続を維持する。
接続条件判定部42は、通信部60が検出した各APにおける、WLANスキャン制御部23から送信されたSSIDおよびBSSID、並びに、WLAN状態測定部21から送信された通信品質を示す情報を、WLAN設定領域71に格納されているAPとの接続条件に関する情報と比較して、接続条件を満たすAPがあるかどうかを判定するものである。接続条件判定部42が接続条件を満たすAPがあると判定した場合、接続条件判定部42は、接続条件を満たすAPの中で最も通信品質の高いAPと接続するようにWLAN接続制御部24に指示する。一方、接続条件判定部42が接続条件を満たすAPがないと判定した場合、接続条件判定部42は、WLAN接続制御部24に現在接続しているAPとの接続を維持するように指示する。
HO閾値近傍判定部43は、HO閾値調整測定期間(特定の期間)中にWLAN状態測定部21が測定した通信品質を示す情報(例えば、RSSIまたはエラー率)の値が、WLAN設定領域71に格納されている、当該情報と対応するHO閾値近傍範囲内であるかどうかを判定するものである。HO閾値近傍判定部43がHO閾値調整測定期間中の通信品質を示す情報の値がHO閾値近傍範囲内であると判定した場合、HO閾値近傍判定部43は、HO閾値設定部27にHO閾値を新たに設定するように指示する。一方、HO閾値近傍判定部43がHO閾値調整測定期間中の通信品質を示す情報の値がHO閾値近傍範囲内ではないと判定した場合、制御部20は、HO閾値設定処理を終了する。上記のHO閾値調整測定期間およびHO閾値設定処理の詳細は後述する。
ここで、HO閾値近傍範囲とは、HO閾値を含み、所定の上限値および下限値で定められた通信品質を示す情報の値の範囲を示す。上記所定の上限値とHO閾値との差である、HO閾値と上記所定の上限値との幅は、静止状態の無線通信端末において、ドアの開閉や人の出入り程度で変動する通信品質を示す情報(例えば、RSSIまたは送受信エラー率)の値の変動幅の半分の値に相当する。また、HO閾値近傍範囲の下限値の値は、データ通信や通話において重大な問題が生じる可能性がない状態の通信品質を示す情報の値の最小値とする。静止状態の無線通信端末における、通信品質を示す情報の値の変動幅およびデータ通信や通話において問題がないレベルの通信品質を示す情報の値は、無線通信端末およびWLANモジュールの無線特性またはRSSI測定部31の測定方法または、部屋の形状や妨害電波の有無など無線通信端末の使用環境によって左右されるため、実際に無線通信端末のRSSIや送受信エラー率を静止状態で一定時間測定することで、HO閾値近傍範囲を決定することが望ましい。本実施形態では、測定した結果の例として、通信品質を示す情報がRSSIの場合、HO閾値とHO閾値近傍範囲の上限値との幅を3dBmとし、通信品質を示す情報が送受信エラー率の場合、HO閾値とHO閾値近傍範囲の上限値との幅を2%として設定する。また、HO閾値近傍範囲の下限値を、通信品質を示す情報がRSSIの場合、−65dBmとし、通信品質を示す情報が送受信エラー率の場合、7%として設定する。
通信状態判定部44は、HO閾値調整測定期間中にWLAN状態測定部21が測定した通信品質を示す情報(例えば、RSSIまたは送受信エラー率)の値が、WLAN設定領域71に格納されている、当該情報と対応する規定値A(正常動作判定値)以上であるかどうかを判定するものである。通信状態判定部44がHO閾値調整測定期間中に測定された通信品質を示す情報の値が規定値A以上ではないと判定した場合、制御部20は、HO閾値設定処理を終了する。一方、通信状態判定部44がHO閾値調整測定期間中に測定された通信品質を示す情報の値が規定値A以上であると判定した場合、制御部20は、HO閾値設定処理を続行する。
ここで、規定値Aとは、通信品質の非常に低い状態を示す値である。すなわち、通信品質を示す情報の値が規定値Aより小さい場合、無線通信端末1は、AP2と正常にデータを送受信できない状態であることを示す。規定値Aは、経験的にVoIP通話の音途切れ等が明らかに生じると考えられる通信品質を示す情報(RSSIまたは送受信エラー率)の値であり、例えば、RSSIの場合、−75dBm程度、送受信エラー率の場合、15%程度の値を想定する。なお、RSSIについては、WLANの通信方式11a/11b/11gによって音途切れ等が発生する値が異なるため、11bの場合は−80dBmのように通信方式ごとに規定値Aをそれぞれ設定しても良い。
例えば、通信品質を示す指標としてRSSIを用いる場合は、通信状態判定部44は、HO閾値調整測定期間中にWLAN状態測定部21が測定したRSSIの値が規定値A以上であるかを判定し、通信品質を示す指標として送受信エラー率を用いる場合は、通信状態判定部44は、HO閾値調整測定期間中にWLAN状態測定部21が測定した送受信エラー率の値が規定値A以下であるかを判定する。
また、通信状態判定部44は、HO閾値調整測定期間中に送受信エラー率測定部32の測定した送信エラー率の値が、WLAN設定領域71に格納されている規定値B(不具合判定値)以下であるかどうかを判定するものである。通信状態判定部44が、HO閾値調整測定期間中に測定された送信エラー率の値が規定値B以下ではないと判定した場合、制御部20は、HO閾値設定処理を終了する。一方、通信状態判定部44が、HO閾値調整測定期間中に測定された送信エラー率の値が規定値B以下であると判定した場合、通信状態判定部44は、RSSI測定部31に現在接続しているAP2aとRSSIを測定するように指示する。
ここで、規定値Bとは、無線通信端末1とAP2aとの通信状態が問題ないと推定される送信エラー率の最大値である。規定値Bは、通常使用時において、経験的にVoIP通話の音途切れ等が発生しないと考えられる送信エラー率の最大値であり、例えば、10%程度の値を想定する。すなわち、送信エラー率が規定値Bより大きい場合、無線通信端末1は、AP2aとの通信状態に問題がある可能性が高いと推定する。
変動判定部45は、HO閾値設定処理を開始してから通話またはデータ通信が終了するまでの間の一部の期間(HO閾値調整測定期間中)に、WLAN状態測定部21が測定した通信品質を示す情報(例えば、RSSIまたは送受信エラー率)の値が、WLAN設定領域71に格納されている、当該情報と対応する変動範囲内であるかどうかを判定するものである。変動判定部45がHO閾値調整測定期間中に測定された通信品質を示す情報の値が変動範囲内であると判定した場合、制御部20は、HO閾値設定処理を続行する。一方、変動判定部45がHO閾値調整測定期間中に測定された通信品質を示す情報の値が変動範囲内ではないと判定した場合、制御部20は、HO閾値設定処理を終了する。ここで、変動範囲とは、通信品質を示す情報がRSSIの場合、無線通信端末1の静止状態におけるRSSIの値の変動幅の最大値を示し、通信品質を示す情報が送信エラー率の場合、安定した通信状態における送信エラー率の変動幅の最大値を示す。
接続切替判定部46は、HO閾値設定処理を開始してから通話またはデータ通信が終了するまでの間の一部の期間(HO閾値調整測定期間中)に、通信部60がハンドオーバを実施したかどうかを判定するものである。HO閾値設定処理を開始してから通話またはデータ通信が終了するまでの間に、通信部60がハンドオーバを実施したと接続切替判定部46が判定した場合、制御部20は、HO閾値設定処理を終了する。一方、HO閾値設定処理を開始してから通話またはデータ通信が終了するまでの間に、通信部60がハンドオーバを実施していないと接続切替判定部46が判定した場合、制御部20は、HO閾値設定処理を続行する。
HO閾値調整判定部47は、WLAN設定領域71に格納されているHO閾値調整日時を確認して、調整判定時間以内にHO閾値設定部27が新たにHO閾値を設定したAP2があるかどうかを判定するものである。HO閾値調整判定部47が、調整判定時間以内にHO閾値設定部27が新たにHO閾値を設定したAP2が無いと判定すると、制御部20は、HO閾値の再調整は行わず、HO閾値再調整処理を終了する。一方、HO閾値調整判定部47が、調整判定時間以内にHO閾値設定部27が新たにHO閾値を設定したAP2があると判定すると、後述の接続時間算出部26は、記憶部70に格納されている接続履歴情報を参照して、接続判定時間以内に接続していたAP2の接続時間をAP2ごとに算出する。調整判定時間および接続判定時間について、詳細は後述する。
接続時間判定部48は、接続時間算出部26が算出した各APの接続時間を、WLAN設定領域71に格納されている規定値E(接続時間判定値)より小さいかどうかを判定するものである。調整判定時間以内に新たにHO閾値が設定された全てのAP2の接続時間が規定値Eより小さくないと接続時間判定部48が判定した場合、制御部20は、HO閾値修正処理を終了する。一方、接続時間が規定値Eより小さいと接続時間判定部48が判定した場合、接続時間判定部47は、HO閾値設定部27にHO閾値を再調整するように指示する。
接続時間算出部26は、記憶部70に格納されている接続履歴情報を参照して、調整判定時間以内に新たにHO閾値が設定されたAP2の接続判定時間以内における接続時間をAP2ごとに算出するものである。接続時間算出部26は、算出した各APとの接続時間を接続時間判定部48に送信する。
HO閾値設定部27は、HO閾値近傍判定部43からの指示を受けて、WLAN設定領域71に格納されているHO閾値の値を下げるように調整して、新たなHO閾値を設定してWLAN設定領域71に格納するものである。HO閾値設定部27は、HO閾値調整後のHO閾値を、HO閾値調整測定期間中に上記通信部と接続していたアクセスポイントに対応付けてWLAN設定領域71に格納する。
また、HO閾値設定部27は、接続時間判定部48からの指示を受けて、接続時間が規定値Eより小さいと判定されたAP2に対応付けられているHO閾値調整後のHO閾値をHO閾値調整前のHO閾値に近づけるように再調整し、再調整したHO閾値を調整後のHO閾値としてWLAN設定領域71に新たに格納する。換言すると、HO閾値設定部27は、HO閾値調整後のHO閾値が対応付けられているAP2に対応する接続時間が規定値Eより小さい場合、HO閾値調整後のHO閾値をHO閾値調整前のHO閾値に近づけるように修正して、該AP2に対応付けてWLAN設定領域71に格納する。
また、HO閾値設定部27は、WLAN設定領域71に調整後の新たなHO閾値を格納すると共に、新たなHO閾値を格納した日時をHO閾値調整測定期間中に上記通信部と接続していたアクセスポイントに対応付けて格納する。
ここで、「HO閾値の値を下げる」とは、HO閾値の値が、通信品質の低い状態を示す値になることを意味し、「HO閾値の値を上げる」とは、通信品質の高い状態を示す値になることを意味する。例えば、通信品質を示す指標としてRSSIを用いる場合は、「HO閾値の値を下げる」とは、RSSIのHO閾値の値を小さくすることであり、通信品質を示す指標として送受信エラー率を用いる場合は、「HO閾値の値を下げる」とは、HO閾値として設定されている送受信エラー率の値を大きくすることである。
また、HO閾値調整における「HO閾値の値を下げる」の値の下げ幅は、HO閾値を下げたことで、調整前のHO閾値近傍で変動している現状の通信状態において、ハンドオーバを起こさないようにするとともに、仮にHO閾値を下げたところまで通信品質が下がったとしても、通信状態に深刻な影響を与えない状況となるように決定される値である。例えば、HO閾値近傍範囲の下限値までHO閾値を下げるように調整しても良い。換言すると、HO閾値調整におけるHO閾値の下げ幅をHO閾値とHO閾値近傍範囲の下限値との差分に相当する値としてもよい。また、HO閾値近傍範囲の下限値以下であって、通信状態に深刻な影響を与えない通信品質の値まで、HO閾値を下げるように調整しても良い。本実施形態では、HO閾値調整における下げ幅を、通信品質を示す指標としてRSSIを用いる場合、5dBmとし、通信品質を示す指標として送受信エラー率を用いる場合、2%とする。
なお、HO閾値調整により、一度HO閾値を下げた場合、HO閾値近傍範囲を再設定することが望ましい。例えば、HO閾値が−60dBm、HO閾値近傍範囲が−65dBm〜−57dBmで、HO閾値を−65dBmに調整した場合、HO閾値近傍範囲を−68dBm〜−62dBmに再設定する。このとき、一度目のHO閾値調整にて通信状態に懸念が生じない境界値(HO閾値近傍範囲の下限値)までHO閾値を下げている状態である。HO閾値調整を行った後、さらにHO閾値調整を行うことによって、通信状態に深刻な影響が出る可能性を抑えるために、HO閾値近傍範囲の再設定において、HO閾値とHO閾値近傍範囲の下限値との幅を、HO閾値調整の回数を重ねるたびに、徐々に小さくすることが望ましい。同様の理由により、二度目以降のHO閾値調整時のHO閾値の下げ幅は、HO閾値調整の回数が多くなるにつれて、徐々に小さくすることが望ましい。また、HO閾値調整後のHO閾値には、所定の下限値を設けることが望ましい。この所定の下限値として、上述の規定値A(正常動作判定値)を用いてもよい。
また、HO閾値再調整における「HO閾値の値を上げる」ことは、無線通信端末1が頻繁に接続するアクセスポイントではないAP2との接続において、適切にハンドオーバが行われるように、HO閾値の値をHO閾値調整前の状態に戻すことである。具体的には、HO閾値調整後のHO閾値をHO閾値調整前のHO閾値に近づけることである。そのため、HO閾値再調整における上げ幅は、HO閾値調整における下げ幅と同じ値であることが好ましい。なお、一律にHO閾値調整前のHO閾値の値に戻すのではなく、APとの接続時間に応じてHO閾値再調整における上げ幅を変化させてもよい。つまり、接続時間が規定値E未満であって接続時間が相対的に短いAPに対しては、HO閾値再調整における上げ幅を大きくし、接続時間が規定値E未満であって接続時間が相対的に長いAPに対しては、HO閾値再調整における上げ幅を小さくしても良い。
記憶部70のWLAN設定領域71に格納されているWLAN設定時に使用するデータの一例を図11(a)に基づいて説明する。図11(a)は、WLAN設定時に使用するデータの一例を示す図である。図11(a)に示すように、WLAN設定時に使用するデータであるプロファイルは、プロファイル名ごとに分類されている。各プロファイルには、SSID名、BSSID、HO閾値、HO閾値近傍範囲、調整後HO閾値、HO閾値調整日時および規定値A〜Eの項目が設けられている。なお、本実施形態では、プロファイルは、BSSIDごとに設定されているが、これに限るものではなく、SSIDごと等に設定されていても良い。
「SSID名」は、AP2に設定する無線LANネットワークの識別子である。SSIDは1つまたは複数のAP2を特定する識別子である。SSIDは、32文字以内の文字列で指定される。「BSSID」は、AP2を識別する48ビットの数値である。「BSSID」は、各AP2のMACアドレス(Media Access Control address)であり、一台一台を一意に識別する。「認証方式」は、各プロファイルに対応しているAP2と接続を行なう際の認証方式を指定するものである。例えば、「認証方式」が「認証無し」であれば、AP2との接続の際に特別な認証を行わずに接続することができる。また、「認証方式」が「WPA」であれば、AP2との接続の際にWPA(Wi-Fi Protected Access)規格の暗号化方式を用いて認証を行う。なお、図11(a)に示す例では、プロファイルごとに認証方式が設定されているが、これに限るものではなく、例えば、SSIDごとまたはBSSIDごとに設定されていても良い。
「HO閾値」は、HO閾値判定部41がハンドオーバ処理を行うかどうかを判定する際に用いる閾値であり、無線通信端末1がハンドオーバ処理を行わない最小の通信品質の値である。
「HO閾値近傍範囲」は、HO閾値近傍判定部43がWLAN状態測定部21が測定した通信品質の値がHO閾値の近傍であるかどうかを判定する際に用いる値であり、HO閾値を含む通信品質の範囲を指定するものである。図11(a)に示す例では、HO閾値近傍範囲として、例えば、−57dBm〜−65dBmのように絶対値で指定されているが、これに限るものではなく、+3dBm〜−5dBmのようにHO閾値からの差としてHO閾値近傍範囲を指定しても良い。
「調整後HO閾値」は、HO閾値設定部27が調整して新たに設定したHO閾値の値である。「HO閾値調整日時」は、HO閾値設定部27が調整後のHO閾値をWLAN設定領域71に格納した日時を示すものである。
なお、HO閾値、HO閾値近傍範囲、調整後HO閾値、HO閾値調整日時は、RSSIおよび送受信エラー率のそれぞれに対応する値が設定されている。また、図11(a)に示す例では、HO閾値およびHO閾値近傍範囲は、プロファイルごとにHO閾値およびHO閾値近傍範囲が設定されているが、これに限るものではなく、例えば、SSIDごとまたはBSSIDごとにそれぞれ設定されていても良いし、AP2に限らず無線通信端末1として1つのHO閾値およびHO閾値近傍範囲がそれぞれ設定されていても良い。換言すると、HO閾値およびHO閾値近傍範囲は、1つまたは複数のAP2ごとに対応付けられているものである。具体的には、HO閾値およびHO閾値近傍範囲は、図示のように、AP2の識別子であるSSIDまたはBSSIDに対応付けてWLAN設定領域71に格納されている。また、図11(a)に示す例では、調整後HO閾値は、プロファイルごとにHO閾値設定部27が調整後HO閾値を設定しているがこれに限るものではなくい。例えば、HO閾値設定部27は、現在接続しているAP2と同じSSIDまたは同じBSSIDに対応しているHO閾値全てを調整して新たなHO閾値を格納するものであっても良い。また、HO閾値設定部27は、WLAN設定領域71に格納されているHO閾値全てを調整して新たなHO閾値を格納するものであっても良い。
規定値Aは、HO閾値設定処理を行う、AP2aとの通信品質の最小値である。規定値Aは、RSSIおよび送受信エラー率のそれぞれに対応する値が設定されている。規定値Bは、無線通信端末1とAP2aとの通信状態が問題ないと推定される送信エラー率の最大値である。
規定値C(静止状態判定値)は、無線通信端末1の静止状態におけるRSSIの値の変動幅の最大値である。換言すると、規定値Cは、静止状態の無線通信端末がとりえる可能性のあるRSSIの変動幅に相当する値である。本実施形態では、規定値Cとして、例えば8dBmを設定する。すなわち、測定したRSSIの最大値と最小値との差が規定値C以上であれば、無線通信端末は静止状態ではなく、移動していると判定する。
規定値D(安定判定値)は、安定した通信状態における送信エラー率の変動幅の最大値である。換言すると、規定値Dは、静止状態の無線通信端末がとりえる可能性のある送信エラー率の変動幅に相当する値である。本実施形態では、規定値Dとして、例えば、5%を設定する。すなわち、測定した送信エラー率の最大値と最小値との差が規定値D以上であれば、無線通信端末は静止状態ではなく、移動していると判定する。なお、規定値CおよびDは、上述のHO閾値近傍範囲と同様に、実際に無線通信端末のRSSIや送信エラー率を静止状態で一定時間測定して、それぞれの値を決定することが望ましい。
規定値Eは、HO閾値再調整処理を行うAP2との接続時間の最小値である。規定値Eは、AP2が無線通信端末1と通常時に接続するAPであるかどうかを判定するための値であり、単位時間中の割合または時間を示す値である。例えば、規定値Eとして、単位時間を24時間とした場合、割合を20%、または時間を4時間として設定する。このように、規定値Eが「4時間」として設定されていた場合、接続時間が4時間に満たないAP2は、無線通信端末1が頻繁に接続するAPではないとして判断する。
次に、WLAN接続制御部24が記憶部70に格納する接続履歴情報を図11(b)に基づいて説明する。図11(b)は、接続履歴情報の一例を示す図である。図示の例では、まず通信部60は、2009年10月1日0時にAP<H>と接続し、2009年11月1日0時にAP<H>からAP<O1>に接続を切り替え、2009年11月1日12時55分にAP<O1>からAP<O2>に接続を切り替え、2009年11月1日13時05分にAP<O2>からAP<O1>に接続を切り替え、2009年11月2日0時にAP<O1>との接続が終了している。
<無線通信端末1が行う処理の流れ>
無線通信端末1が行う処理について、図12〜図17に基づいて説明する。
〔通常のハンドオーバ処理〕
まず、通常のハンドオーバ処理について図12に基づいて説明する。図12は、無線通信端末1がハンドオーバを行う際の制御部20の処理の流れを示すフローチャートである。
通信部60は、現在接続しているAP2aから送信された電波を受信すると、WLAN状態測定部21が通信品質を測定する(S1)。具体的には、WLANデータ通信部22がAP2aに対してデータを送受信していない場合は、RSSI測定部31が、通信部60の受信した電波の強度を測定する。一方、WLANデータ通信部22がAP2aに対してデータを送受信している場合は、RSSI測定部31が、通信部60の受信した電波の強度を測定してもよいし、送受信エラー率測定部32が送受信エラー率を測定しても良い。
次に、HO閾値判定部41は、WLAN状態測定部21の測定した通信品質がWLAN設定領域71に格納されている、現在通信部60が接続しているAP2aに対応するHO閾値を下回っているかどうか判定する(S2)。HO閾値判定部41が、WLAN状態測定部21の測定した通信品質がAP2aに対応するHO閾値を下回っていると判定した場合(S2でYES)、WLANスキャン制御部23は、通信部60にスキャンを実行するように指示する(S3)。一方、HO閾値判定部41が、WLAN状態測定部21の測定した通信品質がAP2aに対応するHO閾値を下回っていないと判定した場合(S2でNO)、通信部60がスキャンを実行していなければ、WLANスキャン制御部23は、通信部60に何も指示を与えず、通信部60がスキャンを実行していれば、WLANスキャン制御部23は、通信部60にスキャンを停止するように指示する(S4)。そして、WLAN接続制御部24は、現在接続しているAP2aとの接続を維持し、S4の後、再度通信品質の測定を行う(S1)。
通信部60は、WLANスキャン制御部23からスキャンの実行の指示を受けると、電波受信可能なAP2からビーコン情報を受信したり、Probe Requestパケットを送信して、応答したAP2からProbe Requestパケットに対するProbe Responseパケットを受信したりする。WLANスキャン制御部23は、通信部60が受信したビーコン情報またはProbe Responseパケットに含まれる、各AP2のSSIDまたはBSSIDを取得する。それと共に、WLAN状態測定部21が上記各AP2との通信品質を測定する。
そして、接続条件判定部42は、通信部60がスキャンして見つけた各AP2が、WLANスキャン制御部23が取得した各AP2のSSIDまたはBSSIDと、WLAN状態測定部21が測定した各AP2との通信品質と、WLAN設定領域71に格納されている接続切替条件とを参照して、接続切替条件を満たしているかどうかを判定する(S5)。接続条件判定部42が接続切替条件を満たしているAP2があると判定した場合(S5でYES)、WLAN接続制御部24は、接続条件判定部42が接続切替条件を満たしているAP2の中で最も通信品質の高いAP2との接続を実行するように通信部60に指示する(S6)。一方、接続条件判定部42が接続切替条件を満たしているAP2がないと判定した場合(S5でNO)、WLAN接続制御部24は、現在接続しているAP2aとの接続を維持し、再度通信品質の測定を行う(S1)。
S6において、例えば、図9に示すAP2bと通信部60が接続した場合、接続切り替え後、WLAN状態測定部21は、現在接続しているAP2bと通信部60との通信品質を測定する。そして、同様に、HO閾値判定部41は、WLAN状態測定部21の測定した通信品質がWLAN設定領域71に格納されている、現在通信部60が接続しているAP2bに対応するHO閾値を下回っているかどうか判定し、これらの動作を繰り返す。
〔RSSIのHO閾値設定処理〕
次に、図13および図14に基づいてHO閾値設定処理の一例について説明する。図13は、通信品質を示す指標としてRSSIを用いた場合のHO閾値設定処理例の流れを示すフローチャートである。図14は、HO閾値設定処理の各ステップにおいて表示部14に表示される画像例を示す図である。
まず、ユーザが入力部15を介してHO閾値設定開始指示を入力すると(S10)、制御部20は、入力部15からHO閾値設定開始指示を受けて、表示部14に図14に示す画像101を表示させる。そして、ユーザが画像101に示す「開始」アイコンを押下すると、制御部20は、表示部14に画像102を表示させ、ユーザに通信状態の確認を促し、その回答を待つ(S11)。
ユーザが現在のAP2aとの通信品質は不良であることを示す「いいえ」アイコンを押下すると(S11でNO)、制御部20は、表示部14に画像105を表示させて(S18)、現在の通信状態を改善するようにユーザに移動等を促し、HO閾値設定処理を終了する。一方、ユーザが現在のAP2aとの通信品質は良好であることを示す「はい」アイコンを押下すると(S11でYES)、制御部20は、表示部14に画像103を表示させ、WLAN接続制御部24は、通信部60が現在接続しているAP2があるかどうか確認する(S12)。
通信部60が接続しているAP2がない場合(S12でNO)、制御部20は、表示部14に画像106を表示させて(S19)、ユーザに現在接続しているAP2がないことを報知し、ユーザに新たにAP2と接続するように促して、HO閾値設定処理を終了する。通信部60がAP2aと接続している場合(S12でYES)、RSSI測定部31が現在接続しているAP2aとの接続情報として、RSSIを測定し、接続AP名(SSID名またはBSSID)と対応付ける(S13)。
次に、通信状態判定部44は、HO閾値調整測定期間中にRSSI測定部31の測定したRSSIの値がWLAN設定領域71に格納されている規定値A以上であるかどうかを判定する(S14)。通信状態判定部44が、HO閾値調整測定期間中に測定したRSSIの値が規定値A以上ではないと判定した場合(S14でNO)、制御部20は、表示部14に画像105を表示させて(S18)、現在の通信状態を改善するようにユーザに移動等を促し、HO閾値設定処理を終了する。一方、通信状態判定部44が、HO閾値調整測定期間中に測定したRSSIの値が規定値A以上であると判定した場合(S14でYES)、HO閾値近傍判定部43は、HO閾値調整測定期間中にRSSI測定部31の測定したRSSIの値が、WLAN設定領域71に格納されているHO閾値近傍範囲内に含まれるかどうかを判定する(S15)。
HO閾値近傍判定部43が、HO閾値調整測定期間中に測定したRSSIの値がHO閾値近傍範囲内に含まれないと判定した場合(S15でNO)、制御部20は、表示部14に画像104を表示させて、HO閾値を調整することなく、HO閾値設定処理を終了する。一方、HO閾値近傍判定部43が、HO閾値調整測定期間中に測定したRSSIの値がHO閾値近傍範囲内に含まれると判定した場合(S15でYES)、HO閾値設定部27は、WLAN設定領域71に格納されている、測定したRSSIに対応付けられている接続AP名に対応するRSSIのHO閾値を下げるように調整する(S16)。HO閾値設定部27は、調整したHO閾値をWLAN設定領域71に格納する(S17)。ここで、例えば、予めWLAN設定領域71に格納されていたRSSIのHO閾値が−60dBmの場合、HO閾値設定部27がHO閾値を5dBm下げて、新たなRSSIのHO閾値を−65dBmとしてWLAN設定領域71に格納する。HO閾値設定部27が調整後の新たなHO閾値を格納した後、制御部20は、表示部14に画像104を表示させて、HO閾値設定処理を終了する。
このように、ユーザが無線通信端末1の現在の通信状態に問題がないと判断した場合、無線通信端末1の現在接続しているAP2aに対する、HO閾値調整測定期間中に測定したRSSIの値がHO閾値近傍範囲内であれば、無線通信端末1は、RSSIのHO閾値を下げるように調整する。その結果、無線通信端末1のAP2aに対するRSSIの値がわずかに変動した場合であっても、RSSIの値がHO閾値を下回ることがなくなるため、無線通信端末1が不要なスキャンおよびそれに伴うハンドオーバを実行することを防ぐことができる。よって、無線通信端末1の電力を無駄に消費することを防ぐと共に、データ通信の遅延や通話の寸断などユーザの利便性を損なうことを防ぐことができる。
ここで、上述のHO閾値調整測定期間とは、制御部20が入力部15からユーザのHO閾値設定開始指示を受信することによって開始する期間であり、期間の長さは任意である。また、制御部20は、入力部15からユーザのHO閾値設定開始指示を受信することによってHO閾値設定処理を開始し、HO閾値設定部27がHO閾値調整処理を終了した時点もしくは判定部25がHO閾値調整処理を行わないと判定した時点でHO閾値設定処理を終了する。換言すると、HO閾値設定処理は、HO閾値調整測定期間中のWLAN状態測定部21の通信品質の測定処理、判定部25の判定処理およびHO閾値設定部27のHO閾値調整処理を含む。
なお、S11において、ユーザが現在の通信状態に問題があると判断した場合、現在位置はハンドオーバすべき状況であると考えられる。そのため、現在の通信状態を改善するようにユーザに移動等を促し、HO閾値の調整は行わず、HO閾値設定処理を終了する。一方、ユーザが現在の通信状態に問題が無いと判断した(ユーザが現在の通信状態に満足している)場合、スキャンおよびハンドオーバ処理は不要であるため、HO閾値設定処理を続行する。
また、S14において、通信状態判定部44は、WLAN状態測定部21が測定したRSSIの値が規定値A以上であるかを判定することにより、ユーザからHO閾値設定開始指示があった場合でも、無線通信端末1の現在接続しているAP2aとの通信状態が非常に悪い場合は、制御部20はHO閾値設定処理を行わない。
〔送受信エラー率のHO閾値設定処理〕
次に、図14および図15に基づいて、通信品質を示す指標として送受信エラー率を用いた場合のHO閾値設定処理の一例について説明する。図15は、通信品質を示す指標として送受信エラー率を用いた場合のHO閾値設定処理例の流れを示すフローチャートである。なお、送受信エラー率を用いる場合、WLANデータ通信部22が現在接続しているAP2aに対して何らかのデータを送受信している必要がある。ここでは、一例として、無線通信端末1がAP2aを介して他の端末と通話している際に行うHO閾値設定処理について説明する。ただし、通話時に限るものではなく、ブラウザ等によるデータ通信時であってもよい。
上述のように、無線通信端末1が通話中であるとする(S20)。具体的には、WLANデータ通信部22が通信部60を介してAP2aと音声データを送受信している。通話中に、ユーザが入力部15を介してHO閾値設定開始指示を入力すると(S21)、制御部20は、入力部15からHO閾値設定開始指示を受けて、表示部14に図14に示す画像101を表示させる。そして、ユーザが画像101に示す「開始」アイコンを押下すると、制御部20は、表示部14に画像102を表示させ、ユーザに通信状態の確認を促し、その回答を待つ(S22)。
ユーザが現在のAP2aとの通信品質は不良であることを示す「いいえ」アイコンを押下すると(S22でNO)、制御部20は、表示部14に画像105を表示させて(S28)、現在の通信状態を改善するようにユーザに移動等を促し、HO閾値設定処理を終了する。一方、ユーザが現在のAP2aとの通信品質は良好であることを示す「はい」アイコンを押下すると(S22でYES)、制御部20は、表示部14に画像103を表示させ、送受信エラー率測定部32が現在接続しているAP2aとの接続情報として、送受信エラー率を測定し、接続AP名と対応付ける(S23)。
次に、通信状態判定部44は、HO閾値調整測定期間中に送受信エラー率測定部32の測定した送受信エラー率の値が、WLAN設定領域71に格納されている規定値A以下であるかどうかを判定する(S24)。通信状態判定部44が、HO閾値調整測定期間中に測定した送受信エラー率の値が規定値A以下ではないと判定した場合(S24でNO)、制御部20は、表示部14に画像105を表示させて(S28)、現在の通信状態を改善するようにユーザに移動等を促し、HO閾値設定処理を終了する。一方、通信状態判定部44が、HO閾値調整測定期間中に測定した送受信エラー率の値が規定値A以下であると判定した場合(S24でYES)、HO閾値近傍判定部43は、HO閾値調整測定期間中に送受信エラー率測定部32の測定した送受信エラー率の値がWLAN設定領域71に格納されているHO閾値近傍範囲内に含まれるかどうかを判定する(S25)。
HO閾値近傍判定部43が、HO閾値調整測定期間中に測定した送受信エラー率の値がHO閾値近傍範囲内に含まれないと判定した場合(S25でNO)、制御部20は、表示部14に画像104を表示させて、HO閾値を調整することなく、HO閾値設定処理を終了する。一方、HO閾値近傍判定部43が、HO閾値調整測定期間中に測定した送受信エラー率の値がHO閾値近傍範囲内に含まれると判定した場合(S25でYES)、HO閾値設定部27は、WLAN設定領域71に格納されている、測定した送受信エラー率に対応付けられている接続AP名に対応する送受信エラー率のHO閾値を上げるように調整する(S26)。HO閾値設定部27は、調整したHO閾値をWLAN設定領域71に格納する(S27)。ここで、例えば、予めWLAN設定領域71に格納されていた送受信エラー率のHO閾値が5%の場合、HO閾値設定部27がHO閾値を2%上げて、新たな送受信エラー率のHO閾値を7%としてWLAN設定領域71に格納する。HO閾値設定部27が調整後の新たなHO閾値を格納した後、制御部20は、表示部14に画像104を表示させて、HO閾値設定処理を終了する。
このように、通話中またはデータ通信中の一部の期間(HO閾値調整測定期間中)に、ユーザが無線通信端末1の現在の通信状態に問題がないと判断した場合、無線通信端末1が現在接続しているAP2aと送受信しているデータの送受信エラー率の値がHO閾値近傍範囲内であれば、無線通信端末1は、送受信エラー率のHO閾値を上げるように調整する。その結果、無線通信端末1がAP2aと送受信しているデータの送受信エラー率の値がわずかに変動した場合であっても、送受信エラー率の値がHO閾値を上回ることがなくなるため、無線通信端末1が不要なスキャンおよびそれに伴うハンドオーバを実行することを防ぐことができる。よって、無線通信端末1の電力を無駄に消費することを防ぐと共に、データ通信の遅延や通話の寸断などユーザの利便性を損なうことを防ぐことができる。
なお、通話中またはデータ通信中であっても、通信品質を示す指標としてRSSIを用いてHO閾値設定処理を行ってもよい。
〔テストデータを用いるHO閾値設定処理〕
図13および図15に示すHO閾値設定処理例では、ユーザに通信状態を確認させて、ユーザが現在のAP2aとの通信品質は良好であると判断した場合に、HO閾値設定処理を行っている。しかしながら、ユーザが正確に通信状態を把握することが難しい場合がある。例えば、図4に示すように、RSSIの値がHO閾値を跨いで変動している場合、RSSIの値がHO閾値を下回る度に、スキャンが行われる。頻繁にスキャンが行われることにより、データ通信の遅延や通話の寸断が発生することがある。スキャンが行われていない状態であれば、RSSIの値がHO閾値付近であっても十分にデータ通信や通話を行うことができる場合であっても、頻繁にスキャンが行われることにより、ユーザは、通信状態が良くないと判断してしまう。
そこで、ユーザに通信状態を判断させる代わりに、無線通信端末1は、AP2aにテストデータを送信し、AP2aにテストデータが送信できたかどうかを判定する。無線通信端末1は、AP2aにテストデータが送信できた場合に、HO閾値調整処理を行う。以下に、図14および図16に基づいて、テストデータを用いるHO閾値設定処理の一例について説明する。図16は、テストデータを用いて、通信品質を示す指標としてRSSIを用いた場合のHO閾値設定処理例の流れを示すフローチャートである。
まず、ユーザが入力部15を介してHO閾値設定開始指示を入力する(S30)。制御部20は、入力部15からHO閾値設定開始指示を受信すると、スキャンおよびハンドオーバ処理を一時的に停止する(S31)。具体的には、通信部60がスキャンを実行していない場合、WLANスキャン制御部23は、通信部60にスキャンの実行指示を送信することを中断する。通信部60がスキャンを実行している場合、WLANスキャン制御部23は、通信部60にスキャンを一時的に停止するように指示する。また、通信部60が他のAP2への接続切替を実行していない場合、WLAN接続制御部24は、通信部60にハンドオーバの実行指示を送信することを中断する。通信部60が他のAP2への接続切替を実行している場合、WLAN接続制御部24は、通信部60に他のAP2への接続切替を一時的に停止するように指示する。
スキャンおよびハンドオーバ処理を停止した後、WLANデータ通信部22は、通信部60を介して、AP2aに対してテストデータを送信する(S32)。送受信エラー率測定部32は、WLANデータ通信部22が受信した、テストデータとして送信したパケットに対するAP2aからのACK応答に基づいて送信エラー率(テストデータ送信エラー率)を測定する(S33)。
次に、通信状態判定部44は、送受信エラー率測定部32の測定した送信エラー率の値がWLAN設定領域71に格納されている規定値B以下であるかどうかを判定する(S34)。通信状態判定部44が、測定した送信エラー率の値が規定値B以下ではないと判定した場合(S34でNO)、制御部20は、表示部14に画像105を表示させて(S18)、現在の通信状態を改善するようにユーザに移動等を促し、HO閾値設定処理を終了する。一方、通信状態判定部44が、測定した送信エラー率の値が規定値B以下であると判定した場合(S34でYES)、RSSI測定部31が現在接続しているAP2aとの接続情報として、RSSIを測定し、接続AP名と対応付ける(S13)。
次に、通信状態判定部44は、RSSI測定部31の測定したRSSIの値がWLAN設定領域71に格納されている規定値A以上であるかどうかを判定する(S14)。通信状態判定部44が、測定したRSSIの値が規定値A以上ではないと判定した場合(S14でNO)、制御部20は、表示部14に画像105を表示させて(S18)、現在の通信状態を改善するようにユーザに移動等を促し、HO閾値設定処理を終了する。一方、通信状態判定部44が、測定したRSSIの値が規定値A以上であると判定した場合(S14でYES)、HO閾値近傍判定部43は、RSSI測定部31の測定したRSSIの値がWLAN設定領域71に格納されているHO閾値近傍範囲内に含まれるかどうかを判定する(S15)。
HO閾値近傍判定部43が、測定したRSSIの値がHO閾値近傍範囲内に含まれないと判定した場合(S15でNO)、制御部20は、表示部14に画像104を表示させて、HO閾値を調整することなく、HO閾値設定処理を終了する。一方、HO閾値近傍判定部43が、測定したRSSIの値がHO閾値近傍範囲内に含まれると判定した場合(S15でYES)、HO閾値設定部27は、WLAN設定領域71に格納されている、測定したRSSIに対応付けられている接続AP 名に対応するRSSIのHO閾値を下げるように調整する(S16)。HO閾値設定部27は、調整したHO閾値をWLAN設定領域71に格納する(S17)。HO閾値設定部27が調整後の新たなHO閾値を格納した後、制御部20は、表示部14に画像104を表示させて、HO閾値設定処理を終了する。
なお、HO閾値設定処理が終了すると、S31において一時的に停止していたスキャンおよびハンドオーバの処理を再開する。
このように、無線通信端末1は、スキャンおよびハンドオーバ処理を一時的に停止して、AP2aにテストデータを送信し、送信したテストデータの送信エラー率を測定する。スキャンおよびハンドオーバ処理を停止することにより、現在の通信状態を示す送信エラー率を正確に測定することができる。よって、無線通信端末1は、現在のAP2aとの通信状態を正確に把握することができる。従って、ユーザの主観的な判断と比較して、客観的である送信エラー率の測定結果に基づく方が、HO閾値調整処理を実行すべきか否かを正確に判断することができる。
なお、S34において、通信状態判定部44は、送信エラー率以外の指標を用いて現在のAP2aとの通信状態に問題があるかどうかを判定しても良い。例えば、上記指標として、WLANチップによる独自指標や上位プロトコルレベルでのエラー率などを用いてもよい。上位プロトコルレベルでのエラー率を用いる場合、下位層でエラーとなっていても、上位プロトコルでエラー訂正できる範囲であるならば、通信状態に問題が無いと判定しても良い。さらに、通信状態判定部44は、例えば、TCPレベルでのACKの有無や、より上位のHTTP Requestに対する応答有無で通信状態に問題があるかどうかを判定してもよい。また、通信状態判定部44は、受信エラー率についても同様で、例えば、下位プロトコルレベルの802.11フレームの誤り検出に基づいて通信状態に問題があるかどうかを判定してもよいし、より上位レベルのHTTPレスポンス内容不正等に基づいて通信状態に問題があるかどうかを判定してもよい。
〔自動的に行うHO閾値設定処理〕
図13、図15および図16に示すHO閾値設定処理例では、無線通信端末1は、ユーザからのHO閾値設定開始指示を受けて、HO閾値設定処理を行っている。ここでは、ユーザからの指示を受けてHO閾値設定処理を開始するのではなく、無線通信端末1がデータ通信中または通話中に自動的にHO閾値設定処理を開始する例を説明する。具体的には、無線通信端末1がVoIP通話中に自動的にHO閾値設定処理を開始する例を図17に基づいて説明する。図17は、通信品質を示す指標としてRSSIを用いた場合の自動的に行うHO閾値設定処理例の流れを示すフローチャートである。
まず、無線通信端末1がVoIP通話を開始すると(S40)、RSSI測定部31が現在接続しているAP2aとの接続情報として、RSSIを測定し、接続AP名と対応付け、送受信エラー率測定部32がVoIP通話時に送信している音声データの送信エラー率を測定する(S41)。RSSI測定部31および送受信エラー率測定部32は、VoIP通話が終了するまで定期的に測定する。
無線通信端末1のVoIP通話が終了すると(S42)、接続切替判定部46は、通信部60がVoIP通話中にハンドオーバを行ったかどうか判定する(S43)。接続切替判定部46が通信部60でVoIP通話中にハンドオーバが行われたと判定した場合(S43でNO)、制御部20は、HO閾値を調整することなく、HO閾値設定処理を終了する。一方、接続切替判定部46が通信部60でVoIP通話中にハンドオーバが行われていないと判定した場合(S43でYES)、変動判定部45は、VoIP通話中にRSSI測定部31が定期的に測定したRSSIの値の最大値と最小値との差がWLAN設定領域71に格納されている、変動範囲を示す規定値C以下であるかどうかを判定する(S44)。
変動判定部45が、測定したRSSIの値の最大値と最小値との差が規定値C以下ではないと判定した場合(S44でNO)、制御部20は、HO閾値を調整することなく、HO閾値設定処理を終了する。一方、変動判定部45が、測定したRSSIの値の最大値と最小値との差が規定値C以下であると判定した場合(S44でYES)、変動判定部45は、VoIP通話中に送受信エラー率測定部32が定期的に測定した送信エラー率の値の最大値と最小値との差がWLAN設定領域71に格納されている、変動範囲を示す規定値D以下であるかどうかを判定する(S45)。
変動判定部45が、測定した送信エラー率の値の最大値と最小値との差が規定値D以下ではないと判定した場合(S45でNO)、制御部20は、HO閾値を調整することなく、HO閾値設定処理を終了する。一方、変動判定部45が、測定した送信エラー率の値の最大値と最小値との差が規定値D以下であると判定した場合(S45でYES)、通信状態判定部44は、VoIP通話中にRSSI測定部31が定期的に測定したRSSIの値の平均値がWLAN設定領域71に格納されている規定値A以上であるかどうかを判定する(S46)。
通信状態判定部44が、測定したRSSIの値の平均値が規定値A以上ではないと判定した場合(S46でNO)、制御部20は、表示部14に画像105を表示させて(S18)、現在の通信状態を改善するようにユーザに移動等を促し、HO閾値設定処理を終了する。一方、通信状態判定部44が、測定したRSSIの値の平均値が規定値A以上であると判定した場合(S46でYES)、HO閾値近傍判定部43は、RSSI測定部31の測定したRSSIの値の平均値がWLAN設定領域71に格納されているHO閾値近傍範囲内に含まれるかどうかを判定する(S47)。
HO閾値近傍判定部43が、測定したRSSIの値の平均値がHO閾値近傍範囲内に含まれないと判定した場合(S47でNO)、制御部20は、表示部14に画像104を表示させて、HO閾値を調整することなく、HO閾値設定処理を終了する。一方、HO閾値近傍判定部43が、測定したRSSIの値の平均値がHO閾値近傍範囲内に含まれると判定した場合(S47でYES)、HO閾値設定部27は、WLAN設定領域71に格納されている、測定したRSSIに対応付けられている接続AP名に対応するRSSIのHO閾値を下げるように調整する(S48)。HO閾値設定部27は、調整したHO閾値をWLAN設定領域71に格納する(S49)。HO閾値設定部27が調整後の新たなHO閾値を格納した後、制御部20は、表示部14に画像104を表示させて、HO閾値設定処理を終了する。
このように、無線通信端末1は、通話開始時にRSSIの測定を自動的に開始して、通話中に定期的にRSSIを測定し、測定したRSSIの値がHO閾値近傍範囲内であるかどうかを判定し、測定したRSSIの値がHO閾値近傍範囲内であれば、HO閾値を下げるように調整する。すなわち、ユーザが意識することなく、通話中の通信状態に応じて自動的にHO閾値が調整されることにより、ユーザの利便性が高まる。
なお、HO閾値設定処理の開始のトリガーとして、上述の例では、通話やデータ通信の開始としているがこれに限るものではない。例えば、制御部20が定期的にHO閾値設定処理を開始しても良いし、通信部60が他のAP2に接続を切り替えた時(ハンドオーバ時)にHO閾値設定処理を開始しても良い。
また、無線通信端末1が通話中にハンドオーバ処理を行った場合は、HO閾値調整処理を行わない。すなわち、通話開始時に接続していたAP2aとの通信状態が低下し、AP2aより通信状態の良いAP2が見つかった場合は、HO閾値調整処理が効果的ではないため、HO閾値調整処理を行わない。
また、測定したRSSIの値が、無線通信端末1の静止状態におけるRSSIの値の変動幅(規定値C)を超えて変動している場合は、HO閾値調整処理を行わない。測定したRSSIの値の変動幅が規定値C以内であれば、無線通信端末1は測定中に静止状態であったと推定し、HO閾値調整処理を行う。一方、測定したRSSIの値の変動幅が規定値C以内でなければ、無線通信端末1が測定中に移動したと考えられる。無線通信端末1が移動した場合は、測定した通信状態がHO閾値調整処理をすべき通信状態であるかどうかが正確に判断することができないため、HO閾値調整処理を行わない。
また、無線通信端末1は、RSSIを測定すると共に、通話中に送信エラー率を測定し、測定した送信エラー率の変動幅が規定値D以下でなければ、HO閾値調整処理を行わない。測定した送信エラー率の変動幅が規定値D以下であれば、測定中は、安定した通信状態であったと推定し、HO閾値調整処理を行う。一方、測定した送信エラー率の変動幅が規定値D以下でなければ、測定中は、不安定な通信状態であった可能性が高いと考えられる。不安定な通信状態では、HO閾値調整処理をすべき通信状態であるかどうかが正確に判断することができないため、HO閾値調整処理を行わない。
なお、S41において、RSSI測定部31および送受信エラー率測定部32は、定期的に測定するのではなく、RSSI測定部31が受信した電波ごとに測定し、送受信エラー率測定部32が送信した音声データごとに測定しても良い。また、S45において、通信状態判定部44は、VoIP通話中にRSSI測定部31が定期的に測定したRSSIの値の平均値ではなく、RSSI測定部31が定期的に測定したRSSIの値の最小値が規定値A以上であるかどうかを判定しても良い。また、HO閾値近傍判定部43は、測定したRSSIの値の平均値ではなく、測定したRSSIの値の最大値および最小値の両方がHO閾値近傍範囲内に含まれるかどうかを判定しても良い。
また、上述では、VoIP通話中にHO閾値設定処理を行う例を示したが、これに限るものではなく、ブラウザによるHTTP通信時などであっても、同様の手順でHO閾値設定処理を行うことができる。また、通信状態を示す指標としてRSSIを用いたが、RSSIの代わりに、送受信エラー率を用いてHO閾値設定処理を行ってもよい。
なお、ユーザが無線通信端末を使用する時間帯に自動的にHO閾値設定処理を行うことが望ましい。例えば、無線通信端末が携帯電話の場合、一般的に携帯電話の使用頻度が高い夜間(19:00〜23:00)にHO閾値設定処理を行うことが望ましい。深夜の時間帯では、省電力やセキュリティを考慮して、APの電源をオフする場合がある。また、深夜の時間帯では、無線LAN通信を使う無線通信端末が少なくなり、日中に比べてAPの無線負荷が減る。そのため、深夜の時間帯では、通常の使用環境時と無線状況が乖離する可能性があり、HO閾値設定処理が効果的に働くことが考えられる。また、ユーザがHO閾値設定処理を実行する時間帯を設定するようにしてもよい。
また、上述のS44における、変動判定部45が、VoIP通話中にRSSI測定部31が定期的に測定したRSSIの値の最大値と最小値との差が規定値C以下であるかどうかを判定する処理は、自動的に行うHO閾値設定処理の場合にのみ行う処理とは限らない。例えば、上述の通信品質を示す指標としてRSSIもしくは送受信エラー率を用いた場合のHO閾値設定処理、または、テストデータを用いるHO閾値設定処理において、変動判定部45がS44の判定処理を行ってもよい。
〔HO閾値再設定処理〕
上述では、HO閾値を調整する種々のHO閾値設定処理について説明したが、ここでは、HO閾値設定処理を行った後に行うHO閾値再設定処理について説明する。例えば、HO閾値調整処理を行ったが、そのとき接続しているAP2との接続時間が短い場合、当該AP2は、無線通信端末1が頻繁に接続するAP2ではない可能性がある。ここで、無線通信端末1が、通常時に接続するAP2を通常APと称する。また、無線通信端末1が頻繁に接続するAP2ではないAP2を臨時APと称する。臨時APの例として、通常APとの通信状態が急激に悪化した際に、無線通信端末1が一時的に接続するAP2などである。
例えば、無線通信端末1が臨時APとの接続時にHO閾値調整処理を行った場合、通常APとの通信状態が回復したとしても、HO閾値を調整したことにより、スキャンおよびハンドオーバ処理が抑制されるため、臨時APから通常APへのハンドオーバ処理が行われないことがある。このような、HO閾値調整処理を行ったことによる弊害を防ぐために、無線通信端末1は、接続しているAP2との接続時間を測定し、HO閾値調整処理を行ったとき接続しているAP2のうち、接続時間が短いAP2に対して、対応付けられているHO閾値を再度調整するHO閾値再設定処理を行う。
以下に、このHO閾値再設定処理の一例について、図18に基づいて説明する。図18は、HO閾値再設定処理例の流れを示すフローチャートである。なお、HO閾値設定部27は、WLAN設定領域71に調整後の新たなHO閾値を格納すると共に、新たなHO閾値を格納した日時を対応付けて格納しているとする。また、WLAN接続制御部24は、通信部60に対してハンドオーバ処理の実行を指示した後、通信部60からハンドオーバ処理の実行結果を受けて、図11(b)に示すように接続履歴情報として記憶部70にAP2の識別子に対応付けて接続開始および接続終了の日時を格納するものとする。
HO閾値再設定処理が開始すると、HO閾値調整判定部47は、WLAN設定領域71に格納されているHO閾値調整日時を確認して、調整判定時間以内にHO閾値設定部27が新たにHO閾値を設定したAP2があるかどうかを判定する(S50)。調整判定時間以内に新たにHO閾値が設定されたAP2が無い場合(S50でNO)、制御部20は、HO閾値の再調整は行わず、HO閾値再設定処理を終了する。一方、調整判定時間以内に新たにHO閾値が設定されたAP2がある場合(S50でYES)、接続時間算出部26は、記憶部70に格納されている接続履歴情報を参照して、調整判定時間以内に新たにHO閾値が設定されたAP2の接続判定時間以内における接続時間をAP2ごとに算出する(S51)。
そして、接続時間判定部48は、AP2ごとに、接続時間算出部26の算出した接続時間がWLAN設定領域71に格納されている規定値Eより小さいかどうかを判定する(S52)。全てのAP2に対して、接続時間判定部48が、接続時間算出部26の算出した接続時間が規定値Eより小さくないと判定した場合(S52でNO)、制御部20は、HO閾値の再調整は行わず、HO閾値再設定処理を終了する。一方、接続時間判定部48が、接続時間算出部26の算出した接続時間が規定値Eより小さいと判定したAP2がある場合(S52でYES)、HO閾値設定部27は、接続時間が規定値Eより小さいと判定されたAP2の調整後のHO閾値を調整前のHO閾値に近づけるように再調整し、再調整したHO閾値を調整後のHO閾値としてWLAN設定領域71に新たに格納する。(S53)。
なお、HO閾値再設定処理の開始のトリガーは、ユーザからの再設定指示を受けて開始しても良いし、無線通信端末1が一定間隔毎に自動的に行ってもよい。例えば、無線通信端末1は、HO閾値再設定処理を自動的に1時間ごと、24時間ごと、1週間ごとなどで行ってもよい。また、HO閾値設定処理によって、HO閾値設定部27がHO閾値を調整して新たなHO閾値をWLAN設定領域71に格納する度にHO閾値再設定処理を開始しても良い。この場合、S50におけるHO閾値調整判定部47が行う判定は行わずに、再設定処理開始後に接続時間算出部26が接続時間を算出すればよい。
また、調整判定時間は、HO閾値再設定処理の開始以前の時間幅を示すものであり、HO閾値調整判定部47が新たにHO閾値を設定したAP2があるかどうかを判定する条件である。調整判定時間は、任意に設定することができる。例えば、HO閾値再設定処理の開始前の1時間、24時間、1週間などに設定していても良い。
また、接続判定時間は、HO閾値再設定処理の開始以前の時間幅を示すものであり、接続時間算出部26が接続時間を算出するAP2を抽出する条件である。接続判定時間は、任意に設定することができる。例えば、HO閾値再設定処理の開始前の1時間、24時間、1週間などに設定していても良い。
また、接続時間算出部26は、接続判定時間以内に接続していたAP2の接続時間をそのまま時間として算出してもよいし、接続時間の割合として算出しても良い。例えば、記憶部70に図11(b)に示す接続履歴情報が格納されており、2009年11月2日0時にHO閾値再設定処理を開始し、接続判定時間が24時間の場合、接続時間算出部26が接続時間を時間のままで算出すると、AP<O1>との接続時間は23時間50分であり、AP<O2>との接続時間は10分となる。一方、接続時間算出部26が接続時間を割合で算出すると、例えば、AP<O1>との接続時間である接続割合は99.306%であり、AP<O2>との接続割合は0.694%となる。接続時間算出部26が接続時間を時間のままで算出する場合、規定値Eも時間で表し、接続時間算出部26が接続時間を割合で算出する場合、規定値Eも割合で表す。
また、HO閾値設定部27は、調整後のHO閾値を調整前のHO閾値に近づける際に、接続時間が規定値Eより小さいと判定した場合、調整後のHO閾値の値から調整前のHO閾値の値に一定の値(割合)近づけても良いし、接続時間に応じて、調整後のHO閾値の値から調整前のHO閾値の値に近づける値(割合)を決定しても良い。また、「調整前のHO閾値」とは、HO閾値再調整処理開始前に、HO閾値設定部27によって調整されたHO閾値であってもよいし、WLAN設定領域71に予め設定されていたデフォルトのHO閾値であってもよい。
上述の実施形態では、特定の期間中に測定した通信品質の値がHO閾値近傍範囲にある場合にHO閾値調整を行っていたが、これに限るものではない。HO閾値調整を行う条件である、特定の期間中に測定した通信品質の値の範囲の変形例を図19に基づいて説明する。
図19(a)は、HO閾値調整を行う条件である、特定の期間中に測定した通信品質の値の範囲を示す図である。図19(a)に示すように、通信品質を示す情報の値を、低い値から順番に、規定値A、規定値G(通信問題発生境界値)、HO閾値、規定値F(静止変動幅上限値)と並べて、5つの領域に分ける。つまり、領域Vは、通信品質が規定値F以上であり、領域Wは、通信品質がHO閾値以上、規定値F以下であり、領域Xは、通信品質が規定値G以上、HO閾値以下であり、領域Yは、通信品質が規定値A以上、規定値G以下であり、領域Zは、通信品質が規定値A以下である。
ここで、規定値FおよびGは、それぞれ、上述の実施形態におけるHO閾値近傍範囲の上限値および下限値である。すなわち、規定値Fは、静止状態の無線通信端末において、ドアの開閉や人の出入り程度で変動する通信品質を示す情報の値の変動幅の半分の値をHO閾値に加えた値である。また、規定値Gは、データ通信や通話において重大な問題が生じる可能性がない状態の通信品質を示す情報の値の最小値である。
次に、領域V〜Zにおける無線通信端末の通信状態、並びに、無線通信端末のスキャン処理およびHO閾値調整処理について、図19(b)に基づいて説明する。図19(b)は、領域V〜Zにおける無線通信端末の通信状態、並びに、無線通信端末のスキャン処理およびHO閾値調整処理の実行の有無を示す図である。なお、ここで、「通信品質に問題がない」状態とは、対応する領域において、WLAN通信した場合にVoIP通話等に重大な問題が生じる可能性が無いことを示す。
まず、HO閾値近傍範囲である領域WおよびXについて説明する。図19(b)に示すように、測定した通信品質の値が領域Xにある場合、HO閾値を下回っているため、スキャンが実行される。この場合、通信品質に問題はないため、HO閾値調整を行うことによって、不要なスキャンを抑制することができる。また、測定した通信品質の値が領域Wにある場合、通信品質に問題が無く、HO閾値を上回っているため、スキャンは実行されない。しかしながら、無線通信端末が静止状態であっても、無線通信端末とAPとの間に障害物等が出現することによって、通信品質の測定値がHO閾値を下回り、スキャンが実行される可能性がある。つまり、領域Wから領域Xへ遷移する場合がある。そのため、測定した通信品質の値が領域Wにある場合、HO閾値調整を行うことによって、不要なスキャンを未然に防ぐことができる。
HO閾値調整を行う条件は、測定した通信品質の値が領域WおよびXにある場合に限らず、領域VまたはYにある場合にHO閾値調整を行ってもよい。
測定した通信品質の値が領域Vにある場合、通信品質には全く問題が無く、HO閾値を上回っているためスキャンは実行されない。この場合、通信品質が非常に良い状態であることを示し、例えば、無線通信端末からAPまでの距離が近い場合などが想定される。自宅の近くにAPがある場合、家庭内を1台のAPでカバーできている可能性も考えられる。この場合、ハンドオーバを行う必要がないため、HO閾値調整を行うことで、不要なスキャンを抑制することができる。
また、測定した通信品質の値が領域Yにある場合、一般的に、通信に深刻な問題が発生する可能性がある。しかしながら、領域Yの状態であっても、無線通信端末の無線特性や使用環境によって、通信に深刻な問題が発生しない場合、または、通信に深刻な問題が発生する可能性がごく僅かな場合がある。この場合、通信品質に問題はない、または、通信品質に問題がない可能性が非常に高いため、スキャンを行う必要がないと考えられる。そのため、測定した通信品質の値が領域Yにある場合であっても、通信品質に問題はない、または、通信品質に問題がない可能性が非常に高いと考えられる場合は、HO閾値調整を行うことによって、不要なスキャンを防ぐことができる。
なお、測定した通信品質の値が領域Xに存在する場合にのみ、HO閾値調整を行ってもよい。無線通信端末の無線特性や使用環境により、無線通信端末の静止状態における通信品質の変動幅が小さい場合、領域Wから領域Xに遷移する可能性が低い。そのため、測定した通信品質の値が領域Wにある場合にHO閾値調整を行わないことによって、必要以上にHO閾値を下げることを抑制できる。
まとめると、HO閾値調整を行う条件である、特定の期間中に測定した通信品質の値の範囲(以下では、HO閾値調整実行範囲と称する)は、HO閾値調整実行範囲の下限値が規定値A以上、HO閾値以下であって、HO閾値調整実行範囲の上限値がHO閾値以上であればよい。また、HO閾値調整実行範囲の下限値は、規定値Gであることが好ましい。さらに、HO閾値調整実行範囲は、HO閾値近傍範囲であることがより好ましい。つまり、HO閾値調整実行範囲の下限値が規定値Gであって、HO閾値調整実行範囲の上限値が規定値Fであることがより好ましい。さらに、HO閾値調整実行範囲の上限値は無限大であってもよい。
<応用例>
本実施形態では、無線通信として無線LANを用いている例を示したが、上述のように、これに限るものではない。例えば、WiMAXのような無線LAN以外の無線通信であっても良い。また、例えば、MediaFLO(Forward Link Only)のような、ハンドオーバ利用が可能な携帯電話向けデジタル放送であってもよい。このようなデジタル放送のシステムの概要を図20に基づいて説明する。図20は、デジタル放送のシステム構成を示す模式図である。
図示のように、放送局Aおよび放送局Bが無線LANにおけるAP2に相当するものであり、放送受信端末が無線通信端末1に相当する。無線通信端末1と同様に、電波の受信品質を保つために、受信可能な放送局を探し、より良い受信品質の放送局から受信するように行う放送受信端末では、図4、図7および図8に示す状況と同等の状況が発生する。そのため、放送受信端末においても、受信品質に問題が無いにもかかわらず、無駄にスキャンおよびハンドオーバ処理が行われる可能性がある。そこで、放送受信端末が本実施形態で示したHO閾値設定処理と同等の処理を行うことによって、消費電力が無駄に消費されること無く、受信品質が濫りに損失することを防ぐことができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
最後に、無線通信端末1の各ブロック、特に制御部20および通信部60は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、無線通信端末1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである無線通信端末1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記無線通信端末1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、無線通信端末1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は、ハンドオーバを行う無線通信端末に利用することができる。特に、常時供給可能な電源が設けられていない、携帯電話機などのような携帯型の無線通信端末、および/または、バッテリサイズ等に制限があり、供給可能な電力量に限りがある小型の無線通信端末などに有効に利用することができる。
1 無線通信端末
2、2a、2b アクセスポイント(AP)
3 通信ネットワーク
15 入力部
20 制御部
21 WLAN状態測定部(通信品質測定手段)
22 WLANデータ通信部
23 WLANスキャン制御部(スキャン制御手段)
24 WLAN接続制御部(接続制御手段)
25 判定部
26 接続時間算出部
27 HO閾値設定部(HO閾値設定手段)
31 RSSI測定部(通信品質測定手段)
32 送受信エラー率測定部(通信品質測定手段)
41 HO閾値判定部
42 接続条件判定部
43 HO閾値近傍判定部
44 通信状態判定部
45 変動判定部
46 接続切替判定部
47 HO閾値調整判定部
48 接続時間判定部
60 通信部
70 記憶部

Claims (16)

  1. アクセスポイントと無線通信を行う通信部と、
    上記無線通信における通信品質を測定する通信品質測定手段と、
    上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値を下回った場合に、上記通信部に接続可能な他のアクセスポイントを探すスキャンを実行させる一方、上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値以上の場合に、上記通信部に上記スキャンを実行させないスキャン制御手段と、を備える無線通信端末であって、
    特定の期間中に上記通信品質測定手段の測定した通信品質が、上記HO閾値を含む、所定のHO閾値調整実行範囲内であれば、上記HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値調整を行うHO閾値設定手段を備えることを特徴とする無線通信端末。
  2. 上記HO閾値調整実行範囲の下限値が所定の通信問題発生境界値であって、上記HO閾値調整実行範囲は、所定の通信問題発生境界値以上、上記HO閾値以下の範囲を少なくとも含むものであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
  3. 上記HO閾値調整実行範囲の下限値が所定の通信問題発生境界値であって、上記HO閾値調整実行範囲は、所定の通信問題発生境界値以上、所定の静止変動幅上限値以下の範囲を少なくとも含むものであることを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
  4. 上記HO閾値調整実行範囲の下限値が所定の通信問題発生境界値であって、上記HO閾値調整実行範囲の上限値が無限大であることを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
  5. 上記HO閾値は、1つまたは複数のアクセスポイント毎に対応付けられて記憶部に格納されており、
    上記スキャン制御手段は、上記記憶部に格納されている、上記通信部が接続しているアクセスポイントに対応するHO閾値を参照するものであり、
    上記HO閾値設定手段は、上記HO閾値調整後のHO閾値を、上記特定の期間中に上記通信部が接続していたアクセスポイントに対応付けて上記記憶部に格納するものであり、
    上記通信部が上記アクセスポイントと接続している接続時間を、該アクセスポイントに対応付けて上記記憶部に格納する接続制御手段をさらに備え、
    上記HO閾値設定手段は、上記HO閾値調整後のHO閾値が対応付けられている上記アクセスポイントに対応する接続時間が所定の接続時間判定値より小さい場合、上記HO閾値調整後のHO閾値を上記HO閾値調整前のHO閾値に近づけるように修正して、該アクセスポイントに対応付けて上記記憶部に格納するものであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の無線通信端末。
  6. 上記通信部は、上記アクセスポイントに対してテストデータを送信し、
    上記通信品質測定手段は、上記通信部が上記アクセスポイントに対して送信したテストデータに対する、該テストデータのうち該アクセスポイントからACK応答を受け取れなかったテストデータの割合を示すテストデータ送信エラー率を測定するものであり、
    上記HO閾値設定手段は、上記通信品質測定手段の測定したテストデータ送信エラー率が所定の不具合判定値より大きい場合、上記HO閾値調整を行わないことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の無線通信端末。
  7. ユーザからのHO閾値設定指示が入力される入力部をさらに備え、
    上記HO閾値設定手段は、上記入力部からHO閾値設定指示が入力されたとき、上記特定の期間を開始することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の無線通信端末。
  8. 上記HO閾値設定手段は、上記通信部が上記アクセスポイントとデータの送受信を開始したとき、上記特定の期間を開始し、上記通信部が上記アクセスポイントとデータの送受信を終了した後に、上記HO閾値調整を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の無線通信端末。
  9. 上記特定の期間中に、上記通信部が他のアクセスポイントに接続を切り替えた場合、上記HO閾値設定手段は、上記HO閾値調整を行わないことを特徴とする請求項8に記載の無線通信端末。
  10. 上記通信品質測定手段は、上記特定の期間中に、上記通信部が受信する電波の強度であるRSSIを測定し、
    上記HO閾値設定手段は、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定したRSSIの最大値と最小値との差が所定の静止状態判定値より大きい場合、上記HO閾値調整を行わないことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の無線通信端末。
  11. 上記通信品質測定手段は、上記特定の期間中に、上記通信部が上記アクセスポイントに対して送信したデータに対する、該データのうち該アクセスポイントからのACK応答を受け取れなかったデータの割合を示す送信エラー率を測定し、
    上記HO閾値設定手段は、上記特定の期間中に、上記通信品質測定手段が測定した送信エラー率の最大値と最小値との差が所定の安定判定値より大きい場合、HO閾値調整を行わないことを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の無線通信端末。
  12. 上記通信品質測定手段が測定する通信品質は、上記通信部が受信する電波の強度であるRSSIであることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の無線通信端末。
  13. 上記通信品質測定手段が測定する通信品質は、上記通信部が上記アクセスポイントに対して送信したデータに対する、該データのうち該アクセスポイントからのACK応答を受け取れなかったデータの割合を示す送信エラー率、もしくは、上記通信部が上記アクセスポイントから受信したデータに対する、該データのうち誤りが検出されたデータの割合を示す受信エラー率の少なくともどちらか一方であることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の無線通信端末。
  14. アクセスポイントと無線通信を行う通信部と、
    上記無線通信における通信品質を測定する通信品質測定手段と、
    上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値を下回った場合に、上記通信部に接続可能な他のアクセスポイントを探すスキャンを実行させる一方、上記通信品質測定手段が測定した通信品質がHO閾値以上の場合に、上記通信部に上記スキャンを実行させないスキャン制御手段と、を備える無線通信端末の制御方法であって、
    特定の期間中に上記無線通信における通信品質を測定する通信品質測定ステップと、
    上記通信品質測定ステップにおいて上記特定の期間中に測定された通信品質が、上記HO閾値を含む、所定のHO閾値調整実行範囲内であれば、上記HO閾値を下げて、新たなHO閾値として設定するHO閾値調整を行うHO閾値設定ステップと、を含むことを特徴とする無線通信端末の制御方法。
  15. 請求項1から13のいずれか1項に記載の無線通信端末を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
  16. 請求項15に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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