JP2011138132A - 電子写真用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】発色性を改善でき、さらにリユースである紙媒体に対し画像を形成させる場合にあっても画像ムラの発生を少なくすることのできる、消色可能なトナーを実現できる技術を提供する。
【解決手段】
バインダー樹脂と、呈色性化合物および顕色剤を含有し、外殻により覆われたカプセル構造を有している着色剤とを備え、体積平均粒子径が5.0〜15.0μmであり、個数基準の粒径分散度CVが35%以下である消色可能なトナー。
【選択図】なし

Description

この明細書に記載の実施形態は、電子写真法、静電印刷法、等における静電荷像、磁気潜像を現像するための、消色可能であるトナーについての技術に関する。
オフィスの情報環境において、コンピューター、ソフト、ネットワークの普及により、情報処理の迅速化、共有化が可能になった。情報の電子化は、情報の保存、蓄積、検索等には優れているが、情報の表示(特に一覧性)、伝達には紙媒体に優位性がある。そのため、情報のデジタル化が進むにつれて、紙の使用量が増加している。一方、CO2排出に代表される消費エネルギーの削減は各分野で急務である。情報の一時的な表示、伝達のために使用している紙媒体をリサイクルできれば、消費エネルギーの削減に大きく貢献できる。
そこで、画像が出力された紙媒体から当該画像を消去して当該紙媒体をリサイクルできる技術として、消色可能なトナーが提案されている。
消色可能であるトナーとしては、粉砕法により製造されたものが挙げられるが、呈色性化合物、顕色剤、消色剤等の複数の成分を固相で取り扱うため、発色が十分でない場合がある。また、消色可能なトナーを用いて一度画像が印刷された紙媒体について画像を消去し、その紙媒体(当該紙媒体を以下、リユースされる紙媒体と称す)について再度印刷する場合、画像ムラが生じることもあった。
この明細書は上述した問題点を解決するためになされたものであり、発色性を改善でき、さらにリユースである紙媒体に対し画像を形成させる場合にあっても画像ムラの発生を少なくすることのできる、消色可能なトナーを実現できる技術を提供する。
この明細書は、バインダー樹脂と、呈色性化合物および顕色剤を含有し、外殻により覆われたカプセル構造を有している着色剤とを備え、体積平均粒子径が5.0〜15.0μmであり、個数基準の粒径分散度CVが35%以下である消色可能なトナーに関する。
本実施形態のトナーを含む現像剤が搭載される画像形成装置における画像形成部の概略図である。 本実施形態のトナーを含む現像剤が搭載される画像形成装置における定着器の概略図である。 実施例のトナーの特性を示す表である。
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態のトナーは、バインダー樹脂と、呈色性化合物および顕色剤を含有し、外殻により覆われたカプセル構造を有している着色剤とを備え、体積平均粒子径が5.0〜15.0μmであり、個数基準の粒径分散度CVが35%以下である。トナーの消色処理を行うことにより、該トナーを用いて電子写真法や静電印刷法等によりシートに出力された画像は消去可能である。
消色可能なトナーを用いて像を形成した場合、形成された像を消色操作により消去することにより像が形成された紙媒体の再利用が可能となる。ここで、本発明者は、再利用の回数が多くなるほど、転写工程の安定性が低くなることに気がついた。転写工程における安定性が低い場合、形成される画像にムラが生じる場合がある。
検討を重ねたところ、本発明者は、再利用の回数が多い程、紙の上のトナー成分が増加していき転写の際に抵抗が高くなるので、帯電の安定性が低くなりやすく、また、転写効率が落ちる傾向があることを見出した。すなわち、リユースされる紙媒体において、着色剤によりトナーに与えられる色は消色操作により消える一方、トナーのバインダー樹脂、ワックス等の成分は像が消去されても紙の上に残存する。当該残存するトナーの成分が増加するにつれて帯電の安定性や転写効率に影響を与え、転写工程における安定性を低くしているという、リユースされる紙媒体独自の問題を本発明者は明らかとした。
そして、鋭意研究の結果、着色剤がカプセル化された消色可能なトナーにおいて、体積平均粒子径、およびその分布を上記の所定の範囲とすることにより、紙媒体としてリユースされる紙媒体を使用する場合にあっても転写工程の安定性が改善されたトナーを提供できることを本発明者は見出した。さらに、体積平均粒子径、およびその分布を上記の所定の範囲とすることにより、トナーの発色性も改善される。
本明細書において、体積平均粒子径とは、粒径から計算される個々の粒子の体積和から求められる、体積和が50%となるときに対応する粒子の粒径(体積D50)をいう。当該体積平均粒子径は、例えばMultisizer3(ベックマンコールター社製:アパーチャー径100μm)を用いて測定することができる。当該体積平均粒子径は、例えば50000個の粒子について測定することによりその値を得る。
本実施形態において、トナーの体積平均粒子径は5.0μm以上であり、7.5μm以上がより望ましい。トナーの体積平均粒子径が5.0μm未満では当該トナーに含有される着色剤の粒径が数μm単位のものが含まれるため、小粒径のトナーに着色剤が均一に含まれないことにより画像濃度が薄くなることがある。また、トナーの体積平均粒子径は15μm以下であり、13μm以下が望ましい。トナーの体積平均粒子径が15μmより大きいと、15μm以下である場合と比較して通常の電子写真方式では帯電が不安定になり、またトナー消費量も多くなる。
また、本明細書において、粒径分散度CV(%)は、以下の式(1)により算出される値をいう。
CV=(a/b)×100・・・(1)
式(1)において、CVは、個数基準の粒径分散度(%)であり、aは個数平均粒子径の標準偏差であり、bは個数平均粒子径(例えば50000個の粒子について測定)である。なお、個数平均粒子径とは、測定された微粒子の直径に基づく平均値である。個数平均粒子径も体積平均粒子径と同様に粒径測定器(Multisizer3など)を用いて測定することができる。
本実施形態において、粒径分散度CV(%)は35%以下である。粒径分散度CVを35%以下とすることにより、トナー中の粗粒と微粉成分を少なくすることができ、35%より大きい場合よりもトナーの帯電安定性を高めることができる。その結果、現像や転写工程の安定性を改善することができる。
なお、粒径分散度CVの下限値は特に限定されないが、凝集融着製法の粒径分布の制御性の観点から、例えば15%とすることができる。
また、本実施形態のトナーにおいて、当該トナーの平均円形度は0.925〜0.970であることが望ましい。
平均円形度は、フロー式粒子像測定装置を用いた測定によってその値を得ることができる。フロー式粒子像分析装置とは粒子像を撮影し、それぞれの粒子の2次元画像の面積から同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する装置である。フロー式粒子像分析装置としては、例えば、シスメックス株式会社製のFPIA2100を挙げることができる。
具体的には、フロー式粒子像分析装置を使用して、例えば円相当径0.50〜200μmの範囲内の粒子について、円相当径の粒子径を測定する。そして測定された粒子の円形度を下記式(2)より求め、さらに、円相当径0.50〜200μmの粒子において、円形度の総和を全粒子数で除した値を、平均円形度とする。2000〜4000個の粒子について測定を行い、平均円形度を算出する。
y=x/z ・・・(2)
式(2)において、yは円形度であり、xは粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長であり、zは粒子の投影像の周囲長である。
平均円形度が0.925未満だと0.925以上である場合よりも融着が不十分となりやすい。その結果、現像器の中でストレスがかかるとトナーが粉砕されて微粉成分が増えることがある。また、平均円形度が0.970より大きいと、0.970以下である場合よりもクリーニング性不良などの問題点がある。
言い換えれば、本実施形態の消色可能であるトナーにおいて平均円形度を0.925〜0.970とすることにより、転写工程における安定性をさらに改善することができる。
次に、本実施形態のトナーの構成成分について説明する。
本実施形態のトナーは、着色剤と、バインダー樹脂とを含む。なお、本明細書において、着色剤とは、トナーに色を付与する1種の化合物、または組成物をいう。
本実施形態のトナーにおいて用いるバインダー樹脂としては、ジカルボン酸成分とジオール成分をエステル化反応を経て、重縮合して得られるポリエステル系樹脂が望ましい。酸成分としてテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、ピメリン酸、シュウ酸、マロン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、等が挙げられる。
ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチングリコール、トリメチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールA等のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物等をあげることができる。
また、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)やグリセリン等の3価以上の多価のカルボン酸や多価のアルコール成分を用いて、上記のポリエステル成分を架橋構造にしてもよい。
これらは組成の異なる2種類以上のポリエステル樹脂を混合して使用してもよい。
ポリエステル樹脂は非晶性でも結晶性でも良い。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は45℃以上70℃以下が望ましい。50℃以上65℃以下がより望ましい。ガラス転移温度が45℃より低いとトナーの耐熱保存性が悪化し、また消去時の樹脂の光沢が目だって好ましくない。70℃より高いと低温定着性が悪化し、また加熱時の消去性が劣って好ましくない。ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwは5000以上30000以下が望ましい。7000以上25000以下がより望ましい。5000以下だと消去時の樹脂の光沢が目立って好ましくない。また25000以上だと一般に画像の消色温度よりトナーの定着温度の方が高温になってしまい好ましくない。
本実施形態において、着色剤は、呈色性化合物と、顕色剤とを有する。
具体的には、電子供与性の呈色性化合物と電子受容性の顕色剤とから構成することができる。電子供与性の呈色性化合物は、具体的にはロイコ色素とすることができる。ロイコ色素単独では無色であるが、ロイコ色素と顕色剤が結合することにより発色する。
例えば、ロイコ色素としては、ジフェ二ルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられる。
より具体的なロイコ色素としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等である。さらに、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。これらは、2種以上混合して使用してもよい。
呈色性化合物を呈色させる顕色剤は、ロイコ色素にプロトンを与える電子受容性化合物である。例えば、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、ベンゾフェノン類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類、モノフェノール類、ポリフェノール類、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体等があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等、さらにそれらの金属塩が挙げられる。
具体的には、フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、ジヒドロキシ安息香酸またはそのエステル、たとえば2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル、レゾルシン、没食子酸、没食子酸ドデシル、没食子酸エチル、没食子酸ブチル、没食子酸プロピル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン、3,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、4−[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4−[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(ベンゼン−1,2,3−トリオール)]、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(1,2−ベンゼンジオール)]、4,4’,4’’−エチリデントリスフェノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレントリス−p−クレゾール等がある。これらは、2種以上混合して使用してもよい。
本実施形態において、着色剤はカプセル化され、シェル材(カプセル化剤)により構成される外殻を有する。シェル材としてはウレタン樹脂等が用いられる。着色剤がカプセル化されることにより、トナーのバインダー樹脂の特に酸価の影響で一度消去したものが再発色することが防げる。
また、当該カプセル化された着色剤中において、ロイコ色素と顕色剤は融点と凝固点の温度差の大きい樹脂(温度コントロール剤)中に存在するようにしてもよい。この場合、加温して温度コントロール剤の融点になった時、ロイコ色素と顕色剤の結合が切れ消色する。それから冷却しても温度コントロール剤の凝固点は常温以下なので消色した状態が維持される。
ここで、本実施形態のトナーにおいて、着色剤の体積平均粒子径が3.5μm以下であり、且つ色剤の体積平均粒子径をm、前記トナーの体積平均粒子径をnとする場合に、m/n≦0.5の関係を満足することが好ましい。着色剤の体積平均粒子径が3.5μmより大きい場合や、m/nの値が0.5より大きい場合、トナーの円形度が円形からはずれたいびつな形となりやすい。よって、現像特性や転写特性が低下することがあるため、例えば凝集、融着における温度設定を変更するなどして円形度を高める措置をとることができるが、
着色剤の体積平均粒子径が3.5μm以下であり且つm/n≦0.5の関係を満足する場合と比較して当該措置を行っても円形度が十分に高くならない場合がある。
なお、着色剤の体積平均粒子径の下限値については特に限定されないが、例えば製造上の観点から1.0μmとすることできる。また、m/nの下限値についても特に限定されないが、例えば製造上の観点から0.1とすることができる。 さらに、本実施形態のトナーは、必要に応じて他の成分を含有または外面において保持するようにしてもよい。他の成分としては、離形剤、帯電制御剤、凝集剤、中和剤、外添剤等を挙げることができる。
離型剤は、着色剤とともに、バインダー樹脂中に配合される。離型剤として、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスおよびそれらの変性物、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、ライスワックスなどの植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうのなどの動物系ワックス、モンタンワックス、オゲソライト、セレシンなどの鉱物系ワックス、リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのなどの脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等が挙げられる。
本実施形態において、離型剤は特にアルコール成分とカルボン酸成分からなる成分のエステル結合を持つものが好ましい。アルコール成分としては高級アルコール、カルボン酸成分としては直鎖アルキル基を持つ飽和脂肪酸、モノエン酸、ポリエン酸等の不飽和脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸等が挙げられる。また不飽和多価カルボン酸としてマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられる。またこれらの無水物でもよい。
カルボン酸成分の中では上記の中で不飽和多価カルボン酸成分及びこれらの無水物を持つものが特に好ましい。
離型剤の軟化点は低温定着性の観点から、60℃〜120℃、より望ましくは70℃〜110℃である。
本実施形態のトナーにおいて、摩擦帯電電荷量を制御するために帯電制御剤などを配合してもよい。帯電制御剤としては、含金属アゾ化合物が用いられ、金属元素が鉄、コバルト、クロムの錯体、錯塩、あるいはその混合物が望ましい。また、含金属サリチル酸誘導体化合物も用いられ、金属元素がジルコニウム、亜鉛、クロム、ボロンの錯体、錯塩、あるいはその混合物が望ましい。
本実施形態において、トナー粒子に対して流動性や帯電性を調整するために、例えばトナー粒子に対して0.01〜20質量%の無機微粒子を外添混合してもよい。このような無機微粒子としてはシリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、酸化錫等を単独であるいは2種以上混合して使用することができる。無機微粒子は疎水化剤で表面処理されたものを使用することが環境安定性向上の観点から好ましい。また、このような無機酸化物以外に1μm以下の樹脂微粒子をクリーニング性向上のために外添してもよい。
さらにまた、本実施形態においては、トナーをシェル材(例えば樹脂)を用いてカプセル化してもよい。その際、シェル材には消去可能な色材成分を含まないことが望ましい。シェル材として用いる樹脂としては、前記のポリエステル樹脂の他に、芳香族ビニル成分と(メタ)アクリル酸エステル成分とを共重合させたものが好ましい。芳香族ビニル成分として、スチレン、α-メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−クロロスチレン等が挙げられる。またp−スチレンスルフォン酸ナトリウム等のスルフォン酸系芳香族ビニル成分を用いてもよい。アクリル酸エステル成分として、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート等が挙げられる。この中ではブチルアクリレートを用いるのが一般的である。重合方法としては、一般的に乳化重合法が採られ、各成分の単量体を、乳化剤を含んだ水相中でラジカル重合することにより得られる。
またはシェル材として、前記のポリエステル樹脂を用いても良い。
このほか、トナーの製造の過程にあっては界面活性剤、中和剤、凝集剤等が使用されるようにしてもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、及び多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
凝集剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウムなどの金属塩、およびポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体、ポリメタアクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、アクリルアミドアクリル酸ソーダ共重合体等の高分子凝集剤、ポリアミン、ポリジアリルアンモニウムハライド、メラニンホルムアルデヒド縮合物、ジシアンジアミド等の凝結剤、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチルー2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル、1,4―ジオキサン等の有機溶剤、塩酸、硝酸等の無機酸、蟻酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。
中和剤としては、無機塩基類やアミン化合物が使用できる。無機塩基類としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。アミン化合物として、例えば、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン,イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパンなどが挙げられる。
なお、本実施形態のトナーにおいて、各成分の含有割合は当業者が適宜設定することができる。
続いて、本実施形態のトナーの製造方法について説明する。本実施形態のトナーの製造方法は特に限定されない。例えば、カプセル化された着色剤と、バインダー樹脂の粒子とを凝集および融着させることにより製造することができる。
カプセル化された着色剤の形成方法は、界面重合法、コアセルベーション法、in situ重合法、液中乾燥法、液中硬化被膜法等が挙げられる。
また、バインダー樹脂を含む粒子を調製する方法については特に限定されない。例えば、溶融混練法や乳化重合法を用いて調製することができる。調製されるバインダー樹脂を含む微粒子の大きさは特に限定されない。
例えば、バインダー樹脂や離型剤を含む組成物を、乾式ミキサーを用いて均一化混合の後、2軸混練機を用いて溶融混練する。次に、溶融混練された組成物を、ピンミルを用いて粉砕する。粉砕物を、界面活性剤、中和剤とともに、純水中に分散させる。続いて、分散液を高圧ホモジナイザーを用いて処理し、例えば約200nmのバインダー樹脂を含む粒子の分散液を得る。
続いて、以上のようにして調製されたカプセル化された着色剤とバインダー樹脂を含む粒子とを凝集させる。具体的には、着色剤とバインダー樹脂を含む粒子とを分散媒、例えば水などの水系分散媒に分散させた分散液中に凝集剤を添加し、次いで加熱して凝集させる。凝集剤の種類、添加量、加熱温度は、当業者が適宜設定できる。
次に、加熱によりバインダー樹脂の流動性を高め、凝集させた着色剤とバインダー樹脂を含む粒子とを融着させる。当該融着処理における加熱温度も、当業者が適宜設定することができる。
凝集、融着処理は、より具体的には例えば以下のようにして行うことができる。カプセル化された着色剤の分散液とバインダー樹脂を含む粒子の分散液とを混合し、40℃で攪拌しながら凝集剤である硫酸アルミニウムを添加し、着色剤とバインダー樹脂を含む粒子を凝集させる。次に攪拌しながら、徐々に温度を上げ、80℃にて保持し、着色剤とバインダー樹脂を含む粒子を融着させる。
続いて、融着処理により得られた粒子を洗浄、乾燥してトナーを生成する。生成されたトナーには、必要に応じ、シリカ、酸価チタン等の外添剤が外添される。
本実施形態において洗浄を行うための装置は特に制限されないが、例えば、遠心分離装置やフィルタープレスなどが好適に用いられる。当該洗浄処理は、例えば、洗浄液としては例えば水、イオン交換水、精製水、酸性に調整された水や塩基性に調整された水などを使用し、洗浄ろ過を繰り返して含水ケーキを得る。含水ケーキは、気流乾燥機、振動乾燥機、オーブン等、任意の乾燥方法により、水分量1質量%程度まで乾燥する。乾燥体は、任意の方法で解砕する。
なお、トナーの体積平均粒子径、個数基準の粒径分散度CV、平均円形度は、凝集温度、融着温度、凝集剤の量、攪拌回転数により調整することができる。
例えば、凝集温度を上げたり、凝集剤量を増加することにより、トナー粒径を大きくできる。
また、着色剤の体積平均粒子径についても、例えば調製時の温度やシェル材等の用いられる材料の量などのカプセル化時の製造条件により調整することができる。
本実施形態のトナーは、通常のトナーと同様に、キャリアと混合されて現像剤として構成され、例えばMFP(Multi Function Peripheral)などの画像形成装置に搭載されて、紙媒体への画像形成用に用いられる。
画像形成工程においては、紙媒体に転写された本実施形態のトナーによるトナー像が定着温度で加熱される結果、樹脂が溶融して紙媒体に浸透し、その後該樹脂が固化することにより紙媒体に画像が形成される(定着処理)。
また、紙媒体に形成された画像は、トナーの消色処理を行うことにより消去することができる。具体的な消色処理は、消色開始温度以上の加熱温度で画像が形成された紙媒体を加熱し、結合している呈色性化合物と顕色剤とを解離させることにより行うことができる。
本実施形態のトナーを用いて画像形成装置において画像形成を行う場合を以下に例示する。
なお、本実施形態のトナーを用いて画像形成が行われる紙媒体は、新たに使用される紙であってもよく、また、消色可能なトナーを用いて画像が形成され、その後に消色操作により画像が消去された、リユースである紙媒体であってもよい。リユースである紙媒体については、過去に画像が形成された際に用いられたトナーは本実施形態の消色可能なトナーであってもよく、また、本実施形態のトナーとは異なる消色可能なトナーが用いられていてもよい。リユースの紙媒体に画像を形成する場合にあっても、本実施形態のトナーを使用することにより、転写工程の安定性を改善することができるので、画像ムラの発生等を抑えることができる。
図1は、画像形成装置である複写機等の画像形成部10を示す概略構成図である。図2は画像形成装置における定着装置26を示す概略構成図である。
画像形成部10の感光体ドラム11(静電潜像担持体)は、φ60mmの支持部材表面に有機感光体(OPC)を有してなり、所定の用紙搬送速度(例えば周速100mm/sec)で矢印s方向に駆動される。感光体ドラム11周囲には、感光体ドラム11の回転に従い順次感光体ドラム11を−750Vに一様に帯電する帯電チャージャ12、帯電された感光体ドラム11に画像情報に応じたレーザ光を照射するレーザ露光装置13(静電潜像形成部)、現像装置14(現像部)、転写チャージャ16(転写部)、剥離チャージャ17、クリーニングブレード18aを有するクリーナ18、除電LED19が配置されている。
画像形成部10の転写チャージャ16の位置には、給紙カセット装置20から給紙ローラ21により取り出され、レジストローラ22により感光ドラム11上のトナー像と同期して記録媒体である用紙Pが搬送される。
現像装置14は、例えば、本実施形態のトナーと、体積平均粒子径30〜80μmの磁性キャリアの混合物である二成分現像剤を現像剤として用いる。
現像装置14の現像ローラ14aには約−550Vの現像バイアスが印加され、反転現像により感光ドラム11上の静電潜像にトナー像を形成する。
転写チャージャ16は、形成されるトナー像を搬送された用紙Pに転写し、転写像を形成する。
画像形成部10の上方には、画像形成部10により本実施形態のトナーを用いて未定着のトナー像が形成された用紙Pを加熱加圧することによりトナー像を定着する定着装置26(定着部)が配置される。定着装置26は、定着回転体である定着ローラ27と、この定着ローラ27に圧接する加圧回転体である加圧ローラ28を有する。定着ローラ27と加圧ローラ28は、所定の用紙搬送速度(例えば周速100mm/sec)で回転する。また、定着装置26は、用紙Pを定着ローラ27と、加圧ローラ28間のニップに導く入り口ガイド26aを有する。定着装置26の用紙Pの搬送方向下流には、定着後用紙Pを所定方向に排出する排紙ローラ32が設けられる。
次に用紙Pに画像を形成する際のプロセスについて述べる。画像形成プロセスの開始により画像形成部10では矢印s方向に回転する感光体ドラム11が、帯電装置12により一様に−750Vに帯電され、レーザ露光装置13により原稿情報に応じたレーザ光を照射され静電潜像が形成される。次いで静電潜像は現像装置14により本実施形態のトナーを用いて現像され、感光体ドラム11上には本実施形態のトナーからなるトナー像が形成される。
例えば給紙カセット装置20から供給される所定の用紙Pはレジストローラ22により感光体ドラム11上のトナー像に同期して転写チャージャ16位置に送られ、感光体ドラム11上のトナー像が転写される。
次いで用紙Pは感光体ドラム11から剥離され、この後定着装置26の定着ローラ27及び加圧ローラ28間に挿通され、トナー像が形成された用紙Pを加熱加圧し、トナー像を定着させる。定着装置26にて、消色可能なトナーによるトナー像を定着終了後、用紙Pは排紙ローラ32により所定方向に排出される。転写終了後、感光体ドラム11は、クリーナ18により残留トナーをクリーニングされ、除電LED19により残留電荷を除去され、画像形成プロセスを終了する。
このように消色トナーにより画像情報に対応するトナー像を形成された用紙Pは、活用終了後にリユースのためにトナー像の色を消去する。トナー像の色の消去は、例えば画像形成装置において、定着器における設定温度を消色が起こる温度(例えば100〜140℃)に設定し、当該画像形成装置において像を形成させることなく紙を搬送することにより、定着器の熱によって画像を瞬時に(例えば1秒以下)消去することもできる。
以下、実施例により、本実施形態のトナーについてより詳細に説明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<バインダー樹脂を含む粒子の分散液の製造>
テレフタル酸39質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド化合物61質量部、ジブチルスズ0.2質量部をエステル化反応槽に投入し、窒素雰囲気下で260℃、50KPaで5時間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。ガラス転移温度Tgは60℃、軟化点は110℃、重量平均分子量は12000であった。このポリエステル樹脂を粉砕して高圧ホモジナイザーを使用してバインダー樹脂を含む粒子の分散液(エマルジョン液)を作成した。
<トナーをカプセル化するためのスチレン−アクリル樹脂の製造>
スチレン90質量部、n−ブチルアクリレート10質量部、p−スチレンスルフォン酸ナトリウム100ppm、連鎖移動剤としてターシャリードデシルメルカプタン1.5質量部、乳化剤として花王製ラテムルPSを0.5質量部加え、重合開始剤として過硫酸アンモニウムを0.8質量部加え、60℃で乳化重合を実施することにより、スチレン−アクリル樹脂のエマルジョン液を得た。スチレン−アクリル樹脂のガラス転移温度は80℃、重量平均分子量は25000であった。
<着色剤の調製>
ロイコ色素であるCVL(クリスタルバイオレットラクトン)、顕色剤である4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、および温度コントロール剤であるラウリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを200℃で加熱溶融した。そして、ウレタン樹脂をシェル材として用いて、周知のコアセルベーション法によりカプセル化した。
<凝集、融着工程>
カプセル化された着色剤10質量部、バインダー樹脂を含む粒子の分散液85質量部、離型剤(ライスWAX)分散液5質量部を硫酸アルミニウム〔Al(SO〕3.0質量%を用いて、50℃で凝集し、さらにスチレンーアクリル樹脂のエマルジョン液を20質量部添加してトナーのカプセル化を実施した。その後温度を75℃まで昇温速度5℃/30分で上昇させて融着し、さらに洗浄、乾燥することにより体積平均粒子径10.3μm、粒径分散度CV27%、平均円形度0.942のトナーを得た。
(実施例2)
硫酸アルミニウムの添加量を2.5質量部に変更したほかは実施例1と同様の方法により、体積平均粒子径7.5μm、流形分散度CV31%、平均円形度0.954のトナーを得た。
(実施例3)
硫酸アルミニウムの添加量を3.3質量部に変更したほかは実施例1と同様の方法により、体積平均粒子径11.4μm、粒径分散度CV31%、平均円形度0.970のトナーを得た。
(実施例4)
硫酸アルミニウムの添加量を2.5質量部、凝集温度を45℃に変更したほかは実施例1と同様の方法により、体積平均粒子径5.0μm、粒径分散度CV32%、平均円形度0.921のトナーを得た。
(実施例5)
硫酸アルミニウムの添加量を4.0質量部に変更したほかは実施例1と同様の方法により、体積平均粒子径15.0μm、粒径分散度CV34%、平均円形度0.950のトナーを得た。
(実施例6)
硫酸アルミニウムの添加量を2.8質量部に変更したほかは実施例1と同様の方法により、体積平均粒子径8.3μm、粒径分散度CV35%、平均円形度0.963のトナーを得た。
(実施例7)
融着温度を78℃に変更したほかは実施例1と同様の方法により、体積平均粒子径9.5μm、粒径分散度CV35%、平均円形度0.985のトナーを得た。
(実施例8)
融着温度を72℃に変更したほかは実施例1と同様の方法により、体積平均粒子径9.8μm、粒径分散度CV32%、平均円形度0.931のトナーを得た。
(比較例1)
硫酸アルミニウムの添加量を2.0質量部に変更したほかは実施例1と同様の方法により、体積平均粒子径4.5μm、粒径分散度CV30、平均円形度0.87のトナーを得た。
(比較例2)
硫酸アルミニウムの添加量を3.8質量部に変更したほかは実施例1と同様の方法により、体積平均粒子径16.2μm、粒径分散度CV25、平均円形度0.93のトナーを得た。
(比較例3)
凝集、融着時の昇温速度を5℃/15分と変更したほかは実施例1と同様の方法により、体積平均粒子径10.5μm、粒径分散度CV45、平均円形度0.870のトナーを得た。
なお、各実施例および比較例について、体積平均粒子径、および個数平均粒子径は粒径測定器(Multisizer3、ベックマンコールター社、アパーチャー径100μm、50000個の粒子について測定)で測定した。
粒径分散度CVは、測定された個数平均粒子径とその標準偏差とを基に算出した。
また、平均円形度は、トナーサンプル0.05gに純水30ml,アニオン性石鹸2mlを加え、超音波分散機で5分間分散させて試料とした。試料をフロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA-2100)を用いた測定に供し、円相当径0.60〜400μmの範囲内の粒子について、円相当径の粒子径を測定した。そして測定された粒子の円形度を求め、さらに、円相当径0.60〜400μmμmの粒子において、円形度の総和を全粒子数で除し、平均円形度とした。測定は、3000個の粒子について測定を行った。
(現像剤の調製)
得られた実施例および比較例のトナーを、それぞれシリコーン樹脂等で被服したフェライトキャリアと混合して現像剤を作成した。
(画像形成)
東芝テック製MFP(e-studio 4520c)にて定着器温度を85 ℃に、紙送り速度を40 mm/secに調整し、東芝製 ppc用紙(P-50s)上に画像を得た。
(消色操作)
画像の消色操作においては、e-studio 4520cにおいて定着器温度を120℃に設定することにより消去装置として使用した。当該e-studio 4520cにおいて紙送り速度40 mm/secで搬送することにより画像を消去した。
(画像濃度測定)
画像濃度測定はGretagmacbeth社製の反射濃度計(RD-19I)を用いた。測定には1.0 cm2の正方形のパッチを搬送方向に対して垂直に15列、水平に20列並べたチャートを用い、前記正方形パッチ300個を反射濃度計にて測定しその平均値を画像濃度とした。
なお、消色後に画像を識別されないという観点から、消色操作後における画像濃度は0.15 以下であることが好ましく、0.10以下になることがより好ましい。
(帯電の安定性)
常温常湿のNN条件(20℃、50%)、高温高湿のHH条件(30℃、85%)、低温低湿のLL条件(10℃、20%)においてそれぞれ15000枚通紙して評価した。
帯電の安定性は、それぞれの環境下での帯電量を吸引式ブローオフ(京セラケミカル社製TB−203)にて測定し、HH条件における帯電量eHとLL条件の帯電量eLの比率e(e=(eH/eL)×100(%))を算出して評価した。e≧50 %であるときにAA、40≦e≦50%であるときにA、30≦e≦40%であるときにB、e≦30 %であるときにCとした。
(トナー飛散)
トナー飛散については、NN条件、HH条件、およびLL条件の3環境下での通紙を実行した後、現像機の付着トナーを吸引し回収することにより飛散トナー重量を求めた。トナー飛散量が25 mg以下であるものをAA、25 mg以上75 mg以下であるものをA、75 mg以上125 mg以下であるものをB、125 mg以上をCとした。
(転写性)
転写性は、本トナーを用いて4回印字、4回消去した後の5回目の印字データで調べた。
転写性については1色のみ現像させた場合に、転写効率dが90≦d(%)であるときにAA、87≦d≦90(%)であるときにA、84≦d≦87(%)であるときにB、d≦84(%)であるときにCとした。なお、転写効率を求める計算式は感光体ドラムから転写ベルトへの1次転写、転写ベルトから紙面への2次転写、さらに転写ベルトから後段の感光体ドラムへの転写である逆転写の各転写効率を考慮し以下の式を用いた。
転写効率 = (α-β-γ-Δ)/α
α: 紙面上の単位面積当たりのトナー重量 (mg/cm2
β: 感光体ドラム上の単位面積当たりの残存トナー重量 (mg/cm2
γ: 2次転写ベルト上の単位面積当たりの残存トナー重量 (mg/cm2
Δ: 後段の感光体上の単位面積当たりの残存トナー重量 (mg/cm2
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
以上に詳述したように、この明細書に記載の技術によれば、発色性を改善でき、さらにリユースである紙媒体に対し画像を形成させる場合にあっても転写工程の安定性により優れた消色可能であるトナーを提供することができる。

Claims (12)

  1. バインダー樹脂と、
    呈色性化合物および顕色剤を含有し、外殻により覆われたカプセル構造を有している着色剤とを備え、
    体積平均粒子径が5.0〜15.0μmであり、粒径分散度CVが35%以下である消色可能なトナー。
  2. 請求項1に記載のトナーにおいて、
    体積平均粒子径が7.5〜13.0μmである消色可能なトナー。
  3. 請求項1に記載のトナーにおいて、
    平均円形度が0.925〜0.970である消色可能なトナー。
  4. 請求項1に記載のトナーにおいて、
    前記着色剤の体積平均粒子径が3.5μm以下であり、且つ前記着色剤の体積平均粒子径をm、前記トナーの体積平均粒子径をnとする場合に、m/n≦0.5の関係を満足する消色可能なトナー。
  5. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、
    前記静電気潜像形成部により形成される前記静電潜像をバインダー樹脂と、呈色性化合物および顕色剤を含有し、外殻により覆われたカプセル構造を有している着色剤とを備え、体積平均粒子径が5.0〜15.0μmであり、粒径分散度CVが35%以下である消色可能なトナーを用いて現像することにより可視像を形成する現像部と、
    前記現像部により形成される前記可視像を記録媒体に転写することにより転写像を形成する転写部と、
    前記転写部により形成される転写像を前記記録媒体に定着させる定着部と、を備える画像形成装置。
  6. 請求項5に記載の装置において、
    前記消色可能なトナーの体積平均粒子径が7.5〜13.0μmである画像形成装置。
  7. 請求項5に記載の装置において、
    前記消色可能なトナーの平均円形度が0.925〜0.970である画像形成装置。
  8. 請求項5に記載の装置において、
    前記着色剤の体積平均粒子径が3.5μm以下であり、且つ前記着色剤の体積平均粒子径をm、前記トナーの体積平均粒子径をnとする場合に、m/n≦0.5の関係を満足する画像形成装置。
  9. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、
    形成される前記静電潜像をバインダー樹脂と、呈色性化合物および顕色剤を含有し、外殻により覆われたカプセル構造を有している着色剤とを備え、体積平均粒子径が5.0〜15.0μmであり、粒径分散度CVが35%以下である消色可能なトナーを用いて現像することにより可視像を形成し、
    形成される前記可視像を記録媒体に転写することにより転写像を形成し、
    形成される前記転写像を前記記録媒体に定着させる画像形成方法。
  10. 請求項9に記載の方法において、
    前記消色可能なトナーの体積平均粒子径が7.5〜13.0μmである画像形成方法。
  11. 請求項9に記載の方法において、
    前記消色可能なトナーの平均円形度が0.925〜0.970である画像形成方法。
  12. 請求項9に記載の方法において、
    前記着色剤の体積平均粒子径が3.5μm以下であり、且つ前記着色剤の体積平均粒子径をm、前記トナーの体積平均粒子径をnとする場合に、m/n≦0.5の関係を満足する画像形成方法。
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